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Re: 手探り航法・旅日記

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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1
depth:
7
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-8 19:39
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
前回の続きをお届けいたします。

 ■北極上空の怪■(その2:世界の果ては氷の断崖)
 「しまった、いつの間にか南を向いている!」…ちょっと注意を
そらしている間に、機体はGPS画面上に勝手に現われた、左へ約110
度旋回する変針点に達し、南下を始めていました。GPS画面中央に
あるべき自機のシンボルマークが、なぜか相当ずれた位置に表示さ
れています。緯度は89度。オートバイロットを切って再び北へ。

 そのとき前方の氷原に、運河のように細長い開水面が、東西方向
へ伸びているのが見えました。向こう岸は、高さ数百ftありそうな
氷の絶壁がそびえ、上は地平線まで氷原になっています。私はすっ
かり探検家の気分で、運河風の開水面を「グレート・カナル」、絶
壁を「グレート・クリフ」と名付けました。

 北緯89度30分、西経174度21分。
ついに機体が、空中で停止してしまいました。高度40000ftで計器
は対気速度225KIAS、GPS対地速度424Kt、マッハ0・73を示している
のに、北へはもう前進できません。東西に機首を振ると横滑りする
のですが。どうやらここが世界の果て。言い換えるとFS2000は、極
点の上を飛べない仕様なのですね。
 グレート・カナルに沿って、しばらく東西に飛んでみると、なん
ともう一本、別の「運河」が見つかりました。南から延びてグレー
ト・カナルにぶつかり、T字型になっています。その交点の北には
絶壁とその上の大氷原をV字型に割って、細い裂け目が果てしなく
北へ延びています。位置を調べると…新たな「運河」は経度ゼロの
線、つまりグリニッジ子午線上にありました。私はこの「運河」を
「グレート・グリニッジ・カナル」、また巨大な裂け目を「グレー
ト・グリニッジ・キレット」と、またも勝手に命名しました。経度
ゼロに線が引いてあるなんて、マイクロソフトも味なまねをするも
のです。
 ここでセーブしておいて、空中停止のまま、ゆっくり降下して着
陸を試みましたが、何度やってもクラッシュと判定されるため、位
置設定メニューで高度ゼロを選択し、強引に降ろしました。氷原か
らの離陸は正常で、このあと予定通りヘルシンキへ向かいました。

 なお「北極線」と言いますか、北の果てに沿って東西に飛ぶと、
わずかの間に経度がどんどん変化します。つまりFS2000の世界は、
球体ではなさそうですが、極付近ではちゃんと経線の間隔が狭くな
り、大圏コースは実際同様、近道だということですね。
 FS2000の北極付近ではこのほか、実際の時間が9分しか経過して
いないのに、機内時計は一気に4時間経過する、という現象が見ら
れました。機内の経過時間と、飛行する先々のローカルタイムのつ
じつまを合わせるため、何か無理をしているのかも知れません。フ
ライトシミュレーターは、果たして飛行機が地球の上を飛んでいる
のでしょうか。それとも、静止した飛行機の周囲で、世界が動いて
いるのでしょうか。それによって、時間経過の管理方法なども変わ
ってくるのかも…。そんなことを感じる旅でした。


 ■南北両極の底なし穴■(FlightGearにもある、極地の怪)
 すでに探検された方はご存じですけれど、実はFlightGearの極点
でも、かなり謎めいた現象を目にすることが出来ます。

 私は昨年、FlightGear0.9.8をダウンロードし、セスナ172などで
少々飛んですっかり気に入りまして、さっそくこの「世界」を見て
回ろうと、ufoで松山空港を出発。そのまま地球を縦周り中です。
ufoは、HUDの真方位コンパスと緯度経度表示以外、ナビ計器がまっ
たく使えないため、連載第2回でご紹介した「わざと目的地を外す
ラームライン航法」で飛び回りました。このときはカムチャツカを
経て、前回ご紹介した「北極の怪」の出発地と同じ、アラスカ北端
近くの「Wiley Post-Will Rogers Meml」(ウイリー・ポスト、ウ
ィル・ロジャース記念空港。前者は世界一周や高度記録で有名)に
到着しました。
 ここから極点に向かって北上すると、冬の太陽がどんどん地平線
へ傾いていきました。極点で真っ暗になるのも困るので、季節を夏
にしようと思ったのですが、まだFlightGearの設定法がよく分から
ず、ちょっと乱暴ですが結局、パソコンのクロックを半年戻してし
まいました…。

 最初に異常が出たのは、3Dの雲です。雲は横に広がった集団で
現われて、機体に接近してきますが、北緯80度かそこらの高緯度に
達すると、だんだん雲の集団が、斜めに傾いて出現するようになり
ました。緯度が上がるにつれて傾斜も増し、雲の出る頻度もだんだ
ん増えていったような記憶があります。また極点が近づくと、地表
がすっかり霧に覆われてしまいました。たしか北緯89度59分の表示
が北限で、激しく傾いた3D雲が、機体の周囲を竜巻のように旋転
し、なぜかHUDの高度計の目盛りが消えてしまいました。北極点を
抜け、南へほんの数nm飛ぶと、竜巻状の3D雲の混乱は停止しまし
た。極点そのものは異常でしたが、ごく近くを正常に飛ぶことは可
能だと確認。高度計の異常は、しばらく南下するまで続きました。

 このあとヨーロッパと南アメリカを南下して、チリ南端のパタゴ
ニア地方に到着。このころにはAtlasを手に入れていましたので、
地図代わりにスクロールしたところ、はるか南の「南極半島」に、
アメリカの観測基地など3つの飛行場を発見。以前プレイしていた
FS2000ですと、南極大陸は存在さえしなかった(大地はまっ黒で、
海の表示さえありません)ので、この発見はうれしかったです。
 更に調べると、南緯90度にSouth Pole Base(NZSP)とTACAN(無
線標識施設)が。これって、極点の「アムンゼン・スット基地」で
はないですか。もう、行くしかありません!

 この時はFlightGear0.9.9にバージョンアップ済みで、使用機は
ツポレフTu114を選びました。(ソ連爆撃機「ベア」の旅客機版、
という風変わりな機体。二重反転プロペラが面白いが、着陸はかな
り難しいです)チリ南端付近のプンタアレナスにある、カルロス・
イバネ・デル・カンポ国際空港(SCCI)を発進。南極半島のBase
Marambio(SAWB)を経由してどんどん南下、極点を目指しました。
 このマランビオ基地は、なんと滑走路が海面に浮いています。実
際は氷原に設けられているのでしょうが、律儀に「海」と判定して
作ってあるので、若干リアリティーに欠けます。以前、本フォーラ
ムの「V0.9.9について」にお書きくださったゲストさんの指摘通り
雪景色にすればよかった、と思いました。

 v0.9.9では、3D雲の異常は見られませんでしたが、南緯90度の
20nmほど手前まで近づくと、低空に厚い霧が発生し、地表がまった
く見えなくなりました。同時に高度計に異常が発生。気圧高度計の
読みが4050ftなのに、電波高度計は20859525ftという、とんでもな
い数値を示したのです。また、極点のそばを何度も往復したところ
深い霧を通してはるか下方に、太陽を小型にしたような、白く光る
ナゾの円を見つけました。
 これを追って高度をどんどん下げていくと、なんと…地表があり
ません。思い切って高度ゼロを割ると、HUDの気圧高度計から目盛
りが消えました。電波高度計は、相変わらず途方もない数値を表示
中。イメージとしては、霧に覆われた底なし穴の上を飛んでいるこ
とになります。さっきの白く光る円は、今度は頭上にありました。
どうもこの円が、地表レベルの極点を示しているようです。
 南北両極に「穴」があるとなると、FlightGearの地球は空洞なの
か? 両極は地底でつながっているのか? とも思いますが…電波
高度計の表示を考えると、これは地球の直径の数百倍ある深い穴、
ということになります。しばらく垂直降下してみましたが、「向こ
う」に着くまでに何日もかかりそうで、探検を断念しました。

 …という次第で今回は、南極点の飛行場は見つからず、着陸でき
ませんでした。ただし極点でも、飛行そのものは正常に行えることを
確認出来たので、一応は満足です。
 FlightGearの極点は、扇形になったマップを、36枚集めて作って
あります。ところが以前のダウンロードマップ「0.9.8」は、もと
もと北極で11枚、南極では24枚が欠落しており、極の地表は一部分
海として描写されてしまいます。FlightGearのプログラマはこれを
避けるため、わざと極点を、霧に包んだのではないでしょうか。先
日公開の新マップ「0.9.10」は、両極に欠落部がありません。36枚
のマップ全部をインストールしたら霧が晴れ、極点の「底なし穴」
も無くなり、地表に飛行場が現れると面白いのですが。このへんは
まだ謎です。

     ○

 「国際フライトシミュレーション地理学会」を作って、おかしな
地形の報告を集めたら面白いかも。少なくとも、デバッグの役には
立つと思います。
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