Re: 手探り航法・旅日記
Re: 手探り航法・旅日記
msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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居住地: 兵庫県
投稿数: 650
hideです。
今回から久しぶりに、ジェット機の訓練をします。目標は、コンコルドを操縦することです…(^^)。
私の世界一周は、ロンドンからこの先、ニューヨークへ向かうか、アフリカ西岸に下って南米をめざすか…いずれにせよ、どこかで大西洋を渡る必要があります。
最初はブロンコ改で、アイスランド・グリーンランド経由の横断を考えました。推測航法ですと、磁北極が近い関係で偏差が刻々変わり、困難ですが面白い挑戦になりそうです。ただ、高緯度の暗く陰鬱な冬空を思うと、航続力の大きな超高速機で、アフリカ・南米コースを飛びたくなってきました。
となりますと。これはFlightGearで未体験だった、コンコルドの操縦を覚える絶好のチャンスです。
コンコルドは希に見る美しい飛行機で、「怪鳥」と呼んだマスコミの気が知れませんね。…でもFS2000の体験では、古い設計のため計器類が複雑極まり、音速突破の際は燃料を前後に移送して重心調節が必要。またデルタ翼の操縦特性(失速しにくいが、フラップがなく、機首を高く上げて離着陸する)も難しいと感じました。別の某フライトシムでも、小回りが利かず印象が悪かったので、コンコルドは数年来、ずっと飛ばすのを諦めていました。
しかしFlightGear版を起動してみますと、丹念に作り込まれた力作です。実機の英国主任テストパイロットの本によれば、亜音速や進入時には、「在来機より小回りが利き、横風・追い風着陸にも強い」とあります。もしFlightGear版が、こうした特性を正確に再現しているなら面白いと思い、にわかに操縦してみたくなりました。まずジェット機の、おさらい訓練から始めます。
ロンドン近郊で適地を探し、市街北東にある首都圏第3の空港、ロンドン・スタンステッドを選びました。ここは広い平野にあり、3000m級滑走路とILSを持ち、ネットでSID/STAR(計器飛行の発着経路)図が入手可能です。
・全世界の空港データ・一部SID/STAR公開:
http://www.fscharts.com/
・空港のみの詳細なデータ:
http://worldaerodata.com/
…また周囲に市街地テクスチャーがなく、パソコンの処理が軽そうなのも、ここを選んだ理由です。ではブルックランズ飛行場からブロンコ改で、スタンステッド空港に移動します。
◎ブルックランズ飛行場EG11(偏西2度)
▼67度21nm
★ロンドン・シティ空港VOR(111.15)
▼18度24nm
◎ロンドン・スタンステッド空港EGSS(VOR110.50)
RWY05(ILS 110.5)RWY23(ILS 110.5)
標高348ft 磁気偏差=偏西2度
●ジェット機の訓練コースを設定:
最初は在来旅客機で離着陸訓練。慣れた737は、不調で起動不能でしたので、初体験の777を選択。旅客機は視界が悪く、計器飛行による周回コース設定が必要なので、スタンステッドのSTARのうち2種類を、風向によって選ぶことにしました。
【RWY05の離着陸訓練コース】
(滑走路を長辺の一部とする、左回り楕円形)
針路046度で離陸後、2nm先で標準旋回・左反転。
ブルックマンズVOR(117.5)のインバウンド
227度をインターセプトし、8nm地点まで直進。
ここで左に反転し、046度のILS(110.5)に乗る。
【RWY23の訓練コース】
(滑走路を斜辺の一部とする、右回り直角三角形)
滑走路離陸後、2.9nmで右旋回開始。
バークウェイVOR(116.25)のインバウンド
345度をインターセプト。VOR上空でアウトバウンド
070度に乗る。このVORから11nmで、機首を136度に
向け、間もなくILS(110.5)226度をインターセプト。
この日は強い西風のため、RWY23を使いました。777は初めてですが、視界がよく計器も見やすいですね。ただ残念ながら、ILSとDMEのみでVOR表示がなく、主にGPSで飛ぶ方のための機体のようです。私はAtlasを使って前記のコースを一周しましたが、操縦への反応もスムーズで、計器の不備が惜しまれます。
●コンコルドに挑戦:
ではコンコルドを起動。取りあえず複雑な計器盤を理解し、進入経路を1周するのが目標です。以下に計器類の概要を、理解できた範囲で書き出してみました。長くなって恐縮ですが、これから飛ばす方のご参考になれば幸いです。
【コンコルド・コクピット・ドリル】:
注:詳細は、機体フォルダReadmeConcorde-jbsim.txt
を参照。Docフォルダにも資料多数。
まず視界が4つもあります。機長ビューだけで操縦可能ですが、燃料移送は機関士に切り替え、パネル中央「Aft」「Forw」ボタンで操作。機関士パネルには、全13タンクの加圧や弁開閉、エンジン吸気ドア操作、電源管理など多くの機能があります。
機長/機関士ビュー切り替え:ctrl-E
副操縦士:ctrl-J (機外右がよく見えます)
客室乗務員:ctrl-K(用途未確認スイッチあり)
頭上計器盤:ctrl-O(主にライト類)
以下は機長ビューから見た計器盤です。
・中央に姿勢計(水平儀)。
・その左に対気速度計。(下に予備速度計とマッハ計)
・姿勢計の右、縦長のものは昇降計。
さらに右。上が電波高度計(着陸時の大仰角用)。
その下が通常の、気圧高度計。
・姿勢計の下にHSI(コンパス兼VOR1・ILS指示器)
・HSIの左にVOR1、VOR2指示器。
(局方位を直読するタイプ。黄針がVOR1、白針VOR2)
・HSIの右にNDB1、NDB2指示器(同上)。
・HSIの下は、方向舵の作動指示器?
・さらに右、時計をはさんで、重心位置の指示器。
(コンコルド特有。2本の黄針の範囲に白い針を
保つよう、燃料をポンプで前後に移動します。
超音速時は、重心位置を後退させる必要あり)
・重心位置指示器の下に、バックアップ高度計。
・全パネルの中央に、エンジン計器類。(各4発分)
最上段=N2回転計(高圧圧縮機と高圧タービン)
2番目=N1回転計(低圧圧縮機と低圧タービン)
3番目=燃料流量計(単位:毎時ポンド×1000)
4番目=排気温度計(単位:度C)
5番目=不明(吸気ドアまたは、ノズルの開度?)
・エンジン計器類の左上:ブレーキの作動表示器。
エンジン計器類の右上:燃料の総残量(単位Kg)
その、さらに右 :機首/バイザー上下スイッチ
その下(縦長の計器):エレボンの作動指示器?
そのさらに下の長い物:車輪出し入れレバー。
・計器盤最上段はオートパイロット操作:
左端の赤ランプ:自動着陸時の警報。ILS圏外や
オートスロットル不作動で点灯。
左のデジタル窓:NAV1の周波数設定。
その右のデジ窓:速度設定(Kt)。
中央デジ窓2個:左は針路設定とVOR1周波数設定。
(下のスイッチで機能切り替え)
右はVOR1ラジアルの方位設定。
右のデジタル窓:高度設定。
その右のデジ窓:NAV2の周波数設定。
最上部ボタン類:高度・速度・針路保持など。
一番左「RAD/INS」スイッチ:
慣性航法(FlightGearではGPSモード使用)と
VOR航法の切り替えらしいですが、詳細不明。
・センター・コンソール:
一番上の2つの緑色液晶は、慣性航法装置の緯度
経度表示。他にも航法上の用途があり詳細不明。
テンキー2と8は、ウェイポイント選択。
その下の、黒い液晶パネル2つは、まだ不明。
その下にスロットルと、アフターバーナー(英国
風に言えば、リヒート)スイッチ、無線パネル。
●空港を周回し、離着陸訓練:
では、初飛行をします。風は210度18Ktと強めです。
可動ノーズを5度下げ。航法計器をセットし、アフターバーナーに点火(Ctrl+f)して急加速。約170Ktで機首上げ、約210Ktで地面を離れて脚上げ。間もなくアフターバーナーを切りました。今回は低速で飛ぶので、ノーズ5度下げのまま、オートパイロットで250Kt(これは10000ft以下の制限速度)、針路226度、高度3000ftにセットしました。上昇と加速はさすがに強力で、マゴマゴしていると速度超過警報が鳴ります。
パイロットの視点は高く、ノーズを下げていると、滑走路が大変よく見えます。ただし計器盤は上部しか見えませんので、巡航中はやや視野を下げ、主に計器を見ます。航法計器はパネル下段、オートパイロット方位設定は上部右手と忙しく、視野を右寄りにして、横座り感覚で操縦すると、やや楽でした。
(これは横風着陸にも使えそうです。YS-FLIGHTの作者で、自家用免許を持つ山下さんがブログで、「多くのフライトシムは横風時、滑走路が斜め前に見えるが、実機では頭を動かして、滑走路を正面に見る。機体も斜めに向いたまま正面へ飛ぶ。この点が大きく違う」と指摘されていました)
最初はVORだけでコースをたどるのは難しく、Atlasを見て続航。途中でボタンを間違え、高度保持が外れて警報が鳴り再上昇。2500ftで210Ktに減速、ILS自動進入します。
最終進入は190Ktです。オートパイロットの、グライドスロープ(降下角)保持は非常に良好。ローカライザ(方位角)修正は遅く、蛇行しがちです。全手動に切り替えて着地点へ。高速のため左右の針路修正がやや難しく、緊張しました。
1回バウンドしましたが、滑走路が長いので、あわてず降り直して停止。ブレーキはよく利きます。タキシングも操舵は楽ですが、すぐ加速するので要注意。無事エプロンに乗り入れて初飛行を終えました。2回目の飛行は、さらにスムーズでした。
●亜音速で、クロスカントリーを試みる:
これなら亜音速の巡航ができそうなので、イングランド南西部のブリストル・フィルトン空港まで飛ぶことにしました。
◎ロンドン・スタンステッド空港EGSS(VOR110.50)
RWY05(ILS 110.5)RWY23(ILS 110.5)偏西2度
▼254度30nm
★ボインドンVOR(113.75)
▼269度77nm
◎ブリストル・フィルトン空港EGTG
RWY95度・275度(ILS両方110.55)標高223ft 偏西3度
西向きに離陸し、アフターバーナーオフ。今回はノーズを上げ、正規の巡航態勢に。毎分3000ftの上昇率で15000ftまで上昇。雲上で350Ktに加速し、ジェット機らしい飛行を楽しみながらボイントンVORを通過。ここで目的地フィルトンのVOR周波数を、メモし忘れたことに気付きました。
困ったなと思いながら、ボイントンVORのアウトバウンド・ラジアルを使って西進。目的地の50nm手前で220Ktに落とし、降下を始めました。ジェット機は久しぶりで、降下開始地点の見積もりが甘く、20nm手前でも8000ftを飛んでいたため、左360度旋回を2回行い2000ftへ降下。
VORがなくても、フィルトンのILSさえ受かれば、どうってことないさ、と思っていたのですが。こう言うときに限って、目的地のILSにバグがあり、受信不能です(^^;)。
Atlasでフィルトン空港をめざし、zキーで少しモヤを薄めて、前方を探すこと約1分。無事PAPIを確認し最終進入。190Ktまで減速し、ノーズを下げ、滑走路に正対しました。ギアが出ていても、進入時には大きな警報が鳴るので、毎回ドキリとします…(ノーズの下げ角が、間違っているのかも)。
コースよし、速度よし、着陸準備よし、タッチダウン。うーーん、ほぼ完璧。コンコルドは、バウンドしたように感じられても、実際はちゃんと、メインギアが地面に落ち着いているのだ、ということが、次第に分かってきました。
だが…駐機場手前の誘導路で、機体が立ち往生しました。エンジン計器は、すべてゼロ。前回のフランスに続いて、まさかの着陸直後燃料切れです。ブロンコなら道路にも降りられますが、今回は不時着手段もなく危機一髪で、しばし呆然としました。
●さて、課題は燃料の管理です:
FlightGearのコンコルドは、デフォルトでは最大着陸重量に合わせてあり、あまり燃料が入っていません。事前に「Internal Properties」で分かっていたのですが、この機体は前後13個のタンクがあり、うかつに燃料を足すと重心がずれます。今回は100nmしか飛ばないので、敢えてそのまま離陸したのでした。以下は各タンクの容積と起動時の搭載量、エンジン停止時の燃料残量です。
燃料データ:(単位Lbs、飛行距離100nm)
タンクN0 容積 起動時 停止時
0 9254 4723 0
1 10075 4723 0
2 10075 4723 0
3 9254 4723 0
4 16099 0
5 26923 0
6 16099 0
7 26923 0
8 24462 14645 14645
9 26329 0
10 22961 8817 8817
11 4905 0
12 4905 0
…燃料は若干残っており、タンクを切り替えれば、エンストしなかったわけです。でも機関士席のスイッチを、どう操作したらいいのやら。600行ある英文Docには、満タン設定にする方法が書いてありますが、実際は機能せず困っています。コンコルドは、旅客の高速輸送というワンテーマを、極限まで究めた機体。操縦は難しいですが、大変面白い飛行機ですので、何とか燃料問題を解決して、旅に使おうと思っております。ただ年末で多忙なこともあり、次回のご報告は年を越してしまうかも…。
【おまけ】
今回降りたフィルトン空港は、実世界では英国製コンコルドのふるさとです。英仏共同開発なので、フランス製はツールーズで、英国製はフィルトンのBAC工場で作られました。
英国の試作機・002の初飛行は、フランス製の001より約1カ月遅い1969年4月9日。この滑走路を西に向けて離陸し、私の航程の途中にあった、フェアフォード空軍基地まで22分間で飛びました。最大高度8000ft、250Ktの低速飛行で、私の初飛行と同様、可動機首を下げたまま、また車輪も出したままだったそうです。
初飛行でフェアフォード基地に降りたのは、フィルトンの滑走路が短いため大事を取ったのですが、私は幸い、何の危険も感じず停止しました。なお量産機になってからはフィルトンの発着に問題はなかった様子で、この両飛行場は長らく、イギリスにおけるコンコルド運用の、いわばベースキャンプになりました。
(今回も長文にて、失礼いたしました)
今回から久しぶりに、ジェット機の訓練をします。目標は、コンコルドを操縦することです…(^^)。
私の世界一周は、ロンドンからこの先、ニューヨークへ向かうか、アフリカ西岸に下って南米をめざすか…いずれにせよ、どこかで大西洋を渡る必要があります。
最初はブロンコ改で、アイスランド・グリーンランド経由の横断を考えました。推測航法ですと、磁北極が近い関係で偏差が刻々変わり、困難ですが面白い挑戦になりそうです。ただ、高緯度の暗く陰鬱な冬空を思うと、航続力の大きな超高速機で、アフリカ・南米コースを飛びたくなってきました。
となりますと。これはFlightGearで未体験だった、コンコルドの操縦を覚える絶好のチャンスです。
コンコルドは希に見る美しい飛行機で、「怪鳥」と呼んだマスコミの気が知れませんね。…でもFS2000の体験では、古い設計のため計器類が複雑極まり、音速突破の際は燃料を前後に移送して重心調節が必要。またデルタ翼の操縦特性(失速しにくいが、フラップがなく、機首を高く上げて離着陸する)も難しいと感じました。別の某フライトシムでも、小回りが利かず印象が悪かったので、コンコルドは数年来、ずっと飛ばすのを諦めていました。
しかしFlightGear版を起動してみますと、丹念に作り込まれた力作です。実機の英国主任テストパイロットの本によれば、亜音速や進入時には、「在来機より小回りが利き、横風・追い風着陸にも強い」とあります。もしFlightGear版が、こうした特性を正確に再現しているなら面白いと思い、にわかに操縦してみたくなりました。まずジェット機の、おさらい訓練から始めます。
ロンドン近郊で適地を探し、市街北東にある首都圏第3の空港、ロンドン・スタンステッドを選びました。ここは広い平野にあり、3000m級滑走路とILSを持ち、ネットでSID/STAR(計器飛行の発着経路)図が入手可能です。
・全世界の空港データ・一部SID/STAR公開:
http://www.fscharts.com/
・空港のみの詳細なデータ:
http://worldaerodata.com/
…また周囲に市街地テクスチャーがなく、パソコンの処理が軽そうなのも、ここを選んだ理由です。ではブルックランズ飛行場からブロンコ改で、スタンステッド空港に移動します。
◎ブルックランズ飛行場EG11(偏西2度)
▼67度21nm
★ロンドン・シティ空港VOR(111.15)
▼18度24nm
◎ロンドン・スタンステッド空港EGSS(VOR110.50)
RWY05(ILS 110.5)RWY23(ILS 110.5)
標高348ft 磁気偏差=偏西2度
●ジェット機の訓練コースを設定:
最初は在来旅客機で離着陸訓練。慣れた737は、不調で起動不能でしたので、初体験の777を選択。旅客機は視界が悪く、計器飛行による周回コース設定が必要なので、スタンステッドのSTARのうち2種類を、風向によって選ぶことにしました。
【RWY05の離着陸訓練コース】
(滑走路を長辺の一部とする、左回り楕円形)
針路046度で離陸後、2nm先で標準旋回・左反転。
ブルックマンズVOR(117.5)のインバウンド
227度をインターセプトし、8nm地点まで直進。
ここで左に反転し、046度のILS(110.5)に乗る。
【RWY23の訓練コース】
(滑走路を斜辺の一部とする、右回り直角三角形)
滑走路離陸後、2.9nmで右旋回開始。
バークウェイVOR(116.25)のインバウンド
345度をインターセプト。VOR上空でアウトバウンド
070度に乗る。このVORから11nmで、機首を136度に
向け、間もなくILS(110.5)226度をインターセプト。
この日は強い西風のため、RWY23を使いました。777は初めてですが、視界がよく計器も見やすいですね。ただ残念ながら、ILSとDMEのみでVOR表示がなく、主にGPSで飛ぶ方のための機体のようです。私はAtlasを使って前記のコースを一周しましたが、操縦への反応もスムーズで、計器の不備が惜しまれます。
●コンコルドに挑戦:
ではコンコルドを起動。取りあえず複雑な計器盤を理解し、進入経路を1周するのが目標です。以下に計器類の概要を、理解できた範囲で書き出してみました。長くなって恐縮ですが、これから飛ばす方のご参考になれば幸いです。
【コンコルド・コクピット・ドリル】:
注:詳細は、機体フォルダReadmeConcorde-jbsim.txt
を参照。Docフォルダにも資料多数。
まず視界が4つもあります。機長ビューだけで操縦可能ですが、燃料移送は機関士に切り替え、パネル中央「Aft」「Forw」ボタンで操作。機関士パネルには、全13タンクの加圧や弁開閉、エンジン吸気ドア操作、電源管理など多くの機能があります。
機長/機関士ビュー切り替え:ctrl-E
副操縦士:ctrl-J (機外右がよく見えます)
客室乗務員:ctrl-K(用途未確認スイッチあり)
頭上計器盤:ctrl-O(主にライト類)
以下は機長ビューから見た計器盤です。
・中央に姿勢計(水平儀)。
・その左に対気速度計。(下に予備速度計とマッハ計)
・姿勢計の右、縦長のものは昇降計。
さらに右。上が電波高度計(着陸時の大仰角用)。
その下が通常の、気圧高度計。
・姿勢計の下にHSI(コンパス兼VOR1・ILS指示器)
・HSIの左にVOR1、VOR2指示器。
(局方位を直読するタイプ。黄針がVOR1、白針VOR2)
・HSIの右にNDB1、NDB2指示器(同上)。
・HSIの下は、方向舵の作動指示器?
・さらに右、時計をはさんで、重心位置の指示器。
(コンコルド特有。2本の黄針の範囲に白い針を
保つよう、燃料をポンプで前後に移動します。
超音速時は、重心位置を後退させる必要あり)
・重心位置指示器の下に、バックアップ高度計。
・全パネルの中央に、エンジン計器類。(各4発分)
最上段=N2回転計(高圧圧縮機と高圧タービン)
2番目=N1回転計(低圧圧縮機と低圧タービン)
3番目=燃料流量計(単位:毎時ポンド×1000)
4番目=排気温度計(単位:度C)
5番目=不明(吸気ドアまたは、ノズルの開度?)
・エンジン計器類の左上:ブレーキの作動表示器。
エンジン計器類の右上:燃料の総残量(単位Kg)
その、さらに右 :機首/バイザー上下スイッチ
その下(縦長の計器):エレボンの作動指示器?
そのさらに下の長い物:車輪出し入れレバー。
・計器盤最上段はオートパイロット操作:
左端の赤ランプ:自動着陸時の警報。ILS圏外や
オートスロットル不作動で点灯。
左のデジタル窓:NAV1の周波数設定。
その右のデジ窓:速度設定(Kt)。
中央デジ窓2個:左は針路設定とVOR1周波数設定。
(下のスイッチで機能切り替え)
右はVOR1ラジアルの方位設定。
右のデジタル窓:高度設定。
その右のデジ窓:NAV2の周波数設定。
最上部ボタン類:高度・速度・針路保持など。
一番左「RAD/INS」スイッチ:
慣性航法(FlightGearではGPSモード使用)と
VOR航法の切り替えらしいですが、詳細不明。
・センター・コンソール:
一番上の2つの緑色液晶は、慣性航法装置の緯度
経度表示。他にも航法上の用途があり詳細不明。
テンキー2と8は、ウェイポイント選択。
その下の、黒い液晶パネル2つは、まだ不明。
その下にスロットルと、アフターバーナー(英国
風に言えば、リヒート)スイッチ、無線パネル。
●空港を周回し、離着陸訓練:
では、初飛行をします。風は210度18Ktと強めです。
可動ノーズを5度下げ。航法計器をセットし、アフターバーナーに点火(Ctrl+f)して急加速。約170Ktで機首上げ、約210Ktで地面を離れて脚上げ。間もなくアフターバーナーを切りました。今回は低速で飛ぶので、ノーズ5度下げのまま、オートパイロットで250Kt(これは10000ft以下の制限速度)、針路226度、高度3000ftにセットしました。上昇と加速はさすがに強力で、マゴマゴしていると速度超過警報が鳴ります。
パイロットの視点は高く、ノーズを下げていると、滑走路が大変よく見えます。ただし計器盤は上部しか見えませんので、巡航中はやや視野を下げ、主に計器を見ます。航法計器はパネル下段、オートパイロット方位設定は上部右手と忙しく、視野を右寄りにして、横座り感覚で操縦すると、やや楽でした。
(これは横風着陸にも使えそうです。YS-FLIGHTの作者で、自家用免許を持つ山下さんがブログで、「多くのフライトシムは横風時、滑走路が斜め前に見えるが、実機では頭を動かして、滑走路を正面に見る。機体も斜めに向いたまま正面へ飛ぶ。この点が大きく違う」と指摘されていました)
最初はVORだけでコースをたどるのは難しく、Atlasを見て続航。途中でボタンを間違え、高度保持が外れて警報が鳴り再上昇。2500ftで210Ktに減速、ILS自動進入します。
最終進入は190Ktです。オートパイロットの、グライドスロープ(降下角)保持は非常に良好。ローカライザ(方位角)修正は遅く、蛇行しがちです。全手動に切り替えて着地点へ。高速のため左右の針路修正がやや難しく、緊張しました。
1回バウンドしましたが、滑走路が長いので、あわてず降り直して停止。ブレーキはよく利きます。タキシングも操舵は楽ですが、すぐ加速するので要注意。無事エプロンに乗り入れて初飛行を終えました。2回目の飛行は、さらにスムーズでした。
●亜音速で、クロスカントリーを試みる:
これなら亜音速の巡航ができそうなので、イングランド南西部のブリストル・フィルトン空港まで飛ぶことにしました。
◎ロンドン・スタンステッド空港EGSS(VOR110.50)
RWY05(ILS 110.5)RWY23(ILS 110.5)偏西2度
▼254度30nm
★ボインドンVOR(113.75)
▼269度77nm
◎ブリストル・フィルトン空港EGTG
RWY95度・275度(ILS両方110.55)標高223ft 偏西3度
西向きに離陸し、アフターバーナーオフ。今回はノーズを上げ、正規の巡航態勢に。毎分3000ftの上昇率で15000ftまで上昇。雲上で350Ktに加速し、ジェット機らしい飛行を楽しみながらボイントンVORを通過。ここで目的地フィルトンのVOR周波数を、メモし忘れたことに気付きました。
困ったなと思いながら、ボイントンVORのアウトバウンド・ラジアルを使って西進。目的地の50nm手前で220Ktに落とし、降下を始めました。ジェット機は久しぶりで、降下開始地点の見積もりが甘く、20nm手前でも8000ftを飛んでいたため、左360度旋回を2回行い2000ftへ降下。
VORがなくても、フィルトンのILSさえ受かれば、どうってことないさ、と思っていたのですが。こう言うときに限って、目的地のILSにバグがあり、受信不能です(^^;)。
Atlasでフィルトン空港をめざし、zキーで少しモヤを薄めて、前方を探すこと約1分。無事PAPIを確認し最終進入。190Ktまで減速し、ノーズを下げ、滑走路に正対しました。ギアが出ていても、進入時には大きな警報が鳴るので、毎回ドキリとします…(ノーズの下げ角が、間違っているのかも)。
コースよし、速度よし、着陸準備よし、タッチダウン。うーーん、ほぼ完璧。コンコルドは、バウンドしたように感じられても、実際はちゃんと、メインギアが地面に落ち着いているのだ、ということが、次第に分かってきました。
だが…駐機場手前の誘導路で、機体が立ち往生しました。エンジン計器は、すべてゼロ。前回のフランスに続いて、まさかの着陸直後燃料切れです。ブロンコなら道路にも降りられますが、今回は不時着手段もなく危機一髪で、しばし呆然としました。
●さて、課題は燃料の管理です:
FlightGearのコンコルドは、デフォルトでは最大着陸重量に合わせてあり、あまり燃料が入っていません。事前に「Internal Properties」で分かっていたのですが、この機体は前後13個のタンクがあり、うかつに燃料を足すと重心がずれます。今回は100nmしか飛ばないので、敢えてそのまま離陸したのでした。以下は各タンクの容積と起動時の搭載量、エンジン停止時の燃料残量です。
燃料データ:(単位Lbs、飛行距離100nm)
タンクN0 容積 起動時 停止時
0 9254 4723 0
1 10075 4723 0
2 10075 4723 0
3 9254 4723 0
4 16099 0
5 26923 0
6 16099 0
7 26923 0
8 24462 14645 14645
9 26329 0
10 22961 8817 8817
11 4905 0
12 4905 0
…燃料は若干残っており、タンクを切り替えれば、エンストしなかったわけです。でも機関士席のスイッチを、どう操作したらいいのやら。600行ある英文Docには、満タン設定にする方法が書いてありますが、実際は機能せず困っています。コンコルドは、旅客の高速輸送というワンテーマを、極限まで究めた機体。操縦は難しいですが、大変面白い飛行機ですので、何とか燃料問題を解決して、旅に使おうと思っております。ただ年末で多忙なこともあり、次回のご報告は年を越してしまうかも…。
【おまけ】
今回降りたフィルトン空港は、実世界では英国製コンコルドのふるさとです。英仏共同開発なので、フランス製はツールーズで、英国製はフィルトンのBAC工場で作られました。
英国の試作機・002の初飛行は、フランス製の001より約1カ月遅い1969年4月9日。この滑走路を西に向けて離陸し、私の航程の途中にあった、フェアフォード空軍基地まで22分間で飛びました。最大高度8000ft、250Ktの低速飛行で、私の初飛行と同様、可動機首を下げたまま、また車輪も出したままだったそうです。
初飛行でフェアフォード基地に降りたのは、フィルトンの滑走路が短いため大事を取ったのですが、私は幸い、何の危険も感じず停止しました。なお量産機になってからはフィルトンの発着に問題はなかった様子で、この両飛行場は長らく、イギリスにおけるコンコルド運用の、いわばベースキャンプになりました。
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コンコルドのバーチャル・クルーたち
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コンコルドのマニュアル訳(前回の続きです)
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コンコルドで初の超音速飛行
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Re: コンコルドで初の超音速飛行
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ベルリンを経て、仏ツールーズへ
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サンテグジュペリの郵便飛行
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サンテグジュペリの郵便飛行
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ベルリンを経て、仏ツールーズへ
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コンコルドで初の超音速飛行
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コンコルドのマニュアル訳(前回の続きです)
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天測航法に挑む(前編)
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天測航法に挑む(後編)
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