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Re: 手探り航法・旅日記

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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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67
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-2-18 23:20
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 前回ご紹介しました「Atlas分度器航法」は、目標までの距離を、分度器の半径から目測する仕組みで、正直かなり不便でした。そこで今回は、大幅に改良しまして…

     「Atlas画面の好きな場所を、ポインタで指すと
     自機からの方位・距離がデジタル表示される」

…という、夢のような(?)機能を追加しました(^^)。

●Atlas航法の、これが恐らく決定版:
 これはAtlas 0.3.0と「分度器で測りましょ 1.05」に加え、以前からご紹介していますフリーウェア「斜めものさし 1.14」が持っている、マウスポインタ位置の表示機能を使うと、簡単に実現します。

 これで飛行中いつでも、数十nm以内のあらゆる地点への、針路や距離がすぐ分かるほか、飛行前にフライトプランを書く道具としても、非常に便利に使えます。また磁気方位を直読するように設定できますので、これで得た針路は世界中で、VORラジアルや計器盤のコンパス表示と一致します。もう航空図がなくても、大丈夫です。

 さらにAtlasが描いた、直線飛行経路の角度を分度器で計り、コンパス針路と比較すれば、偏流(風に流される角度)も測定できますので、推測航法にも便利。これで天文航法を除けば、やりたいことは、ほぼすべて可能になりました。私は今回、現行のFlightGearとAtlasを使う航法の、決定版を発見したような気がします。

     ○

 この「Atlas分度器航法」の改良版を、「Atlas分度器斜めものさしインターフェイス航法」と名付けました。横文字で書きますと、
 Atlas Bundoki Naname-monosashi Interface Navigationですので、略称は「ABUNAI航法」です。覚えやすいでしょう(^^;)?

 では以下に、ABUNAI航法の各種設定方法を、詳しくご紹介します。また今回はこれを使って、岩手県を南下するフライトプランの作成と、実地フライトに取りかかります。
(「ABUNAI航法」の画面表示を、「マイアルバム」にアップしておきましたので、こちらもどうぞご覧下さい)

●「斜めものさし」の入手と設定:
 「斜めものさし Ver.1.14」は、お馴染みの「ダイゴ文具店」…
     http://www6.ocn.ne.jp/~dagc/
…で、すぐに見つけることが出来ます。

 「斜めものさし」は多機能で、デジタル分度器を兼ねるほか、ものさし本体表示とは別に、小さなウインドウが画面に出まして、ものさしゼロ点からのポインタの方位と距離を、常時デジタル表示します。目盛りの倍率設定も自由。今回はこの機能を活用します。

【まず倍率を調整する】
 「斜めものさし」を任意のフォルダに解凍しましたら、Atlasの縮尺に合わせて、目盛りの倍率を調整します。「斜めものさし」を起動し、右クリックで「設定」を開いて「全般」のタブを開き、「基準を表示」をクリックしまと、茶色の矢印が現れます。
 この矢印が、もし横位置になっていましたら、右クリックで「縦/横」を使って縦位置に変更してください。そして矢印をAtlas画面上にドラッグし、任意の緯度の線に一端を合わせます。もう一方の端をドラッグして、上下いずれでも構いませんが、隣の緯度の線に合わせます。

 Atlasの縮尺は、起動時には約50万分の1です(画面設定によって変わります)。このとき緯度の線の間隔は、15分(つまり15nm)になると思います。上下の緯度の数値を確認し、間隔が15分でしたら、ものさし「全般」設定メニューの、「基準の長さを○とする」という欄に「15」と入力して「OK」を押します。
 これで「斜めものさし」の目盛りは、Atlas画面上の距離を、nm(ノーティカル・マイル=海里)単位で正確に示します。
 【注】:以上の設定は、必ず緯度の線(地図上の水平線)を基準に行ってください。間違って経度の線(垂直線)に合わせると、非常に大きな誤差が出ます。
 【注2】:緯度1度の60分の1が、1分です。これは距離に換算すると1nmに当たります。従って緯度の15分は距離にして15nmです。

【方位を設定する】
 「斜めものさし」は、ゼロ点と反対の端にある「○」マークにポインタを合わせると、任意の角度に回転させることが出来ます。また○マークのそばに、ものさしの角度がデジタル表示されます。
 「設定」メニューの「全般」には、「角度の基準」というボタンがありますので、ここで「上」と「右回り」を選択します。

 次に「斜めものさし」を回転させて、正確に垂直に立ててください。デジタル角度表示を見て「0.0度」に合わせれば簡単です。そして「斜めものさし」を移動し、Atlas画面中央にある自機の位置に、正確にゼロ点を合わせます。ものさしの目盛りは両サイドにありますが、回転の中心になる方のゼロ点を、自機に合わせます。
 これで自機からの、マウスポインタの位置を計ることが出来ます。位置表示は、画面左上にある、小さな灰色の「方位・距離」ウインドウに出ます。「Atlas分度器航法」で使うのは、この「方位・距離」ウインドウだけですので、常に見える場所に置いてください。不要の「斜めものさし」本体は、Atlas画面をクリックして背景に隠します。(「常に手前に表示」機能があるので、オフにしておきます)

     ○

 これでひとまず、準備はおしまいです。
さきほどの、「方位・距離」ウインドウを見てください。緑色の扇形がありますね。ここに表示されている数値が、ゼロ点(自機の位置)からの、マウスポインタの方位です。また青いバーの下に表示されている数値が、ゼロ点からのマイル(nm)数です。
 試しにAtlas画面の上を、あちこちポインタで指してみてください。あらゆる地点への、正確な針路と距離がデジタル表示されます。

 …とっても、便利でしょう? どうかフライトでお試し下さい。

●「ABUNAI航法」のオプション:
 これでとりあえず、Atlasのデフォルト縮尺で使えるようになりました。もう一息作業をしますと、さらに格段に便利になります。

【複数のAtlas縮尺を使うには】
 Atlasを実際に使う場合は、頻繁に縮尺を変更します。そのたびに「斜めものさし」の目盛り倍率を、再設定するのは面倒ですね。そこで私は、普段使いそうな縮尺の数だけ、「斜めものさし」を用意して、個別に目盛り倍率を設定しています。(インストーラはないので、フォルダごとコピーすれば何個でも作れます)
 私はデフォルト縮尺と、ZoomOutボタンを1〜4回押したときの、計5種類の縮尺を使います。そこで5つの「斜めものさし」を用意し、タスクバーのクイック起動領域に、まとめてショートカットを置いています。この場合は、設定が上書きされたりするのを避けるため、ショートカットのパス設定をする必要があります。方法は以下の通りです。

 (1)解凍した「斜めものさし」を、フォルダごと4つ複製。
   (フォルダごとに、個別のDLLファイルが必要なため)
 (2)複製した各フォルダに、通し番号を付けておく。
 (3)複製フォルダにあるexeファイルに、個別にショート
    カットを作成。これにも、フォルダ名と共通の通し番
    号を付ける。
 (4)各ショートカットのプロパティを開いて、「リンク先」と
    「作業フォルダ」のパスにある、それぞれのものさしの
    格納フォルダ名に、対応する通し番号を付ける。
 (5)複製した4つの「斜めものさし」の「設定」メニューを
    個別に開き、それぞれZoomOut 1〜4回の縮尺に
    合わせて、目盛りの倍率を設定する。

 …これでOKです。面倒ですが、終われば快適なフライトが待っています。「斜めものさし」は色彩が変えられますので、私は間違い防止のため計5つの表示色を、デフォルトから順に青、緑、黄、オレンジ、赤にしましたが、むろん変更しなくても使えます。
 HUDのコンパスを使って、真方位で飛ぶ限りは、このままの設定で大丈夫。どこへでも正確にフライトが出来ます。

【磁気方位を使う設定】
 …ここまで来たら、あと少し頑張りましょう!!
 皆さんがVOR航法をされたり、「HUDではなく、計器盤のコンパスやHSIを使いたい」という場合は、「分度器で測りましょ」と「斜めものさし」の方位表示を、土地ごとに異なる「偏差」に基づいて調整し、磁気方位にする必要があります。
【注】:偏差とは、実際の真北とコンパスが示す「北」の、ずれを示す数値です。例えば、コンパスが真北より5度西を示す場合を「偏西5度」と言い、「5W」と表記します。またコンパスが真北より5度東を指す場合を「偏東5度」と呼び、「5E」と表記します。

 磁気方位を求めるには、偏西なら真方位から引き、偏東なら真方位に足すのですが、「ABUNAI航法」ですと計算不要です。
 さきほど垂直(「0.0」度)にした「斜めものさし」を、偏差の値に応じて、左右いずれかに傾ければOKです。偏西5度でしたら、ものさし本体を左(地図の西方向)に傾けます。ものさしのデジタル表示が「355.0」に合えばOKです。うまた「偏東5度」でしたら、デジタル表示が「005.0」度に合うまで右(東)に傾けます。この調整の後で分度器も、ゼロ度の線が、ものさしの角度に合うように回転させます。ここではとにかく、

 ●「偏西の角度だけ、ものさしと分度器を西(左)へ回転」●

 ●「偏東の角度だけ、ものさしと分度器を東(右)へ回転」●

と、覚えておいてください。
 これさえ守れば大丈夫。「ABUNAI航法」システムは、磁気方位にセットされます。「方位・距離」ウインドウのデジタル方位は、その土地のVORラジアルや滑走路方位、さらに計器盤の全ゲージが示す方位と、全世界で正確に一致します。
 これであなたも今日から世界中を、極めて精密にナビゲートすることができます。では以下に、偏差のデータをご紹介します。

【国内フライトの偏差】
 国内の偏差は取りあえず、以下の数値を用意しました。相当大ざっぱですが、飛行の精度を考えれば、これで十分かと思います。

・宗谷岬                偏西10度(10W)
・北海道中央部           偏西9度
・北海道東端             偏西8度
・青森、秋田、岩手         偏西8度
・福島以西の本州中心軸、福岡  偏西7度
・本州・四国の南岸、九州南部  偏西6度
(2000年の国土地理院資料を参考にしました)

【海外フライトの偏差】
 また海外フライトの場合は、本連載の昨年12月26日掲載分にもご紹介しましたサイト、
  http://www.geo-orbit.org/sizepgs/magmapsp.html
…から、世界各地の偏差が読み取れます。
・参考:サンフランシスコ湾周辺   偏東16度(16E)


■「イーハトーヴ」の空を行く■
 お待ちかねの飛行編です。手始めに宮沢賢治を生んだ、岩手県を飛んでみましょう。まずフライトプランを作りますが、これもABUNAI航法システムを使えば簡単です。

●偏差とゼロ点をセットする:
 まずAtlasと分度器、デフォルト倍率用の「斜めものさし」を起動します。そして先ほどの、「国内フライトの偏差」一覧をご覧下さい。
 岩手地方は偏西8度ですね。そこで「斜めものさし」本体を、左に8度傾けます。つまり本体の端にあるデジタル表示が、真北からマイナス8度=「352.0」度になるように合わせます。次にものさしゼロ点を、Atlas画面中央の赤い自機マークに合わせます。分度器も起動して中心点を合わせ、ゼロ度のラインがものさしに一致するよう、左に8度回します。これでABUNAI航法システムは、磁気方位にセット完了です。

●針路と区間距離を計る:
 Atlas画面をドラッグして、自機マークを出発地の三沢基地に合わせます。最初の航程は八戸空港VORに向かうことにしますので、マウスポインタを八戸空港に合わせて「方位・距離」ウインドウを見ると、三沢から160度・10nmというところですね。
 次は八戸空港に自機マークを合わせて、岩手山を探してみましょう。岩手山の山頂は、「ZoomOut」を3回押すと、画面左下に出現します。デフォルト倍率用「斜めものさし」を終了し、ZoomOut3回用の「斜めものさし」を新たに起動。角度を8度にしてゼロ点に合わせ、ポインタを岩手山に合わせます。すると針路と距離は、磁気方位193度・19.2nmと判明。以後同様に測定を重ねます。取りあえず宮沢賢治の故郷、花巻までコースを描いてみました。

◎三沢基地(VOR 115.4)
     ▼160度10nm
★八戸空港(NDB 381)
     ▼215度48nm
△岩手山
     ▼190度10nm
△雫石町
     ▼93度7nm
△盛岡市
     ▼193度16nm
★花巻VOR

●三沢基地を離陸する:
 フライトプランが出来上がったら、FlightGear本体を起動して、出かけましょう。
 三沢の滑走路を夜間に離陸し、5nmほど直進。上昇しながらターンして、基地VOR上空を高度3000ftで通過し、八戸に機首を向けます。
 前回「マイアルバム」でご紹介しました、「Atlas標高カラーチャート」も、ぜひ使ってみて下さい。暗い地表は当分の間、標高300ft以下の平野が続くことが分かります。これで視界が悪くても、安心して巡航することが出来ますね。
 …次回は「イーハトーヴの旅」を、じっくりご紹介いたします。
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