ベルリンを経て、仏ツールーズへ
ベルリンを経て、仏ツールーズへ
msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
hide
居住地: 兵庫県
投稿数: 650
hideです。
しばらくご無沙汰しましたが、ロンドンから世界一周の旅を、ゆっくりと再開します。
今回はコンコルド飛行訓練の続きを兼ねて、ロンドンのヒースロー空港から、ツールーズへ移動します。ここはかつてフランス製コンコルドの製造地で、現在もエアバスの組み立てが行われており、戦前はアフリカや南米への、長距離郵便飛行の起点にもなった航空史に縁の深い土地です。
ヒースローからは、すでに超音速の訓練で2、3回飛んでみたのですが、そのままご紹介してもあまり面白くないため、ベルリンを経由して飛び直すことにしました。
●INS航法のフライトプラン立案:
最初に少々、航法のお話を。私はコンコルドでは、常にINS(慣性航法=他機のGPSと同じ)を使っています。INSモードでは、ICAOの4ケタ空港コードを入力すると、自動的に大圏コースを飛んでくれるので、航法自体は非常に簡単です。しかし高速のお陰で飛行時間は短いのに、フライトプランを作る際、従来通りAtlas画面を使って、緯度経度を調べて針路と距離を算出していたのでは、極めて非能率だと感じておりました。
そこでフライトプラン作成も、ICAOコードの入力だけで済む方法はないかとネットを探したところ、「Great Circle Mapper」というHPが見つかりましたのでご紹介します。
・アドレス=http://gc.kls2.com/
これは出発地と目的地を入れると、大圏コースの起点の針路と、距離を出してくれるものです。使い方は「Paths」という欄に、出発地と到着地のコードを、ハイフンで結んで入れるだけです。航程ごとにコンマで区切ると、多数の中継地を含むコースも1回で記述可能で、距離の総計も出してくれます。
ただし表示される機首方位は、出発点におけるものです。大圏コースは、地球儀の上では「直線」(最短距離)ですが、一般的なメルカトル図法の地図上では湾曲した経路になり、コンパスで狙う機首方位も刻々と変わります。従って、このHPに表示された針路を維持して飛び続けると、見当違いの場所に着きます。あくまでも、INSやGPSフライトの際、離陸直後の機首方位を指すものとお考え下さい。
【注】コンパスを頼りに大圏コースを飛ぶ場合は、何らかの地図ソフトを利用して、メルカトル図に湾曲した大圏コースを投影し、任意の中継点を多数設けて多角形に書き換え、定期的に方位を変更しながら飛ぶ必要があります。これでは煩雑ですので、コンパスを頼りに推測航法をするなら、大圏コースではなく、常に一定の針路を維持すればゴールに着く、ラームライン(等角航路)の針路を使うことをお勧めします。ラームラインの針路は、過去に本稿でご紹介しました「Vertual E6-B」で算出できます)
ではINS航法で、ベルリンに向かうことにしましょう。
風向風速の補正計算は事実上、不要ですので、フライトプランは、ごくあっさりしたものです。
■ロンドン〜ベルリン大圏コース■(針路は初期値)
◎ヒースロー空港EGLL
▼73度200nm
◎アムステルダム・スキポール空港EHAM(VOR-108.40)
▼84度318nm
◎ベルリン・テンペルホーフEDDI(VOR-114.10)NDB-327
偏東2度 27L=ILS109.5 9R=ILS109.70 160ft
(計518nm)
●副操縦士君…口は出しても、手は出すなよ:
ヒースローの天候は、340度前後の風5Kt程度。3683ftにfewの雲があるだけの上天気でした。「Ctrl+I」キーで、コンコルドメニューを開き、燃料を最大離陸重量とします。同じメニューの「Crew」欄にある「Crew txt」と、機関士にもチェックを入れますが、副操縦士には今回、チェックを入れませんでした。
この設定ですと、副操縦士は速度や降下率などを読み上げるものの、脚や可動ノーズは操作しません。最終進入の際、高度によっては副操縦士が、勝手に可動ノーズを上下させて、イライラするものですから、最近はこうやっています(^^;)。
UTC(共通世界時=GMTと同じ)1217時、滑走路27Lを離陸。機首上げ10度で地面を切り、脚とノーズを上げ、アフターバーナーをオフ。以後の操縦法は、基本的には前回の超音速飛行と同じですが、今回は比較研究のため高度を28000ftに抑えて、マッハ0.95の亜音速で巡航します。
M0.95のTAS(真対気速度)は569Kt。エンジン計器を点検しますと、N1(定圧タービン回転数)=100%、N2(高圧タービン回転数)=93%、燃料消費率はエンジン1基当たり毎時5トン。排気温度718度。一番下の「AREA」計は、93%くらい。これはノズル開度だろうと思いますが、よく分かりません。途中で「A」キーを使い、4倍速まで加速して、快調にオランダを抜け、そのままベルリン・テンペルホーフ空港の滑走路に正対しました。(パリ以北のヨーロッパでは、偏西風を反映して、大空港の主要滑走路は大抵、東西に走っています)
●INS降下のコツ…残り飛行時間で降下率を算出:
ベルリンの105nm手前で、減速と降下開始。ジェット機は速度が速いうえ空気抵抗が少なく、降下に手間取りますね。INSを使う場合は、目標までの到達時間が分単位で表示されますから、これに降下率を掛けて現在の高度と比較し、目的地で高度ゼロになるよう、適切な降下率を選ぶのがコツです。
コンコルドのタッチダウンは、引き起こし角が大きく、機長の視点が高いので慣れが必要です。ノーズを最大まで下げ、PAPIを見ながら、正確に進入経路に乗せてオートパイロットを切り、進入速度(190Kt)を最終確認したら、オートスロットルもオフ。ここでカーソルを「⇔」モードに切り替えて、機長の視点を大きく持ち上げ、計器盤の上部しか見えない状態にしてしまい、たっぷりと前方視界を確保するのがコツです。
副操縦士が、最初は降下率を、次いで電波高度計の対地高度をコールします。滑走路末端が近づいたら、スロットルをアイドルまで戻し、「50フィート」のコールで、10度まで機首をフレアーしますと、ふわりと主脚が接地します。操縦席は、まだ相当高い位置にあるので、ちょうどツルが着地する際に、足を長く伸ばして地面を捉えるような、独特の接地感覚となります。
亜音速のフライトは、巡航高度までの上昇降下に、あまり手間が掛かりません。必要なら倍速モードで、超音速並みに時間も節約できますので便利です。欠点を挙げるなら、マッハ2では3550nm確保される航続力が、2760nmに縮んでしまうことですね。
●テンペルホーフ…ルフトハンザの夢の跡:
FlightGearのテンペルホーフは、特徴あるターミナルビルが詳細に再現されており、私の好きな空港の一つです。
この空港はナチス時代の1923年、ドイツにおける近代的な大空港の見本として開港しました。四角い敷地の北西の角には創建当時のまま、90度カーブした全長1.2キロもあるターミナルが建っています。直線を多用した新古典主義のデザインは、よく言えば壮大ですが、悪く言えば…コケ脅し的な「ナチス趣味」丸出しの建築、との意見もあって、評価が分かれるところです。
エプロンに面したビルの中央部は、1階が大きく後退して巨大なひさしを形成し、ここへ旅客機が乗り入れて、雨に濡れずに乗降できるという、野心的な設計。もちろん戦前の、小さなJu-52型旅客機のお話で、ジャンボ機ではとても無理ですが。
私は着陸後、さっそくJu-52型3発機を起動し、上空を一周しました。この機体は戦前、ルフトハンザの中核を担った傑作機。元来は単発機だそうですが、アルプス越えの国際線を飛ぶため、両翼にエンジンを加えて上昇力を増しています。3発機は双発機と比べ、片肺停止時の安定性に優るため、戦前は米仏やイタリアにも、かなり作例があります。Ju-52は、両翼エンジンが胴体と平行ではありませんが、これは推力軸を垂直尾翼に向けて、1発停止時の操舵性能を、さらに向上させる目的だそうです。
実物は確か、スイス空軍がまだ2、3機保有していましたね。数年前に世界一周飛行の企画がありましたが、ロシアが「ナチス時代の戦術輸送機は、二度と国内に入れない」と反対したそうで、その後どうなったのでしょうか。
Me-262も今回初めて操縦し、軽くスタントを試みましたが、三角断面のサメ型胴体のお陰か、視界抜群で操縦性も良好。ブロンコがジェット機になったような好印象でした。
●「空の架け橋」記念碑が、あった!!:
テンペルホーフ空港と言えば、忘れられないのが「ベルリン大空輸」ですね。終戦後の1948年6月、旧ソ連軍がベルリンに通じる陸路を全面封鎖したため、米英空軍は翌年9月までの間、西ベルリン200万人の石炭や食糧など、あらゆる生活物資を空輸しました。計230万トンを運んだのですが、当時の輸送機は10トン前後しか積めませんから、約27万回の飛行が必要となり、24時間ぶっ通しで3分間に1機を着陸させました。
当時の航法装置や空路監視レーダーは、現在よりかなり性能が限られていましたから、この大空輸を精密に達成した、米軍の管制能力や総合的な組織力は、高く評価すべきでしょうが、結果的には計10機と乗員52人が事故で失われました。
テンペルホーフ空港の玄関前には、空へ延びるアーチをイメージした、ベルリン大空輸の記念碑があります。実世界では、私も大昔に見物しましたが、FlightGearのテンペルホーフにも、これがちゃんと再現されているのは、なかなか感動的です。
DC-3をC-47型輸送機に見立てて、空中から記念碑を撮影しようとしましたが、難しいのでジープを起動し、滑走路からトコトコ走って行きました…スナップショットに、写真をアップしておきます。歴史がどっさりのテンペルホーフ空港も、騒音問題や過密化には勝てず、今年の秋ごろ廃港になるそうです。
ベルリン観光の後は、マッハ2でツールーズへ向かいます。
■突風下、ベルリンからツールーズへ■(針路は初期値)
◎ベルリン・テンペルホーフEDDI(VOR-114.10)
▼225度323nm
◎ストラスブール空港LFST(VOR-115.60)
▼229度247nm
◎クレルモン・フェラン空港LFLC VOR114.35
(N45.47.12-E03.11.21)
▼212度152nm
◎ツールーズ空港LFBO VOR117.70 標高499ft 偏西1度
3.9nmで滑走路14R(144度)ILS108.35(33R)
32L(324度)
(計722nm)
●超音速巡航でも、倍速飛行が可能:
このフライトのテーマは、上昇と降下時間・距離の短縮です。先にお話ししましたように、コンコルドは50000ft/M2.0への到達と減速降下に、大きな飛行距離を使います。特に降下は、実機では750nmも飛んだようですが、これでは運用上かなり不便ですので、出来れば大幅に縮めたいと思いました。
さて、テンペルホーフの27Lを離陸しますが…風向風速は約320度・36Ktという荒天です。軽くて遅いブロンコでしたら、天候を書き換えてしまうところですが、幸いFlightGearのコンコルドは実機同様、横風には強いので離陸を強行します。
1113時、離陸。上昇率3000ftを維持し、3分後に高度10000ftを突破、INSで定針して目標速度350Ktにセット。加速が鈍いので17000ftで上昇率を2000ftに下げ、速度を稼ぎます。
1123時、離陸後10分で高度28000ft。ここで高度ホールド(AHボタン)を使い水平飛行。速度は370KIAS(計器指示速度)、TAS(真対気速度)では546Kt、マッハ数0.93に到達しました。
次は音速突破です。オートスロットルを切って全開、アフターバーナーに点火し、上昇率を毎分3200ftにセット。34000ftで減速気味となったため、上昇率を2000ftに下げました。快調な上昇ぶりですが、まだ高度が足りず、制限速度を追い越してしまい、警報が鳴ります。しばらくアフターバーナーを切って、高度48000ftへ昇りましたが、今度は燃料移送が間に合わず、重心位置が合いません。なかなか難しいですね。間もなく高度50000ftへ。
1141時、ストラスブール上空でM2.02を記録。加速・上昇には320nm使った計算です。前回は、M2.0では倍速モードが不調でしたが、今回はうまく作動することを確認しました。
●残り185nmで、5万ftからの降下に成功:
1151時。おっと!! ツールーズまで、たった185nmしか残されていません。過去のテストでは、50000ftからの降下には250nm必要です。もっと縮めるには…さてどうすればいいか。
FlightGearのコンコルドは、飛行中に逆噴射しても、あまり減速してくれません。脚を降ろすという手もあり、過去に試したことはありますが、リアルではないので敬遠しています。(ただしリアジェット45では、高速失速を起こして急降下に入った場合、最後の手段として脚を下げ、ブレーキに使うそうです。むろん車輪庫のドアは、風圧で吹っ飛んでしまいますが)
結局、正攻法で行くことにしまして。パワーアイドルで2、3分待ち、450KIASまで70Ktほど減速した時点で、やや急速な降下を開始。低空ほど空気抵抗は増えますから、思い切って降下率を毎分3500ftとして、どんどん高度を下げます。
結果的には、これがうまく当たりまして、降下による加速をぎりぎり阻止しつつ高度を処理。一時は3800ftまで、降下率を増やしました。40000ft通過時に、降下率を毎分3000ftまで絞り、速度計の制限速度指針と、過速警報音に気をつけながら、ひたすら速度と高度をすり減らして行きます。どうやらコンコルドは、想像していた以上に大きな降下率で、降下が可能です。
ベルリン着陸でご紹介しましたように、INSが示す残り飛行時間と、降下率のバランスを取りながら雲の下へ。
1200時。やっと高度2400ftまで降りて、360KIAS(TAS=501Kt)まで減速しました。もう、こっちのものです(^^)。間もなくツールーズ空港が視界に入りました。
空港上空を2000ftで南へ通過し、Atlasを見ながら風下でベースターンして、滑走路に正対。まだ燃料が68トン近く残っているのですが、空中投棄をしていると時間が掛かりますので、コンコルドメニューを開いて、最大着陸重量の燃料にセット。ロール方向の慣性が減り、操縦応答が素直になりました。
1224時。南方から空港に進入し、強烈な向かい風に支えられ、珍しく遅い対地速度で、いつ路面を捉えたか分からないような、滑らかなタッチダウン。おもむろにノーズギアも降ろして、やれやれ、ツールーズに到着です。
結果的には、わずか185nmの飛行で、高度50000ft/マッハ2からの減速降下に成功しました。従って全行程が500nm以上あるコースですと、超音速巡航が可能だと分かりました。
着陸にもすっかり慣れ、次第にコンコルドが、「使える」ようになってきました。次回も主にコンコルドを使用して、スペイン経由でアフリカ方面に向かいます。
しばらくご無沙汰しましたが、ロンドンから世界一周の旅を、ゆっくりと再開します。
今回はコンコルド飛行訓練の続きを兼ねて、ロンドンのヒースロー空港から、ツールーズへ移動します。ここはかつてフランス製コンコルドの製造地で、現在もエアバスの組み立てが行われており、戦前はアフリカや南米への、長距離郵便飛行の起点にもなった航空史に縁の深い土地です。
ヒースローからは、すでに超音速の訓練で2、3回飛んでみたのですが、そのままご紹介してもあまり面白くないため、ベルリンを経由して飛び直すことにしました。
●INS航法のフライトプラン立案:
最初に少々、航法のお話を。私はコンコルドでは、常にINS(慣性航法=他機のGPSと同じ)を使っています。INSモードでは、ICAOの4ケタ空港コードを入力すると、自動的に大圏コースを飛んでくれるので、航法自体は非常に簡単です。しかし高速のお陰で飛行時間は短いのに、フライトプランを作る際、従来通りAtlas画面を使って、緯度経度を調べて針路と距離を算出していたのでは、極めて非能率だと感じておりました。
そこでフライトプラン作成も、ICAOコードの入力だけで済む方法はないかとネットを探したところ、「Great Circle Mapper」というHPが見つかりましたのでご紹介します。
・アドレス=http://gc.kls2.com/
これは出発地と目的地を入れると、大圏コースの起点の針路と、距離を出してくれるものです。使い方は「Paths」という欄に、出発地と到着地のコードを、ハイフンで結んで入れるだけです。航程ごとにコンマで区切ると、多数の中継地を含むコースも1回で記述可能で、距離の総計も出してくれます。
ただし表示される機首方位は、出発点におけるものです。大圏コースは、地球儀の上では「直線」(最短距離)ですが、一般的なメルカトル図法の地図上では湾曲した経路になり、コンパスで狙う機首方位も刻々と変わります。従って、このHPに表示された針路を維持して飛び続けると、見当違いの場所に着きます。あくまでも、INSやGPSフライトの際、離陸直後の機首方位を指すものとお考え下さい。
【注】コンパスを頼りに大圏コースを飛ぶ場合は、何らかの地図ソフトを利用して、メルカトル図に湾曲した大圏コースを投影し、任意の中継点を多数設けて多角形に書き換え、定期的に方位を変更しながら飛ぶ必要があります。これでは煩雑ですので、コンパスを頼りに推測航法をするなら、大圏コースではなく、常に一定の針路を維持すればゴールに着く、ラームライン(等角航路)の針路を使うことをお勧めします。ラームラインの針路は、過去に本稿でご紹介しました「Vertual E6-B」で算出できます)
ではINS航法で、ベルリンに向かうことにしましょう。
風向風速の補正計算は事実上、不要ですので、フライトプランは、ごくあっさりしたものです。
■ロンドン〜ベルリン大圏コース■(針路は初期値)
◎ヒースロー空港EGLL
▼73度200nm
◎アムステルダム・スキポール空港EHAM(VOR-108.40)
▼84度318nm
◎ベルリン・テンペルホーフEDDI(VOR-114.10)NDB-327
偏東2度 27L=ILS109.5 9R=ILS109.70 160ft
(計518nm)
●副操縦士君…口は出しても、手は出すなよ:
ヒースローの天候は、340度前後の風5Kt程度。3683ftにfewの雲があるだけの上天気でした。「Ctrl+I」キーで、コンコルドメニューを開き、燃料を最大離陸重量とします。同じメニューの「Crew」欄にある「Crew txt」と、機関士にもチェックを入れますが、副操縦士には今回、チェックを入れませんでした。
この設定ですと、副操縦士は速度や降下率などを読み上げるものの、脚や可動ノーズは操作しません。最終進入の際、高度によっては副操縦士が、勝手に可動ノーズを上下させて、イライラするものですから、最近はこうやっています(^^;)。
UTC(共通世界時=GMTと同じ)1217時、滑走路27Lを離陸。機首上げ10度で地面を切り、脚とノーズを上げ、アフターバーナーをオフ。以後の操縦法は、基本的には前回の超音速飛行と同じですが、今回は比較研究のため高度を28000ftに抑えて、マッハ0.95の亜音速で巡航します。
M0.95のTAS(真対気速度)は569Kt。エンジン計器を点検しますと、N1(定圧タービン回転数)=100%、N2(高圧タービン回転数)=93%、燃料消費率はエンジン1基当たり毎時5トン。排気温度718度。一番下の「AREA」計は、93%くらい。これはノズル開度だろうと思いますが、よく分かりません。途中で「A」キーを使い、4倍速まで加速して、快調にオランダを抜け、そのままベルリン・テンペルホーフ空港の滑走路に正対しました。(パリ以北のヨーロッパでは、偏西風を反映して、大空港の主要滑走路は大抵、東西に走っています)
●INS降下のコツ…残り飛行時間で降下率を算出:
ベルリンの105nm手前で、減速と降下開始。ジェット機は速度が速いうえ空気抵抗が少なく、降下に手間取りますね。INSを使う場合は、目標までの到達時間が分単位で表示されますから、これに降下率を掛けて現在の高度と比較し、目的地で高度ゼロになるよう、適切な降下率を選ぶのがコツです。
コンコルドのタッチダウンは、引き起こし角が大きく、機長の視点が高いので慣れが必要です。ノーズを最大まで下げ、PAPIを見ながら、正確に進入経路に乗せてオートパイロットを切り、進入速度(190Kt)を最終確認したら、オートスロットルもオフ。ここでカーソルを「⇔」モードに切り替えて、機長の視点を大きく持ち上げ、計器盤の上部しか見えない状態にしてしまい、たっぷりと前方視界を確保するのがコツです。
副操縦士が、最初は降下率を、次いで電波高度計の対地高度をコールします。滑走路末端が近づいたら、スロットルをアイドルまで戻し、「50フィート」のコールで、10度まで機首をフレアーしますと、ふわりと主脚が接地します。操縦席は、まだ相当高い位置にあるので、ちょうどツルが着地する際に、足を長く伸ばして地面を捉えるような、独特の接地感覚となります。
亜音速のフライトは、巡航高度までの上昇降下に、あまり手間が掛かりません。必要なら倍速モードで、超音速並みに時間も節約できますので便利です。欠点を挙げるなら、マッハ2では3550nm確保される航続力が、2760nmに縮んでしまうことですね。
●テンペルホーフ…ルフトハンザの夢の跡:
FlightGearのテンペルホーフは、特徴あるターミナルビルが詳細に再現されており、私の好きな空港の一つです。
この空港はナチス時代の1923年、ドイツにおける近代的な大空港の見本として開港しました。四角い敷地の北西の角には創建当時のまま、90度カーブした全長1.2キロもあるターミナルが建っています。直線を多用した新古典主義のデザインは、よく言えば壮大ですが、悪く言えば…コケ脅し的な「ナチス趣味」丸出しの建築、との意見もあって、評価が分かれるところです。
エプロンに面したビルの中央部は、1階が大きく後退して巨大なひさしを形成し、ここへ旅客機が乗り入れて、雨に濡れずに乗降できるという、野心的な設計。もちろん戦前の、小さなJu-52型旅客機のお話で、ジャンボ機ではとても無理ですが。
私は着陸後、さっそくJu-52型3発機を起動し、上空を一周しました。この機体は戦前、ルフトハンザの中核を担った傑作機。元来は単発機だそうですが、アルプス越えの国際線を飛ぶため、両翼にエンジンを加えて上昇力を増しています。3発機は双発機と比べ、片肺停止時の安定性に優るため、戦前は米仏やイタリアにも、かなり作例があります。Ju-52は、両翼エンジンが胴体と平行ではありませんが、これは推力軸を垂直尾翼に向けて、1発停止時の操舵性能を、さらに向上させる目的だそうです。
実物は確か、スイス空軍がまだ2、3機保有していましたね。数年前に世界一周飛行の企画がありましたが、ロシアが「ナチス時代の戦術輸送機は、二度と国内に入れない」と反対したそうで、その後どうなったのでしょうか。
Me-262も今回初めて操縦し、軽くスタントを試みましたが、三角断面のサメ型胴体のお陰か、視界抜群で操縦性も良好。ブロンコがジェット機になったような好印象でした。
●「空の架け橋」記念碑が、あった!!:
テンペルホーフ空港と言えば、忘れられないのが「ベルリン大空輸」ですね。終戦後の1948年6月、旧ソ連軍がベルリンに通じる陸路を全面封鎖したため、米英空軍は翌年9月までの間、西ベルリン200万人の石炭や食糧など、あらゆる生活物資を空輸しました。計230万トンを運んだのですが、当時の輸送機は10トン前後しか積めませんから、約27万回の飛行が必要となり、24時間ぶっ通しで3分間に1機を着陸させました。
当時の航法装置や空路監視レーダーは、現在よりかなり性能が限られていましたから、この大空輸を精密に達成した、米軍の管制能力や総合的な組織力は、高く評価すべきでしょうが、結果的には計10機と乗員52人が事故で失われました。
テンペルホーフ空港の玄関前には、空へ延びるアーチをイメージした、ベルリン大空輸の記念碑があります。実世界では、私も大昔に見物しましたが、FlightGearのテンペルホーフにも、これがちゃんと再現されているのは、なかなか感動的です。
DC-3をC-47型輸送機に見立てて、空中から記念碑を撮影しようとしましたが、難しいのでジープを起動し、滑走路からトコトコ走って行きました…スナップショットに、写真をアップしておきます。歴史がどっさりのテンペルホーフ空港も、騒音問題や過密化には勝てず、今年の秋ごろ廃港になるそうです。
ベルリン観光の後は、マッハ2でツールーズへ向かいます。
■突風下、ベルリンからツールーズへ■(針路は初期値)
◎ベルリン・テンペルホーフEDDI(VOR-114.10)
▼225度323nm
◎ストラスブール空港LFST(VOR-115.60)
▼229度247nm
◎クレルモン・フェラン空港LFLC VOR114.35
(N45.47.12-E03.11.21)
▼212度152nm
◎ツールーズ空港LFBO VOR117.70 標高499ft 偏西1度
3.9nmで滑走路14R(144度)ILS108.35(33R)
32L(324度)
(計722nm)
●超音速巡航でも、倍速飛行が可能:
このフライトのテーマは、上昇と降下時間・距離の短縮です。先にお話ししましたように、コンコルドは50000ft/M2.0への到達と減速降下に、大きな飛行距離を使います。特に降下は、実機では750nmも飛んだようですが、これでは運用上かなり不便ですので、出来れば大幅に縮めたいと思いました。
さて、テンペルホーフの27Lを離陸しますが…風向風速は約320度・36Ktという荒天です。軽くて遅いブロンコでしたら、天候を書き換えてしまうところですが、幸いFlightGearのコンコルドは実機同様、横風には強いので離陸を強行します。
1113時、離陸。上昇率3000ftを維持し、3分後に高度10000ftを突破、INSで定針して目標速度350Ktにセット。加速が鈍いので17000ftで上昇率を2000ftに下げ、速度を稼ぎます。
1123時、離陸後10分で高度28000ft。ここで高度ホールド(AHボタン)を使い水平飛行。速度は370KIAS(計器指示速度)、TAS(真対気速度)では546Kt、マッハ数0.93に到達しました。
次は音速突破です。オートスロットルを切って全開、アフターバーナーに点火し、上昇率を毎分3200ftにセット。34000ftで減速気味となったため、上昇率を2000ftに下げました。快調な上昇ぶりですが、まだ高度が足りず、制限速度を追い越してしまい、警報が鳴ります。しばらくアフターバーナーを切って、高度48000ftへ昇りましたが、今度は燃料移送が間に合わず、重心位置が合いません。なかなか難しいですね。間もなく高度50000ftへ。
1141時、ストラスブール上空でM2.02を記録。加速・上昇には320nm使った計算です。前回は、M2.0では倍速モードが不調でしたが、今回はうまく作動することを確認しました。
●残り185nmで、5万ftからの降下に成功:
1151時。おっと!! ツールーズまで、たった185nmしか残されていません。過去のテストでは、50000ftからの降下には250nm必要です。もっと縮めるには…さてどうすればいいか。
FlightGearのコンコルドは、飛行中に逆噴射しても、あまり減速してくれません。脚を降ろすという手もあり、過去に試したことはありますが、リアルではないので敬遠しています。(ただしリアジェット45では、高速失速を起こして急降下に入った場合、最後の手段として脚を下げ、ブレーキに使うそうです。むろん車輪庫のドアは、風圧で吹っ飛んでしまいますが)
結局、正攻法で行くことにしまして。パワーアイドルで2、3分待ち、450KIASまで70Ktほど減速した時点で、やや急速な降下を開始。低空ほど空気抵抗は増えますから、思い切って降下率を毎分3500ftとして、どんどん高度を下げます。
結果的には、これがうまく当たりまして、降下による加速をぎりぎり阻止しつつ高度を処理。一時は3800ftまで、降下率を増やしました。40000ft通過時に、降下率を毎分3000ftまで絞り、速度計の制限速度指針と、過速警報音に気をつけながら、ひたすら速度と高度をすり減らして行きます。どうやらコンコルドは、想像していた以上に大きな降下率で、降下が可能です。
ベルリン着陸でご紹介しましたように、INSが示す残り飛行時間と、降下率のバランスを取りながら雲の下へ。
1200時。やっと高度2400ftまで降りて、360KIAS(TAS=501Kt)まで減速しました。もう、こっちのものです(^^)。間もなくツールーズ空港が視界に入りました。
空港上空を2000ftで南へ通過し、Atlasを見ながら風下でベースターンして、滑走路に正対。まだ燃料が68トン近く残っているのですが、空中投棄をしていると時間が掛かりますので、コンコルドメニューを開いて、最大着陸重量の燃料にセット。ロール方向の慣性が減り、操縦応答が素直になりました。
1224時。南方から空港に進入し、強烈な向かい風に支えられ、珍しく遅い対地速度で、いつ路面を捉えたか分からないような、滑らかなタッチダウン。おもむろにノーズギアも降ろして、やれやれ、ツールーズに到着です。
結果的には、わずか185nmの飛行で、高度50000ft/マッハ2からの減速降下に成功しました。従って全行程が500nm以上あるコースですと、超音速巡航が可能だと分かりました。
着陸にもすっかり慣れ、次第にコンコルドが、「使える」ようになってきました。次回も主にコンコルドを使用して、スペイン経由でアフリカ方面に向かいます。
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コンコルドのマニュアル訳(前回の続きです)
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コンコルドで初の超音速飛行
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ベルリンを経て、仏ツールーズへ
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サンテグジュペリの郵便飛行
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サンテグジュペリの郵便飛行
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ベルリンを経て、仏ツールーズへ
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