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Re: 手探り航法・旅日記

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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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73
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-5-18 3:01
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 今回は、ちょっと趣向を変えまして、航空管制の世界を勉強してみたいと思います。

 シミュレータをある程度、リアルに楽しもうとしますと、やはり管制について知りたくなりますね。以下は最近、ネットや新聞記事、書籍などで得た知識を、理解できた範囲でまとめたものです。間違いもあろうかと思いますが、ご教示を頂けましたら幸いです。
 「座学」を終えましたら、松山から米子空港へ、管制官との交信を想定しながら、計器飛行でフライトをします。

●航空管制のあらまし:
 航空管制は、極めて大ざっぱに言いますと、離着陸を扱う「飛行場管制」と、エンルート(目的地への道中)の飛行機を、航空路監視レーダー網で追跡・管理する「航空路管制」に分かれます。
 飛行場管制は、各空港のタワーが基本的には目視で行い、航空路管制は、全国4カ所の航空交通管制部(ACC)が分担します。
 また飛行場管制と、航空路管制の間の空域は、「進入・ターミナルレーダー管制」がカバーします。
 …航空機は次のように、リレー式に管制を受けて飛びます。

 ★飛行場管制(管制塔):離陸などを指示。
      ▼航空機
 ★ターミナルレーダー管制:(空港レーダー):出発・上昇指示。
      ▼
 ☆航空路管制(全国4つのセンター):巡航を見守る。
      ▼
 ★ターミナルレーダー管制:(空港レーダー):進入・降下指示。
      ▼
 ★飛行場管制(管制塔):着陸などを指示。

 混雑する大空港は、自前のレーダーで、進入・ターミナルレーダー管制を行います。小空港の場合は、ACCが航空路監視レーダーで行いますが、あまり低空までは見ることができません。
 そのため大空港が、近隣の小空港の、レーダー管制をカバーする場合もあります。ではそれぞれに、どんな管制席があるのか、何を受け持つのか、具体的に見ていきましょう。

★飛行場管制:(管制塔のてっぺん、VFRルームで行う)
 ・管制承認伝達席:(通称、クリアランス・デリバリー)
   計器飛行のフライトプランに承認を与える。有視界
   飛行の場合はここを介さず、飛行場管制席が離陸
   を承認する。
 ・飛行場管制席:(通称、タワー)
   空港の管制圏(基本的には半径5nm、アウター
   マーカーまで)内の航空機に、離着陸などの指示を
   出す。
 ・地上管制席:(通称、グラウンド)
   航空機や車両の、地上移動をコントロールする。
 ・調整席:(通称、フライトデータ)
   関係機関との連絡・調整。
★進入・ターミナルレーダー管制:(管制塔のIFRルーム)
       (空港ビル内に、レーダー室がある場合も)
  大空港だけにあり、空港から30〜50nm程度を担当。
  空港ごとに定められた、標準的な出発経路(SID)や
  到着経路(STAR)を飛んでいる航空機を管制する。
  IFRルームには、以下の各席がある。
 ・捜索管制席:(通称、フィーダー)
   ほかの管制機関から、到着機の管制を引き継ぎ、
   優先順位や進入間隔を決める。また、自分の管制
   区を通過する航空機に指示を出す。
 ・入域管制席:(通称、アプローチ)
   捜索管制席から引き継いだ航空機を管制し、最終
   的に、到着空港の飛行場管制席に渡す。
 ・出域管制席:(通称、ディパーチュア)
   空港の、飛行場管制席から引き継いだ出発機を
   航空路まで誘導し、ACCなどに引き継ぐ。
 ・TCA管制席:(ターミナル・コントロール)
   有視界飛行をする航空機を支援する。
 ・調整席:(通称、コーディネータ)
   空港の飛行場管制席や、他の管制機関との間で
   業務の調整をする。
★着陸誘導管制:(通称、GCA)
  管制官が専用レーダーを見ながら、航空機を口頭で
  精密誘導し、空港に着陸させる業務。民間空港は
  ほぼILSになったが、米軍や自衛隊ではまだ多い。

☆航空路管制:(通称、エンルートまたはセンター)
  札幌、東京、福岡、那覇の航空交通管制部(ACC)
  がフライトプランの管理や、航空路を飛ぶ航空機の管
  制をする。ここでは、航空機を直接目にすることはなく、
  レーダー画面及び、フライトプランを書いた「運航票」と
  いうカードを見ながら、担当の空域全体の運航状況を
  掌握している。
  ACCは多数のセクター(地区担当)に分かれ、それぞれ
  に以下の管制席がある。
 ・対空席:
   航空路監視レーダーを使って、混雑やニアミス防止の
   ため必要に応じて、航空機に上昇降下、変針などの
   指示を出す。
 ・地区席:
   各セクター内の空港に、出発機のフライトプランの承認
   などを出す。外国の管制圏との間で、出入りする航空
   機に関する連絡業務も行う。
 ・調整席:
   対空席と地区席の間にあり、混雑時に対空席を補佐
   するなど、業務を調整する。

 …こんな風に書いても、項目が多すぎて、あまりピンと来ませんね。そこで管制業務を、パイロットの視点から見ることにします。まずフライトプランの作成から承認、離陸までの流れを追ってみましょう。

●フライトプランの流れ:(計器飛行の例)
 ・計画の作成:
 自家用機の場合は、パイロットが作成して、搭乗前に各空港事務所に提出。事務所から、所轄の航空交通管制部(ACC)に送られます。ACCは管内のフライトプランを、一括管理しています。
 エアラインの場合は、航空各社の運航部がコンピュータで作成し、所轄のACCに送信。パイロットは、プリントアウトをもらって搭乗します。

 ・計画の承認:
【出発空港で行うこと】
 パイロットは出発準備を終えたら、無線で空港の管制承認伝達席を呼び出し、提出済みのフライトプランに承認を求めます。
 管制承認伝達席は、所轄ACCの担当セクター・地区席に連絡を取り、この航空機の管制承認を求めます。

【ACCで行うこと】
 ACCでは、管内の運航状況に応じて、必要なら提出されたフライトプランの、飛行高度や出発時刻を修正します。
 またフライトプランの要旨を書いた「運航票」(通称、ストリップ)を作り、出発空港や、中継・到着空港などに送信して、この航空機に関する情報を共有します。

【ふたたび出発空港】
 所轄ACCから、飛行場管制の地区席に運航票が届き、プリントアウトされます。地区席は運航票を、管制承認伝達席に渡します。
    ▼
 管制承認伝達席が、無線でパイロットに、運航票の内容(ACCが手を加えたフライトプラン)と、各機識別用に発行される、トランスポンダー識別コード(4ケタの数字)を読み上げます。
    ▼
 パイロットは、読まれた内容をすべて筆記し、リードバック(復唱)します。また自機のトランスポンダーに、指定された識別コードを入力します。復唱が正しければ、パイロットは地上管制席を呼んで、滑走路へ移動する許可を求めます。
    ▼
 地上管制席は、管制承認伝達席から運航票を受け取って、パイロットにタキシング許可を出します。指示の内容を運航票に書き込み、飛行場管制席に渡します。
    ▼
 パイロットは、飛行場管制席に離陸許可を申請します。
    ▼
 飛行場管制席は、離陸許可を出し、その内容を運航票に記録します。運航票は飛行後も一定期間、保存されます。
 (最近は、運航票をコンピュータで更新し、管制官がいちいち書き込まない形態もあるようですが、このへんの詳細は、今ひとつ分かりませんでした)

【注】:トランスポンダーとは:
   レーダー電波を受けると、自動的に応答する機上装置。
   各機が応答した識別コードは、レーダー画面上に表示
   される。計器飛行の場合、各機にそれぞれ異なる4ケタ
   数字が与えられる。有視界飛行の識別コードは、高度
   10000ft未満なら「1200」、それ以上なら「1400」の2種
   類しか割り当てないので、各機ごとの識別はできない。

 …フライトの陰では、実に多くの機関が、日夜働いていることが分かります。では実際に、FlightGearで飛んでみることにしましょう。

■計器飛行の管制を学ぶ(その1)■(松山から島根へ)
 実世界でしたら、まず私はフライトプランを作って、松山空港事務所に提出することになります。
 以下の書式は、例によって簡略化した自己流で、飛行時間を省いています。また実際は、航空機の規模や、搭載無線機の内容など、かなり記入項目が増えます。

◎松山空港(VOR 116.30)
   ▼マツヤマ・リバーサル2・ディパーチュア 200Kt
    (離陸後左旋回。3000ftまで270度を維持。松山
     VORから15nm以内で左へ反転。VOR上空を
     6000ft以上で通過する)
   ▼クガ・トランジション 240Kt
    (松山VORラジアル306度33nm。10000ft)
★玖珂VORTAC(114.30)岩国基地の近く。
   ▼V54航空路(034度93nm。10000ft) 240Kt
★美保VORTAC(116.70)
   ▼112度8nm 200Kt
★米子VOR(113.40)3000ftで通過。
   ▼VORラジアル057度、14nm以内で右反転。
◎米子空港(美保飛行場)ILS 108.95 252度

●ランプアウトの準備をする:
 FlightGearの飛行は通常、滑走路端で始まりますが、私はあらかじめブロンコ改を、エプロンまで走らせて駐機し、燃料を満タンにしたセーブ・データを作っています。今回はこれをロードして、エンジン停止の状態から飛行を始めることにしましょう。

 まずCOM1を開き、ATIS(飛行場情報放送)の周波数を入力して受信します。残念ながら、FlightGearの松山空港には、ATISの設定がありませんので、メニューから気象を読むことにします。
 ATISは、単なる「ご参考」ではなく、管制塔が風向風速や、使用滑走路などを、パイロットに通報する手間を省く目的もあります。従って受信の上、フライトプラン承認などを求める際に、「本日の最新ATISを聴取しました」と、報告する必要があります。

●フライトプランの承認を受ける:
 では管制承認伝達席を呼んで、フライトプランの承認を求めましょう。ブロンコ改のコールサインは、J-HIDEとします。アプリ上では、この交信機能がないので、まぁ「呼んだつもり」ですけど…(^^;)。

【hide】 Matsuyama deliverly J-HIDE.
【デリバリー】 J-HIDE Matsuyama deliverly, go ahead.
 交信の確立後は、管制承認伝達席のコールサインは省略し、管制官とパイロットの双方が、航空機のコールサインのみを発声します。

【hide】 J-HIDE, 5minutes prior to starting engines, Yonago, proposing 10000ft, spot 1, information F.
 (始動5分前。米子空港に向け、高度10000ftを申請。現在1番スポット。本日F番目の、ATIS放送を聴取済みです)
【デリバリー】 J-HIDE, roger, stand by for clearance.
 (了解。管制承認をお待ちください)

【デリバリー】 J-HIDE, clearance ready to copy?
 (管制承認の、筆記準備はよろしいですか?)
【hide】 J-HIDE, ready.
 (準備よろしいです)

【デリバリー】 J-HIDE, cleared to Yonago, via matsuyama reversal 2 departure, Kuga, flight planned route, maintain 10000ft, departure frequency 128.0, squawk 2345, read back.
 (米子まで飛行を許可。出発経路は「マツヤマ・リバーサル2」を使い、玖珂VORに向かってください。10000ftを維持し、後はフライトプラン通り。ターミナルレーダー管制(松山の場合、米軍岩国基地)とは、128.0MHzで交信してください。トランスポンダー・コードは2345。復唱願います)
【hide】 (全文を復唱)

【デリバリー】 J-HIDE, read back is correct, contact Ground ***.
 (復唱よろしい。地上管制席と***MHzで交信してください)
【hide】 Contact Ground ***, J-HIDE.
 (復唱。以上J-HIDE)
 松山空港の地上管制席は、周波数が見当たりませんでした。タワーと共用だと思われます。ここでは仮に、専用周波数があるとします。

●滑走路まで、地上滑走する:
 ここで、エンジンを始動します。
 ブロンコはパネル上の燃料スイッチで、エンジンを止めることはできますが、もともと始動機能はありません。そのため、各種設定フォーラムの「機体情報を教えてください」06年12月10日掲載分に、ballonさんが発表されました、逆噴射プログラムをお借りしています。(ちょっと目的外使用で済みません。どうもありがとうございます)
 燃料スイッチをオフのまま、スペースキーを押すと、プロペラとタービンが回り始めます。ここで燃料スイッチを入れると、回転計と排気温度計が上昇し、やがてトルク計がアイドル位置まで立ち上がります。
 では、地上管制席を呼びましょう。

【hide】 Matsuyama ground J-HIDE, request taxi spot 1.
 (タキシング許可願います。現在1番スポット)
【グラウンド】 J-HIDE, taxi to runway 34 via Alpha.
 (A誘導路を経由し、34番滑走路へタキシングしてください)
【hide】 Roger, taxi to runway 34 via Alpha.
 (了解、復唱)
 エンジンの回転を上げて、ブレーキを放し、右旋回。誘導路に出て、ゆっくりと滑走路南端をめざします。

 …タキシング中、滑走路に他機がいない場合は、そのまま飛行場管制席と交信するように、指示されるそうです。他機がいると、滑走路手前で停止の指示が出ますが、省略します。
【グラウンド】 J-HIDE, Contact Tower 118.35.
 (飛行場管制席と、118.35MHzで交信してください)
【hide】 Contact Tower 118.35, J-HIDE.
 (復唱)

●滑走路進入許可と、離陸許可をもらう:
【hide】 Matsuyama Tower, J-HIDE on your frequency.
 (飛行場管制席、こちらはJ-HIDEです)
【タワー】 J-HIDE, taxi into position and hold.
 (滑走路の離陸位置で、待機してください)
【hide】 Roger, taxi into position and hold.
 (了解、復唱)
 滑走路に入り、左へ回頭。「34」の文字の前で停止。

【タワー】 J-HIDE, wind 270 at 08, Cleared for takeoff.
 (270度の風8Kt、離陸を許可します)
【hide】 Roger, cleared for takeoff, runway 34.
 (離陸許可を了解。34番滑走路)

 ようやく、離陸に漕ぎ着けました…お疲れ様です(^^;)。
大長文になってしまい、申し訳ありません。空を飛ぶのは、大変なことなのですね。次回は米子空港に向かいます。
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