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Re: 手探り航法・旅日記

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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
depth:
26
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-4-28 21:31
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 前回は、フランシス・チチェスターが、天測航法を使って、タスマニ
ア海を渡ったお話をしました。天測航法に触れる機会は、もう滅多にな
いでしょうから、今日は「どうやって、天体観測で現在地を出すのか」
を、私に理解できた範囲で、ご紹介したいと思います。まず、あらゆる
航法技術の根底にある「位置の線」(Line Of Position)という概念
について、お話ししましょう。

 ■「位置の線」を交差させ、現在地を求める■
 「位置の線」とは、自分がその上の、どこかにいることが分かってい
る、地理上の線のことを言います。
 砂漠の上空で、迷子になったパイロットがいるとします。彼は眼下に
東西に延びる、鉄道線路を発見しました。航空図を見ると、この地方に
鉄道は一本しかありません。となると彼は確実に、この沿線のどこかに
いるわけです。この状態を「位置の線を、一本手に入れた」と呼ぶこと
が出来ます。
 線路に沿ってしばらく飛んでみたら、南北に走る舗装道路が、線路と
交差しているのを発見しました。舗装道路は、飛行コース付近には国道
1本しかありません。彼は「2本目の、位置の線を手に入れた」わけで
す。航空図で、線路と国道の交点を見つければ、そこが現在地ですね。

 ●トランシットとベアリング、そして双曲線:
 すでにご承知の通り…非常に多くのナビゲーション技術が、「位置の
線」を交差させることによって、現在地を出しています。
 例えば漁師さんは、大昔から「A山とB灯台が重なって見える線」の
上を航行して沖合に出て、さらに「C山とD岬が重なって見える線」と
の交点にたどり着いたら、そこが自分の漁場…という風に位置を判断し
ています。これを、漁師さんは「山立て」と呼んでいます。一般的な航
海用語では、このように陸標を重ねる「見通し線」のことを「重視線」
と呼び、横文字では「トランシット」と言います。(そんな測量器具が
ありますね)
 また陸の目標と自分を結ぶ線の、方位を計って現在地を出す方法もあ
ります。十分離れた目標を二つ選んで、それぞれ磁気コンパスで方位を
計り、海図にその方位線を2本記入すれば、交点が現在地となります。
このように、方位線を交差させて現在地を出す方法を、一般的に「クロ
ス・ベアリング」(交叉方位法)と呼んでいます。
 航空機でNDBを受信する場合、二つの局を基点とする2本のビームを
航空図にそれぞれ書き込めば、2本の交点が自機の位置になりますが、
これも、もちろんクロス・ベアリングです。

 「位置の線」を使う電波航法のバリエーションに、「双曲線航法」と
いうのがあります。例えば、ロランと呼ばれる電波航法では、二つの局
から同時に発射した電波を受け、到達に要した時間差を計ります。この
時間差が一定になるゾーンを、海図や航空図にプロットすると双曲線に
なりますが、自機はこの線上の、どこかにいるわけです。ここで第3の
局を受信し、2番目の局との間に二つ目の双曲線を描くと、さっきの双
曲線との交点が、自機の位置になります。またGPS登場前、盛んに使わ
れたNNSS(米海軍航海衛星システム)も、これを3次元にしたような
仕組みだそうです。

 ●天測は、地表に「位置の線」を描く作業:
 さて、いよいよ六分儀で天測をするお話です。六分儀は、2枚の鏡を
巧妙に使い、ある天体と水平線を同時に望遠鏡に捉えて、その天体の高
度(水平線との角度)を、非常に精密に測定する分度器です。最小では
1度の60分の1(赤道上の1nm)まで計れます。ではどうやって現在地
を出すか、まず夜間を例に取りましょう。

 あなたは、六分儀を操作して北極星を狙っています。北極星を見上げ
る角度が、水平線から30度だったとしましょう。よく知られるように、
北半球では北極星の高度は即、緯度を示しますので、あなたは北半球を
ぐるりと巻いた、北緯30度線上の、どこかにいます。
 別の言い方をしますと…北極星を頂点とし、斜辺と底部の角度が30度
の円すい形を、地球にかぶせたところを想像してください。あなたは、
円すいと地球が接する円の、どこかにいます。この円が「位置の線」で
す。あと二つ、別の星を選んで高度を測ると、計3つの巨大な円(位置
の線)が手に入り、それが1点で交わる場所が、現在地です。
 実際は、こんなに大きな円を、海図に記入することは出来ないので、
推測航法で海図上に描いた、推定現在地のそばに、短い線分で「位置の
線」を記入します。

 次は、昼間の場合です。
 昼は複数の星の代わりに太陽を、かなりの時間差を置いて、何度も測
定します。例えば…数時間おきに3回、太陽の高度を測ったとすると、
3本の「位置の線」が得られます。ただしその間に、自分の船(或いは
航空機)も移動していますから、第1と第2の「位置の線」を、自分が
航行した方角へ、移動した距離だけ、海図上で三角定規を使って、平行
移動する必要があります。そして3本の「位置の線」の交点が、やはり
現在地になります。
 チチェスターの航法も、この一変形だったと思われます。機上では、
水平線が見えにくい場合があるそうで、航空用の六分儀は、彼が使った
ものを含め、水平線の代わりに、気泡入り水準器を内蔵しています。

 1回だけの日測で、緯度・経度を出す方法もあります。
太陽が南中する瞬間の高度を測れば、航海暦でちょっと数値を補正する
だけで、緯度が出ます。またこの瞬間に、グリニッジ標準時に合わせた
時計で時刻を確認すると、時差1時間=15度として換算すれば、経度も
出ます。こうして得た地点を「ヌーン・ポジション」と呼びます。測定
は簡単ですが、正確に南中時刻でなくてはダメで、少々不便です。

 ◆六分儀の思い出◆
 私が大昔に、大阪の堺からロスまで便乗した貨物船は、このヌーン・
ポジションの測定だけで、太平洋を渡りました。NNSS受信機もあり
ましたが、あくまでも天測が中心でした。
 フィリピン人のチーフ・メイト(一等航海士)に「正午以外に、位置
を出すには、どうするのか」と質問したら、「インポッシブルだ!」と
の返事でした。う〜む、それって大航海時代の、お話でしょう?
(よほど説明が、めんどくさかったのでしょうね)(^^;)

 天測で位置を出す際の誤差は、ベテランで1nm(ミリではありません、
マイルですよ)(^^) 程度だそうです。GPSに比べて、非常に大きく感じ
ますが、基本的には分度器一挺で、太陽の高度を計るだけで、地球上の
どこにいるのか、ちゃんと分かるのですから、結構すごい技術だと思い
ます。
 六分儀は、いわば「天を見るための顕微鏡」。精巧かつ頑丈に作られ
た機械で、私も操作を教えてもらいましたが、うっかり衝撃を与えない
よう、箱から出し入れする時の、持ち方も決められており、非常に大事
にされていました。天文学と数学と、潮の香りのする、このロマンチッ
クな機械は、ある意味、ちっぽけでひよわな人間の持つ、大きな知恵と
勇気の象徴のように見えて…私は好きでした。
 さすがに現在は、電波航法に席を譲りつつあり、2002年に「船舶設備
規定」が変更され、六分儀は船舶への搭載義務がなくなったそうです。
ただし自衛艦や海保の船は当然、積んでいると思います。


 ■絶海の孤島を探せ!…チチェスターの航路をたどる■(その2)

 さて、前回の渡洋飛行の続きです。タスマニア海の孤島、ノーフォー
ク島から、洋上425nmを延々と飛び、南北5nmしかないロードハウ島へ
向かいます。
 今回は、推測航法の精度を補完するため、なにか天測に似た雰囲気の
位置測定作業を組み込めないかと、あれこれ考えました。結局、HUDに
表示される緯度・経度を片方ずつ、一定の時間間隔で交互に読み取って
は、航空図に「位置の線」としてプロットし、推測航法の補正に使うこ
とにしました。

 ●Atlasで航空図を作る:
 ここで言う航空図とは、二つの島がちょうど入るサイズに、Atlasの
画面をプリントアウトしたものでして(^^;)、両島を結ぶ直線を引き、
これに、4倍速飛行の15分ごとに、緯度または経度の線を、短く記入し
て飛び続けました。うん…まあ一応は「チャートを見ながら洋上航法」
らしい気分が出ます。推測航法をやっているときに、現在地そのものが
ピンポイント表示されると、ネタバレ的な気分で楽しめませんが、この
方法ですと、ほどほどに曖昧で好都合です。

 Atlas地図の印刷を試される方は、メニューにあるプロジェクション
(地図投影法)変更ボタンで「Equidistant Cylindrical」(正距円
筒図法)を選んでください。「Local」と「Equatorial」の2種があり、
通常は前者を、赤道付近では多分…後者を使えばいいのだろう、と思い
ます。間違って最下段のサンソン図法を選ぶと、特に高緯度地方では、
大きく地図が歪みます。
 あと一つ。緯度・経度のマス目は、距離の物差しになります。マス目
サイズが1度なら、緯度(縦線)1辺の長さは60nm。同様に15分なら、
1辺15nmを表しますが、間違って経度(横線)を使うと、大きな誤差が
出ますので、ご注意下さい。

 ●視程を確保し、フレームレートを点検:
 このほか、前回の飛行から条件を変えたのは、視程と雲の設定です。
前回は、地平線までのマップとテクスチャの表示範囲が、デフォルトの
まま約12nmでしたが、今回は出来るだけ広範囲を見ようと、25nmまで
拡張しました。
 重くなるのが心配でしたが、メニューバーの中にある、画面表示オプ
ションに、フレーム・レート(画面表示コマ数)のカウント機能がある
のを発見しまして、さっそくチェックマークを入れました。
 普通は、1秒10フレーム以上の速度があれば、だいたい自然な見え方
でフライトが楽しめます。私のノートパソコンは、25nmに設定した場合
でも、3Dクラウドがオフですと、陸上では15フレーム前後、洋上では
40〜50フレームが確認できました。これはAtlasと、フライトプラン
管理用のExcelも、同時起動した場合です。
 また前回は、相当な上天気に設定しましたが、もっとリアルにしたい
と思い、水平線の霧表示機能を復活。雲も増やしました。

 ●招く孤島、横たわる大陸:
 実際のフライトは…手製の航空図に、「位置の線」を計4本書き込ん
で、少し細かく航法の精度を確認しながら、極めて順調に巡航。針路が
1度かそこら、右へずれていく現象は、今回も続きましたが、こまめに
修正し、全体としては非常に精度の高い航行になりました。

 そろそろ見えるかな? と目を皿にして、雲に7割方覆われた海面を
見つめていたら…薄雲の中から夢のように、おぼろな影となって、島が
姿を現しました。こちらに向けて両腕を広げたような、細長いシルエッ
トの、まさに中央部に機体は進みます。ピンポイントで、ロードハウ島
へ到着。シミュレーションながら、感動しました。
 小さな二つの山頂をかすめて降下し、低空で島全体を一周。西岸の海
中に、空母のように突き出した滑走路へ、そっと着陸しました。

 さらに、シドニーへのフライトを続けます。初めてリアル・ウエザー
機能を使ってみましたが、幸か不幸か、完全な快晴と無風状態。この時
はオートパイロットを設定後、あれこれ用事が相次いで発生し、ていね
いなナビをする暇がありませんでした。
 前後の誤差は、なぜか今回、ほぼゼロでしたが、ウイングレベラー使
用時の、コース右への逸脱は大きく発生。前回お話ししました、倍角度
コース補正飛行を行ったものの、間に合わずに陸に着いてしまいまして、
シドニーは見あたらず。緯度のみ「位置の線」を取って、現在地は予定
より約25nm北と判明。南下していくと、地平線まで市街地が横たわる、
なかなかの大都会が現れました。

 ●これは便利…ミニ計器板が出現:
 ILSもVORも6基ある、豪勢なシドニー空港に着陸しようと旋回中、
偶然「S」キーに触れたところ、2Dパネルを小さく表示する機能に気
付きました。画面下端に、細い透明なパネルが出現し、ここに主な計器
だけが並びます。視野が広がって、非常に便利ですね!!!
 シドニー空港は、キングスフォード・スミス空港とも呼ばれ、これは
オーストラリア航空史に燦然と輝く、伝説的な長距離飛行家の名です。
さて次は、どんなコースで旅を続けようかな…?
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