Re: 手探り航法・旅日記
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居住地: 兵庫県
投稿数: 650
hideです。
ここんところ私は、ずっとセスナC310で、低空を飛んでいますので、
昔はMSFS2000などで馴染んだ、ジェット機の操縦感覚を、すっかり
忘れてしまいました。搭乗機があまり偏っては、皆さんのフライトと
だんだん、かけ離れてしまいますし、せっかくのFlightGearの世界が、
それだけ狭くなってしまいます。普段は、
「こんなに操縦が下手なのに、旅客機を飛ばすなんて、リアリティー
がないなあ!」
…と思って、大きなジェット機は、なるべく避けていましたが、先日、
B737-300型のコクピットから、真後ろを見たら、フライトデッキ後部の
隔壁がなく、空っぽの胴体内部が見えました。ちょっと興ざめですが
カーゴ仕様だと思えば、客席がない分、かえって気楽です(^^;)。
貨物機なら、「C310も主翼を外して、搭載してあるつもり」になれば、
何かと便利ですしね。
jsbフライトモデルの飛行特性も、以前のバージョンより、ずっと改善
されているようですし、急に長距離を操縦してみたくなりました。
という次第で、今回の使用機は、珍しくB737です。
■赤道直下、火山列島上空をゆく■(その1)
(マップデータ:e130s10.tgz
e120s10.tgz
e110s10.tgz )
コースは、インドネシアの旅。ニューギニア西部のソロン空港(WASS)
を出発し、南西へ飛んでバリ島を目指します。経由地は、
・バンダ海の小島にあるアンボンVOR局(AMN)
・チモール島のディルVOR局(DIL)
・スンダ諸島・フローレス島のマウメラVOR局(MOE)
・スンバワ島のビマVOR局(NMA)
…など、メラネシア南部を、東西へ弓状に延びる島々です。
ゴールまでの全行程、約1190nmのほとんどが、環太平洋火山帯。
もしニューギニアからフィリピンへ直行すると、後はすぐ台湾、日本です
から、ちょっと物足りなくて、今回の世界一周・後半戦は、東南アジア
を経由することにしました。
フライトプランは、例によってAtlasで、出発地や中継地の緯度・経度
を出しておき、お馴染みの航法ツール「Virtual E6-B V1.4」を使って、
飛行方位と距離を算出し、Excelのフライトプラン用紙に記入しました。
ナビにはGPSを使いますが、これは記録を残す意味もあります。
今回は、35000ftを飛ぶ予定ですので、目的地手前の降下開始点は
いわゆる「3対1ルール」に従って、
・飛行高度(ft)÷100÷3= 116.6nm手前から降下
…となります。
また目的地・バリ島の、「Denpassar Ngurah Rai」国際空港(WRRR)に
進入する際、滑走路方位(磁気方位)が必要です。これはあらかじめ、
同空港に、機体を出現させて計りました。
真方位は268度、メニュー「Equipment」の「Instrument Settings」に
ある、「Hi offset」(偏差表示)を見ると、偏東約1・7度。従って、磁気方
位は266度。これをNAV1の、ベアリング(方位)欄に入力すれば、ILSに
乗れるはずです。
さて、737-300の操縦法ですが。オートパイロットの使い方は、詳しい
Readmeが同梱されているものの、各種の速度設定などは、見あたらな
いので、以前買った、FS2000の操縦ハンドブックを参考にしました。もし
「こうやった方が飛びやすい」「実機に近い」などの、アドバイスを頂けま
したら、幸いです。
●さすがに、速い:
出発地のソロン・ジェットマン空港(WASS)は、薄曇り。完全な無風。
これは、幸先がいいですね。
中継地を、GPSにウェイポイント入力。途中の「DIL」局は「データベース
に見あたりません」と言われてしまい、次の「MOE」も、「NMA」もだめ。
どうも無線局は、GPSには使えないのが、結構あります。結局、中継点
は1カ所のみ。このあとに、目的地の「WRRR」を入れました。
フラップ5度でエンジン全開、滑走開始。
130Ktでローテーション、ギアアップ。200Kt少々でフラップアップ、1分
半で、もう雲の上に飛び出します。
針路はGPSを選択、高度目標は35000ft。速度は、まだ10000ft以下で
すから、規則通りに250KIASにセット…などと、書いている間に16000ftを
突破。ここでやっと、気速を300Ktに合わせました。離陸後10分程度で、
あっという間に、約60nmも進出してしまいました。
指示対気速度は、300KIASですが、対地速度(GS)は、実に503Kt。
さすがに、速いですね。
28000〜29000ftに広がる、オーバーキャスト(全天)の雲を突破。一面
の雪原のような、雲上は快晴。27分後に、高度35000ftでレベルオフ。
実世界で乗っている旅客機は、確かにこんな、雰囲気ですよね…。
●トルク反動なし、ジェット機のありがたさ:
離陸で印象的だったのは、トルク反動も、Pファクター(プロペラ・ピッチ
角の影響による、推力アンバランス。機首が左に触れる)もないことです。
なんと、滑走が楽なことか。
だいぶ昔、あるヘリコプター・パイロットと飲んだとき。以前は北海道で、
海上自衛隊・P-2J対潜哨戒機のコーパイをしていた、という彼に、
「P-2Jは、ターボプロップなのに、わざわざターボジェットを併用してい
て、なんだか、非効率な機体に見えますね」と言ったら、
「ターボプロップを止め、ジェットエンジンだけで飛ぶ訓練がありますが、
トルクの影響がないので、操縦が非常に楽。ジェットエンジンは、いいもの
ですよ」との返事でした。FlightGearは、プロペラの影響が、かなり大きく
表現されるシミュレータですので、久しぶりにジェット機を体験すると、彼の
言葉を思い出します。
電波高度計が、激しく揺れます。下は島のようですね。Atlasを見ると、
セーラム島を通過。倍速モードを使う暇もなく、227nmを飛んで、バンダ海
に入りました。ゴールまで、あと833nmです。外界は、ひたすら雲海。
試しに雲を全部消してみると、もやはありますが、かすかに島が見える
ようになりました。
●機体の状態は、すべてモニター可能:
このへんで、燃料の残量をチェック。あわてて飛び立ってしまったので、
実はまだ、計器の読み方がよく分からないし、2Dパネルの文字表示は
小さくて、私の速度優先の表示サイズ(800×600)では、読み取り困難
です。そこで最近見つけた、各種システムのモニター機能を使いました。
メニューバーの「File」から、「Brouse Internal Properties」を選んでくだ
さい。「autopilot/」「engines/」など、25項目の表示があります。試しに、
「consumables/」(消耗品=燃料)を、開いてみましょう。
・
・・
fuel/
…と表示されますので、fuel/を選ぶと、3つのタンクごとに、燃料の容量
(gal)と重量(Lbs)、現在の液温がモニターできます。これは、階層表示
になっていまして、上のディレクトリに戻るには「・・」をクリックして下さい。
またengines/を選ぶと、燃料流量から、ノズルの状態、イグニッションが
オフであること、推力…など、計21項目のパラメーターが、手に取るように
分かります。例えば、エンジンを止めてから20分くらい経っても、まだ油温
が、少しずつ冷めていく様子まで、リアルタイムで確認できまして、なかな
か感動的です。
これらの数値を、ゆっくり解析すれば、機体の各種設定ファイルの、どこ
をどう調整すれば、どんな結果が出るか、ある程度は推測できるかと思い
ます。オープン・ソースならではの、素晴らしい贈り物ですね!!!
ちなみに私の燃料流量は、1時間当たり2895ポンド。残りは6500ポンド
×2タンク。余裕は十分だと確認できました。
●もう降下開始です:
ここまで書いていたら、バリ島まであと17分。3倍速を少々使いました
が、大半は、リアルタイムで飛んでしまいました。「3対1ルール」の降下
開始点まで、少しゆとりを残し、125nm手前から降り始めました。
着陸準備に、ゆとりが欲しいので、はやばやと250Ktにセット。高度は
15600ft、残る距離は65nmです。その後も段階的に降下し、バリ島まで
あと40nmの地点で、8000ftに到達。速度を200Ktに変更。ここで滑走路
の延長線をインターセプトするため、針路をやや南よりの、230度に変更
しました。
本来は、55nm手前のVOR局を、最終進入の開始点に使うはずだった
のですが、なぜかうまく、受信出来なかったのです。あれこれやっていた
らGPSが切れてしまい、空港までの距離が、分からなくなりました。
ええい、あとはAtlasが頼りだっ!
NAV2でバリのVORを受信し、距離情報を得たいのに、うっかり周波数
をメモし忘れました。Atlasの画面は、数字がダブって表示されており、
周波数が読めません。さあ困った!(改善の方法は、ないでしょうか)
●オートパイロットに救われる:
高度目標を1500ftにセット。予定では、いったん空港を過ぎて降下し
ながら、10nm先でベースターン(基礎旋回)し、きっちりアプローチする
つもりが…DME(VOR距離情報)が読めないとなると、すっかり当てが
外れました。
幸いここで、NAV1がILSを受信。Atlasで機位を確認しながら、ローカラ
イザとグライドスロープを、オートパイロットにセット。このままストレート・
インする腹を決めました。
だが、高度が高すぎる! 速度も速すぎる! 空港はもう、近いのに!
ああ、ジェット機操縦の…これは毎度、お馴染みの悩みです。アプローチ
をやり直すべきですが、737はコクピットの視界が、さほど良くないので。
「やっと進入コースに乗ったのに、着陸復航は面倒」という気分が、つい
優先します。
それにしても、B737のオートパイロットは優秀ですね。
私の操縦のボロを隠して…かなり急降下の、ILS自動進入に成功。大き
くバウンドしましたが、滑走路端の数字の上で、強引に止めることができ
ました。ブレーキの効きも、また優秀。
あっ、737のエンジンは…どうやって、止めるんでしたっけ(^^;)。
楽しかったけど、練習不足もしっかり、痛感するフライトでした。
●おまけ物語: ブライ船長の奇跡●
今回の飛行ルート沿いにあるチモール島は、1789年にイギリス海軍で
起きた、有名な「バウンティ号の反乱」ゆかりの地です。この帆船はタヒチ
から西インド諸島へ、食用にする「パンノキ」を移植する任務の途中でした
が、トンガ諸島で、一部の乗組員が反乱を起こしました。首謀者たちは、
全長6mのボートに、ウイリアム・ブライ船長ら、計19人をすし詰めにし、
わずかな食料を与えて、海へ追い払いました。
ブライ船長と部下たちは、もっとも助かる可能性の高い目的地として、
タヒチより3倍も遠いが、比較的島伝いに行ける、チモール島を選びまし
た。甲板もないボートで、帆船時代の難所だった、ニューギニア・豪州間
のトレス海峡を突破。42日間を生き抜き、赤道から実に日本までの距離
より長い3701nmの大航海のすえ、チモール島へ到着しました。
彼らは六分儀を1台持っていたものの、経度を計るクロノメーター(航海
時計)も、海図さえ持たずに、この長距離航海で正確なナビゲーションを
やり遂げました。当時のイギリスの船乗りが、どれほど筋金入りの男たち
であったか。想像すると胸が熱くなります。
この事件では、反乱派の乗組員18人も、数奇な運命をたどりました。
南太平洋のはてへの逃亡劇。タヒチ妻を伴い、無人島へ入植の試み。
仲間割れと、相次ぐ殺し合い。ついに地球の裏側から伸びた、イギリス
官憲の捜査網。
逮捕をまぬがれ、最後まで生き残った反乱者、アレグザンダー・スミス
一等水兵は、絶海の孤島・ピトケアン島で、仲間が遺した女性たちと子
供ら37人を守って、この小さな共同体の家長となり。敬虔なクリスチャン
として、平和な晩年を過ごしました。約20年後、偶然この島を見つけて
寄港したアメリカ人船長は、島民たちがキングズ・イングリッシュを話す
ことに、大変驚いたそうです。
ここんところ私は、ずっとセスナC310で、低空を飛んでいますので、
昔はMSFS2000などで馴染んだ、ジェット機の操縦感覚を、すっかり
忘れてしまいました。搭乗機があまり偏っては、皆さんのフライトと
だんだん、かけ離れてしまいますし、せっかくのFlightGearの世界が、
それだけ狭くなってしまいます。普段は、
「こんなに操縦が下手なのに、旅客機を飛ばすなんて、リアリティー
がないなあ!」
…と思って、大きなジェット機は、なるべく避けていましたが、先日、
B737-300型のコクピットから、真後ろを見たら、フライトデッキ後部の
隔壁がなく、空っぽの胴体内部が見えました。ちょっと興ざめですが
カーゴ仕様だと思えば、客席がない分、かえって気楽です(^^;)。
貨物機なら、「C310も主翼を外して、搭載してあるつもり」になれば、
何かと便利ですしね。
jsbフライトモデルの飛行特性も、以前のバージョンより、ずっと改善
されているようですし、急に長距離を操縦してみたくなりました。
という次第で、今回の使用機は、珍しくB737です。
■赤道直下、火山列島上空をゆく■(その1)
(マップデータ:e130s10.tgz
e120s10.tgz
e110s10.tgz )
コースは、インドネシアの旅。ニューギニア西部のソロン空港(WASS)
を出発し、南西へ飛んでバリ島を目指します。経由地は、
・バンダ海の小島にあるアンボンVOR局(AMN)
・チモール島のディルVOR局(DIL)
・スンダ諸島・フローレス島のマウメラVOR局(MOE)
・スンバワ島のビマVOR局(NMA)
…など、メラネシア南部を、東西へ弓状に延びる島々です。
ゴールまでの全行程、約1190nmのほとんどが、環太平洋火山帯。
もしニューギニアからフィリピンへ直行すると、後はすぐ台湾、日本です
から、ちょっと物足りなくて、今回の世界一周・後半戦は、東南アジア
を経由することにしました。
フライトプランは、例によってAtlasで、出発地や中継地の緯度・経度
を出しておき、お馴染みの航法ツール「Virtual E6-B V1.4」を使って、
飛行方位と距離を算出し、Excelのフライトプラン用紙に記入しました。
ナビにはGPSを使いますが、これは記録を残す意味もあります。
今回は、35000ftを飛ぶ予定ですので、目的地手前の降下開始点は
いわゆる「3対1ルール」に従って、
・飛行高度(ft)÷100÷3= 116.6nm手前から降下
…となります。
また目的地・バリ島の、「Denpassar Ngurah Rai」国際空港(WRRR)に
進入する際、滑走路方位(磁気方位)が必要です。これはあらかじめ、
同空港に、機体を出現させて計りました。
真方位は268度、メニュー「Equipment」の「Instrument Settings」に
ある、「Hi offset」(偏差表示)を見ると、偏東約1・7度。従って、磁気方
位は266度。これをNAV1の、ベアリング(方位)欄に入力すれば、ILSに
乗れるはずです。
さて、737-300の操縦法ですが。オートパイロットの使い方は、詳しい
Readmeが同梱されているものの、各種の速度設定などは、見あたらな
いので、以前買った、FS2000の操縦ハンドブックを参考にしました。もし
「こうやった方が飛びやすい」「実機に近い」などの、アドバイスを頂けま
したら、幸いです。
●さすがに、速い:
出発地のソロン・ジェットマン空港(WASS)は、薄曇り。完全な無風。
これは、幸先がいいですね。
中継地を、GPSにウェイポイント入力。途中の「DIL」局は「データベース
に見あたりません」と言われてしまい、次の「MOE」も、「NMA」もだめ。
どうも無線局は、GPSには使えないのが、結構あります。結局、中継点
は1カ所のみ。このあとに、目的地の「WRRR」を入れました。
フラップ5度でエンジン全開、滑走開始。
130Ktでローテーション、ギアアップ。200Kt少々でフラップアップ、1分
半で、もう雲の上に飛び出します。
針路はGPSを選択、高度目標は35000ft。速度は、まだ10000ft以下で
すから、規則通りに250KIASにセット…などと、書いている間に16000ftを
突破。ここでやっと、気速を300Ktに合わせました。離陸後10分程度で、
あっという間に、約60nmも進出してしまいました。
指示対気速度は、300KIASですが、対地速度(GS)は、実に503Kt。
さすがに、速いですね。
28000〜29000ftに広がる、オーバーキャスト(全天)の雲を突破。一面
の雪原のような、雲上は快晴。27分後に、高度35000ftでレベルオフ。
実世界で乗っている旅客機は、確かにこんな、雰囲気ですよね…。
●トルク反動なし、ジェット機のありがたさ:
離陸で印象的だったのは、トルク反動も、Pファクター(プロペラ・ピッチ
角の影響による、推力アンバランス。機首が左に触れる)もないことです。
なんと、滑走が楽なことか。
だいぶ昔、あるヘリコプター・パイロットと飲んだとき。以前は北海道で、
海上自衛隊・P-2J対潜哨戒機のコーパイをしていた、という彼に、
「P-2Jは、ターボプロップなのに、わざわざターボジェットを併用してい
て、なんだか、非効率な機体に見えますね」と言ったら、
「ターボプロップを止め、ジェットエンジンだけで飛ぶ訓練がありますが、
トルクの影響がないので、操縦が非常に楽。ジェットエンジンは、いいもの
ですよ」との返事でした。FlightGearは、プロペラの影響が、かなり大きく
表現されるシミュレータですので、久しぶりにジェット機を体験すると、彼の
言葉を思い出します。
電波高度計が、激しく揺れます。下は島のようですね。Atlasを見ると、
セーラム島を通過。倍速モードを使う暇もなく、227nmを飛んで、バンダ海
に入りました。ゴールまで、あと833nmです。外界は、ひたすら雲海。
試しに雲を全部消してみると、もやはありますが、かすかに島が見える
ようになりました。
●機体の状態は、すべてモニター可能:
このへんで、燃料の残量をチェック。あわてて飛び立ってしまったので、
実はまだ、計器の読み方がよく分からないし、2Dパネルの文字表示は
小さくて、私の速度優先の表示サイズ(800×600)では、読み取り困難
です。そこで最近見つけた、各種システムのモニター機能を使いました。
メニューバーの「File」から、「Brouse Internal Properties」を選んでくだ
さい。「autopilot/」「engines/」など、25項目の表示があります。試しに、
「consumables/」(消耗品=燃料)を、開いてみましょう。
・
・・
fuel/
…と表示されますので、fuel/を選ぶと、3つのタンクごとに、燃料の容量
(gal)と重量(Lbs)、現在の液温がモニターできます。これは、階層表示
になっていまして、上のディレクトリに戻るには「・・」をクリックして下さい。
またengines/を選ぶと、燃料流量から、ノズルの状態、イグニッションが
オフであること、推力…など、計21項目のパラメーターが、手に取るように
分かります。例えば、エンジンを止めてから20分くらい経っても、まだ油温
が、少しずつ冷めていく様子まで、リアルタイムで確認できまして、なかな
か感動的です。
これらの数値を、ゆっくり解析すれば、機体の各種設定ファイルの、どこ
をどう調整すれば、どんな結果が出るか、ある程度は推測できるかと思い
ます。オープン・ソースならではの、素晴らしい贈り物ですね!!!
ちなみに私の燃料流量は、1時間当たり2895ポンド。残りは6500ポンド
×2タンク。余裕は十分だと確認できました。
●もう降下開始です:
ここまで書いていたら、バリ島まであと17分。3倍速を少々使いました
が、大半は、リアルタイムで飛んでしまいました。「3対1ルール」の降下
開始点まで、少しゆとりを残し、125nm手前から降り始めました。
着陸準備に、ゆとりが欲しいので、はやばやと250Ktにセット。高度は
15600ft、残る距離は65nmです。その後も段階的に降下し、バリ島まで
あと40nmの地点で、8000ftに到達。速度を200Ktに変更。ここで滑走路
の延長線をインターセプトするため、針路をやや南よりの、230度に変更
しました。
本来は、55nm手前のVOR局を、最終進入の開始点に使うはずだった
のですが、なぜかうまく、受信出来なかったのです。あれこれやっていた
らGPSが切れてしまい、空港までの距離が、分からなくなりました。
ええい、あとはAtlasが頼りだっ!
NAV2でバリのVORを受信し、距離情報を得たいのに、うっかり周波数
をメモし忘れました。Atlasの画面は、数字がダブって表示されており、
周波数が読めません。さあ困った!(改善の方法は、ないでしょうか)
●オートパイロットに救われる:
高度目標を1500ftにセット。予定では、いったん空港を過ぎて降下し
ながら、10nm先でベースターン(基礎旋回)し、きっちりアプローチする
つもりが…DME(VOR距離情報)が読めないとなると、すっかり当てが
外れました。
幸いここで、NAV1がILSを受信。Atlasで機位を確認しながら、ローカラ
イザとグライドスロープを、オートパイロットにセット。このままストレート・
インする腹を決めました。
だが、高度が高すぎる! 速度も速すぎる! 空港はもう、近いのに!
ああ、ジェット機操縦の…これは毎度、お馴染みの悩みです。アプローチ
をやり直すべきですが、737はコクピットの視界が、さほど良くないので。
「やっと進入コースに乗ったのに、着陸復航は面倒」という気分が、つい
優先します。
それにしても、B737のオートパイロットは優秀ですね。
私の操縦のボロを隠して…かなり急降下の、ILS自動進入に成功。大き
くバウンドしましたが、滑走路端の数字の上で、強引に止めることができ
ました。ブレーキの効きも、また優秀。
あっ、737のエンジンは…どうやって、止めるんでしたっけ(^^;)。
楽しかったけど、練習不足もしっかり、痛感するフライトでした。
●おまけ物語: ブライ船長の奇跡●
今回の飛行ルート沿いにあるチモール島は、1789年にイギリス海軍で
起きた、有名な「バウンティ号の反乱」ゆかりの地です。この帆船はタヒチ
から西インド諸島へ、食用にする「パンノキ」を移植する任務の途中でした
が、トンガ諸島で、一部の乗組員が反乱を起こしました。首謀者たちは、
全長6mのボートに、ウイリアム・ブライ船長ら、計19人をすし詰めにし、
わずかな食料を与えて、海へ追い払いました。
ブライ船長と部下たちは、もっとも助かる可能性の高い目的地として、
タヒチより3倍も遠いが、比較的島伝いに行ける、チモール島を選びまし
た。甲板もないボートで、帆船時代の難所だった、ニューギニア・豪州間
のトレス海峡を突破。42日間を生き抜き、赤道から実に日本までの距離
より長い3701nmの大航海のすえ、チモール島へ到着しました。
彼らは六分儀を1台持っていたものの、経度を計るクロノメーター(航海
時計)も、海図さえ持たずに、この長距離航海で正確なナビゲーションを
やり遂げました。当時のイギリスの船乗りが、どれほど筋金入りの男たち
であったか。想像すると胸が熱くなります。
この事件では、反乱派の乗組員18人も、数奇な運命をたどりました。
南太平洋のはてへの逃亡劇。タヒチ妻を伴い、無人島へ入植の試み。
仲間割れと、相次ぐ殺し合い。ついに地球の裏側から伸びた、イギリス
官憲の捜査網。
逮捕をまぬがれ、最後まで生き残った反乱者、アレグザンダー・スミス
一等水兵は、絶海の孤島・ピトケアン島で、仲間が遺した女性たちと子
供ら37人を守って、この小さな共同体の家長となり。敬虔なクリスチャン
として、平和な晩年を過ごしました。約20年後、偶然この島を見つけて
寄港したアメリカ人船長は、島民たちがキングズ・イングリッシュを話す
ことに、大変驚いたそうです。
投票数:26
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手探り航法・旅日記
(hide, 2006-1-14 7:08)
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Re: 手探り航法・旅日記
(ゲスト, 2006-1-16 21:25)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-1-23 13:06)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-1-25 21:41)
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(tetsu, 2006-1-28 14:18)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-2-14 18:44)
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(hide, 2006-2-17 4:40)
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Re: 手探り航法・旅日記
(ゲスト, 2006-2-17 8:04)
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Re: 手探り航法・旅日記
(tetsu, 2006-2-17 21:52)
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Re: 手探り航法・旅日記
(Hit, 2006-2-19 1:02)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-2-28 5:18)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-3-5 18:21)
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Re: 手探り航法・旅日記
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Re: 手探り航法・旅日記
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Re: 手探り航法・旅日記
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-3-15 20:47)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-3-17 19:25)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-3-29 0:58)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-4-2 21:39)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-4-12 12:58)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-4-14 16:47)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-4-22 2:56)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-4-28 21:31)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-5-3 20:48)
- Re: 手探り航法・旅日記 (hide, 2006-5-4 13:41)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-5-4 13:43)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-5-4 13:45)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-5-13 2:05)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-5-20 5:03)
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Re: 手探り航法・旅日記
(tetsu, 2006-5-21 10:44)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-5-27 20:46)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-6-3 11:08)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-6-10 4:52)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-6-24 8:11)
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Re: 手探り航法・旅日記
(hide, 2006-7-8 17:47)
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コンコルドのマニュアル訳(前回の続きです)
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コンコルドで初の超音速飛行
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ベルリンを経て、仏ツールーズへ
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サンテグジュペリの郵便飛行
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新しいブロンコ3種でブラジルを南下
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新しいブロンコ3種でブラジルを南下
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天測航法に挑む(前編)
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天測航法に挑む(後編)
(hide, 2008-6-19 9:28)
- ホンダジェット試乗と大瀑布 (hide, 2008-6-27 21:01)
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天測航法に挑む(後編)
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