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天測航法に挑む(前編)

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なし 天測航法に挑む(前編)

msg# 1.2
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2008-6-14 1:11
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 松山空港発・西回り世界一周の途上、リオデジャネイロに寄港して1カ月あまり。日本語サイトも移転を終えて、すっかりきれいになりましたね。tetsuさん、いつもながら本当にありがとうございます。皆様、ご無沙汰を致しました(^^;)。

 実はここしばらく、FlightGearの天測航法(天文航法)を研究していました。toshiさんが先日公開された、天体高度の測定法を基にして、緯度経度を計算する方法を考え、Excelで表を作ってテストを行いました。残念ながら、大小さまざまな誤差が見られ、まだ実用レベルには届きませんが、中間報告させて頂きます。

●天測航法への挑戦:
 六分儀で天体の高度角を測り、緯度経度を算出する天測航法は、航空の世界では1950年代ごろまで、主に渡洋飛行で使われました。現在はINS(慣性航法)やGPSに代替され、船舶でも六分儀の搭載義務がなくなり、天測は過去の技術になりつつあります。しかし航海士の養成課程では実習しますし、海自の哨戒機も、GPS停波などに備えて天測訓練を続けているそうです。
 「太陽や星々を使い、現在地を出す」というのは…なかなかロマンチックな技術です。各種の航海記などを読む際も、天測の知識があると面白くなります。FlightGearは一応、天体の位置を正確に表示していることになっていますので、いつかぜひ、天測航法を研究してみたいと思っていました。

 これまでは画面上で、太陽や星の高度角を測る方法が見つかりませんでしたが、「機体開発」フォーラムの「Nasalを知ろう、使おう!」に先日、「六分儀があると面白いです」と書かせて頂いたところ、toshiさんが月の高度角を実測し、スナップショットを公開(4月25日付)されました。お陰様で、当分は無理かと思われた天測航法は、にわかに現実味を帯びてきました。

     ○

 そこで私としましては、ともかく天体の高度角、方位角、現在時刻(GMT)から、緯度経度を出すExcelシートを作ろうと思いました。
 最初は実際の船舶の、天測航法に関する資料を漁りましたが、後で述べるように、これはFlightGearには、そのままでは転用できないことが分かりました。となると、原理のヒントだけ頂いて、自分で計算法を考えるしかありません。
 しかし私は、数学が非常に(偉大な学問だと思ってますが)苦手です。原理的には、サイン・コサイン、アークタンジェントを使うだけで行ける…と踏んだものの、どこから手を付けたらいいか分からず、自宅の地球儀を見ながら「地軸の傾斜なんて、無ければ簡単なのになぁ」と、ため息をつきました。

 …そうだ。地軸の傾斜角を、無視すればいいのです。
私は、太陽と地球の位置関係を、徹底的に簡素化して、次のような日照モデルを考えました。

・地球は楕円回転体ではなく、真球とする。
・地軸の傾斜角(約23.4度)は、無視する。
・太陽は、赤道の経度ゼロ点上空に、静止している。
 つまり地球の自転も無視する。

…そんなのムチャクチャですって? いえいえ。グリニッジ時刻の春分の正午は、大体この状態ですから、大丈夫です。まずは単純な特殊例を考え、必要な計算の構造が分かったら、複雑な一般解へ拡張していこう、という要素還元主義的な作戦ですね。

●天体を使って、位置を出す原理:
 ここで「天測航法とは何か」を、おさらいします。理解への突破口は、「位置の線」という概念です。

 いま、あなたが六分儀(または、鉛直方向を示す振り子と、照準器を付けた分度器)で、北極星の高度角を測ったとします。仮に30度だとしますと、あなたは北半球を一周する、北緯30度線上の「どこか」に立っています。こうした、観測者の位置を含む円や線分を、航法では「位置の線」と呼びます。さらに二つの星の高度を測りますと、計3本の位置の線が得られ、その交点(または誤差を見込んで、3本の線に囲まれた三角形の中央)が現在地です。

 昼間は太陽だけを使いますので、一度に1本の位置の線しか得られません。そこで数時間おきに観測をくり返し、その間の推定航行距離だけ、前回得た位置の線を、並行移動して交点を出します。或いは、太陽が南中する瞬間の高度を計って、赤緯(太陽の天球上の位置)などから緯度を算出します。またGMT時間と、南中時の(天文学的な)ローカル時間のずれから、経度を算出します。

 現実の天測では、天体の高度角だけを計ります。先ほどのお話に出て来た、振り子と照準器付きの分度器(大航海時代に使われた、アストロラーベという機械)はもちろん、現代の六分儀にも、方位角を測る装置は付いていません。(コンパスが絡むので、高精度を出すのは無理なのでしょう)
 しかしFlightGearでは、Browse Internal Propertiesの表示を使って、太陽の高度角と方位角、それにGMTの現在時刻が、正確に得られます。これらを使えば1回の観測で、緯度経度の両方を一意に決定できるはずです。

●誤差についての考え方:
 実際の天測航法では、計算式に多くの補正を加えます。例えば天文学的な経年・周年誤差は、毎年更新される、天測暦という膨大な数表で補正します。
 また六分儀は、水平線を基準として、高度角を測る仕組みです。水平線の高さは、観測者の眼高によって変化するため、これを補正します。また気圧と気温、海水温度も計算に加えます(これらは、大気の屈折率に関係があるのでしょうか)。航空機で天測する場合は、風防ガラスの屈折率も問題になるそうです。

 ベテランの航海士が天測をしますと、1nm以内の精度で現在地を測定できるそうです。FlightGearの場合、空港が視界内に入れば十分ですので、10nm前後の誤差まで許容できると思います。
 私は今回、本職の航海士さんが作った、天測計算を自動化するワークシートを入手しました。しかし残念ながら、先に挙げた多くの補正要素が入っているうえ、速度の遅い船舶を前提にした観測・計算法に沿って操作する仕組みで、FlightGearでは当面、あまり使い道がないことが分かりました。

●FlightGear上の観測方法:
 実際にデータを読む方法を、詳しくご紹介します。
 太陽の見える状態でポーズを掛け、視界をHelicopter Viewに切り替えて、HUDを起動します。中央の◇マークを照準器として使い、太陽に合わせます。さらにXキーで太陽をズームアップし、◇マークを太陽の中心に合わせます。
 マウスやタッチパッドの分解能の関係で、◇マークはなかなか、ど真ん中に合ってくれませんが、太陽の視直径は0.5度(角度の30分)ですから、仮に◇が太陽直径の三分の一だけずれると、約10nmの誤差が生じます。私は半透明のUFOでテストしたため、比較的楽に照準できました。慣れたらポーズを掛けず、オートパイロットで飛行しながら測定すると、リアルでしょうね。

 メニューバーの「File」から、Browse Internal Propertiesを開きます。この中にあるsim/current-view/の階層で、以下の数値を読み取ってメモします。
goal-heading-offset-deg:機首を基準とした太陽方位。
       (機首をゼロ度とした、左回り表示です)
goal-pitch-offset-deg:水平線から見た太陽高度。
     (数値がマイナスですが、符号は無視します)

 またsim/time/の階層から、現在時刻を取得します。
gmt-string:世界時の24時間表示。
 最後にルートの直下にあるorientation/の階層で、機首方位を取得します。
heading-deg:機首方位(真方位)。

(注:Helicopter Viewで観測する場合、天体の高度角は、機体のピッチやロールの影響を受けません。toshiさんの観測で、高度角の測定結果が約6.2度ずれているのは、本来は必要のない/orientation/pitch-deg = 6.25で補正されたからのようですね。このあたりは、確かに分かりにくくて、頭をひねりました)

 …以上で観測はおしまいです。

●緯度経度計算の、基本的な考え方:
 いよいよ緯度経度の計算です。先ほどの「思考モデル」を紙の上に走り書きして、この上に伸縮自在な円形の、位置の線を想像してみました。(マイアルバムに、説明図をアップしました)

 「位置の線」の円の中心点は、赤道上・経度ゼロのアフリカ沖にあります。この位置の線の半径は、太陽の高度角で決まります。別の言い方をしますと…ある地点で太陽の高度角を測ったら、30度だったとします。すると観測者は、北は北緯60度線、南は南緯60度線にそれぞれ接する、円の上のどこかにいるはずです。
(説明図では、青い円に当たります)
 この「どこか」から、太陽が見える方位角を確定すると、現在地が円の上の、ただ1点に決まるわけです。では、ここまでの計算式を作りましょう。

(1)太陽の高度角=αとする。

(2)太陽の方位角=βとする。

(3)位置の線上の、任意の観測点をpとする。
 この、pの位置を数式化する方法を考えます。
まず「輪切り」円の中心をsとし、pまでの半径rを求めます。ベクトルspの回転角を、y軸を基準にθ度とします。pが「輪切り円」(位置の線)上のどこにあろうとも、太陽は常にsの方向にありますから、太陽の方位角βは常に(θ−180)度で表せます。
 ここでpからy軸までの距離=xと、x軸までの距離=yを考えますと、
   r=sin(90-α)
   x=rsinθ
   y=rcosθ
という関係になっていることが分かります。

 またsから、地球の中心gまでの長さをAとしますと、
   A=cos(90-α)
となります。ここでxを、地球の中心へ伸びる三角形の一辺と考えると、pの経度というのは、要するにこの三角形の、地球の中心にある頂角のことだと分かります。同様にyを一辺とする三角形の頂角が、すなわちpにおける緯度だと分かります。
 従ってAを使うと、pの緯度経度を、
   緯度=arctan(y/A)
   経度=arctan(x/A)
として算出することができます。

 この計算方法をもう少し発展させ、試行錯誤を重ねた上、ようやくExcelのワークシートを作りました。長文になりましたので、ここまでを前編とします。
(後編は、このあとすぐ!!)
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