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手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2006-1-14 7:08
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
 皆様こんにちは、hideです。

 もしお許しを頂けましたら、ささやかな不定期連載(?)を試み
ます。私がフライトシムの世界で使っている、ごく自己流のナビゲ
ーション技術をご報告したり、現在のんびり続けている縦回り世界
周航や、過去のバーチャルフライトのうち、特に印象に残る部分を
ご紹介してみたいと思っております。少しでもご参考になったり、
楽しんで頂けましたら幸いです。

 このフォーラムに、設定以外の話題でお邪魔するのが、果たして
適当かとも思いましたが…以前、tetsuさんにひとこと、背中を押し
て頂いたことも励みになりまして、取りあえず書いてみます。ご意
見やご教示を、どうぞよろしくお願い致します。

     ●

 すでに、ご存じのことも多いでしょうが、基礎的な航法の知識を
テーマに選んでは、気ままにお話を進めてみたいと思います。

 ■地文航法■
 ライト兄弟以来使われている、地図と地形を照合しながら飛ぶ
有視界飛行のテクニックですね。実機ではよく、鉄道や幹線道路、
また海岸線に沿って飛んだと聞きます。

 私はかつてFS2000を使い、飛行作家・サンテグジュペリが1920年
代、郵便飛行士をやっていたころに飛んでいた、フランス=スペイ
ン=アフリカ間の航空路を、郵便機仕様のデハビランドDH-4複葉機
を入手して、たどったことがあります。
 この時は、GPSもVORも使わず飛ぶことが、特に悪天候のもとでは
どんなに大変か、最初のステージのピレネー山脈越えで痛感しまし
た。現在地なんてもう、さっぱり分からんのです(^^;)。スペインに
抜けてからは、史実通りに南の海岸線を飛びましたが、確かに非常
に楽でした。海と陸は最大のランドマーク、迷いっこない。

 ただし、夜のサハラ砂漠は別です。FS2000では夜間、海と砂漠の
区別が全くつきません。少し調べてみると実機の飛行でも、夜間は
ほとんど見分けが付かないそうです。大昔の郵便機が海へ迷い出て
燃料切れ、という事故を恐れたのも納得です。
(1920年代のフランス郵便機は、実際は地文航法だけでなく、幾つ
かのナビゲーション技術を使いました。ただし精度が悪く、肉眼で
地形を見ることは、やはり非常に重要だったと思われます)

 同じルートを最近、FlightGearのufoでも駆け抜けましたが、地中
海の出口にある、ジブラルタル市街や空港(LXGB)に面した岩山は
いかにも大英帝国が大事にした「天然の要害」という感じで、面白
い眺めでした。      【ジブラルタルのマップは w010n30】


 最近では、私は年末にFlightGearのパイパーカブ・J3を使って、
昔の郵便機にとって大きな難所だったという、アルゼンチンのメン
ドーサ空港(DOZ)から、チリのサンチャゴ(SCEL)に抜ける、長大
なアンデス山脈越えルートに、無線航法なしで挑戦しました。
               【マップは w070s40,w080s40】
 これは、南北に数十キロ蛇行する巨大な渓谷を、東から西へ、じっ
くり登り詰めていくルートです。アンデスは本当に、でかくて広く、
また高い。国境の3000メートル級の峠を、上昇限度2000メートルとも
聞くJ3が越えられるのか、おおいに気がかりでした。(結果的には
FlightGearのJ3は、60馬力くらい出る戦後のモデルと判明。離陸後
ずっとエンジンを全開し、じりじり上昇を続けて切り抜けました)

 さて、ナビゲーションですが。まだAtlasもなかったので、あらかじ
め現地の地図をダウンロードし、万全を期しました。しかし大渓谷は
だんだんせまくなり、無数の分岐もあって、正しいルートの見分けが
付かず、やがて迷子寸前に。幸い、眼下には国境の峠に向けて延々と
続く道路があり、結局これを頼りに突破しました。うーん、地文航法
よ、ありがとう。
 だが昔の郵便飛行士たちは同じルートを、真冬にも悪天候をついて
飛んだのですよねえ。飛行はやはり、冒険です。
 北にそそり立つ南米最高峰アコンカグアが、なかなかの絶景。よろ
しかったら、余り上昇力のない古典機などを選んで、ぜひお試しくだ
さい。けっこう達成感がありますよ。

 長文にて、失礼いたしました。
投票数:136 平均点:5.51
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-1-16 21:25
ゲスト 
hideさんこんばんは。旅日記楽しく読ませていただきました。FGで世界中を飛んでみたいと思ってもSceneryデータも膨大で選択するのが困るほどです。私も以前南米アンデスを飛行してみましたが山岳の変化がすばらしく氷河地域では思わず時間を忘れてしまいました。お奨めポイントなどを引き続き紹介して下さい。よろしくお願いします。
投票数:114 平均点:5.00
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-1-23 13:06
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
 こんにちは、hideです。

 ゲストさん、書き込みを大変ありがとうございました。
連載第1回は思いも掛けず、多くの方々にお読み頂きましたようで
感激です。少しご無沙汰をいたしましたが…さっそく続きを。
今回は少々、航法技術に特化したお話です。

 ■地文航法(Pilotage flight)続き■
 前回は説明不足でしたので、補足させて頂きます。地文航法は、
順を追って書きますと、以下のようになると思います。

 地図上に、出発地から目的地(または中継点)まで線を引く。
この飛行コースの方位(真北をゼロにして右回り)を計って、磁気
コンパスでどの方角(何度)に向けて飛んだらいいか調べる。また
コース上の都市や、交差する川などの目標物に印を付け、予想到達
時刻を書き込んでおく。
 実際の飛行では、磁気コンパスの指示に従って飛ぶが、正しいコ
ースに乗っているか、風に流されているならどの程度か、コース上
をどこまで飛んだか…は、地上の目標を見て判断し補正する、とい
う仕組みです。
 応用編として、主要道や鉄道に沿って飛べば楽なのは、前回ご紹
介した通り。欧米でも日本でも戦前は、道に迷うと線路を探し、超
低空に降りて駅名を読み取った、などと聞きます。(FlightGearで
も、これに近いことができると便利だなあ、と思っていましたが、
必要に応じてAtlasを使うことで解決ですね)

 では夜間や洋上飛行、悪天候を避けて雲海上に出るなど、地上の
目標が見えない場合はどうするか。それが次の推測航法です。

 ■推測航法(Dead Reckoning)■
 これは、大洋を航行する船舶のナビゲーションで磨かれた技術で
す。電波航法が普及する前は、飛行機でも渡洋飛行などに、盛んに
使われました。
 地上の目標を参照せず、磁気コンパスに頼って進み、飛行速度と
経過時間の積算によって、現在位置を推測する飛び方で、当然なが
ら、風に流された分の誤差(偏流と言います)を計算し、補正する
必要があります。
 推測航法は誤差との戦いです。まず最初に、コース図を非常に精
密に描かねばなりません。リンドバーグが1927年に行った、ニュー
ヨーク=パリ間・大西洋単独無着陸横断飛行を例に挙げましょう。
 彼はまず、飛行機の設計技師と図書館へ行き、地球儀の上にぴん
と糸を張って、ニューヨーク・パリ間の最短距離(いわゆる大圏コ
ース)を、ざっと3600法定マイルと見積もりました。大ざっぱ
な話ですが、燃料搭載量の目安を付けるには、これで十分意味ある
データが取れたそうです。むろん、実際の航路図を書くには、次の
ような精密な方法を使いました。

 リンドバーグは、あらゆる大圏コースを直線で描くことのできる
心射図法の地図(通常は北極点が中心。世界地図帳に載っている場
合があります)を使って、まずニューヨーク・パリ間を直線で作図
しました。心射図法は、機上で方位が読み取りにくいため、この点
で優れたメルカトル図法(小学校の壁に貼ってある「世界全図」で
お馴染みの長方形)の海図に、このコースを転記しました。

 メルカトル図法では、大圏コースは北に張り出した、弓なりのカ
ーブとして描かれます。リンドバーグは作図と操縦の便宜上、コー
スを36等分して転記したため、最終的に書き上げたコースは、36の
変針点を持つ折れ線になりました。彼は最終的に、この図面の精度
を、球面三角法という数学的手法で検算しています。
 リンドバーグの愛機「スピリット・オブ・セントルイス」号の巡
航速度は、約100法定マイルですから、この折れ線に従って約1時間
に1回、飛行方位をわずかに変更しながら、通算33時間半を飛び続
けたわけです。さぞや、眠かったでしょう…。

■ご参考■
 手軽に大圏コースを求めるには、「世界地図を作ろう」という
サイト(http://homepage1.nifty.com/ptolemy/index.htm)で
「世界地図・MERCATOR」というシェアウエアをダウンロードするの
が簡単です。これは、心射図法やメルカトル図法など、25種の図法
の世界地図が任意倍率で表示でき、カーソルで始点と終点を指定す
ると、自動的に大圏コースを描いて距離を表示します。

 FlightGearはご存じの通り、GPS機能を使うと、大圏コースを
自動的に飛んでくれます。飛行を観察していると、ときどき機体が
動揺しますが、あれが大圏コースに合わせるための、変針点通過の
瞬間だと思われます。「a」キーを使って飛行速度を上げていくと、
機種によっては、5倍速程度で変針時の揺れが非常に激しくなり、
スピンに入って墜落する恐れがありますので、ご注意を。

     ○

 推測航法の、誤差のお話を続けます。
 ご存じのように、磁気コンパスは真北ではなく、少し離れた磁北
極を指す(これを磁気方位と呼びます)性質があり、真方位との間
に誤差(偏差と呼びます)が生じます。加えてコンパス自体に、周
囲の金属の影響による誤差(自差と言います)があり、実際の飛行
では、これらを全部補正しないと、正しい進路が得られません。ま
た風の影響(偏流)の補正ですが、これは実機の場合、海面を観察
するなどの方法で、風向・風速を判定し、自機の飛行速度のベクト
ルと合成することで、偏流角(風で横滑りする角度)や到着予想時
刻を算出しています。専用の計算尺もあり、丸い「E6Bコンピュー
タ」が有名です。
 FlightGearでは幸いにして、磁北極が存在しないようで、HUDを
始め計器類の表示は、すべて真方位になっています。従って基本的
には、コンパスの偏差・自差は考える必要がありません。ただし、
滑走路の方位は実際と同様、磁気方位で扱われており、計器の指示
とは合わないので要注意です。(例えば、ニュージーランド・ウエ
リントン国際空港の16番滑走路上では、機種方位は165度のはず
ですが、計器上は183度になります。これが偏差の影響です)
 また風については、FlightGearでもランダムに吹かせることがで
きるので、何らかの方法で効果的な偏流測定が出来れば、本格的な
推測航法で孤島を目指す、といったゲームも可能でしょう。

 リンドバーグのような、昔の大記録飛行をシミュレートすると、
飛行時間がめちゃめちゃ長いので、オートパイロットを多用せざる
を得ません。となると誤差が入らず、無事に目的地に着くに決まっ
ているので、実飛行にはふんだんにあるスリルが、ほぼ完全に失わ
れます。何とかして「ナビに失敗したら、遭難する」という要素を
加えられないか…といったことを、よく考えています。
投票数:115 平均点:5.22
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-1-25 21:41
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
 こんにちは、hideです。
前回は、延々と推測航法のご紹介をしましたが、今度は趣向を変え
て「こうすれば、もっと簡単に飛べる!」というお話です。電波航
法を使わないナビの、まとめに当たります。

 ■ラーム・ライン(rhumb line=等角航路)をつかう■
私は大学時代の終わりに、ある商船会社の厚意で、大阪の堺港から
ロサンジェルスまで、27000tのログ・バルカー(木材運搬タイプの
貨物船)に同乗させてもらったことがあります。このときの航路を
概略お話ししますと、
 「まず、紀伊半島沖から南東へまっすぐ走る。北緯30度まで南下
したら、そのまま30度線を東にまっすぐ走る。アメリカが近づいた
ら、今度は東北東へまっすぐ走り、フィニッシュする」という、簡
単極まるものでした。
 このコースを、ポピュラーなメルカトル図法の世界地図に記入す
るには、直線を3本引くだけで出来上がり。航海中の針路も135度
(南東)、90度(真東)、67・5度(東北東)の3種類を、順番に
コンパスで維持するだけです。船会社の人が「これはラーム・ライ
ンという走り方だ」と教えてくれました。

 ラーム・ラインは、出発地から目的地(または中継地)まで、終
始一定の針路を保持します。そのため日本語では、等角航路といい
ます。大航海時代に遠洋航海術として使われ始め、航法計算と操船
が簡単なことが特色です。
 アラスカのアンカレッジから、ノルウェーのオスロに向かう長距
離飛行を例に、大圏コースとの違いを考えてみましょう。地球儀で
最短(大圏)コースを調べると、アンカレッジから極点をかすめて
反対側へ伸びる、北極圏横断ルートになります。北極点付近では、
経線の間隔が詰まっているため、大圏コースを飛ぶ時は、コンパス
上で維持する針路(経線とコースの交角)が、めまぐるしく変わり
ます。
 具体的には、アンカレッジから針路11度で北上を開始。刻々と右
へ変針しながら、グリーンランド北端と北極点の中間あたりで90度
(真東)に向き、やがて南下してスカンジナビア半島を縦断。最終
的に、169度の針路を保ちつつオスロ着。距離は約6580kmです。

 この2都市間を、ラーム・ラインで飛んだらどうなるか。答えは
「アンカレッジ(の南)から北緯60度線に乗り、グリーンランド南
端を経て、どこまでも真東に飛び続ける」です。距離は約8940km。
地球がハチマキを締めたような形の経路ですから、最短の大圏コー
スに比べれば、約36%の回り道になります。遠い半面、変針なしに
ひたすら、真っ直ぐ飛ぶだけですので、ナビゲーションは超簡単で
す。
 この例は極地越えですから、大圏コースとラーム・ラインには、
かなり大きな距離の差が出ます。しかし緯度が下がるにつれて差は
減り、赤道上では完全に同一になります。(真南・真北に進む時も
同一です)

     ○

 ここでラーム・ライン(等角航路)はどの程度、大圏コースより
回り道になるのか、中緯度を例にあげてご紹介しましょう。連載第
1回に書いたソフト「世界地図・MERCATOR」を使って、今回初めて
測定を試みました。

  【出発地と目的地】    【大圏航路】 【等角航路】 【差】
・東京=カリフォルニア西岸   約8490km  約8840km 約4%
(北緯30度45分線上を西進)
・東京=アンカレッジ      約5560km  約5810km 約4%
(コース中点の緯度は約50度)
・グリーンランド南端=     約2950辧 〔3030辧〔鵤魁
  ノルウェーのオスロ
(2点とも、ほぼ北緯60度)
・カナダ東岸=オスロ      約3950辧 〔4120辧〔鵤粥
(2点とも、ほぼ北緯60度)

 この結果には正直、驚きました。
 あまり緯度が高くなく、距離も短い場合は、さほどの違いはない
のです。実機はともかく、バーチャル・フライトなら「北緯60度以
南、南緯60度以北で、飛行距離が約2000nm以内なら、大圏コースを
無視しても、大きな違いはない」…と言えそうです。

 ■ラームライン航法の実際■
 ではフライトシム上で、どのように長距離を飛ぶか。私の場合を
お話ししましょう。
 だいぶ前のことですが…MSFS98のゲイツ・リアジェットを使って
沖縄県の下地島→台湾→香港→ヒマラヤ上空→カルカッタ→テルア
ビブ→カイロといったコースで、アテネまで行った事があります。
 本当は、かつて実機で往復した、アンカレッジ経由の北極航路で
ヨーロッパ入りしたかったのですが、当時のFS98は高緯度に飛行場
が少なく、リアジェットの航続力では困難でした。
 そこで南回りにしたのですが、FS98はGPS連動オートパイロット
がなく、VORやNDB局もまだまだ少なくて、洋上航法に困りました。
わずかに緯度経度の表示機能があって、これが使えそうでした。
(実機で言えば、六分儀の天測に当たるでしょうか)

 位置決定は緯度経度の表示、コースは単純なラームラインを使う
ことにして、世界地図帳に直線的なコースを描きました。例えば、
カラチからテルアビブに向かう時は、洋上とアラビア半島に、経度
5度刻みに5カ所の中継点を設定。それぞれの線分の中点で方位を
計って針路を決定し、コンパスを頼りに飛行。中継点に達するたび
に緯度・経度を確認し、少しずつ針路を修正しました。
 当時のメモを参照しますと「針路にして1度程度、南北方向の距
離で、緯度20分以内の誤差で飛べた」などと、嬉しそうに書いてあ
りますが、自分でナビ技術を工夫するのは楽しいです。

 ■より簡単なナビ=わざと目的地を外す■
 この飛行では、ピンポイントで目的地を目指しましたが、もっと
航法を簡単にするには、わざと目的地から真西か真東へ、数十劼
いし100卍度、離れた地点を狙うのがコツです。目的地と同緯度
に達したら、おもむろに東西いずれかへ変針し、後はまっすぐ進め
ばゴールイン。緯度と経度の片方ずつ、順番に注意力を振り向けま
すので勘違いもなく、目標を外しっこありません。目下この「故意
に狙いを外す」術、言い換えれば「目的地と同じ緯度経度、いずれ
か片方に到達しておき、東西か南北に飛んでフィニッシュする」技
が、私の(GPSや電波標識を使わない場合の)航法の基本です。

 いま続けている世界縦回りも、航続力無限・超高速のufoを使っ
た区間では、いちいち地図上にコースを描いていません。
 ぐっと地図をにらんで、「うん、この区間針路はだいたい135度
程度だな。ちょっと足して140度を、オートパイロットで維持しよ
う。南緯**度**分**秒に達したら、手動に戻して東に変針。
するとたぶん、このフィヨルドが見えるはずだよね」といった要領
で飛行。ちゃんと目的の田舎町と、隣にある小さな飛行場が見つか
ります(^^)。
投票数:121 平均点:4.96
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-1-28 14:18
tetsu  管理人   投稿数: 225
hideさん、こんにちは
tetsuです
いつも、楽しく&興味深く読ませていただいています。
私のフライトは、適当な空港から飛び立ち、周辺をフラ〜っと周ってもとの空港に戻るというスタイルです。(ウルトラライトプレーンのフライトにちかいですね)
でも、hideさんの旅日記を読んでいると、フライトプランを作って空の旅を楽しんで見たくなってきました。
フライトシミュレータをもっと楽しく使う方法の一つとして、優良なフライトプランの提案があるのだなと感じました。
以前、zeek53さんがNAVの簡単な使い方で、高松から徳島までのフライトを紹介していただき、楽しんだことも思い出しました。NAVの簡単な使い方で、高松から徳島までのフライトを紹介していただき、楽しんだことも思い出しました。

これからもhideさんの旅日記を楽しみにしています。
是非、長く続けていただきたいと思いますので、ゆっくりと進めてくださいね。
半年や1年くらい記事の間が開いても、全然気にしませんから。

P.S.
目的地に3Dオブジェクト(建物や風景)を準備して、ツーリングなんていうのもおもしろそうですね。
投票数:110 平均点:4.55
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-1-30 9:44
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
tetsuさん。どうも書き込みを、ありがとうございました。
 ご紹介頂いた「適当な空港から飛び立ち、周辺をフラ〜っと周っ
てもとの空港に戻るというスタイル」は、まさにFun to Flight!!!
の原点ですね。私も、回数的に一番多いのは、そんな気軽な「庭先
一周スタイル」の飛び方です。
「操縦桿を引いて、ふわりと滑走路を離れる」一瞬を、子供のころ
から何万回、夢見たか分かりませんが、その浮揚感や開放感を少し
でも疑似体験させてくれるフライト・シミュレーターを、自宅で
手軽に体験できる時代が来たのは、本当にうれしいことです。

 「目的地に3Dオブジェクト(建物や風景)を準備して、ツーリン
グ」とのご提案は、ひとひねりすると、面白いゲームに繋がりそう
ですね。戦前のイギリス空軍では、練習機を使ったナビゲーション
競技会をしていましたが、地上目標を探しては次々とクイズを解く
趣向だったそうです。フライトシムでも、掲示板で幾つかの課題を
公開して、ラリーのような競技が工夫できないかな?…などと時々
思います。こうした試みのためには確かに、各地に特色ある3Dが
欲しいところですね。
 フライトシムの楽しみ方は、人によって、文字通り無限。だって
これは「地球」そのものの、模型でもあるのですから。

 本連載は皆さんにお読み頂けます限り、休んだり脱線したりしな
がらも、出来るだけ続けさせて頂こう、と思っております(^^)。
どうぞおつき合いいただけますよう、よろしくお願い致します。

     ○

 というそばから、大変申し訳ありませんが、今回は取り急ぎ訂正
のご連絡を差し上げます。連載第2回でご紹介しました、

「FlightGearでは幸いにして、磁北極が存在しないようで、HUDを
始め計器類の表示は、すべて真方位になっています。従って基本的
には、コンパスの偏差・自差は考える必要がありません。ただし、
滑走路の方位は実際と同様、磁気方位で扱われており、計器の指示
とは合わないので要注意です。(例えば、ニュージーランド・ウエ
リントン国際空港の16番滑走路上では、機種方位は165度のはず
ですが、計器上は183度になります。これが偏差の影響です)」

 …という部分に、かなり誤りがありました。
HUDの機首方位表示は、確かに真方位なのですが。他の部分が違っ
ていました。ジャイロコンパスと、これと連動して動くNDB指示器
の表示は、FlightGearでも実機同様に磁気方位です。
 また滑走路方位とHUDの表示方位に、偏差に相当するずれが出る
のは正しいですが、ジャイロコンパスとNDB指示器には、偏差を含
んだ磁気方位が表示されるので、滑走路番号の角度表示と一致し
ます。(磁北極はまだ探検していませんが、やはりあるかも)
 こう書くとゴチャゴチャしていますが、要は「HUDだけ真方位」
で、いいと思います。どうも済みません。

     ○

 ここで「なぜ、ジャイロコンパスなのに磁気方位を示すのか?」
という疑問が湧くのではないかと思います。大昔は子供向けの本に
「高速で回るコマの軸が、北を向く性質を利用したのがジャイロコ
ンパスです」などと書かれていましたが、あれは誤りです。
 ジャイロは、起動時の軸方向を、宇宙の一点に向けて維持しよう
とする性質はありますが、自分で勝手に北を向くわけではなく、修
正装置によって、絶えず北極の方向を追いかけています。ならば、
わざわざ真方位ではなく、磁気方位に合わせておいた方が、船上や
機上で使う方位が統一されて、便利なのだと思います。
 以上、番外編でした。
投票数:125 平均点:4.48

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-3 16:30
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 この連載の、次のステップとなるべき、各種の航法援助施設(電
波標識)を使う航法について、どう書こうかとあれこれ考えていま
す。簡潔なノウハウ集では、ただ「針の指す方へ飛んだら目的地」
で終わってしまい、芸がありません。もう少しナビゲーション全般
にわたる、きちんとした視点や知識が必要だと思い、少々勉強不足
も感じまして、ただいま充電を試みています。
 そこで閑話休題。2回くらいにわたって、私がこれまでにフライ
トシムで試みた、極地飛行のお話をしましょう。

 ■北極上空の怪■(その1:まずGPSに異常が…)
 私は、新しいフライトシムに出会うと、プログラムの知識はない
ものの、常に「丸い地球を、どうやってマップに再現しているのだ
ろう。極点上空はホントに、飛べるのか?」という興味が湧きまし
て、一度は極地飛行に挑戦します。するとしばしば…思わぬ奇怪な
風景や、信じられない現象に遭遇し、19世紀や20世紀初頭の探検家
の気分を味わいます(^^)。

 最初に北極飛行を計画したのは、FS98の時代でした。これは前回
お話ししたように、「リアジェット45」機の航続力不足や、高緯度
地方の航法の難しさから断念しましたが、FS2000でGPSが付いて、
空港の数も劇的に増え、これは行ける!と思いました。当時は
http://www.abacuspub.com/
 というサイトに、MSFS航空機の各種性能・設定を、ほぼ自在に変
更できるエディターが、無償公開されていまして(残念、今は見つ
からないみたいですが)、これを使って、リアジェットの燃料タン
クを大幅に拡張。各タンクの前後位置も少々調節し、重心位置を整
えて、ざっと3800nmの航続力を確保しました。実機ならさしずめ、
客室を改造して長距離フェリー(回送飛行)用増槽を設けた例に当
たるでしょう。

 さて待望のGPS航法、北回りでヨーロッパ行きです。アプリケー
ション付属のフライトプランナーに、あらかじめ考えておいた長い
飛行経路を打ち込んでロードし、エンジン始動。余談ながら私は、
この飛行計画に「プロジェクト北極星」という、大げさな名前を付
けました。北極通過後は、かつて実世界で旅行したことのある土地
や、航空史に残る著名な飛行ルートを訪ねつつ、西回りの世界一周
をする予定でした。
 私の改造機は、満タンでも何とか離昇できるけれど、離陸直後の
操縦は重くて硬質です。羽田を夜明け前に出て、東京上空を北に旋
回しながら朝日を眺め…7時間あまりの飛行(シミュレート時間。
実時間は4倍速モード自動操縦で約2時間)ののち、アンカレッジ
空港6Rへ降下するときは、機体もすっかり軽くなり。MS「サイド
ワインダー」ジョイスティックの反応が、羽根のように軽く思えて
新鮮でした。
 給油後アラスカを縦断し、北端のバーロー岬のすぐそばにある、
「Wiley Post-Will Rogers Meml」空港(PABR)に到着。あたりの景色
をみると、何だか変。磁気方位65度の滑走路上なのに、機体は真東
を向いています。これが磁気コンパスの偏差か、と感心しました。
再び満タンにして離陸後、いよいよ北極圏へ。

 この当時は、自分なりの飛行計画フォーマットを作り、中継地の
滑走路方位とか、各種の周波数とか、ひたすらどっさり参考資料を
書き込んで、飛行中の記録もかなり詳細に記載していました。特に
この飛行は、どうやって改造機の航続性能を最大限に引き出すかが
大きなテーマでしたから、例えば飛行高度も、燃費が最良とみられ
る37000ftの前後を、あれこれテストしていました。巡航高度への
上昇だって、ただ駆け上がるのではなく…

◎上昇パターン:
 ほぼ羽田・アンカレッジルートの飛び方通りとする。
 ・250KIAS、上昇率1800ftを維持。
 ・約35分後、27500ftで上昇率を800に落とす。
 ・30000ftまで上がり、その後、上昇率600で33000ftまで上昇。
 ・上昇率400で35000ftまで上昇。
 ・上昇率150で39000ftまで上昇。
 ・上昇率 50で40000ftまで上昇。(01年当時の記録より)

 …などと、あらかじめ立てた計画に沿って、エンジンのパワーや
上昇率を変えながら飛んで、各高度での緯度経度と対気速度、対地
速度、上昇率、燃料流量と残量、進出距離などを記録して、他の飛
行で使った上昇パターンの結果と比較するという、今思えば極端に
マニアックな飛び方を楽しんでいました。(これまでに世界一周に
3回挑戦しましたが、うち2回は半周から4分の3周で疲れ切って
挫折。あんまり凝るのも、問題ではあります)(^^;)

     ○

 でも苦労の甲斐はありました。北欧へ向かう大圏コースを飛んで
いくと、緯度が上がるにつれて、次々と不思議な出来事を目撃する
ことが出来たのです。

 離陸後1時間半、北緯85度・西経158度付近の氷原上で、まずGPS
に異常が現われました。フライトプランナーで作図した大圏コース
では、北極点を接線のようにかすめるはずが、機上のGPS画面では
いつの間にか、240nmほど先の北緯89度地点で、激しく左に110度ほ
ど折れ曲がっています。こんな変針点…作った覚えがない!
 「これが、MS2000世界の地図の北限か。ここから先へは飛べない
のか? 手動操縦で、できるだけ極点へ近づいてみよう。面白くな
ってきたぞ」と、私は素早く計画を立てました。極点では、周囲は
全部南です。どう行動するか、極周辺をどう調べるか、あらかじめ
考えておかないと…。

   ・変針点へ着いたら、オートパイロットのNAVロックを外し
    さらに北へ手動操縦で緯度1度分、飛行しよう。
   ・その場合の航法は?
     緯度1度の長さは約60nm。421Ktで8・55分飛べば北緯90
    度だ。
   ・機首方位はどうやって計る?
     シミュレータの緯経度表示を使う。経度変化がゼロなら
    北進中。プラスなら西に、マイナスなら東に逸れている。
   ・極点に着いたら?
     極点通過の瞬間、記録を取り、360度旋回して、すべ
    ての経線を、本当に通過できるかどうか確認する。
   ・その後、元のコースへ復帰する。でも方角が分からなかっ
    たら?
     コンパスやGPSがだめでも太陽がある。太陽の位置は現
    在、機体の右後方約128度にある。太陽は角速度・毎時
    15度で西へ動く。あと34分で変針点だから約135度まで
    移動する。従って元のコースに戻るには、太陽を左45度
    に見たら反方位が得られる。

    (注:太陽を使う極地航法は、私の発案ではありません。
    元パンナム機長のC・ブレア氏が1951年5月29日、P51D改
    造長距離機「エクスカリバー」で、史上初の単独北極横断
    飛行に成功した際、独自に開発した太陽コンパスを使いま
    した。私はスミソニアン博物館で、深紅に塗った同機と、
    日時計の原理を逆用したようなコンパスを見学し、その技
    術的センスに感心しました。またコンパスをよく見ると、
    南半球用=つまり南極飛行用の目盛りも打ってあることに
    気付いて、彼の夢のサイズに、いたく感動しました)

 …気分はもう、飛行家というより探検家。
さらに北緯87度まで進んだとき、私はまたまた仰天しました。機体
はオートパイロットで直進しているはずが、いつの間にか左45度方
向へ、横滑りしながら巡航していたのです。狂っているのは機体か
或いは「地球」の方? 
 高緯度のマップデータには、地球の丸み(或いは、低緯度で平行
線に近かった経線が、極点に集中すること)に起因する大きな歪み
があり、飛行姿勢にも反映するのでしょうか。

  「大変なことが起こっている。これは『世界観』が変わる。
   MSFS2000の地球は、もしかすると球体ではなく、メルカトル
   図法のような平面になっているのではないか。
  (北極点ではなく、東西に長い「北極線」があるのか?)」

 …と私は興奮して(探検家気取りで)大げさなメモを打ち、なお
も北極を目指しました。燃料が、めちゃめちゃ大量に積んである飛
行機は、こういうときに便利です…。

 =長文で失礼しました。次回へ続きます=
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-8 19:39
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
前回の続きをお届けいたします。

 ■北極上空の怪■(その2:世界の果ては氷の断崖)
 「しまった、いつの間にか南を向いている!」…ちょっと注意を
そらしている間に、機体はGPS画面上に勝手に現われた、左へ約110
度旋回する変針点に達し、南下を始めていました。GPS画面中央に
あるべき自機のシンボルマークが、なぜか相当ずれた位置に表示さ
れています。緯度は89度。オートバイロットを切って再び北へ。

 そのとき前方の氷原に、運河のように細長い開水面が、東西方向
へ伸びているのが見えました。向こう岸は、高さ数百ftありそうな
氷の絶壁がそびえ、上は地平線まで氷原になっています。私はすっ
かり探検家の気分で、運河風の開水面を「グレート・カナル」、絶
壁を「グレート・クリフ」と名付けました。

 北緯89度30分、西経174度21分。
ついに機体が、空中で停止してしまいました。高度40000ftで計器
は対気速度225KIAS、GPS対地速度424Kt、マッハ0・73を示している
のに、北へはもう前進できません。東西に機首を振ると横滑りする
のですが。どうやらここが世界の果て。言い換えるとFS2000は、極
点の上を飛べない仕様なのですね。
 グレート・カナルに沿って、しばらく東西に飛んでみると、なん
ともう一本、別の「運河」が見つかりました。南から延びてグレー
ト・カナルにぶつかり、T字型になっています。その交点の北には
絶壁とその上の大氷原をV字型に割って、細い裂け目が果てしなく
北へ延びています。位置を調べると…新たな「運河」は経度ゼロの
線、つまりグリニッジ子午線上にありました。私はこの「運河」を
「グレート・グリニッジ・カナル」、また巨大な裂け目を「グレー
ト・グリニッジ・キレット」と、またも勝手に命名しました。経度
ゼロに線が引いてあるなんて、マイクロソフトも味なまねをするも
のです。
 ここでセーブしておいて、空中停止のまま、ゆっくり降下して着
陸を試みましたが、何度やってもクラッシュと判定されるため、位
置設定メニューで高度ゼロを選択し、強引に降ろしました。氷原か
らの離陸は正常で、このあと予定通りヘルシンキへ向かいました。

 なお「北極線」と言いますか、北の果てに沿って東西に飛ぶと、
わずかの間に経度がどんどん変化します。つまりFS2000の世界は、
球体ではなさそうですが、極付近ではちゃんと経線の間隔が狭くな
り、大圏コースは実際同様、近道だということですね。
 FS2000の北極付近ではこのほか、実際の時間が9分しか経過して
いないのに、機内時計は一気に4時間経過する、という現象が見ら
れました。機内の経過時間と、飛行する先々のローカルタイムのつ
じつまを合わせるため、何か無理をしているのかも知れません。フ
ライトシミュレーターは、果たして飛行機が地球の上を飛んでいる
のでしょうか。それとも、静止した飛行機の周囲で、世界が動いて
いるのでしょうか。それによって、時間経過の管理方法なども変わ
ってくるのかも…。そんなことを感じる旅でした。


 ■南北両極の底なし穴■(FlightGearにもある、極地の怪)
 すでに探検された方はご存じですけれど、実はFlightGearの極点
でも、かなり謎めいた現象を目にすることが出来ます。

 私は昨年、FlightGear0.9.8をダウンロードし、セスナ172などで
少々飛んですっかり気に入りまして、さっそくこの「世界」を見て
回ろうと、ufoで松山空港を出発。そのまま地球を縦周り中です。
ufoは、HUDの真方位コンパスと緯度経度表示以外、ナビ計器がまっ
たく使えないため、連載第2回でご紹介した「わざと目的地を外す
ラームライン航法」で飛び回りました。このときはカムチャツカを
経て、前回ご紹介した「北極の怪」の出発地と同じ、アラスカ北端
近くの「Wiley Post-Will Rogers Meml」(ウイリー・ポスト、ウ
ィル・ロジャース記念空港。前者は世界一周や高度記録で有名)に
到着しました。
 ここから極点に向かって北上すると、冬の太陽がどんどん地平線
へ傾いていきました。極点で真っ暗になるのも困るので、季節を夏
にしようと思ったのですが、まだFlightGearの設定法がよく分から
ず、ちょっと乱暴ですが結局、パソコンのクロックを半年戻してし
まいました…。

 最初に異常が出たのは、3Dの雲です。雲は横に広がった集団で
現われて、機体に接近してきますが、北緯80度かそこらの高緯度に
達すると、だんだん雲の集団が、斜めに傾いて出現するようになり
ました。緯度が上がるにつれて傾斜も増し、雲の出る頻度もだんだ
ん増えていったような記憶があります。また極点が近づくと、地表
がすっかり霧に覆われてしまいました。たしか北緯89度59分の表示
が北限で、激しく傾いた3D雲が、機体の周囲を竜巻のように旋転
し、なぜかHUDの高度計の目盛りが消えてしまいました。北極点を
抜け、南へほんの数nm飛ぶと、竜巻状の3D雲の混乱は停止しまし
た。極点そのものは異常でしたが、ごく近くを正常に飛ぶことは可
能だと確認。高度計の異常は、しばらく南下するまで続きました。

 このあとヨーロッパと南アメリカを南下して、チリ南端のパタゴ
ニア地方に到着。このころにはAtlasを手に入れていましたので、
地図代わりにスクロールしたところ、はるか南の「南極半島」に、
アメリカの観測基地など3つの飛行場を発見。以前プレイしていた
FS2000ですと、南極大陸は存在さえしなかった(大地はまっ黒で、
海の表示さえありません)ので、この発見はうれしかったです。
 更に調べると、南緯90度にSouth Pole Base(NZSP)とTACAN(無
線標識施設)が。これって、極点の「アムンゼン・スット基地」で
はないですか。もう、行くしかありません!

 この時はFlightGear0.9.9にバージョンアップ済みで、使用機は
ツポレフTu114を選びました。(ソ連爆撃機「ベア」の旅客機版、
という風変わりな機体。二重反転プロペラが面白いが、着陸はかな
り難しいです)チリ南端付近のプンタアレナスにある、カルロス・
イバネ・デル・カンポ国際空港(SCCI)を発進。南極半島のBase
Marambio(SAWB)を経由してどんどん南下、極点を目指しました。
 このマランビオ基地は、なんと滑走路が海面に浮いています。実
際は氷原に設けられているのでしょうが、律儀に「海」と判定して
作ってあるので、若干リアリティーに欠けます。以前、本フォーラ
ムの「V0.9.9について」にお書きくださったゲストさんの指摘通り
雪景色にすればよかった、と思いました。

 v0.9.9では、3D雲の異常は見られませんでしたが、南緯90度の
20nmほど手前まで近づくと、低空に厚い霧が発生し、地表がまった
く見えなくなりました。同時に高度計に異常が発生。気圧高度計の
読みが4050ftなのに、電波高度計は20859525ftという、とんでもな
い数値を示したのです。また、極点のそばを何度も往復したところ
深い霧を通してはるか下方に、太陽を小型にしたような、白く光る
ナゾの円を見つけました。
 これを追って高度をどんどん下げていくと、なんと…地表があり
ません。思い切って高度ゼロを割ると、HUDの気圧高度計から目盛
りが消えました。電波高度計は、相変わらず途方もない数値を表示
中。イメージとしては、霧に覆われた底なし穴の上を飛んでいるこ
とになります。さっきの白く光る円は、今度は頭上にありました。
どうもこの円が、地表レベルの極点を示しているようです。
 南北両極に「穴」があるとなると、FlightGearの地球は空洞なの
か? 両極は地底でつながっているのか? とも思いますが…電波
高度計の表示を考えると、これは地球の直径の数百倍ある深い穴、
ということになります。しばらく垂直降下してみましたが、「向こ
う」に着くまでに何日もかかりそうで、探検を断念しました。

 …という次第で今回は、南極点の飛行場は見つからず、着陸でき
ませんでした。ただし極点でも、飛行そのものは正常に行えることを
確認出来たので、一応は満足です。
 FlightGearの極点は、扇形になったマップを、36枚集めて作って
あります。ところが以前のダウンロードマップ「0.9.8」は、もと
もと北極で11枚、南極では24枚が欠落しており、極の地表は一部分
海として描写されてしまいます。FlightGearのプログラマはこれを
避けるため、わざと極点を、霧に包んだのではないでしょうか。先
日公開の新マップ「0.9.10」は、両極に欠落部がありません。36枚
のマップ全部をインストールしたら霧が晴れ、極点の「底なし穴」
も無くなり、地表に飛行場が現れると面白いのですが。このへんは
まだ謎です。

     ○

 「国際フライトシミュレーション地理学会」を作って、おかしな
地形の報告を集めたら面白いかも。少なくとも、デバッグの役には
立つと思います。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
 皆さんこんばんは、hideです。
さて…極地冒険飛行の次は、いっそう本格的に、航法のお話に取り
組みます。

 ■フライトシムの航法とは?■
 私は、ここに書かせて頂くのをきっかけに、自分のフライトシミ
ュレータ航法を、基本から整理して勉強し直したいと思いまして、
先日来、これまでに買った飛行機や航空管制の本を読み返したり、
ネットを漁ったりしていました。
 この日本語版HPの「作業場のページ」で、zeek52さんがまとめら
れた労作「NAVの簡単な使い方」を拝見しますと、

 「こちらは英語のページですが絵をたくさん使ってNAVについて
  説明してるので読みやすいです
  http://www.navfltsm.addr.com/index.htm」
というご紹介があります。

 私も最近、全体の四分の一ばかりを、斜め読みさせて頂きました
が、確かにすごい入門書ですね。米国の航空ナビゲーションの歴史
を紹介しつつ、主にMSFSを使って非常にリアルな航法を行うための
網羅的な解説が、基礎からぎっしり詰まっており。「あれは、こう
なっていたのか!」と、うなることもしばしば。これを丹念に全訳
すれば、用は足りてしまうのですが、なにぶん版権の問題がありま
すし、私の語学力では、もともと無理な相談です(^^;)。

     ○

 思えば…フライトシムで遊ぶ場合は「どの程度、リアルな航法を
やるべきか」という問題がついて回ります。ざっと整理すると以下
のような選択肢がありそうです。

(A)アプリケーションの機能を最大限活かして、極限まで実機に
   近い飛行を目指す。これは非常にやりがいがある半面、勉強
   が大変です。まず航空図から、買い集めなくては…。

(B)ならば、できるだけ楽をしたい。
    近距離は、Atlas利用の「カーナビ・フライト」で十分に
   間に合います。実機でも、VFR(有視界飛行方式)の資格で
   自家用機を駆るアマチュアパイロットが、GPSを使って飛び
   回る場合は、これにやや近いのかなと思います。フライトシ
   ムですと、Atlasに地形が一応表示されるので、ほぼ全天候
   の飛行も可能ですね。ただし慣れると、或いは物足りなくな
   ってくるかも知れませんが。
    長距離飛行は、私としましては、以前お話しした「ラーム
   ライン航法」を、強くお勧めしたいところです。ただしこの
   方法は、いわば地球儀の上に、ざっと絵を描くようなテクニ
   ックで、正直あまり悪天候のことを考えていません! 実際
   問題として、ちょっと派手に雲を出すと、山岳地帯の空港な
   どには降りられず、電波航法と併用する必要があります。
   そこで…

(C)興味と必要に応じ、リアルな航法テクニックを加えていく。
   具体的には、電波航法を一応使いこなす…というあたりが、
   やはり現実的だろうと思います。

 本連載は今後、ある程度までは実世界のフライトを意識しつつ、
FlightGearの世界を楽しみながら、皆さんとともに、より便利な全
天候ナビゲーションの確立を目指したいと思います。
 あくまでも、私が素人なりに理解した範囲ですので、ここが間違
っているとか、このほうが飛びやすい、というご意見をお待ちいた
します。また仕事が忙しいときは、しばらく連載をさぼりますが、
どうか、ご容赦をお願い申し上げます(^^;)。

 ■単位と記号■
  次に進む前に、本連載で使う単位や記号を整理しておきます。
 距 離:ノーティカル・マイル(1海里=1852m。単位記号nm)
 速 度:ノット(1ノットは時速1nm。単位記号はKt)
     実際は、指示対気速度(KIAS)や真対気速度(TAS)、
     さらに対地速度などの別があり、それぞれ役目が違うが
     ここでは省略します。
 高 度:フィート(1フィート=約0.3m。単位記号ft)
 方 位:度(北をゼロにして右回り。普通は磁気方位)
 燃 料:搭載量はガロン(容積)かポンド(重量)で表示。
    (1ガロン=約4リットル、単位記号gal)
    (1ポンド=約0.45キログラム。単位記号Lbs)
    ●注●:FlightGearは、一部の機体では、燃料の搭載量に
    よる重量変化を精密に再現しています。例えば双発セスナ
    C310のYasim版は、片翼タンクから燃料を抜くと、地上で
    派手に傾きます。
     しかし燃料の重さや、飛行による燃料の消費を省略して
    しまった機体もまた、たくさんあります。つまり…いくら
    飛んでも、ガス欠が起きない場合があります。

 周波数:キロヘルツ(日本の航空図は一部メガヘルツ表示ですが
     FlightGearでは、キロヘルツに統一されているようです
     ので、これに合わせることにします。単位記号KHz)

 ■あれこれのルール■(その1:計器飛行と有視界飛行)
 ちょっとだけ、航空法関係のお話をします。
 複雑な管制区に分かれた、実際の空のお話はさておいて、まずは
どんな場合に、パイロットの自由意志がものを言うVFR(有視界飛
行方式)で飛んでいいのか、或いは完璧な誘導を受けるIFR(計器
飛行方式)を使うべきか、簡単に見てみましょう。

 ・VFRの条件:(VMC=有視界飛行の気象条件)
(以下は簡略版。また私の本は古いので、少し変わっているかも)
 3000m以上で飛ぶ航空機(つまりジェット機):
   視程8000m以上で、かつ、
    雲から上下300m以上、水平に1500m以上離れていること。
 3000m以下で飛ぶ航空機(プロペラ機):
   視程5000m(管制区域内)か1500m以上(区域外)で、かつ、
    雲から上150m以上、下300m以上、水平に600m以上離れて
    いること。

 …こう書いてみると、やはり相当、面倒ですね。
とりあえず、フライトシムの場合は「速度が速いジェット機のほう
が当然、視程がよくなければならない。ジェット機で約4nm、プロ
ペラ機でも約3nm先が見える必要がある」「雲からは上下1000ft、
水平距離で1nmくらい離れている必要がある」と理解しておけば、
間に合いそうです。
 …ではなぜ視程は、この距離に決められているのでしょう?

 ■ナビの土台は、実は着陸■
 この視程の問題は、着陸の際に、どのくらい先から滑走路が見え
なくては危険か、という問題に関係しています。
 私の実感では、飛行というものはすべて、最大の難関である目的
地への着陸操作から逆算して、航法も操縦も、すべての手順が決め
られていると思います。そこで今回は私の着陸手順を、少し詳しく
お話しします。
 滑走路への進入角は通常、俯角にして約3度です。実際の進入方
式は、いずれご紹介する通り様々ですが、フライトシムで有視界進
入する場合、私は以前FS2000の解説本で学習した、次のような方法
を基礎にしています。

 (1)着陸でまず悩むのは、いつ降下を始めたらいいのか、とい
    う問題。そこで高々度からの降下は、以下のような「3対
    1ルール」を使う。
    飛行高度(単位はft)を100で割り、続いて3で割る。
    すると、滑走路の何nm手前で降下を開始すべきか分かる。
    ●例●:36000ft÷100÷3=120nm
    つまり120nm手前でエンジンを絞って降下開始。
    徐々に減速し、ジェット機なら200Ktくらいにセット。
    機種によってはここでフラップを1、2段出す。

 (2)飛行場の十分手前(例えば約10nm)で、1500ftまで降下し
    て、いったん水平飛行にする。そして水平飛行中、徐々に
    減速しながらフラップをだんだん下ろし、最終的にフルダ
    ウンにする。車輪も早めに出しておく。速度は最終進入速
    度に合わせる。ジェット機で120〜130Kt前後。
    減速した分、どんどん降下するので、少々パワーを加えて
    水平飛行を保つ。巡航状態より低速で飛ぶ分、機首はやや
    上げた姿勢にして揚力を保つ。
    (ここで言う「高度」とは、飛行場からの高さ。従って、
    事前に標高を調べておくのが本来のやり方です。しかし
    面倒な場合は、電波高度計を使ってください。FlightGear
    のHUDを使うと、一番右の目盛りが海抜高度、その内側の
    目盛りが地上からの高度=電波高度計の指示です)

 (3)この高度からは、滑走路がよく見える。滑走路脇にある、
    PAPI(4つ一組の進入角度灯)が、全部赤く光っているの
    を確認する。そのまま接近を続ける。
    (この状態ではまだ、滑走路までかなり距離があるので、
    機体は滑走路に降りるためのグライドパス(降下経路)よ
    りも、下を飛んでいます。このまま水平に直進を続けると
    グライドパスのほうから、だんだん下がってきて、やがて
    機体と交差します)

 (4)PAPIは、赤白4つずつのライトが、それぞれ異なる角度で
    設置されている。機体の高度低下とともに一つずつ、赤か
    ら白に変色して見える。
    白色灯2つ、赤色灯2つになった時点で、ぴったりグライ
    ドパスの上にいる。ここでエンジンを4分の1くらい(機
    種による)まで絞って、最終進入を開始。
    あくまでも、エンジンを絞るだけ。機首の仰角は変えない
    ようにする。すると高度が下がるだけで、前進速度は変わ
    らない。先ほどの水平飛行時と同じ、ジェット機で120〜
    130Kt程度(機種による)をメインテイン(維持)する。

    PAPIの赤色灯が増えたら低すぎる。白色灯が増えたら高す
    ぎる。高度はパワーの増減で調整し、昇降舵はあくまでも
    補助的に使う。さもないと減速しすぎて失速したり、逆に
    過速に陥って着陸できなくなる。

 (5)あとは滑走路端にある、横断歩道みたいな縞模様の寸前で
    パワーを切って、引き起こし操作をする。タッチダウン!

 ●注●この(4)が最終的な進入開始点で、着陸の成否を決める
重大な場面です。ここで飛行場が、完全に見えていないと、着陸は
危険です。
 この地点は高度1500ft、滑走路からの距離は5nm弱。つまり先ほ
どご紹介した、VFR(有視界飛行)の気象条件は、いくらか余裕を
持って、安全な着陸開始を保障しているわけです。

 ちなみに、降下角3度のグライドパス(理想的進入経路=いわば
滑走路に通じる、ただ一本しかない大空の滑り台)の上にいる時、
高度と滑走路までの距離は、次のような関係になっています。

 距離(nm) 高度(ft)
 15     4780
 14     4460
 13     4140
 12     3820
 11     3500
 10     3180
 9     2870
 8     2550
 7     2230
 6     1910
 5     1590
 4     1270
 3     960
 2     640
 1     320

 ●おまけ●:この「高度1500ftで、いったん水平にして、しばら
く直進する」進入法は、基本的にはフライトシムのための、便宜的
な操縦法だとご了解下さい。確かに操縦しやすいので…少々昔の飛
行機はたぶん、これに近い飛び方をしていたんじゃないかと思いま
すが、現在のジェット旅客機は、各空港の着陸コースマップを見て
も、どうも、こんな水平飛行はしないような気がします。第一、騒
音が大変ですよね。

     ○

 私が南極あたりでモタモタしているうちに、Hitさんが「B737の
NAVについて」のスレッドに、ILSのことをお書きになったので、以
下をあわてて書き加えます(^^;)。とりあえずですが、少しでもご
参考になりましたら…。

 ■電波に、進入開始点を教えてもらう■
 私は、さっきお話しした、最終進入の開始点を見つけることが、
ナビの基本にしてゴールだと感じています。実は電波による誘導の
ほとんどが、どんな視界のもとでも最終的に、機体をこの位置に、
正しい高度と正しい方位角、そして正しい速度で持って行くために
あるわけですね。
 次回からいよいよ、電波航法に入らせていただきます。電波航法
にはご存じのように、主にNDBとVOR、ILSの3種類があり、すべて
FlightGearで実際に使えます。

 □電波施設には、それぞれ得意分野がある□
 このうちNDBは、無指向性の電波を四方に放つ、いわば電波の灯
台です。これで無線局(例えば空港のそばにある)の方角が分かり
ます。比較的単純な仕組みで、読み取り方も簡単。でもこれだけで
いちおうの計器進入が可能です。中波ですので、かなり遠距離から
でも受信できます。

 VORは、多数の指向性電波を、放射状に放つ仕組みです。NDBと同
様に局の方角を知ることが出来ますが、それだけでなく、無線局を
中心に、好きな方角に伸びるコースを任意に拾って、自機でトラッ
キングする(たどる)ことができます。

 VOR局の電波は空中に、絶えず航法の参考になる、目に見えない
多数の線を引いています。航空図には、飛行機からタワーへの位置
通報点として、小さな三角マークが随所に書いてありますが、そこ
に無線局があるわけではないのに、なぜこの場所が機上から分かる
のだろう、と昔は不思議に思いました。実はこれは、2つのVOR局
から来る、2本の電波の交点です。
 実機でもFlightGearでも、飛行機は2台のVOR受信機を積んでい
ますから、この交点を判別することが出来ます。具体的には、1本
のVORビームに乗って飛びながら、別の特定の1本をぴったり受信
した瞬間に、この交点の上にいるわけです。つまりVOR局は、何も
ない山中や海上にも、電波標識の代わりをする、仮想の目標地点を
作り出すことができるのです。

 □無線局までの、距離もわかる□
 VOR局には通常、DMEと呼ばれる距離測定機能が併設され、VOR電
波の受信中は、無線局までの距離や到達までの時間を、FlightGear
の計器板に、実際に表示することが出来ます。一部機体で動作確認
をしました。超短波なので、レンジはNDBより少々短くなります。

 またILSは、いわば電波で作った空中の滑り台。滑走路への着陸
コースそのものを、計器板に示します。これも以前どこかでご紹介
しましたように、FlightGearの一部の機体と空港で、動作確認をし
ました。残念ながら、このILS電波を利用して、自動着陸をする機
能まではない模様です。

 □女性オペレータと交信しませんか?□
 そのいっぽうで、搭載されている無線電話を使って、飛行場の気
象情報などを受信する仕組みがあり、実際に英語で(雑音まで入っ
た)レディオ・ボイスが聴けます。ちなみにオペレーターは女性で
す…幾つくらいかな、とか(笑)。

 いずれも回を改めて、私に分かる範囲で、FlightGear上の操作法
をご紹介します。VORは操作と読み方が少々ややこしいので、勉強
不足もあって、後回しにする予定ですが、次回はまずNDBの操作と
活用法をご紹介し、皆さんを着陸進入開始点へご案内したいと思い
ます。その後、着陸に便利なILSなどに進むつもりです。(といっ
ても、ご遠慮なくどんどん先に、何でも書いて下さいね! 一緒に
勉強しましょう)
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-14 18:44
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
ごめんなさい、一カ所訂正します。この直前の書き込みで、
「周波数:キロヘルツ(日本の航空図は一部メガヘルツ表示ですが
     FlightGearでは、キロヘルツに統一されているようです
     ので、これに合わせることにします。単位記号KHz)」
…としましたのは勘違いで、KHz統一表示はAtlasのお話でした。
FlightGearは、ちゃんとVORとILSがMHz、NDBがKHz表示になってお
ります。
投票数:16 平均点:3.13

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-17 4:40
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
 サンフランシスコ湾・ナビ訓練。

 hideです、少々ご無沙汰しました。
前回お約束しました通り、NDBとVOR、ILSを使ったショートフライ
トをご紹介します。
 皆さんの、お話の流れからして本来、「B737のNAVについて」に
書かせていただくべきかと思いますが、記録的な長文になってしま
ったので、一応こちらにしておきました。ごめんなさい。
(もしも、実際に飛んでみる方がおられましたら、最初に通読して
Atlasでコース全体を確認して下さいますよう、お願い致します)

 今回はセスナ172Pを使い、メトロポリタン・オークランド国際空
港(KOAK)11滑走路を離陸します。同空港のVORに乗り、やや右に
変針して南下。まもなく西へ旋回して、対岸の「SF」NDB局にまっ
すぐ向かい、同局の上空で右旋回。そのままサンフランシスコ国際
空港(KSFO)28L滑走路へ、ILSを使ってストレート・インします。
巡航時の飛行高度は1500ftです。
 実際の航空路や、着陸コースを再現したわけではありませんが、
私が理解している範囲内で、無線機器の使い方の例をお目に掛ける
ということでご容赦ください。また私が勘違いしている点などあり
ましたら、どうぞご指摘をお願いします。

 この飛行は3Dパネル機を使いました。「x」キーで画面を拡大
すると、計器を細部まで観察できますし、飛行中の視界もいいのが
理由です。動作が重ければ2Dパネル機でも結構です。私のノート
パソコンでは当初、3D機は重すぎて飛ばせませんでしたが、画面
プロパティで、カラー設定を「最高(32ビット)」から「中(16ビ
ット)」に落としたところ、ほぼ解決しました。

     ○

 では一応、無線関係のコクピット・ドリルです。
計器盤右側のラジオ・ラックを見てください。すでに皆さんご存じ
のことばかりだと思いますが、左側の上段と中段の「COM」が無線
電話です。液晶画面左が受信中の周波数、右がスタンバイ周波数。
1台の無線機に2つの局をセットしておけます。中間にある白い長
方形ボタンが、この2チャンネルの切り替えボタンです。スタンバ
イ周波数は、丸いダイヤルのクリックで変更できますが、なかなか
数字が変わらないので、後で述べるように、メニューバーからやっ
た方が便利です。

 無線の周波数を調べるには、メニューバーの「ATC/AI」欄から、
「Frequencies」を選ぶと、機体から40nm以内にある管制塔が、自
動的に空港IDでボタン表示されます。ボタンを押すと、タワー周波
数とATIS(オート・ターミナル・インフォメーション・サービスだ
ったっけ?)周波数が表示されます。
 タワー周波数を無線機に設定すると、少なくともサンフランシス
コ湾のエリアでは、タワーから着陸滑走路の指示が、画面上部にテ
ロップで流れるようです。
 またATIS周波数をセットすると、空港の気象状況や、離着陸に使
える滑走路名が、実際に英語の音声で流れます。ただし、これは地
表の気象で、フライトプラン作成に使う上層の風向風速は分かりま
せんから、メニューバー「Weather」を開き「Weather condition」
の数字を見るといいでしょう。最初は、無風か微風に設定しておい
た方が楽です。

 ラックの右上段と中段はVOR/ILS受信機です。上が「NAV1」、下
が「NAV2」と呼ばれます。その下の大きな受信機が、ADF(NDB受
信機)です。いずれも1台に2つずつ、周波数が設定できます。
 これらのリグ(無線機器)には、すでに周波数が表示されていま
すが、飛行エリアに応じて自動入力されるわけではなく。単にサン
フランシスコ・ベイエリア各地の数値が、適当に入っているようで
す。一番下はオートパイロットで、この操作パネルから実際に、ほ
とんどの設定ができるようですが、まだよく分かりません。

 では、機体をオークランド空港のランウェイ(以後RWYと書きま
す)11に止めて、各航法無線機に数値を入力しましょう。パネルか
らやるより、メニューバー「Equipment」の「Radio settings」で
ダイレクトに入力する方が、ずっと速くて楽です。

     ○

 今回はNAV1の左欄に、サンフランシスコ国際空港(KSFO)RWY28L
滑のVOR/ILS共通の周波数、109.55MHzを入れます。NAV2左欄には
出発時に使う、オークランド空港(KAOK)のVORTAC(VOR局にTACAN
=距離測定装置を併設したもの。IDはOAK)周波数116.80MHzを入れ
ます。またADFには、KSFOへの着陸進入コースの開始点として利用
する「Brijj」NDB局(IDはSF)の周波数379KHzを入力します。

 NAV1、NAV2、ADFの入力欄のそれそれ一番右には、「deg」と書か
れた欄がありますが、これはOBS(オムニ・ベアリング・セレクタ
=針路設定装置)の入力欄です。NAV1には、KSFOへの着陸に使う
RWY-28Lの方位・280度を入れます。またNAV2には、オークランド空
港RWY11を離陸直後、前方にあるヘイワード空港(KHWD)の空域を
避けるため、少々右へ変針して南下するつもりですので、このため
の針路・130度を入れます。
 ADFは…この機体のものは、ジャイロ・コンパスに連動して方位
盤が動く型なのかと思ったら、そうではなく。飛行コースに応じて
方位を手動で設定しなくてはならない、古いタイプなので。自己流
で恐縮ですが、方位は特に設定せずゼロにしておき、針の向きだけ
を読むことにします。(ごめんなさい!)

 最後に、ラジオ・ラックの下の方にある、液晶盤と回転セレクタ
ーのついた、小さなパネルを見てください。これはDME指示器で、
受信中のVORやILSへの距離を示します。セレクターを「N1」に合わ
せるとNAV1にセットした無線局、「N2」に切り替えるとNAV2で選択
した局が出ます。表示は左から距離、相対速度(つまり対地速度。
ただし横風成分を含む)、到着までの予想時間(分単位)です。
 最初は「OAK」VOR局をつかんで飛びますので、必ず「N2」に合わ
せておいてください。左端の欄に、すぐ左前方にある「OAK」局ま
での距離、0.9nmが表示されているはずです。

 …よろしいでしょうか? ではコンタクト(エンジン始動)!

     (^^)

 計器を点検しましょう。中央2段目のジャイロ・コンパスが離陸
針路110度を示し、右上から2段目のCDI-2(NAV2連動のVOR指示器)
の針が左、つまり「これから乗るコースは、機体左手にあります」
と告げています。
 右上1段目のCDI-1は、垂直の針が左に振れていますが、まだ滑走
路進入コースに乗っていないので、取りあえず忘れてください。水
平針は上に振れていますが、これは「はるか彼方にある、KFSOへの
進入コースは、まだずっと上空にあります」という意味です。

 そうそう、ジャイロ・コンパス右下の赤い「HDG」ノブを使うと、
コンパス方位盤上の赤いマーク(バグといいます)が移動して、
維持すべき方位の目印に使えます。110度に合わせておくと、何かと
忙しい、離陸上昇中の針路保持が楽です。

     ○

 ではフラップ格納のまま、エンジン全開。RWY11を離陸します。
蛇行に気をつけてください。

 地面を離れたら、いったん機首を抑えて90Ktまで加速し、この速
度をメインテイン(維持)します。
 すると上昇率はおおむね、1000FPM(毎分1000ft)くらいで安定し
ます。ジャイロ・コンパス右の昇降計で確認してください。目盛り
1つが毎分100ftで、ほぼフルスケールを指しています。(余談なが
ら…飛行機は原則として、上昇降下をエンジン出力で調整し、速度
を昇降舵で調整する、とご理解下さい)
 そのまま直進すると、高度1000ft前後で、CDI-2の針が左から中央
に振れてきます。DMEの液晶を見ると、VOR「OAK」から約2nm離れた
ことが分かります。

 CDIの針が中央へ来た瞬間、ジャイロ・コンパスで針路を130度に
変更し、以後は針が左右にそれたら、そちらへ少し変針して、針を
絶えず中央に保ちます。この状態を「OAK-VORのラジアル130度、ア
ウトバウンド(局から遠ざかる)コースに乗る」と言います。
(注:針路は必ず、磁気方位を示すジャイロ・コンパスで確認を。
HUDは真方位ですので、無線航法装置や滑走路の方位表示との間に
誤差が発生します)
 …ここでモールス信号が、「._._._」と「....」の2種類入りま
す。前者はオークランド空港RWY29(いま飛び立ったRWY11の逆コー
ス)のミドルマーカー。後者はたぶん、前方左に見えるヘイワード
空港のアウターマーカーでしょう。前方に、湾を横断する白い橋が
見えてきました。

 針路130度に乗ったら、そろそろ高度にご注意を。すぐに1500ft
に達しますから、パワーを絞りながら水平飛行に入れます。計器盤
右下の回転計を見ながら、針がグリーン・アーク(緑の弧)の中央
か、少し下あたりに来るまで、スロットルを絞ります。昇降舵を微
調整して110Ktまで加速し、パワーも調整して、以後1500ftをメイン
テインします。速度が落ち着いたら、たぶん2000〜2300回転くらい
で水平飛行が出来ると思います。

 …大変忙しくて恐縮ですが、高度と速度がぴったり合う前に、そ
ろそろADFをチェックしてください。針が右に回って、水平に近づい
ているでしょう?
 ADFは、最終進入の開始点「SF」NDBの方角を示しています。白い
橋をすぎて、針が右真横か、遅くとも真横から10度くらい下を示し
たら、針の方向に旋回します。これで機体は、いわゆるベースレッ
グ(最終進入直前のコース)に乗ります。
(少し行き過ぎてから旋回した方が、このあとの最終旋回が楽にな
ります)

 …ベースレッグに乗ったら(ADFの針が真上に来たら)、ちょうど
白い橋の向こう岸あたりを指して、巡航しているはずです。今の状態
を「ADFホーミング」と言います。このまま1500ftを維持し、まっすぐ飛び
ましょう。そろそろDMEのセレクターを、N1に切り替えておきます。これ
で、KSFOのRWY28Lまでの距離を出してくれます。

 ADFに注意してください。NDB無線局の真上へ来たら、大きく針が
回転しますから、ここで右旋回して、針路を280度に変更します。
DMEが滑走路まで7nmかそこらを、指していると思います。さあ、
ファイナル・アプローチです。

     ○

 右上の、CDI-1に注目します。左に振れていた垂直針が、中央に
向かって動いているはずです。まもなく水平針も、上から徐々に
降りてきます。両方を中央に保つため、パワーと方位を、慎重に調
整します。いま私たちは、RWY-28LのILSに乗りかけています。

 天気がよければ、もう28LとRの2本の滑走路が見えて、PAPI(進
入角度灯)が、赤灯と白灯の両方、点灯しているのが分かるはずで
す。これでぴったりコース上です。1500回転くらいまで絞って、フ
ラップを2段出し、70Kt程度でアプローチします。フラップが出る
と速度が落ち、ぐんぐん降下しますので、パワーを足して、さらに
進入します…。

(注:この飛行機のプロペラは、いまどき珍しい固定ピッチです。
上昇・降下すると対気速度の変化につれ、ペラに当たる風速が変わ
って回転数自体も変化します。従って本当はあまり、回転数はパワ
ーの指標になりません。パワー設定は本来、計器盤左下にあるコン
ビネーション・メーター4個のうち、「VAC」と書いてある吸気圧
計で行います。単位はインチHgですが、手元にすぐには資料がない
ため、いい加減に回転数で書きました。ごめんなさい)

 いま、降下率は300FPM(毎分300ft降下)くらいになっています
…といってももう、あまり計器を見守る余裕はないかも。
 でも暗夜や悪天候の場合は、計器だけが頼りです。しっかり練習
しておきましょう!
(余談ながら。標準の降下角3度を維持するための降下率は、概算
で真対気速度×5となります)

 いよいよランウェイです。
172Pの着速は…そういえば、いくらだっけ!…失速速度が確か、フ
ラップを出して40Kt強ですから、まあ50Ktで、いいのじゃないか?
さて、もうすぐだぞ。60Ktまで減速…さらに進入。

 もう滑走路の末端…高すぎる…パワーを絞って…あ、滑走路脇に
オレンジ色の吹き流しが見えます。向かい風、微風か。滑走路上で
す…引き起こし。50Ktに減速して、ほぼ水平…スムーズに、タッチ
ダウンしました!

     (^^)/

 …オレンジ色のB737が、遠くに駐機しています。おはよう、サン
フランシスコ国際空港。ではみなさん、お休みなさい。
(航空図代わりにAtlasを利用した、フライトプランの作り方などは
また後日、ご紹介します)
投票数:17 平均点:4.12

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-17 8:04
ゲスト 
 hideです。
 済みません、CDI(VOR指示器)の説明で、一つ大事なことを忘れ
ていました。VOR局に向かって飛んでいるとき(これをインバウン
ドと言います)は、CDIに上向きの白矢印が出て、その中に「TO」
と表示されます。
 またVOR局を通り過ぎて、電波が背後から飛んでくるとき(これ
をアウトバウンドと言います)は、矢印が下向きになり、その中に
「FR」(FROMの略)と表示されます。これがないと飛行中、まだ無
線局に着いていないのか、或いはもう通過してしまったのか分から
ず、非常に危険な勘違いをする恐れがあるわけです。

(確か第2次大戦中、地中海を飛んでいたB-24が、この種の航法ミ
スをしました。「おかしい、まだ北アフリカの海岸が見えない」
と悩みながら南下を続け、とうとう燃料切れで乗員がパラシュート
降下したところ、降りた場所は海ならぬ砂漠の奥地。全員が飢えと
渇きで遭難死し、真相が分かったのは戦後だいぶ経って、機体や乗
員の手記が見つかってから…という悲劇があったように思います。
まだ「TO」と「FROM」が、見分けられない装置だったのですね)
投票数:11 平均点:2.73

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-17 21:52
tetsu  管理人   投稿数: 225
tetsuです。
今回もすばらしいコンテンツを投稿していただき、ありがとうございました。

>…よろしいでしょうか? ではコンタクト(エンジン始動)!
らじゃー!!て心の中で叫んだ人、私だけ???

今週末はhideさんの教本をプリントアウトして、サンフランシスコ国際空港へフライト訓練に行って参ります。
B-24のクルーの二の舞いは踏まぬよう、気おつけます。

余談ですが...

先日、羽田から新千歳までB737で飛んでみました。
途中、ゲーム加速キーを(aキー)を使ったところ、自動操縦が間に合わずコントロール不能になってしまい、とんでもない方向に機体が向いてしまいました。
加速スイッチはあきらめて、1時間30分かけて、やっと新千歳までたどり着いたのに着陸失敗
操縦は下手、プログラムは書けない、何のとりえも無い私です...
投票数:12 平均点:5.83

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-19 1:02
Hit  常連   投稿数: 51
Hit です。

hide さん、ご教示の「電波航法」・感激しております。
私個人は、ADF(NDB) , VOR , ILS の個別に利用した IFR を訓練中でありますがドリル通りに進めて行けば、atlas の軌道も美しく
フラフラすることなく一本道となり、かつビューティフルなナイス・ランディングが出来ました!

hide さんが、きれいに投稿されているスレッドを乱したくないので関連する質問を「IFR について」に投稿しますので、
時間の取れた時にご教示ください。

なお、今回のドリルに「雲」を出現させて、いわば視界不良状態とすると「ドキドキ・緊張」してより IFR らしくなります!
(メニューから Weather の Clouds で設定します)
投票数:18 平均点:2.78

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-2-28 5:18
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
 hideです。
 少々ご無沙汰をいたしました。今日は引き続き、無線施設を利用
したナビゲーション実習の、ショート・フライトをご紹介します。
その前に、簡単な座学に、お付き合いをお願い致します。

(Hitさん、お励ましをありがとうございました!「IFR について」
のご返事が遅れていて、たいへん申し訳ありません。取りあえず、
こっちを書きかけたので、仮眠の前に送信してしまいます…)

 ■基礎旋回(ベース・ターン)と
            方式旋回(プロシージャ・ターン)■

 空港は通常、滑走路まで残り5〜10nmの進入コース上に、「最終
進入フィクス」と呼ばれる、ファイナルアプローチ開始の目標地点
が設置されています。ここを正しい高度と方位、速度、降下率、エ
ンジン設定で通過すれば、後はストレート・イン(直接進入)方式
でハッピー・ランディングです。(空路が空いていれば、ですが)
 大空港の場合ですと、最終進入フィクスとして、しばしばNDBや
VOR局が置かれています。前回の「サンフランシスコ湾・ナビ訓練」
がこれに当たり、最終進入の空中ゲートとして、空港南方のNDBを
利用しました。

 しかし例えば離島ですと、無線施設を置くための、都合のいい場
所に恵まれるとは限りません。近くの無線標識は、空港そのものに
ある無線局1局だけ、ということも珍しくありません。ではどうす
るか。
 簡単です。空港自体の無線標識を、進入の開始点に使うのです。
つまり進入機は、いきなり空港上空に直行し、そこから決められた
方位に向け、決められた距離だけ、空港から離れて飛びながら高度
を下げ、ある距離まで進出したら「回れ右」をして、滑走路に向か
うのです。

 この特殊な「回れ右」には、2つのやり方があります。
少し模式化してご説明します。正確に、南北に延びる滑走路を思い
浮かべてください。この場合ILSがあるものとします。文中の距離や
高度は、日本の離島に実際にある例です。

 ●基礎旋回●
・進入機は、任意の方向から高度2000ft以上で空港VOR上空を通過。
 (任意と言っても、南方からでないと、次の旋回が鋭角で大変)
・ここで350度の針路を取って北上しつつ、降下開始。
・空港VORから14nm以内で、右に190度旋回し、針路180度で滑走路に
 正対する。旋回終了時の高度は、1500ft以上。すでに1500ftまで
 降りていれば、いったん水平飛行に移る。
・滑走路から4・5nm地点(DMEで測定する)を高度1500ftで通過、
 最終降下を開始し、ILS進入する。

 VORを頂点とした、進入コースの往路と復路の狭角は、この場合10
度で書きましたが、空港によっては、15度前後を指定しています。

 ●方式旋回●
・高度2000ft以上で、空港VOR上空を通過。
・360度で北進し降下開始。(北方からの進入コースを逆走)
・滑走路から14nm以内で旋回しますが…以下の通り、2通りの方法
 があります。

  (1)45度方式旋回。
  いったん右に45度旋回し1分間直進。その後左へ180度旋回し、
  南西へ直進。空港VORのインバウンド・ラジアル180度または、
  空港ILSをインターセプトし、左へ45度旋回して滑走路に正対。
  めんどくさいですが、電波を使う分、正確です。

  (2)80度方式旋回。
  いったん右に80度旋回し、ロールアウト(旋回から直進に戻す
  こと)したら、直ちに左260度旋回して、滑走路に正対する。
  90度・270度ではなく、80度・260度ターンになっているのは、
  右旋回から左旋回に切り替える際、つかの間の直進が挟まるこ
  とによる位置誤差を、補正する目的です。
  この方式の旋回は、操作自体は簡単で、時間も掛かりません。
  ただし後に述べるように、風向・風速や操縦のくせによっては
  かなりの誤差が出る場合があります。

・旋回終了時の高度は、いずれもこの場合、1500ft以上です。
・その後、滑走路から4・5nm地点を1500ftで通過。ILS進入。
 …という具合です。

 ■下地島空港〜宮古空港・ナビ訓練■(マップはe120n20.tgz)
 今回は奄美群島のはるか先、南西諸島の下地島空港と、すぐ隣の
宮古空港が舞台です。下地島空港は長年、国内航空各社の訓練空港
に使われ、3000m滑走路の両側にILSがあって、かなり設備が立派
な印象です。昔のMS-DOS時代のフライトシムには、この空港を初期
訓練に使うソフトがありました。ちょっと懐かしいです…。

 今回は、サンフランシスコの時と同じ、セスナC172Pで下地島を
離陸して南下。東へ旋回して宮古空港上空に入り、空港を通り過ぎ
て基礎旋回で「回れ右」、宮古空港に着陸します。
 滑走路の長さにゆとりがあるので、そのまま離陸。ほぼ逆コース
で下地島空港上空へ。南から進入し空港上空通過後、下地島滑走路
の延長線上を北へ向かい、今度は方式旋回を使って左へ反転、下地
島に着陸します。

 下地島空港(RORS)
     滑走路17(169度)ILS「ISB」111.50MHz
     滑走路35(349度)ILS「ISA」110.90MHz
             空港VOR「SJE」117.10MHz
 宮古空港(ROMY)
     滑走路04(042度)
     滑走路22(222度)ILS「IMY」108.9MHz(一つだけ)
             空港VOR「MYC」117.5MHz
               NDB「MY」 340 KHz
 では、離陸準備に取りかかりましょう。

 ●計器の設定●
 NAV1は、左側が宮古ILS-108.9 右が下地島ILS-111.50
 HDG(針路)は最初222度、のちに169度に変更します。

 NAV2は、左が下地島VOR 117.1 右が宮古VOR 117.5
 HDGは最初168度、のちに042度、最後に349度とします。

 …メニューから風向・風速の確認は、よろしいですか? セスナ
は遅いので、10Ktも吹いていると、けっこう偏流角を生じますから
VORトラッキング時の針路決定は、慎重に行う必要があります。
それでは、コンタクト!

 ●飛行訓練●
 フルスロットルでブレーキを放し、下地島RWY-17を離陸します。
風に流されていなければ、NAV2の針が右から寄ってくるはずです。
このまま下地島VORのラジアル168度に乗って、2000ftまで上昇しま
しょう。(滑走路方位は169度ですが、VOR局が滑走路西側にあるの
で、ビームに乗りやすいよう、HDG設定を1度東へずらしました)

 8nm程度で左旋回し、いったん針路90度とします。ここでNAV2の
OBSを042度に変更し、宮古VORのラジアル042をインターセプトしま
す。このまま進むとストレート・インですが、今日は基礎旋回を練
習するため、空港上空をフライパスします。
 高度2000ftを維持してVOR上空を通過後、針路を57度に変更。
徐々にパワーを絞って、高度1600ftへ。水平飛行に移し、しばらく
針路57度をメインテインします。私は90Kt程度で飛びました。

 この時点では、VORのOBS設定が、まだ進入時の42度のままなので
NAV2の針は、57度への針路保持には使えません。いちいち直すのも
面倒なので、コンパスでいちおう57度を確認しつつ、風で流されな
いよう、宮古NDBを指しているADFの針が、真後ろ付近を向いている
ことを確認しつつ、飛べば楽だと思います。

     ○

 宮古VOR局から5nmほど進出しましたら、左旋回で195度回って、
宮古の滑走路(222度)に正対させます。
 実はこのあたりが、けっこう難しかったです。このターンは標準
旋回(1分間に180度変針する旋回率)よりは、相当大きめに回らな
いと、222度の最終進入コースに乗れません。私は小さく回りすぎ、
大きく南へ逸脱してコースをロスト。いったん北上して、インター
セプトをやり直す羽目になり。かなり、のたうち回ってから、やっと
滑走路をつかみました(^^;)。

     ○

 一息入れたら、帰路のフライトです。
 宮古空港を222度で離陸。高度を2000ftへ上げつつ、270度に変針
します。このへんでNAV2のOBS設定を、下地島349滑走路に直行する
ため、349度に変更します。(忙しいですね)
 あとは、下地島VORのラジアル349をインターセプト。そのまま北
に飛んで空港を行き過ぎ、最後の難関(?)の方式旋回です。私は
さっきの宮古上空の小回りに懲りて、ここで「80度方式旋回」を
行ったのですが…またまた後半の、260度旋回が小さすぎました。
VORのインターセプトを前提とする45度方式旋回のほうが、うまく
回れるかも知れません。
 …冷や汗三斗ながら、やっと下地島へ、ドシンと安着。お疲れ様
でした。イグニッションを切った静けさに、放心する気分です。

(私は昔、FS2000のチュートリアルで、いちおう「自家用操縦士」
のチェック・ライドに合格したのですが。その後、この方式旋回が
よく分からなくて、計器飛行のコースを中退してしまいました。
今頃になって、どっとツケが来ている感じです。わははは)

 ●旋回を巡る付記●
 かなり古い資料になりますが、手元にある両空港の進入データに
よりますと、冒頭に近い「基礎旋回」「方式旋回」のご紹介に書き
ました通り、「VOR局から14nm以内で旋回」となっています。これは
高速のジェット機で進入する場合を想定したものだと思います。

 試みに、下地島空港で基礎旋回を行った場合を想定すると、資料
では、往路と復路の狭角(VOR上空のコース角度差)は10度です。
ラフなタンジェント計算では、セスナが90Ktで飛行中に、標準旋回
(1分間180度変針)をすると、直径1nm弱の円を描くはずです。
するとVORからの進出距離が、わずか3nmあまりで、ちょうど狭角
10度がもたらすコース左右幅に、ぴったりはまります。

 またジェット機で、190Ktのアプローチをした場合も、標準旋回
によるターンは直径約2nmになります。この場合、適切な進出距離
は約7・5nmです。「空港着陸コースマップ」等に記載されている
進入データは、かなり高空から高速で降りることを前提として、
大きな余裕を見込んだものだと分かります。したがって、特に軽飛
行機で飛ぶ場合は、基礎旋回の半径を、通常の標準旋回よりは、大
幅に広げる必要があることが分かります。

 ではなぜ、私がVORから3nm前後ではなく「5nm進出後に旋回す
る」というフライトプランを立てたかと言いますと。旋回終了後に
グライドパスに乗るためには「最終降下開始地点が、滑走路から
4・5nm、高度1500ft」との前提条件があるからでして、むやみに
空港に近いところで、旋回するわけにも行かないからです。

 このジレンマを抜けるには、前述の通り、非常に大きく旋回する
必要があるのですが、その正確な位置取りと言いますが、半径決定
をどうするか。
 このあたりは、けっこう深い研究課題ですね。皆さんのご教示を
ぜひお待ち致します。

 ●感想的な付記●
 航空機操縦のように、非常に専門的な分野では、素人が読書や
ネットで知識を得ることの難しさを、時々身にしみて感じます。
ごく簡単な疑問への、簡潔にして的を射た正確な説明が、なかなか
見つからないのです。玄人に直接質問すれば、5分間で理解できる
ようなことが、たくさんあるのだと思いますが。まあしかし、文句
を言っても仕方がありません! このすばらしいフォーラムに出会
えて、皆さんと勉強できるのは、大変な幸運だと改めて思います。
少々間が開いても、ゆっくりと続けますので、どうぞ引き続き、
お付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-3-5 18:21
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
まいど本連載をお読みいただきまして、大変ありがとうございます。
「下地島空港〜宮古空港・ナビ訓練」の補足です。

 前回ご紹介しましたフライトリポートは、セスナ172Pを完全マニュアル操縦
して飛んだのですが、かなりコースが乱れてしまったので、この週末に改めて
双発セスナC310(3Dパネル機)で、何度か練習してみましたので、追加報告し
ます。今度は全面オートパイロット使用です。

 …いやあ、やっぱり格段に楽で、正確に飛べますね。
まず下地島離陸直後に、同空港のVOR「SJE」117.10MHzの、ラジアル168度に
乗る部分は、アウトバウンド(無線局から離れる)コースのため、本来の針路
から外れている場合、刻々と正しいラジアルから水平距離が離れていくことに
なるので、どうも電波をつかみにくい感じがしていたのですが…これも、必ず
しもVORに頼らず、オートパイロットの「True Heading」を使って、自動的に
169度をキープしたほうが、実際問題、手っ取り早い気もします。

 ●注●:この場合、フライトプランの記述と計器の指示は、いずれも磁気方
位ですが、オートパイロット「True Heading」欄に打ち込むのは真方位です。
下地島VOR周辺の偏差は「偏西3度」(磁石が、真北より3度西を指す)くらい
ですので、フライトプランの針路から3度引いて、「True Heading」を166度に
セットする必要があります。他の針路についても「True Heading」機能を使用
する場合は、同様に3度引いて設定してください。
 またサンフランシスコのベイエリアを飛ぶ場合は、偏差が「偏西15度」(磁
石が真北より15度西を指す)くらいですので、同様に、私の書いたフライトプ
ランや、各VOR局のラジアル数値よりも、15度引く必要があります。

     ○

 次に前回お話ししました、手動操縦の場合、ファイナルアプローチを目指す
基礎旋回が小回りになってしまい、進入コースから外れる件ですが…これも
「True Heading」機能を使ってオートパイロットで旋回すると、かなり対処が
楽です。まず90度くらい旋回しておき、Atlasの飛行経路を参考に、ひと呼吸の
間をおいて、もう90度くらい旋回すると、旋回半径をコースに合わせやすいよ
うです。ただし、飛行速度と往路・復路のコース狭角によって、この旋回半径
は変わりますので、まめにデータを取っては、日頃使う機体や空港に慣れてい
く必要があるのでしょうね。
 このあたりを考えると、オートパイロットを使う場合は、涙滴型のコースを
描く「基礎旋回」よりも、同じコース上を行って戻る「方式旋回」を使うほう
が、旋回自体の精度を出すのが楽な上、フライトプランを立てるのも、ずっと
簡単だと感じています。

     ○

 恥ずかしいことに今回、私はFlightGearのオートパイロットの使い方を、間
違えていたことが判明しました(^^;)。これまでは、針路設定欄の上にあるチェ
ックボックスが、MSFSで言う「オートパイロット・マスタースイッチ」だろう
と勘違いをして、これだけをオンにしては、「おかしい。なぜ高度保持や速度
保持が利かないのだろう」と、首をひねっていたのですが。実は、高度保持や
速度保持の設定欄にも、それぞれチェックボックスがあったのですね。3つ全
部をオンにしたら、大変あっさり、快適な全自動フライトが実現しました…。

 あとは計器の使用法で、小さなことですが新発見をしました。
空港へのアプローチ訓練をしますと、よく90度旋回や、45度旋回をする必要が
生じます。180度のターンですと「200足して20引く」か「200引いて20足す」
だけですので暗算は簡単ですが、90度や45度となると、ちょっと考えます。
 そこで、ジャイロコンパスをじっくり眺めますと、機首を上にして45度おき
に、小さなドットが打ってあることに気づきました。これは、実機では計器の
ガラス面に描いてあるものらしく、方位盤の回転には無関係に静止しています。
仮に左45度旋回する場合は、直進中に左45度のドットの位置にある方位を読ん
でおき、機首がその数値に達するまで旋回すればOK、というわけです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-3-6 4:18
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです、こんばんは。
 実践的なナビ訓練に、少々お付き合い頂いたところで、今回はフライ
トプランの立て方をある程度、本格的に勉強したいと思っております。

 最初は、VFRチャート(航空図)を使うことを念頭に置き、風の影響や
磁気コンパスの偏差を補正する「推測航法」を基礎にした、かなり実物
の軽飛行機の飛び方に近い、フライトプランの作り方を考えます。
 その後で…これは次回以降になりますが、応用編として、航空図の代わ
りにAtlasの地図画面を活用し、本物のE-6B航法計算盤(回転式の多用途
計算尺)の代わりに、フリーウェアなどを使う、よりFlightGear向きで、
手間とお金はかからないが、それなりに十分楽しめる、私たちのための
ナビ技術を、工夫していきたいと考えています。

 ■かなり本格的な、フライトプランの立て方■
 まずはVFRチャートが、欲しいところです。
 私は大昔、初めてDOSマシン用のフライトシムを購入したとき、自分で
航空図(?)らしきものを描きました。著作権料を惜しんだソフトハウス
が、VFRチャートの複製を同梱してくれなかったからです。代わりに全国
約80カ所の、VORとNDBの周波数と緯度経度、それに約30空港の滑走路方位
と緯度経度を書いた、簡単な一覧表が付いていました。本物の無線施設の
データが、実際にアプリの中で使えるなんて、これはすごいと感動しまし
た。しかしやはり、チャートがほしい。

 「地図もなしに、飛べるかあ!」
と私はつぶやいて翌日、大きな白地図を買ってきて、全国の無線施設と飛
行場を記入し始めました…。その後、書店によっては日本航空機操縦士協
会の「区分航空図」(やや大縮尺の、概略版VFRチャート)を売っている
ことを知り、全国8枚を数回に分けて買いました。新しい空港は載って
ないけど、今も大事に使っています。(実際の飛行なら、もちろん最新の
航空図が必要ですけれど)

     ○

 さて。以下のご説明は、実際にチャートが無くても、十分お読みいただ
けます。書く私の方では一応、チャートがあるつもりになって、お話を進
めます。ただし、航空路の利用や管制圏の複雑な約束事は、ほとんど知識
がないので、取りあえず除外。「こうすれば、目的地に着く」という側面
を中心に、航法計算の実際をご紹介します。例外は飛行高度で、すでに
ご存じとは思いますが、以下のようなルールがあることを、一応おさらい
しておきましょう。

 ・コースが0〜179度:
  IFRでは1000ft×奇数。VFRではさらに500ftを足す。
 ・コースが180〜359度:
  IFRでは1000ft×偶数。VFRではさらに500ftを足す。
(いずれも磁気方位。単なる機首の向きではなく、風の偏流角を除いた本
当の飛行方向です。VFRの場合は3000ft以上で適用。IFRの場合、実際は
これだけではなく、かなり複雑な規則があるようです。実機の人たちのHP
を拝見すると、やはりIFRの資格取得は、相当な難関のようですね)

 では、フライトプランを作りましょう。以下のサイトで記入用紙が入手
できますので、順に書き方をご紹介します。記入が終わったとき、あなた
はもう、飛ぶ準備が出来ていますよ。
 http://www.navfltsm.addr.com/flightplan.pdf
これはフライトシム用ですが、ほとんど実機用のワークシートと同じだそ
うです。シミュレーションでは、コンパスの自差(機体固有の誤差)が生
じないため、その記入欄は省略されています。

 ●注●:…以下のご説明は、かなり込み入っていますので、お差し支え
無ければ、実際にワークシートに架空の数値を書いたり、紙の上に架空の
針路をざっと落書きして、必要に応じ、色々な角度を書き足したり、引い
たりしてみることをお勧め致します。
(厳密には、これに上昇経路と降下経路の飛行速度と距離を加えた上で、
飛行時間と所要燃料をはじき出す必要があります。今回は少々時間が無く
て省略しました。ごめんなさい)

 ●シートの一番上には、次のような基本的な記入事項があります。
Date(日付):
Depart(出発空港名):
Desatination(目的空港名):
Cruise TAS(Kts)(巡航速度=ノット):
  厳密には、これは真対気速度(True Air Speed)と言いまして、速度
 計の読み(IAS=指示対気速度)を補正する必要がありますが、このへ
 んは、アプリによっても設定が違います。MSFSですと両方使えるので
 すが、FlightGearがどうなっているのか、じつは私も未確認ですので、
 ここでは便宜上、速度計の読みだと思ってください)

 ●シートの一番下には、目的地の空港の滑走路方位と長さ、標高を書き
  ます。いずれも厳密には、フライトシムでも必要です。

 ●シートの中央には、飛行区間ごとに、さまざまなデータを記入する欄
  が、何段にもわたって設けられています。(飛行コースには通常、無
  線標識や空港などを利用して、幾つかの中継点を設けます。混雑する
  大空港や飛行禁止区域、高山、悪天候などを避けるため、普通は目的
  地に着くまでに何回も、変針する必要があるからです)

   区間ごとの記載事項は、以下の通りです。上から順に記入しながら
  必要な計算をすると、各区間を飛ぶための航法計算が、すべて完了す
  るように作られています。

From:(区間の出発点)具体的には、空港や無線施設、FIXなど。
To: (区間の到着点)同上。
TC: (区間の針路。真方位=True Courseを、角度で記入する)
   自分で任意のコースを引いた場合は、その区間の線分の
   中央に分度器を当てて、経度の線(チャート上の垂直線)
   との角度を計って記入します。端に寄せて計ると誤差が
   出ます。
   もしヴィクター航空路(航空図に青い線で書いてある、VOR
   局同士を結んだ航空路)を飛ぶなら、この欄の記入は不要
   です。後でご説明するように、チャートに記載してある磁気
   方位が、そのまま飛行に利用できるからです。
WIND:Knots・From
 (区間の風速と風向を、ノットと真方位の角度で記入)
   実機の場合は気象通報をチェック。FlightGearの場合は、
   メニューの「Weather」から、現在の風向・風速を読みます。
WCA(R+ L-):
  (風向・風速に応じた、区間針路の修正角。あとで出し方を
   ご説明します)
TH: (区間の真針路=True Heading。TCにWCAを、加えたもの)
MH: (区間の磁気コンパス針路=Magnetic Heading。THの数値に
   偏差=コンパスの針が、真北からそれる角度=を加えます)

   例えば下地島の偏差は、偏西3度。THに3度足します。
   ニューヨークの偏差は、偏東15度。THから15度引きます。
   以下のサイトで、世界の主な地域の偏差が分かります。
   http://www.geo-orbit.org/sizepgs/magmapsp.html

   ●注●:チャートさえあれば、ことは簡単です。ヴィクター
   航空路の場合はチャート上に、ちゃんと磁気方位が書いてあ
   るので、そのままこの欄に記入します。また、任意のコースを
   引いた場合も、実はチャートを使って簡単に角度が計れます。
    チャートには、すべてのVOR局やNDB局の周囲に、直径約7
   センチ(半径10nm)の円が描かれ、磁気方位の目盛りが打って
   あります。この方位盤に、描いたコースを三角定規で平行移動
   すると、あっという間に磁気方位が判明、という次第です。

   (昔の海図では、この方位盤に、16方位や32方位を示す細い
   三角形が描かれていました。これが、まるでとがった花びら
   のように見えることにちなんで、現在でも、この磁気方位盤
   を「コンパス・ローズ」と呼んでいます。海や空のロマンを
   感じさせる、詩的な名前ですね)
Total nm:
  (区間の距離。Nautical Mile=海里で記入、読みはマイル。
   ヴィクター航空路なら、チャートにVOR局間の距離も記載さ
   れています。任意のコースを引いた場合は、定規を当てて、
   チャートの欄外に印刷された、縮尺目盛りで計ります)
GS Knots:
  (区間の対地速度=機体が実際に地面に対し、移動する速度。
   Cruise TAS=空気に対する巡航速度に、風速の影響を加えて
   出します。これは、ごく簡単なベクトル合成で得られます)

    ●解説●:紙の上に飛行方向と巡航速度を、1本の矢印で
   書きます。例えば真方位(TC)45度へ巡航速度(Cruise TAS)
   120Ktで飛ぶなら、右に45度傾いた、長さ120ミリの矢印を書
   きます。これを、三角形の底辺と考えます。
    次にこの先端に、風向・風速を示す矢印を書き加えます。
   仮に北の風20Ktなら、下向きに長さ20ミリの矢印を書きます。
   巡航速度の矢印の根元から、風向・風速の矢印の先端へ直線
   を引きます。これを三角形の斜辺と考えます。すると「風向
   三角形」と呼ばれるものが完成します。これは、あらゆるナ
   ビゲーションの原点である推測航法の、そのまた原点といえ
   る図です。
   ・底辺と斜辺の間の角度=WCA(偏流角とも言います)。
   ・斜辺の長さ     =GS Knots(対地速度)
    …という関係になっています。上記の例では、北風は針路
    に対し、向かい風のベクトル成分を含んでいますから、
    GS Knots(実際の対地速度)は、Cruise TAS(この説明文
    では、速度計が示している、対気巡航速度)より数ノット
    遅くなります。もし完全な向かい風でしたら、もちろん20
    ノットまるごと、遅くなります。

    WCAとGS Knotsは、当然ながら数値計算でも出すことが出来
    ますが、機上では作図も計算も面倒なので、普通は「E-6B
    航法計算盤」という器具か、コンピュータを使います。
Total Time:
  (区間の飛行時間。Total nmを、GS Knotsで割ります)
Fuel Rate:
  (時間当たりの燃料流量。実機はマニュアルに載っています。
   FlightGearの場合は、燃料流量計がある機種なら、あらかじめ
   巡航速度で計っておきます)
Total Fuel:
  (区間の使用予定燃料。Total Time×Fuel Rateで算出します)

     ○

 どうも、お疲れ様でした!
 以上の作業を、飛行の全区間について繰り返したら、フライトプランは
完成です。コンパスでたどるべき正確な針路も、所要時間も、必要な燃料
の分量も、すべて算出することができました。あなたは、たとえAtlasが
無くても、途中でVOR受信機が故障しても、コンパスと時計と速度計さえ
あれば、みごとに目的地に着けるのです。オートパイロットで正確な針路
と対気速度を維持すれば、十分に可能です。

(多くの軽飛行機パイロットは、戦後かなりの期間、実際にこうした推測
航法をメインに使い、無線標識をサブにして、飛び回っておられたようで
す。飛行時間を厳密に管理し、航法の精度を高めるため、離陸後は大きく
旋回して飛行速度が安定するのを待ち、その上で次の中継点への針路を取
って、飛び立った空港の真上を通過し、この瞬間に、航法計算上の「出発
時刻」を記録していたと聞きます。現在はGPSが広く普及したため、ここ
まで厳密な時刻・速度管理をしなくても、安心して目的地に向かえること
と思います。航法は時代とともに、どんどん進化しますが、ここにご紹介
したものが、基本中の基本だと思います)

     ○

 フライトプランの立て方は、詳しくはこのFlightGear日本語HPでも紹介
されている、フライトシムの航法を独習するための英文ホームページ、
  http://www.navfltsm.addr.com/index.htm
…のなかにある、「Air Navigation」の各章や、それに続く電波航法の説
明を読んでいただければ、より完璧です。

 また飛行経路を、実際の民間航空機などに近づけたい場合は、「月刊エ
アライン」誌の増刊号などで時々出版される、「出発進入経路」「空港着
陸コースマップ」といった書籍を手に入れ、エンルート(途中経路)には
実際のチャートに記載されている、ヴィクター航空路を使うと、相当リア
ルになるのではないかと思います。熱心な方は、自分が搭乗したエアライ
ンの飛行を、再現して楽しんでおられるようですね。
 では、おやすみなさい。


 ●おまけ●:磁気方位と偏差について。
 磁気方位というのは、磁気コンパスが指す、「磁北極」(北米大陸のは
るか北、北緯77度あたりにあります)を基準にした方位のことです。北極
点を「真北」とする、日常的に使われる「真方位」とは、各地でずれてい
ます。このずれを偏差と呼びます。

 偏差は地域によって違い、海図や航空図記載されています。0〜20度く
らいの地域が多いですが、北極に近い地域では50度に及ぶ場所も。磁気コ
ンパスが真北よりも西を指す場合を「偏西○度」、東を指す場合を「偏東
○度」と呼びます。

 飛行機や船のコンパスは、磁気コンパスでもジャイロ・コンパスでも、
磁気方位を指すよう作られていますので、実際の操船や操縦には、基本的
に磁気方位を使います。しかし地図は「北が上」の真方位で描いてあるの
で、最初に地図上で真方位による針路を計ってコースを決め、後で磁気方
位に換算する必要があるわけです。

 偏差の大きさは、日本列島では九州南端付近で偏西5度くらい、北海道
北端で偏西10度くらいです。アメリカ合衆国は、偏西20度から偏東20度く
らいまで、大きな幅があります。
 いずれにせよ、長距離飛行ではどんどん偏差が変わり、飛行方向がずれ
てきますので、フライトプランにも、いちいち区間ごとに偏差を書き込ん
でおき、飛行中に補正しなくてはならないのです。
投票数:22 平均点:4.55

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回お話ししました、「かなり本格的なフライトプラン」の立て方
を実地に応用して、短距離の洋上飛行をやってみましょう。私自身、
ここまで本式に、推測航法の計算をしたことがなかったので、果たし
てFlightGearで、どの程度までこの航法が通用するのか、精度を実験
してみるのも目的の一つです。
(厳密に言えば、このアプリケーションが、地球の形をどれだけ精密
に再現しているのか、とか、いろんな要素が絡んできますね)


 ■雲間の湘南フライト・伊豆大島ナビ実験■(その1 立案編)

 神奈川県の米軍厚木基地で、ネイビー・ブルーの双発セスナC310を
借用して、伊豆大島まで出かけましょう。ただし、途中から雲に飛び
込んで、計器飛行を試すつもりですので、人気スポットの湘南海岸や
相模湾の景色は、あまりよく見えないかも知れませんが…。

 C310は、もしパソコンの性能が許すなら、3Dパネル機を使うと視界
がよく、計器を拡大表示することも出来て、快適です。ただし3Dパネ
ル機は、実は燃料を満タンにすることが出来ない仕様になっており、
あまり長時間は飛べそうにありません。いっぽう2DパネルのYASim機
は、C310シリーズで唯一、燃料搭載量を自在に設定したり、燃料消費
を精密に計ることが可能で、長距離飛行にお勧めです。今回の飛行は
短いので、どちらを使われても大丈夫ですが、私は正確な燃費が知り
たかったので、YASim機を選択しました。

 次に、飛行コースの概略を申し上げます。
【第1レグ】厚木基地を南に離陸後、場周経路(VFR発着時の誘導コー
ス。滑走路を左手に見ながら、長方形に一周する、あれ)を旋回しなが
ら、巡航高度まで上昇。基地の真上を通過後、東南東約17nmにある横
須賀NDBまで直進。この区間では、有視界の推測航法に、NDBによる針路
確認と、厚木のTACANによる距離測定を加え、推測航法がどの程度外れ
るかを観察し、必要なら以後のコース・データを補正します。
【第2レグ】その後、横須賀NDB上空で、さらに高度を上げて雲に入り、
南南西へ変針します。ここからは視界ゼロの計器飛行で、しかも一時的
に電波航法をカットし、コンパス頼りの推測航法に絞って、伊豆大島の
三原VORをめざします。同VOR上空の到着予定時刻に、旋回降下で雲から
出て、正確に目的地に着いたかどうか確認。その後、改めてファイナル
・アプローチのためVORとNDBを受信し、高度を下げつつプロシージャ・
ターン(方式旋回)を実施して、南方から大島空港のILSをインターセプ
トします。
 はたしてどの程度、うまくいくでしょうか。楽しみですね。

●注1●:FlightGearメニュー「Weather」の設定は、次の通りにして
     みました。離着陸は楽にこなし、上空では航法精度を検証
     するため密雲の中に入って、わざと強い横風を受けます。

 風向・風速:2000ft未満のレイヤーは、0度(北)の風5kt。
       2000ft以上のレイヤーは、270度(西)の風25kt。
 視   程:2700ft以上のレイヤーは、100m以下。(ほぼ濃霧)
 雲の出し方:2500ft以上のレイヤーのみ、多く厚く。

 同様に、航法の精度を確認するため、飛行中はAtlasのウインドウを
隠しておきます。あとから飛行経路を検証しましょう。
飛行高度は、第1レグを1800ft、第2レグを3000ftとします。

     ○

 では、フライトプラン(区間ごとの航法計算表)を作りましょう。
前回のおさらいをしながら、計算を簡略化する方法や便利なツールを
ご紹介します。まず第1レグ、厚木TACAN・横須賀NDB間から作ります。

 今日はVFRチャート(航空図)の代わりに、Atlas地図画面を使い
ましょう。FlightGearの起動に先立ち、まずAtlasだけを起動。関東
地方から厚木基地を探します。基地にはVORのマークで「Atsugi TACAN」
とだけ書いてあります。これは…DMEと同じもので、距離は分かるが、
VORのラジアルは、発射されていない無線施設のようです。

(民間用のVORは通常、距離測定用のDMEという施設を併設し、正式に
はVOR/DME(航空関係者の発音はヴォルデメ)と呼びます。軍用飛行場
ではDMEの代わりに、機能の似た軍用のTACANを使うことが多く、VORと
併設の場合はVOR/TAC(ヴォルタック)と呼びます。しかし厚木のよう
に、VORがなくてTACANだけのケースもあるのですね。昔ながらのGCA=
Ground Control Approach=つまり進入機をレーダーで観察し、無線電
話で誘導する着陸方式を使っているのでしょうか。GCAは海上自衛隊も
使っていて、私が会った哨戒ヘリのパイロットには「計器を見るより、
肉声で誘導されるが好き」という人もいました)

 フライトプラン記録用紙の、記入項目を埋めていきましょう。前回、
ダウンロード方法をご紹介した、ワークシートに基づいてお話しします
が、ご自分で、より使いやすい書式を工夫されるのもいいですね。

Date(日付):
Depart(出発空港名):厚木基地
Desatination(目的空港名):大島空港
Cruise TAS(Kts)(巡航速度):130kt
  (C310は公称7500ftで144kt。やや速度を落として、各種の作業に
   時間的余裕を取ります。また130ktなら、上昇速度としても兼用
   できるので、操縦が少し簡単になります)

【第1レグ】
From(区間出発点) :Atsugi Naf(厚木海軍飛行場 RJTA)
           Atsugi TACAN 11510.00 KHz
To(区間の到着点) :Yokosuka NDB 249KHz(YU)
TC(区間の針路)  :真方位(True Course)で152度。

●解説●:このTCを求めるには、二つの方法があります。
     一つは、Atlas画面に分度器を当てる。これは大変、実用的
     な方法です。

     もう一つは、「Virtual E-6B」というツールに、両地点の
     緯度経度を入れて、針路と距離を一度に出す方法です。
     私としては、ぜひ後者を試されますよう、お薦めします。
      「Virtual E-6B」は、zeek52さんが紹介された英語サイト
     「Flight Simulator Navigation」の中にある、フライトプラ
     ンの立て方を詳しく解説した「Plot a course」という章…
     http://www.navfltsm.addr.com/basic-nav-plotcourse.htm
     …の下の方に、ベクトルで横風成分を出す「風力三角形」
    (前回「風向三角形」と書きましたが、誤りでした。ごめんな
     さい)の作図例や、実物の「E-6B」航法計算盤の写真の後に…

    「The Virtual E6-B
     (中略)
     【Click here】 to download this handy utility.」

     …というボタン(リンク下記)があり、ダウンロードできます。
     http://www.navfltsm.addr.com/ve6b.zip

     「Virtual E-6B」は、優れた多用途航法計算機です。全機能は
     別の機会にご紹介しますが、取りあえずは解凍後、起動して
     「Lat/Long」(緯度と経度)というボタンを押してください。
     上段に「Departure Latitude」と「Departure Longitude」
     (出発地の緯度経度)、下段に「Destination Latitude」と
     「Destination Longitude」(目的地の緯度経度)という欄が
     ある、小さな操作ウインドウが現れます。
      ここでAtlas画面をドラッグし、飛行機型のカーソルを厚木
     VORTACの上に合わせると、画面右下に緯度経度が出ます。この
     数字を、「Departure Latitude」と「Departure Longitude」
     に入力してください。同様に、Yokosuka NDBの位置を計って
     「Destination Latitude」「Destination Longitude」に入力
     します。東経と西経を表す「E」「W」ラジオボタンを、忘れず
     「E」にしておいてください。同様に、緯度のラジオボタンが
     「N」(北緯)になっているか、ご確認ください。
      入力後「Compute!」ボタンを押すと「Great Circle」(大圏
     コース)と「Rhumb Line」(ラームライン=等角航路)の両方
     で、目的地への真方位と距離が出ます。今回は出発地と目的地
     が近いので、いずれのコース表記法でも、距離が16・79nm、
     針路が152度(真方位)くらいになると思います。
     ワークシートのTC欄に、この距離と方位を記入してください。

●注2●:ついでながら。Atlas画面で区間距離を計るには、物差しを当て
     て何センチあるか計った後、画面上の縦軸に打ってある、緯度
     の目盛りに照合してください。緯度の1分(1度の60分の1)
     が1nmです。厳密には誤差がありますが、一応実用になります。
      間違って、横軸の経度目盛りを使わないよう、ご注意下さい。
     経度目盛りは、赤道上で緯度目盛りと同サイズですが、緯度が
     増すにつれて、どんどん短くなり、南北極点でゼロになります。
     距離測定に使うと、大きな誤差が出ます。

WIND:Knots・From(区間の風速と風向)
   通常はメニューの「Weather」から、現在の風向・風速を読みます。
   今回は「注1」でご紹介した通り設定しましたので、この区間は
   「5kt・0度」と記入しておきます。

WCA(R+ L-):
  (風向・風速に応じた、区間針路の修正角)
●注3●:前回は、わざわざ「風力三角形」のベクトルを作図しましたが
     きょうは「Virtual E-6B」が、再び大活躍します。
     「Winds」というボタンを押してください。4つの入力欄が現れ
     ますから、上から順に数値を入力しましょう。

     Wind Direction:風向を「0」(度)と打ち込み。
     Wind Speed  :風速を「5」(Kt)と打ち込み。
     True Course  :TC欄に書いた針路「152」(度)を打ち込み。
     True Airspeed :巡航速度の「130」(kt)を打ち込み。
      …最後に「Compute!」を押すと、
     Ground Speed(対地速度)   :134.4kt
     True Heading(風修正済み針路):151度
     WCA(風による針路の修正角)  :1度Left
      …と、修正値の計算結果が出ます。その結果は…

     北の風5ノットによって、飛行速度は約4ノット得をします。
     右へ1度流されるので、針路を左へ1度補正して飛びます。
     非常に細かい補正値ですが、今回はオートパイロットを使い、
     精密に飛んで、ナビ計算の成果をみることにしましょう。

TH: (前述のTrue Heading。TCにWCAを加算したもの)今回はすでに
   E-6Bで算出したので、そのまま「151」と記入しましょう。

VAR W+ E-:コンパスの偏差(Variation=真北とのずれ)。
     (ごめんなさい! この項目は前回、落ちていました)
     偏西(西へのずれ)なら、その数値を真方位に足す。
     偏東(東へのずれ)なら、その数値を真方位から引く。
     湘南海岸方面の偏差は…
      http://www.geo-orbit.org/sizepgs/magmapsp.html
     …を参照しますと、おおむね偏西6度くらいです。

MH: (磁気コンパス針路=Magnetic Heading)
     THの数値に、偏差を足すか引くかして算出します。本欄には
     前述のTH(151度)に6度を加えた、157度を記入します。

Total nm:
  (区間の距離。Nautical Mile)
   これも冒頭に近い「解説」で、Virtual E-6Bを使って「TC」を
   計算したとき、すでに答えが出ていますね。16.8nmくらいです。

GS Knots:(対地速度)これも、すでに算出しました。約134ktです。

Total Time:
  (区間の飛行時間。Total nm÷GS Knots)計算すると、0.125時間。
  つまり7分半です。

Fuel Rate:
  (時間当たりの燃料流量)C310の場合、スペックでは17.1 USGal/hr。
  これはベスト条件ですから、今回のような低空ではもっと悪いはず。

Total Fuel:
  (区間の使用予定燃料。Total Time×Fuel Rate)計算では約2.1gal。
  とりあえずの参考数値です。これも、かなり悪化するはずです。

 …やっと計算が終わりました。ごちゃごちゃするので、必要な部分だけ
もう一度書き出します。
========================================<完成したフライトプラン>
Date:
Depart:厚木基地(RJTA)
Desatination:大島空港(RJTO)
Cruise TAS(Kts):130kt

【第1レグ】高度1800ft
From:Atsugi Naf(RJTA) Atsugi TACAN(NJA)11510.00 KHz
To: Yokosuka NDB(YU)249KHz
TC: 152deg(度)
WIND Knots・From:5kt・0deg
WCA(R+ L-) :1deg Left
TH:151deg
VAR W+ E-:6+
MH:157deg
Total nm:16.8
GS Knots:134kt
Total Time:0.125hr
Fuel Rate:17.1 USGal/hr
Total Fuel:2.1gal

 頑張って、次の区間も計算しましょう。

【第2レグ】高度3000ft
From:Yokosuka NDB(YU)249KHz
To: Mihara VOR/DME(OSE)109.85MHz
  (Oshima RJTO RWY-03 ILS-109.35MHz)空港も、書いておきます。
TC: 206deg
WIND Knots・From:25kt・270deg
WCA(R+ L-) :9.9deg Right
TH:215.9deg
VAR W+ E-:6+
MH:221.9deg → 222deg
Total nm:27.6
GS Knots:117.1kt
Total Time:0.236hr(14.1min)
Fuel Rate:17.1 USGal/hr
Total Fuel:4gal

【総計】
所要時間 約24分半
消費燃料 約6.1ガロン
 …実際は、上昇と進入・着陸があるので、これより時間も消費量も、
かなり増えるはずです。

 上昇経路と降下経路を設定して、それぞれ1つのレグにするのが本当
ですが、今回は航法計算の実証試験ということで、あっさり省略します。
 大長文になりました。次回はいよいよ、フライト・リポートです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
ちょっと訂正させていただきます。12日にアップロードした、
■雲間の湘南フライト・伊豆大島ナビ実験■(その1 立案編)
の中に、以下のような記述があります。

「基地にはVORのマークで「Atsugi TACAN」とだけ書いてあります。
これは…DMEと同じもので、距離は分かるが、VORのラジアルは、
発射されていない無線施設のようです。」
 これは間違いで、TACANは方位データも発射しています。ただし
VORとは周波数もまったく違うため、民需用のNAV受信機では使えな
いだけでした。ごめんなさい。
(そういえば昔、リチャード・バックの作品「夜と嵐をついて」の
中に「TACANの針が揺れて、○○上空に来たことを示した」という
表現がありました。こりゃ、方位を示す計器に違いありませんね)

 なおTACANの距離測定機能は、DMEそのものなので、FlightGearの
DME受信機で使えます。(この湘南フライトでも補助的に使います)
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回作った「少々本格的なフライトプラン」を使って、相模湾を飛び
ましょう。使用機は、双発のセスナC310です。初めての方のため、主な
速度設定を書いておきます。
(「KIAS」とは、ノット表記のInstrument Air Speed=指示対気速度の
ことです)
Stall speed, full flaps (Vso): 63 KIAS(失速速度:フラップ使用時)
Rotation speed (Vr): 80 KIAS     (離陸時、操縦桿を引く速度)
Normal climb: 115-130 KIAS        (通常の上昇速度)
Maximum cruise speed: 189 KTAS at 8,000 ft(最大巡航速度)
Econo-cruise speed: 144 KTAS at 7,500 ft (経済巡航速度)
Approach speed (Vref): 110 KIAS      (進入速度)
Landing speed: 90 KIAS          (着陸速度)

 …C310は、単発セスナより一段高速で、上昇力にも余裕があります。
同時に、ジェット機よりずっと小回りが利き、少々短い滑走路でも離陸
が可能。なかなか、使い勝手のいい飛行機です。
 注意すべき点としては、軽飛行機の割には、アプローチと着陸が高速
です。もし速度を落とし過ぎると、情け容赦なく失速し、スパイラル・
ダイブに入るくせがあります。またフラップが最大角ですと、失速の危
険を感じてエンジンを全開しても、なかなか加速してくれません。
 それと…プロペラは手動の可変ピッチですが、うっかり巡航時のハイ
ピッチのまま、アプローチに入った場合、着陸をやり直そうとしてエン
ジンを開いても、これまた加速(=上昇)してくれません。必ずローピ
ッチに戻してから、ファイナル・アプローチに入りましょう。


 ■雲間の湘南フライト・伊豆大島ナビ実験■(その2 飛行編)

 厚木基地(RJTA)のRWY-19で、離陸準備にかかります。
YASim機をお使いの場合は、まず燃料を満タンにしましょう。メニューの
「Equipment」から「Fuel and Payload」を選択し、4つの燃料タンクの
スライダーが、いずれも一番右に寄っていることを確認します。合計で
162ガロンくらい入ります。今回のフライトプランですと、タンクの半分
以下で十分ですが、将来の長距離飛行に備え、データ集めのため満タン
重量で飛んで、燃費を計ることにしました。

 天候も設定しましょう。「Weather」を開き、風のレイヤーは2000ft
未満で風向0度、風速5kt。視程は最大に。2700ft未満で風向270度、風
速25Kt、視程最大。それ以上では、風向風速は同じで視程100mとしまし
た。雲は、2500m以上で全天曇りです。設定は次の通り。

・Weather Conditions
Layer Elev(ft) Wind dir Wind Spd Vis(m)
3   9000   270    25
2   2699   270    25    100
1   1999   0     5    16093

・Clouds
Elev Coverage Thickness
2500 Overcast  2000
 (実際の飛行では、私は後述の通り、いったん設定を間違えました。
  ここにご紹介したデータは、修正済みのものです)

 次は無線関係です。
COMを使うのでしたら、厚木はATIS(空港情報の放送)が246.8MHz、管制
塔は126.2MHzです。大島空港は、FlightGearには、なぜか周波数設定が
ありません。
NAV1は、左欄を空欄に。右欄に大島空港のILS-109.35MHzを入れます。
Radialは、大島空港着陸方位の30度にします。
 NAV2は、左欄に厚木VORTACの115.10MHz、右欄に三原VOR-109.85MHzを
入れまして、Radialは大島空港滑走路の反方位・210度としておきます。
(これをインターセプトすると、方式旋回で着陸コースが拾えます)
ADFは、左欄に横須賀NDB-249KHzを入れておきます。DMEを「N-2」(NAV
2信)に合わせておきましょう。

 最後にオートパイロットにも、あらかじめ入れられる数値を、入れて
おきます。
 針路:「True Heading」のラジオボタンを押し、第1レグのTHである
    151度を入力。チェックボックスは、まだ空欄にしておきます。

    ●注●:オートパイロットは、真方位による針路(TH)を使い
        ます。誤ってフライトプランの「MH」(磁気方位針路)
        を入れないでください。これはジャイロ・コンパスを
        使って飛んだり、VORやNDBの設定に活用します。

 速度:「Speed with throttle」のラジオボタンを押して、「130」と
    入力します。チェックボックスは、まだ空欄にしておきます。

 高度:「Altitude Hold」のラジオボタンを押し、第一レグの飛行高度
    1800(ft)を入力します。チェックボックスは、まだ空欄にし
    ておきます。

 ●あらゆる誤差を、最小に●
 厚木基地のRWY-19から、エンジン全開で離陸します。
曇り空に浮いたら、滑走開始時刻をメモ。7時37分でした。
C310は、C172Pよりも車輪サスのストロークが長く、ダンパーも柔らかで
す。そのため滑走時に操舵するとロールが大きく、結構ふらつきます。
早め早めに修正舵を打って、機首が反応し始めたら、操縦桿のカーソル
「+」を、早めにそっと、中立に戻すよう操舵すると、比較的まっすぐ
走ります。うまくいくと、ほとんど左右傾斜なしに離陸できます。
 さあ、機首上げ速度の80Ktです、ローテーション!
 …うまく、いきましたか?…

 エアボーンしたら、直ちにギアを格納。単発の172Pと違い、離陸直後
から、あまり機首を抑えなくても加速し、どんどん上昇します。適当な
タイミングで、オートパイロットの高度・速度保持を使いましょう。

 飛行場の場周経路(長方形の発着誘導コース)を回って、TACANのほぼ
真上に来たら、航法上の「出発時刻」を記録します。私の場合、シミュ
レーション上は、計器パネルの時計で午前7時43分でした。第1レグの
航法誤差を少なくするには、巡航に使う針路=152度に、なるべく近い角
度で、空港上空を通過するのがコツです。

 ●燃費も抑える●
 黒いスロットルの右にある、青いプロペラピッチ・レバー(2本)が
離陸時のローピッチ(一番上)のままになっていますので、中央あたり
まで引いて、ハイピッチ寄りに変更し、巡航に備えます。針路もTACANの
直上付近で、オートパイロットに切り替えましょう。

 …ここでちょっと、問題が起きました。オートパイロットの針路保持を
入れたとたん、なぜか高度保持が、勝手に外れてしまいました。いったん
チェックマークを外して入れて、なんとか復活。(まあ実機でも、オート
パイロットはまれに、不具合が見つかるようです。F4ファントムなんて、
初期型は突然、急降下に入るくせがあったそうですね)

 7時46分。行く手に相模湾が見えました。江ノ島は、どこかな?
ADFの針が、ぴたり正面に、横須賀NDBを捉えています。しかし窓外に広が
るのは三浦半島に面した海で、当分、横須賀市が見えてくる気配はなし。
これで本当に、7分半で横須賀に着くのでしょうか。どっかに計算ミスは
ないのか。推測航法というのは、どうもやたらと時計が気になります。
 エンジンは、オート・スロットル任せで2200回転、吸気圧15インチHgを
維持。両計器の針は、グリーン・アーク下限付近を指しており、かなり経
済的な巡航状態のセッティングに、なっているはず…です。

 不安を抱えて飛ぶうちに、もやをついて、ようやく横須賀市が見えまし
た。横須賀NDBの所在地を示すらしい航空灯台も、左下に輝いています。
7時50分46秒、ADFの針が正面から左へ急速に振れ、横須賀NDBのアビーム
(真横)通過を確認しました。
 飛行計画に対し、到達時刻の誤差は1分以内です。水平距離は左0.5nm
(約900m)のずれ。うむ、けっこう順調です。念のために緯度・経度も
HUDの表示を使って、記録しておきます。35.11.624N-139.36.422E。燃料
は残り150ガロン。

 ●視界ゼロで大島へ●
 ここで左旋回上昇に入り、3000ftで第2レグのTH、216度に向けて定針
します。航法上の出発点となる、横須賀NDBの真上をなかなかつかめず、
数分間旋回しました。第2レグ開始時刻は、午前7時57分半。大島の三原
VOR到着予定時刻は、午前8時12分ごろ。現在の燃料残は144ガロン。
 ちょっと燃料消費が激しいので、2本の赤いミクスチャー・コントロー
ルレバーを、下へ半分ほど引きました。これは本来、高々度で使うもので
す。低空で、あまり混合ガスを薄くしても、パワーが落ちるだけですが、
あえて少々薄めにして、様子を見ました。

 実はこの時点で、私は雲のレイヤーと視程の設定を間違っていて、上昇
してもさっぱり、雲中飛行になりません。大島に向けコースを定めてから
設定を変更し、視界ゼロになりました。普段はあまり、計器で姿勢を保つ
練習をしていないので、人工水平儀を頼りに飛ぶのは、たとえオートパイ
ロットを使っていても、少々緊張します。
 窓の外は、ミルク色の霧。伊豆大島は本当に、この前方にあるのかな?
という気分になってきます。計算を信じつつ、さらに飛ぶのみ。

     ○

 コクピットの時計が、やっと到着予定の、8時12分になりました。
さあ降下準備です。緯度経度(34.45.397N-139.21.232E)と燃料の残り
(136gal)を記録。ミクスチャーをフルリッチ、プロペラもローピッチ
に設定。雲の下、三原山の山頂(約2500ft)がどこにあるのか、ちょっ
と気になっています。視界を広げるため、計器パネルの位置を少々下げ
ました。(SHIFT+F5)
 オートパイロットを、速度保持だけ残してディスエンゲージ。スロッ
トルを大きく絞って、左60度バンクのスティープ・ターンで、らせんを
描きながら、1000ft/min前後の急降下。これは、現在位置をあまり変え
ずに、高度だけ殺したいときの、軽飛行機や、モーターパラグライダー
の飛び方だそうです。雲の中へ、Here we go!!

 …2500ftを割ったあたりで、スポンという感じで、雲から出ました。
わわっ!! 正面に緑の三原山が。よくみれば、すぐぶつかる距離ではあ
りません…が山頂は、こっちより少し高い位置。
 航法はビンゴです。でも危なかったです。あと1.5nm東へずれていたら
お山を直撃。米軍の管制ミスで起きた、戦後初の墜落「もくせい号」事
故の再現(?)になるところでした。
 航路周辺に1カ所でも、雲底に近い高さの場所があったら、かなり手
前から雲の下に出なくてはならない、というわけですね。

 山頂を避けて南へ旋回、改めて位置確認。34.43.399N-139.21.775E。
ほぼ真北に、大島空港がインサイトしました。山かげからランウエイが
ちらりと見えます。試しに三原VORを受信すると、距離はたった3.4nm。
このまま、降りちゃおうか。

 計器盤は午前8時16分ですが、実世界は夜中過ぎ。正直いささか疲れ、
わざわざ空港上空を行き過ぎて、プロシージャ・ターンを打つのが面倒
になりました。そのままVFRで接近し、滑走路脇のPAPI(進入角度灯)
をにらんで、あっさりランディング。ところが飛行機は、もう一度飛び
立とうと、勝手に加速。減速に苦労しつつ蛇行しながら、はっと気付き
ました。オートパイロットの速度保持を、外し忘れたのです。イグニッ
ションをオフにして、やっと停止。我ながら…ドジだなあ(^^;)。

 ●自己評価と課題●
 第2レグの飛行誤差は、水平距離で南(コース左)に約0.5nmのずれ。
前後方向は、約1.5nm行き過ぎでした。今回初めて、ほぼ実機並みの推測
航法をやったにしては、まずまずの出来でしょうか。少なくとも、大き
な間違いは、なかったわけですね。
 ただし誤差は、飛行距離が増すにつれて累積・増大する要素と、そう
でないものがあります。もっと長距離を飛んでみないと、そのへんが、
よく分かりません。また今回は、風向・風速を固定しましたが、これを
変化させるとか、ナビのリアリティーと難度は今後、幾らでも上げるこ
とが出来そうです。
 私は目下、FlightGearによる世界一周の途上で、ニュージーランドに
「滞在中」ですが、太平洋の島々をたどり、出発地・松山へ向かう長い
家路が、ますます楽しみになりました。いろんな航法を試してみるつも
りです。

 その一方で、気に入っているセスナC310は、燃料消費に大問題が。
以前からどうも、公称スペックに比べ、非常に大食いだと感じているの
ですが。今回も、残燃料130galから計算しますと、やや混合気を絞った
第2レグでさえ、ガソリン消費は、フライトプランの7倍(!)に当た
る14ガロンです。これを解決しなくては、とても海は渡れません…。
投票数:15 平均点:1.33

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。

●伊豆大島ナビ実験・おまけ●
同じフライトプランで、「a」キーを使って4倍速の飛行を試みました
が、推測航法の精度は変わりませんでした。
 風によるドリフトの影響は、加速しても、通常速度の飛行とまったく
同じです。当たり前と言えば、当たり前なのですが、実証できました。
これで安心して、あらゆる長距離飛行で、加速モードが使えます。

 ただし時間経過の加速は、私の場合、どうもうまく行っていません。
うっかり使うと、タイムマシン映画みたいに、恐ろしい勢いで朝になっ
たり夜になったりします…。そのため加速時には「t」キーは使わず、
機内の時計表示をメモして、倍速計算をしています。

     ○

 今回の航法計算を、劇的に簡単にしたナビ・ツール「Virtual e-6b」
の全機能を、以下にまとめておきます。

●Conversion(換算機能が盛りだくさん)
・Distance:
  距離。nm、sm、Kmの相互換算。
・Crosswind:
  横風。滑走路に吹く風の、滑走路に対する角度と風速(kt)を入力
  すると、横風成分を出す。
・Temperature:
  気温。摂氏と華氏の換算。
・Pressure:
  気圧。インチHGとミリバールの換算。
・Mass
  質量。ポンドとキログラムの換算。
・Volume
  容積。ガロンとリットル換算。
・Climb Rate
  対地速度と1分あたりの上昇・降下率(昇降計の読み)を入れると
  1nmあたりの上昇・降下率が出る。
  (例えば、目的地までの距離に応じて、高々度からの降下開始タイ
   ミングを逆算することが可能です)
●D-Alt
  海面からの高度、高度計の気圧設定値(inchHG)、気温を入れると
  Density Altitude(密度高度=エンジンや機体構造解析に使う)と
  Pressure Altitude(気圧高度=空力や操縦の解析に使う)が出る。
  (FlightGearでは、あまり使わないと思います)
●Lat/Long
  出発点と目的地の緯度・経度を入れると、2点間の距離と針路を、
  大圏コースとラームライン(等角航路)の両方で出す。
  (超便利! 無線施設はもちろん、山や岬など任意のランドマーク
   も、Atlasで緯度経度を計れば、航法計算の中継点に使えます。
   つまり、これさえあれば自由自在にコースが引けます。ただし、
   大圏コースについては、距離は正確ですが、針路は出発点の部分
   しか表示してくれません。
    そこで、もし本当に、大圏コースで長距離を飛んでみるのでし
   たら、リンドバーグがやったように、全コースを幾つもの区間に
   分割し、それぞれを直線のラームラインと見なして、個別に距離
   と針路を算出し、一覧表に書き出す必要があります。ただし以前
     ■ラーム・ライン(rhumb line=等角航路)をつかう■
    …でご紹介しましたように、大圏コースとラームラインの距離
   差は、想像以上に小さいので、通常はラームラインで飛べば十分
   だと思います)
●PP Nav
  出発地の気圧と到着地の気圧、平均緯度とTAS、nmを入れると
  Pressure Pattern Navigation(気圧差による追い風利用航法)の
  ドリフト量と修正角が出る。高気圧の吹き出しと低気圧への吹き込
  みは、いずれもコリオリ力(緯度により変化する)でカーブするの
  で、そのカーブに乗る経路で飛ぶと、時間と燃料の節約になる。
  (この航法は第二次大戦中、米国で実用化されました。FlightGear
  には、高気圧と低気圧が特にないので、使えそうにありませんが)
●Speed
  CASと高度、気圧、外気温を入れると、TASとマッハ数が出る。
●W&B
  重心位置の計算表。(FlightGearの一部機体は、同乗者の体重や、
  手荷物の重量まで設定できるので、利用価値があるかも)
●Wind
  風向と風速、TCとTASを入れると、GSとTrue Heading、WCAが出る。
  (便利!!! これは、推測航法の計算には欠かせない機能です)
投票数:19 平均点:3.68

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-3-29 0:58
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
少々、ご無沙汰を致しました。

 先日ご紹介させて頂いた「伊豆大島ナビ実験」の後、フライトプラン
の書き方や飛び方について、多少工夫をしましたので、まずそのご報告
をします。その後で、「ナビ実験」の航法を実地に使った、私のニュー
ジーランドの「旅日記」へと、お話を進めていきましょう。

 ●フライトプランをExcelで:
 まず、フライトプラン記入用紙ですが…以前ご紹介した、ダウンロー
ドしたフォーマットに、いちいち手書きするのは大変ですので、Excelで
簡単な表を作ってみました。
 フォーマットにある各項目を並べ、針路補正の足し算引き算や、飛行
距離・時間・燃費の合計を出す程度ですが、こんなものでも、あれば作
業が楽です。
 ただ、このままでは、ナビの基本骨格となる推測航法の計算部分しか
なくて、あれこれ不便なので、中継地点に利用する、無線施設名や周波
数、山頂などの目標物の緯度経度…などを記入できる、大きなメモ欄を
新設。また中継地点への到着時刻と出発時刻、燃料の残量の記入欄など
も設けました。
 中継地に「到着時刻」だけでなく「出発時刻」も用意したのは、航法
を間違えた場合、いったん旋回して、中継地の真上を正確に通過し直す
ためです。こうすれば、次の区間に累積誤差を持ち込まずに済むわけで
す。まあ、小さな誤差でしたら、そのまま飛びますけれども。
 あとは「a」キーによる、加速モードを使った場合の経過時間処理に
も、倍速時間を記録する、専用の記入欄が要るとか、まだ課題がありま
すので、徐々に改良する予定です。

 ●Atlas地図・標高の色表示:
 次は、Atlasの地図画面から、標高を読む方法について。
先日は伊豆大島の三原山に、ちょっとニアミスをしましたので。Atlas
を見ながらフライトプランを作る場合に、画面の色表示から標高を知り
たいと思い、富士山をufoで飛んで、表示色別の高度を計りました。
地図上の色分けは、次のようになっている模様です。(地表テクスチャ
の色彩とは無関係です)

 ・薄緑色      :0ft以上。
 ・緑色       :500ft以上。
 ・肌色       :1000ft以上。
 ・褐色       :2000ft以上。
 ・茶色       :3500ft以上。
 ・赤みがかった濃茶色:5000ft以上。
 ・オレンジ気味の茶色:7000ft以上。
 ・白        :10000ft以上。
 ・緑がかった褐色  :市街地。

 それと、オートパイロットを使った飛び方で、ささやかながら、便利
な発見がありました。これは、以下にお話しする、ニュージーランド飛
行のなかでご紹介しましょう。


 ■NZ縦断…案外険しかった「指輪物語」の旅路■(前半)
          (使用マップは e160s50 e170s50 e170s40.tgz)
 私は昨年12月、南米からTu114で南極横断飛行を試み、ニュージーラン
ド南島のほぼ南西端、インヴァーカギル空港(NZNV)に到着しました。
その後、C310で北島まで飛んで、風光明媚な高原や海岸の小さな飛行場
を訪ねて遊んでいたのですが、この連載を通じて、多少まともに航法を
勉強したのを機会に、もう一度南島の西端から、ニュージーランド縦断
飛行をやり直すことにしました。

 ●冬景色を楽しむ:
 ニュージーランドといえば、最近思い出すのは、雪と岩に包まれたサ
ザン・アルプスです。映画「ロード・オブ・ザ・リング」を観たとき、
「えらく立派な雪山だが、アルプスでもなさそうだし…どこ?」と首を
ひねりましたが、あれはNZのサザン・アルプスだったのですね。最高峰
のマウント・クックは富士山より22m低く、他は3000m級が十数座だそ
うで、いわば日本アルプス並みですが、見かけはずいぶん堂々としてい
て、「さすがは、エベレスト初登頂のヒラリー卿を生んだ国だ」という
気がしてきます。
 今回はマウント・クックをはじめとする、サザン・アルプスの眺めを
堪能するため、12月にゲストさんが「Re: V0.9.9について」に書かれた
方法で、地上のテクスチャーを冬景色に切り替えました。素敵ですね、
これは。FlightGearの緑の山並みが、すっかり凛々しく生まれ変わりま
した。(南極飛行も、こうすればよかったですな)

 さて。私がExcelに打ち込んだコースは、以下の通りです。各区間の
出発地と真方位針路、距離を書いておきます。使用機はC310(YASim)、
飛行高度は7500ft、巡航速度は144Kt(いずれも一番燃費がいい数値)。
推測航法を成功させるカギは、正確な針路と速度の保持ですので、操縦
は離着陸以外、基本的にオートパイロットを使います。風向・風速は、
全行程で方位320度の風、27Ktの設定にしました。

インヴァーカギル空港(NZNV)→59.8度、81.8nm。
ドゥネディン空港(NZDN)  →23.7度、72.3nm。
オアマルNDB(OU)      →328度、82.9nm。(ここまで太平洋岸)
マウント・マリーVOR(RY)  →336度、23nm。 (内陸の谷の湖畔へ)
マウント・クック空港(NZMC)→0度、10.1nm。 (最高峰の山頂へ)
マウント・クック山頂付近  →24度、84.3nm。(タスマン海側へ)
ホキティカ空港(NZHK)   →22度、17.3nm。
               グレイマウス空港(NZGM)着。

 ●悪夢のスパイラル・モード:
 この飛行は、気楽な空のハイキングのつもりでしたが、実際に飛んで
みると、意外にも「指輪物語」並みの難行苦行(?)、というか墜落の
連続で始まりました。

 マップデータの継ぎ目を超える際、針路に不連続が生じるためと思い
ますが…オートパイロットで倍速飛行中に、大揺れを起こして横転、そ
のままスパイラル・モード(錐もみ)に入り、回復する間もなく墜落…
という例の現象が、4倍速と3倍速で、立て続けに2回発生してしまい
ました。
 ここんところ、私はこの連載を書かせてもらって、あんまり長距離を
飛んでいなかったので。主翼の短いC310は、いとも簡単に「倍速モード
大揺れ墜落」に陥ることを、すっかり忘れていました。Tu114のように、
ウイング・スパンの長い機体ですと、揺れても墜ちずに済むのですが。
大型機は操縦の反応が遅く、旋回半径も大きくてアプローチに手間取る
上、小さな飛行場に降りられないので、できれば避けたいのです。さて
困った。

 ●ウイングレベラーを使う:
 そこで今回、初めて本格的に、オートパイロットのウイングレベラー
機能を使いました。アプリケーションによっては、多少機能に違いがあ
るようですが、FlightGearのは、単に安定を保つのではなく、その時の
機首方位をロックする仕組みなのですね。
 実際に使ってみると、さんざん苦労した「大揺れ問題」は、ぴたりと
解決しました。操作法としては、オートパイロットの「True Heading」
や「NAV1 CDI Course」機能で、目標への針路を決定し、HUDのコンパス
表示(拡大表示なので見やすい。また真方位なので、「True Heading」
設定針路が換算なしで読める)を使って、針路が設定値に落ち着くのを
見定め、おもむろに、ウイングレベラーに切り替える感じです。

 ●とうとう、寝てしまう:
 さて。これでもう大丈夫かと思ったら、3度目のトライでは第3レグ
を快適に飛行中、「v」キーで視界を切り替えた瞬間、パソコンがフリー
ズしてしまいました。うううん…いい加減、いやになってきます。

 気分転換に、機体をC310・3Dパネル機に変更。そろそろ実世界は朝な
ので、インヴァーカギル空港から、一気にNZ北島のオークランド国際空
港(NZAA)まで、437nmの直線コースを引き、オートパイロット2倍速で
飛ばしたまま仮眠。起きてみるとC310は、目的地の41nm手前で燃料切れ
を起こして、南島と北島の間のクック海峡に不時着水していました。

 計器板や機体の姿勢を調べたところ。まず左舷エンジンが停止。左へ
機首を振るヨー・モーメントを、オートパイロットが、自動的に右エル
ロンを切って修正。右へ10度ほどバンクを取ったまま、機首を上げ気味
にしてスローフライトを続け、そのまま次第に高度を失い、とうとう海
に捕まった模様です。
 C310・3D機はコクピットの視界がよく、けっこう好きな機体ですが。
燃料が仕様上、タンクの半分くらいしか入らない(!)のです。今回は
実際に400nmも飛べないという、深刻な航続力不足がはっきりしました。
 やっぱりC310の長距離飛行は、YASim機を使うしかなさそうです。
         (この稿、次回へ続きます)
投票数:17 平均点:2.94

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-4-2 21:39
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ニュージーランド縦断の、フライトリポートの続きをお届けします。
前回はセスナC310で、オートパイロットを使って3〜4倍速で飛行中、
周期的に発生する大揺れのため、スピンに入って墜落する問題を、ウイ
ングレベラーを使うことで解決しました…。改めて南半球、雪景色広が
る山々へ出発です。

 ■NZ縦断…案外険しかった「指輪物語」の旅路■(後半)
          (使用マップは e160s50 e170s50 e170s40.tgz)
 以下に一応、飛行コースを再掲しておきます。針路は、オートパイロ
ットに入力するための真方位です。(コンパスとVORには、これに偏差の
偏東22〜23度を引いた、磁気方位を使います)

インヴァーカギル空港(NZNV)→59.8度、81.8nm。
ドゥネディン空港(NZDN)  →23.7度、72.3nm。
オアマルNDB(OU)      →328度、82.9nm。(ここまで太平洋岸)
マウント・マリーVOR(RY)  →336度、23nm。 (内陸の谷の湖畔へ)
マウント・クック空港(NZMC)→0度、10.1nm。 (最高峰の山頂へ)
マウント・クック山頂付近  →24度、84.3nm。(タスマン海側へ)
ホキティカ空港(NZHK)   →22度、17.3nm。
               グレイマウス空港(NZGM)着。

 「このフライトは、VFRかIFRか」と訊ねられると、少々迷います。
FlightGearの世界では、「地上からの管制を受けつつ、定められた航空
路を飛ぶ」という意味の計器飛行は、まだ出来ないので…厳密にはVFR
に区分されるかも知れません。しかし、風向・風速による誤差を補正し
た推測航法をベースに、ほとんどのレグ(区間)で無線航法を併用しま
すので、「地上を見なくても、飛べる」という意味では、これも立派な
計器飛行ではないか、と思っています。ただしNZ最高峰のマウント・ク
ック付近は、都合のいい場所に無線施設がないこともあって、有視界飛
行にしました。

     ○

 セスナC310(2D計器パネル装備のYASim機)で、NZ南島・西南端の
インヴァーカギル空港を離陸。ギアを格納し、ついでに計器板も消して
しまって、パラグライダー並みの視界を味わいながら、左上昇旋回で、
ぐんぐん高度を獲得。まるで、鷹になったような気分です。

 ●航法の始点を記録:
 上昇を続けながら、まずオートパイロットで、経済巡航速度の144Ktに
速度保持を掛けます。この機体のReadmeファイルによると、燃費が最良
になる高度は7500ftですので、ここまで昇って高度保持をON。いったん
南西へ1nmほど離れ、第1レグの針路に機首を合わせて、再び飛行場上
空に進入。真上を通過した瞬間、計器板を表示し、機内時計を見て出発
時刻の記録を取りました。

 飛行場の中心を巡航状態で通過し、ここを起点に航法を始めるディパ
ーチャーは、現在では相当、レトロなやり方に見えます。混雑する飛行
場では不可能ですし、まずエアラインでは実施しないでしょうね(^^;)。
でも小型プロペラ機の航法精度を上げるには、非常に効果的なので、国
内でも、昔の軽飛行機操縦入門書は、このやり方を奨励していました。
(ついでながら。例えば中継地点で左へ90度旋回する場合も、いきなり
旋回すると、半径分の誤差が出ます。そこで、中継地点の真上を直進で
通過しながら到着時刻を計り、右に270度の大回り旋回をして、次のレグ
の針路に合わせてから、再び中継地点を通過して出発時刻を記録する…
という飛び方が、もっとも正しい通過法なのだそうです)

 今回のフライトは、ナビ技術の検証とともに、燃費向上実験も大きな
目的です。そこで、第1レグに入ったところで、青いプロペラピッチレ
バーを半分余り引き下げて、高速ピッチとし。赤いミクスチャーコント
ロールレバーを、やはり6割ほど引き下げて、混合気をリーン(薄い)
気味にセットしました。目安としては、回転計と吸気圧計の針が、いず
れもグリーン・アーク(適正値を示す緑のゾーン)の最低レベル付近を
指すのが、もっとも経済的ではないかと思います。

 ●ドリフト量を確認する:
 第1レグの航法計算では、横風の影響を相殺するため、機首を左に10
度振って飛ぶことになっています。なるほど、眼下の景色は正面から10
度ばかり、左へそれて流れています。ADFの針も、約10度右を向いた位置
で、ぴたりと安定しています。つまりNDBトラッキングを、正確に行って
いるわけですね。
 途中から機体を3倍速にして、計算通りの時刻に、ドゥネディン空港
とオアマルNDBをそれぞれ通過。誤差は1nm以内で、飛行距離が少々伸び
ても、さほど誤差が累積するわけでもないことが、分かりました。旅は
快調です。
 オアマルNDBから北寄りに変針し、内陸にあるマウント・マリーVORへ。
機体の右手は、そろそろ山地が広がりました。途中で、6000ftくらいあ
る稜線を飛び越え、ちょっと緊張。さっさと高度を上げればいいのです
が、燃費計測中なので、あまり負荷を変動させたくないのです。

 ●VORに奇妙な誤差:
 このレグはVORを併用しましたが、かなりCDI表示に誤差が出ました。
針路は合っているのに、つかんでいるラジアルが、どんどん左に遠ざか
っている感じです。最後は結局、OBSを連続クリックしてVORをホーミン
グし、局上空にたどり着きました。おかしい、一体何が間違っているん
だろう…。
 同VORからは、アウトバウンド・コースのラジアルに乗って、マウント
・クック空港を目指しました。無線誘導施設の全くない、小さな飛行場
で、南北に細長いプカキ湖の北端にあります。湖の左右は堂々たる山脈
で、素晴らしい眺めですが、ミスコースをしたら大変。天気をよくして
おいて幸いでした。
 冬のテクスチャーを選択したので、湖も凍結しています。その湖畔に
小さな空港を発見。やれやれ、マウント・クック空港です。ここを起点
に、マウント・クック山頂へ向かう針路にセットしました。
 ところが、また様子がおかしい。私が入りつつある谷間は小さく、山
頂に向かってどんどんせり上がり、やがて山腹で、どん詰まりになって
います。事前にAtlasの地図で確認した地形とは、ぜんぜん違う。あわて
て高度保持設定を9500ftに増やし、針路保持を解除して左へ変針。小さ
な谷間から飛び出して、プカキ湖の大渓谷に戻りました。

 ●これは、別の空港だ!…VORに入力ミス:
 せっかくAtlasを装備しているのですから、ここでちょっとナビゲー
ションのカンニングというか、Atlas画面を確認しましたところ。私は
マウント・クック空港(NZMC)の、8〜9nm手前にあるグレンタネ空港
(NZGT)を発見し、これをNZMCと誤認したことが判明。ここを起点にし
て針路を決めた結果、本来飛ぶべき谷間の、1本隣に迷い込んだのでし
た。
 またそもそも、なぜ空港を誤認したかというと。どうやらオートパイ
ロットに入力した真方位を、磁気方位を入れなくてはいけないVORのラジ
アル方位設定にも使ってしまい。その結果VOR航法が、偏差に当たる22度
分だけ狂ったのが原因です。さらに、マウント・マリーVORに向かう時、
ラジアルが「左へ遠ざかった」のも、やはり磁気方位を使うべきVORに、
うっかり真方位を入れたのが原因のようです。

 ●燃費が向上、一路ウエリントンへ:
 …前方に、壮大な山々が広がってきました。左の連山がマウント・セ
フトン(3157m)の山塊で、右にそびえる氷と岩のピラミッドが、ニュー
ジーランドの最高峰、マウント・クック(3754m)です。CGながら…美し
い眺めです。両山系を結ぶ、ちょっと低い稜線を飛び越えて、NZ南島の
分水嶺北側へ。燃費改善のため、ここで高度を7500ftに戻しました。
 目の前には、オーストラリアとの間に横たわる、タスマニア海。1nm
ほど沖に出て、海岸沿いに北東へ。無事にグレイマウス空港上空へ到着
しました。
 高度や速度の選択と、エンジンの設定がまずまず正しかったか、今回は
かなり燃費がよくなり。この時点で燃料が3分の2も残っているので、
予定を変更。北島にある首都・ウエリントン空港まで175nmの直行コース
を引き、針路を計算。4倍速にアップして飛行を続けました。

 ●NDBトラッキングで、微妙に針路修正:
 ADFで飛び方をモニターしていると、最初は針が約10度右にそれていた
のに、コースの半分を超えたあたりで、次第に右へのずれが大きくなる
感じがしました。そこで、まず右に7度変針して、ADFの針が「10度右」
に戻るまで待ち、改めて左へ2度変針してみたところ、ぴたりと修正が
決まって、その後は安定しました。
 (風向きが変わったわけでないので、これは何でしょうね。ある程度
以上の直線を飛ぶと、地球の丸みによるマップの歪みの関係で、針路に
誤差がたまるのでしょうか。新しい研究課題になるかも知れません)

 クック海峡を飛び越え、眼下にみるみる、大きな市街地が広がって…
ほうら、ウエリントン空港です。到着時のコース誤差は、わずか0・5
nmでした。目分量で、右回りのVFR着陸誘導コースに入り、いちおうILS
を受信。ファイナルアプローチに入ったところで、雪が積もっていると
PAPI(進入角を示す誘導灯)の白ランプが見えないことに気づき、ILSを
受信してよかったと思いました。滑走路を目視し、降下角だけグライド
パスで確認しながら110Ktを維持、ほぼ完璧なランディングをしました。

 ●まとめと感想●
 航法では、小さなミスも恐ろしいですね。VORの角度入力ミスは、天気
が悪ければ、山に激突でした。しかし全体としては、この飛び方で間違
いはないようです。今後は、小さな島を目指す洋上飛行も待っています
が、電波航法と併用なら、まず心配なし。推測航法だけでも、かなり行
けるのではないか、という気がしてきました。

 大変気になっていた燃費は、今回かなり改善し、巡航時の消費率は毎
分0.425gal。計算上は、満タンで807nm飛べることが分かりました。でも
まだ、正規のスペック(0.285gal/min、1395nm)の半分あまりに過ぎま
せん。Readmeテキストが指定する以外の、巡航高度・速度も試してみる
価値がありそうです。
 このへんは、FlightGearの新バージョンで、詳しく研究することにし
ましょう。
投票数:17 平均点:4.12

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 FlightGear V0.9.10公開おめでとうございます。
8日の朝一番でダウンロードしましたが、かなりサイトが混雑して、2
時間ほど掛かりました。中身はゆっくり研究させていただきますが、機
体が増えたり、マップのテクスチャーが新しくなったのが印象的です。
またナビゲーションの面では、地磁気の偏差が表示されるようになった
…と最初は思ったのですが、これは前バージョンにもある機能でした。
初めて気が付きましたが、フライトプランを立てるのに便利です。
(文末でご紹介します)


■NZ北上の旅…燃費向上大研究!■
 今回はひたすら、燃費をよくするお話です。
 ニュージーランドから日本を目指す、私のバーチャル空路はこの先、
渡洋飛行の連続です。私は、視界がよくて軽快で飛翔感あふれる、割に
小さな飛行機が好きなので、当面はセスナC310を使うつもりですが、こ
れまでは、機体添付のReadMeファイルに書かれた公式スペックと比べ、
さっぱり航続力が延びませんでした。
 最悪の場合、皆様にご協力を頂いて、C310の機体データを改造し、燃
料タンクの容積を大幅に増やそうか…とも考えましたが、まず燃費をよ
くする飛び方を探すのが、筋でしょうね。

 ・C310公式スペックの航続力:
Econo-cruise speed: 144 KTAS at 7,500 ft
Econo-cruise fuel consumption: 17.1 USGal/hr
Econo-cruise range: 2,583 km (1,395 nm)

 …これを読むと、7500ftを144ktで飛ぶと、毎時17.1galの最良燃費が
得られて、計1395nm飛べる…ように見えますが、ヒコーキとは、そんな
簡単なものではなく。例えば、時間当たり最良燃費(=滞空時間最大)
が得られる飛び方と、燃費に速度を掛けた最大航続距離の出る飛び方は、
一般的には違うと思います。上記のスペックも、それぞれの要素の最良
の値を、ばらばらに書いてあるように見えます。

 私の燃費ベスト記録は、公式スペックの高度・速度では0.425gal/min
に過ぎず、これに巡航速度(144kt)を掛けても、計算上の航続力はわ
ずか807nmです。では、どんな飛び方をしたら、最長の航続距離が得られ
るのでしょうか。これを知るには、さまざまな高度と速度を試すと同時
に、変速機に当たるプロペラ・ピッチ(操縦席の青レバー)と、混合比
を変えるミクスチャー・コントロール(赤レバー)の設定を、実際に、
細かく動かしてみるしかありません。
 (注:プロペラ・ピッチ・レバーは、FlightGearの場合、一番上か奥
のポジションが、離陸時に使う高回転のロー・ピッチ。下げるか引くか
するとハイピッチになり、プロペラの回転数が落ちて、高速飛行や燃費
節約に向きます。ミクスチャー・コントロール・レバーは、同様に一番
上か一番前方が、始動や離陸時のフル・リッチ(一番濃い状態)です。
手前か下に引くと、混合気が薄くなります。高度を上げるにつれ、空気
が薄くなって、相対的に混合気が濃くなり、エンジン回転が落ちるのを
補うために使いますが、燃費をケチるのにも、一定の効果があります。
しかし薄すぎると、実機ではオーバーヒートします。FlightGearでも、
急激にパワーが落ちます)

 ●500通り以上の組み合わせ:
 今回は、NZの首都ウエリントンから、最大の都市・オークランドへの
直線コース(259nm)を、実時間(1倍速=約2時間)で飛びながら、
あれこれ飛行条件を変えつつ、徹底的に燃費を計りました。方法は…

 ・ポーズを掛けて、4つの燃料タンクの残量表示を、小数点以下3桁
  まで記録。15秒間飛行して再びポーズを掛け、もう一度タンク残量
  を計って差を出す。
   これを4倍して1分当たりの消費量を、さらに60倍して毎時の消
  費量を出す。この毎時消費量に、巡航に使える燃料の最大容量(満
  タンから、離着陸に必要な20galを引いた量)と、現在の巡航速度を
  掛けて航続距離を出す。同時に、回転数と吸気圧、オートスロット
  ルの開度も記録する。
 ・以上の計測を、1種類の速度・高度の組み合わせにつき、プロペラ
  ピッチと、ミクスチャーコントロールを、それぞれ最小から最大ま
  で5段階に変化させながら行う。
 ・以上を、速度は130kt〜150ktで5Kt刻み、高度は6000ft〜8000ftで
  500ft刻みで実施する。

 …というものです。
 これを、手作業で計算したら死にますから、Excelで表を作りました。
出来てみると、飛行条件の順列組み合わせは計500通りを超え、ちょっと
絶句。取りあえず6500ft・130ktの場合(20通り)を計ったところ、一定
の傾向が出ましたので、以後は各種条件のうち、どう見ても燃費の悪い
プロペラピッチの低速側と、混合比のリッチ(濃いめ)側を削って、測
定を継続。同じコースを2回飛び、計87通りの測定をしました。うち29
例では、計算上の航続距離が1000nmを超えて、一応の目的を果たしまし
た。
 最良の時間当たり燃費は、高度8000ft、135kt、スロットル開度58%
(これはオート設定)、ミクスチャーコントロール70%(かなり薄め)、
プロペラピッチ95%(非常に高速寄り)で得た毎分0.232galで、これは
FlightGear機体作者の公式スペックを上回りました。
 また最長航続距離は、たまたま上記と全く同じ条件で、公式スペック
まで9nm差に迫る、1386nmを記録しました。うれしいです!

 ●ぎりぎりまで薄く、ハイピッチに:
 いざ計ってみると、燃費と高度・速度には、期待したほど、はっきり
した相関関係が見られませんでした。「この設定なら、低燃費だろう」
との予測が裏切られたり、逆にデータの飛び地のような、やや思いがけ
ない場所に、非常にいい数値が出たりしました。

 半面、ミクスチャーとピッチは、燃費との間に、非常にはっきり相関
が出ました。簡単に言えば、測定範囲のどの高度・速度でも、ミクスチ
ャー75%(薄め)、プロペラ・ピッチ75%(高速寄り)に設定すると、
ほぼ例外なく、航続距離は1000nmを超えました。
 ここから、さらに航続力を伸ばすには。プロペラ・ピッチを、あと5
クリックだけ高速側に調整し、吸気圧計に異常が出ないか観察します。
負荷が高すぎると、オートスロットルが勝手に全開まで開き、同時に吸
気圧が暴走気味に上がって、全開にも関わらず、パワーが激減します。
この傾向が出始めたら(吸気圧計の針が、グリーン・アーク=安全域=
の最大値である、25インチHgを超え始めたら)、ミクスチャー・コント
ロール・レバーを、リッチ(濃いめ)側へワン・クリックします。これ
でたいてい吸気圧計の針が、じりじりと安全ゾーンまで戻ります。実に
微妙なものですね。

 さらに欲張って、プロペラ・ピッチを高速側へ5クリック上げ。また
吸気圧計が「暴走」を始めるのを、ミクスチャーの1クリックか、2ク
リックで「鎮圧」する。こうして…非常にクリティカルな作業を煮詰め
ていくと、低燃費が実現します。

 ●本当は、排気温度も計る:
 実物のエンジンは、模型飛行機でもオートバイでも、ミクスチャーを
むやみに薄くすると、燃焼温度が上がりすぎ、オーバーヒートします。
ですから実機では、混合比はEGT(排気温度計)を見ながら調整し、完全
燃焼を意味する最高温度から、少し低い(混合気は濃いめ)位置に設定
するそうです。しかしC310のYASim版は、あいにく新バージョンでも、
EGTが不作動なので…今回は吸気圧計と、回転計だけで操作しました。
 そのため私のデータには、実機で試みたら、エンジンを傷めてしまう
ような動力設定も、含まれていると思います。
 しかしまあ、これまで燃費が伸び悩んだだけに、公式スペックをほぼ
満たすとは、夢のようです。私は文系で、ふだん実験をする機会はあり
ませんが、やはりこうした計測は、予断を持たずに、自分の仮説を絨毯
爆撃的に、データで覆い尽くして結果を見る…のが、いいようですね。

 ●VOR航法が、間違っていた!:
 ウエリントン=オークランド間を飛んでいるうちに、これまでご紹介
した航法に1カ所、間違いがあることに気が付きました。
 以前の「サンフランシスコ湾・ナビ訓練」にも出発直後に出てきまし
たが、私のフライトプランには時々、VOR局を背にして電波に乗る、いわ
ゆるアウトバウンド・コースが登場します。これをやるたびに、どうも
飛行コースが、電波のラジアルから外れるな、と思っていたのですが。
やっと原因が分かりました。
 VOR局のラジアル方位(いわゆるベアリング)は、磁気方位で表されま
す。これをNAVに入力する際、フライトプラン記入用紙の「MH」(磁気
方位による機首方位)の数字を使っていたのですが、こうすると、方位
に風向・風速の補正値が入ってしまいます。ラジアルは、単にVOR局から
の方角を示す数字ですので、ここは単純に、TC(真方位による目的地の
方角)にVAR(Variation=偏差)を加えた磁気方位でないと、いけない
のでした。どうも、ごめんなさい。以下は、正しい計算例です。

 ●計算例●:A点から、東へ100nm離れたB点への航法計算をします。
       巡航速度は140kt。風向・風速は南の風10Ktです。
       偏差(磁北の、真北からのずれ)は偏東15度とします。
       A点にはVORがあるので、東向きのラジアルのアウトバウ
       ンド・コースに乗ります。

TC(True Course):90度(真方位による目的地の方角。ここでは真東)
WIND:Knots・From
 (風速10kt、風向180度)
WCA(R+ L-):+4度(風を相殺するため、右へ4度変針が必要)
TH: (区間の真針路=上記WCAの分、変針します)90度+4度=94度。
VAR:(偏差。磁気コンパスの針が、真北から何度ずれるか)偏東15度。
MH :(磁気方位による機首方位:磁気コンパスで狙う針路)
   偏東なら、THから引く。偏西なら、THに足す。
   94度-15度=79度。
TOTAL nm:総飛行距離。100nm。
GS kt:対地速度。139.7kt(巡航速度と風向・風速から算出)
TIME :飛行時間。0.72時間。

 …ここで、VORの電波に乗るためには、NAVにラジアルの方位(いわゆ
るベアリング)を入力しますが、VORのラジアルには磁気方位が使われる
ため、東へ向かう場合に「90度」と入れたら、偏差の分だけ狂います。
ここは、真方位を偏差で修正した磁気方位(90度-15度=75度)を入れな
くてはならないのです。
(実は、以前ご紹介したフライトプラン用紙には、磁気方位を単独で記
入する欄が含まれていません。当然、あってもいいと思いますが)

 私の場合は、間違ってMH(風を修正した、磁気方位による機首方位。
上記の計算例では79度)を入れたため、ラジアル設定が4度、実際の飛
行方位からずれたのでした。これに気付いて以来、アウトバウンドの飛
行も、ぴったりVOR針路が合うようになりました。やれやれ。

 ●FlightGearには、偏差表示機能があった:
 なお世界各地の偏差は、以前はホームページで調べるよう、お勧めし
ましたが。FlightGearは偏差を表示できることに、今回初めて気が付き
ました。メニューのEquipmentからinstrument settingsを選択すると、
HI offset:という項目が現れ、現在地の偏差を表示します。(なぜか、
数値はアジャスタブルになっていますが。仮にゼロにしても、ジャイロ
コンパスが真方位表示になるだけです。VORのラジアル方位表示と、滑走
路の名称は、もちろん磁気方位のままです)

 航法計算に使う偏差は、よほどの長距離飛行でない限り、実用的には
コースの中点で計ったので十分です。出発地と目的地に機体を置いて、
この機能を使ってそれぞれ偏差を計り、平均を取れば、ほぼ正確だと思
います。NZの例を挙げれば、インヴァーカギル空港は-24.98度、オーク
ランド空港は-19.46度なので、平均は-22.22度です。これは私がHPから
拾って、実際に航法に使った数値に符合します。
 ちなみに、偏差の角度のマイナス表示は、磁針が真北から、東にそれ
ること(偏東)を意味します。真方位から、22.22度を引けば磁気方位が
出せます。また偏差が西寄り(偏西)ですと、角度の数値はプラス表示
になり、真方位にこの偏差を足せば、磁気方位が算出できます。
投票数:9 平均点:2.22

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-4-14 16:47
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回、FlightGearの偏差表示機能について書きましたが、あれには若干
困ったくせがあることが判明しました。

 ●偏差を、正しく表示させるには●
 フライトプラン作成時は、幾つもの中継空港の偏差を、次々と調べたい
ですね。そこで、ある空港の偏差を表示した後、メニューの「Location」
機能で「Posision Aircraft(on ground)」を選び、ダイアログのAirport
欄に空港コードを入れ、任意の空港にジャンプしたくなります。

 しかし、この方法を使うと、なぜか偏差の表示(HI offset)に、10度前
後の誤差が発生する場合があります。面倒ですが、一度フライト画面を消し
てFlightGear Wizardに戻ってから、新たな空港を選択し直し、Runしてくだ
さい。そのうえで「Equipment」メニューから「Instrument settings」を
選ぶと、正しい数値が得られます。これを繰り返せば大丈夫です。
投票数:8 平均点:3.75

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回から、ニュージーランドを後にして、オーストラリア大陸へ渡る
タスマニア海横断飛行に出かけます。この飛行は、給油地点となる絶海
の孤島を、電波航法を使わずに、いかにピンポイントで発見するかが、
私のテーマです。いざ出発!

 ■絶海の孤島を探せ!…チチェスターの航路をたどる■(その1)
 タスマニア海は日本から遠く、大きさも余りピンと来ませんけれど、
実は大西洋の、狭い部分の3分の2くらいある大海原です。
 この海を、初めて飛行機で横断しようとしたのは、フランシス・チチ
ェスター(1901〜1972)というイギリス人冒険家。戦後、英国を代表す
るヨットマンとして知られましたが、戦前のアマチュア飛行家時代も、
冒険の連続で興味が尽きません。たいへん面白い人物なので、今日は彼
の飛行ぶりを、少々ご紹介させていただきます。

 チチェスターは1929年、操縦免許を取ってわずか数カ月で、自家用機
のデハビランド・ジプシー・モス複葉機を駆り、史上2番目のロンドン
・シドニー間単独飛行に挑戦して、みごと成功。その後1931年に、タス
マニア海の単独横断に挑みました。
 ジプシー・モスは120馬力、巡航速度約75Ktの2人乗り練習機です。
主翼を折りたたむことが可能で、「車庫に格納し、マイカーで牽引して
飛行場に運べる」のが売り物の一つと言いますから、かなり小さな飛行
機です。戦前のイギリスでは、民間飛行クラブや、裕福なスポーツマン
層に、たくさん売れました。
 航続力は、補助タンクを付けて750nmですので、約1500nmのタス
マニア海を、無着陸で渡るのは無理。そこで、フロートを付けて水上機
に改造し、途中にある二つの島に寄って、給油する計画を立てました。

 ●独自の天測航法を編み出す:
 ところが、この島々が…とても小さいのです。Atlasで計ると、ニュー
ジーランド北端から北西へ約450nmのノーフォーク島は、直径4nm。さら
に西南西へ約420nm離れた、次の給油地ロードハウ島も、南北5nmしかあ
りません。出発地から見ると、角度にして0・5度くらいの大きさだそ
うで、これ以上針路が狂えば即、遭難です。さて、どうするか。

 当時の小型機用コンパスは、自差(機体固有の誤差。変化する)が数
度に及ぶこともあったそうですから、推測航法で、これらの島にたどり
着くのは不可能です。そこでチチェスターは、六分儀で太陽高度を計っ
て現在地を算出する、いわゆる天測航法を使いました。ただし、船舶で
使う位置の計算法は、飛行機には不向きと判明。独学で、新しい天測航
法を編み出しました。
 細かい点は、私にはよく分かりませんが。事前に準備計算を重ねてお
いて、天測した時点ですぐ、コースからどっちに何度、それているかを
判定するような方法のようです。(ただし船舶の天測でも、推定船位を
もとにして、計算を多少、簡略化する工夫は行われている模様です)

 またチチェスターは、ユニークな工夫を加えました。目的の島を直接
目指すのではなく、やや左寄りに外した針路を設定。島から約75nm離れ
た洋上の一点を仮想的な目標とし、ここから右へ直角に変針して、最終
的に島へ到着するコースを引きました。こうすれば、多少の左右誤差が
あっても、島を見失う恐れが減るわけです。

 後年、零戦のエースとして有名になった故・坂井三郎氏が、長距離の
洋上飛行の際は、誤差を見込んで「目的地を、やや右手に持ってくるよ
うに飛んでいた。こうすれば万一、航法が外れても、探す範囲が半分に
なる」と書いておられましたが、よく似た発想ですね。私は以前、この
連載の始めの方で、「わざと目的地を外す」という話を書きましたが、
あれは、この二人の航法をまねたものです…(^^;)。

 ●沈没…愛機を再生して:
 本番の飛行では、チチェスターは、狭いオープン・コクピットで10時
間、延々と操縦しながら、ひたすら天測と計算を繰り返しました。雲の
切れ間を見つけて、洋上に出来た小さな日だまりに急行し、その中を急
旋回しながら、ほんの数秒ずつ、操縦桿から手を離して六分儀を操るな
ど、苦心の連続だった模様です。
 彼は研究熱心で、友人が試作した、小さな無線電信機(軽くするため
送信のみ、受信機なし)まで積んでおり、ストレスだらけの飛行中も、
ひざに縛り付けたモールス・キーをたたき、定期的に位置などを打電。
パイロットとナビゲーター、通信士の3役をこなし(当時、1人で兼任
は無理と考えられていました)、無事に二つの島を発見しました。

 だがロードハウ島では豪雨のため、港に係留していた水上機が沈没し
て大破。島民の温かい励ましを受け、4枚の主翼を骨組みから組み立て
直し、エンジンをオーバーホール。7週間を費やして、とうとう自力で
機体を再建。ようやくシドニーへ、ゴールインを果たしました。
まあ、たいしたガッツでは、ありませんか。
 タスマニア海の初横断は、実は直前に、他の飛行士に先を越されまし
たが、チチェスターの飛行は、後年になって高く評価され、彼は優れた
飛行士に贈られる「ジョンストン記念杯」の、最初の受賞者に選ばれま
した。海外のHPによると、この飛行で考案した天測航法は大戦中、イギ
リス軍のコースタル・コマンド(沿岸航空隊?)で使われたそうです。

 ●孤独の海と空:
 ついでに言えば、彼はこの飛行後、ジプシー・モスで世界一周を試み
て、島伝いに日本まで飛来。和歌山の那智勝浦で、送電線に突っ込んで
墜落し、重傷を負って計画を断念しました。
 大戦中は、空軍でナビゲーションの教科書を書きまくり、戦後はヨッ
トマンに転身。71歳で、がんで亡くなる直前まで「ジプシー・モス○世
号」と命名した、数隻のヨットを乗り継いで航海を続け、世界早回り単
独航海など、多くの記録を樹立。エリザベス女王から「サー」の称号を
受け、英国ではドレーク船長やクック船長と並ぶ、国民的な英雄。本業
は、裸一貫からたたき上げた実業家なんですが、まあ何というか、実に
すごい人生ですね。

 彼の自伝「孤独の海と空」(The Lonly Sea And The Sky)は、冒険と
創意工夫、優しいユーモアに満ちた名著です。角川が絶版にしたのが、
非常に惜しまれます。また日本語のHPでも、ヨットに関する記述はまれ
にあっても、飛行家としての経歴は、ほとんど紹介されていません。
 チチェスターは、飛行機の好きな人たちには、ぜひ知っておいて頂き
たい人物ですので、長文になって大変申し訳ありませんが、あえて少々
詳しく、ここにご紹介させていただきました。お詫びとともに、どうか
ご理解を頂けますよう、お願い申し上げます。

 ●さて、FlightGearの世界では…:
 このチチェスターのタスマニア海横断を、FlightGearで再現できない
か…というのが実は、私の数カ月来の夢。半分はそのために、せっせと
航法の勉強をしていたのです(^^)。

 FlightGearの世界でも、二つの島が小さいのは同じ。電波航法なしの
推測航法で到達しようとすると、デフォルトでは、コクピットからは約
12nmの視程しかないため、少し誤差が出たら、島を外してしまいます。
さて、どうしたものだろう。
 FlightGearの太陽や月は、正確な軌道を描いているそうです。出来れ
ば史実通りに、天測航法が使いたいのですが、六分儀のように、太陽の
高度と方位を正確に計る手段がありません。
 それに。ちょっと調べたところ、天測というものは、位置を1回出す
ために、3〜6回の測定を繰り返して、海図上に何本もの「位置の線」
を引き、交点を求める必要があります。ゲームとしては少々煩雑に過ぎ
ますし、本物の航海暦(天測計算のデータブック)まで、買わなくては
いけません!

 また、ぜひやってみたかった、チチェスター流の「わざと針路を横に
そらしておき、直角に変針する」航法ですが。FlightGearで推測航法を
繰り返してみると、針路の左右誤差はあまり目立たず、長距離飛行では
むしろ、コースの前後方向に、かなり大きな誤差が出ることが、次第に
分かってきました。私の場合は最大で1割前後、予定到達時刻より早く
目的地に着くこともあります。(原因は、まだ分かりません)
 となると「横にそらす」飛び方は、あまり意味がなく。直線コースで
島をめざし、予定到着時刻よりも早く見張りを始めて、前後誤差を吸収
する方が、ずっと合理的ではないか…という気がしてきました。

 ●とりあえず、簡略な方法で:
 結局のところ私は先日、以下のような方針を立てて、ニュージーラン
ドのオークランド空港から、ノーフォーク島に向けて出発しました。

 ◇まず、推測航法の誤差を小さくするには…
 (1)フライトプラン記入用紙を改良し、数値の読み誤りを防止。
 (2)快晴を想定し、水平線に霧を表示する機能をキャンセル。
    これで12nmの視程が、最大限に利用できる。
 (3)ウイングレベラーを使って、倍速モードで飛ぶと、コースが
    右にそれる場合がある。これを早めに発見し、修正する。

 ◇次に、推測航法を補完する手段として…
 (1)天測の代用として、コースの途中で1、2回、HUDの緯度経度
    表示を見て参考にする。
 (2)もし島が見つからなかったら、現在地を起点に「西へ24nm、南
    へ24nm、東へ48nm、北へ48nm…」と、外に向けて四角い渦巻き
    を描く「拡大方形捜索パターン」で飛行する。(なんだか海上
    保安庁の、YS-11みたいな飛び方ですが)(^^;)
 (3)それでもダメなら、最後の手段として電波航法を使う。

 ●大海原へ出発、錯覚とポカミスと:
 さて、愛機C310で離陸です。
前回の、燃費テストで得たデータを使い、高度8000ftで135ktにセット。
プロペラピッチと、ミクスチャーコントロールを、慎重に調整します。
空港の真上を何度も旋回し、第1目標である、NZ北島の先端部に近い、
カイティアNDB局に向けて定針。ここまではADFを使うことにしました。
4倍速で快調に巡航し、一路北へ。

 ここで、変な現象に気が付きました。今回は水平線の霧をカットした
ため、地平線も水平線も、マップデータの断続的なスクロールに合わせ
て、いびつな多角形で表示されます。すると陸上を飛行中は、前方から
山が盛り上がってくるように錯覚するのです。何度も高度を上げてから
間違いに気付いて、苦笑しました。そろそろカイティア付近です。

 ここで、私はポカミスをやりました。C310のRMI(Radio Magnetic
Indicator=ADFとVOR指示器を一体にした計器)を読み違え、ADF指針
の代わりに、使っていないNAV1のVOR指針を眺めたため、カイティア局を
ロストして(通り過ぎて)しまったのです。
 「さっき見たローカル空港が、実はカイティアかぁ」…と、がっかり
しながら、さっそく「天測」。要するに、HUDの緯度・経度表示で、現在
位置を確認。どうやら、予定より11%程度早いタイムで、局上空を通過
してしまったようです。
 ここまでコースの前後誤差が大きいと、やはり「わざと針路を外す」
のは危険と判断。洋上の変針点に向かうのはやめ、急きょノーフォーク
島への、直行針路を取ることにしました。

 以前ご紹介した、航法計算ツール「Virtual E-6B」を起動しまして、
現在の緯度経度と、ノーフォーク島の位置を打ち込み、針路を再計算。
新しい針路323度を入れて間もなく、NZ北島最北端のノース岬が右手に
見えました。数カ月「滞在」したニュージーランドよ、さようなら…。

 ●水平線の彼方から:
 行けども行けども、海また海。
海上に出てから、実時間で16分(シミュレーションで1時間4分)後に
コンパスが約1度、東にずれているのを発見。いったんウイングレベラ
ーを切って、323度に定針し直して、また巡航。ここで本来なら、

 (1)いったん、左へ2度変針する。
 (2)実時間で16分飛んでから、左1度変針に変更する。

 …という手順を踏めば、もとのコースに戻った上で、左右誤差の補正
が出来ます。しかし今の場合は、風が変わったわけではなくて、単なる
アプリケーションの癖でしょうから、補正を掛けると、かえってまずい
ことになります。そこで、本来の針路に戻すだけにとどめました。
 さて、コースの前後誤差を見込むと、そろそろ…かも知れないぞ。

 「あ。あった…島だっ!」
 唐突で、あっさりとした到着でした。左斜め前方、いびつな水平線が
ガタッと後退した瞬間、洋上にポッカリと、丸くて平たい島が出現しま
した。ノーフォーク島です。だって、ほかに近所に島はない。
 なるほど、大変小さな孤島です。いやあ、本当に、計算通りの場所に
あったなあ!
 ここで初めて、Atlasの使用を自分に解禁。島のアビーム(真横位置)
で、コースの誤差を測定したところ、航法の目標にした島の中央部から
9nm、東北東にずれていました。前後方向は20nmくらいの誤差ですが、
これは予測通りだったので、決定的な問題ではありません。もし先ほど
の針路修正をしなかったら、島は視界外にあったかも。でも右へ逸脱す
る傾向は分かっていたので、外れた場合はまず、西へ捜索飛行する計画
でしたから、一応は大成功と言えそうです。

 空港は結構小さいが、国際空港を名乗るだけあって、2本の滑走路を
持っています。滑走路の末端は、断崖絶壁になっていました。風を考え
ながら誘導コースに入り、アイドルに絞って、フラップダウン、ギアダ
ウン。バウンドしたれけど、実にハッピーな気分の着陸でした。
投票数:11 平均点:5.45

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-4-28 21:31
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回は、フランシス・チチェスターが、天測航法を使って、タスマニ
ア海を渡ったお話をしました。天測航法に触れる機会は、もう滅多にな
いでしょうから、今日は「どうやって、天体観測で現在地を出すのか」
を、私に理解できた範囲で、ご紹介したいと思います。まず、あらゆる
航法技術の根底にある「位置の線」(Line Of Position)という概念
について、お話ししましょう。

 ■「位置の線」を交差させ、現在地を求める■
 「位置の線」とは、自分がその上の、どこかにいることが分かってい
る、地理上の線のことを言います。
 砂漠の上空で、迷子になったパイロットがいるとします。彼は眼下に
東西に延びる、鉄道線路を発見しました。航空図を見ると、この地方に
鉄道は一本しかありません。となると彼は確実に、この沿線のどこかに
いるわけです。この状態を「位置の線を、一本手に入れた」と呼ぶこと
が出来ます。
 線路に沿ってしばらく飛んでみたら、南北に走る舗装道路が、線路と
交差しているのを発見しました。舗装道路は、飛行コース付近には国道
1本しかありません。彼は「2本目の、位置の線を手に入れた」わけで
す。航空図で、線路と国道の交点を見つければ、そこが現在地ですね。

 ●トランシットとベアリング、そして双曲線:
 すでにご承知の通り…非常に多くのナビゲーション技術が、「位置の
線」を交差させることによって、現在地を出しています。
 例えば漁師さんは、大昔から「A山とB灯台が重なって見える線」の
上を航行して沖合に出て、さらに「C山とD岬が重なって見える線」と
の交点にたどり着いたら、そこが自分の漁場…という風に位置を判断し
ています。これを、漁師さんは「山立て」と呼んでいます。一般的な航
海用語では、このように陸標を重ねる「見通し線」のことを「重視線」
と呼び、横文字では「トランシット」と言います。(そんな測量器具が
ありますね)
 また陸の目標と自分を結ぶ線の、方位を計って現在地を出す方法もあ
ります。十分離れた目標を二つ選んで、それぞれ磁気コンパスで方位を
計り、海図にその方位線を2本記入すれば、交点が現在地となります。
このように、方位線を交差させて現在地を出す方法を、一般的に「クロ
ス・ベアリング」(交叉方位法)と呼んでいます。
 航空機でNDBを受信する場合、二つの局を基点とする2本のビームを
航空図にそれぞれ書き込めば、2本の交点が自機の位置になりますが、
これも、もちろんクロス・ベアリングです。

 「位置の線」を使う電波航法のバリエーションに、「双曲線航法」と
いうのがあります。例えば、ロランと呼ばれる電波航法では、二つの局
から同時に発射した電波を受け、到達に要した時間差を計ります。この
時間差が一定になるゾーンを、海図や航空図にプロットすると双曲線に
なりますが、自機はこの線上の、どこかにいるわけです。ここで第3の
局を受信し、2番目の局との間に二つ目の双曲線を描くと、さっきの双
曲線との交点が、自機の位置になります。またGPS登場前、盛んに使わ
れたNNSS(米海軍航海衛星システム)も、これを3次元にしたような
仕組みだそうです。

 ●天測は、地表に「位置の線」を描く作業:
 さて、いよいよ六分儀で天測をするお話です。六分儀は、2枚の鏡を
巧妙に使い、ある天体と水平線を同時に望遠鏡に捉えて、その天体の高
度(水平線との角度)を、非常に精密に測定する分度器です。最小では
1度の60分の1(赤道上の1nm)まで計れます。ではどうやって現在地
を出すか、まず夜間を例に取りましょう。

 あなたは、六分儀を操作して北極星を狙っています。北極星を見上げ
る角度が、水平線から30度だったとしましょう。よく知られるように、
北半球では北極星の高度は即、緯度を示しますので、あなたは北半球を
ぐるりと巻いた、北緯30度線上の、どこかにいます。
 別の言い方をしますと…北極星を頂点とし、斜辺と底部の角度が30度
の円すい形を、地球にかぶせたところを想像してください。あなたは、
円すいと地球が接する円の、どこかにいます。この円が「位置の線」で
す。あと二つ、別の星を選んで高度を測ると、計3つの巨大な円(位置
の線)が手に入り、それが1点で交わる場所が、現在地です。
 実際は、こんなに大きな円を、海図に記入することは出来ないので、
推測航法で海図上に描いた、推定現在地のそばに、短い線分で「位置の
線」を記入します。

 次は、昼間の場合です。
 昼は複数の星の代わりに太陽を、かなりの時間差を置いて、何度も測
定します。例えば…数時間おきに3回、太陽の高度を測ったとすると、
3本の「位置の線」が得られます。ただしその間に、自分の船(或いは
航空機)も移動していますから、第1と第2の「位置の線」を、自分が
航行した方角へ、移動した距離だけ、海図上で三角定規を使って、平行
移動する必要があります。そして3本の「位置の線」の交点が、やはり
現在地になります。
 チチェスターの航法も、この一変形だったと思われます。機上では、
水平線が見えにくい場合があるそうで、航空用の六分儀は、彼が使った
ものを含め、水平線の代わりに、気泡入り水準器を内蔵しています。

 1回だけの日測で、緯度・経度を出す方法もあります。
太陽が南中する瞬間の高度を測れば、航海暦でちょっと数値を補正する
だけで、緯度が出ます。またこの瞬間に、グリニッジ標準時に合わせた
時計で時刻を確認すると、時差1時間=15度として換算すれば、経度も
出ます。こうして得た地点を「ヌーン・ポジション」と呼びます。測定
は簡単ですが、正確に南中時刻でなくてはダメで、少々不便です。

 ◆六分儀の思い出◆
 私が大昔に、大阪の堺からロスまで便乗した貨物船は、このヌーン・
ポジションの測定だけで、太平洋を渡りました。NNSS受信機もあり
ましたが、あくまでも天測が中心でした。
 フィリピン人のチーフ・メイト(一等航海士)に「正午以外に、位置
を出すには、どうするのか」と質問したら、「インポッシブルだ!」と
の返事でした。う〜む、それって大航海時代の、お話でしょう?
(よほど説明が、めんどくさかったのでしょうね)(^^;)

 天測で位置を出す際の誤差は、ベテランで1nm(ミリではありません、
マイルですよ)(^^) 程度だそうです。GPSに比べて、非常に大きく感じ
ますが、基本的には分度器一挺で、太陽の高度を計るだけで、地球上の
どこにいるのか、ちゃんと分かるのですから、結構すごい技術だと思い
ます。
 六分儀は、いわば「天を見るための顕微鏡」。精巧かつ頑丈に作られ
た機械で、私も操作を教えてもらいましたが、うっかり衝撃を与えない
よう、箱から出し入れする時の、持ち方も決められており、非常に大事
にされていました。天文学と数学と、潮の香りのする、このロマンチッ
クな機械は、ある意味、ちっぽけでひよわな人間の持つ、大きな知恵と
勇気の象徴のように見えて…私は好きでした。
 さすがに現在は、電波航法に席を譲りつつあり、2002年に「船舶設備
規定」が変更され、六分儀は船舶への搭載義務がなくなったそうです。
ただし自衛艦や海保の船は当然、積んでいると思います。


 ■絶海の孤島を探せ!…チチェスターの航路をたどる■(その2)

 さて、前回の渡洋飛行の続きです。タスマニア海の孤島、ノーフォー
ク島から、洋上425nmを延々と飛び、南北5nmしかないロードハウ島へ
向かいます。
 今回は、推測航法の精度を補完するため、なにか天測に似た雰囲気の
位置測定作業を組み込めないかと、あれこれ考えました。結局、HUDに
表示される緯度・経度を片方ずつ、一定の時間間隔で交互に読み取って
は、航空図に「位置の線」としてプロットし、推測航法の補正に使うこ
とにしました。

 ●Atlasで航空図を作る:
 ここで言う航空図とは、二つの島がちょうど入るサイズに、Atlasの
画面をプリントアウトしたものでして(^^;)、両島を結ぶ直線を引き、
これに、4倍速飛行の15分ごとに、緯度または経度の線を、短く記入し
て飛び続けました。うん…まあ一応は「チャートを見ながら洋上航法」
らしい気分が出ます。推測航法をやっているときに、現在地そのものが
ピンポイント表示されると、ネタバレ的な気分で楽しめませんが、この
方法ですと、ほどほどに曖昧で好都合です。

 Atlas地図の印刷を試される方は、メニューにあるプロジェクション
(地図投影法)変更ボタンで「Equidistant Cylindrical」(正距円
筒図法)を選んでください。「Local」と「Equatorial」の2種があり、
通常は前者を、赤道付近では多分…後者を使えばいいのだろう、と思い
ます。間違って最下段のサンソン図法を選ぶと、特に高緯度地方では、
大きく地図が歪みます。
 あと一つ。緯度・経度のマス目は、距離の物差しになります。マス目
サイズが1度なら、緯度(縦線)1辺の長さは60nm。同様に15分なら、
1辺15nmを表しますが、間違って経度(横線)を使うと、大きな誤差が
出ますので、ご注意下さい。

 ●視程を確保し、フレームレートを点検:
 このほか、前回の飛行から条件を変えたのは、視程と雲の設定です。
前回は、地平線までのマップとテクスチャの表示範囲が、デフォルトの
まま約12nmでしたが、今回は出来るだけ広範囲を見ようと、25nmまで
拡張しました。
 重くなるのが心配でしたが、メニューバーの中にある、画面表示オプ
ションに、フレーム・レート(画面表示コマ数)のカウント機能がある
のを発見しまして、さっそくチェックマークを入れました。
 普通は、1秒10フレーム以上の速度があれば、だいたい自然な見え方
でフライトが楽しめます。私のノートパソコンは、25nmに設定した場合
でも、3Dクラウドがオフですと、陸上では15フレーム前後、洋上では
40〜50フレームが確認できました。これはAtlasと、フライトプラン
管理用のExcelも、同時起動した場合です。
 また前回は、相当な上天気に設定しましたが、もっとリアルにしたい
と思い、水平線の霧表示機能を復活。雲も増やしました。

 ●招く孤島、横たわる大陸:
 実際のフライトは…手製の航空図に、「位置の線」を計4本書き込ん
で、少し細かく航法の精度を確認しながら、極めて順調に巡航。針路が
1度かそこら、右へずれていく現象は、今回も続きましたが、こまめに
修正し、全体としては非常に精度の高い航行になりました。

 そろそろ見えるかな? と目を皿にして、雲に7割方覆われた海面を
見つめていたら…薄雲の中から夢のように、おぼろな影となって、島が
姿を現しました。こちらに向けて両腕を広げたような、細長いシルエッ
トの、まさに中央部に機体は進みます。ピンポイントで、ロードハウ島
へ到着。シミュレーションながら、感動しました。
 小さな二つの山頂をかすめて降下し、低空で島全体を一周。西岸の海
中に、空母のように突き出した滑走路へ、そっと着陸しました。

 さらに、シドニーへのフライトを続けます。初めてリアル・ウエザー
機能を使ってみましたが、幸か不幸か、完全な快晴と無風状態。この時
はオートパイロットを設定後、あれこれ用事が相次いで発生し、ていね
いなナビをする暇がありませんでした。
 前後の誤差は、なぜか今回、ほぼゼロでしたが、ウイングレベラー使
用時の、コース右への逸脱は大きく発生。前回お話ししました、倍角度
コース補正飛行を行ったものの、間に合わずに陸に着いてしまいまして、
シドニーは見あたらず。緯度のみ「位置の線」を取って、現在地は予定
より約25nm北と判明。南下していくと、地平線まで市街地が横たわる、
なかなかの大都会が現れました。

 ●これは便利…ミニ計器板が出現:
 ILSもVORも6基ある、豪勢なシドニー空港に着陸しようと旋回中、
偶然「S」キーに触れたところ、2Dパネルを小さく表示する機能に気
付きました。画面下端に、細い透明なパネルが出現し、ここに主な計器
だけが並びます。視野が広がって、非常に便利ですね!!!
 シドニー空港は、キングスフォード・スミス空港とも呼ばれ、これは
オーストラリア航空史に燦然と輝く、伝説的な長距離飛行家の名です。
さて次は、どんなコースで旅を続けようかな…?
投票数:19 平均点:5.26

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2006-5-3 20:48
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回はちょっと趣向を変えて。これまで私が、ほとんど活用していな
かったGPS機能を主に使い、Atlasを常時チェックしながら、らくらくナ
ビゲーションで、オーストラリア大陸の縦断飛行に出発します。

 ■砂漠の大陸…オーストラリアをゆく■(その1)
    (マップデータ:e150s40.tgz
            e140s40.tgz
            e140s30.tgz
            e130s30.tgz )
 先日、ニュージーランドからシドニーに到着して、「さてオーストラ
リアのどこを飛ぼうか」と迷いました。FlightGearの世界は、カリフォ
ルニアの湾岸を除くと、有名な建物などの3Dオブジェクトが、ほとん
どありませんから、MSFSではお馴染みの「ジェット機で長距離を飛んだ
後、ちょっと軽飛行機で市内観光」が、あまり楽しめません。

 その反面、立体地形の解像度は比較的高く(場所によっては分解能が
90メートル)、海岸線や山のイメージなどは、けっこう現実に近いので
地形の面白さは、あちこちで味わえます。
 「これこそオーストラリアだ!」と呼べるような場所を、どこか見物
したいなあ…と、ネットであれこれ、観光ガイドを眺めますと、豪州は
沿岸部を除けば、本当に砂漠だらけの大陸だと、改めて痛感しました。
では、砂漠を見に行こう!

 【エアーズロックへの道】
 Atlasの画面表示で、ノーザン・テリトリー州南部を、衛星写真風に
拡大してみると…おおっ、「Ayes Rock」空港(YAYE)というのがあり
まして、10nmほど南南東に、ゆでたまごを半分に切ったような、突起が
見えます。世界最大の一枚岩・エアーズロックが、ちゃんとマップにあ
るのですね。その15nm西にも変な山が見え、観光ガイドに載っている
「オルガス」岩山群らしい。これは、見に行くしかありません(^^)。

 ●GPSフライトのおさらい:
 さっそくシドニーを離陸し、内陸部へ向かいます。
 シドニー国際空港(YAAY)とエアーズロック空港(YAYE)に、Atlas
のカーソルを当てて緯度経度を調べ、おなじみの「Virtual E-6B」ツー
ルに入力して一応、距離と方位を算出しておきました。(これはGPSの
計算結果と比較するためで、飛行自体には必要ありません)
 私の計測では、距離は1172nmで、これまでの最長無着陸飛行になりま
す。針路は真方位で298度です。FlightGearでセスナC310(Yasim版)
を起動し、ついでに風向風速も計って、推測航法に必要な補正値を出し
ました。(今回は使いませんが、まあ習慣で念のため)

 GPS機能を使った飛行は、実はあまり、やったことがありません。
もしも、同じような方のご参考になればと、少し詳しく設定法を書いて
おきます。勘違いがあるかも知れませんが…どうぞ皆さんの、ご教示を
お願い致します。機体はC310の場合です。

 【行き先の入力】
 滑走路を離陸後、上昇しながら、メニュー・バーからオートパイロッ
トを開いて高度8000ft、速度135ktに設定。「Add Waypoint」の欄に
行き先を「YAYE」と入力。これで針路が、大圏コースで自動計算され、
必要な真方位が、オートパイロットの「True Heading」欄に代入され
ます。するとHUDの左上に、

 「hdg = 291.0
  YAYE 1177.3nm 8:52
  alt = 8000」

…という風に表示されます。hdgは針路、その下は目的地と距離、それに
所要時間(時間:分)です。GPSの場合、距離と方位は大圏コースですの
で、一定の機首方位を保つラームラインを使う、私の計算結果とは、少し
数字が違います。(距離は多分、使用滑走路によっても変わります)

 【Pop Waypointとは】
 このWaypoint(目的地または中継地点)は、最大で8カ所入力できる
ようで、たくさん入力すると、HUDの左上の表示が増えていきます。空港
だけでなくNDBやVOR局、或いはFIXポイントが、ローマ字符号だけで入力
可能です。
 GPS使用中は、Waypointの0.1nm以内を飛んだ場合に「通過」と判定さ
れ、次のWaypointに向かいます。短距離に、多数のWaypointを取った
場合、旋回半径の関係で、0.1nm以内を通過できないケースもあります。
この場合は「Pop Waypoint」を使うと、一番上の1地点が抹消されて
リストが繰り上がり、次のWaypointに直行することが出来ます。

 本来は滑走路上で、必要なWaypointを全部入力したいのですが、そう
すると機体は、滑走路なんか無視して、地上で目的地の方角に走り出し
てしまいます。
 これを防ぐには、Waipoint入力直後、いったんオートパイロットを
開いて、左上の「Heading Control」欄の、チェックボックスをオフに
し、離陸を終えてからオンに戻します。
 これで離陸中は、手動操縦になる…はずですが、そうならないことも
あるので、その場合はもう一度、オフの操作を繰り返してください。
基本的にはWaypointを、離陸後に入力したほうが無難なようです。


 ●ウイングレベラーのおさらい:
 GPSで巡航中は、1倍速(通常の飛行)か2倍速でしたら、そのままで
大丈夫。自動的にWaypointをたどっていきます。
 今回は飛行距離が長いので、「a」キーを何度か打って、倍速モードで
飛行します。1回打つごとに2倍速、3倍速と加速します。経過時間は
そのままですので、ご注意を。少々長く飛んでも、お日様がなかなか西
に傾きません…。

 3倍速以上の場合は、主翼が左右に大揺れして、運が悪いと錐もみに
入るという、やっかいな現象が、周期的に起きますので、ウイングレベ
ラーの使用をお勧めします。
 設定方法は、機首が目的地を向いて安定したら、オートパイロットを
開き、「Heading Control」の設定を、「True Heading」から「Wings
Level」に切り替えます。これでウイングレベラーが作動し、4倍速程度
までは、安全に飛行可能です。乱気流をオフにしてある場合は、短時間
でしたら8〜10倍速でも飛べます。
 ただし、たまに大揺れをして危険ですので、左手をキーボードにかけ
ておき、機体が揺れ始めたら「Shift+a」を連打して、倍速モードを解除
できるよう、身構えておくほうが無難です。

 【針路の修正法】
 ついでながら。ウイングレベラーの使用中は、現在の針路を機械的に
維持しますけれども、設定したWaypointへの針路から、次第に機首方位
がずれる傾向があります。そこで数分に1回は、

 (1)1倍速に戻す。
 (2)ウイングレベラーを解除して、「Heading Control」の設定を
    「True Heading」に変更する。
 (3)数十秒待ってから、HUDの最上部にあるコンパス表示を見て、
    Waypointへの針路を取ったことを確認。
 (4)もう一度ウイングレベラーをセットし、任意の倍速に戻す。

…という操作をすると、本来の針路を維持できます。


 ●水のない湖:
 さて。シドニーの大都市圏を離れて、一路西へ向かいます。
 先日の、ピンポイントで孤島を狙う、タスマニア海横断と違い、大陸
上空のクロスカントリー飛行は、たいへん気楽です。市街地と入れ替わ
って、前方には耕地が広がり始め、やがて森や原野が眼下を覆います。
そのうち機体は、どこまでも続く、平たい高原を進み始めました。

 いやあ、広い国ですねぇ。都市や集落は視界に入らず、道もまばら。
そのうち、ゴルフ場のバンカーのような、小さな砂地があちこちに見え
始めました。
 Atlasによると間もなく、大きな湖を越すはずです。ところが、たどり
着いたのは、大きな風紋と言いますか、砂丘の連なる灰色の砂漠。世界
地図を参照し、雨期以外は干上がる、乾湖しかない地方だと分かりまし
た。それから数百マイルにわたり、ひたすらもう砂漠。さまざまなベー
ジュやグレー、わずかに緑がかった土地、或いは…赤茶けた世界。

 もしリアルタイムで飛ぶと、こんなのが5、6時間、続くわけです。
8倍速ですっ飛んでいても、砂漠の非情なまでの量感に、圧倒されっぱ
なしでした。FlightGearには、エンジンの故障を起こす仕組みは、多分
ありませんが、それでもなお、ここでエンストしたらどうしよう…とい
う気分になってきます。

 ●砂漠の真ん中に不時着:
 ここで私は、信じられないものを、目にしました。
エアーズロックまで、あと約1時間。まだたっぷり、燃料が残っている
のに、不意にプロペラが、パラパラと回転を落とし。突然エンジンが、
左右同時に止まってしまいました。
 眼下は鮮やかな、サーモンピンクの砂漠。あわてました。

 直ちにオートパイロットを、ディスエンゲージ(解除)。燃料を調べ
ると…やはり40gal以上残っています。ただし翼内タンクは、左右とも
使い果たして空っぽ。チップ(翼端)タンクは残っていますが、なぜか
ガスが回らないのです。呆然として、再始動を試みました。

 翼内タンクのコックをオフ。ミクスチャーをフルリッチ。左エンジン
を選択、発電機オン。セルを回すが、始動せず。高度が下がります。
 ええと…燃料をクロスフィード(他タンクから引く)しよう。つまり
チップタンク内の残量を減らし、その分を、翼内タンクに足して始動。
これもだめ。何度もやり直し、いずれもだめで、焦ります。高度はまだ
1500ftありますが、何か忘れていないか…あっ、電波高度計を見ると、
なんと400ftしかない。思えばここは、高原だったのです。

 もう時間切れです。ギアダウン。フラップも1段だけ下ろし、シフト
+F5キーで、計器板の位置を下げ、広い視界を確保して、ふんわりと
接地。なんとか、不時着に成功しました。
 たまには、こんな目に遭ってみたい…と正直、思っていたのですが。
実際に突然出くわすと、いかにシミュレーションでも、けっこう怖いと
いうことが分かって、我ながら意外でした。

 ●タンクが空になる前に:
 よく調べると、翼内タンクの燃料残量は、チップタンクからガソリン
を移すと、容積表示だけは増えますが、重量表示はゼロのまま。仕様か
バグかは、存じませんが…飛行中、うっかり翼内タンクを空にしてしま
うと、もう再始動できないようです。
 そこで修理の代わりに、アプリケーションを再起動。燃料の残りを
約40galに合わせて、不時着地点でエンジンを始動。離陸して、エアーズ
ロック空港をめざしました。思わぬ離着陸で、予定より燃料を食ってし
まい。残りはわずか9.7galでしたが、まずは無事に、サーモンピンクの
砂の上の滑走路に到着です。

 燃料切れによる不時着は、実はFS2000では、何度かやっています。
一度は、リアジェット45の燃料搭載量を間違えて、確かイタリアで燃料
が欠乏。GPSの緊急モードで最寄り空港を探し、アプローチが高すぎたが
やり直す暇はなく…ハイウエーに着陸。
 もう一回は、デハビランドDH-4複葉機(1920年代米国の郵便機仕様)
を使い。サンテグジュペリを気取って、昔のスペイン=アフリカ間の郵
便飛行ルートを飛んでいる最中に、古い機体の燃料計が、現在のものと
違って、均等目盛りではないのに気付かず、ガス欠。スペイン南岸・ア
リカンテ空港の真上でエンストし、エプロンに着陸しました。

 FlightGearでは初めてですが、以後きっちりと、燃料コックの切り替
えを励行することにしましょう…。

 ●ナウシカの「風の谷」:
 さてお待ちかね、観光フライトです(^^)。
オルガス岩山群を空中から訪れ、エアーズロックを見物し、空港へ戻る
三角形のコースです。使用機は、このサイトからダウンロードしたハン
ググライダーです。外見は普通のハングですが、実際はエンジンが付い
ていて、スロットルを開くと、自力で離昇できます。
 このオルガスの岩山は、宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」の、風の谷
のモデルとも、言われているそうですね。そこでメーヴェの代わりに、
ハンググライダーを選んでみました。

 ごつごつした岩山群に、西から接近すると、なるほど観光ガイドHPに
ある通り、トレッキング用の道があって、巨大な二つの崖の間を抜けて
います。そういえば…劇場版「ナウシカ」の冒頭近く、さすらいの剣士
ユパが、ナウシカに助けられた直後、風の谷を訪れるシーンに、雰囲気
がよく似ています。
 エアーズロックのほうも、結構それらしく見えますが、地形データと
テクスチャーが、あまりぴったり合っていない様子で、ちょっと惜しま
れる出来映え。とはいえ2カ所とも絶景で、連休のお勧め低空飛行コー
スです。
投票数:9 平均点:4.44

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2006-5-4 13:41
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
投票数:8 平均点:5.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-5-4 13:43
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 済みません。「返信」と「編集」を間違えて、空のメッセージが
2カ所出来てしまいました。お詫び致します。
投票数:8 平均点:3.75

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-5-4 13:45
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回触れました「GPSのWaypointを地上で設定すると、機体が滑走路
から飛び出す」問題ですが、一応解決できましたので、ご報告します。

 Waypoint入力の時点で、早くもオートパイロットは、目的地に向けて
転舵します。これをキャンセルするため「Heading Control」のチェック
ボックスをオフにしても、方向舵/補助翼は、自動的にニュートラルに
戻るわけではなく、大きく切れたままで放置されます。

 従って、滑走路からの逸脱を防ぐには、手動操縦で離陸する直前に、
計器板かHUDにある、方向舵/補助翼の舵角インジケーターを見ながら
舵を操作して、中立位置に戻せばOKです。
投票数:6 平均点:6.67

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-5-13 2:05
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ご無沙汰しました…連休は皆様、いかが過ごされましたでしょうか。
今回も、オーストラリアの旅を続けます。

 ■砂漠の大陸…オーストラリアをゆく■(その2)
  =バトラー大尉の、悲劇を振り返る=
    (マップデータ:e130s30.tgz
            e140s30.tgz
            e140s20.tgz )
 岩山の見学を楽しんだ、エアーズロック空港(YAYE)を後にしまして、
北東へ135nm離れた大陸中央の街、アリス・スプリングスの空港(YBAS)
へ向かいます。砂漠の中の滑走路を、夜明けに離陸。機体が朝日に映えて
なかなか美しい眺めでした。

 エアーズロックの周囲を旋回しながら、岩肌が観光写真のように、オレ
ンジ色に染まる角度を探しましたが、うまく陽が当たってくれません。
そこで「t」キーを使い、ちょっと時間経過を早めようとした…のですが
例によって、ムチャクチャに時間が加速してしまい、昼と夜が慌ただしく
入れ替わりました。
 あわてて「T」で減速したら、今度は昼夜が、高速で逆転。何とか正常
に戻しましたが、改善が待たれますね。時間経過の調節機能は、無くても
いいですから、機内時計や太陽の動きが、自動的に「a」キーによる倍速
モードに同期してくれると、とてもありがたいです。

 「時間の暴走」の間に見た夜景では、エアーズロック周辺の砂漠に、た
くさんの明かりが見えて、きれいでした。昼間は目立ちにくいのですが、
付近に、かなり道路があって、夜はヘッドライトが描画されるのですね。
いきなり観光客が押し寄せたような、にぎやかな眺めでした。
(そう言えば、私はまだ、ほとんど夜間飛行をしていません!
 FlightGearの楽しみは、これからが本番ですね)

     ○

 都市も村も川もない、荒地の上を高度8000ft、GPS任せでゆったり巡航
し、アリス・スプリングスに到着しました。
 褐色めいた砂漠の中に、ひっそりと滑走路が横たわり。その傍らに小さ
な町村を示す、柄物のハンカチみたいな、四角い記号が、ぽつんと表示さ
れているだけ。寂しい眺めです。
 ここはノーザン・テリトリー(北部準州)2番目の町だそうですが、人
口は約2万8000人と、小振りな街。観光ガイドHPによると、19世紀末から
大陸を縦断する、電信網の中継地として知られ。巨大なシロアリの蟻塚も、
ここの名物なのだそうです。

 飛行機と電信線と、シロアリと…。大昔の航空開拓時代に、あるパイロ
ットがこの地方で、身の毛のよだつような事故に遭い、数奇な運命に巻き
込まれました。今日は少し趣向を変えて、このお話をご紹介しましょう。

 ●ベランカ機、大砂漠に挑む:
 1932年12月、オーストラリアのバトラー元空軍大尉は、相棒のダグラス
と2人で、アメリカ製のベランカ単葉機に乗り、豪大陸南岸のアデレード
から北岸のダーウィンまで、約3500キロの縦断飛行に挑みました。途中、
アリス・スプリングスで、1回給油する計画です。ロンドン=ニュージー
ランド間の記録飛行を前にした、テスト飛行の一環でした。

 この時代は、記録狙いの大飛行が世界的なブーム。1927年の有名なリン
ドバーグの大西洋横断以来、たった1年足らずのうちに、大西洋上で計27
機が消息を絶った(!)ことからも、当時の飛行界を包んだ熱狂と危険の、
両方の大きさが、お分かり頂けると思います。
 バトラーのベランカ単葉機は、単発5人乗りの軽旅客機です。客席を外
して大型タンクを付ければ、優に6000前幣紊旅丗確呂あり、ニューヨー
ク=ローマ無着陸飛行や、青森県=米ワシントン州間の、太平洋初横断な
どにも使われた名機でした。
 実はリンドバーグも、最初ベランカを購入しかけたのですが、無名時代
の彼は信用がなく、売ってもらえなかった…との逸話が残っています。
 バトラーが、同機を選んだのは正解でした。しかし、彼の時代のナビゲ
ーション技術は、まだ機体ほど優秀ではなかったのです。

 ●電信柱が頼りの、地文航法:
 彼の縦断コースは、大部分が砂漠です。電波航法は、当時まだ普及して
いなかったので、彼は大陸縦断の、細い電信線を目印に頼って飛ぶ、地文
航法に賭けました。
 かつて私はFlightGearで道路を頼りに、アンデスを横断したお話を書き
ました。フライトシムなら、天候さえ快晴にしておけば、まあ簡単です。
しかし実世界の、複雑な地形の中で、左に右に折れ曲がって地平へ延びる
かぼそい電信柱の列を見失わないよう、目をこらしながら、広大な無人地
帯を翔破するのは、かなりの冒険だと思います。

 バトラーたちは、アデレード=アリス・スプリングス間を、快調に飛行。
だが2日目、出発後に警察の飛行機と遭遇して、挨拶を交わしたのを最後
に消息は絶えました。約2年後、警察機パイロットの執念の捜索が実り、
残骸と飛行日誌を発見。以下のような事実が判明しました。

     ○

 バトラーは、早朝から4時間を飛んだ後、太陽が異様に赤く燃えている
のを見て、砂嵐が来ると判断。命の綱の電線を見失うのを覚悟で、上昇に
移りました。
 間もなく、予想通り砂嵐が襲来。大量の燃料で重いベランカ機は、何と
か4000mまで上昇しました。だが、竜巻でしょう…下界から、砂が触手の
ように上空へ伸び、機体の高度を突破。ついに数十本も立ちふさがって、
ベランカ機を捉えました。砂を吸ったエンジンが止まり、不時着大破。ダ
グラスは両足を折る重傷。バトラーは無事でした。
 手元には…缶詰と、水が少々。護身用の拳銃が1挺。

 ●電線を探して:
 砂漠を歩き、電信柱を発見すれば、まだ助かるチャンスがあります。電
線を切れば、電信が不通となり、電線沿いに捜索隊が出るからです。バト
ラーはダグラスを残し、何日も電信柱を探しました。だが後日の調査では、
彼のたどった道は、電線とは反対の方角だったのです。
 機体まで戻った彼は、仰天しました。残骸の木製部分が消滅し、ダグラ
スは白骨と化していました。犯人は…なんと大地を覆う、無数のシロアリ
でした。

 数日前。容態の悪いダグラスが、絶望のあまり「拳銃をくれ」と要求し
た時、バトラーは銃を砂漠に投げ捨てたため、自殺さえ不可能でした。足
を痛めた彼は、2キロにわたって、シロアリから這って逃げ、ある枯れ谷
に転がり込みました…。

     ○

 …発見された、彼の白骨のそばには、ずっしりと重い、ブリキの空き缶
があり。中から飛行日誌と、重い石ころが何個も見つかりました。この石
は、非常に純度の高い黄金だと判明しました。
 バトラーは、法律の知識が多少あったので、勇気をふるって、飛行日誌
に冷静な遺書をつづり、空き缶に収めてシロアリから守りました。彼は、
生還は出来なかったものの、人生最後の瞬間に見つけた金鉱脈の権利を、
こうして妻と子に、遺贈することに成功したのでした。

 この物語は、ハンス・ベルトラムという、戦前活躍したドイツ人飛行家
が「空の先駆者」という本の中に書いています。とっくに絶版のようです
ので、あえてご紹介しました。ベルトラムは、空の開拓時代に犠牲になっ
た、非常に多くの仲間への哀悼を込め、世界の航空路を「死者の架け橋」
と呼んでいるのが印象的でした。

 ●青い水平線:
 再び…現代。FlightGearの、砂漠の中です。
 私はC310で、東海岸ケアンズの空港(YBCS)をめざし、アリス・スプリ
ングスの滑走路を離陸しました。823nmに及ぶ旅は、今回もGPS航法です
ので迷いっこありません。さて、砂と荒れ地が続きます。

 大昔に、これは実世界のお話ですが…ラスベガスから、ワシントンまで、
ど派手な塗装を施した、ブラニフ航空のオンボロB727で飛んだことがあり
ます。最初のうちは、ただもう砂漠。1時間居眠りしても、まだ砂漠。
もう1時間寝たら、やっと緑と道路が増えて…どすんと降りたら、給油地
のダラス。「大陸とは、すごいもんだ」と、しみじみ思いました。

 FlightGearでも、4〜8倍速に加速しても、砂漠の広さはやはり、圧倒
的です。呆然としながら、機械的に飛び続けるうち…いつの間にか、だん
だん森林が増え。道路が走り、「枯れていない湖」が見え。町があり。
 目と心に優しい景色が広がって。地平線の向こう、ちらりと見えた青い
線が、もりもりと成長して、ついに太平洋になったときは、心からほっと
しました。
 ケアンズの市街地上空に入り、旋回降下。風下に回り込んで減速。いさ
さか、乱暴な着陸になってしまいましたが…これでひとまず、砂漠とお別
れです。
 いつか、中国からインド方面の、シルクロード沿いを飛んでみたいので
すが。また砂漠に逢いたくなるまでには、少々時間が掛かりそうです。


 ●今後の課題●
 出来れば、FlightGearのGPSについて、もっと知りたいです。
「Add Waypoint」で、中継地を追加していけば、一応飛ぶことは出来ま
すが。例えば「Equipment」の中にある「GPS Settings」という機能は
何のためにあるのでしょうね??

 また天候の設定を、もっとうまく活用できれば、と思います。
「Fetch real weater」機能を、時々利用していますが、あれは離陸時の
天候を決めるだけで、どうも、飛行中の変化はないような気がします。
 メニューの「Weather Scenario」というのが、かなり面白そうですが
まったく使い方が分かりません。解明された方がおられましたら、ぜひ
ご教示をお願い致します。
投票数:9 平均点:4.44

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-5-20 5:03
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 南半球から、四国・松山空港へ帰還を目指す、前途はるかな空の旅。
今回は、オーストラリアを後にしてサンゴ海を横断し、パプアニューギ
ニアの首都・ポートモレスビーへと足を伸ばします。

●ああ、幻のラバウル基地:
 このへんは、太平洋戦争の激戦地ですね。往年の撃墜王・坂井三郎氏
の名著「大空のサムライ」(わが中学時代、最高の愛読書)に描かれた
多くの空戦を、懐かしく思い出します。
 ポートモレスビーには昔、連合軍の航空基地がありまして、ここから
発進した米軍戦闘機やB-17、また豪空軍機が、オーエン・スタンレー山
脈を越えて北岸にある、日本海軍の前進航空基地・ラエに分遣された零
戦隊と、激戦を重ねていました。坂井氏らの本隊・台南航空隊(台湾の
台南基地で発足したため、この名があります)の本拠地は、ラエから東
北東へ約350nmのニューブリテン島にある、あの有名なラバウルです。
戦闘機基地だった「東飛行場」は戦後、国際空港になっているはず…。

   「ここまで来たんだ。いっそ、ラバウルへ行こう!」

 …と燃え上がったのですが、Atlas地図データのどこを探しても、その
ラバウル空港がありません。よーく考えるとラバウルは、約10年前の大
噴火で、市街地も空港も火山灰の下敷きになり、放棄されてしまったの
でした。だからFlightGearの、地形データにはありません。残念です。

●3Dパネル機を改造する:
 その代わり…ではありませんが、今回は、使い慣れた双発セスナC310
Yasim版をやめて、試験的に、3Dパネルの「C310-3aw」機で飛んでみ
ることにしました。

 同機は、計器板の中央部が高く、両端は切れ込んでいて、アプローチ
の際に滑走路がよく見えます。サイド・ウインドウも広いため、視界を
「Shift+x」キーで広角レンズ気味にすると、けっこう後方が見えまし
て、扱いやすい機体です。また「x」キーで計器板を拡大表示できるの
で、計器類の目盛りが細かく読める上、Yasim機では故障している、EGT
(排気温度計)がちゃんと作動。混合気の調整を、非常に精密に行うこ
とが出来ます。あれこれと、居心地のいいコクピットです。さらにサス
ペンションが適度に硬く、横風のある離陸時も、滑走中にあまりロール
しないのも、うれしいですね。あっ、それにフライトデータが、ちゃん
とセーブできるのは、大きな魅力です。(Yasimはこの機能が不全)

 欠点としては、後述のようにパワー不足のうえ、燃料の搭載量が6割
程度に固定されており、実は満タンに出来ません。これでは、あんまり
なので…機体データをあちこち調べ、何とかデフォルトで満タンになら
ないかと、先日から工夫しました。
 すると「c310」フォルダの「c310-base.xml」ファイル内に、以下の
ような項目を発見しました。

●consumables>
●fuel>
●tank n="0">
●level-gal_us archive="y">50●/level-gal_us>
●/tank>
●tank n="1">
●level-gal_us archive="y">50●/level-gal_us>
●/tank>
●tank n="2">
●level-gal_us archive="y">31●/level-gal_us>
●/tank>
●tank n="3">
●level-gal_us archive="y">31●/level-gal_us>
●/tank>
●/fuel>
●/consumables>

(この引用部分は当初、書こうとしても消えてしまいました。掲示板の
書式に制限があって、プログラムと判定されると、受け付けないのかと
想像します。とすると、私のマナー違反なので、各行の「<」マークを
「●」に書き換えました。どうかご了承下さい)

 consumablesとは「消耗品」で、各タンクの燃料搭載量の、デフォル
ト設定です。引用部分の「50」はチップ(翼端)タンク、「31」は翼内
タンクの搭載量。単位はガロンです。もとは別の数字が入っていたので
すが、それぞれタンク容積いっぱいの数字に書き直しました。起動して
みると…おおっ、燃料計が見事に、フルスケールになっています。
うれしいなあ!

●実は「密航者」がいた:
 ところが、テスト飛行をしてみると、重すぎるのです。正規のローテ
ーション(離陸上げ舵)速度=80Ktで地面を離れると、よろよろと上昇
を渋り、滑走路へ逆戻り。やっと再離陸しましたが、なかなか90Ktから
加速しません。Yasim機は満タンでも、十分な加速・上昇力があるのに、
jsbモデルは、どうしてこんなに、パワー不足なんでしょうね。

 そこで、さらに「c3103a」フォルダ内の「c310.xml」ファイルを調べ
たら、以下のような記述を発見しました。

MASS AND BALANCE
----------------------------------------------------------

Moments of Inertia
Ixx (SLUG*FT2) 8884
Iyy (SLUG*FT2) 1939
Izz (SLUG*FT2) 11001
Empty Weight (LBS) 2950
Center of Gravity (CG) Location: (IN) 46 , 0 , 8.6
Pilot Weight (LBS): 180
Position (IN): 37 , -14 , 24
Co-Pilot Weight (LBS): 0
Position (IN): 37 , 14 , 24
Pilot's wife Weight (LBS): 0
Position (IN): 61 , -14 , 24
Co-Pilot's husband Weight (LBS): 0
Position (IN): 61 , 14 , 24
Luggage Weight (LBS): 20
Position (IN): 90 , 0 , 24

 …これは重心位置を決めるため、機体の乾燥重量(?)と、搭乗者や
手荷物の重量、これら各質量点の位置を定義した部分です(たぶん)。
よく見ると、パイロット(180ポンド)の他に「パイロットの奥さん」
「副操縦士」「副操縦士のご主人」が乗っているでは、ありませんか。
私は、一人旅のつもり…だったんですけれど(笑)。

 この3人には、残念ですが、降りてもらうことにして、体重をゼロに
書き直しました。また手荷物も、計100ポンドあったのを、私の分だけ
(20ポンド)にしたので、計560ポンドの節約に。これはガソリン約93
ガロンに当たる重量です。(上記のファイル引用部は、すでに書き換え
たものです)
 この改造後、私のC310は、やっと満タンでも、かなり楽に操縦できる
ようになりました。(機体設計者が、なぜ満タンにしなかったか、これ
で分かりました)


 ■スタンレーの魔女…高峰だらけのニューギニア■(その1)
   (マップデータ:e140s20.tgz
            e150s20.tgz
            e140s10.tgz
            e150s10.tgz )
 さあて。行くぞ、ポートモレスビー。
世界地図帳やネットで、この辺の地形を調べてびっくり。ニューギニア
島は、すごい高山が並んだ島なのですね。中央部を東西に走る、オーエ
ン・スタンレー山脈は、高い所は5000m峰さえあって、jsbのC310では
越せるかどうか。
 最初は、松本零士氏の佳作「スタンレーの魔女」(ラバウル発の一式
陸攻が、モレスビーを空襲し被弾。片肺飛行になって、スタンレー山脈
を命がけで越えるお話)を思い出し。片エンジンを止めたまま、山越え
してみようかと思ったのですが。とても無理だと分かりました(^^;)。

 ニュージーランドと、タスマニア海の旅では、私は硬派のナビゲータ
ーを気取って、ひたすら、推測航法の精度を自慢してきましたが、今回
はオーストラリア飛行に続いて、Atlas地図をフル活用し、GPSと併用
する、らくちんナビゲーション…いや、「現代的な」飛び方です。

●こまめに混合気を調整:
 豪州北東岸の、ケアンズ空港(YBCS)を離陸します。
 リアルウエザー機能が選んだ天候は、高空に薄い絹層雲、4000ftに断
雲はあるが上天気。南の風18Kt。やや強風で、滑走に手間取りますが、
巡航中の追い風となるので、大変ありがたいです。

 少々軽量化したものの、まだ機体は重い感じです。Yasim機みたいに、
一気に巡航高度まで、駆け上がる芸当は無理。これが推測航法の場合で
すと、出発飛行場の上空を(ちゃんと巡航速度で)通過し、その時刻を
正確に記録しておかないと、現在地が分からなくなります。今回はGPS
航法ですから、いきなり目的地へ針路を合わせても、なんら問題はあり
ません。確かに便利ですね。
 というわけで、離陸後まもなく、最初の中継地・クックタウンNDB局
(CKN)を、ウェイポイントに入力。オートパイロットの設定は、針路は
GPS任せ、高度は8000ft、速度は135Ktです。
 高度と速度がなかなか伸びないので、ここは安全上、速度を先に稼ぐ
ことにして、高度設定を「目標8000ft」から「上昇率500ft」に変更。
これでパワーにゆとりが生まれ、やっと135Ktに加速しました。上昇につ
れて速度は落ちるので、この後、上昇率を毎分300ftまで落とし、何とか
8000ftに到達しました。

 空気が薄くなる分、赤いミクスチャー・コントロール・レバーを、こ
まめにリーン(薄い)方向へクリック。EGT(排気温度計)の針が、敏感
に反応して跳ね上がりますので、最高の燃焼温度になったところから、
2〜3クリックだけ戻して、安定した燃焼を図ります。
 このへんのコツは、ラジコン機などのグローエンジンの、ニードルバ
ルブの調整と、まったく同じです。(あれも、ミクスチャーコントロー
ルですからね)
 こうやって、混合気の濃度を、常に高度に合わせると、最大の出力と
最良の燃費が得られるわけです。零戦の場合はAMCと言って、混合比は
いちおう自動調節のはずですが、スロットルの横に、手動の「高空弁」
が設けられており、こちらも飛行中、まめに調整したようです。

●快調な倍速飛行:
 途中から3倍速モードを使いましたが、Yasim機よりも安定。例の危険
な「不意の大揺れ」が、ほとんど発生しません。快調にクックタウン上
空を通過し、ポートモレスビー空港(AYPY)をGPSにセットして、サンゴ
海上空へ。
 名高い「グレート・バリア・リーフ」の一角でしょうか、リザード・
アイランドという、小島の上を飛翔。小さな空港がありまして、避暑地
風の楽しそうな所ですが、FlightGearでは、珊瑚礁までは見えません。
(余談ですが。MSFSの次期バージョン「X」は、極端にリアルな風景が
売りのようですね。フライトシムは、プレーヤーの豊かなイマジネーシ
ョンを映す鏡だと心得ておりますので、私はFlightGearで十分満足です
が、ちょっとだけ羨ましくもあります。ああ…珊瑚礁が見たかった!)

 やがて薄曇りの、ポートモレスビー空港上空に到達。
まだ燃料が減っていないので、このままスタンレー山脈を飛び越えて、
172nm先にある、大きな湾の入り口に面した、ナザブ空港(AYNZ)へ
向かうことにしました。ここは、かつてのラエ基地(今はNDBのみ)の
近くです。
 地図データの継ぎ目を越えたのか、前方と横に、どっと高峰が出現。
うわぁ、なかなかの絶景です。機上で周囲を忙しく鑑賞しながら、高度
を10000ftにセットしました。
 「大空のサムライ」によりますと、スタンレー山脈は(松本零士氏の
マンガとは違って)積雪はなく、ひたすらジャングルに覆われた、山並
みの連続…とのことでしたが、まさにその通りです。
 ついでながら、ポートモレスビー通過後、いきなり対空砲火でも浴び
たみたいに、ドカンと機体が大揺れし、焦りまくりました。原因不明で
す。或いは「スタンレーの魔女」の、たたりだったりして…(^^;)。

●動かない燃料計:
 気になるのは、なかなか燃料が減らない…のかと思ったら、燃料計が
まったく動かないことです。
 どうも私の改造に、どこか間違ったところがあるようです。このまま
では燃費が分からず、エンストの心配がありますが、周囲は険しい山で
不時着できそうなところはありません。コース上の最高峰は約4000mも
あるので、目標高度を15000ftに変更。徐々に上昇しましたが、速度は
110Kt、105Ktと低下し、はらはらします。ローピッチで全開のまま、
ひたすら忍耐の上昇タイムです。
 地平線から、白いもやに包まれた峰が、続々と出現。素晴らしい眺め
です。これを乗り越え飛び越え、深い谷に見とれつつ、ようやく高地を
突破。ほっとして高度を下げ、小さなナザブ空港に到着しました。

 アプローチの最中に、さっぱり機首が上がらず、ジャングルが迫って
きて焦りました。パワーを掛けても、上昇してくれないのです。うっか
りミクスチャーを、高空に合わせたままだったので、ガスが薄すぎたと
判断。慌てて戻したら、エンジンは生き返りました。強い横風のなか、
今回もひどい着陸です…(^^;)。

 エンジン停止後、フライトをセーブして、セーブファイルを読み取っ
たところ、満タンの半分近い、78.2galの燃料残を確認。山越えのため
ローピッチで、さんざん全開飛行したのに、優秀な燃費です。これで、
もうちょい推力が出てくれると、いい飛行機なのですが。

●セーブは、どんなファイル名でもOK?:
 ところで、ちょっと発見をしました。
フライトデータのセーブ名は、「任意の名称.sav.xml」だと理解してい
ましたが、実は拡張子さえ省略した「1」とか、かなり任意の形式でも
構わないようです。ちゃんとロードが可能でした。
 ただし「FlightGear」フォルダ内には、セーブファイルは、一つしか
有効に保存されない模様です。複数のセーブをしようとすると、2つ目
以降のファイルは、冒頭の数行しか内容が記録されず、従ってロードし
ようとしても、無効になってしまいます。このため1件セーブしたら、
サブフォルダを作って、その中に移すようにしています。ご参考になり
ましたら幸いです。
投票数:11 平均点:4.55

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-5-21 10:44
tetsu  管理人   投稿数: 225
tetsuです。
Hideさん、いつも楽しくてためになる記事を執筆していただき、ありがとうございます。
航空航法や航空史、プログラミングと多岐に渡る内容で、とても勉強になっています。

C310に密航者が居たのには驚きました。
密航者の摘発?で560ポンドも軽量化でき、かなり運動性能が改善されたのではないでしょうか?
(C310の最大離陸重量に合せて設計されていたのでしょうかネ??)

私も、Hideさんのように愛機を決めて自分好みにカスタマイズをしてフライトを楽しもうと思いました。
これがオープンソースの良いところですものね。

プレッシャーをかけるつもりはないのですが、これからも「手探り航法・旅日記」を楽しみにしています。
投票数:9 平均点:4.44

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-5-27 20:46
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 tetsuさん、先日は温かいメッセージを頂きまして、大変ありがとうご
ざいました。
 FlightGearの世界は、実に多くの人に、支えられているのですね。私は
パソコンの専門知識はないし、翻訳などの分野でも、お役に立てませんけ
れど、少しでも皆様に楽しんで頂けるのでしたら、ぜひ今後も当分の間、
手を変え品を変え、連載を続けさせて頂きたいと思っております。

 …という次第で、ニューギニアのバーチャル・フライトを続けますが、
今回はもう少し、愛機C310をテコ入れしてみます。また天候メニューの
仕組みも、多少分かりましたので、ご報告致しましょう。

●エンジンをチューンする:
 3Dパネルのjsb版「C310u3aw」機は、使ってみると、なかなか素敵な
飛行機です。ただし加速性能と上昇力の、不足が目立ちますね。付属の
ReadMeファイルによりますと、

 エンジン  :235馬力・双発
 最大巡航速度:189 KTAS at 8,000 ft
 経済巡航速度:144 KTAS at 7,500 ft

 …となっていますが、FlightGearの「C310u3aw」モデルは、もともと
エンジン出力の設定を、260馬力に上げてあります。にも関わらず、燃料
を半分に減らして(燃料搭載量は、飛行をセーブし、セーブファイルを
書き直せば変更可)エンジン全開でも、8000ftで142Ktしか出ませんでし
た。これを何とか、実機に近づけたいものです。

 フライトシム機の飛行性能改善には、一般的に、次のような手が考え
られると思います。
 (1)エンジンのパワーアップ
 (2)機体の軽量化
 (3)揚力の増大
 (4)抵抗の減少

 …このうち(2)〜(4)は、実世界では、極端な大改造になってしまう
でしょう。またフライトシムでも、うかつに揚力や抵抗を変更すると、
降下や着陸に手を焼くなど、操縦バランスが狂いがちです。リアリティ
ーと作業性の両面で、実機にもよく例がある(1)が、現実的な選択肢
だと思います。
 エンジン出力は、FlightGear\data\Aircraft\c310u3a\Engines
フォルダの中にある、engIO470D.xml に書き込まれています。
 <maxhp>260.00</maxhp>という項目の、中央の数値が馬力です。
 私は高度8000ftで、25馬力ずつ増やして実験し、最終的に375馬力で
実機とほぼ同じ、187Ktを実現しました。以後これでいきます。
(チューニングというより、まるでエンジン換装ですね。本当はエンジ
ンの型式名を、ちょっぴり変更しようかと思いましたが、どっかでプロ
グラムの辻褄が合わなくなると困るので、断念しました)

●METARとは一体、なんだ?:
 次はフライト時の、天候の設定です。
メニュー「Weather」にある、「Weather Scenario」の意味や使い方
が分からなかったので、ネットを探し回って、あれこれと考えました。

 「Weather Scenario」には、次の選択肢があります。
 【1】Fair weather
 【2】Thunderstorm
 【3】METAR
 【4】none

 このうち【3】は、「Fetch real weather」機能を選択した場合に
NOAA(米気象局)から落とす、実際の空港気象データですね。METAR
はMeteorological Aviaion Reportの略だと、初めて知りました。

 ご存じの方も多いとは思いますが…にわか勉強の成果(?)をご参考
までに書き添えますと、この気象データは「定時航空実況気象通報式」
という、独自フォーマットで記載され、内容は「Weather Scenario」
欄で、実際に読むことが出来ます。例えば…けさ受信したデータは、

   AYMO 262200Z 28002KT 9999 SCT018
   SCT150 BKN3000 27/25 Q1010

…と表示されましたが、これは以下のような意味です。

AYMO  :私が駐機している、ニューギニアのNadzab空港。
262200Z:26日22時(Z=グリニッジ時間)発表。
9999   :視程良好(4桁表示で単位m。この場合は9999m以上)。
 =以下は雲です。3層あります=
SCT018 :雲底1800ft、雲量は「Scatterd」(全天の3/8〜4/8)。
SCT150 :雲底15000ftにも、「Scatterd」の雲。
BKN3000:雲底30000ft、雲量は「Broken」(全天の5/8〜7/8)。

27/25 :地表の気温摂氏27度、結露温度は25度。
Q1010 :気圧1010ヘクトパスカル(海面高度に換算)。

 このほか多くの略号が用意され、あらゆる気象データや現象を表現で
きるようです。詳しくは、
   http://kaitair.hp.infoseek.co.jp/metar.html
 などをご参照下さい。なかなか面白いです。

●Scenarioメニューの機能:
 ここで、先ほどの「Weather Scenario」メニューに戻ります。
【1】Fair weather
を選択すると、確かに上天気になります。気象通報式は、
   AYMO 011000Z 15003KT 12SM SCT033
   FEW200 20/08 Q1015 NOSIG
 …となっており。よく見ると、日付が過去のものです。また

【2】Thunderstorm
を選択すると、にわかに天気が悪くなりますが、気象通報式は、
   AYMO 011000Z 15012KT 08SM TSRA SCT040 BKN070
   20/12 Q0995
 …と表示され、やはり過去の日付です。(注:TSRAは雷電と雨)

つまり。「Fair weather」と「Thunderstorm」は、過去のMETAR
受信データを活用して、「上天気」と「雷雨」を創り出す機能ではな
いか、と想像しています。

●雨も降ります:
 なお「View」メニュー「Rendering Options」に、Precipitation
(降雨)とLighting(稲妻)があります。「Thunderstorm」使用中に
これらをチェックすると、画面上で雨が降るのを確認しました。稲妻
はまだ見ていませんが、本HPのフロントページに写真がありますので、
条件次第では、ちゃんと出現するものと思います。

【4】none
…残念ながら、なぜnoneなのか、よく分かりません。天気はMETARを
選択した場合と同じです。

●蛇足●
 駐機中、上天気から悪天候に設定変更すると、急に昇降計がプラスに
触れて、数十秒間は「上昇中」を示します。高度計の値も上がります。
これは気圧が下がったからでしょう。すごいリアリズムですねえ!
 ちなみに、この時点で高度計の表示が狂うことになりますが。これは
計器の設定メニューに、気圧補正の欄がありますので、これを使うとい
いはずです。まだ研究していませんが、たぶん。


 ■スタンレーの魔女…高峰だらけのニューギニア■(その2)
  (マップデータ:e130s10.tgz
           e140s10.tgz )
 旅を続けます。
本日のコースは、ニューギニアの背骨に当たる、主山脈の上をじっくり
たどり、一気に島の西端まで縦断して、Sorong空港(WASS)を目指しま
す。途中、山岳地帯の空港2カ所と、NDB2局を経由します。
(前回、スタンレー山脈に5000m峰がある、とご紹介したのは間違いで
した。5000m峰は西寄りの、ペグナンガン山脈でした。ごめんなさい)

●目を見張る上昇力:
 出発地・Nadzab空港(AYNZ)の天候は、南の微風、薄曇り。
185nm先の中継地・Mendi空港(AYMN)をGPSに入力。パワーを増した
愛機は、軽々とエアボーン。20度近い仰角で、一気に上昇を始めました。
左右に高い峰がそびえ、裾野には薄雲が広がって、見事な眺めです。
 離陸直後の上昇率は1900ft/minと、実にパワフル。7000ftまで昇って
も1500ft/minをキープしており。これは実機をかなり、上回るようです
が…まあ、いいか!

 離陸8分後、12000ftでレベルオフ(水平飛行に転換)。ここからは、
ウイングレベラーと倍速モードを使います。ただし、ウイングレベラー
使用時は、わずかながら針路が狂いますので、数分に1回ずつ、1倍速
に戻しては、十数秒だけレベラーを解除(つまりGPSで針路保持)して、
コースを修正します。
 ジャングルに覆われた山々が、じりじり足元から、せり上がってきます。
高度を次第に上げ、15000ftで西へ。険しい山あいのジャングル上空
を旋回しながら、第1中継地のMendi空港を探しましたが、視認できませ
んでした。

●「メイデイ、メイデイ!」:
 やがて前方に現れる山並みが、私よりも高くなってきました。オート
パイロットを切って、手動でじわりと左右へ回避。第2中継地のNDBに、
針路を向けて飛んでいたら…前触れもなく、爆音が停止しました。左右
のプロペラも、悪夢のように、止まっています。 なんなんだ?

 不時着しようにも…平地なし。
 過日オーストラリアで、エンストした時は、砂漠の上でした。心細い
光景ながら、地面は平らでした。今回は山岳地帯です。
 呆然としながら、オートパイロット解除。機首を下げて失速を防いだ
けれど、再始動の手順が、すぐに思い出せない気分。高度はどんどん
下がります。「メイデイ、メイデイ…」と、思わず遭難信号をつぶやき
ながら、かなり絶望的な気分で、右に左に機首を振り、なるべく自機よ
り低く平らな場所を、必死で探しました。
 すると谷間に、ジャングルをぬって伸びる、1本の道路が見つかりま
した。狭い坂道ですが、比較的平らです。実はアンデスでも、ガス欠で
坂道に不時着したことがあります。あそこへ降ろそう…。

 …そう思ったら、すっと落ち着きました。
まだ1分間は、飛んでいられます。再起動は出来ないか。
燃料を調べると、たっぷり残っています。必死で運転手順をたどり直す
と、どうもミクスチャー・コントロールが怪しい。フル・リッチに戻してセル
を回したら、両翼のエンジンが、あっさり復活。ほっとしました。
 今日は高空へ上がったため、EGT(排気温度計)を見ながら、頻繁
にミクスチャーを調整したのですが、ちょっとキーを押し過ぎると、あ
る段階で極端なリーン・バーンに走り、あっさりエンストし得ることが
分かりました。

●高地の飛行場:
 いよいよニューギニア島西半分の、4000〜5000m峰が並ぶ大山脈へ。
この高地のど真ん中、長さ約20キロの盆地に、次の中継地・Wanama空港
(WAJW)が横たわっています。標高6500ftもある空港に出会うのは、初
めてですので、降りてみることにしました。

 山脈に囲まれた盆地への降下は、かなり気を遣います。雲のレイヤー
は、どれも薄いものの、時々数秒にわたって、視界が奪われます。こう
いう場面では、やはりAtlasが頼り。腕利きの副操縦士が、付いてくれて
いる気分ですね。
 降下につれて薄雲が切れ、ジャングルの緑が、みるみる鮮やかになり
ました。その緑のどこかに、小さな飛行場が…あったぁ! 今回の着陸
は、ピタリと決まりました。

 うーーーん。降りてみると実に、美しい渓谷です。両側の鋭い峰が、
青空を背に白く映え。ちょうど長野県か、スイスのヴァレー州みたいな
ゴミ一つない感じの、山岳観光地的な絶景。着陸してみてよかった、と
思いました。
 すでにコースの6割程度を飛びましたが、休憩後に燃料を調べると、
ちょうど残りは半分です。無給油で出発し、公称データでは上昇限度に
当たる、20000ftへじりじり上昇。最後の難関となる5000m峰と、周辺
の山稜を無事に縦断。解放された気分で、どんどん高度を下げ、ニュー
ギニア最西端のSorong空港(WASS)へ安着。小さな島から滑走路が飛び
出した、海上空港のようなところです…。なかなか、変化に富んだ一日
でした。

●低燃費にも、びっくり:
 今回は高々度に上がり、かなり全開の連続でしたが…1014nmの距離を
117galの燃料で飛んでおり。この調子では満タンですと、計算上は公式
スペックをわずかに超す、約1400nmの実用航続力が期待できそうです。
エンジンのパワーアップによる、巡航速度の増加は、燃費面でもプラス
に働いたようです。
投票数:12 平均点:5.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-6-3 11:08
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ここんところ私は、ずっとセスナC310で、低空を飛んでいますので、
昔はMSFS2000などで馴染んだ、ジェット機の操縦感覚を、すっかり
忘れてしまいました。搭乗機があまり偏っては、皆さんのフライトと
だんだん、かけ離れてしまいますし、せっかくのFlightGearの世界が、
それだけ狭くなってしまいます。普段は、

 「こんなに操縦が下手なのに、旅客機を飛ばすなんて、リアリティー
がないなあ!」

 …と思って、大きなジェット機は、なるべく避けていましたが、先日、
B737-300型のコクピットから、真後ろを見たら、フライトデッキ後部の
隔壁がなく、空っぽの胴体内部が見えました。ちょっと興ざめですが
カーゴ仕様だと思えば、客席がない分、かえって気楽です(^^;)。
貨物機なら、「C310も主翼を外して、搭載してあるつもり」になれば、
何かと便利ですしね。
 jsbフライトモデルの飛行特性も、以前のバージョンより、ずっと改善
されているようですし、急に長距離を操縦してみたくなりました。
 という次第で、今回の使用機は、珍しくB737です。


 ■赤道直下、火山列島上空をゆく■(その1)
  (マップデータ:e130s10.tgz
           e120s10.tgz
           e110s10.tgz )
 コースは、インドネシアの旅。ニューギニア西部のソロン空港(WASS)
を出発し、南西へ飛んでバリ島を目指します。経由地は、

  ・バンダ海の小島にあるアンボンVOR局(AMN)
  ・チモール島のディルVOR局(DIL)
  ・スンダ諸島・フローレス島のマウメラVOR局(MOE)
  ・スンバワ島のビマVOR局(NMA)

 …など、メラネシア南部を、東西へ弓状に延びる島々です。
ゴールまでの全行程、約1190nmのほとんどが、環太平洋火山帯。
もしニューギニアからフィリピンへ直行すると、後はすぐ台湾、日本です
から、ちょっと物足りなくて、今回の世界一周・後半戦は、東南アジア
を経由することにしました。

 フライトプランは、例によってAtlasで、出発地や中継地の緯度・経度
を出しておき、お馴染みの航法ツール「Virtual E6-B V1.4」を使って、
飛行方位と距離を算出し、Excelのフライトプラン用紙に記入しました。
ナビにはGPSを使いますが、これは記録を残す意味もあります。
 今回は、35000ftを飛ぶ予定ですので、目的地手前の降下開始点は
いわゆる「3対1ルール」に従って、

    ・飛行高度(ft)÷100÷3= 116.6nm手前から降下

 …となります。
また目的地・バリ島の、「Denpassar Ngurah Rai」国際空港(WRRR)に
進入する際、滑走路方位(磁気方位)が必要です。これはあらかじめ、
同空港に、機体を出現させて計りました。
 真方位は268度、メニュー「Equipment」の「Instrument Settings」に
ある、「Hi offset」(偏差表示)を見ると、偏東約1・7度。従って、磁気方
位は266度。これをNAV1の、ベアリング(方位)欄に入力すれば、ILSに
乗れるはずです。

 さて、737-300の操縦法ですが。オートパイロットの使い方は、詳しい
Readmeが同梱されているものの、各種の速度設定などは、見あたらな
いので、以前買った、FS2000の操縦ハンドブックを参考にしました。もし
「こうやった方が飛びやすい」「実機に近い」などの、アドバイスを頂けま
したら、幸いです。

●さすがに、速い:
 出発地のソロン・ジェットマン空港(WASS)は、薄曇り。完全な無風。
これは、幸先がいいですね。
 中継地を、GPSにウェイポイント入力。途中の「DIL」局は「データベース
に見あたりません」と言われてしまい、次の「MOE」も、「NMA」もだめ。
どうも無線局は、GPSには使えないのが、結構あります。結局、中継点
は1カ所のみ。このあとに、目的地の「WRRR」を入れました。

 フラップ5度でエンジン全開、滑走開始。
 130Ktでローテーション、ギアアップ。200Kt少々でフラップアップ、1分
半で、もう雲の上に飛び出します。
 針路はGPSを選択、高度目標は35000ft。速度は、まだ10000ft以下で
すから、規則通りに250KIASにセット…などと、書いている間に16000ftを
突破。ここでやっと、気速を300Ktに合わせました。離陸後10分程度で、
あっという間に、約60nmも進出してしまいました。

 指示対気速度は、300KIASですが、対地速度(GS)は、実に503Kt。
さすがに、速いですね。
 28000〜29000ftに広がる、オーバーキャスト(全天)の雲を突破。一面
の雪原のような、雲上は快晴。27分後に、高度35000ftでレベルオフ。
実世界で乗っている旅客機は、確かにこんな、雰囲気ですよね…。

●トルク反動なし、ジェット機のありがたさ:
 離陸で印象的だったのは、トルク反動も、Pファクター(プロペラ・ピッチ
角の影響による、推力アンバランス。機首が左に触れる)もないことです。
なんと、滑走が楽なことか。
 だいぶ昔、あるヘリコプター・パイロットと飲んだとき。以前は北海道で、
海上自衛隊・P-2J対潜哨戒機のコーパイをしていた、という彼に、
 「P-2Jは、ターボプロップなのに、わざわざターボジェットを併用してい
て、なんだか、非効率な機体に見えますね」と言ったら、
 「ターボプロップを止め、ジェットエンジンだけで飛ぶ訓練がありますが、
トルクの影響がないので、操縦が非常に楽。ジェットエンジンは、いいもの
ですよ」との返事でした。FlightGearは、プロペラの影響が、かなり大きく
表現されるシミュレータですので、久しぶりにジェット機を体験すると、彼の
言葉を思い出します。

 電波高度計が、激しく揺れます。下は島のようですね。Atlasを見ると、
セーラム島を通過。倍速モードを使う暇もなく、227nmを飛んで、バンダ海
に入りました。ゴールまで、あと833nmです。外界は、ひたすら雲海。
 試しに雲を全部消してみると、もやはありますが、かすかに島が見える
ようになりました。

●機体の状態は、すべてモニター可能:
 このへんで、燃料の残量をチェック。あわてて飛び立ってしまったので、
実はまだ、計器の読み方がよく分からないし、2Dパネルの文字表示は
小さくて、私の速度優先の表示サイズ(800×600)では、読み取り困難
です。そこで最近見つけた、各種システムのモニター機能を使いました。

 メニューバーの「File」から、「Brouse Internal Properties」を選んでくだ
さい。「autopilot/」「engines/」など、25項目の表示があります。試しに、
「consumables/」(消耗品=燃料)を、開いてみましょう。

    ・
    ・・
    fuel/

…と表示されますので、fuel/を選ぶと、3つのタンクごとに、燃料の容量
(gal)と重量(Lbs)、現在の液温がモニターできます。これは、階層表示
になっていまして、上のディレクトリに戻るには「・・」をクリックして下さい。

 またengines/を選ぶと、燃料流量から、ノズルの状態、イグニッションが
オフであること、推力…など、計21項目のパラメーターが、手に取るように
分かります。例えば、エンジンを止めてから20分くらい経っても、まだ油温
が、少しずつ冷めていく様子まで、リアルタイムで確認できまして、なかな
か感動的です。
 これらの数値を、ゆっくり解析すれば、機体の各種設定ファイルの、どこ
をどう調整すれば、どんな結果が出るか、ある程度は推測できるかと思い
ます。オープン・ソースならではの、素晴らしい贈り物ですね!!!

 ちなみに私の燃料流量は、1時間当たり2895ポンド。残りは6500ポンド
×2タンク。余裕は十分だと確認できました。

●もう降下開始です:
 ここまで書いていたら、バリ島まであと17分。3倍速を少々使いました
が、大半は、リアルタイムで飛んでしまいました。「3対1ルール」の降下
開始点まで、少しゆとりを残し、125nm手前から降り始めました。

 着陸準備に、ゆとりが欲しいので、はやばやと250Ktにセット。高度は
15600ft、残る距離は65nmです。その後も段階的に降下し、バリ島まで
あと40nmの地点で、8000ftに到達。速度を200Ktに変更。ここで滑走路
の延長線をインターセプトするため、針路をやや南よりの、230度に変更
しました。
 本来は、55nm手前のVOR局を、最終進入の開始点に使うはずだった
のですが、なぜかうまく、受信出来なかったのです。あれこれやっていた
らGPSが切れてしまい、空港までの距離が、分からなくなりました。
ええい、あとはAtlasが頼りだっ!

 NAV2でバリのVORを受信し、距離情報を得たいのに、うっかり周波数
をメモし忘れました。Atlasの画面は、数字がダブって表示されており、
周波数が読めません。さあ困った!(改善の方法は、ないでしょうか)

●オートパイロットに救われる:
 高度目標を1500ftにセット。予定では、いったん空港を過ぎて降下し
ながら、10nm先でベースターン(基礎旋回)し、きっちりアプローチする
つもりが…DME(VOR距離情報)が読めないとなると、すっかり当てが
外れました。
 幸いここで、NAV1がILSを受信。Atlasで機位を確認しながら、ローカラ
イザとグライドスロープを、オートパイロットにセット。このままストレート・
インする腹を決めました。
 だが、高度が高すぎる! 速度も速すぎる! 空港はもう、近いのに!
ああ、ジェット機操縦の…これは毎度、お馴染みの悩みです。アプローチ
をやり直すべきですが、737はコクピットの視界が、さほど良くないので。
「やっと進入コースに乗ったのに、着陸復航は面倒」という気分が、つい
優先します。

 それにしても、B737のオートパイロットは優秀ですね。
私の操縦のボロを隠して…かなり急降下の、ILS自動進入に成功。大き
くバウンドしましたが、滑走路端の数字の上で、強引に止めることができ
ました。ブレーキの効きも、また優秀。
 あっ、737のエンジンは…どうやって、止めるんでしたっけ(^^;)。
楽しかったけど、練習不足もしっかり、痛感するフライトでした。


●おまけ物語: ブライ船長の奇跡●
 今回の飛行ルート沿いにあるチモール島は、1789年にイギリス海軍で
起きた、有名な「バウンティ号の反乱」ゆかりの地です。この帆船はタヒチ
から西インド諸島へ、食用にする「パンノキ」を移植する任務の途中でした
が、トンガ諸島で、一部の乗組員が反乱を起こしました。首謀者たちは、
全長6mのボートに、ウイリアム・ブライ船長ら、計19人をすし詰めにし、
わずかな食料を与えて、海へ追い払いました。

 ブライ船長と部下たちは、もっとも助かる可能性の高い目的地として、
タヒチより3倍も遠いが、比較的島伝いに行ける、チモール島を選びまし
た。甲板もないボートで、帆船時代の難所だった、ニューギニア・豪州間
のトレス海峡を突破。42日間を生き抜き、赤道から実に日本までの距離
より長い3701nmの大航海のすえ、チモール島へ到着しました。
 彼らは六分儀を1台持っていたものの、経度を計るクロノメーター(航海
時計)も、海図さえ持たずに、この長距離航海で正確なナビゲーションを
やり遂げました。当時のイギリスの船乗りが、どれほど筋金入りの男たち
であったか。想像すると胸が熱くなります。

 この事件では、反乱派の乗組員18人も、数奇な運命をたどりました。
南太平洋のはてへの逃亡劇。タヒチ妻を伴い、無人島へ入植の試み。
仲間割れと、相次ぐ殺し合い。ついに地球の裏側から伸びた、イギリス
官憲の捜査網。
 逮捕をまぬがれ、最後まで生き残った反乱者、アレグザンダー・スミス
一等水兵は、絶海の孤島・ピトケアン島で、仲間が遺した女性たちと子
供ら37人を守って、この小さな共同体の家長となり。敬虔なクリスチャン
として、平和な晩年を過ごしました。約20年後、偶然この島を見つけて
寄港したアメリカ人船長は、島民たちがキングズ・イングリッシュを話す
ことに、大変驚いたそうです。
投票数:7 平均点:5.71

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-6-10 4:52
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ここんとこ、ちょっと仕事が忙しいので、今週は長距離飛行をやめて
バリ島で休日を過ごします。軽飛行機のVFRナビゲーションに戻って、
島内観光のご案内をしましょう。
 その前に、ぜひご報告したい、発見のお話から…。

●「分度器」と「物差し」を見つけました:
Atlas地図の画面を、フライトプラン作成に使う際、コースの距離や
角度を簡単、かつ正確に計る方法がないか、ずっと考えていました。
今夜は、画面に分度器を当てようと、探し回ったけど見つからずに、
ふと「ネットで、分度器の図を探して、プリントアウトしてみようか」と、
変なことを思いつきまして…。

 グーグルで「分度器」を検索したら、「窓の杜」に、もっといいものが
見つかりました。「分度器で測りましょ Ver.1.05」というツールです。
画面上に分度器が出現し、大きさや角度、表示の透過率も自在に
変えられるフリーウエアで、これは文字通り、Atlas地図に重ねて、
飛行コースの方位を計ることが出来ます。
 公開しているのは「ダイゴ文具店」というサイト
      http://www6.ocn.ne.jp/~dagc/
 です。他にも色々な、デスクトップ文房具を作っています。

 すっかり感心して、次は距離を計ろうと、「同心円と格子 Ver.1.0」
というツールを落としました。これは画面に、半透明になる目盛り付き
同心円か、碁盤目のいずれかを、表示する道具です。同心円の方は
出発地に中心を当てれば、目的地までの距離が計れます。ただ目盛
りの調節範囲が狭く、地図の縮尺に合わせるのが、少々困難に感じ
られました。

 そこで、さらに探検。同じサイトから「斜めものさし Ver.1.13」を入手
しました。これは文字通り、デスクトップ物差しなんですが、角度表示
機能がありまして、実は分度器も不要。これ一本で、かなりサクサクと
フライトプランの骨格を書くことが出来ます。
 …では、やってみましょう。


 ■火口湖を訪問…バリの休日フライト■
  (マップデータ:e110s10.tgz )
 バリ島は東西70nm、南北50nmほどで、面積は約5500平方キロ。
愛知県くらいの広さだそうで、レシプロ機の観光フライトには、ぴった
りのサイズに思えます。
 今日は、南端のDenpassar Ngurah Rai国際空港(WRRR)を離陸
して北東へ進み…
  ・東部の最高峰・アグン山(3014m、通称・世界のへそ)の真上で
   北西に変針。
  ・バトゥール山頂を経由。手前にはカルデラ湖あり。さらに西へ。
  ・やはりカルデラ湖の、ブラタン湖、ブヤン湖、タンブリンガン湖を
   歴訪し、一気に南下。
  ・国際空港(WRRR)へ帰着。
 …というコースをたどります。では、航法計算に入りましょう。今日は
とっても簡単ですよ。

●「ものさし」を、使ってみる:
 まずAtlasを起動し、バリ島を拡大表示しておきましょう。
次に「斜めものさし Ver.1.13」を、ダウンロードして解凍し、あれこれ
操作を試してください。ものの2、3分で、お分かりになると思います。

 最初に、ものさしの目盛り倍率を調整し、地図に合わせます。
バリ島を、画面いっぱい近く拡大表示すると、Atlas画面のたてよこ
目盛りのひとマスが、緯度経度にして15分の表示になると思います。
ということは、垂直の緯度方向のひとマスが、ちょうど15nmの距離を
表しますので、「斜めものさし」を当てたとき、目盛りがひとマス「15」
を示すように設定しましょう。(150でもいいです)

 これを合わせるには、「設定」メニュー「全般」の「基準を表示(H)」
というボタンで、サイズ見本の矢印マークを画面に呼び出し、これと
地図のマス目の大きさを比べながら、「基準の長さを○とする」という
部分の数値を調節すればOKです。

 では、Atlas地図でコースを計ってみましょう。「ものさし」のゼロ点
を、空港の中心に合わせます。反対側にある「○」記号に、マウスポ
インタを合わせると、ものさし全体を、好きな向きに回転させることが
出来ます。伸縮も自在です。
 空港のはるか北東にある一番高い山、アグン山への距離を計りま
しょう。目盛りから、30nmであることが分かります。また角度は、デフ
ォルトでは「垂直から右回り」で測定してくれますので、そのまま読み
取れば地図上の方位角になります。空港からアグン山への方位は、
38度くらいです。

 以下同様に、
 ・アグン山から、310度10nmでバトゥール山頂。
  (カルデラ内部が、バトゥール湖)
 ・260度12・5nmでブラタン湖。
 ・297度4nmでブヤン湖。
 ・240度2nmでタンブリンガン湖。
 ・172度30nmで、もとの空港に戻ってくる。

…などと、簡単に針路を引くことが出来ます。
 今回の全行程は約90nm。巡航144Ktとして40分弱の飛行です。

 従来は経由地を決めた後、いちいち各地の緯度経度から、距離と
方位を算出していたものですが。今回は、ほんの5分ほど、ものさし
を振り回すだけで、フライトプランが概略、書けてしまいました(^^)/。
Atlasによるコース作成も、ようやく軌道に乗った気分です。

 もちろん、Atlas地図の縮尺設定によっては、多少の誤差は出るの
ですが。夜の山岳地帯や大海原を、推測航法で飛ぶならともかく、
VOR併用でしたら、ほぼ問題はないでしょう。

●針路決定も、なるべく簡単に:
 以上のコースデータは、真方位で無風の場合です。もし、計器盤の
ジャイロコンパスをお使いでしたら、磁気方位に換算する必要があり
ますが、バリ島周辺の偏差は幸い、たった偏東1度ですから、無視し
ても構いません。もしHUDの方位目盛りをお使いでしたら、もともと
真方位表示ですので、この数値がそのまま使えます。

 また風向風速は、FlightGear上で確認し、「Virtual E6-B」を使って
偏流角(風に流される角度)と、速度の補正計算が必要ですが、まあ
10Kt未満の風でしたら、「風上に、5度くらい修正しておくか」といっ
た目分量でも飛べます。

●「南海の楽園」を舞う:
 使用機はC310の3Dパネル機です。念のため、VORもセットしてお
きましょう。空港は116.20です。「ものさし」で求めた、最初のレグ(飛
行区間)の方位は38度。これをベアリングにセットして、アウトバウンド
・ラジアルに乗ってみましょう。(VORは磁気方位ですので、厳密には
偏差の偏東1度を加味して、37度にセットする方が、より正しいです)
もし帰りに、ILSを使うなら110.30です。

 リアルウエザー機能によれば、現地は快晴。各高度で風速1Kt。
最高ですねえ。では出発します。以下の時刻表記(Z)は、計器盤の
時計が示す、グリニッジ標準時です。
 0422Z離陸、0423Zに38度定針。目標高度は10000ftとし、
4000ftから、ミクスチャーコントロールを、少々調整。DMEを受信し
空港からの距離を確認しました。ただし無風なので、無線なしでも、
到着予定時刻の計算は簡単です。

 「…見えたっ!」
 定針後8分。20nm地点で、早くも真正面の、もやに包まれた水平線
を破って、白い独立峰が、大空にそそり立ちました。当機より、ちょっと
高いところですので、少し不気味な感じ。これが霊峰・アグン山かあ。

 コースは、山頂どんぴしゃり。目標高度を12000ftに修正。山を超え
るには、少々間に合わないので、針路保持をディスエンゲージして、
東にかわしながら0436Z時、山頂すれすれを通過。なかなかダイナミ
ックな眺めです。
 針路を、手動で第2レグの310度に向け。高度保持も外し、速度だけ
オートで制御しながら、西方へ。

 足元の山並みが、すっと切れたと思ったら…カルデラ湖。もやの中
から、箱根の芦ノ湖によく似た湖が、ぐんぐん広がってきました。その
向こうが、バトゥール山ですね。
 続く3つの湖も、計算通りに出現。景色は富士五湖のムードです。
うち一つには、湖の中に「ウルン・ダヌ・ブラタン寺院」というのがある
そうですが、これはまあ、FlightGearでは見えないですね。残念。

 NDBを拾って、快調に帰路をたどり。0502Zに無事、空港のエプロン
に入ってエンジンを停止。景色と飛行をすっかり堪能し、倍速モードを
使う間もなく、予定ぴったり、39分のフライトを終えました。

     ○

 今回は、距離が短い割に、充実感のあるフライトでした。オートバイ
のツーリングに例えると、スピードは、あまり出さないけれども…こまめな
シフトと、丁寧な体重移動で、コーナーの一つ一つをじっくり味わい、
風を楽しんできた…という感じです。
 やはり、簡単でもいいから、自分でなにがしかの「航法」をやると、
満足感が大きいような気がしました。

 さてFlightGearは、待望の新しいマニュアルも公開されて、ますます
使いやすくなりそうですね。私は、ひょっとすると1、2週間、お休みを
頂くかも知れませんが、さらなる旅路では、まだまだ書きたいことがあり
ます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
投票数:13 平均点:5.38

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
少々、ご無沙汰をいたしました…(^^;)。

 今回も、ジェット機のトレーニングです。バリ島からインドネシアの首都
ジャカルタへ向かいます。
 使用機は、このサイトからダウンロードした、747-400(YASim)です。
初めて本格的に操縦してみました。以下は、ささやかな感想です。

●簡素で見やすい…一部、意味不明の計器:
 747-400の操縦席は、クリッカブルなパーツがなく、単純そのもので
す。本機の3Dデータ設計者は、C310やP-51もデザインした人なので、
作風としては少々意外です。「こういう作り方も、あったか!」という感じ
で、やや好みが分かれるところでしょうか。
 400型は、特色の一つであるグラスコクピット(ディスプレー式計器盤)
自体が、もともと簡潔なデザインですね。まず左側には、PFD(primary
flight display)という、姿勢や運動の表示画面があり。右にはEHSI
(electronic horizontal situation indicator)ですか…或いはND
(navigation display)と呼ぶのか、コンパスなど航法系の計器を集め
た画面があります。実機ですと、ここに飛行コース、天候、無線標識な
ど、何でも表示するらしいですが、FlightGearでは主に、大型のVOR
指示器として使われています。これが大変見やすく思えたので、今回
はすべて、VOR航法を使いました。

 本機はHUDも独特なデザインで、標準型より詳細な表示が出ます。
オートパイロットの設定針路と、実針路。機首の3Dベクトルと、実際
に機体が進んでいるベクトル、加速度、各種舵面の動き(?)など…
多様で、豊富な情報が表示されているらしいのですが、ちっとも意味
が分からないのが、イライラの元です。
 確かTu114やキャンベラなど、幾つかの機種が、これと共通の表示
になっていると思いますので、もし図入りマニュアルが整備されれば、
非常に便利になることでしょう。

●改めて、降下を考える:
 私はかつて、MSFSのリアジェットで2回ほど、地球を半周以上飛ん
だものの…ジェット機の操縦は、あまり系統立てて勉強していません。
そのため、細かな部分はヤマカンに近く、数カ月休むと、操縦のコツを
忘れてしまうほどでした。
 FlightGearのジェット機にも、まだまだ不慣れです。そこで先日、この
747-400機と737を使い、バリ島の空港で、何度か進入練習を試み
ました。
 高空から降下する際、従来は、ただ漫然と、目標高度を入力して
いましたが、これでは降下につれて速度が上がり、その分、目的地に
早く近づき過ぎて、高度処理が間に合わなくなります。
 そこで今回は、降下率と速度を、しっかり管理しようと思い、以下の
ような手順にしました。実機とは、まだまだ異なる点があろうと思います
が、かなり操縦しやすくなりました。

 ・「3対1ルール」で降下開始点を決める。
   巡航高度(ft)÷100÷3
        =着陸空港から、降下開始点までの距離(nm)
 ・開始点に近づいたら、一気に200Ktまで減速。ここで、フラップを
  1段出しておく。
 ・毎分2000ftの降下率で、降下開始。多少加速するので、必要
  に応じ、フラップを2〜3段出して制動。200Ktを維持する。
 ・低空では、毎分1000ft前後の降下率に落とす。
 ・最終進入の開始点でいったん、2000ft〜1500ftで水平に戻し、
  170kt程度でフルフラップ。
 ・ILSをインターセプトして、ローカライザに乗る。頭上から、グライド
  パスが接近してくるのを待つ。150Ktに落とす。
 ・グライドパスに乗る寸前に、ギアダウン。着地点を目指す。

 …これで、どんなものでしょうね。皆様は、どうやっておられますか?

●安定性を巡る、多くの問題:
 このアプローチ練習ですが。意外だったのは、オートパイロットによる
自動進入が、案外難しいことですね。特にjsbモデル機は、ローカライ
ザに乗るための、左右の修正運動の振れ幅が縮まらず、コースアウト
することが、しばしばありました。ジェット機以外にC310も、大きな蛇行
をすることがあります。
 また上下方向の修正でも、滑走路直前で高度が下がり、グライド
パスから外れるケースが数回発生。これは、アプローチ速度が低すぎ
た場合などに、揚力不足で起こるようですので、気をつければ防げる
と思います。747のファイナルアプローチでは、150Ktくらい出した方が、
うまく行くようです。

 左右のコース修正不良は、jsb独特の飛行特性も、関係している
ような気がします。jsbはYAsimに比べると、少々無茶をしても錐もみ
に入らず、ロール方向には「座りの良さ」を感じます。ただしその反面、
手動でも自動操縦でも、皆様お気づきの通り、ブランコのような独特
の、不自然な揺れを起こします。
 これはダッチロール・モード(左右の傾斜時に横滑りして、上反角
効果で姿勢が戻る際、中立点を行き過ぎては、揺れ続ける運動。
上反角が強すぎたり、垂直尾翼面積が少なすぎると発生する)とも
また違う、振り子運動に近いものです。この揺れの周期が、オートパ
イロットの動きと同期すると、どんどん蛇行が大きくなるのではないか、
と思います。
 この振り子現象は、以前はまさに「天井からヒモで吊ったような」動き
でしたが、現行のVer.0.9.10では、かなり改善されました。更にフライト
モデルの熟成が進むことを、祈りたいですね。

●機首の振れを止める:
 YAsim版の機体は、この問題があまり出ないため、へたくそな私にも
割に操縦が楽です。ただし747-400は、オートパイロットで変針する際、
舵角や速度によっては、先ほどの「振り子運動」とはまた違う、機首を
左右に大振りする、ロールとヨーの複合した運動に、勝手に入ってしま
うことがあります。
 これも本物の(空力的な現象の)ダッチロール・モードではなく、オート
パイロットが絡んだ、自励振動の一種だと思います。いったん手動操縦
にすれば、揺れの増大は収まりますので、上下と左右の運動を、個別
に止めておき。後は、オートパイロットが共振を再発しないよう、飛行速
度を少々変更した上で、そっとオート制御に戻すと、よろしいようです。


 ■活火山の巨大な弧…ジャワ島を縦断■
  (マップデータ:e100s10.tgz
           e110s10.tgz
           e120s10.tgz )
 では、ジャカルタを目指します。
 ジャワ島は、大地震に遭ったばかりですので。大型機を操縦してい
ると、まるで援助物資の空輸みたいな気分です。
(災害絡みでは、ちょっと不謹慎かも知れませんが…内外のニュース
に連動して、緊急援助フライトや政府専用機のVIP輸送、取材チャ
ーター機の撮影飛行などをイメージし、特色あるフライトプランを練っ
てみるのも、興味深いかも知れませんね)

 さて今回のコースは、まずバリ島のDanpassar Nugrah Rai空港
(WRRR)を離陸しまして、
 ・286度266nmで、Solo Adi Sumarmo Wiryokusumo空港の
  VOR(SLO)を通過。
 ・266度103nmで、Cilacap空港VOR(CLP)を通過。
 ・297度100nmで、Bandung空港VOR(BND)通過。
  (Bandungの50nm手前で、降下を開始します)
 ・314度55nmで、Jakarta Hallm Pardanakusma空港のVOR
  (HLM)を高度2000ftで通過。
  (ここが進入開始点です)
 ・ここからは風向きにより、コースが分かれますが、今回は南の風
  でしたので、HLM局から310度のアウトバウンド・ラジアルに乗って
  北上。さらに12nm進んで左旋回し、Jakarta Sukarno hatta
  国際空港(WIII)のILSをインターセプトし、最終進入します。

 …飛行距離は、約550nmです。本機は満タンですと6000nm以上
飛べるはずで、日本まで帰れる(?)程の航続力があります。今回は
搭載燃料を半分にしました。

●どっしり安定、空の豪華船:
 さて離陸です。今回もまたまた快晴微風。(赤道に近いせいなのか、
それとも私が、たいてい真夜中に飛んでいることと、関係があるのでし
ょうか)
 VORに周波数を入れ、フラップ1段下げ。オートパイロットの速度設
定を250Ktにすると、自動的にフルスロットルになり、滑走を始めました。
アプリによっては、あらかじめ高度設定もしておくと、滑走中に自動的
に機首上げをしてくれますが。FlightGearの747では、機尾を擦ってし
まうので、お勧めできないと判明しました(^^;)。

 離陸後、上昇しつつ250Ktに加速。10000ftを超えたら、300Ktまで
加速。高度30000ftでレベルオフし、巡航に入りました。
 コースは最初、NAV1のCDI方位をトラッキングしたのですが、セット
しているVORまで266nmもあるため、受信状態が悪く、針路が乱れ
ました。そこで針路をいったん手動入力し、VORの受信が安定するの
を待って、NAV1トラッキングに。ここで外部視界に切り替え、どっしり
安定感がある「空の巨船」に、しばし見とれました。

 EHSIは予想通り、かなり針が見やすかったです。ただし800×600の
画面表示では、DMEの数字が小さ過ぎて読めず、残念でした。また
かなり長時間にわたり、DMEの表示そのものが出ず、距離はもっぱら
Atlas画面で計りました。これでも結構飛べますが、エアラインのフライト
を精密に再現する方は、不満だろうと思います。

●VORのレンジについて:
 ここでAtlasの数値表示について、最近分かった事をご報告しておき
ます。VOR周波数のフォントには、濃い文字表示と薄い文字があるの
にお気づきのことと思います。あれこれ調べますと…

 ・濃い字:航法用の、エアウェイVOR。周波数112〜117.95MHz。
       高空なら約100nmまで受信可。さらに約250nmまで、
       断続的に受信できることもある。(FlightGear実測値)

 ・薄い字:ローカライザなど進入標識に使う、ターミナルVOR。
       周波数108〜112MHz。高空でも約25nmで、ほぼ受信
       不能になる。

 …となっている模様です。ただし周波数は、地域により、必ずしもこの
分類通りではない場合もあります。

●順調に降下をこなす:
 離陸後、快調に飛び続けまして。予定地点(アプローチの起点VOR
「HLM」から約100nm手前)で降下を開始。計画通り、まず水平飛行
のまま、300Ktから200Ktに減速しました。
 これに約2分40秒も掛かってしまい、予定地点を十数nm行き過ぎま
したが、その後は巡航高度の30000ftから、毎分2000ftの降下率を維
持して、順調に高度を処理。また速度も、フラップを2、3段下げながら
(747は最大4段)、ほぼ200Ktを維持しました。

 高度15000ftで、バンドンを通過。ここで針路を、ジャカルタ郊外の空
港にある「HLM」VORにセット。降下率を毎分1000ftに絞って、2000ft
まで降下。「HLM」局上空に到達しました。ここから、20nmほど離れた
「ジャカルタ・スカルノ・ハッタ空港」(WIII)へ、いよいよ進入です。
 付近には、空港が五つありまして、進入ガイドのVORも多数完備。
ただWIII空港に降りる際、これらVOR群をたどると、市街地をまともに
低空で縦断してしまいます。私も2000ftのまま通過しましたが、実機
なら、ちょっと騒音が心配なところです。

 海に出てILSをつかみ、自動進入をしたのち着陸。今回はうまくパス
に乗ることが出来ました。当たり前ですが…練習すればするほど、上達
するものですね。(でもジェット機の操縦は、まだまだベースになる知識
が不足です。いい参考資料がありましたら、どうか教えてください)

●やはり長大な航続力:
 残燃料は、7400gal×タンク3つ。容量50%で飛んで、2割(総容
量の1割)だけ使った計算。これなら本当に、満タンなら6000nm飛べ
ると思います。
 ちなみに、このモデルは乗客何人の体重を想定しているのか、興味
があって、FlightGear\data\Aircraft\737-300\737.xml を調べて
みたのですが、残念ながら「MASS & BALANCE」の項目には、人数は
書いてありませんでした…(^^;)。

 なお7月中旬ごろまでは引き続き、本連載の書き込み頻度が減るか
も知れませんが、どうぞご容赦をお願い致します。
投票数:15 平均点:4.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。少々、ご無沙汰いたしました。
 今回は、インドネシアの首都ジャカルタから、石油精製などで知られ
るスマトラ島のパレンバン市を経て、マレー半島南端のシンガポールへ
向かいます。遅まきながら、私にとってFlightGearで初めて体験する、
長距離の夜間飛行です…(^^)。

 このコースには山がなく、アプローチ中に迷っても、衝突の恐れがない
ため、練習するにはいい機会だと思いました。使用機は、扱い慣れた
セスナ310U3Aw.3Dです。

 ●「機長に、座布団1枚っ!」:視点を調整する
 まず、機体改造のお話です。
 夜間に限らず…アプローチや着陸時は、外がよく見える方が、圧倒
的に操縦しやすいですよね。特にアプローチ中は滑走路を見たいのに、
減速して機首を上げるため、ますます地面が見えにくくなります。
 実機ですと、座席の高さを調節したり、座布団を敷いたり(?)して、
パイロットの視点を上げればOK。FlightGearも、2Dパネル機でしたら
「Shift+F5」で、計器盤の位置を下げることが出来ます。さて3D機の
場合は?
 機体のスペックを書いた、各種xmlファイルを調べてみましたら、機長
の目の位置を定義した部分が見つかりました。書き換えは簡単です。
(念のため、バックアップ・ファイルを保存しておいてください)

  ・747の場合:
   c:\FlightGear\data\Aircraft\747\747-base.xmlを開きます。
   以下の部分をご参照下さい。
- <view>
<internal archive="y">true</internal>
- <config>
- <!-- x/y/z == right/up/back -->
<x-offset-m archive="y">-0.38</x-offset-m>
<y-offset-m archive="y">3.36</y-offset-m>
<z-offset-m archive="y">-18.16</z-offset-m>
<pitch-offset-deg archive="y">-13.0</pitch-offset-deg>
</config>
</view>

 …このy-offsetの数値「3.36」を増やすと、目の位置が上がります。
あまり一気に変更すると、
     「なぜ俺は、ジャンボの屋根の上にいるんだ」
と悩む羽目になりますので、0.1刻みで変更してみてください(^^;)。

  ・C310U3Aw.3Dの場合:
   同様に「c310u3a」フォルダ内のc310u3a-set.xmlを開いて、
   以下の部分をご覧下さい。
-<view n="0">
<internal archive="y">true</internal>
-<config>
<x-offset-m archive="y" type="double">-0.28</x-offset-m>
<y-offset-m archive="y" type="double">0.65</y-offset-m>
<z-offset-m archive="y" type="double">2.55</z-offset-m>
<pitch-offset-deg>-15</pitch-offset-deg>
</config>
</view>

 このy-offsetの数値「0.65」を増やすと、やはり視点が上がります。
私は0.69にしていますが、これで大体、ザブトン2枚分くらいの効果が
あるようです。
 目の座標は、xが左右方向、yが上下方向、zが前後報告です。
単位はフィートだろうと思います。例えばxを大きくすると、右へ移動しま
すので、調整次第では、「副操縦士の視点」で飛ぶこともできます。
 また視点を、もう少し計器盤に近づけて、その分、広角気味の視野
にすると、窓の外に見える範囲が広がるはずです。キー操作で簡単に
これらの設定変更ができると、面白いでしょうね。


 ■赤道を越えて…ジャワからスマトラ、シンガポールの旅■
  (マップデータ:e100s10.tgz
           e100n00.tgz
           e100n10.tgz )
 まず、詳細なコースを決めてしまいましょう。
例によって、6月10日にご紹介しました「斜めものさし Ver.1.13」を
使い、Atlasの画面上で針路と距離を測定し、VORとNDBで航法を
行います。
 この地域から、ベトナム付近までのインドシナ地方は、コンパス偏差
が、ほぼゼロですので、以下にご紹介する真方位は、磁気方位への
換算なしに、そのまま航法に使えます。

 ・ジャカルタ・スカルノ国際空港(WIII)を西へ離陸後、直進し…
 ・248度9nmでCangKaleng VOR(113.60)通過。右旋回。
  ここを航法の起点として、
 ・330度230nmでパレンバン空港のVOR(115.50)をめざす。
  ILS(110.50)を拾ってRWY-29(方位293度)に着陸。
  一休みして、再び夜空へ。
 ・358度145nmでSingkep Dabo空港(WIKS)のNDB(NE 320)
  をめざし、通過。
 ・337度111nmで、Sinjan VOR (SJ 113.50)を通過。ここが、
  シンガポール・チャンギ国際空港(WSSS)への進入開始点。
 ・57度を維持して、チャンギ空港の滑走路R02(方位23度)へ。
  SJの8.5nm先で、ILS(108.30)をインターセプト。着陸。

●赤道無風帯をゆく:
 …今回も上天気。各高度で、130〜150度の風10Kt弱です。
ニューギニアに入って以来、いつリアルウエザー機能を使っても、ほぼ
無風が続くので、不思議に思いましたが、このへんは「赤道無風帯」
だということを、忘れていました。

 赤道付近で温まった空気は、対流圏の上層へ昇って温帯まで
流れ、冷めて30度付近で降下し、地上風となって赤道へ帰ります。
この地上風は、コリオリの力(地球の自転の影響)で向きを変え、
赤道に吹き込むときは、東寄りの風になっています。年間を通じて
コンスタントに吹き、航海に利用された、いわゆる貿易風です。
 空気の昇り口の赤道付近(赤道無風帯)と、降り口の30度付
近(中緯度高圧帯)では、地上風は弱く、向きもまちまちです。
従ってインドネシア付近は、METARのデータでも、あまり強い風が
記録されない日が多いのですね。

     ●

 では、出発します。
 時刻設定をDusk(日暮れ)にし、VORの周波数などを打ち込み、
ジャカルタを離陸。滑走路から9nm前方にある、進入誘導用の
VOR上空で、オートパイロットを使って右旋回。マンダリン・オレンジ
のような夕日が、ゆっくり右から左へ流れていきます。ぴたり、パレン
バンへ機首を向けると、宵闇に星がまたたき始めました。

   「遠い地平線が消えて
    深々とした 夜の闇に心を休めるとき
    はるか雲海の上を 音も無く流れ去る気流は
    たゆみない 宇宙の営みを告げています…」

 かつて、FMラジオの人気深夜番組「ジェットストリーム」を彩った、
故・城達也さんのナレーションを、つい思い出します(^^;)。

●「地上の星」を眺めて:
 でも高度8000ftで巡航に移り、時刻設定をMidnightに切り替え
ますと、優雅な気分は消し飛んで、初めて体験するFlightGearの
夜の暗さに、びっくりしました。
 水平線は見えず、文字通りの計器飛行。地上も見えないから、
不時着もまず無理。実機なら、広大無辺の暗黒のなかで、深い
孤独を味わうのでしょうけれど…フライトシムですと、むしろ目隠しを
されたような、落ち着かない気分です。

 しばらく飛び続けるうち、眼下をゆっくりと、たくさんの「星」が流れて
いくことに気付きました。いつにマニかスンダ海峡を過ぎ、スマトラ島に
差し掛かって、地上の灯りが見えていたのです。人間の気配のない、
バーチャルな風景の中に、せめて街や車の灯が見えるのは、いいもの
ですね。

●コンパス・ロケーターについて:
 計算によれば、パレンバン空港が近づいています。でも、どこに?
私はNAV1をILSに合わせ、ADFを使って、空港の方角を探るのです
が、どうも滑走路が視界に入ってきません。

 パレンバン空港には、二つNDBがあります。一つは滑走路から1.5
nm離れた航法用。もう一つは滑走路直前、ミドルマーカーに併設
され、滑走路への進入標識の役を果たします。これはコンパス・ロケ
ーターと呼ばれ、ILS普及以前は、各地にたくさんあったそうです。

 コンパス・ロケーターは進入専用ですから、実世界ではごく低出力
で、到達距離も小さいそうです。FlightGearでは、どうなっているのか
確かめようと、私は二つのNDBを、交互に受信しながら、パレンバン
に接近しました。(注:結局、出力は同じでした)
 その後の進入時、私は空港から離れた航法用NDBを、コンパス・
ロケーターと勘違いして受信。これに基づいて、滑走路があると思っ
た方向を探したけれど、見当はずれだったのでした。
 …こうした事情が分からなかったので、しばらく目を皿のようにして、
空しく滑走路を探し続け。結局は、ぐるぐる回転する航空灯台が
目に飛び込んで、やっと空港を発見することが出来ました。

 当地は太平洋戦争の冒頭、日本陸軍が初めて空挺隊を降下さ
せ、苦心して精油所を占領したところですが。夜の滑走路に降りた
だけでは、さほど感想はわきません…。

●夜間飛行の視界について:
 ここまでの飛行で、夜間着陸の難しさを、他にも2点感じました。
ひとつは、地上の灯火が星と似ているため、慣れるまで機体のピッチ
角がよく分からず、降下に入ったと錯覚しては、何度も上昇してしま
ったこと。夜はひたすら、計器を確認する必要がありますね。

 第二に空港が、思ったより視認しにくいこと。
 例えば…MSFSのグラフィックは、総じてコントラストが高く。計器の
目盛りや滑走路が、極めてよく見えます。どんなローカル空港でも、
昼間でも、10nm以上先から、灯火が見えて便利です。ただし古い
ディズニー映画のように、けばけばしい色遣いで、いささか不自然に
感じました。
 かたやFlightGearの空港描写は、明度も彩度もかなり低く、風景
に溶け込んでしまって、見つけにくい印象です。ただ、小空港の場合
は、この方がMSFSより、ずっとリアリティーがあると思います。

 これら不具合を改善するため、出来れば「夜間視力を上げる」こと
は出来ないかと思い。パソコンの、グラフィック機能を調整しました。
やや明度を上げて、コントラストを落とし、シャドウ部を見えやすくして
設定を保存。デフォルト状態から、いつでも切り替えられるようにしま
した。
 また、窓にブラインドを下ろし、室内を薄暗くしてプレーするのも、
単純ながら効果的です。これらの併用で、夜間飛行でも水平線や
雲の形、地上のテクスチャーなどを、かなり見分けることが、可能に
なりました。

●光の海・シンガポールへ:
 これらの改良によって、パレンバンからシンガポールへの夜間飛行は
非常に楽しいフライトになりました。
 パレンバンからは、VORのアウトバウンド・コースに乗って、中継地の
Singkep Dabo空港(WIKS)のNDBへ。空港も視認しておこうと、
旋回を重ねたのですが、とうとう見あたりませんでした。後で判明した
のですが、ここにはPAPI(進入角度灯)以外、灯火がまったく、ありま
せん!! これには驚きました。或いは…スマトラ地震による被害などを
再現しているのでしょうか。

 今回は、VOR航法も快調です。精密な針路修正の結果、予定
針路から、ほぼ1度以内の誤差で巡航。マラッカ海峡を渡り、リアウ
諸島を飛び越えて…あと10nm弱で、シンガポールへの進入開始点
となる、「SJ」VORに到着です。
 この時…私は、地平線に満天の星が凝縮したような、すごい規模
の、街の灯を見ました。

 …さすがは、シンガポールです。思えばシドニーからこっち、久しぶり
に大都会を見ました。シンガポールは東西約22nm、南北約14nm
の島に、計6飛行場=滑走路10本が点在。「羽田空港を、どっさり
並べた都市」と、呼びたいほどです。
 その空港群の灯の、豪勢なこと。アジア有数の経済力が、巨大な
集積回路になって、熱と光をまき散らしているようです。驚きっぱなし
で、ど派手な滑走路に降りました。しかしまあ、夜間飛行とは、楽し
いものですね。
 そうそう、忘れていましたが…この飛行で私は、めでたく赤道を越え、
北半球への再突入を果たしました(^^)。 まだまだ、旅は続きます。
投票数:13 平均点:4.62

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 皆さま。この3連休は、どのようにお過ごしでしょうか。私は仕事の合間を縫って、FlightGearでシンガポールからベトナムへ向かいます…(^^)。
(猛烈な睡眠不足で、かなり読みにくい文章になりまして、ごめんなさい。少々描き直しました)

●洋上で偏流角を計る:
 今回は、長距離の洋上飛行。この機会に、風向・風速を補正して飛ぶ推測航法に、新しい要素として「偏流角の測定」を加えてみようと思います。

 偏流とは、針路に影響を与える風のこと。コンパスで狙った方位と、風で吹き流されて、実際に機体が向かう方向との差を、偏流角といいます。例えば真東(針路90度)に向かいたい場合、仮に北風で10度右に流されるとすると、方位90度へ向かうためには、実際は機首を80度に向ける必要があります。
 風によって、何度流されるかを知るためには、
  ・風向風速のデータをもとに計算する。
  ・機上で実際に、何度流されているか測定する。
 …の、2通りの方法があります。

 陸上を飛ぶ場合は、気象情報が豊富です。風向風速をもとに、風の影響を補正した針路が算出できます。でも海上の長距離飛行などでは、実際に流されている角度=偏流角を、機上で測定する必要があります。

 ロランやINS(慣性航法)、GPSが普及する以前は、大洋を渡る旅客機は、NDBなど航法援助無線施設の有効範囲外に出ると、天測をしたり、偏流角を測定して、推測航法の針路修正に使うなど、かなり苦心していました。(そのための航法士も、乗っていた時代があります。国によっては結構、最近までいたようです)
 偏流角の測定には、コクピットの床に取り付けた、偏流計という装置を使いました。回転式の丸い窓ガラスに、平行線を描き入れたもので、地上目標が並行線に沿って移動するように、ガラスを回転させて、角度目盛りを読む仕組みです。一度測定して90度変針し、もう一度計ると、二つの角度の違いから、風向・風速を算出することが出来ます。
 また小型機では、流されている角度を目測し、おおざっぱに風上へ針路を修正する方法も使われていたようです。いまも軽飛行機では、使うのかも知れませんが。
 (旧日本海軍の艦攻や艦爆には、水平尾翼に、お洒落な(?)細いストライプを、何本も入れたものがありますが、あれは実は分度器です。機首の真下を通った目標物が、尾翼のどの場所を通過するのか観察し、偏流角を出すのだそうです)

 私の推測航法では、メニューの「Weather」から、風向・風速を読んで計算をしています。FlightGearの世界では、飛行中に風向・風速が変化しませんので、これで十分に用が足ります。でも推測航法は、やはり偏流の測定までやるのが、ホンモノっぽいと思いまして。何とかFlightGearで再現する方法はないかと、以前から考えていました。

 ふと思いついたのが…6月10日付の本連載でご紹介した「分度器で測りましょ Ver.1.05」を、偏流計に使うことです。飛行中、機体を真上から見る視点を使い、地表の流れる角度を計ればいいのでは…(^^)。
 測定結果から、風向・風速を算出するのは、私の数学的能力(というか、無能力)では不可能ですし、「Virtual E6-B Ver1.4」にも、この機能がないのは残念ですが。針路補正だけでも出来れば、よりリアルなフライトになります。次のようなコースで、実際に試してみることにしました。


 ■シンガポールから、ベトナムへ■
  (マップデータ:e100n00.tgz
           e100n10.tgz )

  フライトプランをご覧下さい。
 ・シンガポール・チャンギ空港(WSSS)(N01.20.42-E103.59.31)
  を出発。359度で10.6nm飛行して、
 ・コンコンNDB(286)(N01.31.16-E103.59.24)通過。
  ここを航法の出発点として、5度で84nm飛び、
 ・南シナ海、ティオマン島のVOR(114.0)(N02.54.57-E104.06.33)
  を通過。さらに洋上を6度で344nm飛行して、
 ・ベトナム南西端のバイブン岬(N8.36.41-E104.43.07)通過。
  さらに陸上を、41度で175nm飛んで、
 ・ホーチミン(旧サイゴン)市の、タンソンニュット国際空港(VVTS)
  (N10.49.03-E106.39.14)に到着。

 …文中に、Atlasで計った緯度・経度を入れているのは、距離と針路を算出するためです。普段なら「斜めものさし Ver1.13」でパッと計るのですが、今回の航路は洋上のレグが長く、Atlasの縮尺が大きくなって、誤差が出そうなので、真面目に「Virtual E6-B v1.4」で計算しました。

●まず、陸上で計ってみる:
 シンガポールを離陸します。
薄雲が何層もあるものの、いちおう晴れ。空港上空を旋回しながら、巡航高度の7500ftまで上昇。巡航速度144Ktにセットし、コースを第1中継地のNDBに向けて(ここだけは無線を使う)、主滑走路上空を通過した瞬間を、航法上の「出発時間」として記録。さっそく偏流測定に掛かりました。

 機体が安定したら、外部視界に切り替えて、ほぼ真上から見下ろします。地上を背景にして、機首が正確に、画面の真上を向くように調整。続いて機首と機尾に「分度器」の90度線か、「斜めものさし」を正確に当てて、地上の目標の動きを追います。「斜めものさし」の場合は、地上目標の動きに合わせて傾け、表示される角度を読み取ります。
 実際にやってみると「分度器」は仕様上、あまり画面の上の方には、置けないことが分かりました。地上目標が機体に隠れないよう、「分度器」を上方にドラッグすると、中央付近へ戻ってしまうのです。他にも不都合があり、結局「斜めものさし」を使うことにしました。
 「斜めものさし」は、画面の上に垂直に立てた位置を「角度ゼロ」と見なして角度測定するので、機体の方を、正確に前へ向けておく必要があります。この機体の首尾線に、垂直にした「ものさし」を正確に合わせ、次に地上の目標が「ものさし」に平行して動くよう、角度を調節。先端に表示される角度の数値(0.1度単位まで設定可能)を読み取ります。
 この場合、FlightGearの画面には多少、広角レンズのような歪曲収差がありますので、「ものさし」を機体から左右にずらすと、誤差が出ます。

 あまり風が吹かなかったり、測定に手間取って、目標のNDBを通り過ぎてしまったり。最初はなかなか、うまく行きませんでした。やっと「右に1・5度の逸出」という数値が取れて、これを航法に使いました。またNDB通過までの経過時間から対地速度を計算。なんと180ktも出ていて、追い風成分36Ktの強風を受けていることが分かりました。
 この数値を基に、第2の中継点・ティオマン島までの針路を、フライトプランから1・5度修正して3・5度に。所要時間も、フライトプランの35分から28分に修正しました。
 風向・風速そのものを、算出しようと思うから難しいので。実用的には、風の影響を「前後の誤差」(速度補正)と、「左右の誤差」(偏流角補正)に分けて、個別に処理すればいいのですね。

 …1倍速のまま、こんなことをやっている間に。愛機はシンガポール北岸の、ジョホールバル水道を横断。マレーシア領内へ入ると、これで中国と地続きとなり、いよいよ本当に、アジアに入った気分です。
 途中から海上に出て、更に進むと右手に島が見え、これがティオマン島。VORが設置されている小島が、そろそろ正面に見えるはず…と思ったら、おお。見事にぴったり、現れました。
 近付くと、地上にゴマ粒よりも小さな白点があり。拡大してみると、これが目標のVOR局舎でした(中継地点に使っただけで、電波は受信していません)。
 この真横を通過する瞬間にポーズを掛けて、時刻などを記録。飛行経路は、西へ1nmくらいの誤差。到着時間は、たった26秒の遅れです。ちょっと自分に酔う瞬間…推測航法って、やっぱり面白いですよ!

 ここで針路を、ベトナムのバイブン岬へ。風による補正値は、先ほどのままとしました。プランでは針路6度のところを、偏流を加味して4・5度に修正。所要時間も風速を補正して、1時間54分の予定。2倍速で飛ぶので、実際は約1時間です。この間、周囲には…ただ青い、孤独の海と空が広がります。


●DC-10、セスナを救う●
 南シナ海横断を、取りあえずオートパイロットに任せて。
 このひとときを利用して、国際線の旅客機が、迷子になったセスナを洋上で捜索し、遭難から救った、珍しい実話をご紹介しましょう。

 1978年12月。アメリカ海軍出身のフェリー(機体空輸業)パイロット、ジェイ・E・プロシュノ(当時36歳)は、カリフォルニアからオーストラリアまで、セスナ188の空輸に出発しました。これは、農薬散布などに使う1人乗り農業機で、巡航速度はわずか110Kt。この飛行のため、補助タンクを付けたので22時間飛べますが、無線航法装置はADFのみです。
 サモア諸島・パゴパゴまで来たプロシュノは、1475nm離れたノーフォーク島に向けて離陸。だが、予定の15時間を飛んでも島が見えません。頼りのADFは故障していることが分かり、彼は無線で助けを求めました。燃料はあと7時間。ニュージーランド空軍の哨戒機が急行しても、島への誘導が間に合うか、微妙な場面です。

 ここに通り掛かったのが、ニュージーランド航空のDC-10、フィジー発オークランド行きTE-103便です。ヴェッティ機長は、セスナの危機を知らされ、乗客にアナウンスを入れて航路を離れ、捜索海域に向かいました。
 幸運なことに、会社の方針で大量の予備燃料を運んでおり、長時間の捜索が可能。またヴェッティ機長はナビゲーションが大好きで、上級機長になっても勉強を続け、航法士の資格を維持していました。さらに客室には、同社の副操縦士で、やはり航法士の有資格者が乗り合わせる、という偶然が重なり。2人のベテラン・ナビゲーターが知恵を絞って、夕闇迫る洋上で、小さなセスナを探す方法を考え始めました。

●太陽を使って、位置を割り出す:
 DC-10は、まず短波でセスナと交信。ヴェッティ機長は「太陽に向かって飛び、機首方位を知らせよ」と指示し、自分も落日に機首を向けました。プロシュノは「機首方位は274度」と返信。DC-10から見た夕日は、270度です。これでセスナがDC-10より、やや南にいることが分かりました。
 ヴェッティ機長は次に、太陽の高度を計ることにしました。プロシュノに「顔の30汰阿房蠅鬚ざし、太陽の高さを、指の幅で知らせてくれ」と依頼。プロシュノは「指4本弱」と回答。DC-10から見た太陽は、指3本弱の高さでした。このことから、セスナの方が仰角で3度あまり、高い太陽を見ており。距離に換算すると、DC-10より約200nm西にいることが分かりました。

 DC-10は距離を詰め、到達距離は短いが、クリアに聞こえるVHFでも交信開始。ここでヴェッティ機長は乗客に、窓からセスナを探すよう要請しましたが、見つかりませんでした。そこで機長は、逆にセスナからDC-10を見つけやすいよう、飛行機雲を出そうと、あれこれ高度を変えましたが失敗。数トンの燃料を放出して、人工の飛行機雲を引きましたが、これも「見えない」との返事。DC-10はこの時、セスナの真上にいたことが、後日分かりましたが、光の関係で見えなかった模様です。

●無線の可聴範囲を利用する:
 ヴェッティ機長は、捜索の模様を刻々と、乗客にアナウンスしながら、次の手を打ちました。「音源方位探索法」という、駆逐艦が潜水艦を、スクリュー音で探すようなテクニックです。
 セスナのVHF無線の到達圏は、半径約200nmの円です。DC-10は、セスナに送信を続けてもらい。まず無線の到達範囲外に出て、再びこの円内に進入し、無線が聞こえるようになった地点を、航空図にマーク。さらに真っ直ぐ飛び続け、今度は受信不能になった地点をマーク。そして図上に、この2つのマークを結ぶ直線を描きました。
 DC-10はこの後、大きく迂回し。さっきとは直角の別コースを取って、再び円内に進入。もう一度、受信可能・受信不能の地点を、航空図にマーク。同様に直線で結びました。
 この2本の直線に、それぞれ二等分線を引くと。2本の二等分線の交点が、すなわち計4つのマークを、すべて含む円の中心になり。これがセスナの推定位置というわけです。ここで日が暮れ、両機から見た日没時刻を比較し、さらに位置のデータが得られました。

●島をめざすか、着水か:
 だが夜に入ってセスナは、いよいよ燃料が欠乏。ここでプロシュノは偶然、曳航されて移動中の石油採掘リグに遭遇しました。彼はリグに現在地を訊ねたところ、ノーフォーク島から、かなり遠い位置を告げられ、いったん不時着水を決意。リグの乗員に、照明と救命艇を準備してもらいましたが、波が高くて断念しました。さてどうするか。

 ここでヴェッティ機長が、重大な発見をしました。リグが報告した現在位置は、間違っていたのです。「不時着しなくて済みそうだ。君は思ったより、ノーフォーク島に近い」と彼は告げました。燃料節約に務めていたので、まだチャンスはあります。だが島に届かなければ…暗夜の不時着水は、自殺同然です。
 プロシュノは、島へ向かおうと決心。ヴェッティ機長が針路を指示し、誘導のためDC-10を200Ktまで減速させたところ、セスナの灯火が見えました。とうとう両機は、お互いのライトを視認。ヴェッティ機長が、待ちわびる乗客に告げました。

  「皆様に、お知らせします! 当機の左下を、ご覧下さい…」

 DC-10は、セスナを航法灯で誘導。そこへニュージーランドから、哨戒機が飛来。誘導を引き継いで…とうとうセスナは、島へ降りたのです。DC-10の機内では歓声が上がり。シャンペンが配られ、乗客がカンパイした…というのは、なかなか洒落た結末ですね。

 この逸話は、英国航空の元機長、スタンリー・スチュワートという人が書いているのですが、すでに絶版です。ある意味、航空ナビゲーション技術の、神髄のようなお話ですので、忘れ去られるのは非常に惜しくて、ここにご紹介しました。

     ○

●巨大なコメどころ、メコンデルタ:
 ふたたび、2006年の仮想空間・南シナ海上空です。
 …この文章を熱中して書いていたら、ついベトナム南西端のブンダン岬を、数nm過ぎてしまいました(^^;)。

 あわてて反転し、航法の誤差などを計算。本来の到着時刻は、予定からほぼ1分以内の誤差に収まり、左右の針路誤差も、約6nm西にそれただけでした。偏流を初めて機上で測定し、344nmも飛んだにしては、いい精度だと思います…そう、自画自賛したとたん、今度はパソコンがフリーズしました。おいおい!

 再起動したら、リアルウエザーの中身が変わって、何層にも厚みのある曇り空。2000ftまで降りて、やっと雲の下に出ると、真っ平らな農地が、地平線まで広がりました。うわあ。これが、メコンデルタかあ。

 でっかいです。川やクリークが、数マイル間隔で縦横に走り。大河も2本。メコン川と、その支流。ではなくって…いま見下ろしている全体が、幅300キロ近い、途方もなく巨大な一つの、メコン川の三角州なのですね。視界丸ごと、世界有数の水田地帯、というわけです。
 低い層雲も。しっとりした地上の色合いも。ちょっと湿ったモンスーン地帯の味。シミュレーションながら、アジアの稲作ゾーンに帰ってきたぞお、と実感しました。私のDNAには砂漠より、こんなのが合ってるのかな。

 しみじみと、そう思っていたら。薄雲の彼方から、地味な都会のテクスチャーが広がり。2本並んだ滑走路が、ぴたり好位置に出現。ホーチミン市、タンソンニュット国際空港です。
 再起動後の偏流角は、少なすぎて測定不能。後で確認しましたら、やはり無風に近い状態。という次第で、ピンポイントの到着になりました。
投票数:15 平均点:6.67

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-7-23 23:22
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今日はベトナム・ホーチミン市(旧サイゴン)の、タンソンニュット空港から北上して、カンボジアの首都・プノンペンへ。いったん着陸ののち、北東へ進んで再び国境を越え、ベトナム中部の都市・ダナンへ向かいます。

 ■ベトナム南部とカンボジアをゆく■
  (マップデータ:e100n10.tgz )
 前回に引き続いて、飛行中に偏流(機体を流す風)を計り、針路の補正計算をする、かなりリアルな推測航法を試みます。
 (前回は睡眠不足で、ヘンな文章になりました。ごめんなさい。2、3日後に手を入れましたので、「何のことか、分からなかったぞ!」とおっしゃる方は、今一度お読み頂けましたら、望外の幸せです)(^^;)

 少し前から行っていた、フライトプランの簡略表記を、多少改良してみました。以下は今回の飛行コースです。
◎タンソンニュットVVTS(N10.49.02-E106.39.12 V116.7)
  ▼292.35度115nm(32湖 41海 49陸)
              13.3 17  20.4
◎プノンペンVDPP(N11.32.49-E104.50.39 V114.3)
  ▼35.93度333.2nm(6細島 17.5右岬 35陸)
              2.5   7.3    14.6
◎ダナンVVDN(N16.02.37-E108.12.02 V114.4)

このフォーマットの読み方は、以下の通りです。
◎空港名、空港コード(カッコ内は緯度・経度とVOR周波数)
  ▼この区間の針路と距離(カッコ内は、地上目標と距離)
   その下段の数字:各目標までの所要時間(単位・分)
 …となっています。

 「32湖」とは、「出発地から32nm飛んだら、湖に差し掛かる」
 「6細島」は、「6nm飛んだら、細長い島を越える」
 「17.5右岬」は、「17.5nm飛んだら、真右に岬がある」
 …という程度の意味です。

 これらは、次に詳しくご紹介させていただく、対地速度の計算=追い風や向かい風の影響の測定=に使う、地上の目標です。また「32湖」などの真下の数字は、空港出発からの予定飛行時間。分単位で入れてみました。

●地上目標を使って、推測航法を補正する。
 電波航法や天測では「いま、どこにいるか」を直接、測定します。これが出来ないときに使う推測航法では、基本的には、出発後の経過時間を頼りに、「コース上を、どこまで進んだか」「目的地まで、あと何マイルか」「どのくらい時間が掛かるか」を知るわけですね。
 無風なら、これらはフライトプラン通りですが、風が吹いている場合は、フライトプランの速度と飛行方位に、それぞれ風の影響が加わり、誤差を生みます。前後方向(速度)と、左右方向(針路)の両方に加算された、風のベクトルの大きさが分かれば、この誤差を修正できるわけですね。
 左右方向(針路)の誤差は、偏流角を計って、流されている角度の分だけ、機首を風上に向ければ、簡単に処理できます。また前後方向(速度)の誤差も、(追い風・向かい風の影響を含む)対地速度を出し、これと対気速度の割合を算出すれば、すぐ補正できます。

 具体的には…巡航速度120舛糧行機が、フライトプランで15分掛かる区間に、実際は20分掛かったとしますと、
 対地速度=(予定時間÷実時間)×巡航速度
       =(15分÷20分)×120Kt
       =0.75×120Kt
       =90Kt
 …となり。この場合は、30Ktの向かい風成分を受けています。他の区間の飛行時間を予測したい場合は、フライトプランの飛行時間を、この「0.75」という係数で割れば、相当正確に算出できます。

 この計算をするには、本来でしたら…航空図に、出発地から目的地までの直線を引き、線上にある、目立つランドマークに印を付けて利用します。必要に応じて、出発地からランドマークまでの距離を、プロッター(縮尺物差し)を使って計り、さっきの式に当てはめれば、いいわけです。FlightGearには、特に航空図の機能がありませんから、私はフライトプランにあらかじめ、幾つかのランドマークと、それぞれの出発地からの距離をメモしました。さっきの「32湖」や「41海」などがそれです。

 ●注釈● 先日、自家用パイロットのための、VFRナビゲーションの初級教科書を取り寄せてみました。実機の場合は、鉄道駅や岬といった目立つ地上目標を、フライトプラン作成用紙にそれぞれ、中継点として記載。これらの地点ごとに、予定到着時刻(ATE)、実到着時刻(ATA)や、各区間の予定飛行時間(ETE)、実飛行時間(ATE)を算出して、所定欄に書き込むようになっています。最終的には、こうするのが恐らく最も正確、かつ便利でしょうが、いささか煩雑なので。現在のところは、先ほど示しましたように、適当に略記しながら、FlightGear上で最も使いやすい、フライトプラン(及び飛行記録)の記載法を模索しています。

     ●

 では、飛んでみましょう。
ホーチミン市、タンソンニュット空港を出発します。
 ここはベトナム戦争中、盛んに米軍機が発着し、世界中からジャーナリストが詰めかけ。そして旧サイゴン陥落とともに、多くの人が脱出していった所ですね。「地獄の黙示録」の、ヘリコプターの爆音を思い出しながら離陸します。

 リアルウエザー機能が、提供してくれた天気は曇り。
旋回上昇していくと、1700ftで雲に入りました。思ったより厚い。2500ftでトップに出まして、それより上は快晴ですが、眼下の雲量は8くらいあって、地上が見えません。これでは偏流が測定できません…少々燃費が悪くなるでしょうが、思い切って高度1550ftを選択。低空を這う旅となりました。

●偏流を測定し、針路修正:
 機体を見下ろす視野に切り替え、「斜めものさし」を使って、第1回の偏流測定。ドリフト角はゼロのようです。13分飛んで、予定の目標の湖に差し掛かりました(湖というより、褐色の沼沢地かな)。この区間の飛行時間は、計画より18秒遅れただけ。ほぼ無風でしょうか…でも湖のど真ん中を通るはずが、右に寄っていました。コクピットから見た地上も、何となく、かすかに右にずれる気がします。

 もう一度、ていねいに偏流を計ったら、1度右に流されていました。次に、海岸に差し掛かったところで、2回目の区間飛行時間を計りました。17分経過しており、予定よりわずか15秒の遅れ。つまり前後方向には、ほとんど風の成分がありません。
 ここで、正しい針路に乗るため、「倍角度修正」を行いました。出発以来、右に1度それたまま17分間飛んだわけですから、まず左に誤差の2倍の2度変針。この状態で17分間飛び、その後は右に1度戻して、フライトプランより左へ1度切った針路を取ればOK。これで機体は、かすかに横滑りしながら、フライトプラン通りのコースを、ほぼ正確に飛んでくれます。

 …眼下は地平線まで、どこまでも平らな国。褐色の沼沢地が、いちめんに広がる中を、大きく蛇行する河が、何本も流れています。雲の下を、ひたすら飛び続けると、やがて河の両側に道路が現れ。そろそろ、到着時間も近いようです。私は前方に、大きな街と空港を探し始めました。

 …ない。空港が、ない…。
 正確無比に飛んできて、眼下に都市が広がったのに、ない。
目を皿のようにして、市街地を右に1周。Zキーでモヤを払って、数分間探したのに、まだない。VORを使おうと、何度も思いました。
 もう少し我慢して見張ると…まるで、偽装された軍用飛行場みたいに、ほとんど周囲の景色と見分けの付かない、グレーの線が1本あって。PAPIの白い灯火が見えて、これが空港でした。いったん目を離すと、またしばらく見失ってしまったほど、とことん目立たない空港です。
 やれやれと着陸準備をして、滑らかにタッチダウン。プノンペンです。

■プノンペン番外編■
 …60年ほど前。これと同じコースを、同じような航法で飛んで、プノンペンに到着し。それが人生最後のフライトになった、ある日本人パイロットのことを思い出します。ここで皆さんを、ちょっと航空史の世界へご案内しましょう。

●若い飛行家の死:
 1941年12月11日。真珠湾攻撃から3日後のこと。日本軍が進駐した、ここプノンペンの空港を、一人の若いパイロットが歩いていました。彼は日本陸軍の、新しい戦略偵察機「百式司偵」を空輸して、サイゴン(現ホーチミン市)から着いたばかり。
 駐機場には、陸軍の98式直協機(地上部隊を支援し、銃撃や偵察など、何でもこなす軽爆撃機)が50機並んでおり、ちょうど発進するところでした。司令部へ報告に向かうため、列線の間を歩いていた彼の背後で、1番機がゆっくり動き始めたとき。彼の姿は機首に隠れて、操縦席からは見えませんでした。プロペラの一撃が、若いパイロットの命を奪いました。彼の名は、飯沼正明。あの「神風号」の、元機長です。

●:15000キロの彼方、ロンドンへ:
 朝日新聞社の航空部員だった飯沼は、3年前の1937年(昭和12年)4月、陸軍の単発偵察機を改造した、高速連絡機「神風号」のパイロットに26歳で抜擢され。機関士の塚越賢爾とともに、東京・ロンドン間15,357kmを、94時間17分(このうち実飛行時間は、51時間19分)で結んで、世界記録を樹立しました。
 この飛行は出発当時、国際的には無視されましたが…インドを過ぎるころ、あらゆる速度記録を破っていることに、イギリスの特派員が気づき。欧米のマスコミが大きく報じて、到着時は熱烈な歓迎を受けました。日本の航空機の性能が、初めて世界に広く認知された瞬間です。ちょうど零戦の設計が始まった年でした。
 神風号の飛行は、イギリス国王の即位を祝う、親善飛行の名目で計画されたのですが、大記録を樹立しただけでなく。帰路にはちゃんと、即位式のニュースフィルムを東京へ空輸。これが全国の映画館で、船便で届いたフィルムより、ずっと早く上映され。朝日のいわゆる「特ダネ」になっています。
 国民あげての熱狂の陰で、新聞社機の、本来の任務もごく淡々と、こなしていたわけで…これはなかなか、立派なことだと思います。(大記録飛行のゴール後は、乗員も機体も、船で帰るケースが結構ありました)

●ライバル毎日は、世界一周:
 ライバルの東京日日新聞(現・毎日新聞)は、2年後の1939年、海軍の九七式陸攻を改造した、長距離機「ニッポン号」で、日本初の世界一周に成功。国内では、またも大騒ぎになりました。
 だが航空界の進歩は早く。すでに世界的に見れば、めぼしい航空路は開拓済み。長距離飛行が、真に冒険だった時代は、なかば終わろうとしており。欧米では従来の郵便飛行に加え、安全で速い旅客機の開発や、本格的な商業輸送を目指していました。

 ニッポン号の乗員たちは、アメリカ国内を飛行中、日本では試験段階の電波航法施設(中波ビーコン)が、すでに広く整備されていることに驚いたのですから…機体では追いついても、インフラを含む航空全般では、実はまだ相当な差がありました。
(日本の新聞社が、競って飛行機を持ったのも、民間航空が未熟なため。欧米紙と違い、手軽にチャーター機が使えなかったからです)

●鳥人たちの、見果てぬ夢:
 朝日新聞は次に、日本を起点とする、残り少ない未踏破の大飛行に挑もうと、東京・ニューヨーク無着陸親善飛行を計画。成層圏を巡航する、高速長距離機「A26」の開発に取りかかりました。機長には、飯沼飛行士が予定されていましたが、日本は戦争に突入。ニューヨークで大歓迎を受けるのは、もはや夢でした。
 朝日・毎日の連絡機が、自由に東シナ海や、中国大陸を飛べた時代も終わりを告げ。軍に徴用されるという形でしか、連絡機を運行できなくなっていました。飯沼飛行士も軍属となって、空輸などに動員され。ロンドンでの大歓迎から、わずか3年後、プノンペンで殉職したのでした。(その死は、「敵弾を受け重傷を負ったが、よく操縦を続けて帰還を果たし、地上で力尽きた」という英雄談に、作り替えられました)

 「神風号」の僚友、塚越謙爾も、のちに大戦中、このA26で、ドイツへの連絡飛行に出発。英空軍が待ち受けるインド洋を、白昼横断するという、無茶な計画の犠牲となり、消息を絶ちました。
 東南アジアの地図を眺めていると、ふと、そういうことも思い出します。(余談ながら。百式司偵もA26も、機首が「段なし風防」になった流線型の胴体を持ち。異様なまでに美しい双発機でした)

     ●

 プノンペンから、ダナンまで333nmのコースは、低空では風向・風速に変化はなく。同じ修正データを使って順調に消化。滑走路から1・5nmの地点に着き、針路は完璧でしたが、予定より5分ほど早い到着でした。
 カンボジアからベトナムへの国境線上に山脈があり、最終段階で7500ftまで上昇したため、風向と風速が少し変化して誤差が出たようです。(一応、雲から飛び出た山を利用して偏流を計りましたが、ちょうど追い風で偏流角がゼロになり、風速変化までは分かりませんでした)
 次は、もう少し悪条件を作って、航法の精度を試してみたいものです。さて、どんなコースにしようかな?
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 暑い日が続きますね…見事な入道雲がわいています。
(あの近くを、飛びたいなっ!)
 さてFlightGearの世界では、私はベトナムのダナンに到着以来、街の沖合に出ては黙々と、低空で飛び回って、航法の研究をしています。

 前々回(7月17日付)と前回(7月23日付)に、偏流角(風で機体が流される角度)を測定して、針路を修正する方法をご紹介しました。あれ以降、なるべく簡単、かつ正確に偏流角を計り、出来れば風向・風速まで算出する方法を、習得しようとしているのですが…なかなか前進しません。以下は、いまのところの試行錯誤のお話です。

●偏流計の試作に挑戦:
 FlightGearで偏流角を計るには、「Helicopter View」で、機体を垂直に見下ろして、バックの地表が流れる角度を、「斜めものさし Ver.1.13」の角度表示機能で計ればいいのですが。海面で使うには、かなり慣れが必要です。出来れば本物の偏流計のように、多数の平行線を引いた、透明な板が欲しいところです。一瞬、CDケースに何本か線を引いて、画面に当てようかと思いました。まあ、それでもいいのですが(^^;)。

 「斜めものさし」を扱っているサイトに、「同心円と格子 Ver.1.0」という、面白いツールがあります。格子型または同心円のグラフ用紙を、任意のピッチと色で、半透明に表示し、画面上の何かに重ねて、寸法を計る道具です。
 これをうまく設定すると、「格子」の平行線を(背景と同じ色にして)消してしまい、垂直線だけを、派手な色で残すことが出来ます。すると、ほぼ理想的な偏流計として使えるはずで、これは我ながら、うまいアイディアだと思いました。
 でも、試してみると大失敗。シミュレータ画面に重ねて表示すると、なぜか干渉を起こして、「格子」全体が点滅してしまうのです。これでは、CDケースの方がましです。ううん、残念無念!

●測定法を、さらに工夫する:
 そこで次に、偏流角を手軽に、正確に計る、決定的な方法を思いつきました。なんのことはない…Atlasが表示した航跡を拡大し、「斜めものさし」の角度表示機能で、方位を実測すればいいのです(^^)。これを、「偏流角測定における、Atlas画面法」と命名しました。

 「推測航法をやっている最中は、原則として、Atlas画面を見ない」という、私の個人的なポリシーには、ちょっぴり反しますけれども…これは実際に、非常にうまく行きます。また「Helicopter View」で機体を垂直に見下ろす、従来の方法による測定結果を、Atlas画面法の結果と比較してみましたが、従来の「見下ろし法」(と名付けました)でも、熟練すると実は、かなり正確だということが分かりました。今日の実験では、Atlas画面法との誤差は最大0・3度で、完全に実用レベルです。

●風向・風速の算出法は?
 私にとって最大の難関は、偏流角の測定結果から、風向・風速そのものを算出することです。これが出来ると、風による「左右の誤差」を修正するばかりか、「前後の誤差」(速度に対する影響)も、地上の目標に頼らず、計算だけで求められることになり。推測航法の技術が、一応の完成に近付きます。軽飛行機の入門書によると、例えば、

 (1)ある針路で、偏流角を測定する。
 (2)次に左60度変針し、2分間の直線飛行で、再び偏流角を計る。
 (3)さらに右120度変針し、2分間の直線飛行で偏流角を計る。
 (4)最後に左60度変針し、元の飛行コースに戻る。

 …というやり方で、コースの片側に飛び出した正三角形を描きます。この飛行経路を、ウインド・スターまたは、ダブル・ドリフトと呼び。ここで得た、3通りの偏流角の数値から、風向・風速が出せるそうです。
 入門書にはこのための、本物のE6-B計算盤の、操作法が書いてありますが。私は持っていないので、いわば「猫に小判」です(^^;)。ほかに、数学的な原理(作図によって、解を出す方法)の図解もあります。原理的には、三角関数の応用ですから、関数電卓でも解けるはずですね。こーゆーのは苦手ですが、面白いテーマなので、またゆっくり考えてみるつもりです。

●もっと、本質的な問題があった:
 しかしここで、私は予想もしなかった、重大な問題にぶつかりました。それをお話しする前に、前記の解法を探すため、モデルとなるデータを取ろうとして、私がやった試験飛行のご報告をしましょう。

 (1)風向を180度、風速を30Ktにセットする。
 (2)海上に出て、高度1000ft、速度120Ktでオートパイロットを使い、
    直線飛行をする。
 (3)針路0度、30度、45度、60度、90度、120度、180度で、
    それぞれ偏流角を測定する。
    (速度と風速は、計算しやすそうな値を選びました。低空の方が
    波が見やすく、正確に計れます。実際の航行では、高度により
    風が変わりますから、もちろん巡航高度で計る必要があります)

 …これをやってみて、びっくりしました。機体の流される角度自体は、精密に計れましたが、結果が少々おかしいのです。
 例えば。真北に飛べば、偏流角はゼロのはずですが、0・9度右に流されます。また真南に飛んだ場合も2・9度、左へそれます。これはおかしい。また風は真南ですので、南北で結果が変わるのも、へんな話です。以下に結果をご覧に入れましょう。すべてAtlas画面法で測定し、真方位です。
 (実機では、偏流角は針路に対して右か左で表記し、これを打ち消すための修正角は、プラスかマイナスで表しますので、これに従います)

 計器針路 対地針路 偏流角
 0      0・9    右0・9
 30     28・3   左1・7
 45     42・2   左2・8
 60     55・8   左4・2
 90     84・5   左5・5
 120    114・1  左5・9
 135    129・3  左5・7
 150    145・0  左5・0
 180    177・1  左2・9

(続けてもう少し、計ってみました)
 225    226・5  右1・5
 270    274・5  右4・5
 315    319・1  右4・1

 …というわけで。0度と180度、また90度と270度で、シンメトリーになっていません。また、横風の影響が最大になるのは、針路が90度と270度の場合であるはずが、そうではなく。120度の場合に最大になっています。これは非常に重大なことです。飛行機の航法の世界では、

   「巡航速度のベクトルに、風のベクトルを足したものが、
    対地ベクトル(地面に対する真の飛行経路)になる」

という鉄則がありまして。この3本のベクトルが作る三角形を「風力三角形」と呼ぶのは、以前お話しした通りです。前述のように、風の影響が東西南北で対称にならないのは、この風力三角形が、壊れていることを意味します。

●FlightGearには、バグがある?:
 以上を言い換えれば、FlightGearの世界では、実は風の影響が、正しく再現されていない(!!!)ことになります。となると、ナビゲーションの基本である推測航法も、極めて厳密な意味では、成立しないのです。

 もちろん…以下のような限定条件なら、実用上は成立します。
 (1)偏流角を測定し、これに応じた修正角を加える。
    (まず、左右にドリフトした分だけ、針路を修正する)
    この手順に加えて…
 (2)同時に、陸の目標(中継地)を使って、対地区間速度を
    実測し、巡航速度との差から、到着予定時刻を補正する。

 …これは前回までに、実際に成功しました。しかし、風の影響が正しく再現されていないのなら、「偏流角の測定だけを使い、地上目標に頼らず、正確な風向・風速修正を行う」という、さらに高度な、いわば「自立的な推測航法」は、現在のFlightGearでは出来ないことになります。私は、完全に実機通りの航法をやるため、本物のE6-B計算盤を通販で買おうかと考えていたのですが…このままでは無駄です。

 では、なぜこういう実験結果が出たかですが。いま推測できるのは、
 ・私が、例によってどっかで、ポカミスをしている。
 ・丸い地球をシミュレートする過程で、やむを得ず一定の狂いが
  生じる。一種のバグ(限界)で、ユーザーには修正不能。
…の二つです。もちろん、前者であることを祈ります。

 というわけで、今回の「旅日記」は、ダナンの沖合をぐるぐる回るだけでしたが。以上の問題が解決できるか否かはともかく、また気を取り直して、次の航程を目指します…。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-8-4 6:31
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回は、「機体の流され方が、風と一致しない。FlightGearは、風による影響を、正確に再現しているかどうか疑問」…という趣旨のお話をしました。やっかいな問題ですが、改善策を思いつきませんし、これまでのところは、風が絡む推測航法でも、実用上問題ない精度が出ていますので、当面は棚上げにしておきます。
 今回は、推測航法の一つの焦点になる、偏流角から風向風速を求める方法を、やっと整理しましたので、ご報告します。また、このテクニックを初めて使って、南シナ海・西沙諸島の孤島へ飛ぶことにします。

●「風力三角形」の図をご覧下さい:
 さて。飛行経路に対する、風の影響を考える基本になるのが、
  ・機体の針路・対気速度ベクトル
  ・風向風速ベクトル
  ・風に流される実際の飛行経路=対地ベクトル
の、3本のベクトルで描く「風力三角形」です。これを見れば、風が針路や速度にどう影響するかが、よく分かります。

 今回は、説明図を準備しました。お手数で恐縮ですが、本サイトの「マイアルバム」メニューから、私がアップロードした画像「風力三角形」を落として、開いて下されば幸いです。(サムネイルをクリックして、一回り大きな画像を出し、もう一度クリックすると、字が読みやすいサイズになります)

 この図は、「東の風30Ktの時、対気速度120Ktで真北へ飛び、次いで南西へ飛んだ場合、どれだけ風に流されるか」を示しています。同じ図から逆に、どんな風が吹いているか不明の場合、風に流された量(偏流角)を基に、どうやって風向風速を求めるか、ということも理解できます。

 まず、左上の(1)図をご覧下さい。
青いベクトルは、針路0度・真対気速度120Ktを表しています。赤いベクトルは東の風(FlightGearの設定メニューを含む、風向表記では90度、吹く方向は270度)が風速30Ktで吹いていることを示します。この2本のベクトルを「加算」した緑のベクトルが、機体が吹き流されながら、実際に飛ぶ経路を示した「対地ベクトル」です。

 ここで、青ベクトルを長さ120ミリ、赤ベクトルを30ミリで作図すると、緑ベクトルの長さは約124ミリ、角度は約14度になると思います。(図が精密ではないので、実際は計算で求めました)
 つまり、風に流された結果、対地速度は124Ktになり、正しい針路から左へ14度ドリフトしたわけですね。この場合、飛行時間は予定より3.3%短くなります。もし120nmの距離を、1時間掛けて飛ぶ計画でしたら、予定より2分早く着きます。また飛行計画通り、真北に向かうためには、計器上(またはオートパイロット)で保持すべき針路を、0度から14度に、修正すればいいことが分かります。

 また左下の(3)図は同様に、南西へ飛んだ時の、風の影響を表します。同じように計算しますと、対地速度は約147ktとなり、偏流角は右約5.9度です。従って、飛行時間は予定より22.5%短くなり。正確に南西へ飛ぶ針路は、225-5.9=219.1度になります。
 (オートパイロットは、小数点以下の針路設定も可能ですが、小さな島などをめざす場合を除き、通常は1度単位の設定で十分です)

 …という具合に、この三角形を使うと、風の影響を作図で求めることが可能です。偏流角から、針路や速度を補正計算する道具は、数多く発明されましたが、多くはこのベクトル作図法と、同じ原理のようです。

●「裏三角」から、風が見えてくる:
 次に、これらの青ベクトル(針路)と赤ベクトル(風)を、それぞれ平行移動して、三角形を「裏返し」にします。すると(2)図と(4)図が得られますが、これらの三角形は「裏三角」と呼ばれており、次にご説明するように、風向風速を求める時などに使います。

 ここで、半径120ミリ(巡航速度120Ktを示す)の円を描き、その上に(2)図と(4)図の、二つの裏三角を乗せてみましょう(図右)。すると二つの裏三角は、同じ一つの赤ベクトル(風)OPを、共有していることが分かります。
 …ということは。赤ベクトル(風向風速)の向きと大きさが不明でも。複数の飛行コースにおける、青ベクトル(計器上の針路)と緑ベクトル(偏流角を足した、対地針路を示すベクトル)さえ分かれば、これらを円の上に記入して、緑ベクトルの交点Pを求め、風向風速を知ることが出来ます。

●作図用紙を使う:
 以上は、三平方の定理と三角関数を交えた、一次方程式で解くことも出来ます。ただしWindowsXPの関数電卓には、平方根もアークタンジェントもないため、私はこの部分だけ、Excelの関数を使いました。専用のワークシートを作ればいいのですが、針路が90度変化するごとに、プラス・マイナスの符号判定が必要になるなど、ちょっと面倒に見えるので、当面は作図に頼ることにしました。
 簡単に描けるように、「風力三角形作図用紙」を作って、「マイアルバム」にアップロードしました。ご覧の通り、360度分度器に、速度ベクトルを計るため、1目盛り10Ktの同心円を組み合わせたものです。

 BMPでアップロードするはずが、容量オーバーになってしまいましたので、JPEGにします。済みませんが…BMPに変換の上、飛行中にWindowsのペイントツールで開いて、説明図の円のように、針路と対地ベクトルを記入すれば、風向風速のベクトルが得られます。(144Ktの円に、赤い線を入れてあるのは、私の愛機C310の巡航速度です)

●風向風速をもとに、真針路を描く:
 FlightGearの飛行中は、次のように活用します。
 このチャートを使って、まず風向風速を求めておき。同じ円内に、任意の方位で、飛びたい針路(新たな青ベクトル)を記入してください。そのベクトルの先端(円との交点)から、P点へ直線を引き。直線の角度を「斜めものさし」か、画面に当てた分度器で計れば、そのまま、風を打ち消す修正角を含んだ、いわゆるTC(True course=真針路)になります。

●注● ここでは二つの裏三角を使いましたが。実機では誤差を小さくするため、三つの針路で偏流角を計り、三つの裏三角を使います。3本の対地ベクトルは、実際はなかなか一点でクロスせず、小さな三角形を描くことが多いのですが、その場合は三角形の重心をP点とします。


■直径1マイル…西沙諸島の小島を探す■
    (マップデータ:e100n10.tgz
            e110n10.tgz )
 では実際に、偏流角の測定結果とコンパスだけを頼りに、洋上の小さな目標をめざします。コースは次の通りです。

◎ダナンVVDN(N16.02.38-E108.12.01 V114.40 NDB212)
  ▼78.8度243.2nm
◎Woody Island空港VH84(N16.50.00-E112.20.42)
◎ドンダオNDB(369)
 (補助目標。VH84から114.6度24.7nmにある)

 目的地のWoody Island空港は、南シナ海・西沙諸島の、直径1nmしかない小島から、全長1.5nmの滑走路が飛び出している、変な空港です。ここには、VORもNDBも設置されていません。
 ドンダオNDB局は、ここから約25nm東の小島にあります。迷った場合はここへ行き、294.6度で24.7nm飛べば、ゴールできるはずです。いずれにせよ、風向風速を補正する必要があります。
(後で分かりましたが…ドンダオNDBは、実際は使用不能でした。従ってこのWoody Island空港は、電波航法では、たどり着くことが出来ない場所です)

●図と計算で、真針路を出す:
 ダナンを出発。
リアルウエザーの天候は晴れ。風のデータを読まずに離陸。吹き流しを横目で見ると、どうやら北寄りの、かなり強い風でした。
 トラフィック・パターンを1周し、2000ftまで上昇。オートパイロットで高度保持を掛け、速度も144Ktにセット。空港上空を通る瞬間に、時刻を記録して、航法上の出発時刻としました。同時に、針路を予定の78・8度にセット。愛機は南シナ海に出て…いよいよ孤島をめざします。

 さて、第1回の偏流測定です。本来の針路と、左60度、右60度の、計3通りの機首方位で偏流角を計ったところ、次のようになりました。精度の高い「Atlas画面法」で測定し、単位は度です。

 針路   偏流角 対地ベクトル 修正角 真針路
 78・8  右4・7  83・5    −4・7  74・1
 18・8  左1・0  17・8
138・8  左4・4 143・2

 念のため、Atlasで経路を確認したところ、機体は正確に、正三角形の「ウインド・スター」を描いて、ほぼ元の針路の延長上に戻りました。

 「風力三角形作図用紙」に、針路と真針路の、ベクトル計6本を記入。風向風速のベクトルを、「斜めものさし」を使って読むと、15度15.5Ktとなりました。飛行コースの偏流角は右4.7度ですから、修正角は-4.7度。これを加えた真針路74.1度を、オートパイロットにセットし直しました。対地ベクトルの長さから、対地速度は130Ktと判明。飛行予定時間は1時間52分、これをもとに、到着予定時刻も出しておきます。

●風のデータを変更する:
 私は、途中で風向風速が変わったと想定し、風の設定を、変更してみることにしました(本当は飛行中に、風がランダムに変わると面白いのですが。ATISで離陸時の風を知って航法を行い、途中から洋上の測定結果を使うという、一段とリアルな飛び方が出来ます…残念)。
 測定や計算を行い、この文章まで書いていると、時間はどんどん経過します。風の変更を予定した、離陸後1時間目がやってきました。

 実はこの時が来るのを、ちょっと恐れていました。設定変更のためメニューを開くと、今の風向風速が見えるわけですが。FlightGearが、もし正確に風の影響を再現していないと、かなり大幅な、誤差が出る可能性があります。すると先日来、苦心して編み出したこの航法技術は、使えないことになってしまいます。

 さて。設定欄を眺めると、3000ft以下では、10度の風14.112Ktになっており…やったあ!!! 風向5度、風速約1.5度の誤差で済みました。なにぶん小さな作図です。これなら、よしとしなくては(^^)/。
 ただ問題は、これで島が見つかるかどうかです。後日、航法精度を評価するため、HUD表示の緯度経度(N16.26.163-E110.24.616)を、「洋上中継点A」としてメモしておき、風向風速を60度15Ktに書き換えて、2回目の偏流測定をしました。

 針路   偏流角 対地ベクトル 修正角 真針路
 78・8  右4・7  83・5    −4・7  74・1
 18・8  左1・1  17・7
138・8  右4・4 143・2

●ピンチ!! 大誤差が出た:
 このデータで、改めて風向風速を計算すると…23・5度13・5Kt。風速は今度も1・5度の誤差で済みましたが、風向はなんと、36・5度も狂って驚きました。作図を確認しましたが…3本のベクトルは、ほぼ一点で見事にクロスしているし、どうも間違いが、見つかりません。

 ううううん、なぜでしょうねえ。ともかく、測定と計算に掛かった25分間、誤った進路を飛んでいます。推測航法では、正確な位置が分かっているのは、出発時だけ。あとは計算で、ベクトルを「接ぎ木」していく技術ですから、いったん狂うと、どんどん誤差が広がります。何とかしなくては!!!

 考えている間にも、機体は進みます。
 緯度経度をもとにして、「洋上中継点A」から目的地への正しい距離・方位を「Virtual E6-B」で算出すると、79・1度112・85nmと出ました。これに、メニューの風力欄に入力した、正しい風向風速を加えてE6-Bで針路計算をすると、針路は77・1度、対地速度は129・7Ktになりました。これは、まず正解と考えていいはずです。

 25分間に飛んだ距離は、25分÷60分×129・7Kt=54nm。
残りは58・85nmで、所要時間は27分。これで到着予定時刻は、ほぼ正確に分かります。島は小さい目標で、通り過ぎる恐れがあるため、速度の補正は重要なのです。
 もっと大きな問題は、針路です。偏流計算の結果は、緯度経度から出した正確な針路計算とは、3度違います。この3度が、どの程度の誤差になるか。関数電卓の出番です。

  sin3度×112・85nm=5・9nm
 というのが答で。針路の右約6nmに、島が現れるはずです。燃料はたっぷりあるし、ここは下手に修正を掛けず、27分飛んで島が見えなければ、右旋回を考えることにしましょう…Here we go!
 火事場の馬鹿力的スピードで計算をこなし。私はZキーで水平線付近のモヤを消して、深い青緑の海を見つめました。心なしか、いつもより暗く冷たく見えます。

 (実はこのあと。いくら探しても、島が見つかりませんでした。原因は…必要なマップデータを一つ、入れ忘れたからです(笑)。目指す島をロストし、溺死したパイロットは数知れませんが、彼ら・彼女らはさぞや、半狂乱になったと想像します。私は幸い、風向風速を入れ直した時点で、フライトをセーブしていたので、すぐにやり直しが利いたのですけれど)

●まだ道は遠く:
 …到着予定時刻の10分前。やや右に、かすかな線が見えました。5分後、視野を高倍率にして眺めると、ぺちゃんこの小さい島と、そばの海上に伸びた滑走路が見えました。あったぁ…やれやれ。
 真横を通過して距離を計ると、誤差は左へ5nm。到着時刻は、3分ぐらいの誤差でした。ルール通り、場周経路のダウンウインド・レグ中央に、風上側から45度で進入。ぐるっと回ってスムーズに降りましたが、今日のフライトはかなり課題が残り、どうも気が晴れません。

 最初の偏流測定は、まあ成功ですが。2回目には大誤差が出て、まだ原因も分からず。冒頭でも触れました「風の影響の再現問題」が、ことによると絡んでいる可能性も捨てられず…最初は「推測航法、完成か!!」と思ったのですが、まだ道は遠いようです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回は、この間からお話ししている、「FlightGearは、風による飛行への影響を、正確に再現しているか」という問題を、さらに詰めます。少し地味なお話が続きますが…「FlightGearでは、果たして推測航法が、厳密に成立するのか」というのは、けっこう大問題でもあり。もう1回だけ、詳しく考えてみようと思います。

 いま、私がやってみたいのは、
   「飛行機を全方位で飛ばしてみる。風も全方位に
    わたって変化させ、機体が実際に、どのくらい風に
    流されるか、地表に対する真方位を測定する。
     この測定結果から、風向風速を逆算し、
    実際の風の設定値と比べて、どの程度の誤差が
    あるのか、分析評価する」
 …という作業です。
 これを、多少綿密に試みて。誤差が小さければ無視するし。もし誤差が大きくても、一定の傾向が見えれば、補正の方法も見つかるはずです。

●風の影響のデータを取る:
 あまり膨大な測定は無理ですけれど…いつものセスナC310を使用し、針路は45度ごとの計8方位、風向は30度ごとの12方位、風速はゼロと20Ktの2種類、飛行速度は巡航144Kt1種類とします。
 つまり、こんな具合です…。

 ・針路を0度、45度、90度、135度、180度、225度、
  270度、315度と変化させながら、
 ・そのつど、風向を0度、30度、60度、90度、120度、
  150度、180度、210度、240度、270度、300度と
  変えて、
 ・風速も0Kt、20Ktの2通りに変化させ、
 ・これら全ての場合の、偏流角(流された量)を計る。

 理屈では、針路と風の相対角度を、0〜90度まで変化させるだけで、風の影響は分かりそうです。しかしFlightGearの場合、風による機体の流され方は、風との相対方位だけではなく、実は絶対方位によっても変化します。例えば…北風を受けた場合、針路90度と270度では、流される分量が変わってしまい、東西で対称形にはならない(!!)、ということが分かっています(7月28日付・本連載)。従って、方位の全周にわたる測定が、どうしても必要なのです。

●計測時の飛び方:
 オートパイロットで旋回・直進を行いますが、いったん旋回すると、直進に戻って安定するまでに、2分くらい掛かってしまいます。従って、風向風速を一定にしておいて、8方位をぐるぐる回ったのでは、いくら時間があっても足りません。そこで今回は逆に、針路を一定に保ち、風向風速を次々に切り替えて、全部の組み合わせを試し、その後で針路を1ステップ変更することにしました。シミュレータならではの方法ですね。

●Excelで「HIDEの風見盤」を製作:
 最後に、測定結果の分析方法です。
偏流角から、風向風速を逆算するには、前回ご紹介した「風力三角形」を作図する必要があります。しかし「マイアルバム」にご紹介の「風力三角形作図用紙」は、実際に何度も使ってみますと…かなり作図に手間が掛かりますね。ごめんなさい(^^;)。
 これで大量の分析をするのは正直、大変です。そこでExcelで描けないかと思い。三角関数やグラフの使い方などを、大急ぎで勉強した結果、風力三角形を自動作図するワークシート「HIDEの風見盤」が、取りあえず動くようになりました。
(これを本サイトの「ダウンロード」で公開したいのですが、どうやってアップロードするのか、方法が分かりませんでした。操作画面では、ホームページのURL入力を求められているようですが、私は個人では、ホームページを開設しておりません。画面の画像だけ「マイアルバム」に入れておきますので、興味のある方は、ぜひご覧下さい)

 「HIDEの風見盤」の使い方は…
 ・まず巡航速度を、数値で入力する。
  (作図の基礎となる、速度を示す円を描きます)
 ・現在の機首方位を、数値で入力する。すると針路と速度を
  示す、ベクトルが作図される。
 ・ここで、「Atlas画面法」などを使って、実際に風に流されなが
  ら飛んでいる針路(偏流角を含む真針路)を測定し、その数
  値を入力する。すると対地ベクトルが自動表示される。
 ・いったん進路を変えて、新しい機首方位と真針路の方位を
  入力する。すると第2の対地ベクトルが表示される。
 ・二つの対地ベクトルの交点から、グラフの原点までのベクトル
  が、現在の風を示す。この角度と長さを「斜めものさし」など
  で測定すると、風向風速が分かる。
 …というものです。

 ●注●測定のコツ:
 「斜めものさし Ver.1.13」を精密に使うには、まず「設定」欄から「基準を表示」機能を起動し。画面に現れる茶色い矢印をドラッグして、「HIDEの風見盤」の、速度を示す円に当てて、半径と同じ大きさに調節し。「基準の長さ」欄に、巡航速度と同じ数値を入れてください。これで「斜めものさし」の目盛りが、「HIDEの風見盤」の尺度に一致します。
 「斜めものさし」には、通常の目盛りの他に、ものさしのゼロ点を基準にして、画面上にあるマウスポインタへの角度と距離を、常に測定する機能があります。ものさしのゼロ点を「HIDEの風見盤」のグラフ原点に合わせて、マウスポインタを対地ベクトルの交点に合わせれば、かなり簡単に測定が可能です。
 また「HIDEの風見盤」は、200%程度に拡大表示すると、使いやすくて精度も上がります。しかし現在の機能では、風向と風速の有効数字は、やっと1ケタというところで、小数点以下は使い物になりません。
 本来は風向風速を、いきなり、数値で出すようにしたいのですが。私の実力では、今のところ無理です…(^^;)。

 後は、測定結果を打ち込むワークシートも作って、準備完了。では南シナ海をぐるりと飛んで、実際に風の測定に入ります。


■風を追って…中国・海南島へ■
  (マップデータ:e100n10.tgz
           e110n10.tgz
           e110n20.tgz )

 前回、洋上で迷いながら着いた、西沙諸島Woody Island空港から発進し、風の測定を繰り返しながら飛び回り、終わったら北上。電波航法で、中国南岸の海南島にあるmailan空港(ZJHK)を目指します。超簡略な飛行計画(?)は…こんな感じです。

◎Woody Island空港VH84(N16.50.00-E112.20.42)
  ▼経路は未定(直線なら30.03度214.8nm)
◎mailan空港(ZJHK N19.56.04-E110.27.37)
 (補助目標:18nm 42度にMLT-VOR局 112.70)
 (同     :19nm284度にMYB-VOR局 113.30)
 (同     :126nm217度にSYX-VOR局 112.50)
 (同     :その近くにWL-NDB局 426)

 前回は道に迷った時に、肝心のNDBが受信不能で苦労しましたから、今回は無線局を、たくさん用意しました。

 天候は薄曇り。Woody Island空港を離陸します。
 ここはFlightGearで体験した、施設ワースト1の空港です。VORやNDBはおろか、タワーもATISもなく、吹き流しが立っているだけ。本物の空港は、もっとましでしょうけれども。海の真ん中に、ポツンと浮いた場所柄からみて、ここは小笠原の硫黄島みたいに、哨戒機などが使う軍用飛行場だろうと思います。もう二度と、来る機会はないでしょう…。
 今回は「Atlas画面法」で真針路を測定しますので、海面は見えなくても大丈夫です。燃費のいい7500ftまで上昇し、高度に合わせてエンジンの調整を終え、機首を北に向けて測定開始。方位0度で、風向12方位の計測を終えた後、2倍速に切り替えました。

●長い長い計測飛行:
 …測定には、合計3時間半掛かりました。こんなことは、そう何回も出来ません(笑)。「斜めものさし」で、Atlasの航跡を約100回計っては集計表を埋める作業ですから、とにかく、疲れました(^^;)。

 測定コースは、フィリピンの西まで及ぶ、幅約300nmの巨大な8角形。南シナ海の北半分を、ぐるりと回って戻ってくると。偶然にも、出発点の孤島の南西、わずか4.5nmを通過しました。(狙ったわけではありませんが、下手な航法より正確ですね)
 燃料は、まだ三分の一あるので。そのまま島を起点に航法計算をして、海南島へ。疲労のためかE6-B計算器に、うっかり東経と西経を逆に入れ、一時は香港に機首を向けてしまいました。燃料を浪費しましたが節約に努め、離陸から実時間で約4時間半後、海南島に安着。シミュレーション時間では、約8時間40分におよぶ「長い長い一日」でした。

     ●

 今回は、測定のデータや分析結果をご紹介する関係上、かなりの大長文になりますので、掲載を2回に分けます。

       「集計と分析」編は…このあと、すぐ!!
投票数:11 平均点:4.55

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
■風を追って…中国・海南島へ■
 の第2部、データの「集計と分析」編をお届けします。
 (本日は、すでに第1部を書き込みましたので、まだの方はどうぞ、ご一読を頂けましたら幸いです)

●集計と分析:
 集めた対地ベクトル・データには、たくさんの切り口が考えられますが、取りあえず分かることを調べて、ご紹介します。
 ●注1●:使用コンパスについて。
      FlightGearのコクピットには、HUDのコンパス
      (真方位)と、ジャイロコンパス(磁気方位)、
      磁気コンパス(磁気方位)の三つがあります。
      今回は、大きくて見やすく、真方位で補正不
      要のHUDコンパスを使いました。
 ●注2●:測定誤差について。
      真針路(対地ベクトルの向き)は、Atlas画面
      上で「斜めものさし」を使って計りました。この
      「Atlas画面法」は、熟練すると、相当正確に
      計れますが、私の実感では、0・1〜0・3度
      くらいの測定誤差は、あり得ると思います。

【1】データ全体の印象:
 まず真針路の測定数値を、棒グラフにしてみました。針路と風向を軸に選ぶと、多少デコボコはあるものの、データ全体が一様に変化していて、記入位置のミスとか、劇的な矛盾や破綻はない模様です。

【2】コンパス方位と、無風時の真針路の差:
 これは「そもそもFlightGearの航空機は、コンパス方位通りに飛んでいるのか?」というチェックです。

 コンパス     真針路     差
   0      359・5   −0・5
  45       44・2   −0・8
  90       89・4   −0・6
 135      134・6   −0・4
 180      179・3   −0・7
 225      224・1   −0・9
 270      269・2   −0・8
 315      314・4   −0・6

 全方位で、0・4〜0・9度の誤差を確認しました。
仮に500nm直進しますと、最大誤差は左へ7.8nmです。プロペラ機では1飛行区間がもっと短いため、VFRフライトをした場合も、到着時には目標地点が、ほぼ視界内に入ります。またジェット機は、必ず電波航法やGPSを使うと言ってよく、この程度の誤差は問題ではないでしょう。従って「誤差はあるが、十分に実用範囲」と言えそうです。

【3】偏流角の対称性:
 …「風に流される量(角度)は、機体が右から風を受けた場合と、左から受けた場合では、果たして左右均一か」というチェックです。
 例えば、北の風が吹いているとき。真西へ飛んでも、真東に飛んでも、風に流される角度(偏流角)は、向きは反対でも、大きさは同じはずです。本当にそうかどうか、検証します。

 ここでは北の風を選び。風を中心にして針路45度と315度、90度と270度、135度と225度、それに0度と180度の偏流角を比較。風の左右で、どの程度の差があるかを示します。

    【北の風(0度20Kt)の場合】
 コンパス     真針路   偏流角   差
   0      359・5   −0・5   0・2
  45       50・0   +5・0   1・2
  90       96・4   +6・4   0・8
 135      139・1   +4・1   1・4
 180      179・3   −0・7    −
 225      219・5   −5・5    −
 270      262・8   −7・2    −
 315      308・8   −6・2    −

 …今回も、左右で均一には、なりませんでした。
 ペア同士の偏流角の差には、0・2〜1・4度の開きがあり。確かにある程度まで、風向に対する偏流角の対称性が、壊れていることが確認できました。
 ただし、針路への実際の影響(数値で言えば「差」の半分)は、この「北の風」に限って言えば、最大0・7度くらいにとどまっており、実用上は問題なレベル、と言えるでしょう。もちろん、データ全体を分析すれば、もっとすごい誤差が潜んでいる可能性はあります。

【4】偏流角から逆に、風向風速を出してみる:
 これは、「FlightGearでは、正確な推測航法が、厳密に成り立つのか」というチェックです。別の言い方をすると、風力三角形が、ちゃんと成立するかどうか、を見ます。

 今回の飛行では、計104通りの偏流角を測定しました。これを相互に二つずつ組み合わせると、膨大な「風力三角形」が出来ます。全部解析するのは無理ですが、一部分をやってみましょう。
 偏流角から風向風速を出すには、一つの風に対し、2方向に飛んで風力三角形を描く必要があります。ここでは…

 ・風向:30度間隔で全12方位。
 ・針路:45度と135度、225度と315度の2組。

…を選んで、測定結果を「HIDEの風見盤」に入力。真方位の実測値から風向風速を算出し、アプリで設定した、正しい風向との誤差を調べました。風速は、すべて20Ktです。
 以下の集計表の一番左は、実際にFlightGearに設定した風向です。そして右の二つが、2組の針路で測定した真針路(コンパス方位+偏流角)をもとに「HIDEの風見盤」で求めた、計算上の風向風速です。

   【測定データに基づく、風向風速の算出結果】
    (針路)45度と135度  225度と315度
(真の風向)
    0度: 357度16Kt   357度21Kt
   30度:  30度17Kt    23度19Kt
   60度:  67度17Kt    53度18Kt
   90度:  95度18Kt    80度17Kt
  120度: 125度22Kt   114度16Kt
  150度: 150度20Kt   146度14Kt
  180度: 260度21Kt   184度15Kt
  210度: 221度19Kt   221度16Kt
  240度: 234度18Kt   250度17Kt
  270度: 265度18Kt   305度21Kt
  300度: 294度17Kt   330度22Kt
  330度: 325度16Kt   329度21Kt

 …予想通り、非常に大きな誤差を含む結果が出ました。
 まず風向は、全24例のうち、誤差3度以内はわずか4例。大半は4〜7度の誤差があり、11度が2例。30度と35度が各1例。最悪では、1例だけですが80度も狂いました。誤差の平均は11度です。風速も16〜22Ktの範囲に散らばり、14Ktも1件あります。
 「やはり、こんなに狂うのか。実機のように、機上で偏流を計って、航法の基礎データにするのは無理なのか」と、いささかショックでした。

●誤差と共存しうるか:
 しかし。気を取り直して、少々検証をしてみますと、これらのデータは決して、使い物にならないわけでは、ないことが分かります。
 例えば、針路0度・速度144Ktの飛行機に、10Ktの北東風が吹いた場合、計算では左へ2.8度流されます。この風向データに、先ほど集計した程度の誤差が生じると、飛行経路は、どう影響を受けるでしょうか。

   誤差  偏流角   1時間後の位置
 11度プラス:0.5度増  1.2nm西へそれる。
 30度プラス:1.0度増  2.5nm西へそれる。
 45度プラス:2.2度増  5.5nm西へそれる。

 …深刻な問題になるのは、たぶん45度の場合だけですね。プロペラ機といえども、飛行速度は風速よりかなり速いので、いざ計算してみると、意外に影響が少ないのです。これには大変、ホッとしました。

●取りあえずの、まとめ:
 FlightGearの航空機の飛行経路を決めるのは、一義的には、オートパイロットに入力された方位です。これに、気象データから抽出された風向風速のベクトルが加算され、地球の丸みを吸収する補正が加わるなど、さまざまな演算が進行して、飛行経路が決まるわけですが…これらの過程で、数値の切り上げ・切り捨て、近似値計算など、さまざまな要因によって誤差が発生し、どんどん累積するものと想像します。

 先ほどの、機上で測定した真針路を元に、風向風速を算出して、「真の風向」と比較した結果は、誤差が大きいものから、ほぼ誤差がないものまで玉石混淆でしたが、風力三角形は、すでに誤差の累積しているベクトルをさらに合算するため、さらにまた誤差が増幅されるのだろうと思います。この風力三角形から、最初の(誤差のない)風のデータを逆算しようとしても、なかなか元の姿に戻らないのは、理解できます。

 一方では、アプリケーションの設計を少し工夫すれば、「真の風向」と「測定データから算出する風向風速」の差は、簡単に縮められると思いますが…そうなっていないのは、アプリケーションの設計者が、そこまで厳密な推測航法を、想定していないからでしょうか。FlightGearは、恒星や惑星の動きまで、かなりリアルに再現しようとするなど、ずいぶん野心的なソフトです。必ずしも天測航法まで、想定しているわけではないでしょうが…せっかく、ていねいに構想されたソフトなのですから、将来はもうちょっと、風のベクトルの辻褄が、細かく合うことを期待します。

 いっぽう、私は個人的には、
 ・今回のデータ群から、どんな場合に、風向風速の
  算出誤差が大きくなるか。今回は発見に至らなか
  ったFlightGearのくせを、さらに研究する。
 ・「HIDEの風見盤」を改良し、風向風速が自動的
  に数値で表示されるようにする。
 …という宿題を掘り当てており。出来ればいつか、解決したいと思っています。

 今回の測定の結論は、今のところ…
「FlightGearの風の演算には、やっぱり、かなり誤差があった。だが多くの場合は、推測航法が可能な範囲内にとどまっている。時々、大きな誤差を引き当ててしまう可能性はあるが、ゲームの面白さを増す不確定要素として、受け入れてよかろう」というところに、落ち着きそうです。

     ○

 思えば。「偏流角からの、風向風速計算」は、飛行のリアリティーを追求する、たくさんの方法の中の一つです。他にも「気象データは、必ずATISを通じて入手する」「今は結局、HUDのコンパスを使って真方位で飛んでいるが、次回からは、いちいち磁気方位に換算して、計器盤のジャイロコンパスで飛ぶ」とか、様々な楽しみ方が、無限に広がっています…。

 風の分析の問題は、新たな進展や発見があった時点で、また皆様にご報告するとして。私からの報告は、一旦ここまでとします。ご質問などがありましたら、いつでもお寄せ下さい。
 さて。次回はどんな風に、旅を続けましょうか…(^^)/。
投票数:8 平均点:3.75

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-8-22 22:52
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 「風向風速」のお話に熱中していましたので、そろそろ反動で、計器飛行の勉強をしたくなり、先日から「計器飛行方式」(鳳文書林、4700円)という本をかじっていました。今日は、各種のチャート(航空図)を参考にマカオへ向かい、計器進入します。

●IFRフライトを、どう再現するか:
 私がこれまで行ってきた「計器飛行」は、実はほとんど「電波航法を補助に使ったVFRフライト」に近いものです(1971年の雫石事故以前は、雲上の有視界飛行も、認められていたそうですが)。出発地から任意のコース・高度・速度を取り、無線標識を飛び石伝いにたどって、いつ着くかは風まかせ。好きな方位から目的地に近付き、気が向けば最終進入だけ、コースマップを参考にする…というものでした。

 しかし実際の計器飛行は、ご存じのように、切れ目なく地上の管制を受けて飛ぶ、いわゆるIFR(計器飛行方式)フライトです。私の知識はまだまだ足りませんが、
  ・「飛行場管制」
     (タキシングや離着陸管理、フライトプランの承認)
  ・「進入・ターミナルレーダー管制」
     (空港と航空路間の、飛行経路管制およびATIS放送)
  ・「エンルート管制」
     (航空管制部による、航空路を巡航中の管制)

…の3層に分かれた各機関が、刻々と飛ぶ飛行機の管制を、順番に引き継ぐわけですね。FlightGearには、フライトプランを作ったり、承認を受ける機能はまだありませんが、「飛行場管制」(たぶん)の一部が、利用できるように作られている、と理解しています。ただ、実際にKFSOの滑走路に機体を止めて、メニューの「ATC」にチェックを入れ、「’」キーでタワーに呼びかけようとしても、常に「No transmission available」と答が返りまして、うまく行きません。このあたりを、どなたか教えてくださいましたら、幸いです。
 交信は今後の課題にして、取りあえずは、より計器飛行らしい航法を目指すことにします。こんな具合でしょうか…。

 (1)空港離陸後、空港から航空路への、標準的な飛行経路
    SID(Standard Instrument Departure)に従って、航空
    路へ向かう。これにはSIDチャートを入手する必要がある。
 (2)航空路に乗ったら、エンルート・チャート(IFR空路図)に沿
    って目的地をめざす。
 (3)目的地の数十nm手前から、標準的なアプローチ経路
    STAR(Standard Terminal Arrival route)に従って、
    空港に接近する。これにもSTARチャートが必要。
 (4)市販の「空港進入コースマップ」などに従って着陸する。

●チャートを手に入れる:
 さて、資料となるチャート類(航空図)が必要です。
「VATSIM - Navigation Charts and Flight Planning Tools」というサイト
     http://usa-w.vatsim.net/charts/
には世界数十カ国の、空港データ・ポータルサイトの一覧があり。シミュレータ用のアプローチ・チャートや、現地政府機関などが公開している、実物の空港データが手に入ります。各国の、代表的空港のIFRアプローチに関しては、かなりチャートが見つかります。台湾などはエンルートもあります。


■海南島からマカオへ■
  (マップデータ:e110n10.tgz
           e110n20.tgz )
 では、海南島から中国本土・マカオへのフライトプランをご紹介します。計器飛行に合わせて、今回から記号を少々変更しました。
  ◎:空港
  ★:VOR局
  ☆:NDB局
  △:ラジオ・フィックス(インターセクション)
     =航法の目印にする、航空図上の通過点。通常は
       タワーへの位置通報点を兼ねる。二つの無線局の
       ラジアル交点、または一つの局の特定ラジアルと、
       局からの距離により位置が定義される。
  ○:それ以外の変針点
     =特に名称がなかったり、任意に設けるもの。
  ▼:上の行(地点)から下の行への飛行ルート。
  ETE:予定飛行時間。

 では、フライトプランの本文です。
◎Mailan空港ZJHK(N19.56.04-E110.27.37)←出発地
(東ILS 108.50 西111.50) ←ILSを出発時の目標に使用
  ▼42度(44M)18nm ETE7.5' 5000ft 
          ↑針路・距離・予定飛行時間(分)・高度
   (東に向かう高度は、1000ft×奇数倍がルール)
★Dong murantou-VOR 112.70 ←局名と周波数
 (N20.09.05-E110.40.23)    ←局の位置
  ▼54.3度(56M)178.4nm ETE1:14' 7000ft
☆Gaolan-NDB 204(N21.53.11-E113.15.36)
 (MCU(マカオVOR)116.40を受信。6890ftへ降下)
  ▼101度(99M)
△ROMEO(Gaolan99M × MCU208M)←電波の交差点
  ▼101度(99M)9nm ETE3.8' 3000ftへ降下
○左旋回点(Gaolan99M × MCU177M)
  ▼028M(真方位030度)
○ILS-MCN109.70のローカライザ343Mをインターセプト。
  ▼343M(真方位345度)
△PAPA(MCU-VOR局の343M 10.2nm手前)
  (ホールディング・パターン入口。左旋回163度M 1分間)
  ▼343M(真方位345度)ILS 109.70に乗る。ETE4.2'
◎Macao空港(N22.08.48-E113.35.33)
 (参考:Macao-VOR位置:N22.08.07-E113.35.52)

 飛べば2時間弱なんですが。図解なしに、こんな面倒な代物をお読み頂くのは、無謀ですね…ごめんなさい(^^;)。
 オートパイロットの針路は真方位です。しかしチャートに記載の針路や、無線局のラジアルは磁気方位です。勘違いすると迷子になりますので、真方位は「度」、磁気方位はM(Magnetic)を付けて区別しました。

 今回のコースは、少し偏差(真方位と磁気方位のずれ)があります。コンパス方位(HUDを除く)は、海南島付近で真方位プラス1・5度、マカオ付近ではプラス2度の補正が必要です。
 逆に言えば。VORに乗って飛ぶには、ラジアル方位から1・5〜2度引いた針路を、オートパイロットの「True Heading」欄に入れる必要があります。「どうも、うまくラジアルに乗れない」という方がおられましたら、これが原因かも。全世界の主な偏差一覧は、以前ご紹介した
   http://www.geo-orbit.org/sizepgs/magmapsp.html
にあります。

 またIFRフライトは、同一のコースや空港を、多数機が時間差で共有する管制飛行なので、予定時間を守って飛ばないと、あまり意味がありません。そこで実際の私のメモはETEに加え、実飛行時間(ATE)、予定到着時刻(ETA)、実際の到着時刻(ATA)の欄を作り。また▼マークの下に、それぞれ1行を加えて、風向風速を折り込んだ、機首方位・実速度・ETEを書き加えました。
 正確なETEを出すには、推測航法の原理で、風の影響を補正計算する必要があるからですが。表はますます複雑になり、(後で述べるように、アプリケーションが終了してしまう問題もあって)全部は活用し切れませんでした。これ以上、自己流の簡易メモを工夫するより、以前作ったような、実際のフライトプラン用紙に近いものが、ベターな気がします…。

●リバーサル・ディパーチャーを試す:
 では出発します。
 ジェット機では速すぎて、考える暇がありませんので、いつものセスナC310を使います。天候は、1500〜3000ftに厚くオーバーキャスト(全天)の雲を出し、4000〜5000ftはブロークン(約半分曇り)にしました。風向風速は北の風7Ktです。
 今回のフライトは離陸直後、FlightGearがやたらに重くなったりして、2回ほど起動をやり直しました。最初にAtlasを立ち上げておかないと、どちらのアプリもスムーズに動作しないようですね。うっかりしていました。

 Mailan空港のRWY27を離陸し、どんどこ上昇。ここの出発方式は資料がないので、適当に作りました。
 空港にはVORもNDBもないため、代わりにILSのローカライザを受信し、上昇しながら西へ直進。鉛色の雲が、頭上から押しかぶさって、間もなく視界ゼロ。人工水平儀に視線を移します。
 ILSから4.5nmの地点で、左220度ターン。涙滴型の飛行経路を描いてILS上空へ戻り、高度5000ftで通過。ここを航法上の出発点とします。これは「リバーサル・ディパーチャー」と呼ばれる出発方式で、日本の空港で一般的な、ベースターン(基礎旋回)によるアプローチ法を、ちょうど逆にしたような飛び方です。
 旋回中に雲をぶち破り、白銀に輝く雲上に浮かび上がりました。機体はかなり正確な、ナス型の飛行経路を描き。左へ1nmだけそれて…ILS近くを通過。VOR指示器を見ながら、コースを修正。さらに7000ftへ上昇しながら、北東18nmのDong murantou-VORへ向かいます。

●雲上を巡航、複雑なアプローチへ:
 ETA(予定到着時刻)ぴったりに、このVORの真上を通過。さて雲海を見下ろし、洋上のエンルートを淡々と巡航。私はオートパイロットに任せ、ちょっとパソコンの前を離れて、仕事なども片付けます…。

 VORから100nm。そろそろ圏外になりますが、次のGolan-NDBがまだ受信できません。機体はほぼコース上。デッド・レコニング(推測航法)に入っても問題ありませんが、なぜ受信できないのだろう。
 あ。NDBの周波数が下一桁、間違っていました(^^;)。数字を入れ直すとADFの針が立って、機首から右4度を指しています。風と偏差の影響を引いても、まだ若干ずれているので、修正を加えました。

 Gaolan-NDBを通過し、アプローチ経路に差し掛かります。NDBから磁気方位99度(真方位は+2度なので、オートパイロットを101度にセット)で約8分飛び、マカオVORのラジアル208度との交点を通過。ここがフィックス「ROMEO」です…といっても、Atlasに表示はありません。
 さらに9nm直進し、マカオVORラジアル177度との交点で、磁気方位28度(真方位30度)に変針し、やがてマカオLISをインターセプトする予定です。おっと、高度を3000ftまで下げておかなくては…毎分1000ftで降りていくと、雲の中でNAV2(マカオVOR)の針が、盤面中央へじりじり移動。待ってくれ、その前にILSをNAV1にセットしなくては。計器も私も、フル稼働といった感じです。
 磁気方位28度への変針を、つつがなく終え。NAV1でILSのローカライザをつかみ、北風の影響を考えながらインターセプト。中国本土の山々を背景に、海上空港が浮かんでおり。ランウェイへぴったり進入中。うむ、とうとうここまで、やってきました。

●空中待機を試みる:
 滑走路手前10.2nmのフィックス「PAPA」に到達。ここはホールディング・パターン(空中待機経路)の入り口です。ここでタワーから突然、ホールデイングを命じられたと想定して、実際にパターンに入ってみました。フィックスを起点に左180度旋回し、最終進入路の反方位で1分間直進。さらに左180度旋回をして、もとの進入コースに戻り…再びフィックスを通過して完了です。往復各1分と、180度旋回が各1分ですから、1周で4分が経過するわけですね。
 フィックスを起点に楕円を飛ぶのは、さぞ難しかろうと思ったのですが。パターンの一辺ではILSに乗るので、往路と復路でそれぞれ、風向を意識して機首方位を調節すれば、むやみに困難ではありません。Atlas画面に、陸上競技場のような楕円が、かなりきれいに描けたのを見ると、いい気分です。ただし2周以上すれば、ずれると思います。本によると、風に流される場合の補正テクニックは色々あって、楕円一つ描くのも、立派なナビゲーションの一種だと分かります。
 視界ゼロの雲中飛行で、風速もあれこれ変えながら、このホールドの練習をみっちりやると、計器飛行は確実に、うまくなると思います。

 …機体を滑走路に向け、いよいよ着陸です。最初は自動進入しようかと思ったのですが、どうもC310は、ローカライザ(機首方位制御のビーム)に乗せようとすると、左右に激しく「いやいや」をします。機体の動揺周期とオートパイロットの操舵タイミングが共振しないよう、速度を変えたりしましたがダメなので、グライドパス(上下角制御)だけ自動で飛んで、早めにマニュアルに切り替えてタッチダウンしました。

●準備がすべてのIFR:
 従来よりも一回りか二回り、本格的な計器飛行を、今回は体験できました。IFRフライトは、事前の勉強と、飛行計画を十分に練ることが、決定的に重要ですね。離陸してからのボロ隠しは不可能ですが、逆に本を読んだ分、丹念にプランに手を入れた分、必ず飛びやすくなります。これが分かったのは最大の収穫です。実機でも「IFRのフライトプラン作成には、飛行時間の数倍掛かる」と言われるそうですが、納得できます。
 その一方で今回は、FlightGearが飛行中に2回、着陸後も1回、勝手に終了しまして、散々な目に遭いました。どこが悪いのかなあ…これは。環境も設定も、特に変えた覚えはないし、ウイルスもスパイウェアも、検出されないのですが。ちょっと心配しています。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 引き続き、計器飛行を続けます。
前回は「IFRフライトは、事前準備がすべて」と申し上げましたが。本格的にやろうとすると、IFRフライトに欠かせない、空港別の「SID&STAR」(標準的な出発・進入方式)チャートの入手が、思ったより困難だと分かりました。先日来、ひまが出来ても資料探しや、空路のつなぎ合わせに費やされてしまい、なかなかフライトには至りませんでした…(^^;)。

●フライトシムにも「9・11」の影:
 エアバンドを聞いておられる方のHPなどを訪問すると、数年前までは、アメリカ政府の「National Geospatial Information Agency」から、世界中のチャート類が、無料で落とせたようですね。ところが現在は、極めて多くの地域が、対象外になっています。「東欧・アジア地域」のページには、ロシアのチャートくらいしかなく、日本や韓国などは全域が抹消されています。どうも、米軍基地のある国々を消したようにも見え、「9・11」テロ後の、保安措置の一環ではないかと思います。

 同サイトには、「申請して審査に通れば、サービスにアクセスできる。その時はメールで知らせる」などと書いてあり。申請書を見ようとしたところ、「認証が必要」というダイアログ・ボックスと、Win-XPの「個人認証を取得するには」というヘルプが出現。面倒なのでキャンセルを押したら、サイトから閉め出されてしまいました。うううむ、ちょっと不気味。もしかして私のIDは、以後「エシュロン」に監視されるのでしょうか…(^^;)。

     ○

 前回ご紹介した「VATSIM - Navigation Charts and Flight Planning Tools」というサイトでは、一応、あちこちの空港情報などが見つかるのですが、よく見ると、これも必ずしも完全な内容ではなく。空港によっては、掲載内容の多くが削除されています。テロが頻発する「冷戦後の世界」の緊張が、思いもよらぬところで、見えた気がします。

 そんな次第で…私の「縦周り世界一周」は、出来れば日本への最終段階を、すべて現実のIFRルート沿いに行いたいのですが、やっと見つけたA空港の出発ルートに、B空港へのエンルートと、B空港のアプローチをつなぎ合わせようとしても、なかなかうまく行かないものですね。SID&STARチャートにきちんと従って、空港間をじっくり飛び回る…という夢は、日本の空域に戻ってから、改めて考えることにします。

■マカオ名物…オフセット進入路を飛ぶ■
  (マップデータ:e110n20.tgz )
 マカオ空港には、風変わりな進入コースがあります。Atlas画面をご覧になると、空港のかなり北に、滑走路の方を向いていないILSマークが一本、ポツンと設定されているのが、お分かりになると思います。私はバグかと思っていたのですが…実は本当に、こんな航法援助施設(実際はILSではなく、方角指示のローカライザだけ)があるのですね。今日は、この進入コースを体験してみましょう。

●コースマップを作りました:
 文章で、分かりやすく説明するのは困難ですので、各種の資料類を参考にしつつ、進入コースマップを作成して、「マカオ進入訓練マップ」の名前で「マイアルバム」に載せておきました。ご覧頂けましたら幸いです。
 まるで…ピストルのような形の、風変わりな進入経路です。ピストルのグリップに当たる場所には市街地があり、近くには山もあるため、こんな形になったのでしょう(旧香港・啓徳空港=今は閉鎖=が、これと似た進入コースで、大変有名でしたね)。

 この飛行では、ピストルの引き金の位置にある滑走路を、南に離陸します。高度を上げ、銃口の位置にある、着陸コースのホールディング・パターン(楕円形の空中待機経路)に進入。あとは、ひたすらVORを乗り継いで旋回を重ね、高度を下げて、空港北側のローカライザに進入。いったんこれに乗って降下を続け、滑走路を左手に見る位置(ローカライザ局から2.6nm手前、高度700ft)で左旋回。あとは滑走路を視認して着陸します。
 では、実際にやってみましょう。

●天候の設定:
 計器飛行ですから、上空は雲中飛行でもよろしいです。ただし着陸時は、ILSに乗った精密誘導ではなく、最終段階で滑走路を視認しなくてはなりませんので、高度1000ft以下では、最低2nmの視程を確保する必要があります。
 私は最初、1000〜1500ft全天曇り、1500〜5000ft半分曇り、南の風5Ktとしましたが、今日はなぜか、オートパイロットの安定が悪く。ZUH-VORに向かう途中で蛇行に入ったため、雲の中でマニュアル操舵に戻したところ、一気に機体が暴れて修正しきれず、墜落しました…(^^;)。
 2回目は薄曇り・無風にして飛んだら、同じ地点で蛇行しましたが、今回はリカバリーに成功。以後は着陸まで、高度と速度保持だけオートパイロットを使い、方向制御はすべてマニュアルで飛びました。

●無線をセットする:
 このフライトは短時間の間に、幾つものVORラジアルに乗ります。
慌ただしい飛行になるので、あらかじめVOR受信機を、しっかりプリセットしておきましょう。最初に次のように設定し、さらに飛行中、新たな周波数とラジアル方位を入力します。
 2台あるVOR指示器のうち、NAV1用は指針の構造上、狙ったラジアルからの距離が分かりやすいため、特にラジアルのインターセプトが難しそうなレグにはNAV1を、そうでないレグにはNAV2を、それぞれ割り当てました。着陸前のローカライザ受信はNAV2で行いますが、ILSと違ってグライドスロープ指針は要らないため、これでもいいと思います。

 ・NAV1 メイン周波数116.70(ZUH-VOR)
      サブ周波数 117.70(NLG-VOR)
      ラジアル   327
 ・NAV2 メイン周波数116.40(MCU-VOR)
      サブ周波数 116.70(ZUH-VOR)
      ラジアル   170

 セットが終わったら、RWY-16から離陸します。
針路は以下、マップに合わせて磁気方位で○○deg、と表記します。VORのラジアル入力は、この数字を使います。真方位も併記しますので、オートパイロットやHUDのコンパスには、そちらを使ってください。資料では、この地域の偏差は偏西約2度なので、磁気方位マイナス2=真方位です。

 …80ktでローテーションを掛け、とエアボーン。NAV2の針は最初、左に振り切れていますが、これは離陸後3分程度で、中央に寄ります。
 NAV2のDMEを見ながら、170deg(真方位168度)144Ktで、3000ftをめざして上昇します。VOR1指示器の針が中央に合致して、最初のフィックス通過を確認。ここから楕円形のホールディング・パターンへ、涙滴型の飛行経路で合流する「ティアドロップ・エントリー」を行います。

●ティアドロップ・エントリー:
 このエントリーを行うには、C310(144Kt巡航)の場合、フィックスから1分35秒掛けて3.8nm進出し、MCUから11.2nmの地点で、左203度の標準旋回をします。すると、インバウンドとアウトバウンドのコース狭角23度(航法用語では、正しくは「差角」ですので、以下そのように表記)で涙滴型の経路を描き、おおむね正確に、次のZUHに向かう針路・327deg(真方位325度)に合流することが出来ます。

 以上の進出距離と経過時間は、144Ktで飛ぶ場合の計算ですが、標準旋回は1分間180度で一定のため、この涙滴型の旋回は、速度が違っても常に相似形となります。例えば皆さんが、C172Pを使って90ノットで飛んでも、フィックス通過後に、同じく1分35秒だけ直進して左203度旋回すれば、同様に差角23度のパターンを描いて、次のコースに合流できる…はずです。
 旋回を終えたら、海と島々を見下ろしながら、ZUHまで15nmあまり直進です。やがて、右手にマカオ市街が見えるはずですが、私はあまり、見る余裕がありませんでした(^^;)。

●次々と、ラジアルを乗り換える:
 ZUHへ向けて直進中、忘れずにNAV2をサブ周波数に切り替え、ベアリング(方位設定)も035degに変更してください。ZUHから北東へ向かう針路は、現在の針路と、かなり急角度で交差していますので、NAV2のVOR指示器の針が動くのを待って旋回すると、タイミングが遅れます。ZUHの少し手前で、右旋回に入るように狙うと、うまく行きます。

 さて、新しい針路035deg(真方位33度)に入りました。ここでNAV1をサブ周波数に切り替え、ベアリングを166degに変更。高度を2800ftに下げます。ZUHから11nmのフィックスを通過したら、右に旋回。NAV1のVOR指示器の中央にある、コースから左右への逸脱量を示す、短い針を見ながら、NLG-VORのラジアル166deg(真方位164度)に乗ります。
 この短いレグに入ったら、高度を2500ftに下げ、フラップ1段展開。急いでNAV2の周波数を、ローカライザの周波数111.70に変更し、ベアリングを217degに合わせます。

 NAV2のVOR指針が動き始めたら、すぐ右に急旋回。ここがローカライザへ向かうフィックスです。NAV2に従って217deg(真方位215度)でローカライザに乗り、フラップをフルダウン。ギアもダウン。700ftを目標に降下します。ローカライザから2.6nmの地点が、滑走路への、本当の最終進入フィックスです。少し早めに左旋回すると…163deg(真方位161度)で、正面1.5nm先に滑走路が見えます。今回は無風でしたので、非常に滑らかにタッチダウンしました。いやぁ、お疲れ様です!!


■香港へのショートフライト■
  (マップデータ:共通 )
 一休みしたら香港へ、ひとっ飛びしましょう。
マカオのディパーチャーに関しては、一部のチャートしか入手できませんでした。そこで出発方式は、ごく単純な、ベースターンを使ったリバーサル・ディパーチャーとし、香港国際空港へのエンルートは、適当に決めた近道で接近。あとは、正規のチャートに記載された、アプローチの最終段階に割り込んで着陸します。

 フライトプランは、以下の通りです。
このコースは、コンパス・ロケーター(インナー・マーカー地点にある、補助誘導用のNDB)が使えるため、比較的簡単に、ローカライザに乗ることが出来ます。そのため、最終段階のフィックスを一つ省略しました。

◎Macao空港 RWY-34を離陸。
★Macao-VOR(MCU 116.40)のラジアル343を受信して、
  ▼343deg(真方位341度)で3000ftまで上昇。
○変針点:MCUから8.8nmで左に190度ターン。
  ▼153deg(真方位151度)で直進、5000ftまで上昇して、
★Macau-VORの上空を通過。
      (以上で、差角10度のベースターンを描きました)
  ▼ラジアル98(真方位100度)に乗って10nm飛び、
△LIMESフィックスで左旋回。
  ▼337deg(真方位335度)で約8nm直進。
☆RWY-07のコンパス・ロケータ(390)を受信。これを参考に、
★ローカライザ(109.30)を受信。
  ▼69deg(真方位71度)で進入して、
◎香港国際空港(VHHH) RWY-07に着陸。

 …このフライトプランで、実際に飛んでみると。NAV2ばかり負担が多くて、周波数やラジアル方位の設定変更が、かなり忙しいことが分かりました。今回は、オートパイロットがスムーズに動きました。どうも、特定の地点で問題が起きるような気がしますが。そんなことって、あるのでしょうか…。

 ともかく無事、香港到着です。さすがに、でっかい空港ですねえ!!!
あとで市街地の上を飛んで、旧・啓徳空港も見物することにしましょう。ここ1週間ばかりは、チャート探しで少々くたびれましたが、楽しい旅の世界が、また始まった気分です。
投票数:13 平均点:4.62

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-9-9 13:59
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ここしばらく、香港上空でテスト飛行を続けています。前回(9月1日付)書かせて頂いた「マカオ名物…オフセット進入路を飛ぶ」の補足としまして、「アプローチの際、どうやったら正確に旋回できるか」というテーマで、リポートをお届けします。計器飛行に役立ちそうな、旋回に関するノウハウや補正値を、あれこれ集めてみました。

●ベースターンの進出距離を決める:
 マカオ空港・オフセット進入路のための、フライトプランや説明図を書くときに、私がちょっと悩んだのは…
  「差角○○度の、涙滴型のベースターンを描くには、
   VORやフィックスなどの基点から、何マイル進出した
   時点で、ターンを始めればいいのか」
 …という問題でした。これは、フライトシムで遊び始めてから、ずっと抱えている課題だといっても、過言ではないですね。今回はまず、これをきちんと整理してみます。

 計器飛行の場合、もっとも基本的なアプローチ方法は、空港にあるVORやNDB上空に到着して(この位置を「ハイステーション」と言います)、いったん滑走路への進入方位と、ほぼ反対の方向へ10nmほど進出しながら高度を下げ、190〜200度くらいのターンをして、滑走路に正対してファイナルアプローチをする、いわゆる「ベースターン」の飛び方です。これは国内のほとんどの空港の、進入コースに採用されています。

 ベースターンは一般的には、標準旋回(1分間に180度の角速度)で行いますから、飛行速度(kt)を60で割ったら、1分間に飛ぶ半円形の、弧の長さが分かり、さらに円周率で割れば旋回半径が出ます。
 旋回の部分は、ハイステーションから遠ざかる直線コースと、滑走路に近付く直線コースに挟まれた内接円ですから、この半径と、旋回の差角(2本の直線コースの交角)が決まれば、「基点(無線局)から、何マイル進出して旋回を開始すればいいか」は、三角関数で簡単に出ます。試しにセスナC310用に、差角が10度、15度、20度の場合の進出距離を計算し、次のような一覧表にしてみました。

 【標準旋回によるベースターン表】
(単位はnm)
▼144Kt(C310巡航速度)の進出距離:
180度旋回の弧の長さ=2・40 その半径=0・76
差角   ターン角度 進出距離  所要時間
10度:  190度   8・72    3分38秒
15度:  195度   5・82    2分25秒
20度:  200度   4・38    1分50秒
23度:  203度   3・8     1分35秒

▼110kt(C310進入速度)の進出距離:
180度旋回の弧の長さ=1・83 その半径=0・58
差角   ターン角度 進出距離  所要時間
10度:  190度   6・7     3分39秒
15度:  195度   4・44    2分25秒
20度:  200度   3・34    1分49秒
23度:  203度   2・90    1分35秒

(最後に出てくる、差角23度の計算例は、前回ご紹介したマカオ進入訓練の初期段階で行う、ホールディング・パターンへの、ティアドロップ・エントリーの旋回に当たるものです)

 …例えば、北向きの滑走路(RWY-36)があって。あなたは110Ktで北方から空港に近付き、空港VORの真上を通過してから、差角10度のベースターンをするとします。この場合、あなたはVORから170度(または190度)でアウトバウンドコース(局から遠ざかる直線コース)に乗りますが、この時に何nm進出すればいいかと言いますと。「110Kt」の表にある「差角10度」の部分を見れば、距離は6・7nmで、所要時間は3分39秒だと分かります。これだけ飛んだ時点で、右(または左)に190度の標準旋回をすれば、ぴたりと滑走路に正対できるわけです。ここから無線局(と滑走路)に向かう、インバウンドコースをたどって高度を下げ、着陸です。

 表をご覧下さればお分かりのように、進出距離は対気速度次第で変わりますが、差角が同じでしたら、進出の所要時間は、速度が変わっても常に同じです(表では有効桁数の関係上、少し誤差が出ていますが)。
 従って、C310やC172P以外の機体にも、この所要時間は原則、そのまま適用できます。またこれをもとに、任意の機体の進出距離も計算できます。ベースターンは、ディパーチャー(出発経路)でもよく使われますので、正確に飛べるようになっておけば、計器飛行は格段に楽になります。

●リード・ターンを行う:
 ここで実際にIFR用のチャートに沿って、進入コースを正確に飛ぼうとすると、新たな問題が起きます。ある変針点(VORやフィックス)で旋回して、新しい直線コースに乗る場合、変針点の真上で旋回を開始したのでは、タイミングが遅すぎて、旋回経路が外側へふくらんでしまいます。
 これを防止するには、DMEの距離表示を見ながら、変針点の幾らか手前で、旋回を開始する「リード・ターン」を行えばいいのですが、どの程度、手前で曲がればいいのかを知るには、先ほど算出しました、旋回半径の数値が役に立ちます。
 例えば直角に変針する場合は、変針点から標準旋回の半径分だけ手前で旋回に入ればいいですね。144Ktの場合ですと、0・76nm手前です。

 もちろんリード量は、旋回角度によって変化します。飛行中にいちいち計算するのは、非常に面倒ですので、旋回半径をもとに、幾つかの速度と旋回角のリード量を計算してみました。

・90度以下の旋回:
 リード量=sin旋回角×旋回半径
・90度を超える旋回:
 リード量=sin(旋回角−90度)×旋回半径+旋回半径

 …以下が計算結果です。
144Ktの場合:(C310巡航)
旋回角 旋回半径の修正倍数  リード量
 30度      0・5       0・38nm
 45度      0・7       0・53nm
 60度      0・87      0・66nm
 90度      1・0       0・76nm
120度      1・5       1・14nm

同様に、110Ktの場合:(C310アプローチ、C172P巡航)
旋回角  リード量
 30度  0・3nm
 45度  0・4nm
 60度  0・5nm
 90度  0・58nm
120度  0・87nm

 …ついでに、もっと計算してみましょう。
旋回角  75Kt    200Kt    250Kt
 30度 0・25nm 0・53nm 0・67nm
 45度 0・28nm 0・74nm 0・93nm
 60度 0・35nm 0・92nm 1・16nm
 90度 0・4 nm 1・06nm 1・33nm
120度 0・6 nm 1・59nm 2・0 nm

 …75KtはC172Pのアプローチ速度です。200Ktと250Ktはジェット機用(中間アプローチ速度と、10000ft以下の制限速度)です。ジェット機のファイナル・アプローチは、多くの機体で125〜130Ktですが、これは110Ktと144Ktのリード量の中間値で、代用できると思います。

     ○

 これらの表を使って、香港国際空港周辺のVORを標的に、さまざまな旋回を行ってみました。
 その結果、ベースターンはかなり正確で、基点のVORからコンパスを頼りに、行って帰ってきた直線コース2本の交点が、最初の基点から0.2〜0.3nmくらいのずれで済み、きれいな涙滴型を描きました。これは実際は、VORラジアルに乗って飛ぶ区間ですから、まずは十分な精度でしょう。

 リードターンのテストも、変針点にVORを使いました。DMEで距離を確認しながら直線コースでVORへ近付き、計算表にあるリード量に従って、やや手前から旋回に入り、新たな直線コースへ離脱。この2本の直線の交点を見て、VOR局からのずれを測定しました。結果は、いずれも0.2〜0.3nmのオーバーシュート(行き過ぎ)でした。
 これは、なぜでしょう。

●さらに、VORからの相対高度も考慮する:
 実はリードターンには、誤差を生む要素が一つあるのです。機上のDME指示器に表示されるのは、VOR(=DME)局からの水平距離ではなくて、高度を折り込んだ「局からの直線距離」です。直角三角形に例えると、DMEが示すのは、底辺ではなく斜辺の長さなのです。
 FlightGearは、この誤差を正しく再現しています。そこで仮に高度3000ft(約0・5nm)を144Ktで飛行中、90度旋回に必要なリード量0・76nmを取って旋回を始めるには、DMEが実際は…
   _____________
  √(0.5×0.5)+(0.76×0.76)=約0.9(nm)

 …を指したときに、旋回に入ればいいことになります。この、高度による誤差の量を、距離別に幾つか計算してみました。

水平距離 DMEからの直線距離
0・3nm    0・39nm
0・5nm    0・70nm
0・7nm    0・86nm
  1nm    1・12nm
  2nm    2・05nm
  3nm    3・05nm

 結果はこのようになりまして、プロペラ機で多用する1nm未満のリード量ですと、DME表示が実際の水平距離よりも、最大0・2nmほど大きく出ることが確認できました。私の飛行試験結果と、うまく一致します。
 補正には、やはり表を作るのが簡単でしょう。(Excelで計算ツールを作ることも考えましたが、FlightGearとAtlasを起動中にExcelまで使うのは、ある程度メモリーを圧迫しますし、飛行中の操作が煩雑になりそうです)

●一覧表をアップロードしました:
 私が作った一覧表は、ベースターンの進出距離表とリードターン表に、簡単なDME修正表を足して整理した、JPEG画像です。「標準旋回ベースターン表」の名称で、「マイアルバム」にアップロードしておきましたので、ご参考になりましたら幸いです。

 「標準旋回ベースターン表」の読み方は、これまでの説明でお分かり頂けるかと思いますが、末尾に載せた「高度別リード量補正値」について、改めてご説明します。いまお話しした、DMEの距離表示の誤差を、補正する部分です。
 例えば110Ktで90度の旋回をする場合、表にある「リード量」の一覧を見れば、VOR局などの0.6nm手前で、旋回を開始すればいいことが分かります。ここで「高度別リード量補正値」一覧の「水平距離」の行から、0.6に近い数字を探します。ここで「0.5」と書いてある列を見ますと、高度1500ftの行には「+0.1」という補正値が入っていますので、基本的なリード量の0.6nmにこれを足し、VORの0.7nm手前から旋回を開始すればOKです。
 同様に、高度が3000ftでしたら、補正値は「+0.2」ですので、表に示されたリード量0.6nmに補正値0.2nmを足して、0.8nm手前から旋回すれば、ほぼ正確な旋回が出来ます。

 この表を使って、実際に超低空(300ft)と1500ft、3000ftを飛び、144ktと110Ktの2種類の速度で、あれこれ旋回のテストをしてみたところ、オートパイロットでもマニュアルでも、調子のいい時は、VORから0・1nm以内の誤差で旋回できました。アプローチの乱れなどで、0・3〜0・4nmずれることもありますが、まあ実用的なレベルに持って来れたかな、と思っております。
 …私は、うっかりミスが多いタイプですので、もし一覧表をお試しになってミスを発見されましたら、どうぞご一報をお願い致します(^^;)。

(実機では一体、こうした修正を、どう計算しているのでしょうね。アメリカのサイトには、パームトップ・コンピュータ用のナビ関係ツールが、シェアウエアなどで多数公開されていますが、ああいうのを使うのでしょうか。それとも「体で覚えて」しまうのかな。そう簡単ではないとも、思いますが)

●旋回計は、「針幅旋回」にセットする:
 最後にマニュアル操縦時の、旋回計の使い方についてお話しします。以前他のスレッドで、「旋回計の針を、標準旋回マークに合わせても、旋回の角速度が速すぎて、30秒くらいで180度回ってしまう。どうしたらいいか」とのご趣旨の書き込みを拝見しました。私は「FlightGearの旋回計は、確かに不正確ですね。とりあえず、オートパイロットを使うと解決します」などと、ご返事を申し上げた記憶があります。

 しかしこれでは、ご参考になりませんね。私も前回、マカオ進入でオートパイロットが不調になり、機体が発散性の、首振り運動を起こしてしまった際、やむを得ずマニュアル操舵で飛行しましたが…久しぶりに計器を見つめながら、マニュアルで飛んでみると大変楽しくて、これは何とか、旋回計を使えるようにしたいと思いました。
 今回、ちょっとテストしてみましたら、旋回計の、飛行機の形をした指針の下面を、標準旋回マークの上面を指す位置(指針の肩と、マークの肩が、ちょうど合う位置)にセットすると、ほぼピタリと、標準旋回になることを発見しました。C310とC172Pで試しましたが、うまく行きましたので、ご報告致します。皆様もぜひ、お試し下さい。
 (私が大昔、リンクトレーナーで習った、古いタイプの旋回計には、上向きの針が1本付いており。中央上部にあるマークと、「肩と肩が触れ合う位置」になったときが標準旋回でした。これをインストラクターから「針幅旋回」と呼ぶのだと習ったので、私は、今回発見した旋回計の使い方も、これにちなんで針幅旋回と呼んでいます…)

●おまけ●
 FlightGearのオートパイロットを使って、自動離陸する方法がありますが、ご存じでしょうか。機首方位を、滑走路の真方位(HUDに表示されています)に合わせ、速度設定をアプローチ速度にセット。高度は、場周経路や出発経路の高さに合わせます。自動的にスロットル全開になり、ブレーキを放すと、勝手に直進して離陸します。まだC310でしか試していませんが、プロペラ機につきものの左右への偏向も、かなり上手に修正しますよ。
 高度を入力する代わりに、ある程度大きな上昇率を設定すると、非常に短時間の滑走で離陸します。ちょっとリアリティーを欠く気もしますが、役に立つかも知れません。MSFS2000でも、ほぼ同様の現象を確認しており、私は滑走路の短いシカゴ・メイグスフィールド空港から、満タンのリアジェットを離陸させる際などに使いました。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-9-23 13:42
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 無沙汰しました。ここんとこ仕事が増えまして、なかなか「飛んだり書いたり」出来ずにいました。今後も少々、間が空いたりするかも知れませんが、どうぞ引き続き、よろしくお願い申し上げます(^^)。

     ○

 先日、マカオ空港への進入(8月22日付)と、「マカオ名物…オフセット進入路を飛ぶ」(9月1日付)の連載時に、ホールディング・パターン(空中待機経路)への進入法を、少しご紹介しました。フライトシムの世界では今のところ、あまりホールディングの必要はありませんが、たった一つの無線標識、もしくはフィックスを基点にして、正確な楕円を描く…という飛び方を初めて体験して、これは計器飛行の上達に、非常に役立つと思いました。そこで今回は最初に、ホールディング・パターンへの進入方法を、簡単にまとめてみることにします。そのうちFlightGearでも、「ガス欠のAI機に、着陸順を譲るため、ホールディングを指示される」といった場面を、体験できるようになると面白いでしょうね。

●ホールディング・パターンへのエントリー:(説明図付き)
 教科書によると、ホールディング・パターンは、右回りが基本だそうです。VORやNDBまたはフィックスを基点とし、まず右180度旋回(1分間)して、アウトバウンド・レグ(基点から離れる直線)を1分間直進。再び右180度旋回(1分間)して、インバウンド・レグ(基点に向かう直線)を1分間飛び、元の基点に戻る…というパターンを繰り返します。

 パイロットはどの方向からも、このパターンにエントリー出来なくてはなりません。エントリー方法は、航空機の飛来方向によって3通りあり、いずれも無線標識のラジアルを頼りに、まず基点を通過します。文章では分かりにくいので、例によって図を作り、「マイアルバム」にアップロードしました。どうぞ、ご覧頂けましたら幸いです。

 ホールディング・パターンは図のように、基点(ホールディング・フィックスと呼ぶ。無線局など)を通る70度の線で、三つのセクタに分かれます。第1セクタは図の左上で、この方面からの航空機は、パラレル・エントリー(赤線)をします。第2セクタは左下で、オフセット(ティアドロップ)・エントリー(緑線)をするゾーン。第3セクタは70度線の右側全部で、こっちから来る航空機は、ダイレクト・エントリー(青線)をします。もちろん進入角度によっては、フィックス通過直後から、レグにぴったり乗るのは困難ですので、飛行経路は多少歪んでも許容されます。
 例えば、第1セクタの端(図の下の方)から、上に向けて基点を通過した場合は、パターンに沿って、わざわざ左寄りに旋回するわけではなく。基点からすぐ右旋回を起こして、1分より少し短く直進し、2回目の旋回を終えて、ホールディング・フィックスからの無線ラジアルを受信しながら、最終的にアウトバウンド・レグに合流する時点で、正確にレグに乗ります。
(実際の空港では、ホールディング用の空域は、パターン自体のサイズよりも、かなり広く設定されており。その外側に、さらに幅5nmの緩衝帯があるそうです)。

■香港から台湾・高雄へ■(コンパス偏差=偏西約2度)
  (マップデータ:e110n20.tgz
           e120n20.tgz )

 さて、今回は香港を出発し、台湾の高雄空港へ向かいます。高雄空港のアプローチ・チャートは手に入らなかったため、洋上のフィックスから空港へコースを引きましたが、空港の最終進入フィックスに当たるNDBを基点として、自分なりに、ホールディング・パターンを設定してみました。

 フライトプランをお目に掛けます。
(*度は真方位=オートパイロット設定値。
*degは磁気方位=VORラジアル設定値)
◎香港国際空港
   ▼73deg3.9nm
★Siu Mp To-VOR(SMT 114.80)1500ftで通過。
   ▼162deg7.5nm
★Cheung Chau-VOR 3000ftで通過。
 (CH 112.30 N22.13.10-E114.01.48)
   ▼87.4度(089deg)99.8nm (空路=A1/G581)
△MAGOG(N22.17.46-E115.49.31)7500ft
   ▼88.6度(091deg)93nm (A1/G581)
△ELATO(N22.20.00-E117.30.00)7500ft
(SWA-VOR 112.60 R151-77.5nm×CH-VOR R87.97度 192nm)
   ↑これはラジアルの交点で出したフィックスの位置。
   ▼97度(99deg)142nm ここから台北管制(空路=G581)
△PARPA(N22.01.57-E120.02.11)
  (CO-NDB24度-HCN-VOR 113.70 98度45nm)
   ▼23.9度(26deg)35.7nm
☆CO-NDB(220 N22.34.36-E120.17.48)
  (ここを起点にホールディング・パターンを設定。
   COで88度を向いて右180度旋回→1分間268度直進
   →右180度旋回→1分間88度直進→CO-NDB)
  (PARPAから、ここへパラレル・エントリーするにはCO通過後、
   右180度旋回し203度で15秒直進、右旋回してアウト
   バウンドに入り、268度で1分直進→右180度→1分直進
   →CO)
   ▼COからRWY-09端まで88度4.6nm
◎Kaoshung intl.(高雄国際空港 西ILS108.30 東109.70)
 (N22.34.37-E120.21.00 RWY92度=94deg)

 …出発。香港国際空港を、東に向けて離陸します。
 リアルウエザーの天候は、低空に3層の薄雲。風は北寄りで、高度によって概ね10nm前後でした。
 C310のオートパイロットに、真針路70度、速度110Kt、高度保持1500ftを入力して自動離陸。愛機はうまく横風を処理しながら、今日も軽々と舞い上がります。

●旋回も、フィックス通過も快調:
 空港周辺のVORを二つ経由して、沖へ出ます。先日ご紹介しました「標準旋回ベースターン表」記載のリード量が役立ち、旋回位置はほぼぴったり正確。高度を7500ftまで上げ、台湾行き航空路「A1/G581」に乗って、洋上を東へ向かいます。
 (念のため申し添えますと。リード・ターンを行った場合は、機体の飛行経路は、VORの真上は通らず、直前で旋回する形になります。旋回前の直線路と、旋回後の直線路の、それぞれの延長線が、VORの真上で交差する形が、ここで言う「正確な旋回」です)

 ネットで見つけた、香港周辺のフライトシム用エンルート・チャートには、航空路の「交差点」に当たる、多数のフィックスが記載されており。大部分は、Atlas記載のフィックスと合致します。ただしチャートには、フィックスの位置を示すVORのラジアルが、表記されていませんでした。最近はVORを使わず、GPSでフィックスへ直行する人が多いのでしょうね。これでは電波航法の訓練にならないので、事前にAtlasで各フィックスの緯度経度を測定し、どのVORのラジアル交点に当たるのか、計算しておきました。

 例えば、フライトプランのELATOフィックス(北緯22度20.00-東経117度30.00)には、「SWA-VOR 112.60 R151-77.5nm×CH-VOR R87.97度 192nm」と注意書きを入れておきましたが、これは「SWA-VORのラジアル151度と、CH-VORのラジアル87.9度との交点」という意味です。(いずれも真方位。ラジアルの数値に当てはめるには、2度加えて磁気方位にします)

●無線局が、故障中:
 この巡航では、電波航法だけに頼らず、推測航法の要領で、風向風速の修正計算も行いましたので、VORで確認したフィックス2カ所の通過時刻、位置とも、極めて正確でした。私の計器飛行も、少しはサマになりつつあるようです(^^)。

 台湾手前のPARPAフィックスでは、ちょっと問題発生。フィックスの位置を決める、高雄NDBと台湾南端のVORが受信不能でした。FlightGearには、たまに受信できない無線標識があります。まあ…実世界でも故障はあるでしょうから、ここは「リアルだなあ!」とつぶやきながら、我慢するしかありませんね。幸い台湾東岸のVORが受かったので、位置確認が出来ました。高雄空港に向けて変針します。

●ホールディング・パターンに入る:
 高雄空港の故障NDBの代わりに、もっと滑走路に近いSK-NDBを受信。これを基点に、ホールディング・パターンを想定してエントリー。最終進入への変針コースとして利用しました。

 具体的に申し上げますと…3000ftでNDBに接近。NAV1にILS周波数を入れ、さらに1500ftまで降下。ホールディング・パターンのインバウンド・レグ延長上にある、ILS局までの距離をDMEでモニターしながら、基点のNDBを通過。パラレル・エントリーで、ホールディング・パターンに進入。旋回計を見つめながら、マニュアルで右180度の「針幅旋回」を行います。
 計画外のNDBを使ったため、私はすでに滑走路の端にいて、ILSに乗れません。そこで、本来は1分間直進のアウトバウンド・レグを、3分間飛んで、沖合へリードを取りました。

 沖合で180度旋回を終えると…ILSを受けるVOR1の指針が、左寄りを指しています。アウトバウンド通過中、8Ktの横風を甘くみたため、南に流されたのですね。風の補正計算をするか、偏流角を計って、もっと大きく修正すべきでした。Atlasの軌跡も、かなり歪んでしまいました。
 まあしかし。ホールディング・パターンを何度か飛ぶと「これで、どんな進入チャートに出会っても、大丈夫!!」という安心感がわいてきます。

     ○

 …着陸です。風下から、ちょっと斜めにアプローチ。私はWin-XPに使えるジョイスティックがなく、タッチパッドでコーディネート操舵をしている関係上、本格的なクラブ(横滑り)降下が出来ないのですが…やや斜めに進入し、接地点直前で変針して滑走路の軸線に乗り。風上に少しバンクを掛けて、そっと片足を降ろし。次いで全車輪を着けると、大体スムーズに降りられます。


■高雄から、台北へ■(コンパス偏差=偏西約2.5度)
 もう一息がんばって、台北の「蒋介石国際空港」に向かいます。この飛行では、台湾西部を南北に貫く、航空路「W-4」を進みます。

◎Kaoshung intl.(高雄国際空港)
   ▼RWYから、東か西へ進出してベースターン。
☆SK-NDB(330)のハイステーションを通過。
   ▼W-4 334deg 34nm
★SHIKANG-VOR(TNN 113.30 N23.08.08-E120.12.08)
   ▼W-4 22deg(19.5度) 95.7nm
★HOUNG-VOR(HLG 114.90 N24.38.24-E120.47.00)
   ▼W-4 55deg(41.6度) 32.1nm
△TP234(N25.02.23-E121.10.30)
   ▼48度4.3nm
★Chang Kai Shek-VOR
(TIA 114.30 N25.05.18-E121.14.00)
◎Chang Kai Shek(蒋介石)国際空港
 RWY48度(ILS-111.10)-229度(109.30)

 …目的地は首都の空港ですから、実際のアプローチは、ややこしいパターンになっていると思いますが。今日は単純極まる、ストレートな進入コースを設定。もし反対向きに降りる場合は、空港VORのハイステーションを通過してから、ベースターンを打つ予定です。

 自分で言うのも変ですが、前回(9月9日)の連載時に、「標準旋回ベースターン表」を作っておいて、本当によかったと思います。いつでも、直ちにベースターンが使えるため、着陸の組み立てが、単純かつ弾力的になりました。思えば…計器飛行は「飛行を、幾つものパーツに切り分けて、規格化する」行為でもあります。問題にぶつかるたびに、悩むのではなく、あらかじめ準備した手段を、組み合わせて対応できるわけですね。「次にやるべきことが、分かっている。データもそろっている」というのは、とてもありがたいことです。
 (例えば。空港へストレートに進入する計画を立てていたのに、降下開始時期の計算を間違い、高度が高すぎて着陸できない…という事態があり得ますが。風向風速さえ許せば、この場合もそのまま、空港を通過してベースターンを打ち、反対側から簡単かつ正確に、進入をやり直すことができます)

●台湾上空、暗夜の旅:
 このフライトは久しぶりに、夜間飛行にしました。
北寄りの風3nm、曇り。夕暮れの高雄空港を離陸する際、滑走路の真っ正面に、半分沈んだ入り日が見え。高度を上げるにつれて、海面から昇ってくる姿が、実に素敵でした。

 ネットで得た、「台北飛航情報區飛航指南」(エンルート・チャート)に従って、最初のVORをめざしたのですが、どうも方位が合いませんでした。目標のラジアルに、いつまでも合流できないので、OBSを少し回して、ホーミング飛行に切り替えました。(何が間違っていたのか、不明です)
 しばらくマニュアルで操縦しましたが、月のない(そういえば日本でも、昨夜の月齢は0.6)曇りの夜は、機体の姿勢がつかめませんね。小さな水平儀や旋回計、コンパスを頼りに、ちょっとふらつきながら、文字通りの「計器飛行」になりました。
 途中で、台南空港の管制区を通過。戦争中は日本海軍の基地があり、零戦のエース・坂井三郎氏の「台南航空隊」が結成されたところです。今の空港は、昔の基地跡にあるのでしょうか…?

     ○

 VORを中継して延々と、暗夜の飛行が続きます。幸い無風に近いので、小さな補正だけで、ほぼ正確に飛べました。でも計器以外に何も見えないフライトは、非常に気疲れしました。特に台北のVORへ向けた、長い雲中の降下は重苦しく。一つ勘違いしたら、航法の収拾がつかなくなりそうで不安になってきました。FlightGearでは道に迷っても、レーダー誘導のリクエストは出来ません…。

●輝く滑走路:
 VORは中央ぴったり。あと8nmで空港…あと5nm…というところで、暗黒の中に、何か見えました。最初は、画面の汚れ(笑)じゃないかと思ったのですが。間もなく、実にかすかな滑走路の灯が、もやを通して、手前の部分だけ見えました。2本あります。間違いなく、台北です。

 ちゃんと計画通り、計器通りに着いたのですが。はらはらしただけに、なかなか感動しました。サンテグジュペリが著書のなかで、これと同じ情景を「沈黙の中から、金が生まれたのだ。それは、航空港の灯火の中に輝いている」と描写したことを、ふと思い出しました。

 元気を出して、正念場を迎えます。
 ちょっと計算違いがあって…高度が高すぎるので、空港の反対方向からの進入に切り替えます。NAV1を、北側のILS周波数に変更。滑走路方位セット。110Ktに減速。空港VORのハイステーションを3000ftで直進し、1500ftへ降下を開始。滑走路は機体の影になり、周囲は再び一面の闇。
 標準旋回ベースターン表に従い、6.7nm進出して、差角10度の右ターン。ロールアウト時に、ローカライザ指針が、ぴったり中央に合致。

 フラップ1段ダウン。オートパイロットに、グライドパスをセット。スロットルが自動的に開いて、パスへ上昇。ローカライザもセットしたいですが、C310は危険な「首振り運動」に入るくせがあるので、コース保持はマニュアルです。ギアダウン。フラップ2段ダウン、3段目ダウン。
 ほっそりした、おとなしい蛇のように、ぼんやり光っていた滑走路が、次第に輝きを増し、くっきり近づいてきます。滑走路とCDI指針、水平儀をにらんでコースを微調整。これに結構、緊張しました。水平線が見えないというのは、こんなに苦しいものだったのですね。練習不足を感じます。

 やがて絢爛豪華な灯火群が、足元に滑り込んできました。パスがちょっと高すぎます。グライドパス保持と、速度保持を解除。エンジンをアイドルに絞って、そっとタイヤを地面に着けました。

     ○

 夜間飛行とは、奥深いものですね。今回は月がなく、雲の影響で初めて体験するような暗夜となり。思ったより操縦に苦労して、結果的に、持てる力をすべて出し切ったような進入・着陸になりました。いささか憂鬱な暗夜のフライトは、まことにハッピーな気分で終わりました。
 ほんの1カ月ほど前でしたら…滑走路が見えた時点で、「これを見失ったら、大変だ」と舞い上がり。3000ftも下の滑走路に向かって、むりやり機体をひねり込むという、無謀な誘惑に、勝てなかったかも。しかしIFRアプローチを少しだけ学んだ今は、ちょっぴり自信がついてきました。
 いよいよ次回は、日本領空の端っこをめざします。
投票数:16 平均点:8.13

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-10-7 15:13
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回は、台湾の台北国際空港から、いよいよ日本領・南西諸島の与論島上空を通過。石垣島を経て、宮古島のお隣にある、下地島空港に向かいます。


■台湾から南西諸島へ■(コンパス偏差=偏西約3.3度)
  (マップデータ:e120n20.tgz )
 以下の表記:「度」は真方位。
         「TH」は風向風速を補正済みの真方位
           (=オートパイロット入力用)
         「deg」は磁気方位(VORラジアル用)
         「GS」は対地速度(風を補正済み)

◎Chang Kai Shek(蒋介石)国際空港 VOR-114.30
   ▼68deg(71度)16.5nm
★Anpu-VOR(112.5)
   ▼「R-595」 99deg(96度) 42nm GS133 TH95.5度
△GRACE(N25.06.24-E122.17.24)
   ▼R-595 99deg(96度)38.8nm
△PARTO(N25.02.00-E123.00.00)
   ▼180度34nm GS143.6 TH175.6度
★与那国VOR(115.30 N24.27.52-E122.60.00)
   ▼99deg(95.7度)64nm「B62」 GS133 TH95.5度
★石垣VOR(117.70 N24.20.27-E124.11.08)
☆石垣NDB(349)
   ▼071deg(66.3度)58.7nm「B62」 GS134 TH67.8度
△SJE66(N24.44.04-E125.10.11)
   ▼346度(342.7deg)5.5nm
(ベースターンを行う場合は、下地島VORのハイステーションを
通過後6度に変針、110ktで3.3nm進出して左200度ターン、
166度で進入すれば滑走路)
★下地島VOR(117.10 N24.49.19-E125.08.37)
◎下地島空港(RWY346度ILS110.90ー166度ILS111.50)

●さよなら、台湾:
 台北の、蒋介石国際空港を出発します。
 リアルウエザー機能の雲量は、1800ft few、4500ft broken。風向風速は3000ft80度10Kt、6000ft90度11Kt、9000ft12Kt。この数値をもとに、例によって「Virtual E-6B」を使って風向風速の補正計算を済ませ、「TH」「GS」を上記のフライトプランに追記しました。
 本来は、各区間の予定飛行時間も書き込んでおき、実際の飛行時間と比較して、進み遅れがある場合は、飛行速度を調節すべきです。しかし途中で倍速モードを使ったりすると、時間管理の計算がややこしくなるので、ここでは省略しています。(実際の飛行では確か、フライトプランから3分以上ずれる場合は、管制センターに報告が必要です)
 さて、離陸しましょう。

 この空港のSID(標準計器飛行出発方式)が分からないため、今回もごくシンプルな、ベースターン方式の出発経路を設定しました。
 離陸後、110Ktで上昇しながら3.3nm直進し、左200度ターンを打って空港上空に舞い戻り、VORのハイステーションを2500ftで通過。ここで96度に変針して、オートパイロットの針路をセット。NAV1に、空港VORのアウトバウンド・ラジアル99deg(磁気方位)を入力。高度を7500ftに上げながら、航空路「R-595」に乗って、東へ向かいます。
 逆風なのが少し残念ですが、アビーム(真横)の風に比べれば、コース逸脱がほとんどないので、航法自体は楽です。台北VORの、アウトバウンド・ラジアルを受けて飛び、計器の針はぴったり中央。離陸後10分余りで雲海の上に出ると、与那国VORをセットしたVOR2指示器に、早くも感度あり。日本は近いな、と思いました。台北市街地は雲の下。一目くらいは、見ておきたかったですね。

●あれれ、ここは航空路ではない!:
 さて、このフライトは楽勝だと思ったのですが。ここで念のためにAtlasを見て、大変なミスを発見。本来の航空路から、南へ20nmあまり離れているのです。台北から真っ直ぐ伸びて見える「R-595」は、本当はもっと北にあるAnpu-VORを起点としていました。フライトプランの参考にしたエンルート・チャートは、かなりの略図のため、うっかり誤読してしまったようです。どうも…みっともないことに、なりました(^^;)。
(先にお目に掛けたフライトプランには、最初に書き落としていた、Anpu-VORも追記してあります)

 慌てて「斜めものさし」を起動し。Atlas画面に当てて、次の「GRACE」フィックスに向かう、正しいコース角度と距離を測定。離陸後31分後に、この修正針路でGRACEを通過。なんとか辻褄が合いました。(これが実機でしたら、出発後間もなく、管制レーダーからの指摘で、すぐミスコースに気付いたはずですね)
 ここで、NAV1で受信していた台北VORが、私の予想よりも早くフェードアウト。この局のアウトバウンド・ラジアルに乗っていたので、ちょっと困りましたが、幸いNAV2で与那国VORを受信中。次に通過する変針点「PARTO」フィックスは、与那国VORの真北に当たります。そこでVOR2指示器のベアリングを「180deg」にセット。じゃなかった…地磁気の偏差を加えて、183degに設定しました。これで、与那国VORのインバウンド・ラジアルをインターセプトし、VOR指示器の針が中央まで振れたら、目標フィックスに到着しているはずです。

●「空の国境地帯」をゆく:
 北へ1.1nmずれただけで、無事にPARTOフィックスを通過。予定通り南へ旋回し、与那国空港へ機首を向けました。このフィックスは、台北FIRと那覇FIRの、航空管制が切り替わる場所です。本来なら双方へ、位置通報を行う場面ですね。(FIRとは、各国がそれぞれ管制を受け持つ、国別の「飛行情報区」のことです)
 ここから東経123度線上を南下。これは、日本と台湾のADIZ(防空識別圏)の境界でもあります。地図によると、経線は与那国島を東西に分断しており、与那国空港はその西側…台湾側にあります。

 島の上空は、むろん日本の領空ですけれども…かつて米軍の占領時代に、勝手にここにADIZが引かれたとのこと。ちょっとネットで調べてみますと、以前は与那国島周辺で、南西航空(現トランスオーシャン)機が、台湾空軍にスクランブルを掛けられたり、この境界線すれすれに、台湾の射撃訓練海域が設定された例もあり。数年前の新聞記事では、航空会社が「日台両方に、フライトプランを出しています」と語るなど、このあたりの海はなかなか、緊張をはらんでいます。
 ただし昨年、与那国町長が「台湾側はすでにADIZから、与那国島を半月形に外しているという。日本政府の解釈と違うぞ」と発言しているので、現在は与那国空港にも、安心して発着できるのでしょう。

 ちょっぴり「国境の空」を意識しながら、与那国VORへ。おっと、風向風速の補正を、忘れるところだったぞ。計算の結果、風上へ4度の偏流補正を掛けて、東シナ海を飛び続けます。VOR指示器をにらんでトラッキング修正を重ね、無事に与那国上空に到着し、東へ変針。雲の下の島は見えませんが、名実ともに「日本の空」へ帰ってきました。さらに石垣島VORを通過して、今度は宮古島VORに機首を向けます。

●下地島空港へ計器進入:
 宮古島へ向かう「B62」航空路の上。石垣VORから58.7nmの「SJE66」フィックスが、下地島空港・RWY-017へ向かうための、初期進入フィックスです。目に見えない通過点を、北へ変針。同時にRWY-017のILSをNAV1で受信。DMEで確認すると、SJE66の約1nm南を通過したようです。あらかじめ下地島VORを併用すれば、もっと正確に到着できたはずですが…まあ進入そのものには、問題はありません。
 ちなみに、下地島への進入路にあるフィックスは「SJE」の下に、一連の番号が振ってあり。VORまでのマイル表示になっているのかな、と感心したのですが、実際に計ってみると、ちょっと違うようです。滑走路の向こう端からの距離に、ほぼ合致するのですが、かえって分かりにくいような気もします。
 ILSに乗って、もやの中からふっと現れた、下地島空港に到着。ちょっと乱暴な着陸になりましたが…やれやれ一応、日本領土に着きました。

●IFRアプローチにおける「進入」と「フィックス」:
 ここでちょっと、計器着陸時の「進入」や「フィックス」の意味を、整理しておきます。以下にご紹介するのは、少々お役人くさい定義ですが、今後も計器飛行に出てくる用語ですので、一度は押さえておきましょう。

 ・初期進入:
    この「SJE66」フィックスのように、航空路上にあって、空港
    への計器進入経路の、始まりに当たる地点が「初期進入
    フィックス」。いわば航空路から降りる、空のインターチェンジ
    です。ここから先を「初期進入」(Initial approach)と呼び
    ます。
 ・中間進入:
    初期進入と、後にご説明する最終進入の中間ゾーン。
    この起点を「中間進入フィックス」と呼びます。空港によって
    は、特定の無線標識やラジオ・フィックス(無線局ラジアル
    で位置を決める通過点)を使いますが、単純なベースター
    ン進入方式をとる場合は、空港VORが中間進入フィックス
    になります。
     (空港進入チャート図は、この中間進入フィックスを起点
      として、作図してある例が多いようです)
 ・最終進入:
    航空機が滑走路に正対し、もしあればILSも受信しながら
    「さあ、滑走路へ真っ直ぐ降りるぞ」という、「空の滑り台」が
    最終進入(final approach)です。この起点が「最終進入
    フィックス」で、福岡や長崎など多数の国内空港に、これを
    示す無線標識があります。特にこうした無線標識のない空
    港に、ベースターンで進入する場合は、ターンを終えた地点
    を最終進入フィックスとします。

●ジェットパイロットのふるさと:
 下地島空港は、実世界ではご存じのように国内唯一の、民間ジェットパイロットの訓練施設で、3000m滑走路が設けられています。尖閣諸島の領土問題などが絡んで、自衛隊との軍民共用化が何度も話題になっていまして、ここもまた、或る意味で「ホットな国境の」空港です。
 でも私にとっては、大昔に初めて購入した、PC-9801用のソフト「日本一周 セスナの旅」で、初めてフライトシムを体験した、思い出の空港でもあります。ここが初心者モードの発着地になっていまして、さんざん墜落しては、かなり落ち込んだ記憶があります…(^^;)。

 私の「縦周り世界一周」も、いよいよ松山空港へのゴールが近づいてきましたが、懐かしい下地島空港で少しだけ時間を頂き、休養と若干の飛行テスト、訓練を試みることにします。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-10-26 21:15
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 仕事が多忙を極めまして、すっかりご無沙汰を致しました。ほんの2、3週間操縦しなかっただけなのに、少しコツを忘れたようで、ちょっと戸惑っておりますが、ぼつぼつと、また「旅日記」を再開させていただきます。
 今回はB737-300機を中心に、コクピットの視界を改善する改造の試みと、下地島空港から鹿児島空港までのフライトをご紹介しましょう。

●もっと視界を!!! ジェット機編:
 FlightGearにデフォルトで付いてくるジェット機の中では、B737はかなり操縦性が熟成され、航法計器も充実していて、完成度の高い機体の一つだと思います。速度や航続力も長距離飛行向きで、いい機体ですけれど、私は以下のような欠点に悩んでいました。
 ・前方視界が狭く、滑走路がほとんど隠れてしまう。
 ・時計や着陸装置灯が副操縦士側にあり、機長席から見えない。
 ・描画速度を確保するため、800×600ピクセル表示にすると、
  計器盤のデジタル表示がつぶれて、燃料計などが読みにくい。
  2Dパネルなので、「X」キーで拡大することも出来ない。

 …など、主に視界に関する不満を強く感じます。パネルを上下左右にスライドさせることは出来ますが、これでは不便です。また「S」キーで小型パネルを使うことも出来ますが、あれは基本的にはセスナ用ですので、B737ですと水平儀が動かないなど、あちこちに問題が出ます。
 そこで、思い切ってパネルを改造し、前方視界を稼いだ上、計器の表示サイズや設置場所も、見えやすいように変更してみました。

 【パネル改造法】
 まず、パネル本体と言いますか、計器の背景画面を改造し、不要な部分を切ってしまうことにします。Aircraft\737-300\Panelsを開くと、rgbファイルが2つ、xmlファイルが2つあります。このうち737300.rgbがパネル本体の画像ファイルです。例によって、フリーウエアの「GIMP」(本フォーラムの「V0.9.9について」2006年1月14日付、Hitさんのご紹介参照)を使って、このファイルを開き、特に機能を持っていない頭上計器盤と、3D機体表示とダブって表示されるセンター・ピラー、それにオートパイロットを組み込んである、大きなひさし部分をカットし、ほぼ3Dモデリングの窓枠いっぱいに、視界を広げました。

 次に、計器の位置とサイズの変更です。これらは、同じフォルダ内にある737-ifr-panel.xmlの中に記述されています。例えば時計は、37〜44行目にあり、次のようになっています。
<instruments>
<instrument include="../Instruments/clock.xml">
<name>clock RH Gauge</name>
<x>1670</x> ←上下位置。計器盤左から1670ピクセル。
<y>170</y>  ←左右位置。計器盤下から170ピクセル。
<w>70</w>  ←時計の左右幅は70ピクセル。
<h>70</h>  ←時計の上下幅も70ピクセル。
</instrument>

 位置は、計器の中心部で計っているようです。
私は最初、パネルの左右サイズ(画像データでは1024ピクセル)を基準にして、「斜めものさし」の目盛りをセットし、パネル各部の寸法を測って、計器の位置決めに使おうとしました。
 しかし737-ifr-panel.xmlファイルの中では、パネルの左右幅は1750ピクセルとして定義されているようで、どうも計算通りには行かず、結局は試行錯誤を重ねて各計器の位置やサイズを決めました。
 また一部計器のデジタル文字を大きくしましたが、これをやるには、Aircraft\737-300\Instrumentsの中にある、個々の計器の設定を変更します。例えば時計の場合はclock.xmlファイルを開き、24行目の9の、9という数値を変更すると、文字サイズが変わります。

 これらの方法で、私はオートパイロット・パネルを、上下左右1.2倍に拡大したうえ位置を下げ、少し機長席側にスライドさせました。またエンジン計器類のデジタル文字を拡大。さらに、バックアップ水平儀やブレーキ操作パネル、天候レーダー操作パネルなど、実際には動作しない計器・パネル類を取り外し、空いたスペースを利用して、飛行計器ディスプレーと、航法計器ディスプレーを少し拡大し、取り付け位置を調整。また時計と着陸装置灯を、機長席側に移しました。これに伴い、フラップ指示器とマスター・コーションランプの取り付け位置なども変更しました。

 まあ正直…ここまで切り刻んでしまう改造には、かなりご批判もあろうと思います。私としても、苦心して作られたデザイナーには、いささか申し訳ない気がします。私のように操縦が下手な人間でも、飛び易くできる参考事例の一つとして、お読みいただけましたら幸いです。

【夢のような、快適視界】
 結果は、それなりに素晴らしいもので…「マイアルバム」にアップロードさせて頂いた、「B737パネル改造例」をご覧下さればお分かりの通り、ほぼ車のフロントシート並みに、前方視界が広がりました。

 このB737-300改で、さっそく下地島空港の周辺を一周してみました。10nm×20nmの長方形コースを、オートパイロットを使って回りましたが、視野の拡大に加え、航法計器とオートパイロット操作パネルが大きくなったことで、心理的にも、かなり操縦が楽になったと感じられました。
 風速は約30Ktで、滑走路での横風成分が約20Ktという、かなりの悪条件でしたが、さすがはどっしりした大型機(いや、中型機かな)。風上へ自動的に約10度の修正角を取って、ほぼ完璧な進入を見せてくれました。この間、滑走路がしっかり見えているのは、とても快適です。B737というのは、潜在的には実に飛びやすい、いい飛行機だったんですねえ。

●もっと視界を!!! プロペラ機編:
 ついでに、双発セスナC310のキャビンも、少し改造してみることにしました。普段私がこの「旅日記」で主に操縦する、C310U3Aw.3D(軍用タイプ)ではなく、白色塗装の民間型3Dモデルの方です。

 この機体は結構スマートで、エンジン出力や、燃料搭載量などを少々改造した上で、松山空港へ世界一周のゴールを果たした後、本連載の常用機の一つにしようかとも、思っているのですが。本機も視界の点で、たいへん気になる部分がありました。実はヘッドレストが巨大なため、機長席からはジェット旅客機と同様、まったく後ろが見えないのです!

【ヘッドレストを取り外す】
 これを改善するには、ヘッドレストを消してしまうしかない、と思い。機体の立体データを記述してある、Aircraft\c310\Models\c310-dpm.acファイルを開いてみました。(acファイルは、そのままでは開かないので、末尾にtxt拡張子を付けます)
 これは約9500行もある難物です。試行錯誤の末、seatと書かれたセクションを6カ所発見。これが、6つの椅子の立体データですね。幾つものパーツで構成されており、どの部分がヘッドレストか分かりません。試しに各「seat」のすぐ下にある、「loc」(ロケーション?)で始まる行を削除してみたところ…なんという幸運でしょうか、見事にヘッドレストが消えました(^^)。
 正確には、パーツの一部は小さく残っており。見かけ上は、小型のヘッドレストがあるように見えますが、大型のマクラ部分がすっぽりと消滅し、面白いように後ろが見えます。

【窓のピラーを半透明にする】
 こうなると、欲が出ます。
C310民間タイプは、フロントグラスの左右ピラーが、かなり太いのです。ベースレグ上をアプローチ中に、空港を探そうとして視野を左に切り替えると、ちょうどピラーの陰に、滑走路が隠れてしまいます。これを何とかしたいものです。
 最初は、ピラーを少し細くしようと思いまして、c310-01.rgb(機体外部テクスチャー)を開いて、白塗りのピラー部分を削り、透明部分を増やしました。ところがどっこい、これで外見上は細くなりますが、機内から見ると、ピラー内面には内装材のテクスチャーが貼ってあるため、元の太さのまま。馬鹿馬鹿しさに、一人で笑ってしまいました。

 次に、c310-02.rgb(キャビン壁やシートなどのテクスチャー集)を開き、内装に使われている、淡いグリーンの地紋を消して、透明にしてみました。すると狙い通り…ピラーを含む、キャビン内壁がそっくり消え、外界が丸見えになりました。まるで椅子を並べた「空飛ぶじゅうたん」にでも乗ったような、ちょっと心許ない眺めです。これで氷海の上なんかを飛んだら、さぞや寒々とした気分になるでしょうねえ。
 また、キャビン内部からの眺めには、複雑なレイヤー処理があるようでして、内壁全部を透明にすると、ピラーがあった位置だけ、エンジンナセルが切り取られてしまい、背景の空と地面が直接見えます。まるでエッシャーのだまし絵のような、不気味な光景(笑)でありまして、このままではちょっと、使えません。

     ○

 半分諦めかけたころ、突然インスピレーションが浮かびました。内装のテクスチャーを完全に消す代わりに、GIMPを使って半透明に変更。このテクスチャーは単色ではなく、パープルグレーとグリーンの、細かい模様が入り交じっているのですが、1色だけを範囲選択し、「編集」メニューから「カット」を選んで実行すると、全体がうまく半透明の地紋になります。私はグリーンを消して、パープルグレーの壁色にしてみました。
 これで一応、キャビン内には(半透明ながら)壁が復活し、しかもアプローチ中もピラー越しに、しっかりと飛行場を見ることが出来るようになりました。

 以上は、ちょっと変則的な改造ですが…実機の場合ですと、パイロットが無意識のうちに、ちょっと頭を動かせば済むような些細な視覚的問題でも、シミュレーターでは解決が大変です。確かにピラーを半透明にするのは、少々リアリティーを損なうことになりますが、同時にまた「ピラーをほとんど気にせずに操縦できる、というリアリティー」を手に入れる試みでもあります。こういう発想法もあるのだ、という程度の意味で、一応ご報告をさせていただきました。


■下地島から鹿児島へ〜南西諸島を飛ぶ■
  (コンパス偏差=偏西約3.5〜5.5度)
  (マップデータ:e120n20.tgz
           e120n30.tgz
           e130n20.tgz
           e130n30.tgz )

 改造や試験飛行が一段落したところで…さて、鹿児島へ向かうことにしましょう。今回の使用機は、視界が広くなったB737-300です。
 下地島を離陸後、島の南にあるフィックスSJE66(前回連載で、初期進入フィックスに使った通過点)から、航空路「B62」に入り、島伝いに鹿児島VORへ。ここから東に機首を向け、国分VOR方面へ向かう途中で北転し、ILSをつかむコースです。以下のフライトプラン中、カギカッコ内は航空路の名称ですが、よく分からない部分は省略しています。

◎下地島空港(RORS)
★下地島VOR 117.10(N24.49.19-E125.08.37)
   ▼166deg(163.5度)5.5nm
△SJE66(N24.44.04-E125.10.11)
   ▼66度(68.5deg)7.8nm
◎宮古空港(ROMY)
★宮古島VOR (MYC)117.50
☆宮古NDB 340
   ▼「B62」=58deg166nm
◎嘉手納基地(RODN)
★嘉手納VOR(KAD 112.00)
   ▼「A86」=41deg80nm
★沖恵良部VOR(ONC 113.10)
   ▼25deg26nm
★徳之島VOR(TKE 116.00)
   ▼55deg55nm
◎奄美空港(RJKA N28.25.53 E129.42.47)GPS異常表示。
★笠利VOR(AME 113.95)GPS不可。
   ▼「W13」=30deg107nm
◎種子島空港(RJFG)
★種子島VOR(TJE 116.20)170nm先からでもかすかに入る。
   ▼「W13」=348deg73nm
★鹿児島VOR(113.30 NAV1)4500ft以上で通過。
   ▼104度13.5nm
    (VORからラジアル109に乗り9nmで左旋回開始。
     加治木VORをめざす)
★加治木VOR(115.7 NAV2)
    (ラジアル340に乗りVORから7nmを2500ft以上で
     通過)
◎鹿児島空港(ILS 111.70 RWY335deg)

 旅の始まりは快調で、久しぶりに飛ばすジェット機の、高速巡航性能に目を見張り、30000ftを維持して沖縄上空へ。
 しかし、このへんからGPS(今回は多用しました)の調子がおかしくて、せいぜい100nmくらい先のウエイポイントまでの距離が、画面では8000nm台(!)を示したり、一部のVOR略号が、ウエイポイントとしては認識されなかったり。いずれも原因不明で、VORからAtlasまで総動員して、ようやく最終アプローチに漕ぎ着けました。
 層雲から頭を出した、桜島がきれいでした。しかし、中間アプローチからファイナルに掛けて、雲を出たり入ったりの飛行になり、周囲に山地もあるので、かなり神経を使いました。大きな機体の操縦は不慣れですので…どーんと、3回くらい大バウンドして、ようやく停止。まだまだ練習が必要ですね。
 そうそう…「Ctrl+b」を押せばスポイラーが出ることを、やっと知りました。

     ○

 私はまだ737の航法計器を、完全には理解していません。例えば、無線機パネルにはNDB周波数欄がありますが、ADF指示器は一体、どこにあるのでしょうね。また実際に操縦してみると、航法ディスプレーのDME表示は、NAV2のみ作動します。これをNAV1に切り替える方法が分からず、かなり不便をしています。無線パネルにDME切り替えスイッチがありますが、押しても反応しません。どなたか、アドバイスを頂けましたら幸いです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-10-28 21:12
ゲスト 
hideさんこんばんは。
ご指摘のヘッドレストを除いてみました。快適ですね、他の機種にもできそうです。ありがとうございます。

B737-300のパネルの改造ですがファイルをupできませんか。GIMPの扱いに不慣れの人(私です)も多いとおもうのでできればそうしていただければありがたいです。

B737-300のパネルでもう一つ希望があります。視点を変えるとパネルが行方不明になるのですがこれを防ぐ方法はありませんか。2Dパネルの限界かもしれませんが。
よろしくお願いいたします。では。
投票数:9 平均点:4.44

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-10-29 17:50
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ゲストさん、さっそくヘッドレスト改造をお試しになったそうで、ありがとうございました。またパネル改造についても、お問い合わせを頂きましたが、改造版のデータは、もちろん喜んで提供いたします。

  ・737300.rgb    :737-300計器盤の画像データ
  ・737-ifr-panel.xml:計器配置のテキストデータ

 …の二つを、オリジナルと置き換えてくだされば、うまく動くはずです。(言うまでもありませんが、置き換えや書き換えをする場合は、元に戻せるように、オリジナルのコピーを保存してくださいね)

●データ公開の方法:
 次に、ご提供の方法です。FlightGear日本語サイトの共有物として、公開できればベストですが、計器盤の画像はバイナリーですし、737-ifr-panel.xmlのテキストも長文の上、<>マークを全角に変換しないと、掲示板には掲載不能です。
 そこで、いずれもバイナリー・データとして公開したいのですが、どのようにアップロードすればいいのか…或いはそもそも、本サイトで技術的に可能なのかどうか、現時点では、私には分かりません。

 この点はtetsuさんに、ルールを巡るご指示を仰ぎたいのですが、いかが致しましょうか…私としては、適当な方法がない場合は、メール添付ファイルで、個人的にお送りしてもよろしいです。こんなこともあろうかと、FlightGear専用のアドレスを作りましたので、以下へご一報下さい。

  hideのアドレス:flightgear-hide@mbr.nifty.com

 それと、もう一点、
>B737-300のパネルでもう一つ希望があります。視点を変えると
>パネルが行方不明になるのですがこれを防ぐ方法はありませんか。
>2Dパネルの限界かもしれませんが。
…というご指摘がありました。
 これは私も、まったく同感です。「←→」印のマウスポインタを、つい動かしてしまって、困ることがよくあります。そのつど、視界をキーボードで「左」か「右」に切り替えては「正面」に戻して、パネルを取り戻しております(^^;)。
 残念ですが、これはお説の通り、2Dパネルと、3Dの機体モデリングを共存させる上で、どう画面表示をするかという、設計思想の問題ですね。デザイナーは恐らく、「視野だけ3Dで変化して、パネルが動かなかったらおかしい」…という考え方なのでしょう。今のところ、うまい解決策を思いつきません。ごめんなさい。

●改造について、補足説明です:
 ついでに、ファイルの変更方法について、もう少しご説明します。
前回はご説明を省略しましたが、737-ifr-panel.xmlの中に記述されている、不要のダミー計器を削除する場合は、単に不要項目を消してしまうとエラーになって、機体が起動しなくなることがあります。そこで私は、個々の計器の、
  <w>70</w>
  <h>70</h>
 …などというサイズ定義の部分を、
  <w>0</w>
  <h>0</h>
 …と言う風に、ゼロに変更しています。必要な場合は、お試し下さい。

 また計器類のデジタル表示文字を大きくするのは、サイズに好みがありますし、本来の表示欄をはみ出したりしますので、ご自分で必要に応じて、修正されるほうがいいと思います。以下に方法をご説明します。

     ○

【デジタル計器フォントの、詳しい変更方法】
 まず計器データの格納場所ですが、セスナなどに使われる、一般的な計器類や無線機器パネルは、「Aircraft」フォルダに入っている「Instruments」フォルダにあります。B737-300機の時計やディスプレー類は、この機体だけの特殊なパーツなので、一般的な計器とは別に、Aircraft\737-300\Instrumentsフォルダの中にあります。

 例を挙げますと、737-300計器盤の中央部にある、エンジン関係の表示ディスプレーのデジタル文字を変更するには、Aircraft\737-300\Instrumentsフォルダの中から、eicas.xml(これがエンジン情報ディスプレーです)を選んで、マウスボタンの右クリックで「編集」を選択すると、内容を「メモ帳」で開くことが出来ます。
 デジタル文字のフォントサイズは、ポイント表示で表されています。そこで「メモ帳」メニュー欄の「編集」から「検索」を選んで、「point」を検索します。「次を検索」を何度かクリックしますと、ポイントサイズを書いた部分が見つかります。
 例えばN1(回転計)は、次のようになっています。

<layer>
<name>Engine[0] N1</name>
<type>text</type>
<font>led</font>
<point-size>4</point-size>

 …私の場合は、この最後の行の「4」という数字を、「6」に変更しており、これでやや文字が見やすくなりました。あまり大きくしますと、どんどん表示欄からはみ出しますので、ご自分の画面表示サイズや好みで、あれこれ試してください。

●737-300の計器について:
 この機会に、737機のコクピットにある、3つのディスプレー計器類の機能について、私が理解している範囲内で、まとめてみました。間違っている点や、私が分からない点をご存じの方は、ご教示を頂けましたら幸いです。

【左ディスプレー】(航法計器など):
  左側:HSI(NAV1のVOR指示器)。
      頂部の「HDG【 】M」は機首方位(Mは磁気方位を示す)。
      赤いバグ(可動式の方位マーク)は、オートパイロット操作パ
      ネルの「HEADING」ノブをクリックすると移動可能。オートパイ
      ロットの進路保持機能が、デフォルトの「Heading Bug」
      モードになっていると、クリックで指定した方角へ旋回する。
  右上:IAS(指示対気速度)計。風圧で対気速度を計る計器。
      大気密度などの影響で誤差があるが、失速速度や制限速
      度など、飛行制御に必要な速度情報は、これで監視する。
      制限速度は320KIAS(ノット単位の指示対気速度)で、これ
      を超えると、機体が壊れる恐れがある。
      (幸いFlightGearでは、画面に警告が出るだけです)
  右下:VOR指示器。針が2つあり、2本棒の針がVOR1。1本棒が
      VOR2。セスナと違い、設定進路からのずれではなく、無線局
      の方向をダイレクトに示すので、たいへん便利。
      2つのVOR局間を飛ぶときは、2本の針が逆方向で一直線
      に重なるように操縦すると、正確なトラッキング飛行が出来る。

【中央ディスプレー】(飛行計器など)
  中央:人工水平儀。機体の姿勢を示す。上部にバンク角の目盛り
      がある。ちなみに、本機には旋回計がないが、アプローチに使う
      200Ktの場合、バンク角を30度にセットすると、ほぼ標準旋回
      になる。
  左側:デジタル昇降計。単位はフィート/毎分。
  右側:デジタル高度計。
  左上:GS(対地速度)計。地面に対する実際の移動速度を示す、
      航法用の速度計。
  右上:DME(VOR局からの距離)指示器。計器盤左下のラジオパ
      ネルにある、一番右下のボタンでVOR1、VOR2が切り替えら
      れるはずだが、残念ながら現在は、VOR2しか表示されない。
      (私の改造パネルでは、センターピラーの根元に、セスナ用の
      DME表示器を追加しましたが、やはりVOR2しか表示せず)
  左下:2列ある緑色表示の上段は、マッハ計。高空・高速では、指
      示対気速度の誤差が非常に大きくなる(例えば、高度3万ft
      で320KIAS出すと、実際の対地速度は400Ktを超える)ので、
      ジェット機では、巡航時などの対気速度を、マッハ数(音速=
      マッハ1)で計ることが多い。
      緑表示の下段は、VOR1の周波数表示。局名もIDで表示
      する。
  右下:2列ある緑表示の上段「RA」は、意味不明。
      (う〜〜〜ん、これには悩んでおります。何でしょうね)
      下段は、VOR2の周波数・局名のID表示。

【右ディスプレー】(エンジン関係・燃料計器など)
  上部:TATという表示は、たぶんtrue air temparature(真気温)
      で、吸気温度計と思われる。ジェットエンジンは、気温が高い
      ほど出力が落ちるので、実機では離陸時に要注意。
  左側:丸計器にデジタル数字が付いた計器群が、4段ある。
      1段目「N1」は、低圧圧縮機の回転数。通常は、この数値
      をエンジン回転数とする。
      2段目「EGT」は排気温度計。FlightGearでは無視しても、
      特に困ったことは起きない。
      3段目「FF」は、fuel flow(各エンジンの燃料流量計)。
      単位はポンド/毎時。これを見れば燃費が計算できる。
      4段目は、3つのタンクの各燃料計。単位はLbs(ポンド)。
      デフォルトでは、左右が満タン、中央タンクが空になっている。
      本機は「Eqipment」メニューでは、燃料搭載量が調整不能
      だが、「File」メニュー「Browse Internal Properties」を掘り
      下げると、飛行中でも各タンクの搭載量が変更できる。
  右側:最上部の丸計器は、エンジン油圧計。スロットルを開くと
      針が圧力増加を示す。
      (注:以下の計器類は、たぶん作動していません)
      2段目の丸計器は、エンジン油温計。
      その下の、小さいデジタル表示は、恐らくオイル量(%)。
      3段目の丸計器は、まったく不明。
      4段目の丸計器は、恐らく油圧系統の、作動液の圧力計。
      これが低下したら、舵も車輪もフラップも、動かなくなる。
      (実際は、複数の系統に分かれているはずです。雄鷹山の
      JALジャンボ事故で、パイロットが「ハイドロ全部だめ!」と
      叫んでいたのは、これのことでしょう)
      その下の小さいデジタル表示は、恐らく作動液の量(%)。

 …以上、ご参考になりましたら幸いです。
投票数:10 平均点:5.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-11-1 23:02
ゲスト 
●B737-300改良パネル

hideさんに頂いたファイルで早速試してみました。視界良好爽快です。また計器類が大きく見えるファイルでは操縦席の臨場感がより高くなりました。改良方法についても詳細に説明していただいたので時間をみて触ってみたいと思います。
今後もこのような改良がありましたら公開のほどお願いいたします。
投票数:11 平均点:4.55

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-11-13 19:56
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 仕事の多忙が続きまして、ご無沙汰をしております。私の「旅日記」は、鹿児島から松山への最終コースのフライトプランを、概ね作ったのですが、なかなか飛んだり書いたりする時間がなくて、困っています(^^;)。
 ゴール後についても「あそこを飛びたい!」「ここへも行きたい!」と、思いは色々あるのですが、もうちょっと先になりそうで…ごめんなさい。

●737-300のパネルデータを公開へ:
 懸案になっておりました、737-300機のパネル改造データ公開について、tetsuさんにご相談しておりましたところ、先日「送っていただければ、ダウンロード・コーナーで公開できるようにしましょう」との、嬉しいお申し出を頂きました。この書き込みと相前後して、作業のお願いをしておきますので、近く落とせるようになると思います。(tetsuさん、お手数を掛けます。本当にありがとうございます)

 公開させていただくファイルは、
 ・737-ifr-panel.xml(計器配置データ)
 ・737300.rgb(計器盤の画像データ)
 ・eicas.xml(エンジン情報ディスプレーの設定データ)
 …の3つです。

【組み込み方】
 ご使用の前に、まずオリジナル・ファイルのコピーを取って、保存してください。デフォルトの「737−300」フォルダを、丸ごとバックアップしておくと、何かと便利です。

 ・「Aircraft」フォルダの中の「737−300」フォルダを開き、この中の
  「Panels」フォルダにある、737-ifr-panel.xmlと737300.rgbを、
  ダウンロードする新しいファイルに取り替えます。
  その後、機体を再起動すると、コクピットの視界が広がります。

 ・また、エンジン情報ディスプレーの設定データは、なくても操縦に差し
  支えはありませんが、もし燃料計のデジタル表示などが、小さすぎる
  とお感じの場合は、ぜひお試し下さい。
  (一部の文字については、少し表示欄をはみ出していますが、フォント
  が大きくなった分、かなり読みやすくなります)
   組み込み方は、「737−300」フォルダ内の「Instruments」フォルダ
  を開いて、この中にあるeicas.xmlファイルを、新しいものに替えます。

 デジタル計器類の、フォント・サイズを変更する方法は、10月29日付の本連載に詳しくご紹介しましたので、どうぞ参考にされて下さい。では皆様の、快適フライトをお祈りいたします。
 (掲示板は、登録しないと書き込めなくなったのですね。これまでずいぶん、「不規則書き込み」(?)を巡る問題がありましたが、tetsuさん、どうもお骨折りを頂きまして、ありがとうございます)
投票数:7 平均点:7.14

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-11-18 21:00
tetsu  管理人   投稿数: 225
tetsuです。
hideさん、いつもありがとうございます。

hideさんの737-300のパネルデータを公開します。
37-ifr-panel.xmlファイルとeicas.xmlファイルはマウスの右ボタンでクリックし、リンク先を保存を選んでください。
WEBブラウザで開いたものを保存して利用した場合、動作しない恐れがあります。

737-ifr-panel.xml(計器配置データ)
737300.rgb(計器盤の画像データ)
eicas.xml(エンジン情報ディスプレーの設定データ)

【組み込み方】
 ご使用の前に、まずオリジナル・ファイルのコピーを取って、保存してください。デフォルトの「737−300」フォルダを、丸ごとバックアップしておくと、何かと便利です。

 ・「Aircraft」フォルダの中の「737−300」フォルダを開き、この中の
  「Panels」フォルダにある、737-ifr-panel.xmlと737300.rgbを、
  ダウンロードする新しいファイルに取り替えます。
  その後、機体を再起動すると、コクピットの視界が広がります。

 ・また、エンジン情報ディスプレーの設定データは、なくても操縦に差し
  支えはありませんが、もし燃料計のデジタル表示などが、小さすぎる
  とお感じの場合は、ぜひお試し下さい。
  (一部の文字については、少し表示欄をはみ出していますが、フォント
  が大きくなった分、かなり読みやすくなります)
   組み込み方は、「737−300」フォルダ内の「Instruments」フォルダ
  を開いて、この中にあるeicas.xmlファイルを、新しいものに替えます。

 【デジタル計器フォントの、詳しい変更方法】
---- 10月29日hideさんの投稿コピー ----
 まず計器データの格納場所ですが、セスナなどに使われる、一般的な計器類や無線機器パネルは、「Aircraft」フォルダに入っている「Instruments」フォルダにあります。B737-300機の時計やディスプレー類は、この機体だけの特殊なパーツなので、一般的な計器とは別に、Aircraft\737-300\Instrumentsフォルダの中にあります。

 例を挙げますと、737-300計器盤の中央部にある、エンジン関係の表示ディスプレーのデジタル文字を変更するには、Aircraft\737-300\ Instrumentsフォルダの中から、eicas.xml(これがエンジン情報ディスプレーです)を選んで、マウスボタンの右クリックで「編集」を選択すると、内容を「メモ帳」で開くことが出来ます。
 デジタル文字のフォントサイズは、ポイント表示で表されています。そこで「メモ帳」メニュー欄の「編集」から「検索」を選んで、「point」を検索します。「次を検索」を何度かクリックしますと、ポイントサイズを書いた部分が見つかります。
 例えばN1(回転計)は、次のようになっています。

<layer>
<name>Engine[0] N1</name>
<type>text</type>
<font>led</font>
<point-size>4</point-size>

 …私の場合は、この最後の行の「4」という数字を、「6」に変更しており、これでやや文字が見やすくなりました。あまり大きくしますと、どんどん表示欄からはみ出しますので、ご自分の画面表示サイズや好みで、あれこれ試してください。

●737-300の計器について:
 この機会に、737機のコクピットにある、3つのディスプレー計器類の機能について、私が理解している範囲内で、まとめてみました。間違っている点や、私が分からない点をご存じの方は、ご教示を頂けましたら幸いです。

【左ディスプレー】(航法計器など):
  左側:HSI(NAV1のVOR指示器)。
      頂部の「HDG【 】M」は機首方位(Mは磁気方位を示す)。
      赤いバグ(可動式の方位マーク)は、オートパイロット操作パ
      ネルの「HEADING」ノブをクリックすると移動可能。オートパイ
      ロットの進路保持機能が、デフォルトの「Heading Bug」
      モードになっていると、クリックで指定した方角へ旋回する。
  右上:IAS(指示対気速度)計。風圧で対気速度を計る計器。
      大気密度などの影響で誤差があるが、失速速度や制限速
      度など、飛行制御に必要な速度情報は、これで監視する。
      制限速度は320KIAS(ノット単位の指示対気速度)で、これ
      を超えると、機体が壊れる恐れがある。
      (幸いFlightGearでは、画面に警告が出るだけです)
  右下:VOR指示器。針が2つあり、2本棒の針がVOR1。1本棒が
      VOR2。セスナと違い、設定進路からのずれではなく、無線局
      の方向をダイレクトに示すので、たいへん便利。
      2つのVOR局間を飛ぶときは、2本の針が逆方向で一直線
      に重なるように操縦すると、正確なトラッキング飛行が出来る。

【中央ディスプレー】(飛行計器など)
  中央:人工水平儀。機体の姿勢を示す。上部にバンク角の目盛り
      がある。ちなみに、本機には旋回計がないが、アプローチに使う
      200Ktの場合、バンク角を30度にセットすると、ほぼ標準旋回
      になる。
  左側:デジタル昇降計。単位はフィート/毎分。
  右側:デジタル高度計。
  左上:GS(対地速度)計。地面に対する実際の移動速度を示す、
      航法用の速度計。
  右上:DME(VOR局からの距離)指示器。計器盤左下のラジオパ
      ネルにある、一番右下のボタンでVOR1、VOR2が切り替えら
      れるはずだが、残念ながら現在は、VOR2しか表示されない。
      (私の改造パネルでは、センターピラーの根元に、セスナ用の
      DME表示器を追加しましたが、やはりVOR2しか表示せず)
  左下:2列ある緑色表示の上段は、マッハ計。高空・高速では、指
      示対気速度の誤差が非常に大きくなる(例えば、高度3万ft
      で320KIAS出すと、実際の対地速度は400Ktを超える)ので、
      ジェット機では、巡航時などの対気速度を、マッハ数(音速=
      マッハ1)で計ることが多い。
      緑表示の下段は、VOR1の周波数表示。局名もIDで表示
      する。
  右下:2列ある緑表示の上段「RA」は、意味不明。
      (う〜〜〜ん、これには悩んでおります。何でしょうね)
      下段は、VOR2の周波数・局名のID表示。

【右ディスプレー】(エンジン関係・燃料計器など)
  上部:TATという表示は、たぶんtrue air temparature(真気温)
      で、吸気温度計と思われる。ジェットエンジンは、気温が高い
      ほど出力が落ちるので、実機では離陸時に要注意。
  左側:丸計器にデジタル数字が付いた計器群が、4段ある。
      1段目「N1」は、低圧圧縮機の回転数。通常は、この数値
      をエンジン回転数とする。
      2段目「EGT」は排気温度計。FlightGearでは無視しても、
      特に困ったことは起きない。
      3段目「FF」は、fuel flow(各エンジンの燃料流量計)。
      単位はポンド/毎時。これを見れば燃費が計算できる。
      4段目は、3つのタンクの各燃料計。単位はLbs(ポンド)。
      デフォルトでは、左右が満タン、中央タンクが空になっている。
      本機は「Eqipment」メニューでは、燃料搭載量が調整不能
      だが、「File」メニュー「Browse Internal Properties」を掘り
      下げると、飛行中でも各タンクの搭載量が変更できる。
  右側:最上部の丸計器は、エンジン油圧計。スロットルを開くと
      針が圧力増加を示す。
      (注:以下の計器類は、たぶん作動していません)
      2段目の丸計器は、エンジン油温計。
      その下の、小さいデジタル表示は、恐らくオイル量(%)。
      3段目の丸計器は、まったく不明。
      4段目の丸計器は、恐らく油圧系統の、作動液の圧力計。
      これが低下したら、舵も車輪もフラップも、動かなくなる。
      (実際は、複数の系統に分かれているはずです。雄鷹山の
      JALジャンボ事故で、パイロットが「ハイドロ全部だめ!」と
      叫んでいたのは、これのことでしょう)
      その下の小さいデジタル表示は、恐らく作動液の量(%)。
投票数:9 平均点:5.56

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-11-20 13:48
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 tetsuさん、パネルの公開を、大変ありがとうございました! 私の準備不足で、今回は多大なお手数をお掛けいたしましたが、どうぞこれからも、よろしくお願い致します。

 さて、1年に及ぶ私の「縦周り世界一周」は、やっと松山空港に、ゴールインの運びとなりました(^^)/。
 この飛行、最初は去年の10月ごろに。FlightGearを見つけてダウンロードし、恐る恐るC172Pで、サンフランシスコ国際空港の発着に成功した後、「どんなソフトかな。ちょっとマップを見物してやろう。北極点は、ちゃんと飛べるのかな?」と、現在たまたま住んでいる(私は転勤族です)松山を、UFOでフラリと飛び立ったのが始まりでした。

 自宅の上をローパスし、世界地図を広げ、北海道からカムチャツカ経由で、ベーリング海峡を渡り。昔、MSFS2000で立ち寄った、アラスカ北端・バロー岬のウイリーポスト記念空港から、一晩がかりで北極を探検。
 この日は、数々の北極探検飛行の基地として名高い、スピッツベルゲン島(北欧の、はるか北)でセーブしようと思ったのですが、まだAtlasがなくて、ロングイヤー空港が見つからず。「小学生のころ読んだ、レイフ・ハムレの小説『オッター32号機SOS!』によると、スカンジナビア半島北端のトロムセには、ノルウェイ空軍の基地があったはず」と、世界地図帳を調べ、トロムセ市を見つけ。緯度経度を頼りに飛び回り。無事フィヨルドに隠れた、小さな飛行場を発見しました…。

 その後は、掲示板で皆様と出会い。あれこれネットで調べたり、本を買ってみっちり航法の勉強をしながら、ヨーロッパとアフリカ、南米、南極大陸、大洋州、アジアを飛び続け、私の20年近いフライトシム歴でも初めての、世界一周完結を迎えることが出来ました。細かいログは、ニュージーランド以降しかありませんが。ざっと地球儀を見ると、6万キロ近く飛んだかな、という感じです。

     ○

 今回の最終航程では、鹿児島空港から熊本空港を経由し、松山にゴールです。まず鹿児島−熊本間は、航空路に従って、きっちりと計器飛行を実施。また熊本−松山間は、地形を目印にしながら、思うぞんぶん低空を、有視界飛行で好き勝手に飛びました。
 また今回は実機同様、初めて完全に、磁気方位だけを使って長距離飛行をしました。今日はまず、この方位のお話から始めましょう。

●私の航法の基本は、真方位:
 実際の飛行機は、昔は磁気コンパスしか使えなかったこともあり、極地飛行など特殊な例外を除き、磁気方位で飛んでいます。ジャイロコンパスを使う場合も、軽飛行機では磁気コンパスをマスターに使い、定期的にジャイロの読みを、ノブを回して磁気コンパスに合わせています(FlightGearにも一応、この機能がありますが、飛行中にジャイロの指示がドリフトするわけではないので、使わない方が、かえって誤差が出ません)。
 しかし私はFlightGearの中では、これまで真方位を航法の基礎にしてきました。理由と経過は、以下の通りです。

(1)私のパソコン環境では、計器盤のジャイロコンパス(磁気方位)よりも、HUDの大きなコンパス目盛り(真方位)が読みやすいです。そこでFlightGearを使い始めて間もなく、HUDと計器盤を併用する癖が付いてしまいました。(リアリティーは、ちょっと低下しますが)

(2)UFOは電波航法が使えないため、当初は、HUDから緯度経度を読んで、目的地へ進む「ラームライン航法」を工夫しましたが、これにはもともと、真方位しか使いません。

(3)その後アンデス越え以降、南米から南極点を経て、ニュージーランドへの航程は、UFOではなく、ちゃんと飛行機を使ったものの、極地に近い高緯度地帯では、磁気方位を使う航法は、偏差が大きく、また刻々と偏差が変化するため、困難を極めます。そのため引き続き、真方位で旅を続けました。

(4)ニュージーランド到着後は、組織的に航法の勉強を開始し、かなり実際に沿ったフライトプランを書き始めました。
 この時点では、連載をお読みの皆さんが、特別な出費なしに航法を楽しめるように、市販の航空図などは使わない方針を立てました。具体的には、Atlasで通過地点の緯度経度を調べ、フリーウェアの「Virtual E6-B v1.4」で、区間距離と針路を出す方法を確立し、本連載でご紹介をしてきました。
 フライトプランには実機通り、磁気方位による針路も記載しましたが、実際に操縦する際は、HUDコンパスで方位を計り、オートパイロットの針路保持に「True Heading」(真方位)モードを使うケースがほとんどです。従って、真方位さえあれば、一応は航法が成り立つわけです。

(5)しかしながら電波航法は、話が別です。VORのラジアルや、ILS進入に使う滑走路方位、航空路の針路はすべて磁気方位なので、必要に応じて真方位から換算する必要があります。そのため、偏差(例えば偏西○度ですと、真北に○度足すと磁方位になります)を、常にフライトプランに併記し。また必ずVORを使用する予定の区間は、最初から磁気方位を書き込んできました。

 …という次第です。

●磁気方位で飛ぶ:
 いっぽう、長旅を終えて日本領内に戻ってくると。今度は区分航空図など、チャート類を活用し、より実際の航空路に近いフライトプランを立ててみたい…という欲が出てきます。チャート類には、航空路ごとに、距離も方位も掲載されているため、ほとんど計算なしで(!)フライトプランが、すらすら書けます。資料は、すべて磁気方位で書いてあるため、いちいち真方位に換算せずに、磁気方位で飛べれば、これに越したことはありません。

 また磁気方位を使うと、旋回の際も、オートパイロットの「True Heading」欄に方位を打ち込む必要はなく。計器盤のジャイロコンパスに付属した、赤い「OBS」ノブをクリックすれば、機体はそちらに向かって旋回します。
 例えセスナであっても、737ー300並みの「クリック旋回」が可能になるわけでして…いやあ、これを使うと実に、快適ですねえ。
(皆さんの多くは、すでにこの方法で、飛んでおられるのではないかと思いますが。私はオートパイロットを、計器盤から操作することに、特にこだわらなかったので。OBSのこうした使用法を考えず、長い間不便をしました)(^^;)。

 ただしコンパスが小さくて読みにくい、という問題は残ります。そこで今回は、3Dパネルのコンパス表示サイズを大きくしてみました。テストに使ったのは、セスナ310(civillian)です。改造リポートを書きかけていますが、いささか長くなりますので、改めて本連載で、ご紹介をいたします。

 さて。それではお話を、松山への飛行に戻しましょう。
今回の使用機も、セスナC3103Aw.3Dコクピット機です。オリジナルの米軍塗装は、自家用機には不似合いなので…だいぶ前に胴体と尾翼などを朱色、主翼を白に塗り直し、この旅でアンデス横断以降、もっともたびたび使った、わが愛機です。(以前「マイアルバム」でご覧に入れたときは、キャビンが紺色のままでしたが。その後「GIMP」を入手してから、さらに塗り直しています)
さあ、もう一頑張り、飛んでくれよ。


■鹿児島から熊本、松山へ■(コンパス偏差=偏西5.5〜6度)
◎鹿児島空港(NDB=201)
   ▼離陸後旋回し、同空港「加治木VOR」上空へ戻る。
★加治木VOR(115.70)2500ft以上で通過。
   ▼ラジアル280degに定針。
△ISAMIフィックス(鹿児島VORラジアル001との交点)
   ▼鹿児島VOR(113.30)ラジアル001に乗る。
△HNAGフィックス(鹿児島VORから42nm)通過。
   ▼ラジアル001維持。
★熊本VOR(112.80)ラジアル70との交点を、6000ft以上で
  通過。
   ▼熊本ラジアル70に乗る。
△MISMIフィックス(熊本VORから12nm)を4000ftで通過。
   ▼さらに熊本ラジアル70上を降下。
◎熊本空港(ILS-109.30)にILS進入。
   ▼77.8度12.8nmを維持。 以下はVFRフライト。
△阿蘇・中岳(N32.52.55-E131.06.13)通過。
   ▼343度6.8nm
△阿蘇・外輪山の「大観望」(N32.59.27-E131.03.54)通過。
   ▼44度8.2nm
△久住山(N33.05.22-E131.13.43)
   ▼71.8度で25nm飛行。
★大分VOR(112.10)N33.13.12-E131.42.09
   ▼062degで62nm飛行。
★松山VOR(116.30)N33.48.46−E132.43.03を受信。
◎松山空港(RWY137-317deg)に非精密進入。

 天候は、低空のみ薄曇り。北東の風約5Ktの飛行日和です。これから使用する4つの周波数をプリセットし、鹿児島空港を北へ離陸。定期便と同様に、滑走路末端から1分間直進し、右上昇旋回に入ります。
(私は大昔、鹿児島市で勤務経験があり。桜島の噴煙や降灰、種子島や内之浦のロケット打ち上げなど、思い出がたくさん。懐かしいです)(^^)。

 …大きく円を描いて、空港にある「加治木VOR」上空に戻り。磁気方位280度を取る予定のところ、少し北へそれたため、左へ10度補正して西進。まもなく280度ラジアルに乗りました。眼下の加治木・溝辺地方は雲に沈みましたが、どうせ計器飛行ですから、ノー・プロブレム。今飛んでいる出発コースは、間もなく通過するイサミ・フィックスにちなんで、「イサミ1ディパーチュア」と呼ばれます。

 8nmほど飛んだところで、鹿児島VORのラジアル001度と会合。ここがイサミ・フィックスです。ジャイロコンパスを「X」キーで拡大表示し、OBSノブをクリックして001度に変針し、北へ。間もなく巡航高度の7500ftに達しました。このコースは、はるか福岡VORに続く、計器飛行のハイウェイ。その名も「フクオカ・トランジション」と呼ばれています。
 無風に近いので、針路の補正は楽です。VOR1指示器のCDI(コースからのずれを示す、中央の指針)は、ぴったり中央。どの計器の示度も正常。雲上をどんどん進むと、順調な飛行ぶりに、
           「僕の臣下は、みんな従順だ…」
 …というサンテグジュペリの、夜間飛行中のつぶやきを思い出しました。

 やがて、HNAGフィックス(鹿児島VORから42nm)を通過。もうすぐ熊本VORのラジアル70をインターセプトして、熊本空港の滑走路に正対します。高度処理が遅れるのはいやなので、早めに4500ftまで降下しました。
 さあ、熊本VORを受信。ラジアル70をインターセプトし、ミスミ・フィックスを通過して降下する進入経路、「ミスミ・サウスアライバル」に乗りました。薄い雲海がせり上がってきます…大きな市街地…熊本市だな。熊本と言えば大昔、業界の寄り合いで、細川護熙氏に話を聞いたことがありますが…まだ彼は県知事でしたっけ。断雲に交じって、遠い追憶が、足元を駆け過ぎて行きます。
 ILSをクリアに受信。PAPIの白い灯が…見えたっ! いい着陸をしました。

     ○

 一服して、熊本を離陸。
こっから先は、かつて九州に約10年暮らし、対岸・愛媛の地理にも、子供のころからお馴染みの私には、「チャートなんか、いらないぜ!」というコースです。最後の区間は、精密な推測航法でキメよう、とも思ったのですが。ここはVFRフライトで、思い切り遊ぶことにします。

 コースを磁気方位約80度に取って、阿蘇の外輪山に進入。もやを突いて立ちはだかる、中岳に突進。草千里の上空を乱舞し、何度も火口直上を旋回。(このへんは実世界でも、ヘリコプターで飛んだことがありますが、爽快な気分はシミュレーターでも、ほぼ同じですね)
 やがて機首を北に向け、外輪山の観光地・大観望へ(余談ですが、ここはラジコン・グライダーのメッカで。見物していると飽きません)。実世界では展望台があるあたりから、有料道路に沿って東へ。あとは学生時代に、東京−鹿児島間のバイク・ツーリングで楽しんだ「やまなみハイウェー」に沿って、大分県の久住山系へ。低空で、由布岳周辺をかすめた後、別府市街地に降下。このへんの地形は、なかなか実世界に似ています。(夜間飛行で、なだらかな後背地の山へと広がる、街の灯が見たいですね)
 海岸沿いに、大分市まで駆け抜けた後、針路約60度で豊後水道へ。もやの上をぐんぐん低空で這っていくと、右手にぼんやりと、佐田岬半島を目にしました。いよいよ愛媛県! ゴールは近いぞ。

 松山VORを受けているNAV2は無視し、まるで車を運転している感覚で、海岸に広がる伊予市の沖合を通過。もやの向こうが、我が家です。あっ、あれは重信川。その向こうの、天橋立みたいなのが、松山空港の滑走路です…やったあ。世界一周、初めて完成です。

     ○

 ここが城山、このへんが県庁。あっちは道後の温泉街。市街地の上を飛び回っているとしかし、残念ながら少々、興奮が冷めてきました。

 出発時に後にした松山市街地は、マップがVer.0.9.8でしたが、もっと地形の描写が精密でした。沖に浮かぶ興居島(ごごしま)のたたずまいとか、三津の漁港の入り江とか、ちゃんと細かく再現されていたのですが。Ver.0.9.10のマップは、かなりデフォルメが進んでおり。いささか直線的な描写が、増えてしまいました。
 これは以前からかどうか、忘れましたが。松山空港もILSや、最終進入開始点のNDBが省略されており、VORだけ。3Dの管制塔なし。周波数はタワーだけでATISなし。うーーーん、県庁から20分足らずの場所に、ジャンボが降りられる3000m滑走路があり、風光明媚な、いい空港なんですがねえ。ここをホームポートにする私としては、ちょっと残念です。

 海からVFR周回コースに入り、100Ktで進入。そっとタッチダウンし、誘導路からエプロン(狭すぎるぞ!)に入ってエンジンを停止。コクピットから最後に振り返ると、もやを被った四国山脈だけは、なかなか本物らしく見えました。
 一休みしたら…さて次は、どこを飛ぼうかな?

     ○

 FlightGearの素晴らしい日本語フォーラムと、本連載をご愛読頂きました皆様に改めて、心から感謝を申し上げます。お差し支えなければ、本連載はさらに続きます。以前のような、毎週書き込みは難しいかも知れませんが、どうぞ皆様、今後とも、よろしくお願い申し上げます。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-11-20 19:29
ballon  常連   投稿数: 16
hideさん。こんばんはballonです。

私の感想です。hideさんはリンドバーグのような方ですね。
私の知識ではなかなか理解することが困難な高度な内容ですが、飛行機シュミレーションは始めての私にも大変刺激になり、わたしの知らない世界を教えていただいたと思っています。今後も期待しています。では。
投票数:7 平均点:7.14

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-11-28 22:12
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。ballonさん、お励ましをありがとうございました。少年時代から憧れた、リンドバーグを持ち出してくださるのは、赤面の至りですが大感激です(^^#)。

 さて、世界一周を終えて、ちょっと落ち着いたところで、今後はどんな飛行機を使おうかな、と考えています。
 今回の旅で、最も多く使ったのは、双発セスナC310の米軍仕様、C310U3Aw(3Dコクピット)です。視界も良く、たいへん使い勝手のいい飛行機ですが、巡航速度が144Ktしか出ないのが残念。もっと高速の小型機が欲しいところです。

●私の理想とするFlightGear機:
 …ちなみに、私が欲しいのは、次のような飛行機です。
(1)機体サイズ:
 自家用機と呼べる規模の機体。(長距離には、臨時に737-300も使うと楽しい旅が出来そうですね。常用機にはサイテーションも速くて魅力的ですが、私のパソコンには重すぎて残念です)
(2)操縦装置:
 オートパイロットが使えること。(例えば…Aerostar super700は、素晴らしい速度・上昇性能を持ち、愛用したい軽双発機ですが、なぜかオートパイロットは無効です)
(3)航法装置:
 VORやNDB、ILSが使えること。(AtlasとGPSさえあれば、地球上どこにでも行けますが、航法の面白さは激減します。この意味では、大部分の軍用機や曲技機は、あまり長距離飛行に向きません)
(4)コクピット視界:
 めいっぱい視野が広く、出来れば後ろも多少は見えること。
(5)離着陸性能:
 少々短い滑走路も使え、着陸時の修正操縦が楽なこと。
(5)巡航速度:
 速いほどいいです。出来れば200nm以上。
(6)航続距離:
 長い方ほどいいです。最低でも1200nmくらいは。
(7)最高高度:
 30000ftまでは昇りたいですね。(いま漠然と思い描いている、次の大旅行では、かなり高々度まで上がる場面も想定されます)
(8)フライトモデル:
 現状ではjsb。(以前はyasimの方が、旋回の特性が自然で好きでした。ただしyasimはsaveが利きませんし、マイナスGを掛けた場合、ピッチ方向の挙動が不自然になります)
 …しかし、こんな機体がそう簡単に、あるかなあ。

●まずは、C310civilianを改造:
 取りあえず、C310シリーズの馬力アップで何とかならないか、と思いまして。C310U3Awの原型機で、よりスマートなC310civilianを選んで改造しました。巡航速度を、約1.5倍の210Ktにするのが目標です。参考書によりますと、空気抵抗は速度の2乗、必要馬力は速度の3乗に比例します。速度を1.5倍にするには、出力を公称の260馬力から、1.5の3乗=3.375倍にあたる、877馬力にする必要があります。

 実際に、Aircraft\c310\Engines\engIO470D.xmlを開いて、出力を877馬力に書き換えると、確かに200Kt巡航が可能になりました。あり余るパワーで、離陸直後は機首を抑えてもドンドコ上昇します。実際…滑走路の末端上空で、連続宙返りが打てるほどです。
 ただし。強度上の制限速度(223Kt)を超えると、空中分解はしませんが警告が表示され、舵も重くなります。またパワーアップ後はオートパイロット使用時に、ますます不安定になりました。色々な意味で200Ktあたりが結局、C310の限界なのでしょうね。
 さて、もっと面白い機体はないものでしょうか。

●おとなしい「荒馬」、ブロンコに着目:
 松山空港で、色々な機体を試しましたら、ほとんど操縦したことのないOV-10ブロンコが、非常に面白い飛行機だと分かりました。癖がなく、とても操縦しやすく、ターボプロップのため高性能です。
 VOR/ILS指示器が1個あり、FlightGearの軍用機としては珍しく、一応は電波航法が可能です。視界はジェット戦闘機や小型ヘリ並みによく、巡航速度も194Ktと高く、航続力は1240nm(いずれも実機データ。実現には改造が必要な場合も)。私の「わがまま理想スペック」を、ほぼ満たす可能性が出てきました。凄い機体を、これまで見逃していたわけで、これはじっくり、テストしてみる値打ちがあると思いました。

 OV-10はCOIN機と呼ばれる、対ゲリラ戦用の軽攻撃機です。実機はベトナム戦争で、ジャングル上空を低空で飛び、北ベトナム軍を見つけてはロケット攻撃でマーキングし、戦闘爆撃機を誘導するFAC(前進航空統制)任務などに就きました。
 FlightGearのモデルは、NASAと軍用仕様(どこが違うのか不明)、カリフォルニア消防隊仕様の計3種。前2者は武装しており、胴体下の兵装ラックに、Mk82爆弾2発と7.62mm機関銃ポッド2挺、250gal入り増槽を吊り下げています。マスター・アーム・スイッチをオンにして、兵装スイッチの2番と4番を「drop」に入れると、スペースキーで爆弾投下(!)が出来ます。潜在的には、機銃の発射機能も持っているようですが、現状では発砲は出来ません。また計器盤の赤ボタンを押すと、胴体下の無粋な装備類を、まとめて緊急投棄することが可能です。

●離陸時に直進する、ブロンコの秘密:
 この飛行機で驚いたのは、まずプロペラ機独特の、離陸滑走時の蛇行現象が起きないこと。B737-300よりも安定して、ひたすら直進するのです。
 不思議に思ってエンジンを止めると、プロペラは左右で逆ピッチになっていることが判明。右エンジンは左回転、左エンジンは右回転する設計です。そのため、あとにご説明するような、プロペラの操縦性への悪影響が左右エンジンで打ち消し合い、恐ろしく素直な操縦性になっているようです。
 この左右逆転は、本来は被弾で片肺になった場合も、安全に飛べるよう配慮した設計だと思われます。ちょっとご説明させていただきましょう。

 まず、プロペラ双発機固有の弱点からお話を進めます。
普通の機体では大抵、プロペラは右回転です。すると、例えばエンジンを急に全開して、かつ機首を引き起こした場合…機体は、プロペラのトルク反動で左に傾斜しつつ、しかもジャイロ効果とPファクター(プロペラ・ピッチ角の影響で、推力が左右不均等になり、機首が振れる現象)により、機首を左に向けようとします。
 仮に右エンジンが停止した場合、推力アンバランスのため、機体には強い右旋回モーメントが発生しますが、今お話ししたプロペラの力学によって、旋回モーメントが多少は相殺されるため、パイロットが左方向舵を踏み込んで修正すれば、安全に飛び続けることが可能です。
 しかし左エンジン停止時は、前記の現象が左旋回を助長するため、機種によっては左スピンに入り、墜落する恐れがあります。こうした「止まっては困る側のエンジン」のことを、クリティカル・エンジンと呼びます。(日本の機体では不幸にも、三菱重工の名機・MU−2にこの傾向が見られ、国内外で左エンジン停止時の墜落例があります)

 エンジンを左右逆転に設計しますと、主要パーツやプロペラが2種類必要になり、コストは掛かりますが、クリティカル・エンジンというものが存在しません。大戦中の双胴戦闘機・ロッキードP-38もこの方式だったと思います。FlightGearでは、わざと1発止めない限り、まず片肺飛行はあり得ません(操作ミスや燃料切れなら、必ず左右一緒に止まる)けれど、お陰で非常に離陸しやすい機体になりました。逆転プロペラを忠実にモデル化してくれた、デザイナーに感謝したいです。

●厚木基地まで、テストに出かける:
  OV-10は、やはり米軍基地で飛ばす方が気分が出ます。航法関係のテストには、空港や無線施設の密度が高い、南関東が便利だと思い、厚木基地を選びました。先日の改造で視界が良くなった、737-300で松山空港を飛び立ち、なるべく実際のエアラインに近いコースを飛んで、羽田空港へ。後はセスナC310civilianを使って、厚木基地に移動することにします。

 松山-羽田のフライトプランは、次の通りです。区分航空図や進入コースマップを使うと、記載された磁気方位や周波数、区間距離を、そのまま転記するだけですから、ものの20分ぐらいで、サクサク仕上げることが出来ました。

■松山から羽田へ■(使用機:737-300)
(以下「deg」は、磁気方位の「度」のことです)
◎松山空港
   ▼「マツヤマ・リバーサル2ディパーチャー」
   (270degで15nm以内左旋回)
★松山VOR(116.3)6000ft以上で通過。
   ▼「コウチ・トランジション」(115deg51nm)
★高知VOR(113.7)
   ▼「V37」航空路(99deg106nm)
★串本VOR(112.9)
   ▼「W27」航空路(73deg195nm)
★大島VOR(113.1)
   ▼「W27」(94deg14nm)
△SPENCER
   ▼「W27」(055deg42nm)
★御宿VOR(115.7)
   ▼以後は「アサヒ・サウスアライバル」。
    (333deg24nm)
△SOGA
   ▼(333deg6.5nm)
△MESSE 左旋回開始点。4000ft以上で通過。
   ▼
△ASAHI 旋回の途中。3000ft以上で通過。
   ▼(271deg8nm)
★江東VOR(115.0)
   ▼
◎羽田空港(RWY22=224deg ILS=111.7)

 …松山空港のRWY32(317deg)を離陸し、すぐ左に上昇旋回して、空港VORのアウトバウンド・ラジアル270deg(磁気方位)をインターセプト。12nmほど西に進出し、左にベースターンを打って、空港VORのインバウンド・ラジアル270degを受信しながら、空港まで戻ります。高度を上げつつ、空港VORのハイステーション(真上)を通過、ここを航法上の出発点とします。これは「マツヤマ・リバーサル2」と呼ばれる出発方式です。

 松山上空からは、高知VORに直行する「コウチ・トランジション」に乗ります。VOR指示器を115度に合わせ、51nmで高知空港上空です。雲海の上を快調に進み、高知VORから航空路「V37」に乗って、紀伊半島の串本へ。
 すでに高度は30000ftです。この高度では320KIAS(指示対気速度320Kt)でも、パネルの「GS」(対地速度)計器が指す実速は、480Ktを超えます。途中で20000ftまで降りてみますと、対地速度は420Kt付近まで低下しました。そのぶん、燃費も悪くなるわけで、やはりジェットライナーは、高空を飛ぶべきですね。

 串本から「W27」航空路に乗り、伊豆・大島VORへ直行。大島VORのアウトバウンド・ラジアル94degに乗り、14nm進むと「SPENCER」というフィックスを通過します。ここは房総半島・御宿VORのラジアル055degとの交差点。ここからラジアル055に乗り、御宿VORへ。そろそろ高度を落とします。
 御宿からは、「アサヒ・サウスアライバル」と呼ばれる、羽田空港への進入コースをたどります。房総半島を北進しながら、どんどん高度を下げて…ここで実は、少し勘違いをして、一時かなり西寄りを飛んでしまいましたが…幕張メッセ沖の「MESSE」フィックス(御宿から333deg約30nm)を4000ftで通過。200Ktまで減速し、フラップを徐々に下げていきます。MESSEから左旋回に入り、フィックス「アサヒ」を通過し、271degで江東VORへ。
 このあたり、いかにも都心を避けて海上を飛んでいる、という感じですね。ジェット機で、こまごまと旋回を重ねるのは気が重いですが、スムーズに回れるよう、旋回開始点の配置などには、配慮が行き届いたコースだと感じました。

 実機なら、東京ディズニーランドが見えるあたりですね。この区間で、すでに羽田RWY-22のグライド・パス(2種類のILS電波のうち、高度を示す方)を捉えていますので、オートパイロット・メニューの高度保持を「NAV1 GlideSlope」にセット。飛行機任せで、ゆるやかに降下しながら150Ktに落とし、江東VORで左旋回。滑走路に正対し、オートパイロットの針路保持を「NAV1 CDI Course」に入れ、140Ktで自動進入。滑走路脇のPAPI(進入角度灯)が、どんぴしゃりの降下角を告げています。

 私は、ジェット機の接地時にバウンドする癖があるため、今回は滑走路手前から、正規のパスよりも低めに進入し、エンジンを増速して降下を抑えながら、滑走路に浅く近づく経路を飛びました。(故・坂井三郎氏は、こうしたパワーによる高度維持・低角度進入法を「エンジンで吊る」と表現しましたが、まさにそんな感じです)
 これはうまく決まり。いつ接地したか、自分でも分からないような、滑らかなタッチダウンになりました(^^)。

■羽田から厚木へ■(使用機:C310civilian)
◎羽田空港
   ▼255deg16nm
◎厚木基地(NDB 265)

 有視界飛行でマニュアル操縦し、あっという間の到着です。さて、次回はブロンコを徹底テストします。
 時間が許せば、自家用機仕様に改造してみたいものです。塗装を変えるほか、旅には無用の機銃ポッドと爆弾を降ろして、補助燃料タンクを増やすとか、あれこれ工夫の余地がありそうで楽しみです。
投票数:23 平均点:3.48

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 先日から暇を見ては、厚木基地周辺を飛び回って、少しずつOV-10ブロンコのテストをしています。この秋から冬は、しらみつぶしに性能試験をする時間がないので、「ちょい乗り」をしては、気に入らない個所に手を入れる程度ですが、まずはご報告をさせていただきます。

 ブロンコは、飛行性能の本格テストや熟成が楽しみですが、後でご紹介しますように、航法計器の設計も優れています。しかし航法装置全般としては、モデリングが未完成で、使いづらい面もあります。また説明書が一切ないため、使用法がよく分かりませんでした。そこで最初は、まともに電波航法が出来るのか、いささか心配になって、ブロンコの研究と並行して、以前から進めているセスナc310civilianの、さらなる性能アップを試みました。

●揺れを抑える、各種のダンパー効果:
 c310は、巡航の144Ktでは安定していますが、倍速モードを使ったり、パワーアップして200Ktくらいで巡航を試みると、オートパイロット使用時に、極めて不安定になります。ロール(左右傾斜)方向の揺れと、ヨー(左右首振り)方向の揺れが連結して、どんどん動揺が激しくなり、最後には横転して機首を下げ、錐もみに入ります。これを何とかしたいと、前から思っていました。
 xmlファイルには、舵の効きなどと共に、ロールやヨー運動にブレーキを掛ける要素、つまりダンピング・レートが、必ず書いてあるはずです。この数値をいじれば、解決するのではないか…。

 そう思って、初めてc310.xmlのフライト・コントロール関係をにらんでいたら、ありました。
818行目に、<description>Roll_moment_due_to_roll_rate_(roll_damping)</description>というのがあって、その下の825行目の数値を変更すると、確かにロールの減衰率が変化します。
 ヨーやピッチの減衰率も調整可能です。そのほか、ラダーの効きに応じてエルロンの効きを増減させるとか、3舵+フラップ相互の作用がさまざまにプログラムされており、改めて飛行機の運動とは、極めて複雑なものだと思いました。

 jsbモデルの動揺は、ロール方向の動きが目立ちますが、これを抑制するには、同時にヨーの減衰率を増やすのがコツです。ちょっと数値を変えただけで、jsb機の旋回時に特有の、あのブランコのような、ゆらゆら運動が姿を消し、たいへん驚きました。

   「急に、素直になりやがったぜ!」(「紅の豚」より)

 …と、私は思わず歓喜の叫びを上げて。さっそく高速オートパイロット飛行を試したのですが、かなり調整をしたものの、結局c310を200Ktで安定したまま自動飛行させるのは、相当難しいことが分かりました。
 しかし、これらのレートを調整すれば、jsb機体の操縦の味を、繊細に料理することが出来ます。皆さんも一度、取り組まれてはいかがでしょうか。

 こんなことを実機でやったら、例えば舵の面積を変えるのには、再設計と製作に、凄いコストが掛かるでしょうね。操縦系統のレバー比などを、ちょっと変えるだけでも、かなりの手間。数字を打ち直すだけで実験を重ね、墜ちても平気なシミュレーターとは、つくづくありがたいものです。

●ブロンコの航法システムなど:
 改めてOV-10を飛ばしてみますと、素直な操縦性を始め、セスナにはない装備や仕様に感心します。

 まず、推力関係ですが。
この機体のプロペラはアイドリング中、ピッチ角がゼロになっています。そのため、パーキング・ブレーキを掛けなくても、クリーピングが起きません。また降下時に、スロットルをアイドルまで絞ると、プロペラの抵抗がエアブレーキとして働き、効率よく高度を殺すことが出来ます。(ただし低空に降りた後は、しっかりスロットルを開けないと、ベース・レグを回る間に失速します)

 次は、航法システムのお話です。
ブロンコは本来、低空を駆け抜けて、着弾観測や銃撃・爆撃をする飛行機です。軍隊以外では、森林火災の監視などに使われるようです。ミッション中、パイロットの目は地上に釘付けで、あまり計器盤を見ている余裕はありません。
 そこで航法計器は、(少なくともFlightGearでは)たった一つ。ジャイロコンパスにVOR/ILS指示器とADF指示器を組み合わせた、いわゆるHSI(ホリゾンタル・シチュエーション・インジケーター)に、DME(無線施設までの距離計)を内蔵しており、さらにセレクターには、TACANの受信モードもあります。
(注:TACANとは戦術航法装置=VORの軍用版。民間機は距離情報のみ受信可能。FlightGearの世界でも同じです)

 このHSIは、見かけは中央にCDI(コースのずれ指針)があって、セスナなどのVOR1指示器とそっくりですが、方位盤の外周に、白いバグ(小さな指針)が設けられているのが、最大の特徴。このバグはVOR局、NDB局、ILS局の方角を、ダイレクトに示します。
 セスナなどのVOR指示器は、ベアリング(あらかじめ設定したコース方位)から、どれだけ左右にそれているか示すことが第一で、「VOR局が一体、どっちにあるか」は、分かりにくいですね。このバグがあれば、例えば旋回降下中に視界を切り替えなくても、滑走路(ILS局)のある方角が一目で分かり、極めて便利です。

●使えない機能も…:
 しかしながら、FlightGear版ブロンコのナビ・システムは、まだまだ未完成です。HSIの真下の航法パネルには、

・ベアリング・セレクタ:VORやADFなどの切り替え。
・モード・セレクタ  :多分オートパイロットの
            針路保持モード選択。

…の二つがあるのですが、前者をTACANにあわせても、実際は受信できませんでした。一瞬期待したのですが、肩すかしを食いました。また後者は、クリックすると回転はするのですが、実はスイッチ自体がダミーのようです。なにしろ説明書もないため、私は最初のうち、すっかり混乱してしまいました。

 文句は、まだあります。HSIの赤い「ヘディング・バグ」をクリックで動かすと、普通はオートパイロットの針路保持機能のうち、もっともベーシックな、磁気方位を使う「Heading Bug」モードと連動し、バグを合わせた針路へ旋回するはずですが、作動しません。そもそも、この「Heading Bug」モード自体が、正常に機能しません。オートパイロット・メニューから方位を打ち込んだ場合でも、設定針路を無視して、同じ場所で旋回を続けます。
 となるとオートパイロットは、「True Heading」(真方位)モードでキーボードから数値を入れる必要があります。この数値は、航空図に書いてある磁気方位ではダメで、いちいち真方位に換算しなくてはなりません。ついでに言えばHSIが、狭い計器盤の中央・最下段にあるのも、見にくくて不便です。

●コクピットの改造:
 あれこれ、腹は立ったのですが、せっかく大きな可能性を秘めた飛行機なので、何とか使いこなしてやるぞと、決意も新たに。まず風防正面にある、射撃照準器(スイッチを入れなければ透明ですが、周囲の枠が邪魔になります)を取っ払い。低くて見えにくいHSIを、風防ガラスの最下部まで持ち上げました。

 ブロンコのパネル関係ファイルは、2Dパネルをベースとした、セスナ系や737と勝手が違っておりまして、改造には、かなり試行錯誤をしました。まず照準器は、Aircraft\OV10\Models\USAFE\Instrumentsフォルダの中にある、gunsight.acを開き、最初の1行「AC3Db」を残して全文削除。これで、前方視界はクリーンになりました。次にHSIの位置変更は、Aircraft\OV10\Models\USAFEフォルダの中のov10.xmlファイルを開きます(同じ階層のNASAフォルダに、同名のファイルがありますが、これではダメです。USAFE機のファイルが、NASA機も制御しています)。このファイルのHSIという項目の真下にある、43行目からの3行…

<x-m>-3.04</x-m>
<y-m>0</y-m>
<z-m>0.062</z-m>

…の<z-m>の項目が、3Dパネルの場合、垂直軸の座標を示します。この数値を変更すると、計器が上下に動きます。この書き込みにある数値は、すでに変更を加えたものです。同様に、そのすぐ後にあるnavpanel.xmlの項目(これが、2つのセレクター・スイッチのパネル)も、

<x-m>-3.001</x-m>
<y-m>0</y-m>
<z-m>-0.024</z-m>←ここを変える

…と変更します。

 HSIとスイッチパネルには、ホットスポット(クリック用の透明ボタン)がたくさんあります。Aircraft\OV10\Models\USAFEフォルダの中の、panel-hotspots.xmlで位置が変更できます。
(全部書き出すと、かなりの分量ですので、今回は省略させていただきますが、ファイルをご希望の方はどうぞ、flightgear-hide@mbr.nifty.comまでメールを下さい)

●武器よさらば:
 例えば、スピットファイアやP-51D。ああいう、騎士のように端正な飛行機でしたら、FlightGearの平和な空にも似合いますが、ブロンコは「ベトナムの殺し屋」といった風情で、ちと凄みがありすぎます。そこで腹の下に吊ったバクダンと、ロケット・ランチャー(前回、機銃ポッドと書いたのは間違いでした。ごめんなさい。機銃は固定装備です)を外すことにしました。中央の流線型の物体は、230galも入る補助燃料タンクなので、ありがたく残しておくことにします。

 ov10.xmlファイルの258行目、**** External Stores **** というただし書き以降には、<model>というカッコで前後をくくった、各8行の項目が5カ所あります。このうち、

 ・lau68-left.xml(ロケット・ランチャー)
 ・lau68-right.xml
 ・mk82-right.xml(爆弾)
 ・mk82-left.xml

 …を含む最初の4項目を、それぞれ前後にある<model>ごと全文削除。最後にあるtank230gal.xmlを含む項目は、さきほどの落下タンクですので、そのままにしました。

 最後に、機体外装を純白に全塗装。コクピット後方に、プロペラ回転面への注意を促す、派手な赤線が入っているのが、いいアクセントになります。コクピット両サイドにも赤で、大きく「J-HIDE」のロゴ(「J」+4文字は、戦前の民間登録符号のまね)を入れ。お腹の落下タンクも、真っ赤に塗って完成です。

 タンクのテクスチャーが、どこにも見つからなくて、かなり悩みましたが、tank230gal.acファイルの冒頭付近に、rgb3原色のブレンド率を、数字で表した記述が見つかりました。先頭の数字がレッドでしょうから、これを0.9まで上げ、他のグリーンとブルーを、それぞれ0.0にしましたら、ちゃんと鮮やかな赤になりました。

●燃料どっさり、貨物も人も…:
 FlightGear版・ブロンコの兵器類は、実際はすべて燃料タンクとして機能します。コクピットのスイッチを入れると、兵装ラックから実際に、エンジンへ燃料が回ることを確認しました。それぞれ、燃料が20galくらいしか入らないのですが、ファイルを書き換えると、大きな落下タンクの複数搭載も可能です。
 ということは、必要に応じて、機体の搭載能力のリアリティーを保ったまま、かなり大量の予備燃料が積めるわけで…非常に面白い「長距離自家用機」に育つ可能性が見えてきました。

 実機は狭い胴体後部に、6人の空挺隊員を詰め込むことが出来ます。座席をたためば、担架を積んだり、軽輸送機としても使えるそうです。FlightGearでも、よく見ると胴体内に、ちゃんと6つの簡易座席が再現されています。「殺し屋専科」かと思ったら、「空飛ぶミニバン」の顔も持っているのですね。

     ○

 航法装置については、一日も早い完成を望みます。ただし現状でもVOR、ILS、ADFが使えますし、もちろんVORのホーミングなども、オートパイロットで可能です。
 オートパイロットの、針路保持機能とのリンクの悪さも、ショートカットキーの多用などで、ある程度はカバーできます。HSIを高い位置に上げましたので、デフォルトの正面視界のまま、Xキーのひと押しで、コンパス・カード(方位盤)をめいっぱい、拡大表示することができます。これは磁気方位で針路を表示しますから、これを頼りにマニュアル操舵で、機首を精密に目標の方位に向け、ctrl+Wでウイング・レベラーを掛ければ、手で方位を入力する必要はありません。

 あとは、高度別の最高速と上昇率のチェックとか、ベスト燃費の高度・速度を見つけるなど、試したいことはたくさんあります。またブロンコは、VORを同時に一つしか受信できないので、計器飛行に欠かせない中継点であるフィックス(通常は、2つのVOR局からの電波の交差点)を見つけるのが、かなり困難になりますが…さて、どうするか。まあ課題も幾つかあります。
 このあたりは、実際に航法をやって、生のデータを取らない限り、よく分かりません。操縦系統の調整などもしながら、そろそろ国内を飛び回ってみましょう。
投票数:14 平均点:6.43

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-12-13 0:06
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 少々、風邪をこじらせてしまいました。皆さんはお元気でしょうか。
最近は、ballonさんが航空機改造工場と化して、素晴らしいリポートをせっせと発表しておられますので…私も懸案の、OV-10ブロンコの改造ルポをそろそろ、まとめに掛かりたいと思います。

 その後のブロンコの調教ですが、やっと一段落しまして。だいぶあちこち、思い通りになってきました。主な成果は…

(1)安定性の問題を解決。
 オートパイロット使用時、200〜250Ktの速度域(巡航から最高速)では、機体が不安定になる問題を、何とか解決しました。
 さらに2倍速でも、25000ft以上の高空を除けば、ぴたりと安定したオートパイロット巡航が可能に。つまり実質的には、737-300で3万ft以上を飛んだ時と同じ、対地速度400〜500Ktで目的地をめざすことが出来るわけで、長距離飛行が楽しみです。
 (しかも低空なので、景色がよく見えます)(^^)/

(2)長距離飛行用の燃料を確保。
 本機は思ったより燃費が悪いし、プロペラのピッチやエンジン調整で、燃費を改善する方法がありません。そこで機内燃料を3割増して、実機通りの容積に修正し、デフォルトで満タンとしました。また機外に吊るす補助燃料タンクは、様々な理由から1本のままにしましたが、容積を3本分に拡大。これを満タンにした場合は計算上、実機通りの航続距離約1200nmを確保しました。

 さらに補助タンクを満タンにするか、空にするかは、機体選択メニューで選べるよう工夫しました。(ブロンコには、USAFE仕様、NASA仕様、カリフォルニア州消防隊仕様の3機種があります。USAFE機とNASA機は実質的に、外観も装備も性能も同じですが、前者を選ぶと補助タンクが満タンに、後者を選ぶと空になるよう、設定しました)

(3)実機並みの速度性能を確保。
 スペック通りの最高速が出なかったため、エンジン推力を25%増やしました。(結果的には実機より、約10Kt速くなりました)

(4)航法計器を充実。
 念願の、VOR2指示器を計器盤に追加。2つのVOR局を、同時受信しながらの計器飛行を可能にしました。(これにはかなり、試行錯誤をしました)

(5)一部計器を拡大表示。
 旧来のHSI(コンパス兼VOR1/ADF/DME指示器)も、読みやすいように拡大表示しました。(これも結構、工夫が必要でした)

 …という次第です。結果的には、かなり私の希望に近い機体に仕上がりました。近くtetsuさんにお願いして、改造ファイル一式を、ダウンロード・コーナーに加えてもらうつもりです。
 あちこちいじったため、関係ファイルは計7個あります。同名のファイルが複数あるため、確実に区別できるよう、一部は別名でアップすることにしました。以下が、ファイル名や機能などの一覧です。
(tetsuさんが、ダウンロード・コーナーに登録してくださる場合の説明文としても、そのまま使えるよう、ファイルごとにまとめました)
なお今回の公開分は、機体外装のペイントデータを含んでいません。

     ●

 では、アップロード・ファイルのご説明です。
【OV-10のhide改造ファイル:1】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\OV10.xml
アップロード名=「飛行制御OV10.xml」
ファイルの役割=主要な飛行性能や、燃料タンク容量などを制御。
改造による効果=オートパイロット使用時の安定性が、劇的に向上。
           機内燃料タンクも、正規の容積まで拡大。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、名前を本来の「OV10.xml」に変更し、前記のC:\FlightGear\data\Aircraft\OV10フォルダ内に入れます。

【OV-10のhide改造ファイル:2】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\OV10_USAFE-set.xml
アップロード名=「OV10_USAFE-set.xml」
ファイルの役割=補助機器や搭載燃料の定義、ヘルプ表示など。
          本ファイルはブロンコの「USAFE」モデル用。
改造による効果=起動時に「USAFE」モデルの機体を選択すると、
           補助燃料タンクの搭載燃料を、3本分満タンに
           定義します。これにより、ほぼ実機通り1200nm
           前後の航続力が計算上、確保できます。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、ダウンロードしたファイルをC:\FlightGear\data\Aircraft\OV10フォルダ内に入れます。

【OV-10のhide改造ファイル:3】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\OV10_NASA-set.xml
アップロード名=「OV10_NASA-set.xml」
ファイルの役割=補助機器や搭載燃料の定義、ヘルプ表示など。
          本ファイルはブロンコの「NASA」モデル用。
改造による効果=起動時に「NASA」モデルの機体を選択すると、
           補助燃料タンクの搭載燃料をゼロに定義します。
           短距離を軽快に飛ぶ仕様です。機内タンクの
           燃料だけでも約400nm飛行可能です。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、ダウンロードしたファイルをC:\FlightGear\data\Aircraft\OV10フォルダ内に入れます。

【OV-10のhide改造ファイル:4】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10(改行しました)
       \Models\USAFE\OV10.xml
アップロード名=「計器設定OV10.xml」
ファイルの役割=計器配置と部品アニメーションの記述など。
改造による効果=計器盤にVOR2指示器を追加。
           HSIの位置を変更し表示を拡大。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、名前を本来の「OV10.xml」に変更し、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFEに入れます。C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10フォルダ内にも、同名ファイルがありますので、ご注意下さい。
 この改造ファイルは、FlightGearがCドライブのルートディレクトリにインストールされていることを前提に作成しました。万一、本ファイルをインストールしてもVOR2指示器が計器盤に表示されない場合は、C:\FlightGear\data\Aircraft\Instruments-3dフォルダの中にある、vorフォルダをコピーして、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFE\Instrumentsフォルダの中にペーストすれば解決します(注:移動では、他機の計器表示がエラーになります。必ずコピー&ペーストしてください)。

【OV-10のhide改造ファイル:5】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models
(長いので改行しました)\USAFE\panel-hotspots.xml
アップロード名=「panel-hotspots.xml」
ファイルの役割=計器盤上のボタン配置・機能を定義。
改造による効果=HSIの位置変更に合わせて、各種の
           ボタン位置が修正されます。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFEに入れます。

【OV-10のhide改造ファイル:6】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFE
(長いので改行)\Instruments\Gunsight\gunsight.ac
アップロード名=「gunsight.ac」
ファイルの役割=照準器の外観や、照準円の投影設定。
改造による効果=照準器をコクピットから削除します。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFE\Instruments\Gunsightフォルダ内に入れます。

【OV-10のhide改造ファイル:7】
ファイル名=C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models
(長いので改行)\USAFE\Instruments\HSI\HSI.ac
アップロード名=「HSI.ac」
ファイルの役割=HSI計器の外観などの設定。
改造による効果=計器の外枠を消去してコンパクトにします。
★組み込み方法:
 原本のバックアップを取った後、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFE\Instruments\HSIフォルダ内に入れます。


 …では以下に、ファイルの機能や改造の中身をご説明します。

●フライト・コントロールと、燃料タンクの容積:
これは、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\OV10.xmlファイルのお話です。
 まず、飛行性能の関係から。
このファイルには、機体の主要寸法(metrics)から、パイロットの目の位置(EYEPOINT)、重心位置関係(mass_balance)、着陸装置のバネレートや減衰率などの物理特性(ground_reactions)といった、美味しそうな項目が目白押しです。
 飛行制御関係は、208行目以降にあります。ピッチ、ロール、ヨーの3軸方向の舵の効き方や、条件によって変化する、舵の効きの減衰率などが記述されています。アドヴァース・ヨー(旋回のためバンクした時に、機首が反対方向に振れる傾向。これを防ぐためにラダーがある)の定義文もあるなど、かなりリアルにモデリングされていることが分かります。

 ブロンコは、マニュアル操縦時には大変安定していますが、オートパイロットに切り替えると、200〜250Ktの高速飛行時に、次第に左右に大きく揺れて、蛇行に入ります。これはある程度、jsbフライトモデルの機体全般に共通した癖です。これを抑制するため、以下の改造例では、ロール(横転)、ピッチ(前後傾斜)、ヨー(左右首振り)のすべての回転軸について、機体の回転運動の減衰率を少し増やしています。

 回転軸ごとの減衰率は、すべて同じ書式で書かれています。いずれも、
<description>●●l_moment_due_to_●●_rate</description>
という書式で始まる、8行くらいのブロックに収まっています。
(●●の部分に、PitchとRoll、Yawがそれぞれ入ります)
 この最初の文から、それぞれ8行目の<value>で囲まれた数値が、ダンピング・レートの設定値です。数値はいずれもマイナスで、絶対値を大きくするとダンパーが強く効きまして、機体の動揺が早く収まります。もしプラスに設定するとメチャメチャに舵が効いて、操縦不能になります。

【ロール軸のダンピング・レートを強化】
 ロールの減衰率は、570行目から始まる、
<description>Roll_moment_due_to_roll_rate</description>
という項目の末尾、577行目の
<value>-0.7000</value>
という部分で変更できます。ここに上げたのは私の変更値で、デフォルトでは、-0.4000でした。この絶対値を増すと、ロール(横転)方向の動きが若干抑制されます。この修正で、ロール方向の派手な揺れが、ぴたりと収まりました。

 ただし、オートパイロット旋回中のバンク角は、正規の30度から20度に減ってしまい、変針する際に、標準旋回の2倍近い時間が掛かります。気になる方は取りあえず、マニュアル操舵で30度バンク旋回をしてください。(或いは2倍速で飛ぶと、ちょうど標準旋回になります)(^^;)
 この問題を解決するため、出来ればオートパイロットの入力ゲインも調整したいのですが、方法が分かりません…。単純にエルロンの操舵量を大きくすると、マニュアル操縦時を含めて、大幅に操縦バランスが狂ってしまいますしね。

【ピッチ軸のダンピング・レートを強化】
 同様に、ピッチの項目も変更します。654行目の
<value>-28.0000</value>
の部分で調整可能です。デフォルトは-0.2200でした。これで高速飛行時に、ピッチ方向にツンツンと、神経質に振動する動きが解消しました。

【ヨー軸のダンピング・レートも強化する】
 ヨーの項目も、689行目の<value>欄を、-0.6000としました。デフォルトでは-0.4000になっています。
 なお、高速飛行時に機体が左右に揺れる現象を抑えるため、実機にはしばしば、ヨー・ダンパーという装置が設けられます。FlightGearでは737-300のフライト・コントロールファイルに、この仕組みがあることが分かったので、ブロンコにも移植してみたのですが、飛行速度が違いすぎて、効果は確認できませんでした。(速度パラメーターがマッハ数で書いてあるのですが、適切な変更方法が分かりませんでした)

 …ちょっと長くなりますので、掲載を2回に分けます。同じファイルが管理している、燃料タンクの容積などのお話は、このあとすぐ!
投票数:12 平均点:6.67

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-12-13 0:13
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 OV-10ブロンコの改造点のご説明、後編です。

 前回、フライト・コントロールの項目でご紹介した、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\OV10.xmlファイルのお話の続きで、このファイルで扱っている、燃料タンクの関係に移ります。

【機内燃料の容積を増やす】
同じファイルの156行目、
<capacity unit="LBS"> 2072 </capacity>
をご覧下さい。ここにある「2072」が機内タンクの容量で、単位はLbs(ポンド)です。これは私の変更値で、デフォルトでは確か1500になっていました。こう変更することで、機内燃料の最大値がちゃんと満タン(330gal、約2000ポンド)になります。

【機外補助燃料タンクの容積も調整】
166行目の、
<capacity unit="LBS"> 4554 </capacity>
を変更しました。「4554」が、胴体中央に吊り下げた、補助タンクの容積(単位はLbs=ポンド)です。デフォルトは1500でした。
 残る4カ所の兵装搭載ステーションにも、補助タンクを吊ることが可能で、いずれもエンジンに燃料を供給できる設計のようですが、現状では実際にエンジンに燃料が回るのは、中央の「No3」ステーションだけと判明。そこで、1本で正規の補助タンク3本分の容積にしました。(外観上は、3本吊ることもできます。4〜5本でも可能ですが、こんなに積んだら、中身を入れると離陸できないかも)

 ただし実際にタンクに注入される燃料搭載量は、次に述べますように「OV10_NASA-set.xml」や「OV10_USAFE-set.xml」で管理されています。これらも変更しなければ、タンクに燃料が入りません。

●燃料の搭載量を決める:
 FlightGearのOV-10ブロンコには、
 ・USAFE(米軍欧州派遣軍)仕様
 ・NASA仕様
 ・カリフォルニア州消防隊仕様
 …の3種類がありまして、前2種は(兵装に違いがあるかも知れませんが)実質的に、外観も飛行性能も同じ機体です。カリフォルニア州消防隊仕様は、計器盤がダミーになった簡略モデルですので、ここでは無視することにします。

 前2種は、操縦特性などについては、いずれもUSAFE仕様の飛行特性ファイル「ov10.xml」を使用しています。しかし、燃料タンクの搭載量などを決める「OV10_NASA-set.xml」と「OV10_USAFE-set.xml」は、両機で別々です。このことを利用して、私は以下のように設定しました。

 ・USAFE仕様機を選択した場合:
  補助燃料タンクに、計3本分の燃料が入る。ぎりぎりの満タン状態で、
  機体が重くなり、離陸は可能だが、最大速度が約150Ktに落ちる。
  しかし計算上、約1200nmの航続距離が確保できる。

 ・NASA仕様機を選択した場合:
  機内燃料は満タンだが、補助燃料タンクは(1本吊っているが)空っぽ。
  軽快な飛行が可能。これでも約400nmの航続力がある。

 「OV10_NASA-set.xml」と「OV10_USAFE-set.xml」はいずれも、補助タンクの搭載量を制御している部分は、170〜173行目の
<!-- External Tank -->
<tank n="1">
<level-gal_us archive="y">●●●</level-gal_us>
</tank>
 …です。●●●の部分に、USAFE仕様は「4500」の数値が、NASA仕様は「0」が入っています。もちろん、任意の数字に書き換えも出来ます。なお補助タンクは、計器盤左端の赤ボタン(外部装備の緊急投棄スイッチ)をクリックすれば、投下できます。

●3Dパネルに計器を追加。位置も変更する:
以下は、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFE\OV10.xmlファイルのお話です。計器の配置などが記述されています。

 2Dパネルの場合は、計器の配置は、左右位置がXピクセル、上下位置がYピクセルで示されますが、本機のように計器自体が、3Dモデルとして作られている場合は、機体内の中心軸にある1点を座標の原点として、
<model>
<path>Aircraft/OV10/Models/USAFE/Instruments/HSI/HSI.xml</path>
<offsets>
<x-m>-2.6</x-m>  ←前後位置(単位はメートル)
<y-m>0</y-m>    ←左右位置(同)
<z-m>0.1</z-m>   ←上下位置(同)
</offsets>
</model>
 …のように定義されます。

 新しい計器を追加する場合は、これと同じ書式を1項目作ります(この文章からではなく、原本からコピーしてください)。続いて、<path>で囲んだ計器のファイル名の部分に、Instruments-3dフォルダの中にある計器か、他機の3D仕様の計器のファイル名を、フルパスで書きます。(或いは計器別のフォルダをまるごと、Aircraft/OV10/Models/USAFE/Instrumentsフォルダの中にコピーします)
 最後に、試行錯誤を重ねつつ、座標を決定すれば終わりです。3D専用の計器類が用意されていることに気付くまでは、仕様の違う2Dパネル用の計器が何とか使えないかと思って、無駄な苦労を重ねてしまいました(^^;)。

●計器を拡大表示する。
 また、航法計器の表示サイズを拡大したいと思い、さんざん考えた末、変なアイディアを思いつきました。なにしろ3Dですから…取り付け位置を計器盤から浮かして、手前の空中に配置してしまえば、いいのです! パイロットの視点は固定ですから、機外から拡大表示で観察しない限り、ボロは出ません…(^^;)。
 HSIを、方位盤が読みやすいサイズまで拡大すると、計器全体の外観が大きくなり過ぎます。そこでHSI.acファイルをいじって、計器の外枠だけ消去しました。

 ついでに、方位盤の画像データ(backcard.rgb)の外周部分を少し切って(正確には、GIMPで開いて透明化して)、外寸をコンパクトにしたのですが、この操作をすると、GIMPが勝手に別フォルダを設けて、内部に関連ファイルを作ってしまうため、加工した画像をお届けするのは困難だと分かりました。そこで、方位盤についてはオリジナルのままにします。
 これですと、私の作例写真よりは、ほんの少しですが、計器の外寸が大きくなります…申し訳ありません。

 …という一連の改造で、使いやすいパネルが出来上がりました。VOR2指示器のOBS設定ボタンは、ボタンの配置作業が大変なので、省略しました。済みませんが、オートパイロットのメニューからベアリングの数値を変更してください。

●3Dパネル用のホットスポットを調整する:
これは、C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Models\USAFE\panel-hotspots.xmlファイルに関するお話です。
 ホットスポットとは、クリックするボタンのこと。3Dパネルの場合は、透明なレイヤーを1枚設けて、その上にピクセル単位のX−Y座標で位置が決めてあります。主にHSIの指針を回したりするボタンですが、高速移動と低速移動の2種類のボタンが、同じ位置に重なって設定されており。ボタンの数は8つくらいあったと思います。詳細は省略しますが、位置の移動だけですので、手間が掛かるだけで理屈は簡単です。
 能率良く作業をするには、航法のお話で散々ご紹介した「斜めものさし」を起動して、なるべく大きなボタンの、長辺の長さに合わせて倍率を設定し。これで、移動先までのパネル上の長さを測定すると、かなり楽に作業が出来ます。

●エンジン推力を増やす。
 これは、アップロードファイルに入れていませんが、
C:\FlightGear\data\Aircraft\OV10\Engines\T76.xmlファイルを開きまして、15行目にある <milthrust> 1600.0 </milthrust>
の数値を、2000.0に書き直せば終了です。

     ○

 以上、長文にて失礼いたしました。
こうした改造は、ショート・フライトでテストが出来ますし、仕事の合間にも何とか、こうしてルポを書くことが出来ますが…なかなか最近は、クロスカントリー飛行(上がって降りるのではなく、他の飛行場へ移動するフライト)をする暇がなくて、困っています。ここんとこ改造が続きましたので、そろそろ本来の「旅日記」の世界に、戻りたくなって来ました。
投票数:8 平均点:3.75

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-12-16 17:55
tetsu  管理人   投稿数: 225
tetsuです。
hideさん、いつもありがとうございます。
hideさんのブロンコ改良ファイルがダウンロード可能になりました。
ダウンロードのページからゲットしてお試しください。
投票数:10 平均点:4.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2006-12-26 1:18
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。ご無沙汰を致しました。
 これから、わが「ブロンコ改」の実戦的テストを兼ねて、しばらく国内各地のフライトを楽しむことにします。計器飛行と有視界飛行、時には悪天候など、色々な条件を織り交ぜながら、改めてナビゲーションの面白さ、楽しさを探っていきたいと思います。

●航空図と、プロッターを使ってみる:
 大昔にそろえた、日本航空機操縦士協会の「区分航空図」(全国8区、現在は1枚2600円)が、せっかく手元にありますので。国内フライトには以後、これを積極的に活用してみることにしました。私のはだいぶ古くて、フィックスの名称が変わったり、載ってない空港があったりしますが…(^^;)。

 軽飛行機の航法入門書によると、航空図を使うには、プロッターという道具が欠かせません。ノーティカル・マイル(nm=海里)の距離目盛が入った、ナビゲーション用の物差しで、中央部に分度器が付いています。この分度器を、航空図に印刷された経度の線に合わせると、図上に書いたコースの針路を、真方位で計ることができます。
 実機もFlightGearも、計器類の表示はすべて磁気方位なので、真方位からの換算が必要ですが…航空図には便利な工夫があって、飛行コースの向きを、磁気方位で直読する方法もあります。やり方は次の通りです。

 航空図上のVORやNDB局の周囲には、半径10nmのコンパス・ローズ(方位盤)が印刷されていて、その土地の偏差(北極と、磁北極のずれ)に合わせて、磁気方位で目盛りが打ってあります。航空図に書いた直線コースに三角定規を当てて、近くのコンパス・ローズまで平行移動すると、針路が磁気方位で読めます。(海図と同じ方法ですね)
 プロッターによっては、裏面にローラーが付いていて、ゴロゴロと上下に滑るものもあるそうです。このタイプですと、三角定規を使わずに、書いたコースを平行移動することが出来ます。

 試しに、このローラー付きプロッターを作ってみました。素材は「おもしろスケール」という、880円で売っていたローラー付き多機能定規です。表面に、航空図記載の距離目盛をコピーして張り、中央部に120円の小型分度器を、テープ止めして完成です。
 いざ使ってみると、なるほど…コースの距離と針路が、非常に簡単に計れます。以前は、Atlasの画面を「斜めものさし」で計るか、A地点とB地点の緯度経度を元に、いちいち距離と真方位を計算し、さらに磁気方位に換算していたのですが、今回は定規で線を引いて、目盛を読めばOK。フライトプランが計算抜きで、ごく短時間のうちに、サクサク出来上がってしまいます。
 (ただしアナログ測定ですから、計り方やコースの長短によって、方位の精度は多少変化しそうです。また区分航空図のコンパスローズは、目盛が5度間隔で、若干粗い気がします。「本図は航空参考図であり、飛行時には海上保安庁刊行の航空図と併用すること」と印刷されている理由が、初めて分かりました)


■厚木から富士山、日本アルプス、富山へ■
    (マップデータ:e130n30.tgz )

 手製のプロッターを使って、さっそく厚木基地から箱根を経由し、富士山を回って信州に向かい、日本海側に抜けるフライトプランを書いてみました。鉛筆で航空図にコースを引いていくと、う〜ん。実に気分が出ますね(^^)!

(湖などにVORからの方位・距離が書いてあるのは、迷った時の参考値。倍速モードを使う可能性もあるため、予定飛行時間は省略しました)
◎厚木基地
     ▼180deg 9nm
△江の島
     ▼262deg 24nm
△箱根・芦ノ湖(横須賀VOR-116.2から272deg28.7nm)
     ▼260deg 14.5nm
△富士市・田子の浦港(横須賀VORから267deg44.5nm)
     ▼5deg 22nm
△西湖(横須賀VORから295deg46.5nm)
     ▼323deg 54nm
◎松本空港(VOR-117.6)
     ▼317deg 46nm
◎富山空港(VOR-115.8)

 全行程は約170nmです。では、飛んでみましょう。

●湘南海岸から富士五湖へ。
 薄曇りの厚木基地、北の風5Kt前後。
本機は200Ktで巡航するので、この程度の風は無視しても大丈夫です。推測航法だけで孤島を見つけるのなら別ですが、今回は、地形でコースのずれを確認する「地文航法」と、VORを併用しますので、迷う心配はありません。そこで風向風速の補正計算は省略し、エンジンを始動します。
 スペースキーで、タービンとプロペラが起動。回転計が25%に落ち着くのを待って、パネル右下に並ぶ、両エンジンの燃料スイッチをオン。EGT(排気温度)計がじわりと動いて燃焼開始を示し、回転数は62%まで上昇。最後にトルク計が、アイドリング位置まで跳ね上がりました。
(先日、ballonさんのプログラムを一部分お借りして、タービンエンジン用の始動シーケンスを書き加えました。どうも、ありがとうございました)

 RWY-01を快適に直進し、エアボーン。さあ、旅が始まります。
真北に4分間直進。右に約190度ターンして、高度を上げながら厚木上空に戻る「リバーサル・ディパーチュア」を行い、滑走路を起点に航法を開始。針路を180degに取って、オートパイロットで6000ftに高度保持。江の島が、マップデータに再現されていないのは、(あれこれ思い出のある)私としては大変残念ですが…おおむね正しいコースで、湘南海岸に差し掛かりました。
 ここで針路を262degに取り、機首を芦ノ湖に向けます。ブロンコは、なぜかオートパイロットの「Heading BUG」モード(磁気方位の針路保持)が使えない機体ですので、ウイングレベラーを掛けてコースを維持しました。横須賀VORを示すHSI指針を、ちらりと確認。少し沖に出過ぎたかな。はるかに富士山を眺めながら、相模湾を西へ。快適な旅です。

 ごつごつした、箱根の山塊が近づいてきました。
あ。小田原厚木道路のインターがあった。この先は、箱根に登る有料道ですね。茶色い2本の線が見えますが、北側が箱根新道で、南が箱根ターンパイク。もっと北に見える白い線は、箱根登山鉄道でしょう。このへんは高校・大学時代に、さんざん自転車やオートバイで走った場所ですが、ずいぶん昔のことですので…すごく懐かしいです。
 コースをやや離れて、手動操縦で降下し、箱根ターンパイクの上をたどって、山並みすれすれに芦ノ湖を目指しました。万一迷っても横須賀VORのラジアルが、芦ノ湖に合わせてあるので、心配は無用…。
 不意に山が切れて、眼下に芦ノ湖が広がりました。低空で右に見下ろす湖は、かつて路上から眺めた景色と、よく似ています…その向こうには、「日本一の」富士のお山。いいなあ!
 しかし200Ktって、ずいぶん速いものですね。267度に変針して、みるみる箱根の山塊を抜け、沼津らしい市街地の向こうに、駿河湾が広がります。さあ、次の変針点、田子の浦はどこだ?

     ○

 実世界では製紙工場の林立する、あの田子の浦港が、どうも見あたりません。これもマップデータから、省略されてしまったのでしょうか。幸い、もやを通しても富士川がよく見えるので、このへんだろうと見当を付けて北へ旋回、富士五湖の西湖へ定針しました。富士山が迫ります。西側の5合目付近をかすめる予定なので、ここからはぐんぐん上昇。愛機は雲海上に浮き上がりました。

 高度約10000ftで、どアップになった富士山を、近くから堪能。この飛行機は、正副の操縦席がタンデムですので、両サイドが大変よく見えます。スバルラインなどが、一応それらしい場所に再現されており。かつてツーリング中、霧越しに演習場の砲声を聞いたことなんかを、懐かしく思い出しました。

 ----次の目標・西湖は、どこだあ?----
 雲上に昇ってしまうと、なかなかランドマークが見えません。頼みの横須賀VORも、どうも受信感度が悪く、DMEの数字がうまく表示されません。しかし、富士山との相対位置からみて、西湖は真正面にあるはずです。航空図によると、対岸に6000ft近い山がありますが、その手前なら5000ft以下に降りても大丈夫。エンジンをアイドルまで絞って(ブロンコは、こうするとプロペラのピッチ角が平らになり、エアブレーキが掛かります)雲を破って急降下すると、ほぼぴたり正面に、湖がありました。
 念のため長野空港VORから、西湖を通過するラジアルを受信しているので、ここでVOR2指示器の針が、すっと中央に近づきます。よしよし。

●信州を駆け抜け、黒部・立山方面へ:
 ここでセーブして、後で再開したのですが、どうもFlightGearが不調です。
起動後、10分から20分で「Microsoft Visual C++ Runtime Library」のウインドウが開いて、fgfs.exeについて「Runtime error! This application has requested the Runtime to terminate it in an unusual way」というメッセージが出て、アプリケーションが終了します。これは、何なのでしょう?
 私はプログラムの知識がないので、これを見ても「航空機のファイルは、C言語で書いてあったのか」「何か、タイムアウトのようなトラブルが起きたのかな?」と思うだけですが。ことによると、エンジン始動機能を書き足す際、何か間違えたのかも知れません。皆さんに公開した部分も、ちょっと心配です。あれはパラメーターの変更に過ぎないので、プログラム主要部の動作に、トラブルを起こさないとは思うのですが…。

 いったん機体をノーマルに戻し、再び改造部分を組み込んで、起動。今度はうまく行くようです。

     ○

 富士五湖から、山を一つ飛び越えると、甲府盆地が広がります。5000〜6000ftあたりに、やや厚い雲のレイヤーがあるので、この下を這うように飛んで行くと、中央高速や甲州街道、中央本線などが、賑やかに走っています。
 ここから信州の大渓谷を北西に進むと、北方に、きざきざした大きな山塊が。航空図を見ると、八ヶ岳ですね。やがて、この山の真横を過ぎて、諏訪湖の上空へ。ちょっとパワーを掛けて、塩尻峠を飛び越えると…もう松本です。長野空港を横目に、高度を上げつつ北アルプス方面へ。

 富山空港VORのラジアル317度に乗り、一面の山並みを楽しんでいると、前方の山脈に、ナタで切り込んだような、深い切れ目が見えました。おや?
 少し針路を修正して真上を飛び、ていねいにVORで現在地を出してみると、ちょうど槍ヶ岳と穂高の間です。有名な「キレット」(稜線にある、巨大な割れ目)を、ちゃんと再現しているわけですね。
 再び図上に目を落とすと、15nmほど北に、黒四ダムがあります。地下に発電所を作るため、苦心惨憺して、フォッサマグナ(静岡・糸魚川構造線)の軟弱地盤に、送水用の大トンネルを掘ったところですね。せっかくですから立ち寄ることにして、富山空港VORのラジアル115度を選択。谷間に大きなダム湖が見えました。薄雲の下に出て、湖面すれすれを北上すると、湖の端を道路が横断していて、なるほどこれがダムのようです。
 ダムから20nmほど南西には、「神岡」の地名が。ニュートリノ観測で有名な「スーパー・カミオカンデ」は、このあたりだったのかあ。中部山岳地帯の山並みの陰には、一度は見学したいものが、結構ありますね。

 富山空港のダウン・ウインド・レグに近づき、海側へ回り込んで、あっさり着陸。私の母によると「富山から見た、冬の立山連峰は最高」とのことですが、なるほど…これは実景なら、凄いだろうなと思いました。

 ブロンコ改は、セーブデータのロード中に少々問題を起こしたほかは、非常に快適でした。たいへん操縦しやすく、視界抜群で、航法も楽です。また航空図とプロッターを使った感想ですが、いかにも「旅をしている」という、非常に自然な感じがします。これまでは、数値を並べたフライトプランをにらんで操縦するか、Atlas画面でズバリ現在地を見てしまうか、両極端だったのですが。「地図上にコースを記入する。頻繁に参照して、現在地を確かめる」というのは、やっぱり、航法と言いますか…乗り物を使った移動の基本ですね。
 さて、次はどんなコースを飛ぼうかな?


【以下はご参考です】
●操縦士協会の航法ツールもどうぞ:
 日本航空機操縦士協会のHP(http://www.japa.or.jp/)
では、幾つかの航法関連オンライン・ツールを公開しています。これらを使うと航空図がなくても、インターネット接続環境とAtlasさえあれば、かなり簡単にフライトプランを作成することができます。主なものは、以下の通りです。

・【航法計画書〜Navigation Log】
http://www.japa.or.jp/test/navlog.pl)
 …最大8カ所の空港名やVOR/NDB局名を順次入力すると、これらを結ぶ針路や距離などの入ったフライトプランを、一瞬で作表してくれる道具です。針路は、真方位と磁気方位の両方で出ます。いずれも、FlightGearのオートパイロットで使えます。
 (このツールは、風の影響までは計算してくれませんが、そこまで精密にしなくても…という方は、これだけでも飛べます。ただし風を無視しますと、当然ながら流されますので、VORの使用を強くお勧めします。例えば120Ktの軽飛行機が30Ktの横風を受けますと、針路は約15度もずれます)

・【IT JAPA 航法計算】
http://www.japa.or.jp/test/navigation.html)
 …風の影響まで、きちんと補正したい方には、航法計算盤の役目を果たす、このツールをお勧めします。空欄に、真対気速度(速度計の読みでも可)と風向・風速(FlightGearのメニュー参照)、真航路(真方位のコース針路)、距離、時間あたりの燃費(不明なら適当に)を入力すると、風の影響を加えた修正針路、対地速度や予定飛行時間、使用燃料まで計算してくれます。
 私がよくお話しする航法ツールの決定版、「Virtual E6-B」をお持ちでない方も、これを使えば、風の修正については、ほぼ同じ計算が可能です。

 なお「Virtual E6-B」のダウンロードは、以下の場所からどうぞ。
ここは以前、zeek52さんが紹介された、フライトシムの航法に関する、極めて優れた網羅的な英語サイト「Flight Simulator Navigation」の中にある、ダウンロードページです。
 http://www.navfltsm.addr.com/nav-downloads.htm
このページのリストの下から4番目に、「ve6b.zip 」の名称で入っています。


 【注:偏差のおさらいです】
 VORのラジアル(電波ビーム)方位は、磁気方位で示されます。従って、正確な電波航法を行うには、目的地への真方位を打ち込んだのではダメで、磁気方位に換算して入力する必要があります。
 磁気方位を求めるには、真方位に、その土地の偏差(北極と磁北極のずれ)を、足し引きします。磁気方位の「北」が、真北より西にあることを「偏西○度」(表記=○W)と呼び、真方位に○度足せば、磁気方位です。また東にずれていることを「偏東○度」(表記=○E)と呼び、○度引けば磁気方位が出ます。
 世界主要地域の偏差は、以下のHPにありますので、再掲しておきます。
    http://www.geo-orbit.org/sizepgs/magmapsp.html

     ○

 遅くなりましたが、皆様メリークリスマス。そして、良いお年を。
来年もよろしくお願い致します。
投票数:18 平均点:5.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-1-6 20:52
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。謹賀新年、今年もよろしくお願い致します。
 秋田空港では、大韓機が誘導路に誤着陸したそうですが、無事で本当に何よりでした。

 「冬は、やっぱり北国だ!」という発想で、今回は本州をどんどん北上します。フライトプランは、次のようなものです。


■富山から青森へ■
  (マップデータ:e130n30.tgz
           e140n30.tgz
           e130n40.tgz
           e140n40.tgz )
 文中のマークの意味は、次の通りです。
◎:空港
△:航空路に設けられたフィックス、または地上の目標
★:VOR局
☆:NDB局
▼:上記を結ぶ各ルートの、磁気方位と距離など
  (カッコ内は、風向風速を補正した値)

◎富山空港(VOR 110.85)
     ▼347deg39nm(344deg184Kt)
◎能登空港(VOR 111.45)
     ▼59deg23nm(54deg205Kt)
△珠洲岬
     ▼64deg62nm(59deg207Kt)
◎佐渡空港(NDB 369)新潟VORから289deg34nm
     ▼109deg34nm(107deg219Kt)
◎新潟空港(VOR 115.50 NDB 253)
     ▼73deg64nm(68deg210Kt)
◎山形空港(VOR 113.00)
     ▼357deg91nm(353deg186nm)
★秋田VOR (116.10)
     ▼0deg18nm()
△八郎潟(秋田VORから180deg18nm)
     ▼67deg49nm()
△十和田湖(青森VOR 114.10から160deg19nm)
     ▼339deg19nm()
◎青森空港(VOR 114.10)

 さて、富山空港のRWY-20にいます。
今進めている国内フライトは、「航空図と磁気方位を使う、リアルな旅」をテーマにしていますので、以前はよく計器と併用したHUD(真方位を表示)を消して、メニューバーも必要な時以外は消しておきます。
 リアルウエザー機能が設定した天候は、視界約1nm。かなり悪いですね。しばらく雑用をして、再起動すると…おおっ、断雲があるだけで晴れ。しかし、よく考えてみたら、LANケーブルが抜けていて、デフォルトに戻っただけでした。まあ今回は、この天候で行きましょう。

 北寄りの風が6000ft以下で20Kt。もっと上空では30Kt。低空を飛ぶことにして、「Vertual E6-B」で風速20Ktの場合の補正計算を行い、上記フライトプランのカッコ内に書き加えました。
 離陸直前の残量は、機内タンク2059Lbs(ポンド)+補助タンク4554Lbs。ガロンで言いますと、312gal+690galになります。ブロンコはターボプロップですから、ジェット燃料(リッター20〜60円?)を使いますが、全部満タンにすると、20万円ほど掛かってしまう計算です。
 ジェット機では普通、燃料をLbsで計るようですが、これは温度による体積の変化が大きいため、ガロンなどの容積表示では都合が悪いのだそうです。私も今後、ジェット燃料はLbsで表記することにします。
 ちなみに、以前「補助タンク3本を満タンにすると、重くて150Ktしか出ない」と、改造データの添付メモに書きましたが、ごめんなさい…加速や上昇に少し時間は掛かりますが、ちゃんと200Kt以上出ることが判明しました。

●またまた、「Runtime error!」:
 富山を離陸し、快適に能登半島を北上したのですが…輪島のあたりで、地形がスッパリと東西に切れていて、ここから北が極点のように、一面のもやになっているのを発見。マップデータに何か、エラーが起きたようです。もやの上を数分飛んでおりましたら、突然「Runtime error!」のメッセージが出て、アプリケーションが終了してしまいました。うーーーん、がっかりです。

 マップデータが壊れた影響か、或いはブロンコに、何か隠れた問題があるのでしょうか。前回追加した、エンジン始動シーケンスは念のため、取り外したのですが。かなり意気消沈しまして、一応、他の機体もテストしておかなくてはと、以前から注目していた双発機「Aerostar-700」を、富山空港で飛ばしてみました。

●Aerostar-700に「試乗」する:
 この機体は、私が慣れ親しんだ双発セスナC310を、うんとグレードアップしたような、高速の6人乗り軽飛行機です。以前、「オートパイロットが使えない」とご紹介しましたが、あれは誤りでした…ごめんなさい。実は、床に近いセンター・コンソールに、オートパイロット系統のスイッチ群があり。マスタースイッチをONにすると、ちゃんと自動操縦が可能です。
 Aerostarは、スペックによりますと20000ft以上を250Kt前後で巡航できます。航法計器はけっこう豪華ですし、1機でjsbとyasimの両フライトモデルに対応。メニュー欄のスライダーを動かせば、燃料の搭載量も自在に調節できるなど、意欲的に設計された機体です。しかし、いざ操縦してみると若干、使いにくい面があることが分かりました。

 まず、凝った作りのオートパイロットが、少々不便です。デザイナーは、下を向かないと見えない、センターコンソールのスイッチを、ぜひ使ってもらいたいらしく、メニューからはほとんど、オートパイロットが操作出来ないようにしています。またDMEの距離表示が出ませんし、エンジン関係の計器が省略されているのは、レシプロ機の場合は(高度によって調整が必要なので)問題です。
 アプローチ時はどんどん沈下するため、恐くてなかなか減速できません。プログラムの記述方法も、C310やブロンコとは勝手が違っていて、大きな計器盤を避けるため、操縦席の視点を少し持ち上げる改造を試みましたが、うまく視界に反映されませんでした。以上の結果、着陸には相当神経を使いました。どうも私とは、あまり相性が良くないようです。また改めて、研究してみることにしましょう。

 という次第で。気を取り直しまして、問題のあったマップデータを再ダウンロードし、インストールし直したところ、今度はブロンコは、エラーを出さずに飛び回ってくれました。やれやれ!!!

●改めて、北陸の旅を:
 富山を南へ離陸し、6nmほど進出しながら高度を上げ、左30度バンク旋回。お馴染みの「リバーサル・ディパーチュア」で、空港VORのハイステーション(直上)に戻り、ここを起点に能登VORへ定針。パネル右のスイッチを操作して、たっぷり燃料の入った、補助タンクに切り替えました。後方はるかに、立山連峰が広がっています。
 前回、「富山から見た、冬の立山連峰は素晴らしい」というお話をご紹介しましたが、その後、富山に赴任経験のある人の話を聞いても、「街路越しに見える立山は、雪をかぶると急に近く見えて、すごい迫力」とのことでした。行ってみたいですね。

 ブロンコは、3万7000ftくらいまでは上昇できることを確認していますが、高空では速度も燃費も伸びません。またFlightGearではどっちみち、あまり高度を上げると、平らな雲海しか見えなくなりますので、私は10000ft以下で景色を楽しむ方が好きです。今回は、6000ftを超えると向かい風が増すため、5900ftでオートパイロットの高度保持を掛けました。

 能登半島は、なるほど景色のいいところですね。あっちが、漆器で有名な輪島かあ…などと見とれながら、能登空港で東へ変針。この空港には日本航空学園輪島校があり、旅客機と滑走路を供用する、日本唯一の航空学校なのだとか。半島東端の珠洲岬から、海の上に出ます。
 実世界の日本海は、夏でも冷たいような、真っ青な色。今ごろの季節は、さぞや寒々としているだろうと思いますが…FlightGearが描く風景は、少々くすんで暗い感じなので、いかにも冬の日本海の気分です。前方に、ぽつんと白い月が昇ってきました。

 やがて水平線のもやから、じわじわと山が現れて、佐渡島です。佐渡空港で東に向きを変えて、新潟空港VORへ。日本海を渡りながら、メニュー欄の「File」から「Browse Internal Properties」「consumables」「fuel」と開いて、タンクごとの燃料残を確認し、時計を見て1分間の消費量を計りました。離陸直後は、毎分19Lbsの消費率だったのですが、今回は毎分16.25Lbsまで改善。燃料を約680Lbs消費して軽くなった分、燃費が良くなりました。

 パワー設定は、オートスロットル任せ。タービンエンジンですから、ミクスチャー・コントロールがないし、プロペラピッチも自動なので、とても楽です。やや物足りないとも言えますが…私はC310ではよく、高空でミクスチャーをリーン状態(薄めの混合気)にしたまま忘れて、そのまま降下してしまい、低空でゴーアラウンド(着陸やり直し)の際にパワーが出なくて、何度も焦りまくっていましたので、今の方が安心です。
 新潟空港上空で、いったん飛行をセーブし、後刻再開しました。

●八郎潟…国土改造、夢の跡:
 データの再ロード後も、FlightGearは快調です。
新潟から山形空港へ針路を取ると、やがて朝日岳連峰に差し掛かります。航空図で標高を確かめながら、やや高度を上げて、一面の山並みの上を巡航。実世界では、すっかり雪景色のはずですね。

 山形で左に変針し、秋田VORへ向かうコースの中間地点付近で、左に鳥海山を見ました。少しなだらかな、とがった富士山、という感じの、すっきりと美しい山容が印象的です。
 ここでVORを、山形から秋田に切り替えましたら、ちょっとコースがずれて表示されたので、やや修正を掛けました。途中で2倍速を使ってはいますが…離陸から1時間足らずで、早くも秋田VOR上空に到着。ここから真北に10nm飛ぶと、有名な八郎潟です。

 八郎潟は、今でも社会科の教科書に載っているのでしょうか…約1万7000ヘクタールにわたって広がる、日本で一番有名な干拓地。国内第2の湖を、まるごと「海より低い、人工の農地」に変えたのですから、計画が始まった1956年当時は、胸が躍るような、夢の大事業だったろうと思います。
 20年後の完成時は、農業政策が変わり、減反が進んでいました。今では大規模干拓工事そのものが、自然破壊と呼ばれる場合もあり、時代の流れを感じます。それはともかく八郎潟は、FlightGearの日本で、人間が造り替えた地形をはっきり観察できる、いい例だと思います。
 …コクピットから見る干拓地には、ちゃんと幹線排水路も再現されており、想像力をフルに動員すれば、「超小型のオランダ」みたいな風情も、多少は感じられます。運河のように長大な排水路を目標に、私はゆっくりバンクして、機首を十和田湖に向けました。

●あれれ、十和田湖はどこだ?:
 八郎潟−十和田湖間は、太平洋岸にある三沢基地のVORラジアルが使えますが、この区間では、久しぶりに推測航法のトレーニングをする予定でした。ところが…つい、風力補正計算を後回しにしたまま、忘れていたため、飛ぶべき正確な針路が分からなくなりました。ともかく一度、現在地を出さなくては。せっかく航空図があるので、ここは地文航法の要領で、地形を頼りに位置を調べることにします。

 周囲を見回すと、まもなく南北に走る道路を越えるところです。左前方の数nm先には道路の分岐点があり、そこから鉄道線路が東西に走っています。航空図に鉛筆で引いたコース上で、似た地形を探すと…どうやら、鷹巣というところ(現・北秋田市)ですね。秋田VORからの距離は30.2nm。秋田空港を中心に、この半径を持つ円弧を考えると、ちょうど推測位置とクロスします。よしよし。これで現在地が分かりました。
 さてここで、せっかく予定コース上にいたのに、少し勘違いをしまして、針路を10度ほど左へ修正。これが大失敗で、いつまで経っても十和田湖に着きません。青森空港VORで位置を出したところ、湖は5nmほど南です。あわてて南下して、ようやく湖の上空に到着。(しかしまあ、電波航法のなかった時代のパイロットは、本当に大変ですね)
 十和田湖は典型的なカルデラ湖で、なかなか美しい地形です。湖面近くまで降下して、湖上に突き出している「御倉山」の南側をかすめてUターン。上昇しながら青森に機首を向けました。

●セーブが出来ない!:
 八甲田山のすぐ西を北上し、青森空港上空に到着。燃料は半分以上残っていますので、このまま北海道へ行きたいのですが、ちょっと時間が足りません。そこでセーブを掛けたところ、1キロバイトしかない不良セーブ・ファイルが出来上がるトラブルが、今回も発生しました。
 これはjsbの癖で、以前作ったセーブ・ファイルを、サブフォルダに待避させると、うまく新規セーブが出来る場合もあるのですが、今回は残念ながら、何度やってもダメでした。長旅の場合は、気になる問題です。

 結局諦めて、青森空港へ着陸することに決定。風下に回って高度を落とし、フラップを半分下げて100Ktでアプローチ。引き起こしが早すぎて、少々乱暴なタッチダウンでした。

 ところで。着陸後にAtlasの航跡を見ましたら、先ほど間違って変針した地点は、ちょうど大館能代空港の真上でした。私の古い航空図には載ってなかったので、まんまと見落としてしまいました。FlightGearの小空港は時々、忍者のように、風景に溶け込んでしまいます(^^;)。
 …と、人のせいにしましたが。今回は観光気分で飛んでいますので、世界一周の最中と比べますと、航法に対する集中力が、ちょっと落ちているようです。用心、用心。
 まだ2週間ほど、仕事が詰まっていますが、これを乗り切りましたら、次回は真冬を迎えた北海道へ向かいます。
投票数:9 平均点:3.33

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2007-1-31 11:03
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 しばらくご無沙汰を致しました。ブロンコ改による国内フライトのお話を再開します。今回は真冬の北海道を、ぐるりと一周。FlightGearのマップデータも、久しぶりに冬景色を使うことにします。
  以前、掲示板で教えて頂きました、冬景色への切り替え方を、念のためにおさらいしますと…

 (1)C:\FlightGear\data\Textureの中に、「Terrain」と
   「Terrein.winter」という、2つのフォルダがある。後者に
   冬のテクスチャーが入っている。「Terrain」フォルダを、あ
   らかじめ適当な名称に変え、「Terrein.winter」フォルダ
   を、新たに「Terrein」という名称に変更する。
 (2)C:\FlightGear\data\Texture.highフォルダの中にも
   「Terrain」フォルダと「Terrein.winter」フォルダがあるの
   で、同様に名称を変更する。
 …これで、OKでしたね。

 今回の飛行では、FlightGearが突然、終了してしまうなどのトラブルが相次ぎまして、一時はどうなることかと思いましたが、何とか対策が見つかったようですので、後ほど症状とともに、詳しくご紹介致します。

●ブロンコ改、すっかり「民間機」になる:
 出発の前に愛機を、また改造しました。OV-10ブロンコは、胴体下のスポンソン(爆弾などを吊る、小翼のような左右張り出し部)に、7.62mm機銃を4門内蔵しています。つい一昔前まで、現役の軍用機だったこともあって、銃身むき出しのまま自家用機に使うのは、ちょっと気が引けますので、スポンソンごと外すことにしました。

 Aircraft\OV10\Models\USAFE\OV10_NATO.acファイルを開いて、「sponsonLeft」「sponsonRight」「guns」の各項目と、「stasion」(スポンソン下部に5カ所ある、兵器取り付けラック)の「1」〜「5」番のうち、胴体下に補助タンクを吊るための「3」番を残し、全て削除します。
 次に外した部品の分だけ、機体を軽量化します。この機銃はM60と呼ばれる汎用型で、歩兵が持つタイプなら1挺約10圈9匐用のC型ですと、遠隔操作の機構が付く分、少し重くなるのだそうです。
 弾薬は1挺あたり500発。旧日本軍の7.7mm弾が27gだそうですから、計2000発でまあ、60圓らい。スポンソン本体の重量は見当が付きませんが、左右で40圓伐渉蠅掘▲函璽織襪婆150圓塙佑┐泙靴拭これは330ポンドですから、機体が軽い場合は、約20分飛べる燃料の重量に相当します。ここでAircraft\OV-10\OV-10.xmlファイルを開きまして、

    <emptywt unit="LBS"> 8640 </emptywt>

…の数値(機体重量)を、8310に修正しておしまいです。もしご希望があるようでしたら、改造後のデータファイルを公開致します。

 今回の改造でブロンコは、かなり民間機らしい、スマートな姿に生まれ変わりました。愛称は「白馬号」か「ペガサス」か。もっと気の利いた名前はないものか。などと考えながら、白一色の塗装に、ちょっと虹色のアクセントを加えました=「マイアルバム」をご参照ください。
(まるでアップル社のマークみたいですが。あれは洋風の6色レインボー、私のは日本風の「七色の虹」です)(^^)

     ○

 さて、フライトプランの作成です。いざコースを引いてみますと、さすがに北海道は広大ですね。あれも見たいし、ここにも寄りたい、となりまして…中継点は、ずいぶん多くなってしまいました。
 この季節、実世界の青森・北海道方面は、結構天候が悪いので、リアルウエザーは止めて、風向風速を以下のように固定しました。
 9000ft 320deg 10Kt
 6000ft 310deg 10Kt
 3000ft 300deg 10Kt
 フライトプランのカッコ内の数字は、風力による補正を加えた、コンパス針路と対地速度です。地名にカッコを付けたものは、最寄りのVORからのラジアル方位と距離です。

■青森から北海道一周■
  (マップデータ:e130n40.tgz
           e140n40.tgz )

◎青森空港(VOR 114.10)
     ▼47deg53nm(44deg201Kt)
△下北半島・尻屋岬
     ▼315deg35nm(315deg190Kt)
◎函館空港(VOR 112.30 NDB 388)
     ▼22deg32nm(19deg197Kt)
△室蘭・地球岬
     ▼350deg19nm(348deg192Kt)
△洞爺湖(札幌VOR-113.90から218deg30nm)
     ▼0deg14nm(358deg193Kt)
△羊蹄山
     ▼54deg34nm(51deg202Kt)
★札幌VOR 113.90
     ▼75deg74nm(73deg206Kt)
△大雪山系・旭岳(旭川VOR 113.50から100deg17nm)
     ▼332deg118nm(331deg190Kt)
★利尻VOR 114.60
     ▼81deg28nm(79deg206Kt)
★稚内VOR 115.30
     ▼142deg101nm(143deg210Kt)
★紋別VOR 112.90
     ▼137deg35nm(137deg210Kt)
★女満別VOR 110.85
     ▼69deg57nm(67deg205Kt)
△知床岬
     ▼173deg30nm(175deg207Kt)
△国後島・泊山
     ▼240deg28nm(243deg196Kt)
★中標津VOR 111.45
     ▼280deg18nm(281deg191Kt)
△摩周湖
     ▼253deg18nm(255deg194Kt)
△雄阿寒岳
     ▼232deg59nm(235deg198Kt)
★帯広VOR 109.65
     ▼269deg57nm(271deg192Kt)
★鵡川VOR 116.40(ここからユキイ・イースト・アライバル)
     ▼180deg8nm(182deg206Kt)
     ▼270deg約10nm(272deg192Kt)
     ▼002deg約3nmで…
△YUKIIフィクス(鵡川VOR-240degラジアルとの交点)
     ▼002deg16nm(ILSアプローチ)
◎千歳空港RWY-01L(ILS 110.90)
(ILS故障時は千歳VOR-116.90から14deg4nmでRWY)
全行程:847nm。

●津軽海峡の夜明け:
 青森空港RWY-24を、夜間飛行で離陸します。
ブロンコは、パネル左上に計器照明のレオスタット(電圧調整つまみ)があり、照度を微調整できて便利です。あれこれ試して、少し明るめにセットしました。ただしHSI(コンパス兼VORなどの指示器)は、CDI(コースの左右ずれ指針)が照明されないので、少々不便です。

 離陸後、240degを維持したまま直進し、早めにオートパイロットを巡航速度200Kt、高度5000ftにセット。7nm先でターンして空港に機首を向け、さらに機体は上昇します。空港VORの真上を5000ftで通過し、ここからナビゲーションがスタート。xキーを押すと、位置を高めに変更したHSIが、ちょうど目の高さに拡大されますので、コンパスカードをにらんで44degに定針。53nm先の下北半島・尻屋岬に機首を向け、ウイングレベラーを掛けました。

 陸奥湾を飛び越えて、下北半島の東端・尻屋崎の10nm手前。メニューバーから「Dawn」(日の出)を選択すると、世界は急に明るくなって、右後方はるかな太平洋上に朝日が昇り始めました。輝く機翼に見とれながら、尻屋岬の上でマニュアル操縦に戻し、函館空港VORに向けて旋回。あとは津軽海峡の彼方に、北海道が広がるのを待つばかりです。

●越すに越されぬ…函館上空のトラブル:
 海峡のもやをついて、北の大地が姿を現します。
海岸線にほぼ沿う形で北西に進み、函館空港の滑走路が視界に入りました。VORの真上を通過して、高度・針路保持を解除。函館市街地に向かって急降下し、維新政府に抵抗して兵を起こした榎本武揚らに敬意を表し、五稜郭のあたりをローパスして南へ旋回。海に突き出た函館山の上でターンして、室蘭市の「地球岬」に向けて北へ針路を取り、ほっと一息つきました。
 実はこの、函館周辺を通過するまでには、トラブルが頻発しまして、なかなか大変でした。以下にご紹介しましょう。

     ○

 …最初の挑戦では、函館空港の約3nm手前で、FlightGearが突然終了してしまいました。飛行ウインドウがスッと閉じて、黒いモニターウインドウに「Unknown exepcion in the main loop. Aborting...」の文字が出現。原因は、まったく不明でした。

 さあ、困った。
取りあえず、マップデータを再ダウンロード。FlightGear本体もインストールし直し、ディスクチェックとデフラグを掛けてから、テスト飛行をしました。ブロンコ改で函館空港を西へ離陸し、ぐるりと回って東から進入。この時は終始、うまく作動しました。
 そこで、改めて青森空港を出発。ところが、どうやってもAbortingが再発してしまうのです。ブロンコ改の他にc310や737-300も動員し、コースや高度を変えながら、計5回にわたって北海道をめざしましたが、いずれの場合も同様にFlightGearが停止。幸い、ブロンコ改の問題ではないことは分かりましたが、呆然としました。
 FlightGearの世界には、榎本武揚の「函館政府」がまだあって。本州からの侵入機を見つけると、五稜郭から土方歳三が、大砲をぶっ放しているのではないか…と思えるほどです(^^;)。

●ついに、HDDをリカバリー:
 やむを得ず、函館空港から旅を再開することにしました。まるでブロンコ改を分解し、JRに乗せて青函トンネルを運んでもらったような気分で、いささか面白くありませんけれども。

 ところが今度は飛行中に、ある地点から先の地形が消えてしまい、眼下が白いもや一色になるトラブルが、何度も発生しました。例えば…札幌を過ぎて大雪山系に向かった場合、いつまで経っても旭岳などの高峰が、雲の上に姿を見せないのです。こりゃおかしいと思って降下すると、どこまで降りても(まるで南北両極点のように)もやが広がっているばかりで、大地がありません。
 この状態を無視してさらに飛び続けると、多くの場合、やはりアプリが停止しました。「冬景色」を、夏に戻してみたのですが、変化なし。念のために過去のフライトも再現してみたのですが、同様に事故が起こります。いよいよ、打つ手がなくなりました。
 私のパソコンは、ノートン・アンチウイルスと、スパイスィーパーでチェックしており、むろん定義ファイルは毎週更新しています。改めてフルスキャンしても、問題は見つかりませんでした。しかし、最近は何かと処理が重くなっていた矢先でもあり、トラブルがここまで進むと、原因不明ながらパソコン自体が不調と判断せざるを得ず、ついに起動ディスクのリカバリーに踏み切りました。

     ○

 丸1日掛けて、再インストールしましたところ…パソコンは見違えるように、快調になりました(^^)/
 FlightGearを起動すると、以前はなかなか、一気に全開にならなかったスロットルが、非常に軽く動きますし、フレームレートも改善されました。もちろん、本州から北海道への移動に問題はありませんし、地形データ読み取り不良も解消。これでようやく、一安心です。

 このコンディションを、ぜひ維持したいと思いまして。専用ソフトを買ってきて、Cドライブを丸ごとバックアップしました。以後なるべくパソコンを軽くしています。今後も数カ月に1回は、再インストールしてしまおうかと考えています。

●ご参考・セーブ方法について:
 jsbsimでは時々、セーブがうまく行かない(1KBしかない、ほとんどカラのファイルが出来てしまう)問題が発生しますが、メニューバーの「file」で飛行ログを取る設定にすると、ほぼ解決することが分かりました。今回の飛行では、「hokkai1」「hokkai2」と、枝番号を付けて何度も途中セーブしましたが、セーブ自体には問題が起きなくなりました。

 ただし、この正常なセーブ・ファイルを再ロードしますと、次回のセーブ時には、再びエラー・ファイルが出来る場合があります。また再ロード後に飛行中、先にご紹介しましたような、地形データが途中から読み込まれなくなる問題が、再び起きる場合もあります。そこで取りあえず、長距離フライトでは、次のような方法をとることにしました。

 (1)まず、飛行ログを取る設定にしておく。
 (2)途中セーブは、基本的に空港の真上で行う。
 (3)フライト再開時は、データの再ロードを行わず、セーブした
    地点の空港から離陸。上空で前回の巡航高度・速度と
    飛行方位を再現する。
 (4)ここでポーズを掛けておき、前回のセーブファイルに「.txt」
    拡張子を付けて開き、ファイル末尾に記載されている、
    燃料の残量を確認する。
 (5)メニューバーの「file」から「Brouse internal Property」
    「consumables」「fuel」と開いて、各タンクの燃料の残り
    を前回通りに設定し、ポーズを解除してフライト再開。

 …かなり面倒ですが、この方法ですと、厳密には「無着陸」ではないものの、まず問題なくフライトを継続できると思います。また大洋を横断中など、どうしても途中から再離陸したくない場合は、セーブ時の緯度経度を確認し、次回起動時に空中でフライトを開始すれば、何とかなりそうです。

 という次第で、今回はトラブルのお話ばかりで恐縮ですが、次回は北海道旅行の続きをお届けいたします。では皆様の、よいフライトをお祈りします。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-2-4 13:51
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回はトラブルのご紹介に終わってしまいましたが、今日は本格的に、北海道一周フライトのルポをお届けします。以下、フライトプランは必要に応じ、お読みになりやすいよう、地域ごとに分けて再掲します。

●地球岬から羊蹄山へ:
◎函館空港(VOR 112.30 NDB 388)←無線局の周波数。
     ▼22deg32nm(19deg197Kt)←針路と距離。
           (カッコ内は、風力を補正した針路・速度)
△室蘭・地球岬
     ▼350deg19nm(348deg192Kt)
△洞爺湖(札幌VOR-113.90から218deg30nm)
       ↑カッコ内は参考データ:VORからの方位と距離
     ▼0deg14nm(358deg193Kt)
△羊蹄山
     ▼54deg34nm(51deg202Kt)
★札幌VOR 113.90

 …前回、「越すに越されぬ」トラブルに見舞われた、函館市を後にして北上します。函館VORのラジアル19度に乗って、半島を飛び越えて噴火湾を渡り、室蘭の南端・地球岬をめざします。(ラジアル方位は、風力の補正計算を済ませた、カッコ内の数値を使います)

 地球岬とはロマンチックな名前ですが、もともとは「チキウ」で、アイヌ語の「崖」にあたる「チケブ」に由来するのだとか。この区間を飛びながら、NAV2受信機をあらかじめ札幌VORの周波数に合わせます。VORのラジアル方位は、羊蹄山から札幌VORに向かう、51度のラインにセットしておきます。以後わずかの間、コンパスを頼りに飛ぶ区間が続きますが、万一迷っても北西方向に飛べば、どこかで飛行コースが、この札幌VORのラジアル51度にクロスしますので、現在地をつかむことが出来ます。

 地球岬上空で、コンパス方位348度に変針。山並みの彼方に、凍結した「冬景色」テクスチャーの洞爺湖が姿を現しました。中央にある島の真上でわずかに変針し、今度は羊蹄山へ。地平線にかすむ、とがった独立峰が次第に近づいてきます。山頂はこちらより高く、航空図によれば標高6211ftです。オートパイロットの設定を6500に上げて、すれすれにクリアすることにしました。実機ですと、山頂付近は気流が悪いでしょうから、もっと間隔が必要だろうと思いますが…。

 山頂を飛び越える寸前、VOR2指示器の針が中央に振れて、札幌VORのラジアルを捉えました。山頂で右旋回してこれに乗り、30nm足らず飛ぶと山並みが切れ、石狩平野が始まります。眼下には札幌市街地が広がり、空港も視界に。さらに北の札幌VORをめざします。

●大雪山系を越え、さいはての島と岬へ:
★札幌VOR 113.90
     ▼75deg74nm(73deg206Kt)
△大雪山系・旭岳(旭川VOR 113.50から100deg17nm)
     ▼332deg118nm(331deg190Kt)
★利尻VOR 114.60
     ▼81deg28nm(79deg206Kt)
★稚内VOR 115.30

 札幌上空で燃料の残りを計ると、未使用の機内タンク2070Lbsに加え、補助タンク(満タン4554Lbs)に3516Lbs残っています。青森出発以来、1038Lbs使ったことになり、これは総量の約6分の1ですから、計算上の航続距離は1400nmを超えます。よしよし…この分ですと、後でちょっとした、オプショナル・ツアーが楽しめるかな?
 札幌VORの直上でラジアル73度に乗り換え、大雪山系に機首を向けました。眼下には、凍てついた石狩川(の支流?)が大きく蛇行を重ね、はるかな地平線に向かっており、なかなか旅情を感じます。

     ○

 オリジナルのブロンコには、電波航法計器はHSI(コンパス兼NAV1・ADF指示器)1台しかありません。VOR局を次々乗り継ぐには、VOR指示器を2台交互に使う方が便利なので、以前お話ししましたように、私の改造機にはNAV2用のVOR指示器を増設しています。
 ただし、VOR/NDB局の方角を、直接示す指針の付いたHSIの方が、一般的なVOR指示器よりずっと使いやすいため、最近は変針点を通過するたびに、NAV1の針路設定を変更し、HSIだけで航法を済ませるようになりました。これは本当に、便利な計器です。

 やがてたどり着いた大雪山系は、あまり高くはありませんが、神奈川県と同じくらいの広さがあるそうで、けっこう雄大でした。
 予定では、この辺で乱気流や雷、吹雪代わりの降雨を出して、大嵐を味わうつもりでしたが、実際にはまだFlightGearの不調が心配で、そこまで気持ちのゆとりがありませんでした。ちょっと薄氷を踏む思いで2倍速に加速し、はるかな利尻島へ旅を続けます。

 利尻島は、円錐形のオブジェが海にポッカリ浮いたような島。途中でかなり2倍速を使いましたので、まだ朝日を浴びています。メニューバーの時刻設定で「noon」を選択し、少し早いですが、お昼の太陽の位置に変更。島を一周して稚内VORへ向かいます。明るい陽光を浴びながら、青い青い洋上を飛んでいると、実にもう爽快でして…

       「北国のぉ〜、旅の〜、そ〜ら〜っ」

 …と、「熱き心に」でも歌いたくなりますね…(^^;)
 かなり昔、対潜哨戒機の元副操縦士とカラオケで同席した折、この歌を聞かされましたが、北の海に青春を燃やした若いパイロットに、あまりにもよく似合う曲なので、しばし聞き惚れたことを思い出しました。
 (余談ながら。昔の旧ソ連海軍は、海自機のソノブイを拾うと、ソナーマンの耳を痛めようとして、がんがん叩いたそうです)

 ここまで来たら、やっぱり宗谷岬を見なくては。ちょっと稚内VORから北上して見物。この向こうはサハリンですね。機首を巡らして、北海道北東岸に沿って、ここからは長い長い東への巡航が続きます。

★稚内VOR 115.30
     ▼142deg101nm(143deg210Kt)
★紋別VOR 112.90
     ▼137deg35nm(137deg210Kt)
★女満別VOR 110.85
     ▼69deg57nm(67deg205Kt)
△知床岬

 凍ったサロマ湖を、接岸した流氷と見間違えて驚いたり、網走の凍てつくような風景を楽しんだ後、知床半島が近づいてきました。
 断崖の多いこの半島は、海に向けて突き出された、巨大な古代の剣のようで、風格満点です。あの峠の向こうが羅臼の浦か…などとつぶやきながら岬を旋回。頭の中では「知床旅情」が鳴っておりました。

●「高田屋嘉兵衛の海」をゆく:
△知床岬
     ▼173deg30nm(175deg207Kt)
△国後(くなしり)島・泊山
     ▼240deg28nm(243deg196Kt)
★中標津(なかしべつ)VOR 111.45

 私のフライトプランでは、知床岬から南下して、中標津VORに向かうまでの間に、ちょいとADIZ(防空識別圏)を飛び越えまして、実世界ではなかなか飛べない、国後島を横断する予定になっています。
 しかし燃料に余裕がありますので、ここで大きく寄り道をすることにしました。国後島に設定した目標点・泊山からそのまま北東へ進み、一気に択捉(えとろふ)島まで、往復してしまうことにします。以下は、フライトプランの追加分です。

 【北方領土オプショナル・ツアー】
△国後島・泊山
     ▼63deg118nm(60deg204Kt)
△択捉島・単冠(ひとかっぷ)湾
     ▼243deg118nm(246deg196Kt)
△国後島・泊山

 …知床岬の先端から、ほぼ真南に進みますと、左前方に横たわる国後島の近さに驚きます。実世界では、北海道を訪ねたことがないのですが、知床岬の展望台からは、この島がよく見えるそうですね。

 低い山々が連なる国後島上空に差し掛かり、泊山(1778ft)の湖上を旋回して一路北東へ。羅臼山の西をかすめて、小さな平野の上を進みます。本物の国後島には空港が設けられ、サハリンから定期便もあったような気がしますが、FlightGearではVOR一つありません。ただし小都市はあって、島内を道路が走っています。
 航空図を眺めると、国後・択捉両島には、柔らかい泥にパチンコ玉を撃ち込んだような、クレーター状の湾や湖が見られます。いずれも火口の跡でしょうね。かつてFlightGearの世界一周でかいま見た、ニューギニアあたりの列島とは、同じ環太平洋火山帯の兄弟分。しみじみと地球の大きさを感じます。

 標高5976ftの爺爺山(何と読むのでしょう?)を左に見て、島の北端の安渡移矢岬を通過。いよいよ択捉島に向けて、幅約15nmの国後水道に差し掛かります。

     ○

 この択捉島への航路を開いたのは、私の知る限りでは、江戸後期に活躍した海商の、高田屋嘉兵衛(1769〜1827)です。
 淡路島に生まれ、苦心して船乗りになった彼は、弁財船(大型和式帆船)の船主船長に出世し、やがて大商船隊を建造して蝦夷地開拓に活躍。ロシア海軍に拿捕され、日露外交史にも顔を出す波瀾万丈の人生は、司馬遼太郎作「菜の花の沖」でお馴染みです。

 嘉兵衛は国後・択捉を探検し、漁場を開拓。択捉島に多くの漁港や水産加工場を開いたそうですので、日本が「国後・択捉は、固有の領土だ」と主張するのは、まあ自然だと思います。
 ただ、旧ソ連の実効支配が始まって60年以上が経ち、ここを故郷とするロシア人がすでに大勢いるのですから…もう返還は無理かな?という気もしますが。一体どうなるのでしょうね。

 ところで嘉兵衛の探検前、すでに択捉島にはアイヌの人たちが渡っていたようです。彼らは独自の航海術と、海上交易ネットワークを持っていたとも聞きますけれど、一体どんな船を使い、どのようにナビゲーションをしたのでしょう。これも非常に興味がわきます。
 …そんなことを考えながら、3000ftの低空で、さらに北東へ。

●パールハーバーへの道:
 区分航空図の端に、小さく別窓を設けて記された、択捉島の地図を眺めながら、私は島の中央・太平洋岸にある、単冠湾をめざしました。ようやくたどり着いてみると、荒涼とした山々を背に広がる、幅約5nm、奥行き3nmほどの湾です。
 ここは流氷の押し寄せない、天然の良港。また、絶対に「人目に付かない場所」であることから、1941年の11月、旧海軍の空母群がハワイをめざして密かに集結したのは、ご存じの通りです。

 パールハーバーから太平洋全域を経て、沖縄や「ヒロシマ」「ナガサキ」、そして東京湾(の降伏調印式)に至る、長い長い旅路の始まりがこの、うら寂しい湾だったのかと思うと、例えバーチャル世界の中でも、感無量です。しばし白い翼を傾けて、何度も旋回しました。

     ○

 高度を4000ftに上げて、いま来た道を、どんどん後戻り。海上のADIZは通常、領空の端よりもずっと広く設定すると思いますが、国後島や歯舞諸島に面した一角だけは、北海道の海岸線から、わずか数nmしか離れていません。
 むろん境界線から、ロシア側の海の方が広いのです。このへんは単純明快に、両国の「腕力の差」を感じますね。日本側の識別圏内に戻り、海岸線を飛び越えると、わけもなくホッとしました。

 今回は、あれこれ歴史のお話に脱線しまして、申し訳ありません。
FlightGearの地形を淡々と眺めていますと、どんどん想像力がふくれ上がって、ついあれこれ、お話をしたくなります。
 現実世界でも(サンテグジュペリとか)一部のパイロットは、長旅の途中に、けっこう夢想の世界に入り込んだようですので…どうか、ご容赦をいただけましたら幸いです。

     ○

 中標津VORの上空で、いったんセーブ。燃料の残りは、手つかずの機内燃料2070Lbs+補助タンク293Lbsでした。
 この時点では計894nmを4261Lbsの燃料を使って飛んでおり、平均燃費は1nmあたり4.7Lbsとなります。単純計算では、総航続距離は約1400nmですが、次第に機体が軽くなる分、最終的にはもう少し長い距離が飛べるはず、と期待しています。

 北海道の旅は、今回で終わるつもりでしたが、余りの広さに予定が狂いまして、もう一回だけお届けします(^^;)。次回は根釧台地を越えて帯広方面に向かい、新千歳にゴールインします。
投票数:7 平均点:5.71

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-2-10 15:01
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 広い北海道の旅も、ようやく最終航程です。
今回は、中標津(なかしべつ)空港VORの上空から飛行を再開。一応のゴールとした新千歳空港に降りますが、燃料にゆとりがあったため、さらに青森県へ戻って、三沢基地まで足を伸ばしました。

 先日またまた、FlightGearの新しいナビゲーション技術を思いつきましたので、まずはそのお話から、ご紹介致しましょう。

●飛行機が「迷子になれない」時代:
 先日、本屋さんで雑誌を立ち読みしていましたら、「多くの自家用ヘリや軽飛行機が、実はカーナビを積んでいる」という記事に出会って、かなり新鮮な驚きを感じました。
 最近は小型機の世界に、すっかりGPSが浸透したようですね。航空用のGPSは、自機より高い地形を、赤く表示して衝突を警告するなど、多くの機能がありますが、誰もが雲の中を計器飛行するわけではなく。自家用機では資格上、有視界飛行のみという方も、少なくないと思います。となれば、平面的な位置だけを示すカーナビでも、十分に航法の補助として役立つ…ということなのでしょう。

 昔、初めて「天候」のあるシミュレータ(MSFS.4 Mac版)を買った時、航法機器の勉強をせず、いきなりジェット機で離陸しましたら、滑走路がみるみる雲に隠れてしまい、帰れなくなりました(^^;)。
 これ以来、「ヒコーキというものは、不用意に飛び立ったら、簡単に迷子になるものだ」と痛感しています。また大昔の冒険飛行時代の、ベーシックな航法技術や、その源流となった船の航海術にも深い興味がありますので、多様な航法の勉強をして遊んできたのですが、いまや飛行機は、実機もフライトシムも、画面に現在地が出るのは当たり前。そう簡単には、「迷子になれない」時代なのですね。

 そこで私も、従来のややマニアックな航法研究と並行して、「どうやったら、Atlasを十分に使いこなして、もっと簡単に飛べるか」を、もう少し探ってみたくなりました。新しいアイディアを2件ご紹介します。

●Atlas画面から、地形の標高を読む:
【Atlas標高カラーチャート】
 航空図なしに、Atlasだけで飛行すると、山の標高が分からなくて不便ですね。そこで地形の表示色から、大ざっぱな標高が判読できるよう、小さな色見本を作りました。標高は「Atlaspalette」内のデータが使えると思ったのですが、実画面と合わないので、UFOで富士山の南斜面を滑走して計りました。「Atlas標高カラーチャート」という名称で「マイアルバム」にアップしましたので、ご覧頂けましたら幸いです。
(サムネイル表示では、いささか文字が汚いですが、ダブルクリックして頂くと、ずっときれいに見えます)

●Atlas画面に、方位・距離情報を追加する:
【Atlas分度器航法】
 FlightGearには「空のカーナビ」Atlasという、強い味方がありますが、現状では、現在地と飛行経路を表示するだけです。これに…
 (1)目的地に向かうための機首方位。
 (2)目的地まで、あと何nmか。何分かかるか。
 …を表示させることが出来れば、非常に便利だと思います。

 Atlas自体の改造は困難ですが、次善の方法として、自機を中心とした360度の大型方位盤を、Atlas画面に重ねて表示し、さらに未来位置を示す同心円状の距離目盛りも表示すれば、(1)と(2)の情報を計算抜きに、画面上で直読することが可能になります。これで、ずいぶん操縦が簡単になるはずです。

 幸い、こうした全周方位盤は、すぐに手に入ります。
以前、06年6月10日の本連載でもご紹介しました、フリーウェア「分度器で測りましょ Ver.1.05」がぴったりです。これはパソコン画面上に、四半円か半円、または円形の分度器を、好きな大きさと色彩・透明度で表示するツールで、「ダイゴ文具店」というサイト…
     http://www6.ocn.ne.jp/~dagc/
…で公開しています。
 (このサイトには同心円表示ツールもあります。これを使って、マップに同心円+放射線の目盛りを重ねると、とてもカッコいいのですが、倍率調整の自由度が低くて不便でした。今回は、分度器の方を使います。距離情報は分度器の半径から、目測することにしますが、このあたりは後日、もっと改良したいと思っております)

【分度器の設定法】
 「分度器で測りましょ」をダウンロードして、真上がゼロ度の右回り全周表示とし、目盛り表示を黒、背景を明るいグレー、透明度を30〜40%に設定。分度器の中央を、Atlas画面の自機に合わせます。
 またAtlas画面の緯度表示(緯度の1分=距離の1nm)を目安に、分度器の半径を20nmに合わせておきます。これは、ブロンコの巡航速度200Ktでは、6分間の飛行時間にあたりますので、飛行距離と所要時間の目安になります。
 Atlasマップの縮尺を「Zoom In」「Zoom Out」キーで変更すると、分度器の半径が示す距離・飛行時間は、次のように変化します。

  【マップ縮尺率】【分度器半径】【飛行時間】
  ・起動デフォルト  20nm     6分
  ・ZoomOut1回  26nm     8分
  ・     2回   34nm     10分
  ・     3回   44nm     13分
  ・     4回   57nm     17分

 最後にFlightGearの画面表示ですが、HUDをオンにします。これで準備が終わりました。

【行きたい場所に即、ナビゲート可能】
 分度器の使い方は、非常に簡単です。飛行中、Atlas画面上で行きたい地点を探し、その方位を目盛りから読み、HUDのコンパスを見ながら旋回して目的地に機首を向け、Ctrl+Wキー(ウイングレベラー)を押すかオートパイロットの設定で、機首方位を固定するだけです。

 実際にこれを使って、青森空港から八甲田山、十和田湖上の御倉山、弘前市を経て、青森空港に戻るショート・フライトをやってみましたが、十分に正確な飛行が可能でした。
 またAtlas画面で滑走路の方位を見て、分度器半径から距離を目測すれば、かなり正確にアプローチも可能です。(滑走路に正対し、5〜10nm手前で、高度1500ftに降りておけば楽勝です)

 また風力補正は、事前に計算しなくても飛行可能です。分度器目盛りで針路のずれを発見し、勘に頼って修正しても目的地に着きますが、正確を期すには「倍角度法」を使います。例えば5分間飛んで左に5度ずれたとしますと、次の5分間に右10度の修正を行い、その後は右5度の修正角を維持すれば、ほぼ正確な針路に乗ります。

 この新航法を、APN(Atlas Protractor Navigation)と、勝手に名付けました。通称「Atlas分度器航法」です(^^)。ではこれを、北海道で試してみましょう。

●「消えた砂洲」の謎:
 前回セーブしました、中標津空港VORの上空から、フライトを再開します。この部分のフライトプランを、再掲しておきましょう。

★中標津VOR 111.45
     ▼280deg18nm(281deg191Kt)
△摩周湖
     ▼253deg18nm(255deg194Kt)
△雄阿寒岳
     ▼232deg59nm(235deg198Kt)
★帯広VOR 109.65
     ▼269deg57nm(271deg192Kt)
★鵡川VOR 116.40

 …中標津上空から、さっそく摩周湖に向かおうと思ったのですが、すぐ東の海岸には野付半島という、長さ28キロもある面白い形の砂嘴(さし=湾曲した長い砂洲)がありますので、ちょっと見物に出かけました。「Atlas分度器航法」なら、コース変更は簡単です。
 Atlas画面で半島を探して分度器を見ると、針路は真方位95度、距離は約16nm先…とすぐに判明。さっそく上空へ。
 ところが眼下の半島は、根元の部分しか見当たらず、ひたすら海が広がっています。またFlightGearが不調になったのかな? と冷や冷やしながら、じっくり海を見ると…あった! 陸地の一部が、海面のテクスチャーに化けていたのです。(航法自体は正確でした)

 これは、以前から目にする問題です。少なくとも私のパソコンでは、冬景色を選ぶと、テクスチャーが頻繁に、冬枯れの原野から雪原へ、またツンドラへと、ランダムに切り替わってしまいます。夏景色は155種のテクスチャーがあるのに、冬景色は39種しかないため、アプリが適当に割り当てるのでしょうか。そしてたまには…地表が「海面」になってしまうわけですが、なんとかしたいものですね(^^;)。では次の目標へ。

●目的地、よりどりみどりの、簡単ナビ:
 最初は摩周湖と勘違いして、隣の屈斜路湖へ行ってしまいましたが…順調に航法を続けまして、さらに雄阿寒岳から、マリモで有名な阿寒湖、その西の雌阿寒岳へ。雪と岩の色をした、ごつごつした山頂を至近に見ると、背筋が寒くなるような迫力です。「Atlas分度器航法」では面白いように簡単、かつ正確に、目標へ到達します。

 ここで計器盤右側に、赤ランプが点灯。大容量の補助タンクが、とうとう空になったのです。機内タンクから自動給油されますから、エンストはしませんが、選択スイッチを機内タンクに切り替え。これで赤ランプが消えました。燃料はまだ2000Lbs(400nm、2時間分)あります。

●広大な山と平野…道南を行く:
 「Atlas分度器航法」は、近距離では極めて便利なことが分かりました。ただし、ひたすら距離を稼ぐ航程では、やはりVORをオートパイロットでトラッキングした方が楽で、正確でもあります。というわけで、以後は帯広VORを受信し、しばらく「Atlas分度器航法」の精度を確認。やがてVORのみに切り替え、HUDを消して帯広へ向かいます。(VOR航法は磁気方位ですので、そのままHUDのコンパスを使うと、偏差の約8度分だけ誤差が出ます)

 眼下は、ひたすら霧と山々と原野、ときどき道路。北海道の広さが、ひしひしと迫ってきます。ようやく着いた帯広から、鵡川VORのラジアル269度に乗り換えました。
 ゴールの新千歳空港には、正規の計器着陸コースでILS進入をする計画ですが、鵡川VORはその初期進入フィクスに当たります。

●たそがれの新千歳空港へ:(以下すべて磁気方位)
★鵡川VOR 116.40(ここからユキイ・イースト・アライバル)
     ▼180deg8nm(182deg206Kt)
     ▼270deg約10nm(272deg192Kt)
     ▼002deg約3nmで…
△YUKIIフィクス(鵡川VOR-240degラジアルとの交点)
     ▼002deg16nm(ILSアプローチ)
◎千歳空港RWY-01L(ILS 110.90)
(ILS故障時は千歳VOR-116.90から14deg4nmでRWY)

 新千歳に向かう、東の計器進入コース「ユキイ・イースト・アライバル」に入ります。鵡川から真南に8nm飛んで海上に出て、真西に変針し、やがてDMEが、鵡川VORから12nmを示した時点で、002度へ機首を向ける「コの字型」コースです。
 北への旋回を終えた時点で、ちょうどILSコースに乗るのですが、この場所がYUKIIフィックスにあたることから、「ユキイ・アライバル」の名があります。(Atlasマップには「YUKI」と出ますが、誤記のようです)

 7500ftまで上げていた高度を、徐々に下げます。長旅に少々疲れて、鵡川上空で南下すべきところを西に向かい、やり直し。後はほぼ正確に飛びましたが、YUKIIは2nmほどずれて通過しました。
 もっとも、私の古い航空図には鵡川VORがなく、事前に書き込んだくらいですから、フィックスの位置も変更された可能性があります。(私のチャートにはまだ、新千歳空港もないんです)(^^;)

     ○

 …「長い一日」を実感したかったので、ちょっと早すぎますが、ここから時刻設定を「Dusk」(日没)に切り替えました。冬の空はどんどん暮れて、ぐっと寂しい雰囲気に。
 新千歳のILSを受信し、オートパイロットをロック。機体は正確にローカライザをたどります。これを確認のため…HSIを拡大表示していましたら、どんどん機体が沈んでいるのに気付いて、あわてて上昇。手動でグライドパスに乗せました。新千歳のILSに、何か問題があるのでしょうか。危うく太平洋に突っ込むところでした。
 間もなく、千歳・新千歳両空港の華やかな灯火が、ぐんぐん近づいて来まして…滑らかなタッチダウンです。こんばんは、新千歳。

●ついでに、本州まで行ってしまおう:
 燃料はまだ1101Lbs残っています。ならば青森まで行ってしまえと、滑走路上でNAV1を函館空港にセット。続いてADFを数nm南にある、航空路の起点を示す千歳NDBにセット。すぐ離陸します。
 空港の見事な夜景を見下ろして、機首を南へ。千歳NDBを起点にVOR航法を開始し、2倍速ですっ飛んで、函館上空を通過。そのまま津軽海峡へ飛び出しました。
 高度8000ftで、星空の海峡を横断。青森上空に進入します。

 ブロンコの夜間飛行にも、多少慣れてきましたが、青森空港はゴーアラウンドすると低い丘陵があります。思い切り広い所に降りたくて、ずっと東の三沢基地へ向かうことにしました。
 私の航空図では、三沢はTACANしかないのですが…ちゃんとVORTACに改良されており、楽々と飛行を継続。ILSがまったく受信できなかったのが、最後のハプニングでしたが、広くて長い滑走路にゆったり着陸。燃料の残りは259Lbs(巡航50nm、15分相当)でした。

     ○

 やっと、北海道フライトの完了です。
全航程  :約1280nm。
飛行時間:約6時間30分(2倍速は考慮外の模擬時間)
使用燃料:6365Lbs。
平均燃費:1nmあたり5.0Lbs。

 途中で1回離着陸したためか、燃費は、機体が軽くなった後半の方がわずかに悪化し、全体に予想をやや下回る結果でした。ブロンコのエンジンは、低空ほど高出力のようですので、津軽海峡で少々高度を上げたことも影響したのでしょう。しかし一応、これだけの航続力が実証されたとも言えます。
 一休みしましたら、次は岩手県を南下するつもりです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-2-18 23:20
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回ご紹介しました「Atlas分度器航法」は、目標までの距離を、分度器の半径から目測する仕組みで、正直かなり不便でした。そこで今回は、大幅に改良しまして…

     「Atlas画面の好きな場所を、ポインタで指すと
     自機からの方位・距離がデジタル表示される」

…という、夢のような(?)機能を追加しました(^^)。

●Atlas航法の、これが恐らく決定版:
 これはAtlas 0.3.0と「分度器で測りましょ 1.05」に加え、以前からご紹介していますフリーウェア「斜めものさし 1.14」が持っている、マウスポインタ位置の表示機能を使うと、簡単に実現します。

 これで飛行中いつでも、数十nm以内のあらゆる地点への、針路や距離がすぐ分かるほか、飛行前にフライトプランを書く道具としても、非常に便利に使えます。また磁気方位を直読するように設定できますので、これで得た針路は世界中で、VORラジアルや計器盤のコンパス表示と一致します。もう航空図がなくても、大丈夫です。

 さらにAtlasが描いた、直線飛行経路の角度を分度器で計り、コンパス針路と比較すれば、偏流(風に流される角度)も測定できますので、推測航法にも便利。これで天文航法を除けば、やりたいことは、ほぼすべて可能になりました。私は今回、現行のFlightGearとAtlasを使う航法の、決定版を発見したような気がします。

     ○

 この「Atlas分度器航法」の改良版を、「Atlas分度器斜めものさしインターフェイス航法」と名付けました。横文字で書きますと、
 Atlas Bundoki Naname-monosashi Interface Navigationですので、略称は「ABUNAI航法」です。覚えやすいでしょう(^^;)?

 では以下に、ABUNAI航法の各種設定方法を、詳しくご紹介します。また今回はこれを使って、岩手県を南下するフライトプランの作成と、実地フライトに取りかかります。
(「ABUNAI航法」の画面表示を、「マイアルバム」にアップしておきましたので、こちらもどうぞご覧下さい)

●「斜めものさし」の入手と設定:
 「斜めものさし Ver.1.14」は、お馴染みの「ダイゴ文具店」…
     http://www6.ocn.ne.jp/~dagc/
…で、すぐに見つけることが出来ます。

 「斜めものさし」は多機能で、デジタル分度器を兼ねるほか、ものさし本体表示とは別に、小さなウインドウが画面に出まして、ものさしゼロ点からのポインタの方位と距離を、常時デジタル表示します。目盛りの倍率設定も自由。今回はこの機能を活用します。

【まず倍率を調整する】
 「斜めものさし」を任意のフォルダに解凍しましたら、Atlasの縮尺に合わせて、目盛りの倍率を調整します。「斜めものさし」を起動し、右クリックで「設定」を開いて「全般」のタブを開き、「基準を表示」をクリックしまと、茶色の矢印が現れます。
 この矢印が、もし横位置になっていましたら、右クリックで「縦/横」を使って縦位置に変更してください。そして矢印をAtlas画面上にドラッグし、任意の緯度の線に一端を合わせます。もう一方の端をドラッグして、上下いずれでも構いませんが、隣の緯度の線に合わせます。

 Atlasの縮尺は、起動時には約50万分の1です(画面設定によって変わります)。このとき緯度の線の間隔は、15分(つまり15nm)になると思います。上下の緯度の数値を確認し、間隔が15分でしたら、ものさし「全般」設定メニューの、「基準の長さを○とする」という欄に「15」と入力して「OK」を押します。
 これで「斜めものさし」の目盛りは、Atlas画面上の距離を、nm(ノーティカル・マイル=海里)単位で正確に示します。
 【注】:以上の設定は、必ず緯度の線(地図上の水平線)を基準に行ってください。間違って経度の線(垂直線)に合わせると、非常に大きな誤差が出ます。
 【注2】:緯度1度の60分の1が、1分です。これは距離に換算すると1nmに当たります。従って緯度の15分は距離にして15nmです。

【方位を設定する】
 「斜めものさし」は、ゼロ点と反対の端にある「○」マークにポインタを合わせると、任意の角度に回転させることが出来ます。また○マークのそばに、ものさしの角度がデジタル表示されます。
 「設定」メニューの「全般」には、「角度の基準」というボタンがありますので、ここで「上」と「右回り」を選択します。

 次に「斜めものさし」を回転させて、正確に垂直に立ててください。デジタル角度表示を見て「0.0度」に合わせれば簡単です。そして「斜めものさし」を移動し、Atlas画面中央にある自機の位置に、正確にゼロ点を合わせます。ものさしの目盛りは両サイドにありますが、回転の中心になる方のゼロ点を、自機に合わせます。
 これで自機からの、マウスポインタの位置を計ることが出来ます。位置表示は、画面左上にある、小さな灰色の「方位・距離」ウインドウに出ます。「Atlas分度器航法」で使うのは、この「方位・距離」ウインドウだけですので、常に見える場所に置いてください。不要の「斜めものさし」本体は、Atlas画面をクリックして背景に隠します。(「常に手前に表示」機能があるので、オフにしておきます)

     ○

 これでひとまず、準備はおしまいです。
さきほどの、「方位・距離」ウインドウを見てください。緑色の扇形がありますね。ここに表示されている数値が、ゼロ点(自機の位置)からの、マウスポインタの方位です。また青いバーの下に表示されている数値が、ゼロ点からのマイル(nm)数です。
 試しにAtlas画面の上を、あちこちポインタで指してみてください。あらゆる地点への、正確な針路と距離がデジタル表示されます。

 …とっても、便利でしょう? どうかフライトでお試し下さい。

●「ABUNAI航法」のオプション:
 これでとりあえず、Atlasのデフォルト縮尺で使えるようになりました。もう一息作業をしますと、さらに格段に便利になります。

【複数のAtlas縮尺を使うには】
 Atlasを実際に使う場合は、頻繁に縮尺を変更します。そのたびに「斜めものさし」の目盛り倍率を、再設定するのは面倒ですね。そこで私は、普段使いそうな縮尺の数だけ、「斜めものさし」を用意して、個別に目盛り倍率を設定しています。(インストーラはないので、フォルダごとコピーすれば何個でも作れます)
 私はデフォルト縮尺と、ZoomOutボタンを1〜4回押したときの、計5種類の縮尺を使います。そこで5つの「斜めものさし」を用意し、タスクバーのクイック起動領域に、まとめてショートカットを置いています。この場合は、設定が上書きされたりするのを避けるため、ショートカットのパス設定をする必要があります。方法は以下の通りです。

 (1)解凍した「斜めものさし」を、フォルダごと4つ複製。
   (フォルダごとに、個別のDLLファイルが必要なため)
 (2)複製した各フォルダに、通し番号を付けておく。
 (3)複製フォルダにあるexeファイルに、個別にショート
    カットを作成。これにも、フォルダ名と共通の通し番
    号を付ける。
 (4)各ショートカットのプロパティを開いて、「リンク先」と
    「作業フォルダ」のパスにある、それぞれのものさしの
    格納フォルダ名に、対応する通し番号を付ける。
 (5)複製した4つの「斜めものさし」の「設定」メニューを
    個別に開き、それぞれZoomOut 1〜4回の縮尺に
    合わせて、目盛りの倍率を設定する。

 …これでOKです。面倒ですが、終われば快適なフライトが待っています。「斜めものさし」は色彩が変えられますので、私は間違い防止のため計5つの表示色を、デフォルトから順に青、緑、黄、オレンジ、赤にしましたが、むろん変更しなくても使えます。
 HUDのコンパスを使って、真方位で飛ぶ限りは、このままの設定で大丈夫。どこへでも正確にフライトが出来ます。

【磁気方位を使う設定】
 …ここまで来たら、あと少し頑張りましょう!!
 皆さんがVOR航法をされたり、「HUDではなく、計器盤のコンパスやHSIを使いたい」という場合は、「分度器で測りましょ」と「斜めものさし」の方位表示を、土地ごとに異なる「偏差」に基づいて調整し、磁気方位にする必要があります。
【注】:偏差とは、実際の真北とコンパスが示す「北」の、ずれを示す数値です。例えば、コンパスが真北より5度西を示す場合を「偏西5度」と言い、「5W」と表記します。またコンパスが真北より5度東を指す場合を「偏東5度」と呼び、「5E」と表記します。

 磁気方位を求めるには、偏西なら真方位から引き、偏東なら真方位に足すのですが、「ABUNAI航法」ですと計算不要です。
 さきほど垂直(「0.0」度)にした「斜めものさし」を、偏差の値に応じて、左右いずれかに傾ければOKです。偏西5度でしたら、ものさし本体を左(地図の西方向)に傾けます。ものさしのデジタル表示が「355.0」に合えばOKです。うまた「偏東5度」でしたら、デジタル表示が「005.0」度に合うまで右(東)に傾けます。この調整の後で分度器も、ゼロ度の線が、ものさしの角度に合うように回転させます。ここではとにかく、

 ●「偏西の角度だけ、ものさしと分度器を西(左)へ回転」●

 ●「偏東の角度だけ、ものさしと分度器を東(右)へ回転」●

と、覚えておいてください。
 これさえ守れば大丈夫。「ABUNAI航法」システムは、磁気方位にセットされます。「方位・距離」ウインドウのデジタル方位は、その土地のVORラジアルや滑走路方位、さらに計器盤の全ゲージが示す方位と、全世界で正確に一致します。
 これであなたも今日から世界中を、極めて精密にナビゲートすることができます。では以下に、偏差のデータをご紹介します。

【国内フライトの偏差】
 国内の偏差は取りあえず、以下の数値を用意しました。相当大ざっぱですが、飛行の精度を考えれば、これで十分かと思います。

・宗谷岬                偏西10度(10W)
・北海道中央部           偏西9度
・北海道東端             偏西8度
・青森、秋田、岩手         偏西8度
・福島以西の本州中心軸、福岡  偏西7度
・本州・四国の南岸、九州南部  偏西6度
(2000年の国土地理院資料を参考にしました)

【海外フライトの偏差】
 また海外フライトの場合は、本連載の昨年12月26日掲載分にもご紹介しましたサイト、
  http://www.geo-orbit.org/sizepgs/magmapsp.html
…から、世界各地の偏差が読み取れます。
・参考:サンフランシスコ湾周辺   偏東16度(16E)


■「イーハトーヴ」の空を行く■
 お待ちかねの飛行編です。手始めに宮沢賢治を生んだ、岩手県を飛んでみましょう。まずフライトプランを作りますが、これもABUNAI航法システムを使えば簡単です。

●偏差とゼロ点をセットする:
 まずAtlasと分度器、デフォルト倍率用の「斜めものさし」を起動します。そして先ほどの、「国内フライトの偏差」一覧をご覧下さい。
 岩手地方は偏西8度ですね。そこで「斜めものさし」本体を、左に8度傾けます。つまり本体の端にあるデジタル表示が、真北からマイナス8度=「352.0」度になるように合わせます。次にものさしゼロ点を、Atlas画面中央の赤い自機マークに合わせます。分度器も起動して中心点を合わせ、ゼロ度のラインがものさしに一致するよう、左に8度回します。これでABUNAI航法システムは、磁気方位にセット完了です。

●針路と区間距離を計る:
 Atlas画面をドラッグして、自機マークを出発地の三沢基地に合わせます。最初の航程は八戸空港VORに向かうことにしますので、マウスポインタを八戸空港に合わせて「方位・距離」ウインドウを見ると、三沢から160度・10nmというところですね。
 次は八戸空港に自機マークを合わせて、岩手山を探してみましょう。岩手山の山頂は、「ZoomOut」を3回押すと、画面左下に出現します。デフォルト倍率用「斜めものさし」を終了し、ZoomOut3回用の「斜めものさし」を新たに起動。角度を8度にしてゼロ点に合わせ、ポインタを岩手山に合わせます。すると針路と距離は、磁気方位193度・19.2nmと判明。以後同様に測定を重ねます。取りあえず宮沢賢治の故郷、花巻までコースを描いてみました。

◎三沢基地(VOR 115.4)
     ▼160度10nm
★八戸空港(NDB 381)
     ▼215度48nm
△岩手山
     ▼190度10nm
△雫石町
     ▼93度7nm
△盛岡市
     ▼193度16nm
★花巻VOR

●三沢基地を離陸する:
 フライトプランが出来上がったら、FlightGear本体を起動して、出かけましょう。
 三沢の滑走路を夜間に離陸し、5nmほど直進。上昇しながらターンして、基地VOR上空を高度3000ftで通過し、八戸に機首を向けます。
 前回「マイアルバム」でご紹介しました、「Atlas標高カラーチャート」も、ぜひ使ってみて下さい。暗い地表は当分の間、標高300ft以下の平野が続くことが分かります。これで視界が悪くても、安心して巡航することが出来ますね。
 …次回は「イーハトーヴの旅」を、じっくりご紹介いたします。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-2-27 22:48
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回ご紹介しました、Atlasの画面表示に、方位・距離表示機能を追加した「ABUNAI航法」を活用して、詩人にして童話作家・宮沢賢治のふるさと、岩手県を南下します。


■「イーハトーヴ」の空を行く■(続き)
  (マップデータ:e140n40.tgz
           e140n30.tgz )
 では、改めてフライトプランをお目に掛けましょう。

◎三沢基地(VOR 115.4)
     ▼160度10nm
◎八戸空港(NDB 381)
     ▼215度48nm
△岩手山
     ▼190度10nm
△雫石町
     ▼93度7nm
△盛岡市
     ▼193度16nm
◎花巻空港(VOR 112.80)
     ▼122度16.5nm
△遠野市
     ▼107度20nm
△釜石市
     ▼219度36nm
◎松島基地(TACAN 114.30)

 以前ならAtlasで緯度経度を計り、「Virtual E6-B v1.4」計算器で針路と距離を算出したものですが…今回はABUNAI航法のお陰で、Atlas画面上の中継地を、マウスポインタで次々と指すだけで、あっさり作業を終えました。
 (Atlas地図にも歪みがありますから、図上で方位と距離を計測しますと、長距離では多少の誤差が出ます。どの程度になるか、そのうち分析評価したいと思っています。ただABUNAI航法では、飛行中に絶えずコースの修正が可能なため、実用上は問題ないと思います)

●冬の星座の下で:
 …今回は夜間飛行で、三沢を西に離陸します。リアルウエザーが選んだ天候は、雲量が1600ft=few、2600ft=scatterd。340度の風21Kt程度です。やや強風ですが、ABUNAI航法では、風力補正は飛行中でも可能ですので、事前の計算は省きました。
 離陸後、VORを頼りに反転し、3000ftで三沢基地上空を通過。南の八戸空港へコースを合わせると、間もなく地平から八戸の滑走路と、点滅する航空灯台が見えてきました。

 八戸上空で、Atlas画面と「斜めものさし」の縮尺を変更し、48nm先の岩手山をめざします。風のため針路がそれるので、ABUNAI航法の分度器表示を頼りに、右へ10度ほど修正しました。
 鉄瓶で有名な「南部」地方を低空で飛びながら、ふと視界を右に振ると、6〜7個の小さな星が、米粒大に密集しているのが見えました。冬の夜空の宝石・プレアデス星団です。FlightGearには、ちゃんとモデリングされていて、嬉しいですね。
 さらに空を探すと、少し前方に予想通り、オリオン座が広がっていました。気分はさながら「銀河鉄道の夜」です(^^)。
 (これら星座や太陽の高度を、フライト画面上で、正確に計る方法が見つかると、1950年代くらいまで行われた、天測航法が再現できて面白いのですが…今のところ、方法を思いつきません)

●岩手山をかすめて:
 Atlasによると、前方に丘陵地帯があります。「Atlas標高カラーチャート」によれば、標高は最大で3500ft。自機の方が低いので、3700ftまで上昇。やがて暗がりの中、機体は頂上をかすめて通過し、その向こうに、たくさんの光が広がりました。
 眼下には、3本の光の筋が南方へ伸びています。東北自動車道と、あとは国道でしょうか。再びABUNAI航法で針路を修正し、ぴったり岩手山へ機首を向けます。

 岩手山の高さは、「Atlas標高カラーチャート」によると最大5000ft。オートパイロットの設定を5000ftに変更しましたが、少し手遅れでして、前方に真っ黒な、ピラミッド状の影が立ちはだかりました。
 ここは変針することにして、距離と針路を確認。地形から見て、より安全な左手へ機首を向けました。ぶつかる心配はありませんが、「暗黒の富士山」のような夜の山塊は、少々不気味です。怪物の背を、そっと乗り越えるようなスリルを味わいつつ、中腹をすり抜けました。

●進化するナビゲーション:
 従来の、VOR中心のフライトですと、夜間飛行はいわば、点と点を結ぶ孤独な作業です。途中の闇には、何が隠れているのやら、よく分からないわけですが…この航法ですと、常に地形と対話しながら飛んでいる感じで、低空飛行が一層楽しくなりました。

 あちこちで読んだのですが…実機の計器飛行の世界でも、かなり近い将来に、大きな変化が起こりそうです。
 例えばアメリカでは、従来は有視界飛行をしていたヘリコプターに、GPSアプローチが急速に普及しつつあります。空港近くに設けられた目標点にGPSで接近し、そこから目視で所定の進入路をたどる方式で、病院のヘリポートを含む数百の空港が、すでに対応を済ませたとか。足の遅いヘリは、ジェット機用に設定された、遠回りをするIFR進入コースには不向きですので、この方法は日本でも注目されています。

 また日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、FAA(米連邦航空局)と共同研究で、「NOCTARN(適応型飛行経路)」という、空港に向かって任意の曲線コースでアプローチする、新しい計器進入の実機テストを進めています。これは小型機のディスプレーに、混雑や騒音を防ぐ最適コースと地形を、3D表示して飛ぶものです。
 大型機では、従来のVOR航空路には依存しない、「RNAV(広域航法)」という飛び方が、すでに始まっていますが、アメリカでは将来、出発地と目的地を、いきなり直線(!)で結んでしまう航法の実現をめざし、管制方法の再編成を研究しているようです。
 …こんな時代の風を感じながら、私もイージー・ナビゲーションの新しい方法を見つけたくて、ABUNAI航法を考案しました。

●花巻空港に寄港:
 岩手山から少々南下すると、すぐに雫石町。ここは71年に、空自のF86と全日空の727が衝突した場所です。犠牲者162人の冥福を祈って、夜空をぐるりと270度旋回。その後、盛岡を経由して南下を続け、花巻空港の上空に差し掛かりました。
 当初は、もう少し先まで行くつもりでしたが、今夜は時間がないので、ここに降りることに決定。いったん空港を通過し、南からベースターンによるアプローチを行い、ILSをセットしました。

 …初めての空港への夜間VOR進入は、心細いものですね。VOR指示器の型によっては、着陸やり直しなどで設定コースを大きく外れた場合、位置関係が分かりにくく、一層不安になります。
 ABUNAI航法の場合は、やり直しも、緊急着陸も簡単です。またブロンコはILSをセットしますと、DMEに距離表示が出ない欠点がありますが、この航法では、いつでも独自に方位と距離が読めますので、この問題も克服できます。あとは滑走路とPAPIさえ見えれば、あまり昼間の着陸と変わりありません。

●画面を「夜間視力」にセットする:
 というわけで、今回はリラックスして進入しましたが…なぜかILSのグライドパス指針が、HSIの盤面に表示されません。おかしいなあと思いながら、強い横風の中を着陸しました。
 私はうっかりしていましたが、もともとブロンコは、ILS指針が照明されないのですね。不便ですが、照明を追加する改造は、私には無理です。結局、ディスプレーの調整で切り抜けることにしました。

 グラフィックのプロパティを開いて、ガンマ補正を掛けて中間トーンを明るくし、暗夜に目の慣れた(或いは、満月の夜くらいの)明るさに設定しました。これで何とか、照明のない計器も読めます。
 この配色を「夜間視力」という名で保存し、デフォルトの配色と切り替えて使おうと思ったのですが、FlightGearを起動中に切り替え操作をしますと、フレームレートが極端に低下して、飛べなくなることが分かりました。プロパティから、いちいち調整する場合は大丈夫です。

●「グスコーブドリの伝記」:
 先ほどの岩手山は、あとで活火山と知りました。県HPによると、過去に大噴火の記録があり、95年から火山性微動が続いたため、産官学やマスコミが連携し、対策を練っているそうです。
 火山と聞くと、宮沢賢治の童話「グスコーブドリの伝記」を思い出します。1932年に発表されたこの作品は、未来技術の予測小説としても面白いので、脱線して申し訳ありませんが…まだお読みでない方のために、少しご紹介させて下さい。

 主人公ブドリは、岩手をモデルにした農業国・イーハトーヴの少年。冷害の大飢饉で両親を失い、妹と離散。ある科学者に才能を見出され、「イーハトーヴ火山局」で働くことになります。
 この小国には300も火山があり、火山局は全山を監視して、噴火の迫った山には、命がけでマグマを抜く工作を行い、住民を守っています。ブドリは悲惨な体験から、「災害や凶作を防ぎたい」との思いが強く、優れた技師に成長。干ばつを防ぐ人工降雨などにも活躍して、生きがいに満ちた数年を過ごしました。
 やがて大冷害が再来。このままでは、また大量の餓死者や、一家離散が避けられません。ブドリは大気中の温暖化ガスを、人工的に増やして気温を上げようと、ある大胆な計画を立てました…。

 …作中、飛行船が夜の雲海に薬品をまく、人工降雨のシーンは幻想的です。また火山局内の描写にも、驚かされます。「タイプライターのような機械」が100台以上並び、観測データを刻々と受信。巨大な立体地図の上に、各火山の活動状況が「数字になったり、図になったり」して表示される…という情景は、まるで宇宙船の管制センター。よくこんな場面を、80年も昔に思いついたものですね。
 賢治の科学観は、今から見れば、やや素朴ではありますが。ひたむきに人間を守る、輝かしい「知恵の砦」のようなイーハトーヴ火山局が、私は好きです。本作品は、すでに版権が切れているので、「青空文庫」から無料でダウンロードできます。

●リアス式の見本、三陸海岸:
 日を改めまして、ブロンコ改で花巻空港を離陸。今度は昼間のフライトです。3000ftで市街地の上空を旋回し、南北に流れる北上川に見とれた後、一路東へ。怪談などの伝承集「遠野物語」で名高い、遠野市を経由して、高度3700〜5000ftで北上山地を越え、太平洋岸に出ました。
 ここ三陸海岸は、典型的な「リアス式」です。高度を3000ftまで落とし、速度は240Ktまでアップ。次から次へと現れる、細い半島と狭い湾を飛び越えて、スピード感あふれる旅を楽しみました。

 やがて宮城県上空へ。Atlas画面上で、マウスポインタを航空自衛隊の松島基地に合わせ、再び針路と距離を確認。ここは戦闘機の教育航空団があり、ブルーインパルスのホームベースです。1500ftまで高度を落とし、RWY-25へダイレクト進入態勢を取ります。さらに接近しますと、横風用の滑走路があることに気付きました。

 地表の風力は、310度の風10Ktです。そこで横風用のRWY-33に降りることにしまして、ゴーアラウンド(着陸やり直し)。左に90度旋回して太平洋に出て、3nm沖で反転し、最終進入しました。
 今回は、機内タンク(2070Lbs)だけを使ったのですが、飛行距離が短かったため、燃料は1418Lbsも残りました。次回は関東方面をめざして、もっと距離を稼ぐことにします。

●ピラタスで松島上空を舞う:
 空港の南西には、松尾芭蕉もほめた景勝地・松島湾が広がっています。到着後、今度は曲技機のピラタスPC7を起動しまして、ちょっと観光フライトに出ました。FlightGearのテクスチャーは、一足早い気もしますが、夏景色に戻しておきました。
 松島湾には大小の小島が散在し、美しい風景ですが、本来は松林や奇岩が売り物でしょうから、FlightGearでは、やや「がっかり名所」の部類です。しかし、ピラタスの軽快な運動性が新鮮で、しばしスタント(曲技飛行)に時間を忘れました。

 これは「飛ぶって、楽しい!!」と感じる飛行機ですね。2000ftから、まず連続宙返り。エルロン・ロールでくるくる回った後、インメルマン・ターンやスプリットSを交え、空中を踊りまくりました。
 最後に、バレル・ロールにもトライ。あいにく私の環境では、ラダーの単独操作ができないため、機首方位が左右に動いてしまいますが…まあ多少は、それらしい気分を味わいました。
 PC7は全開で約300Ktも出ますし、スロットル50%でも198Ktを維持できます。零戦並みか、ちょっと速いくらいでしょうか。航法計器はコンパスだけですが、Atlasを使うABUNAI航法でしたら、どこへでも行けます。これは面白い…と思って、一応燃費を計ってみましたが、非常に大食いで、満タンでもスロットル50%で約27分、90nm程度しか飛べないことが分かり、ちと残念です。しかしアプローチも楽ですから、今後も時々「観光」フライトに使うことにしましょう…。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 このフライトでは、松島基地から一気に関東へ帰ります。
磐梯山の周辺や尾瀬を経由し、関東平野へ出て幾つかの飛行場を巡り、埼玉のホンダエアポートをめざします。

 今回も、ABUNAI航法システム(2月18日の本連載に詳報)を使いましたが、単にAtlas画面を見ながら飛ぶだけでなく、飛行中に偏流角(風で流される角度)を計って補正する、リアルな航法をご覧に入れます。たとえGPS航法でも、FMS(フライト・マネジメント・システム=オートパイロット連動の、総合航法コンピュータ)を持たない小型機では、必ず飛行中に、パイロットが何らかの方法で、風の影響を補正すると思います。これと同じことをやってみましょう。
 では以下に、フライトプランをお目に掛けます。

■青春の山々・関東の空■(松島から利根川へ)
  (マップデータ:e130n30.tgz
           e140n30.tgz )
(針路はすべて磁気方位。偏差は「偏西」8度
          としてAtlas上でコース測定)
◎松島基地
    ▼229度21nm
★仙台空港VOR(116.30)
    ▼244度42nm
△吾妻山
    ▼203度17nm
△猪苗代湖(中央)
    ▼252度44nm
△銀山湖(奥只見ダム湖)北端
    ▼181度12nm
△尾瀬・燧ヶ岳
    ▼155度16nm
△日光・中禅寺湖
    ▼136度24nm
☆日光NDB(389)(以後、偏西7度で測定)
    ▼131度33nm
◎百里基地
    ▼213度19nm
◎竜ヶ崎飛行場
    ▼191度3nm
◎大利根飛行場
    ▼288度36nm
◎ホンダエアポート
    計267nm

 松島基地を出発します。時刻は「Time of day」で「noon」を選択し、計器盤のアナログ時計は「2時40分」ごろを指しています。これは協定世界時(UTC=従来のGMTと同義)ですので、日本標準時(JST)では午前11時40分です。
 リアルウエザー機能が自動設定した風力は、320度13Kt前後。雲は5800ft付近に、scatterdレイヤーが1枚あるだけ。しかし3000ftまで昇ると、もやが春霞のように立ちこめ、すっきりしない眺めでした。

 …実はこの飛行は、2度目の挑戦です。1回目は山岳地帯でパソコンの処理が重くなった際に、FlightGearが勝手に終了。2回目は負荷を下げるため、視界を15nmに設定しましたので、マップの端を隠すもやが、やたらに目立つようになりました。
 理想的には、地平線が見える理論上の距離まで、マップを表示させたいものですが、私のパソコン(ペンティアムM 1Ghz)では、とても無理です。ご参考までに、地平線までの距離を求める方法を、以下に示しておきます。

【注:地球の曲率から、見える距離を出すには】
 「自分の視高がHメートルの場合、標高hメートルの目標は何マイル先から見えるか」は、次式で求めることが出来ます。
        (√H+√h)×2.083=距離(nm)
 hをゼロにすれば、水平線までの距離が分かります。もし絶好の快晴でしたら、3000ftで飛ぶ場合は約60nm先まで見えるはずです。ジェット機並みの30000ftでしたら、実に約200nmです。これ以上遠いところは、水平線の下に隠れるわけですね。
 大気の汚染が少ない戦前は、関東平野で1万mまで昇ると、太平洋と日本海が同時に見えたとか、山口県から富士山と朝鮮半島が見えたとか、かつて読んだことがあります。いずれはこんな、すごい画面表示で操縦したいものですね。

●「ABUNAI航法」で、偏流を測定する:
 松島湾を右手に見て、ブロンコ改は快調に南進。すぐ地平から現れた仙台空港を通過後、フライトプラン通り244度を維持します。

 私の「ABUNAI航法」(Atlas画面に、方位・距離の表示機能を加えたもの)では、取りあえず偏流(針路に対する風の影響)を無視して飛び始め、途中でAtlas画面上の目的地を見ながら、コースのずれを逐次補正しても、むろん必ず目的地に着きます。ただし飛行経路は、風下にふくらんだ形になります。
 そこで…もっと正確な航法を試みたい場合は、偏流角(ドリフト・アングル=コンパスが指す針路と、風で流されて飛ぶ実針路の差)を測定し、その分、風上側に針路を修正してやればいいわけです。

 ABUNAI航法では、Atlas画面に描かれる自機の航跡を利用し、実際の針路と偏流角を、飛行中に簡単・正確に計ることができます。手順は以下の通りです。

(1)正確に直線飛行する。
(2)自機から十分離れた航跡上に、マウスポインタを置く。
(3)「斜めものさし」の方位距離ウインドウを参照して、
   自機から見たマウスポインタの方位を読む。
(4)この方位に、180度を足すか引くかして、反方位を
   出す。これが、風に流されつつ飛ぶ実針路である。
(5)この実針路と、コンパス針路の差が偏流角である。
(6)あとに述べる方法で、偏流角を補正する。

 今回は吾妻山に向かう途中、仙台空港から12nmの地点で、航跡の方位を計りました。58度と表示されましたので、180度足して反方位を出すと238度。これが実際の針路ですね。
 フライトプランの針路244度と比べると、差(偏流角)は左6度ですので、風の影響を打ち消すには、プラス6度の修正角をかけて、機首方位を250度に変更します。これで初めてフライトプラン通り、機体は実際に244度の針路を保って飛ぶわけです。
(注:偏流角は、コンパス針路を基準に「右」「左」○度、修正角は「プラス」「マイナス」○度と表現します)

●偏流角を修正する、2つの方法:
(1)適量修正:
 偏流角が小さい場合は、「適量修正」と言いまして、単にコンパス針路に修正角を足して(または引いて)飛びます。これは「コースからのずれは放置するが、これ以上広げない」という飛び方です。
(2)倍量修正
 今回は、かなり流されていますので、コンパス針路に修正角の2倍を足す(または引く)「倍量修正」を使い、のちに適量修正へ移行することにします。これは「一度正しいコース上に戻って、これを維持する」という飛び方です。

 まず吾妻山へのコンパス方位244度に、偏流角6度×2倍=12度の修正角を加え、256度にします。この航程は、仙台空港を基点として始まり、偏流角測定点まで12nmを飛ぶ間、風に流され続けました。従って「倍角修正」でさらに12nm飛べば、本来のコース上に戻ります。ここで修正角を6度に減らせば、コースを維持できます。実際にこうして42nm飛んだところ、目標の吾妻山頂から、南へ約0.8nmの地点を通過しました。まあまあの精度ですね(^^)。

【注】:かつての私の推測航法は、FlightGearで設定した風向風速をもとに、針路の修正値を計算していました。今回は、飛行中に風の影響を実測するという点が、非常にリアルになっています。また以前は簡略化のため、真方位を使っていましたが、ABUNAI航法では磁気方位を使いますので、この点も一段とリアルになりました。そのあたりを踏まえ、今回は風力の補正について、改めて基礎からご紹介させて頂きました。

●天元台って、ここだったのか:
 さて、この吾妻山(2024m)はAtlas画面で最初、磐梯山と勘違いしていたのですが、2回目のフライト前にネット地図で確認して、「ああ、これは吾妻連峰だったのか」ということに。誠に偶然ながら…これは私が高校時代、修学旅行で登った山です(^^)。

 当時は「天元台」と呼ばれる尾根の一帯を、東西2つのコースに分かれて縦走。私は連絡のため、3キロ近い50Mhzのアマ無線機を持参。重くて苦労しましたが、面白い体験でした。
 …今回ブロンコ改で、私は尾根の中央、実世界ならロープウェイの頂上駅のあたりに向かっています。ここは修学旅行で、縦走の本部が置かれた出発点です。思わずオートパイロットを外して減速し、念のためフラップを下げ、私は当時自分が歩いた西コースの縦走路を、尾根すれすれにたどりました。
 途中でちいさなコブを越えて、さらに西にある頂きへ。ここが目的地だった「西大巓」(にしだいてん)と思われます。懐かしいなあ!! あと少し高度を下げると、高校時代の自分が見える…はずはないのですけれど。それでもかなり、胸が躍りました。

 連峰の上を8の字に飛び回り、機首を南へ。磐梯山を横目に見ながら、猪苗代湖に出て、さらに44nm南西の銀山湖をめざします。フライトプランの針路は252度。仙台空港−吾妻山の航程と、針路は10度も違いませんので、偏流修正角はさっきと同じ、プラス6度を使うことにしました。コンパスをにらんで、機首方位を258度に。

●静寂の銀山湖、遙かなる尾瀬:
 銀山湖は、深く切れ込んだ谷の合流点に横たわっています。延々と飛んだあと、薄雲の切れ間から、狙った通りに湖の北端が見えまして、航法が完璧だったと分かりました。(Atlas上で見えていても、航法計算が当たるのは嬉しいです)
 ここは「奥只見ダム湖」とも言います。ダムは1950年代に完成し、貯水量で日本最大。三島由紀夫が小説の舞台にしており、主人公のダム設計技師が、建設前に調査のため、長期の越冬(!)をするストーリーでした。本物の奥只見ダム建設では、凍死を含む44人もの犠牲者を出したそうです。半世紀前の日本では、まだ電源開発や治水は、大変ハードな「闘い」だったのですね。

 またも減速してフラップを下げ、銀山湖へ急降下。上空から細く見えた谷底へ潜り込みますと、そこには別世界のような、静かな湖面が広がっていました。グランドキャニオンの超ミニ版といいますか、思いもよらなかった、非常に美しい秘境です。
 湖面すれすれの低空で、一つの谷間を南へたどると、正面に白いピラミッド型をした独立峰が、絵のように現れました。この山が、有名な尾瀬の湿原の北側にそびえる、燧ヶ岳(2346m)です。

 …この燧ヶ岳も、実は登ったことのある山です(^^)。浪人時代、幼なじみの親友(女性)2人に8月の尾瀬へ引っ張り出され、くたくたになるまで歩き、尾瀬沼や湿原の美しさに心を洗われました。仲間の1人は後に海外へ転居。もう1人は外国よりも、ずっと遠くへ旅立ってしまいましたが…この数日間は、今も記憶の海に輝いています。

 思い出多い、燧ヶ岳山頂をすれすれにかわし、南斜面を急降下しますと、薄雲が切れて、青い尾瀬沼が広がりました。シミュレーションとはいえ…懐かしいです。
 湖面をゆっくり旋回し、昔は登り損ねた、至仏山の上を通過。最後に(尾瀬へ向かって昔、夜間登山した)三平峠付近を飛び、次の目標・中禅寺湖へ、ゆるりと機首を向けました。

●百里基地の「名物」:
 日光一帯を過ぎると、高度を3000ftに下げて、いよいよ関東平野です。筑波山の真上を通過すると、間もなく右に霞ヶ浦が見え始めました。湖の北にある、航空自衛隊・百里基地へ直行します。

 新谷かおる作「ファントム無頼」によりますと、この基地の誘導路は、途中で「くの字」に折れ曲がっているとか。土地の買収が、うまく行かなかったのでしょうね。FlightGearではどうなっているか興味津々で、ただそれだけのために、立ち寄ってみました(^^;)。
 …ありました。本当に「くの字」です。FlightGearの日本マップには、ビルなどはありませんけれど、平面的なデータに関しては、けっこう正確に出来ているのですね。

 ここで、旧海軍のパイロット訓練地として名高い、霞ヶ浦を南へ横断。のどかな春がすみ風の、もやの多い画面表示は、広大な平野の湖には、よく似合います。
 故・坂井三郎氏は、この近所で初飛行をしました。戦前にはリンドバーグが奥さんと水上機でやってきたり、史上最も有名な飛行船「グラフ・ツェッペリン」が飛来したり、航空史の話題がどっさり。しばし思いを巡らしながら、次は飛行場巡りです。

●関東平野の、小飛行場を訪問:
 関東南部は戦前から戦中にかけて、そこら中に陸海軍の航空基地があったお陰で、今も大小の空港がどっさり。また一部が民間機のテスト・訓練空域に指定されているためか、スポーツ航空が盛んな場所ですね。小飛行場の上を幾つか飛んで、ちょっと自家用パイロットの気分を味わいました。

 霞ヶ浦を渡りきると、見渡す限りの関東平野を、ゆったり利根川が走っています。川沿いにグライダー訓練の盛んな、大利根飛行場を見つけ、ここを起点に、竜ヶ崎飛行場を発見して通過。フライトプランでは逆の順序ですが…これは私が最初、竜ヶ崎飛行場を見落としてしまったためです。さて、そろそろ首都圏の市街地テクスチャーが、左手に広がっています。横目で見ながら、私はゴール地点・埼玉県のホンダエアポートへ向かいます。

 ホンダエアポートには昔、モトクロス・コースが併設されていましたが、現在はどうでしょうね。ここで一度、大学二輪同好会の連合組織が開いた、125cc以下の耐久レースに出たことがあります。あえて成績はお話ししませんが…完走しました(^^;)。
 …高度を600ftに下げて、いったん滑走路の中央部を、東から西に通過。反転して型通りに、ダウンウインド・レグの中央部から、トラフィックパターン(場周経路)へ45度の角度で進入。減速、フラップダウン、ギアダウン。滑走路が短いので、更にフルフラップとし、約90Ktまで落としてショートランディング。滑走路北端のエプロンに入れて、両エンジンを切りました。
 今回はすっかり、「思い出巡り」のフライトになってしまいました。お付き合いを頂きまして済みません。さて次は、どこを飛ぼうかな?
投票数:14 平均点:5.71

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-3-27 11:52
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 少々仕事が立て込みまして、なかなかFlightGearを起動する暇がありませんが、今回はABUNAI航法の改善点などについて、ショート・フライトを交えてご報告を致しましょう。

●世界時の時計を、日本時間で読む:
 まず、時計のお話をします。しばらく前、ブロンコ改の計器盤に、アナログ時計を取り付けました。適当な3D計器盤用のパーツが見当たりませんでしたので、ジェット曲技機・練習機「MB-339 PAN」からの拝借です。最初、アナログでは不便だと思ったのですが…意外な長所があることが分かりました。

 飛行機は交信に、協定世界時(UTC=従来のGMTと同時刻ですが、太陽ではなく原子時計が基準)を使い、FlightGearでも計器盤の時計は、UTCを示すようになっています。別に不便は感じませんが、日没までの時間を知りたい時など、「シミュレーション内の日本時間では、いま何時だろう」と思うことはあります。
 日本標準時(JST)への換算は、UTCから9時間引けばいいのですが、もっと楽な方法があります。モーターグライダー(実機)をやっておられる方のHPを拝見しましたら、JSTに合わせたアナログ腕時計の、文字盤の「9時」の位置を、12時と見なして短針を読めばUTCが分かる、と書いてありました。なるほど…。
 ということは逆に、UTCに合わせた時計の文字盤の、「3時」の位置を12時と見なせば、JSTで時刻が読めるわけです。FlightGearには、アナログ時計を持つ機体は少ないのですけれども…実際に試してみますと、極めて便利です。いわば時計の文字盤を、アナログ換算装置として使うわけですね。

●アナログ換算を、ABUNAI航法に応用する:
【航跡から、実際の針路を一発で読む】
 このアナログ時計の読み方をヒントに、ABUNAI航法を少し改良しました。前回のフライトでは、偏流角(コンパスが指す針路と、風で流されて飛ぶ実針路の差)を求め、これをもとに針路を修正して、正しいコースをたどりましたが、その際、実際の針路を正確に測定するには、Atlas画面上で自機の航跡の方位を計り、この数値に180度足すという方法を取りました。
 この方法は、簡単にして正確だと思いますが、出来れば180度の足し算(角度によっては引き算)を省略し、画面上で実際の針路を直読できれば、もっと便利ですね。

 ABUNAI航法システムには、以前「マイアルバム」でご覧頂きましたように、フリーウェア「分度器で測りましょ」を利用した、360度の方位盤が付いています。しかし任意の目標への距離と方位は、マウスポインタで指せば分かるため、あまり分度器の出番はありません。そこでこの分度器を、航跡の測定専用に設定変更しました。
 原理は簡単で、磁気方位を示していた円形分度器を、180度回転させるだけです。これで自機の航跡の方位を計れば、角度目盛りから直接、(航跡とは反対向きの)実際の進行方向が読めます。言うなれば「犬が西向きゃ尾は東」…(^^;)。
 ただし分度器の頂点の目盛りを、正確に「磁気方位の北+180度」に合わせる必要があります。詳しい設定法は以下の通りです。

(1)分度器を右クリックして、「設定」を開く。
(2)「方向」欄の「右回り」と「形」欄の「○」(360度表示)
   が選択されていることを確認。「固定する」にチェックが
   入っていることを確認。違っていれば選択やチェックを
   加え、設定を閉じる。
(3)分度器をドラッグし、中心点をAtlas画面の経度の線
   (地図に引かれた垂直線)に合致させる。
(4)分度器外周の「○」マークをドラッグして、分度器を回
   転させ、経度の線を目印に、分度器の頂点の角度
   目盛りを、ある数値に合わせる。
   合わせる目盛りの数値は、飛行地域によって変わる。
   <以下は一例>
   例えば福島〜中部近畿〜福岡の範囲内を飛ぶ時は
   経度の線に「187度」の目盛りを合わせる。これで分度
  器は、この地域の偏差(偏西7度)に合った磁気方位
   表示を、180度ひっくり返した状態になる。(ゼロが下)
   もし北海道中部を飛ぶなら189度、青森〜岩手なら
   188度に合わせればよい。
   (詳しくは2月18日付本連載「国内フライトの偏差」の
   数値から該当地域を選び、180度足すか引いてくださ
   い。FlightGearの磁気方位は、2000年現在の偏差
  を基に設計されているようですので、ご自分で資料を
   探される場合は、可能なら2000年版をお使い下さい)
(5)分度器の半径は、外周の□マークをドラッグすると、
   自在に変更できる。(大きいほど誤差は小さいです)

●反転分度器ABUNAI航法のテスト飛行:
 …では、この分度器を使って、テスト飛行をしましょう。
偏流角を補正して飛ぶナビ訓練には、色々な風向を体験できる、三角形のコースが使われることが多いようですが、今回は厚木基地への帰還を兼ねて、三角形より1辺少ない、「くの字」型のコースでフライトプランを作りました。

■「くの字」コースで偏流測定■(関東を南下、厚木へ)
  (マップデータ:e130n30.tgz )
  (磁気偏差は偏西7度で測定)
◎ホンダエアポート
    ▼114度43nm
◎成田空港
    ▼255度49nm
◎厚木基地

【ABUNAI航法の、離陸前準備】
 念のため、ABUNAI航法システムの起動と利用方法を、もういちど整理しておきます。
(1)Atlasを起動し、見やすい場所に置く。ウインドウの
   大きさは初期状態で使う。拡大縮小すると、Atlas
   地図の縮尺が変動し、距離測定に支障がある。
(2)「分度器で測りましょ」を起動し、分度器の中心点
   を、正確にAtlasの自機マークに合わせる。
(3)Atlas縮尺に合わせた「斜めものさし」起動。小さく
   縮めた状態で、ゼロ点を正確に自機マークに合わ
   せる。ものさしの角度が、その土地の偏差に合って
   いることを確認。(「斜めものさし」設定法は、2月
   18日付の本連載に詳述)
   また画面上に現れる、小さな方位距離ウインドウを
   見やすい場所に置く。
(4)FlightGear起動。各種設定。離陸。
(5)飛行中、任意の目標への方位や距離が知りたい
   場合は、Atlas画面をアクティブにして目標にマウス
   ポインタを合わせれば、方位距離ウインドウに表示
   が出る。
(6)偏流角を測定するには、タスクトレーの分度器アイ
   コンをクリックして分度器を表示。航跡と交差する、
   分度器外周の目盛りを読めば、実際の針路が直
   読できる。これと、コンパス針路との差が偏流角と
   なる。コンパス針路を、偏流角の大きさだけ風上に
   修正すれば、計画通りの針路が飛べる。

【風を測定しつつ、成田に向かう】
 風力は、北の風20Ktにしました。ホンダエアポートのRWY-32を離陸し、そのまま直進しつつ上昇。数マイル進んで右旋回し、上昇しながら滑走路中央に戻って、空港を基点に航法を開始する、いつもの「リバーサル・ディパーチュア」を行います。風の影響がはっきり出るように、速度は150Ktに抑えました。

 この条件ですと、機体は結構流されます。きれいな涙滴型の経路を描いて、出発滑走路の真上へ戻るのは、少し難しいかも知れません。こういう時は、滑走路を離れてからターンするまでの直線進出距離を短め(4nm程度)にしますと、出発した空港が視認しやすくなります。その反面、すぐに滑走路が機首に隠れますので、1000ft程度の低空を飛ぶのがコツです。(風向風速を基に、針路の補正計算をしてもいいのですが、操縦が複雑になります)

 さて、ホンダエアポート滑走路の真上。ここで成田空港に向けて、針路をフライトプラン通り、コンパス方位114度にセットします。HSIの文字盤で機首方位を1度まで読むのは、少々しんどいですが、まあベストを尽くしましょう。方位が決まったら、CTRL+Wキーでオートパイロットのウイングレベラーを掛け、針路を保持します。
 しばらく経ちますと、Atlas画面上で自機の航跡が伸びて、分度器の外周まで届きますので、180度ずらしておいた角度目盛りで、航跡の方位を読んでください。私の場合は、ホンダエアポートから17nm離れた地点で測定して122度でした。これが機体の実際の進行方向です。北の風に流されて、コンパス方位の144度よりも8度、右にそれているわけですね。この「右8度」が、現在の偏流角です。これを打ち消す「修正角」は、マイナス(左向き)8度になります。

●画像のご紹介● 上記の偏流測定のAtlas画面を「マイアルバム」の「その他」項目に、「改良ABUNAI航法」のタイトルでご紹介しています。合わせてご覧頂けましたら幸いです。

 …次に、コンパス針路に修正角を加えます。前にお話ししました「倍量修正」を使い、偏流角の2倍だけ風上に修正を掛けて、ホンダエアポートから測定点までと同じ17nmを飛びますと、フライトプラン通りのコース上に戻ります。この修正針路は、
      114度+(マイナス8度×2)=98度
となります。コース上に戻った後は、単に偏流角を打ち消すため、左に8度だけ修正を掛けます。つまり114度−8度=106度のコンパス方位で飛び続けますと、予定通りに…成田空港の、主滑走路の中心にたどり着くはずです。
 実際にやってみますと、滑走路の中心点から、南に0.3nmだけ外れて通過しました。ブロンコのABUNAI航法は、偏流角の測定もコンパス針路の読みも、1度単位のアナログ計測ですから、この誤差でしたら、まずは合格点だと思います。

【注:分度器の半径について】Atlas画面がデフォルト倍率の場合、「ABUNAI航法」システムの分度器の半径は、13.5nm以上をお勧めします。これ以下では角度目盛りの最小単位が、1度ではなく5度になり、測定精度が落ちます。

【成田から厚木へ】
 成田空港の滑走路上空で、今度は針路をフライトプランに従って厚木へ、コンパス方位255度に向けます。これは鋭角の大変針ですので、正直に右旋回しますと、旋回半径の影響で、機体は旋回の開始地点から何マイルも離れてしまいます。
 これを防ぐには、滑走路を横断して3〜4nm直進し、左に190度前後の大回りをして涙滴型のターンを打ち、次の航程の基点となる、成田滑走路の中央へ向かいます。再び滑走路を越える時点で、針路を厚木に向ければ、正確にコースをたどれます。

 今回の、成田から厚木への飛行経路では、成田から15nm離れた地点で、分度器を使って自機の航跡(目盛り上は、実際の針路)を計ったところ249度でした。つまり北風による偏流角は、
      255度−249度=左6度
…です。これを打ち消す修正角は、プラス(右)6度です。
そこで本来のコース上に戻るには、
      255度+(6度×2)=267度
の針路で、あと15nm飛べばいいわけです。私は千葉県の西岸上空から、目前に東京湾を眺める地点で、この変針を行いました。

 ここから15nm飛ぶと、ちょうど目の前に羽田空港が広がります。ここで針路を、偏流角を相殺する255度+6度=261度に修正しました。羽田の空域を横断して、前方の地平線を眺めていますと、無事に厚木基地が見えてきました。
 ただし、ドンピシャリではなく。滑走路の南端を、ちょっと外れたあたり…基地の中央からは、約1.5nm南にずれた地点を通過。そのまま南からVFR飛行で進入し、まずまずの着陸をしました。
 やれやれ。12月26日以来、3カ月ぶりの厚木基地です。

【注:偏流角の基礎知識】
…ここまでのお話に関して、
   「コンパス針路と、実際の針路の違いとは何か」
   「そもそも、偏流角とは何か」
との疑問をお持ちの方は、「風力三角形」という概念に触れると、一発でお分かり頂けます。昨年8月4日付の本連載に、図解入りでご説明があります。
 説明図は「マイアルバム」の分類「その他」にあります。タイトル表示が消えていまして、申し訳ないのですが、同じ8月4日付です。この時のお話の「針路・対気速度ベクトル」の向きが、ここで言う「コンパス針路」に当たります。同様に「対地ベクトル」の向きが「実際の針路」に当たります。

●紅の翼の世界記録:
 ところで…関東平野では戦前、国産機が三角形のコースをぐるぐる飛んで、航続距離の世界記録を作ったことをご存じでしょうか。日本では戦前戦後を通じ、航空関係の世界記録がFAI(国際航空連盟)に公認された例は、恐らくこれ1回です。

 1938年5月、旧東京帝大航空研究所で設計した長距離実験機、通称「航研機」が、木更津の旧海軍飛行場を離陸。千葉県銚子市、群馬県太田市、神奈川県平塚市を経て、再び木更津に向かうコースを3日掛けて29周し、周回航続距離の世界記録(1万1651キロ)を樹立しました。

 航研機は全長約15m、全幅約29mの単発機で、キリリと引き締まったスマートな機体です。空気抵抗を減らすため、引き込み脚(人力巻き上げ)を装備したうえ、パイロットはスリムな胴体にもぐって操縦。離着陸の時だけ座席を上げて、頭を出す設計になっていました。一応オートパイロットがあり、不時着時に発見しやすいよう、胴体は無塗装の銀色、翼は紅の塗装でした。
 正副パイロットと機関士の3人が搭乗し、航続距離と1万キロ飛行の速度記録(186km/h)の、二つの公認記録を生みました。1〜2年後には破られてしまいましたが、当時の日本の技術水準や国力を考えれば、よく頑張ったと思います。

 以下のHPには、機長を務めた藤田雄蔵・陸軍少佐(記録達成の9カ月後、中国で不時着・戦死)の長文の手記など、あれこれ資料がありまして、面白い内容です。
http://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/kouken-index.html

 航研機は航続力を稼ぐため、プロペラを念入りに設計したのですが、このためか藤田氏は「非常に静かな飛行機だった。これは東京・ロンドン飛行の『神風号』も同じで、すぐそばに来るまで気が付かないほどだった」と書いており、たいへん興味深く読みました。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。皆様ハッピーGW!! ご無沙汰を致しました。
 概ね上天気が続いていますね。私は3月ごろから、仕事がダンゴになっておりました。連休中もどうやら2、3日しか休めませんが、やっと余裕が出てきましたので、ゆるゆるとフライトを再開します。

 練習不足のため、数日前に神奈川県・厚木基地で、ブロンコ改のタッチアンドゴーを試しました。最初は高度・速度が大きくふらついて、がっかりしましたが、久しぶりに味わった、大地が足元に退いていく浮揚感は、パソコンの画面上とは言え、やはり楽しいです(^^)。
 着陸を数回試したところ、Atlas画面上では進入コースの長方形を、かなり正確に重ねて描くことができました。ちょっと自信を取り戻し、羽田VORを頼りに都心へ出て、新たにインストールした、新宿のビル群を堪能しました。(Riktovさん、ありがとうございます)
 ネットで航空事故の調査報告書を読みますと、事故機パイロットの総飛行時間とともに、「最近30日間の飛行時間」が、必ず記載されています。実機も1カ月くらい休むと、操縦に大きな影響が出るのでしょうね。

●ブロンコ改の燃費検証フライト:
 さて、数回にわたりご報告しました、「ABUNAI航法」の開発も一段落しましたので、厚木基地から私の「母港」松山空港まで、ブロンコ改を回航しながら、高度・速度別に詳しく燃費を測定し、出来れば近く取りかかるつもりの、「次の大旅行」に備えることにします。今回は取りあえず、大阪の八尾空港まで移動します。燃費の測定法は、以下の通りです。

・まず、高度2000ftで巡航中の燃費を計る。
 200Kt、210Kt、220Ktの3通りの速度で、燃料タンクの
 残量を記録。1分後の残量も記録して、毎分の消費量
 をポンド単位で調べる。
・2000ftから5000ftまで、上昇中の燃費を計る。
 オートパイロットで5000ftの高度保持を掛けると、機体は
 毎分500ftの上昇率を保つ。この状態で、巡航時と同様に
 200Kt、210Kt、220Ktの3種類の速度で燃費を測定する。
・5000ft巡航中の燃費を計る。
 (これも3種類の速度で測定。以下同様)
・10000ftまで上昇中の燃費を測定。
・10000ft巡航中の燃費を測定。
・20000ftまで上昇中の燃費を測定。
・20000ft巡航中の燃費を測定。

…これを、ブロンコ改の上昇限度とみられる35000〜37000ft付近まで、延々と繰り返すわけです。毎度ながらテスト飛行は、短気では到底、務まりません(^^;)。

 次に、フライトプランをお目に掛けましょう。
今回は燃費計測が主目的ですので、ナビはAtlas(ABUNAI航法)に頼って、ごくラフに飛ぶことにします。VORはほとんど使いません。フライトプラン上のコース表示は、すべて磁気方位ですので、機内のコンパス・VOR計器はそのまま使えます。HUDのコンパス表示と、Atlas画面の右下にある方位表示は(いずれも真方位ですので)、東へ7度ずれます。

■厚木から八尾空港■
◎厚木基地
    ▼245度25nm
△箱根山頂
    ▼248度27nm
◎清水市・美保飛行場(空自と海保の航空基地)
    ▼226度18nm
△大井川河口
    ▼260度26nm
△浜松市・天竜川河口
    ▼283度41nm
★知多半島・Kowa-VOR(113.50)
    ▼328度12nm
◎中部国際空港・セントレア(VOR 117.80)
    ▼21度24nm
◎名古屋空港(VOR )
    ▼280度33nm
△米原市
    ▼253度10nm
△琵琶湖・沖島
    ▼234度16nm
★大津VOR
    ▼212度27nm
◎八尾空港(VOR 114.60)

●出発…そして地上目標の、距離を目測する方法:
 シミュレーション時刻、0810時(UTC)。
快晴。北寄りの風約6Kt。
 ブロンコ改は、未明の厚木基地滑走路の南端にいます。2機のブロンコ改のうち「US Air Force」仕様を選択しましたので、補助タンクまで満タンです。燃料搭載量は機内2070Lbs(ポンド)+補助4554Lbsです。

 例によって離陸後、いったん基地上空まで引き返して、滑走路中央を起点に航法を始める「リバーサル・ディパーチュア」を行います。簡単かつ正確に基地上空に戻れるよう、ここでVORをセットしたいところですが、厚木には、民間機が使えない(ブロンコでもダメ)TACANしかありませんので、代りにNAV1受信機に、ILSの周波数を入れておきます。

 エンジン全開でブレーキを放し、ドンドコ滑走。機体が重いので、150Kt近くまで加速して、やっとローテーション(上げ舵)を掛けました。
 滑走路を約3nm離れ、VOR代わりに受信しているILS電波の到来方向を、計器盤のHSI(コンパス兼VOR・ILS・NDB指示器)で確認。右30度バンクで反転旋回し、昇る朝日をちらりと見ながら、高度2000ftで基地上空を通過。200Ktで箱根へ針路を向けます。

 ブロンコが3000ftで飛んでいる場合、正面に見える地上目標が計器盤上部に隠れる瞬間、機体からの距離は約3nmです。今は2000ftですので、滑走路の中央が隠れた時点で、距離は約2nmです。Atlasを使うと、機体から目標までの距離が正確に計れますので、操縦席からの見え方と距離の関係を、調べておくと便利ですよ。
 実機を操縦される皆さんも、機体の各部を照準器代わりに使って、上昇中の迎角など、さまざまなデータを得ておられるようです。

●箱根を越えて、西へ:
 2000ftの低空で、神奈川県西部の丹沢山系に向かいます。(ここも学生時代、友人と登った山々。懐かしいです)。
 間もなく正面には、フタコブラクダの背中のように、二つに分かれた箱根の山頂が、白いシルエットになって浮かびました。5000ftをめざして、オートパイロットで上昇に移ります。
 …こう書いている間にも実は、頻繁にポーズを掛けては、燃費測定を続けています。メニューバーの「File」から「Browse Internal Property」「consumables」「fuel」「tank」の順番で選択し、さらに補助タンク(tank[1]/)を開いて残量をチェック。秒針をにらみながら1分間飛んで、またチェック。10Kt加速しては、また同様の測定。上昇に移ると、また3通りの速力で測定。忙しいフライトになりました(^^;)。

 あまり景色を見る暇もありませんが、愛機は順調に飛んで、箱根山頂が目の前です。衝突しそうですが、ここで上昇率を増やしたり、大バンクを掛けて急旋回しては、せっかくの燃費計測データが狂います。そっと左へ10度変針し、コブのような山頂をすれすれにかわすと突然、目の前に芦ノ湖が広がりました。連休ですから、実世界の箱根の空は、パラグラやハンググライダーで、さぞ混んでいることでしょう…。

●おはよう、セントレア:
 10000ftで、天竜川の河口を通過。離陸後40分で、もう中部国際空港(セントレア)上空に達し、高度15000ftで通過します。コクピットからは空港が、もやの関係でよく見えませんが、視界を機外に切り替えて見下ろすと、細長い空母のような姿が確認できました。空港橋は、再現されていないようですね。

 先ほどからエンジン回転数は、ほぼ100%に達しています。15000ftまで昇るとエンジン全開でも、220Ktを維持するのがやっとです。やはりブロンコは、低空が得意な飛行機ですね。近い将来、高々度・長時間飛行の旅を想定しているのですが、どうなることか、ちょっと不安です。
 続いて、名古屋空港を通過。名古屋というと、どうも「エビふりゃー」を思い出しますが、ここは「日本のツールーズ」と呼ぶべき、航空宇宙産業都市でもあるのですね。三菱重工の航空機開発も確か、お隣の岐阜空港でしたか…この近くで行われているはず。などと考えながら、米原市へ向けて変針。さらに上昇します。
 17000ftくらいで米原上空を通過。この高度ですと、上昇中は195Ktしか出ません。大津VORの近くで、20000ftに到達。高空から見下ろす琵琶湖は、何だかとても、小さく見えます。

●八尾空港へ急降下:
 もやを通して巨大な、大阪都市圏が広がってきました。もうすぐ八尾空港です。ここは多分、関東で言いますと調布飛行場に当たる、関西の自家用機活動の中心地。マスコミの取材機とか、いわゆるジェネラル・エビエーションの機体も、多数駐機している飛行場だろうと思いますが、位置はちょうど、大阪空港(伊丹)へ向かう進入コースの真下。関西は、他にも関空と神戸空港の空域が絡み合っていますので、実世界では交信や操縦に、ずいぶん神経を使いそうです。

 さて八尾上空。20000ftから、どうやって降りるか。
本来ならば、はるか手前から高度を下げるべきですが…ブロンコ改の正体は猛禽類(地上攻撃機)。急降下はお手のものです。
 まず、オートパイロットの速度保持を160Ktまで下げておき。減速が利いたところで、針路保持と高度保持を解除。左に大きくバンクして、スリップしながら旋回急降下。左へ約200度のターンをする間、一気に1500ftまで降りてしまいました。
 この場合、オートスロットルが利いて、エンジンはアイドルとなり。ブロンコのプロペラは自動的にピッチ角がゼロになって、エアブレーキとして働きます。従って、昇降計を振り切る急降下中も、対気速度は約250Ktを保ちます。タービンエンジンなので、降下しても混合気の設定変更は必要ありませんしね。実にもう、飛びやすい機体です(^^)/。

 …空港の南でターンを終え、低空で滑走路を視認。空港直上を南から北へ通過しながら、左旋回で主滑走路のダウン・ウインド・レグに入り、大阪湾に向かって3nmほど、リードを取ります。十分距離を開けてから左旋回。ベースレグ上で、ギアとフラップをダウン。さあ、ファイナルです。

●着陸速度の、簡単な決め方:
 ここで最終進入の速度設定を、簡単にやる方法をご紹介します。滑走路に正対したら、オートパイロットの速度保持を、最終進入速度にセットします。この数値が分からなければ、着陸速度プラス10〜20Kt程度にセットします。ブロンコの場合、通常は100Ktで着地しますから、110Ktにしておけば大丈夫です。(これは手動着陸の例ですから、オートパイロットの高度保持と針路保持は使いません)
 PAPI(着陸誘導灯)を頼りに、正確な降下経路に乗ったら、対気速度は自動的に、適切なアプローチ速度になっています。
 この後も正常な降下を続ける限り、速度変更の必要はありませんので、滑走路の2、3nm手前でオートパイロットの速度保持を切ります。後はスロットルに手を掛けながら進入し、着地点の寸前で、アイドリング付近まで絞れば、かなり簡単に降りられます。
 (軽飛行機などは、ここでアイドルにします。ブロンコは、本当にアイドルまで絞ると、プロペラがエアブレーキになりますので、滑走路寸前で失速する恐れがあります。本機の失速は非常に穏やかなので、気付くのが遅れやすく、慌ててエンジンを全開してもリカバリー出来ないことも。スロットルは必ず、アイドル寸前で止めましょう)
 …こんにちは、八尾空港。まずはスムーズな着陸でした。誘導路をたどって駐機場に入れ、パネル右下のスイッチを使って、両エンジンを停止しました。

●ブロンコの燃費は、こうなっていたのか!!!:
 そうそう、現時点での燃費テストの結果を、ぜひご報告しなくてはなりません。
 今回は、さまざまな高度・速度で、上昇中と水平飛行中の燃料の残りを約50回測定し、引き算をして約20通りの条件で、1分当たりの燃料消費量を得たわけですが。生データを並べてみますと、予想もしていなかった結果が出ました。ブロンコ改の燃費は、

  「高度・速度・スロットル開度に関係なく、常に毎分16ポンド」

…だと言うことが、判明したのです。
正直、驚きました。「これって、手抜き設計じゃあ、ありませんか?」というのが私の偽らざる、最初の感想です(^^;)。
 しかし、少し冷静に考えれば。これは完全なリアリティー無視、というわけではありません。ジェットエンジンなどのガスタービン機関は、もともと全開時の熱効率が、非常に高いのです。(だからこそジェット旅客機は、最高速度に近いスピードで巡航するのですね)
 今回の燃費測定では、高度は20000ft以下、速度は200〜220Ktの範囲だけを計りました。従って、まだ確実ではありませんが…もしも、あらゆる条件下で、燃料消費量が毎分16Lbs(ポンド)だとしますと、補助タンク付ブロンコ改の最大滞空時間は、スロットル開度に関係なく、

  (機内タンク2070Lbs+増槽4554Lbs)÷毎分16Lbs
  =414分
  =6時間24分

…ということになります。これを基に、性能ぎりぎりの航続距離を叩き出す飛び方を考えますと、ごく単純に、
  「離陸から上昇、巡航中も、ひたすらエンジン全開。
  その高度で実現可能な、最高速度を維持すべし」
という答が得られます。
 ここまで解が単純ですと、例えば「この機体で、果たして大西洋横断は可能か?」などという計算が、非常に簡単にできますので…これはこれで長距離飛行ユーザーとしては、大変ありがたいと思います。

 過去に幾つかのフライトシムで、同じような計算をしましたが。ある機体の最大航続力を出すには、まずあらゆる高度・速度の組み合わせの中から、最良の燃費を出す条件を調べる必要があります。その上で…例えば離陸直後はエンジン全開で急上昇しておき、一定の高度から上は段階的にエンジン出力を絞るなど、無数の上昇パターンを試して、もっとも経済的な飛び方の最適解を、手探りしなくてはなりません。あの苦労は正直、しなくて済むのでしたら幸いです(^^;)。

     ●

 次回は高々度燃費テストを続けながら、松山へ向かいます。「エンジン全開飛行は、もっとも燃費のいいフライト」という仮説が、ブロンコ改で本当に証明されるのか。このあたりが楽しみです。
投票数:11 平均点:4.55

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ブロンコ改の燃費テスト第2弾です。
前回に引き続き、大阪・八尾空港から、私の母港・松山空港まで移動しながら、さらに詳しい測定を行いました。

 その結果、先日ご紹介しました「ブロンコの場合、エンジン全開飛行は、もっとも燃費のいいフライト」だろうという仮説は…たいへん申し訳ありませんが、半分ほど間違っていたことが分かりました。
 実際の燃料消費パターンは、さすがにもう少し、複雑になっています。以下にテスト飛行の内容と、その結果をご紹介させて頂きます。例によって、まずフライトプランをお目に掛けます。


■ブロンコ改の燃費テスト・その2■(八尾空港から松山へ)
◎八尾空港
    ▼247度20nm
◎関空(VOR 111.8)
    ▼240度15nm
★友が島VOR 116.40
    ▼63度150nm
★串本VOR 112.90
    ▼313度72nm
◎徳島空港(VOR 114.90)
    ▼270度39nm
△三好市
    ▼263度15nm
△四国中央市
    ▼266度19nm
△西条市
    ▼263度24nm
◎松山空港(VOR 116.30)

 これは八尾から松山への直行ルートではなく、途中の紀淡海峡で南へ折れて、紀伊半島南端の串本VORまで往復した後、四国へ向かうコースです。燃費計測では、頻繁に速度を変更します。そのつど速度が安定するまで待たねばなりませんので、この時間を稼ぐため、たっぷり寄り道をすることにしました。

●タキシング中は、とても「大食い」:
 前回は、八尾空港でフライトをセーブしました。このデータをロードして、珍しくエプロンから飛行を始めます。実際にやってみますと、いきなり滑走を始めるよりも、ずっとリアルな気分を楽しむことができました。タワーとの交信や、航空管制の勉強もしてみたいですね。

 時刻は、0930UTC(日本時間は午前6時半)。天候だけはリアルウエザー機能で読み込まれ、西寄りの風約6Kt。快晴です。燃料は前回のまま補給せず、機内タンクがほぼ満タンの2063Lbs。補助タンクは容量の約3分の2にあたる3215Lbsです。
 …エプロンから誘導路に入り、風下に当たる、主滑走路の東端に向けてタキシング。滑走路の直前で、規則通りに一時停止。燃料を最終的にチェックしますと、5分余りの地上走行で、126Lbsも使っていました。巡航なら約30nm飛べる量です…ああ、もったいない!!
 他機がいないのを確認して(いるはずも、ありませんが)滑走路に入り、エンジン全開。5000ftの滑走路をいっぱいに使って、エアボーン。直ちに機首を、紀淡海峡の友が島VORに向けます。

●やれやれ、計り直しかぁ!!:
  この時点ではまだ、毎分の燃費は全開時が最良だろうと思っていましたので、各高度の最高速と燃費を手早く計って、さっさと松山に向かうつもりでした。
 そこでエンジン全開のまま、まず高度2000ftの最高速度をチェックしますと、258Ktをマーク。ここで補助タンクの残量を、1分間隔で2回計測すると、消費量は毎分19Lbs。以前計った200〜220Ktの燃費(各高度で毎分16Lbs)より16%も増えています。1Lbsあたりの飛行距離を算出しても、明らかに減少しています。
 これには相当、がっかりしました。やはりもう一度、何種類もの速度・高度できっちり燃費を計り、もっとも経済的な飛行条件を改めて発見するしかない、というわけです。

 燃費は、単純な高度と速度の関数ではありません。かといって、エンジン回転数の関数でもなし。回転数が同じ100%であっても、飛行条件によって、ターボプロップ・エンジンの発生トルクは変動します。トルクと燃費の間には相関がみられますが、これまた高度に影響を受けます。結局あらゆる要素が、相互に絡み合っているようですね。
 …ブロンコの計器盤には、エンジン計器が3段2列に並んでいます。上から順に、
・トルク計   :フルスケール2000FT-Lbs(フィート・ポンド)
・回転計   :フルスケール100%
・排気温度計:レッドゾーン880度C
 となっています。私はこれら6つの計器を見ながら、これから始まる測定の手間を想像して、ちょっとため息をつきました。

●ひたすら計測あるのみ:
 200〜220Ktの燃費は前回、低空から20000ftまで計測済みですので、今回はもっと高速域を試すことにします。
 改めて2000ftから順に、5000ft刻みで高度を上げながら、まず各高度の最高速度と、燃料消費率を測定。次いで速度を10〜20Kt下げて計り、最良の燃費が得られる速度を探りました。

 飛行の詳細は省略しますが、結果的にはフライトプランの飛行距離では足りず、最終的に太平洋に出て南下を続け、串本VORから190度・82nm沖まで進出してしまいました。
 ここから反転して測定を続け、次第に上昇率が鈍るなか、ようやく高度30000ftの計測に入ったのが、徳島空港の上空です。エンジンのトルクは低空の約半分まで落ちてしまい、非常にゆっくり加速しています。吉野川に沿って西へ飛びながら、時間を掛けて最高速度を測定しました。

 1105時。徳島空港の西22nmで、やっと速度計が止まり176Ktを記録。ここで機体がゆっくりと、軽いピッチングを始めました。
 手動操縦で修正は利くものの、オートパイロットに戻すと、次第に揺れが大きくなります。悪性の、いわゆる「発散性の振動」です。私はブロンコを改造する際、かなり手間を掛けて調整し、高速域の揺れを止めたのですが。高空で空力特性が変わると、こんな速度で再発することもあるのですね。
 軽負荷(燃料が少ない状態)ですと、ブロンコ改は37000ftあたりまで上昇可能ですが、現在の機体重量では、安定性の面でもパワーの点でもこのあたりが、一応の限界のようです。少し残念ですが燃費テストを打ち切って、一気に高度1500ftまで急降下しました。

●松山空港へゴールイン:
 さあ、高度を落としてしまえば、ブロンコ改は元気です!! 徳島・松山間は少々、物騒な飛び方を試みました。
 データは取ったし、補助タンクの残りだけで、松山までは十分届きますから、もう燃費は関係ありません。1500ftまで下げた後、吉野川の谷間を地上すれすれに、全速力で突進。各地でしばしば、米軍機が行って問題になった、地形追従訓練みたいな飛び方です。実世界でしたら、これはとんだ「低空暴走族」。ちょっと気が引けますが、なかなか爽快でもあります。

 「a」キーで3倍速まで上げまして…あとは高速ドライブの感覚で、徳島道と松山道の上を飛び、新居浜市を過ぎ、「桜三里」の峠をすれすれに飛び越えると、もう松山平野です。
 道後温泉や城山に、超低空であいさつし。沖にある興居島を回って着陸コースへ。過速気味ながら、ふんわりタッチダウン。エプロンに乗り入れて、エンジンを切りました。松山空港よ…ただいまっ!!

●ベスト燃費が得られる速度は、低空で240Kt:
 終わってみると、かなりきれいな燃費データが出ました。分かりやすい部分を、以下にまとめます。高度別データのうち、一番上の数値は最高速度です。最初の2000ftでは、燃費の最良点を探ろうとして、かなり細かく速度を変えています。末尾の「航続力」という項目は、燃料1ポンドあたりの飛行距離です。

高度 速度 回転数 発生トルク  毎分消費  航続力
(ft) (Kt) (%) (FT-Lbs) (Lbs/nin) (nm/Lbs)
2000 258 100  1410    19    0.226
     247  98  1300    17.8   0.231
     240  96  1195    16.7   0.240
     235  95  1140    16.3   0.240
5000 253 100  1360    18.7   0.225
     240  98  1200    16.7   0.240
10000 243 100  1220    16.7   0.243
     240 100  1180    16.3   0.245
15000 223 100  1010    16.1   0.231
20000 199 100   900    16.3   0.203
25000 188 100   740    16.4   0.191
30000 176 100   680    16.2   0.181
(表が少々、デコボコして済みません。毎度難しいです)

以上の測定結果から、
  「高度15000ft未満では、おおむね240Ktが最良。
   15000ft以上では、最高速が一番燃費がいい」
ということが実証できました。

 これまでは実機のスペックなどを基にして、約200Ktが経済速力だと思っていたのですが、実はもっと速度が出せたのですね。
エンジントルクに注目しますと、10000ft以下では約1200FT-Lbsを発生している時が、もっとも経済的です。表にない任意の高度を飛ぶ場合は、この出力にスロットルを合わせるべきでしょう。
 また以前は簡単な試験結果から、低空ほど燃費がいいと信じていましたが、240Ktで巡航する場合は、厳密に言えば高度10000ftが、ごく僅差ながらベストの結果になりました。

 以上をもとに、ブロンコ改の航続力を計算します。離着陸や上昇にも燃料が必要なので、概算ではありますが、
・10000ft以下では、まず間違いなく1500nm以上。
・高度30000ftを維持しても、1100nm以上。
…が期待できそうです。

 この数値ですと、太平洋をアリューシャン経由で、また大西洋をアイスランド・グリーンランド経由で横断すれば、ブロンコ改でも東西周りの世界一周が可能です。ただし私がやってみたい、カリフォルニア・ハワイ間の無着陸を狙うなら、さらに機体を改造しないと無理。この場合、重い燃料を積んで、離陸できるかどうかは未知数です。
 高度別の燃費特性は、本当はエンジン性能ファイル(T76.xml)に書き込んである、数表を見れば分かるはずです。どなたか解析してくださると、誠にありがたいのですが…(^^;)。

     ○

 ここで、今回寄港しました大阪・八尾空港にまつわるお話をご紹介しましょう。ここは関西の自家用フライトの中心地で、落語家の桂文珍さんも、風変わりな愛機を駐機しています。

●文珍師匠の、「空飛ぶ羽織」:
 かつて但馬空港がオープンした折、「初めて着陸したのは、桂文珍さんの自家用機でした」との報道があって。その時は「あーそうですか、物好きな芸能人ですな」と思いました。芸能人のパイロットと言えば、私は故・横山やすしさんの印象が強く。氏が大昔、セスナを買って報道陣に公開した時は、例によって…かなり酩酊しておられたので、正直あまり、いい印象は受けなかったのです(^^;)。
 だがしかし。文珍さんについては、2カ月ほど前にNHKの特集を見て以来、「こりゃなかなか、本物のパイロットだ」と、すっかり認識を新たにしました。感心した理由は二つありまして。第一は文珍さんの、飛行機選びのセンスです。

 愛機はドイツ製の、スピードカナードSCOIB−160という、タンデム複座の軽飛行機ですが、これが実にお洒落な機体。FlightGearホームページの最上段、青いタイトルの左に画像が載っている、先尾翼(カナード)型の軽飛行機と、ほぼ同型です。
 ただし胴体は別物のようで、グライダーの機首部分みたいな流線型。非常にスマートで、かなりSF的な機体です。初の民間宇宙船「スペースシップワン」や、世界無着陸一周機「ボイジャー」を設計したバート・ルータンの作で、国内にはこれ1機とか。
 最大巡航速度は約200Kt、経済速度約150Ktと、レシプロ単発機としては比較的高速です。カナード機だけに失速特性は良く、勝手に頭を下げてリカバーするそうです。フラップはなし。サイドスティック式の操縦桿を持つため、コクピットはF-16に少し似ています。

 感心の第二は、操縦の腕前です。飛行経験はすでに1200時間を突破。番組では「出演が三つ重なったため、後部座席に羽織を積んで、広島と宮崎、長崎を1日で回ったことがあって。達成した時は、やったぁ! と思いましたね」と語っておられました。これには正直、舌を巻きました。つまり文珍さんは、計器飛行もできるのです。
 八尾からこの3空港を回りますと、全行程は直線でも715nmです。単純計算で5時間弱。これに発着時のタイムロスと、出演時間や前後の時間調整がある上、放送局や演芸場への往復(長崎空港は特に、市内から遠い)にも何時間か必要です。八尾への帰着は、恐らく夜になってから。天候だってその間、どんどん変化します。となると、有視界飛行の資格だけでは、まず無理…ではないでしょうか。

 事実、調べてみますと文珍さんは、自家用ライセンス取得後、わずか3年で計器飛行の資格を得ています。失礼ながら決して若くなく、多忙を極める芸人さんとしては、並みの精進ではないと思います。うーむ、これからは「文珍師匠」とお呼びしようかな…(^^)。

 以下のサイトでは、ご本人がユーモアたっぷりに、フライト人生を語っています。
 ・「落語的飛行のすすめ」
 http://www2g.biglobe.ne.jp/~aviation/bunchin.html
投票数:8 平均点:5.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回は、ちょっと趣向を変えまして、航空管制の世界を勉強してみたいと思います。

 シミュレータをある程度、リアルに楽しもうとしますと、やはり管制について知りたくなりますね。以下は最近、ネットや新聞記事、書籍などで得た知識を、理解できた範囲でまとめたものです。間違いもあろうかと思いますが、ご教示を頂けましたら幸いです。
 「座学」を終えましたら、松山から米子空港へ、管制官との交信を想定しながら、計器飛行でフライトをします。

●航空管制のあらまし:
 航空管制は、極めて大ざっぱに言いますと、離着陸を扱う「飛行場管制」と、エンルート(目的地への道中)の飛行機を、航空路監視レーダー網で追跡・管理する「航空路管制」に分かれます。
 飛行場管制は、各空港のタワーが基本的には目視で行い、航空路管制は、全国4カ所の航空交通管制部(ACC)が分担します。
 また飛行場管制と、航空路管制の間の空域は、「進入・ターミナルレーダー管制」がカバーします。
 …航空機は次のように、リレー式に管制を受けて飛びます。

 ★飛行場管制(管制塔):離陸などを指示。
      ▼航空機
 ★ターミナルレーダー管制:(空港レーダー):出発・上昇指示。
      ▼
 ☆航空路管制(全国4つのセンター):巡航を見守る。
      ▼
 ★ターミナルレーダー管制:(空港レーダー):進入・降下指示。
      ▼
 ★飛行場管制(管制塔):着陸などを指示。

 混雑する大空港は、自前のレーダーで、進入・ターミナルレーダー管制を行います。小空港の場合は、ACCが航空路監視レーダーで行いますが、あまり低空までは見ることができません。
 そのため大空港が、近隣の小空港の、レーダー管制をカバーする場合もあります。ではそれぞれに、どんな管制席があるのか、何を受け持つのか、具体的に見ていきましょう。

★飛行場管制:(管制塔のてっぺん、VFRルームで行う)
 ・管制承認伝達席:(通称、クリアランス・デリバリー)
   計器飛行のフライトプランに承認を与える。有視界
   飛行の場合はここを介さず、飛行場管制席が離陸
   を承認する。
 ・飛行場管制席:(通称、タワー)
   空港の管制圏(基本的には半径5nm、アウター
   マーカーまで)内の航空機に、離着陸などの指示を
   出す。
 ・地上管制席:(通称、グラウンド)
   航空機や車両の、地上移動をコントロールする。
 ・調整席:(通称、フライトデータ)
   関係機関との連絡・調整。
★進入・ターミナルレーダー管制:(管制塔のIFRルーム)
       (空港ビル内に、レーダー室がある場合も)
  大空港だけにあり、空港から30〜50nm程度を担当。
  空港ごとに定められた、標準的な出発経路(SID)や
  到着経路(STAR)を飛んでいる航空機を管制する。
  IFRルームには、以下の各席がある。
 ・捜索管制席:(通称、フィーダー)
   ほかの管制機関から、到着機の管制を引き継ぎ、
   優先順位や進入間隔を決める。また、自分の管制
   区を通過する航空機に指示を出す。
 ・入域管制席:(通称、アプローチ)
   捜索管制席から引き継いだ航空機を管制し、最終
   的に、到着空港の飛行場管制席に渡す。
 ・出域管制席:(通称、ディパーチュア)
   空港の、飛行場管制席から引き継いだ出発機を
   航空路まで誘導し、ACCなどに引き継ぐ。
 ・TCA管制席:(ターミナル・コントロール)
   有視界飛行をする航空機を支援する。
 ・調整席:(通称、コーディネータ)
   空港の飛行場管制席や、他の管制機関との間で
   業務の調整をする。
★着陸誘導管制:(通称、GCA)
  管制官が専用レーダーを見ながら、航空機を口頭で
  精密誘導し、空港に着陸させる業務。民間空港は
  ほぼILSになったが、米軍や自衛隊ではまだ多い。

☆航空路管制:(通称、エンルートまたはセンター)
  札幌、東京、福岡、那覇の航空交通管制部(ACC)
  がフライトプランの管理や、航空路を飛ぶ航空機の管
  制をする。ここでは、航空機を直接目にすることはなく、
  レーダー画面及び、フライトプランを書いた「運航票」と
  いうカードを見ながら、担当の空域全体の運航状況を
  掌握している。
  ACCは多数のセクター(地区担当)に分かれ、それぞれ
  に以下の管制席がある。
 ・対空席:
   航空路監視レーダーを使って、混雑やニアミス防止の
   ため必要に応じて、航空機に上昇降下、変針などの
   指示を出す。
 ・地区席:
   各セクター内の空港に、出発機のフライトプランの承認
   などを出す。外国の管制圏との間で、出入りする航空
   機に関する連絡業務も行う。
 ・調整席:
   対空席と地区席の間にあり、混雑時に対空席を補佐
   するなど、業務を調整する。

 …こんな風に書いても、項目が多すぎて、あまりピンと来ませんね。そこで管制業務を、パイロットの視点から見ることにします。まずフライトプランの作成から承認、離陸までの流れを追ってみましょう。

●フライトプランの流れ:(計器飛行の例)
 ・計画の作成:
 自家用機の場合は、パイロットが作成して、搭乗前に各空港事務所に提出。事務所から、所轄の航空交通管制部(ACC)に送られます。ACCは管内のフライトプランを、一括管理しています。
 エアラインの場合は、航空各社の運航部がコンピュータで作成し、所轄のACCに送信。パイロットは、プリントアウトをもらって搭乗します。

 ・計画の承認:
【出発空港で行うこと】
 パイロットは出発準備を終えたら、無線で空港の管制承認伝達席を呼び出し、提出済みのフライトプランに承認を求めます。
 管制承認伝達席は、所轄ACCの担当セクター・地区席に連絡を取り、この航空機の管制承認を求めます。

【ACCで行うこと】
 ACCでは、管内の運航状況に応じて、必要なら提出されたフライトプランの、飛行高度や出発時刻を修正します。
 またフライトプランの要旨を書いた「運航票」(通称、ストリップ)を作り、出発空港や、中継・到着空港などに送信して、この航空機に関する情報を共有します。

【ふたたび出発空港】
 所轄ACCから、飛行場管制の地区席に運航票が届き、プリントアウトされます。地区席は運航票を、管制承認伝達席に渡します。
    ▼
 管制承認伝達席が、無線でパイロットに、運航票の内容(ACCが手を加えたフライトプラン)と、各機識別用に発行される、トランスポンダー識別コード(4ケタの数字)を読み上げます。
    ▼
 パイロットは、読まれた内容をすべて筆記し、リードバック(復唱)します。また自機のトランスポンダーに、指定された識別コードを入力します。復唱が正しければ、パイロットは地上管制席を呼んで、滑走路へ移動する許可を求めます。
    ▼
 地上管制席は、管制承認伝達席から運航票を受け取って、パイロットにタキシング許可を出します。指示の内容を運航票に書き込み、飛行場管制席に渡します。
    ▼
 パイロットは、飛行場管制席に離陸許可を申請します。
    ▼
 飛行場管制席は、離陸許可を出し、その内容を運航票に記録します。運航票は飛行後も一定期間、保存されます。
 (最近は、運航票をコンピュータで更新し、管制官がいちいち書き込まない形態もあるようですが、このへんの詳細は、今ひとつ分かりませんでした)

【注】:トランスポンダーとは:
   レーダー電波を受けると、自動的に応答する機上装置。
   各機が応答した識別コードは、レーダー画面上に表示
   される。計器飛行の場合、各機にそれぞれ異なる4ケタ
   数字が与えられる。有視界飛行の識別コードは、高度
   10000ft未満なら「1200」、それ以上なら「1400」の2種
   類しか割り当てないので、各機ごとの識別はできない。

 …フライトの陰では、実に多くの機関が、日夜働いていることが分かります。では実際に、FlightGearで飛んでみることにしましょう。

■計器飛行の管制を学ぶ(その1)■(松山から島根へ)
 実世界でしたら、まず私はフライトプランを作って、松山空港事務所に提出することになります。
 以下の書式は、例によって簡略化した自己流で、飛行時間を省いています。また実際は、航空機の規模や、搭載無線機の内容など、かなり記入項目が増えます。

◎松山空港(VOR 116.30)
   ▼マツヤマ・リバーサル2・ディパーチュア 200Kt
    (離陸後左旋回。3000ftまで270度を維持。松山
     VORから15nm以内で左へ反転。VOR上空を
     6000ft以上で通過する)
   ▼クガ・トランジション 240Kt
    (松山VORラジアル306度33nm。10000ft)
★玖珂VORTAC(114.30)岩国基地の近く。
   ▼V54航空路(034度93nm。10000ft) 240Kt
★美保VORTAC(116.70)
   ▼112度8nm 200Kt
★米子VOR(113.40)3000ftで通過。
   ▼VORラジアル057度、14nm以内で右反転。
◎米子空港(美保飛行場)ILS 108.95 252度

●ランプアウトの準備をする:
 FlightGearの飛行は通常、滑走路端で始まりますが、私はあらかじめブロンコ改を、エプロンまで走らせて駐機し、燃料を満タンにしたセーブ・データを作っています。今回はこれをロードして、エンジン停止の状態から飛行を始めることにしましょう。

 まずCOM1を開き、ATIS(飛行場情報放送)の周波数を入力して受信します。残念ながら、FlightGearの松山空港には、ATISの設定がありませんので、メニューから気象を読むことにします。
 ATISは、単なる「ご参考」ではなく、管制塔が風向風速や、使用滑走路などを、パイロットに通報する手間を省く目的もあります。従って受信の上、フライトプラン承認などを求める際に、「本日の最新ATISを聴取しました」と、報告する必要があります。

●フライトプランの承認を受ける:
 では管制承認伝達席を呼んで、フライトプランの承認を求めましょう。ブロンコ改のコールサインは、J-HIDEとします。アプリ上では、この交信機能がないので、まぁ「呼んだつもり」ですけど…(^^;)。

【hide】 Matsuyama deliverly J-HIDE.
【デリバリー】 J-HIDE Matsuyama deliverly, go ahead.
 交信の確立後は、管制承認伝達席のコールサインは省略し、管制官とパイロットの双方が、航空機のコールサインのみを発声します。

【hide】 J-HIDE, 5minutes prior to starting engines, Yonago, proposing 10000ft, spot 1, information F.
 (始動5分前。米子空港に向け、高度10000ftを申請。現在1番スポット。本日F番目の、ATIS放送を聴取済みです)
【デリバリー】 J-HIDE, roger, stand by for clearance.
 (了解。管制承認をお待ちください)

【デリバリー】 J-HIDE, clearance ready to copy?
 (管制承認の、筆記準備はよろしいですか?)
【hide】 J-HIDE, ready.
 (準備よろしいです)

【デリバリー】 J-HIDE, cleared to Yonago, via matsuyama reversal 2 departure, Kuga, flight planned route, maintain 10000ft, departure frequency 128.0, squawk 2345, read back.
 (米子まで飛行を許可。出発経路は「マツヤマ・リバーサル2」を使い、玖珂VORに向かってください。10000ftを維持し、後はフライトプラン通り。ターミナルレーダー管制(松山の場合、米軍岩国基地)とは、128.0MHzで交信してください。トランスポンダー・コードは2345。復唱願います)
【hide】 (全文を復唱)

【デリバリー】 J-HIDE, read back is correct, contact Ground ***.
 (復唱よろしい。地上管制席と***MHzで交信してください)
【hide】 Contact Ground ***, J-HIDE.
 (復唱。以上J-HIDE)
 松山空港の地上管制席は、周波数が見当たりませんでした。タワーと共用だと思われます。ここでは仮に、専用周波数があるとします。

●滑走路まで、地上滑走する:
 ここで、エンジンを始動します。
 ブロンコはパネル上の燃料スイッチで、エンジンを止めることはできますが、もともと始動機能はありません。そのため、各種設定フォーラムの「機体情報を教えてください」06年12月10日掲載分に、ballonさんが発表されました、逆噴射プログラムをお借りしています。(ちょっと目的外使用で済みません。どうもありがとうございます)
 燃料スイッチをオフのまま、スペースキーを押すと、プロペラとタービンが回り始めます。ここで燃料スイッチを入れると、回転計と排気温度計が上昇し、やがてトルク計がアイドル位置まで立ち上がります。
 では、地上管制席を呼びましょう。

【hide】 Matsuyama ground J-HIDE, request taxi spot 1.
 (タキシング許可願います。現在1番スポット)
【グラウンド】 J-HIDE, taxi to runway 34 via Alpha.
 (A誘導路を経由し、34番滑走路へタキシングしてください)
【hide】 Roger, taxi to runway 34 via Alpha.
 (了解、復唱)
 エンジンの回転を上げて、ブレーキを放し、右旋回。誘導路に出て、ゆっくりと滑走路南端をめざします。

 …タキシング中、滑走路に他機がいない場合は、そのまま飛行場管制席と交信するように、指示されるそうです。他機がいると、滑走路手前で停止の指示が出ますが、省略します。
【グラウンド】 J-HIDE, Contact Tower 118.35.
 (飛行場管制席と、118.35MHzで交信してください)
【hide】 Contact Tower 118.35, J-HIDE.
 (復唱)

●滑走路進入許可と、離陸許可をもらう:
【hide】 Matsuyama Tower, J-HIDE on your frequency.
 (飛行場管制席、こちらはJ-HIDEです)
【タワー】 J-HIDE, taxi into position and hold.
 (滑走路の離陸位置で、待機してください)
【hide】 Roger, taxi into position and hold.
 (了解、復唱)
 滑走路に入り、左へ回頭。「34」の文字の前で停止。

【タワー】 J-HIDE, wind 270 at 08, Cleared for takeoff.
 (270度の風8Kt、離陸を許可します)
【hide】 Roger, cleared for takeoff, runway 34.
 (離陸許可を了解。34番滑走路)

 ようやく、離陸に漕ぎ着けました…お疲れ様です(^^;)。
大長文になってしまい、申し訳ありません。空を飛ぶのは、大変なことなのですね。次回は米子空港に向かいます。
投票数:19 平均点:4.74

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-5-29 19:30
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回に引き続き、航空管制と交信のやり方を勉強しながら、米子空港へ向かう計器飛行をご紹介します。

●FlightGearの計器飛行とは:
 飛行の内容に移る前に…ちょっと順序が逆ですが、「どんな飛び方をすれば、計器飛行をFlightGearで、再現したと言えるか」を、少し考えてみたいと思います。
 航空管制に詳しい、「ニアミス」という本(加藤寛一郎・東大名誉教授著。お勧め)を読みますと、計器飛行は想像以上に、地上で徹底的に管理されていることが分かります。一例を挙げますと、管制官はレーダーで監視しながら、飛行機を自在に操るわけですが…ベテランになりますと、レーダーで風向風速まで読んで、偏流角の修正を加えたコンパス針路を、パイロットに伝えているそうです。
 半分、管制官が操縦していると言いますか、航法の一部分まで、地上で支えているようなものですね。FlightGearには、こうした意味の管制機能はありませんが、Atlas画面を管制レーダーと見なせば、私たちはすでにパイロットと管制官の、一人二役をシミュレートしているようなものです。
 となるとFlightGear上では、例えば以下のようにして、有視界飛行と計器飛行を、区別して楽しむ手がありそうです。

 ・有視界飛行:コースを自由に設定。航空図か地図
        を見ながら、地文航法と推測航法を
        組み合わせて飛ぶ。必要に応じVOR
        も併用する。飛行中は基本的に、地
        表が見えなくてはならない。
         Atlas画面は(好みによりますが)、
        なるべく隠しておき、あとで航法精度
        の確認に使用。迷子になった時のみ
        レーダー誘導のつもりで、画面を見る。

 ・計器飛行: 基本的には航空路や、空港ごとの標準
        出発・進入経路に従ってコースを設定。
        VORを常用する。全天候で飛行可能。
        Atlas画面を常に表示し、精密なコース
        修正を行う。(レーダー管制に相当)

 …今回はずっと、「計器飛行」です。では離陸の場面から、前回の続きをお届けしましょう。

●「台本」を作って、飛んでみる:
 前回と今回のフライトでは、私は資料を参考に、まず自機と管制官の交信内容の「台本」を作りました。
 これを小声で音読し…飛行を全部やってみたのですが。気ままに飛ぶのとは、また気分が変わります。管制官のセリフは録音し、ヘッドホンで聴こうか…とも思ったのですが。我ながらヘタクソな発音で、おかしくて操縦に集中できない恐れもあり、断念しました(^^;)。

■計器飛行の管制を学ぶ(その2)■(松山から米子へ)
フライトプランを、再掲しておきます。
◎松山空港(VOR 116.30)
   ▼マツヤマ・リバーサル2・ディパーチュア 160Kt
    (離陸後左旋回。3000ftまで270度を維持。松山
     VORから15nm以内で左へ反転。VOR上空を
     6000ft以上で通過する)
   ▼クガ・トランジション 240Kt
    (松山VORラジアル306度33nm。10000ft)
★玖珂VORTAC(114.30)岩国基地の近く。
   ▼V54航空路(034度93nm。11000ft) 240Kt
★美保VORTAC(116.70)
   ▼112度8nm 高度3000ft 200Kt
★米子VOR(114.10)3000ftで通過。
   ▼VORラジアル057度、14nm以内で右反転。
◎米子空港(美保飛行場)ILS 108.95 252度

 高度は実際の規則通り、東行きは「奇数×1000ft」、西行きは「偶数×1000ft」としました。また速度は、空港の管制圏内では、
  ・ジェット機は、200Kt以下。
  ・レシプロ機は、160Kt以下。
…という規則があります。ターボプロップのブロンコ改は、どうするのか分かりませんので、レシプロ機に準じることにしました。

●松山空港を離陸:
 5500ftに断雲。270度前後の風、約7Kt…ブロンコ改は、松山空港の34滑走路に入り、機首を北へ向けます。いったん停止して、エンジン全開。さあ離陸です。
 ギアを納めて数nm上昇し、「マツヤマ・リバーサル2」というSID(標準出発経路)に乗るため左旋回。南へ向かいます。
 このあたりで、松山空港の管制圏(半径5nm)を出ますので、松山の飛行場管制席はハンドオフ(管制終了)し、米軍・岩国基地の、ターミナルレーダー管制・出域管制席と交信するよう、求めてくるはずです。(松山空港のターミナルレーダー管制は、那覇を除けば国内で唯一、米軍が行っています)
【タワー】 J-HIDE, contact Iwakuni Departure 128.0.
 (岩国ディパーチュアと、128.0MHzで交信してください)
【hide】 Roger, Good day.
 (了解、さようなら)

●ターミナルレーダー(出発)管制への移管:
 今飛んでいる、「マツヤマ・リバーサル2」は、次のようなものです。
 ・松山を離陸後、左S字旋回を行って、いったん270度
  (磁気方位の真西)に向かい、3000ftまで上昇する。
 ・15nm以内で反転し、松山VORのハイステーション
  (上空)に戻る。この時点で高度は6000ft以上。
 ・VOR上空から、目的地に向かう。

 …松山空港の滑走路は、340度に向かって伸びています。出来ればそのまま、北北西に上昇したいところです。ところが滑走路の30nm先には、岩国基地がありますので、「邪魔になるから、西へ上昇しろ」と言うことに、なったのでしょうね。
 そこで離陸後、左へS字を描き、松山VORの270度アウトバウンド・ラジアルに乗ります。この操縦は、VORを見れば簡単です。では、岩国基地を呼びましょう。
【hide】 Iwakuni Departure J-HIDE, passing 4000 for 6000.
 (J-HIDEです。現在4000ftを、6000ftに向け上昇中)
【ディパーチュア】 J-HIDE, Roger, radar contact, climb via Matsuyama riversal 2 departure.
 (了解、レーダーで識別しました。出発経路「マツヤマ・リバーサル2」を通って上昇してください)
【hide】 J-HIDE, roger.(climb以下を復唱)

 松山VORから8nmほどの地点で左へ反転。上昇しつつ松山VOR上空へ。ここで岩国が、指示をしてきたとします。
【ディパーチュア】 J-HIDE, fly heding 306, vector to kuga-VOR, climb and maintain 10,000(テン・タウザンド).
 (機首を306度に。玖珂VORTACへ誘導します。上昇し10000ftを維持してください)
【hide】 J-HIDE, Roger(以下、指示を復唱)

 玖珂VORTACは、岩国基地の少し南方。のちほど進入する、中国地方横断の「V54」航空路の起点に当たります。
 松山VOR上空で、玖珂に向かって左旋回。ここで薄い断雲の層に突入し、視界不良になりました。水平儀に頼る、文字通りの計器飛行ですが、最近の練習不足がたたって、機体は方位もバンク角も、かなりぐらついてしまいました。
 オートパイロットを入れ、松山VORのラジアル306度を維持。ここからは松山VORと玖珂VORTACを結ぶ、「クガ・トランジション」と呼ばれる中間経路。高度10000ftに達し、240Ktを維持。以前の燃費テストが実って、かなり高速巡航が可能になりました…。

●エンルート(航空路)管制に移る:
 玖珂VORTACが近づいてきました。そろそろ岩国ディパーチュアが、ハンドオフ(管制終了)します。
【ディパーチュア】 J-HIDE, resume own navigation direct kuga-VORTAC, and contact to Fukuoka Control 132.4.
 (以後は自立飛行で、玖珂に直行。福岡ACCと132.4MHzで交信を確立してください)
【hide】 J-HIDE, roger, Good day.
 (了解、さようなら)

 福岡ACCの中国北セクター・対空席を呼び、航空路管制を受けます。結構忙しくて、景色を見る暇がありません…。
 玖珂からの「V54」航空路は、コースが東向きに変わりますので、高度を「奇数×1000ft」に変えなくてはなりません。こうした場合、パイロットが変更を申請するのか、ACCから指示が来るのか分からないので、今回は私が申請すると仮定します。
【hide】 Fukuoka Control, J-HIDE, request climb 11000.
 (福岡ACC、J-HIDEです。11000ftに上昇許可願います)
【ACC】 J-HIDE, Fukuoka Control, roger, climb and maintain 11000, rest of route unchanged.
 (了解。上昇し11000ft維持、フライトプラン通り続航)
【hide】 J-HIDE, roger(以下、指示を復唱)

 …玖珂VORTACから34度に変針。93nm先の美保VORへ直行する、「V54」航空路に乗りました。中国地方を横断します。

●他機を避けるための誘導:
 ここで同じ航空路上の、先行機に接近したとしましょう。
管制官は、片方の航空機の速度を変えたり、変針させるレーダーベクター(誘導)を行います。仮に、私に減速を命じたとします。
【ACC】 J-HIDE, Fukuoka Control, if possible, reduce speed to 220 due to traffic.
 (他機がいるため、可能なら220Ktに減速してください)
【hide】 J-HIDE, roger, reduce speed to 220.

 …オートパイロットの速度設定を変更。スロットルレバーが、急に引き戻され、次いで前進。220Ktで安定します。間もなく先行機が、別の針路に誘導されたと仮定して、速度を戻しました。
【ACC】 J-HIDE, Fukuoka Control, resume normal speed.
 (通常の速度に戻してください)
【hide】 J-HIDE, roger, resume normal speed.

●降下に移る:
 さて…美保VORTACまで、あと20nm。その後、米子空港までは8nmしかありません。福岡ACCに降下の許可を求めます。
【hide】 Fukuoka Control, J-HIDE, request decend.
 (福岡コントロール、降下を許可願います)
【コントロール】 J-HIDE, roger, decend to 4000 and maintain.
 (了解。4000ftへ降下し、高度を維持してください)
 …管制官は、こちらの機種と位置、それに他機の位置を考慮し、どこまで降ろすか判断して、高度を指定します。(管制官=私の見通しが甘くて、結果的には急降下をしました)

 米子空港は、空自・美保基地でもあります。レーダー管制とタワーのコールサインは、「Miho」に統一されています。以下、「米子」と「美保」が混在しますが、同じ飛行場です。どうかご了承下さい。

●米子空港(美保基地)にアプローチ:
【ACC】 J-HIDE, Fukuoka Control, contact Miho Approach 121.1.
 (美保ターミナルレーダー管制・入域管制席と、120.1MHzで交信を確立してください)
【hide】 J-HIDE, roger, (復唱)Good day.

 美保レーダー・入域管制席を呼びます。
【hide】 Miho Approach, J-HIDE, decending to 4000.
 (美保アプローチ、4000ftへ降下中)
【アプローチ】 J-HIDE, Miho Approach, roger, decend to 4000 and maintain.
 (了解。降下し、高度4000ftを維持してください)
【hide】 J-HIDE, rojer, (指示を復唱)

【注】:ここで本来、米子空港のATISを受信するか、後でタワーから天候や着陸滑走路の報告を受けるはずですが、省略します。

●中間進入コースを回る:
 美保VORTAC(米子空港)上空を通過。美保アプローチが、ブロンコ改をVORTAC上空へ誘導します。
【アプローチ】 J-HIDE, Miho Approach, turn right, heading 112, decend and maintain 3000.
 (右旋回し、機首を112度に。降下し3000ftを維持)
【hide】 J-HIDE, roger,(復唱)
 もうすぐ美保タワーの管制圏。160Ktに減速します。

 米子空港の真上を、3000ftで通過。美保アプローチは本機に、北東に飛ぶよう指示。いったん空港から離れて降下しながら戻る、ベースターン(基礎旋回)を使った、中間進入経路へ誘導します。
【アプローチ】 J-HIDE, decend to 2000.
 (2000ftへ降下してください)
【hide】 J-HIDE, roger(指示を復唱)

●空港を、見失う:
 …ここで、トラブルが起きました。私はHSIで空港の位置をモニターし、VOR2指示器でILSを見ていたのですが。米子VORは10nm足らず西のはずなのに、なぜかDME(距離計)は20マイル前後を指しています。VOR2はILSを大きく外して、針が振り切れています。さあ、米子空港の位置が分からなくなりました。
 もやのため、滑走路は見えません。困った…。実世界なら、どうするでしょう。むろんレーダーベクター(誘導)要請ですよね。

【hide】 Miho Approach, J-HIDE, lost position, request vector for ILS runway 25.(現在地不明、ILSに誘導願う)
 …正確な言い方かどうか、分かりませんが(^^;)。ここでAtlas画面を見て、ILSへの誘導コースを考え、次のような回答を作りました。(まさに管制官と、一人二役です)
【アプローチ】 J-HIDE, turn left, heading 340, maintain 2000.
 (左旋回し、340度へ。2000ftを維持せよ)
 まず、ブロンコ改を北へ向けます。
【アプローチ】 J-HIDE, turn left, heading 250, cleared for ILS runway 25 approach, contact tower 118.1.
 (左旋回、機首方位250度へ。滑走路25にILS進入を許可します。タワーと118.1MHzで交信してください)
【hide】 J-HIDE, roger,(指示を復唱)Good day.

 レーダー誘導(つまりAtlas画面)を頼りに、ILSをインターセプト。後になって、私は米子VORの周波数を、はるか西の出雲VORと間違えたため、DMEに変な数字が出たことが分かりました。

●最終進入…やっと着陸:
 滑走路に正対した地点で、美保タワー・飛行場管制席の守備範囲に入ります。110Ktに減速し、タワーを呼びます。
【hide】 Miho Tower, J-HIDE, 8 DME on ILS final.
 (空港から8nm。ILSで最終進入中)
【タワー】 J-HIDE, roger, cleared to land runway 25, wind 270 at 7.
 (了解。滑走路25へ着陸を許可します。270度の風7Kt)
【hide】 J-HIDE, roger(復唱)

 …やっと、タッチダウンしました。
以下、駐機場と誘導路の名称は架空です。
【タワー】 J-HIDE, turn right at A-2, contact Ground 118.0.
 (A-2誘導路で右折。地上管制席と118MHzで交信を)
【hide】 J-HIDE, roger(復唱)

【hide】 Miho Ground, J-HIDE, request taxi to spot A.
 (美保グラウンド、Aスポットまでタキシング許可願います)
【グラウンド】 J-HIDE, taxi to spot A via B-1.
 (B-1誘導路経由で、Aスポットへタキシングしてください)
【hide】 (了解。復唱)

 タキシングを終えてランプイン、両エンジン停止。
いやぁ皆様、お疲れ様でした…(^^;)。またまた長文になって、申し訳ありません。
 すべての交信を再現するのは、調べて書くのも、お読みいただくのも、かなりの手間ですね。掲示板上では、今回限りになりそうですが、お陰でだいぶ、管制のことが分かりました。
 現実の計器飛行には、膨大な勉強が必要ですが、これだけ細かく誘導してもらえるなら、慣れると楽なのかも知れません。

 ところで。Atlasは2台目のパソコンに、表示させることができるのですね。2台目を誰かに見てもらって、管制官役をしてもらう…という遊び方も、凝り性の人が相手なら面白いでしょうね。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回は、米子空港から松山に帰還します。米子空港の標準出発コース(計器飛行)には、ちょっと風変わりな旋回方法が指定されていますので、これを試してみることにしましょう。
 やや複雑な飛び方になりますので、久しぶりにVORの設定などについて、詳しくご紹介します。

     ●

 何年も前。あるフライトシムのマニュアルを読んでいましたら、半径10〜20nmくらいの巨大な旋回をして、アメリカの大空港へファイナル・アプローチを行う実例が載っていました。そのマニュアルは、

    「VORを中心として、一定の距離を保ちながら、
    こんな旋回ができるでしょうか?答は、NOです」

 …と断言し。代りに、地上にカーブを描いて設けられた、特殊な誘導灯を使って、進入する方式を解説していました。
 ところが。国内の空港の発着経路には、まさにそのような、VORから一定の距離を保って、非常に半径の大きな旋回をするコースが、幾つもあるのです。今回は、これを初めて飛んでみることにします。

■出雲の観光と、巨大旋回■(米子から松山へ)
 以下に、フライトプランをお目に掛けます。

◎米子空港(VOR 114.1)
   ▼014度 5000ft
◎隠岐空港(VOR 114.6)
   ▼「V54」203度41nm 4000ft
★美保VORTAC(116.7)
   ▼243度で出雲空港に接近。距離13nm。
◎出雲空港(VOR 113.4)
  LOC 111.7(245度)を使い、ロー・アプローチ訓練
   ▼(ここで、有視界で少々散歩します)
◎米子空港(VOR 113.4)
   ▼サウス4ディパーチュア 170度20nm 6000ft
△ニイミ・フィックス
   ▼    【↓ここが、巨大旋回です↓】
   ▼美保VORTACより25マイルを維持して西へ。6000ft
   ▼「V54」航空路(美保ラジアル215度)6000ft
★玖珂VORTAC(114.3) 3000ft
   ▼126度33nm 3000ft
   ▼ラジアル137度DME-12nmで2600ft。降下。
◎松山空港(VOR 116.3)RWY-137度

●米子を出発、隠岐の島へ往復:
 220度前後の風、約5Kt。雲は約5000ftに「few」。米子空港の、RWY-07にいます。使用機はいつものブロンコ改です。最初に隠岐の島を訪れ、出雲空港で進入訓練を行い、出雲地方を観光した後、問題の「巨大旋回」に挑みます。

 まずNAV1をセットします。周波数は米子空港VOR(113.4)に、ラジアルは隠岐空港VORに向かう、014度に合わせます。
 米子空港を北東へ離陸。高度を上げながら左旋回し、機首を340度に向けて日本海へ。海上で、米子VORのアウトバウンド・ラジアル014度をインターセプトします。機体が14度線にクロスして、HSIのCDI(針路)指針が左からスライドし、中央に合致したら右旋回。このラジアルに乗って、隠岐空港VORへ向かいます。東寄りのコースですので、高度は法規に従って、「奇数×1000ft」に当たる5000ftを選びました。

 もやのある海上を、快適に北上。隠岐空港上空で反転します。ここでNAV1の周波数を美保VORTAC(116.7)に、ラジアルを203度に合わせて、美保へ直航します。今度は西寄りのコースですから、高度は「偶数×1000ft」を選ばなくてはなりません。4000ftに降下して、日本海を逆横断。再び島根半島の上空へ…。

●出雲空港で、ロー・アプローチ訓練:
 高度を3000ftに落とし、美保VORTACの上空を通過。ここから出雲空港に向かいます。
 前回は、米子空港着陸でミスをしましたので、練習のため出雲空港で模擬進入を行うことにしました。本来は出雲タワーに「ロー・アプローチを1回実施したい」と、申請するところですね。
 NAV1の周波数を出雲空港VOR(113.4)に、ラジアル設定を243度に変更。またNAV2を、出雲空港のローカライザ(簡易ILS。方位信号だけ)に合わせます。周波数は111.7、ラジアルは245度です。

 右旋回して降下、美保VORTACのアウトバウンド・ラジアル243度に乗りますと、やがて宍道湖の対岸に、出雲空港が見えます。この飛行コースは、滑走路方位から約5度ずれていますので、最終的にはVOR2指示器を使い、正確にローカライザに乗ります。
 ギアを上げたまま、着陸時と同じ要領で進入。400ftまで降りて、そのまま滑走路上をフライパスし、上昇に移ります。

●有視界飛行に切り替えて、遊覧飛行:
 …高度を上げながら、頭の中で美保ターミナルレーダー管制に、「有視界飛行に移行したい」と申請。出雲空港の管制圏(5nm)を抜けたところで、いったんフライトプランを離れます。航空図を見て自由にコースを決め、高度3500ftで出雲大社方面へ。(西向き有視界飛行の高度は「偶数×1000ft」+500ftです)

 FlightGearにハマっていると、高速道路を運転中も、低空飛行をしているような気分になりますね。たまたま空港のそばを通ると、
    「あ。今度いっぺん、ここへ飛んでこよう!!」
と思ったりしませんか? 私は2月に玉造温泉に出かけて、松江市から出雲大社を回ったので、近くを通った出雲空港が懐かしく思えて、今回はこの周辺を飛ぶことにしました。

 「このへんが、出雲大社だな」…と景色を眺めながら、日本海に出て反転。VORを使って再び米子空港へ向けて、計器飛行を再開。宍道湖の南岸で6000ftに上昇し、松江市を越えます。
 松江は、小泉八雲の家とか、ティファニーの豪華極まる展示館(今は閉館)とか、結構面白かったのですが…きょうは脱線せずに、航法のお話を続けることにします(^^;)。前方には、うっすらと大仙が見えまして、高速道路から眺めた実景と、よく似ていました。

●「巨大旋回」を試す:
 米子空港上空から、出発経路の一つ「サウス4ディパーチュア」に乗って南下し、冒頭でお話しした、巨大な旋回コースに入ります。以下に飛行経路を、少し詳しくご紹介しましょう。

 図解しないと分かりにくいのですが…代りに、雪印の「6Pチーズ」を思い浮かべてください。三角形で一辺が丸みを帯びた、あのチーズを1個、60度の頂点を上にして、地図上に置いたとします。
 この頂点から1僂らい下を、東西方向にナイフを当てて、スッパリ切断します。すると、頂点が二つになりましたね。東側(右手)の頂点が米子空港VOR。西の頂点は美保VORTACです。
 今回は、チーズの東の斜辺を南下して、端っこで西に旋回。丸くふくらんだ、南側の部分(実際の飛行コースでは、美保VORTACを中心にした、半径25nmの円弧)を飛行します。これが「巨大旋回」です。
 弧の西の端まで行ったら、南へ旋回。チーズの西の斜辺の延長線上を南下して、中国地方を横断します。
 米子VORからの飛び方は、以下の通りです。

  ・NAV1の周波数を米子VOR(114.1)、予備周波数
   を美保VORTAC(116.7)、ラジアルを170度にセット。
   高度はずっと6000ftを維持。
  ・米子空港VOR(チーズの右の頂点)上空をいったん
   東に向け通過後、右にS字旋回し、VORのラジアル
   170度(チーズの右の斜辺)に乗る。
  ・20nm南下すると、「チーズ」の東南の角にあたる、
   「ニイミ・フィックス」に到達する。
  ・ニイミ・フィックスの約2nm手前で、NAV1を予備周波
   数(美保VORTAC)に切り替えて、右に標準旋回を
   開始する。
  ・HSIのVOR方位指針(文字盤外周にあって、VORの
   方角を示す短い針)が、機体の右アビーム(真横)に
   来るまで旋回。DMEを確認し、美保VORTACからの
   距離が25nmになるように、右旋回を終えるタイミング
   と、バンク角を加減する。
  ・以後、「チーズの南側の弧」に沿ってコースを維持。
   HSIのVOR指針が、常に右アビームを維持するよう、
   またDMEの数値が、常に25nmを維持するように、
   十数秒おきに、かすかに右旋回をする。バンク角は、
   5度前後で十分。
  ・NAV2の周波数も、美保VORTACに合わせる。ラジア
   ルは215度にセットする。
  ・弧の上を飛び続けると、やがてVOR2指示器の針が
   動き、美保VORTACのラジアル215度(チーズ左側の
   斜辺)に達したことが分かる。
   ここで左旋回し、ラジアル215度に乗って、南下する。
   (これは中国を横断して、山口県の玖珂VORTACへ
   向かう、航空路「V54」です)。

 …という次第です。
 Atlas画面上に、少々いびつながら、何とか大きな弧に近いものが描けました(マイアルバム参照)。難しいですが、面白かったです。
 ブロンコや737-300のVOR指示器(HSI)は、コースからのずれを示すCDI指針の他に、VOR局の方角を指す針が付いています。そこで先ほどのように、25nmかなたにある、旋回の中心点(チーズの頂点)を捉えることができるのですが、セスナ172のようにCDI指針しかない場合は、この旋回はちょっと無理かも知れません。

 ただしHSIを使っても、長い弧の部分を一定の角速度で、旋回し続けることは困難です。ごく浅い旋回をしては、直進に戻す操作を繰り返すことになりますので、実機の場合は乗り心地が悪いかも知れません。プロがどう操縦するのか、興味が湧きます。
 なぜ米子空港に、こんな風変わりなSID(標準出発方式)が設定されているのか不明ですが、米子(美保基地)は軍民共用のうえ、近くに出雲空港もありますので、混雑防止のためでしょうね。

●夜間飛行で、松山空港へ:
 V54航空路に入り、中国山地を飛びながら、時刻を「Dusk」(夕暮れ)に切り替えました。右手には落日。暮れなずむ中国山地のあちこちに、ヘッドライトや街の灯が浮かんできました。真下にも、進行方向へ道路が走っていますが、中国道と広島自動車道でしょうか。

 岩国上空で高度を下げ始め、玖珂VORを4000ftで通過。ここで東へ旋回し、松山空港まであと33nmです。FlightGearの松山空港には、なぜかILSが再現されていませんので、VORに頼る「非精密進入」を行います。窓外では、どんどん日が暮れていきます…。

【注】精密進入と、非精密進入:
  精密進入とは、ILSを使ったアプローチのこと。空中に
  設けられた「電波の滑り台」に乗って、連続的に降下
  します。これに対し非精密進入は、VORを使ったアプロ
  ーチです。空港への距離と方位は分かりますが、降下
  傾斜角そのものは確認できないため、DMEが表示する
  距離情報を頼りに、空港ごとに作られた進入マップに
  従って、段階的に高度を下げて着地します。

●松山空港へのVORアプローチ:
 松山へのアプローチ手順は、基本的には以下の通りです。

  ・まず空港VORの真上を通過。333度へ変針する。
  ・そのまま直進しながら降下し、VORから14nm以内で
   左旋回のベースターン(涙滴型の反転)を行い、滑走
   路に正対。
  ・徐々に高度を下げ、滑走路を視認して降りる。

…しかし、いま飛んでいる、松山VORへのコース(126度)は、滑走路自体の向き(137度)に近いので、直線進入することにします。
 最終進入コース(滑走路の延長線)は、機体から見て左手に延びています。このまま空港に近づくと、どこかでS字旋回を打って、機体を左に寄せなくてはなりません。
 無理な操作を避けるため、早めに左へ10度変針しました。こうすると空港のかなり手前で、針路が滑走路の延長線と、浅い角度でクロスするため、スムーズに最終進入に移れます。

 …NAV1のラジアルは、VORのラジアル方位ではなく、滑走路方位に合わせておきます。あとはHSIのCDI指針の中央部が、左からスライドしてきて、上下の針と一本に重なったとき、ぴたりと滑走路の延長線上にいます。ここでわずかに右へ変針し、指針が垂直に立つよう操縦すれば、楽々と着陸コースに乗ります。
 月のない…暗い夜です。海の彼方にようやく、松山の街の灯がぼんやり見えたときは、ホッとしました。

 最終進入コースに乗ったところで、200Ktに減速。12nmほど手前で滑走路が視野に入り、160Ktに減速。段階的に降下を続け、1500ftで水平にして110Ktに減速。フラップとギアを降ろして、PAPIを頼りにスムーズに着陸しました。
 誘導路入り口を示す灯火がありませんが、滑走路の中央、航空灯台の真横に、エプロンに正対する「T4」誘導路があると分かっていますので、あわてずタキシングして、ランプイン。機体を回してエンジンを止め、燃料の残りを計ると、約3分の1の611Lbsでした。

     ●

 そろそろ…FlightGearの新バージョンが待たれますね。非常に楽しみですが、ことによるとまた、機体の改造に追われる可能性もあり、色々な意味で、ちょっと落ち着かない気分です。
 7月末にかけて、また仕事が繁忙期ですので、しばらく書き込みが減るかも知れませんが、できる範囲内で続けたいと思います。
投票数:19 平均点:5.79

通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-8-18 0:37
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。皆様、大変ご無沙汰しまして済みません。

 やっと仕事のトンネルを抜け出し、一息ついてみると、最後のリポートをお目に掛けてから、はや2カ月余り。日本語フォーラムはメニューなどの構成が一新され、涼しそうな配色に模様替えし、内容も空母発着やマルチプレイなど、新たな話題で賑やかですね。

     ○

 私は先日、羽田から東京タワー往復を試みたところ、あの直進性に優れたブロンコが、微風の34R滑走路で思わぬ大蛇行。とうとう転覆してしまい、練習不足を痛感しました(++;)。

 FlightGearに出逢う前、しばらく熱中していた「YS-FLIGHT」の作者、山下氏(米国在住の方で、実機の計器飛行資格に挑戦中)のブログを最近拝見しましたところ、アメリカでは過去6カ月以内に最低、計器による進入6回、コーストラッキング1回、ホールディング1回の実績がないと、教官クラスのパイロットといえども、単独で計器飛行する資格を失うそうです。逆に言えば、これだけ練習すれば、カンが戻るということでしょうね。

 というわけで、復帰後第1回のフライトには、計器飛行の練習テーマをどっさりと盛り込みました。ILS進入6回(着陸はせず、アプローチのみ)、ホールディング2回、VOR進入1回をこなしながら、四国・瀬戸内の計7空港を周遊する内容です。
 以下にご覧に入れるフライトプランのうち、「VFR」と書いた区間は、地上を見ながら推測航法を併用。「IFR」区間は、VORとAtlasを併用して飛びます。各地の計器アプローチは、かなり実機に近いコースをたどりますが、ここに書き込むと煩雑ですので、詳細は飛びながらご紹介することにしましょう。


■飛行再開…リフレッシュ訓練■
         (四国・瀬戸内の空港巡り)
 マップデータ:e130n30
以下すべて磁気方位。磁気コンパス偏差は「偏西6度」。

◎松山空港(VOR 116.30)
    ▼VFR 5500ft 115度17nm
△面河ダム湖
    ▼VFR 5500ft 115度33nm。
◎高知龍馬空港(VOR113.70 NDB399 ILS110.9)
    ▼IFR 5000ft 59度58nm 3000ft。
◎徳島空港(VOR114.90 NDB332 ILS108.9)
    ▼IFR 4000ft 286度29nm。
◎高松空港(VOR108.40 ILS109.7)
    ▼IFR 4000ft 350度33nm
◎岡山空港(VOR115.90 ILS110.30)
    ▼IFR 4000ft 253度49nm
◎広島空港(VOR117.90 ILS108.70)
    ▼IFR 4000ft 266度26nm
◎広島西飛行場(VOR109.85 ILS108.55)
    ▼IFR 4000ft 224度21nm
★玖珂VORTAC(114.30)
    ▼IFR 2500ft 125度32nm
◎松山空港(VOR116.30 RWY316度×126度)


●離着陸3回、VFRで高知龍馬空港へ:
 …松山空港でブロンコ改を起動後、過去のセーブデータを利用してエプロンに移動し、飛行作業を開始。リアルウエザーの天候は、雲が19500ftにcirrus(絹雲)、5000ftにscatterd(断雲)のみで、300度5Ktの微風。絶好の飛行日和です。

 両エンジンを始動。ゆっくりタキシーして、滑走路南東端の離陸地点へ。最初は勘を取り戻すため、離着陸を3回繰り返しました。滑走路を含む長方形の誘導コースを、なるべく正確に飛べるよう、各レグの方位を紙にメモして周回飛行。飛行速度は160Ktに抑え、最終進入のみ110Ktとしました。(空港の管制圏内では、ジェット機は250Kt以下、プロペラ機は170Kt以下の速度制限があります)

 少し自信を取り戻したところで、高知空港に向かいます。
高度を5500ft、速度を巡航の240Ktに上げて、松山市街地上空から空港VORの真上に入り、高知へ直航する針路115度にセット。ほぼ追い風ですので、偏流角は計算上ゼロ。念のため、「ABUNAI航法」の分度器と物差しも起動し、Atlasの航跡で偏流を測定しましたが、同じ結果が出ました。一応はVORを受信していますが、この区間は、推測航法の訓練のつもりです。
 やがて四国山地の面河ダム湖を、ドンピシャリ通過。この微風ですと、追い風以外の区間でも、VORをメインにして飛ぶ場合は、特に風力の修正計算をしなくてもよさそうです。
 2倍速に上げて、しばらく山地を飛ぶと、右手前方に湖を発見。いや湖ではなくて…もう高知市の、浦戸湾が視界に入ったのですね。以前使ったセスナ310に比べ、さすがにブロンコは快速です。

●高知龍馬空港でILS進入訓練:
 ここからは、みっちりと計器進入の訓練をします。
 高度を落とし、160Ktに減速。高知龍馬空港のVOR真上を3000ftで通過後、いったん152度に機首を向けて降下。VORから14nm以内を1800ftで通過しながら、左にベースターン(標準旋回による、涙滴型の反転・往復飛行)を行い、機首を317度に向ければ、ピタリと空港のILSに正対します。

 これはジェット機(250Kt〜190Kt程度でVOR通過)を基準に定められたコースですので、プロペラ機は前述の14nmよりも短い進出距離で、ベースターンを始める必要があります。
 私はブロンコでは、160Kt程度で中間アプローチ(VOR通過からベースターンまで)をしますので、空港VORから6nm前後飛んだ時点でターンすると、一発でうまくILSに乗ります。もっと速度の遅いセスナの場合は、2006年9月9日付の本連載と、「スナップショット」欄(旧「マイアルバム」)の「その他」にある、標準旋回のデータ早見表を見て頂ければ幸いです。

     ○

 さて…ブロンコ改には、標準装備のHSI(コンパス兼VOR・ILS指示器)の他に、セスナ用のCDI(ILS指針付きのVOR1用指示器)を増設してあるので、NAV1とNAV2のいずれでも、ILS受信が可能です。そこで私はいつもNAV1受信機にVOR周波数を、NAV2受信機にILS周波数を入れています。この方法ですと、HSIで常に空港VORの方角を直読しつつ、ILSは増設した方の計器で、別途監視することが出来るため、進入作業が非常に楽です。
(通常のFlightGearの機体ですと、ILSのグライドパスは、VOR1指示器でしか読めません。従ってNAV受信機の設定は、ここに書いたのとは1番と2番が逆になります。ご注意下さい)
 前記のコースをたどって滑走路を視認し、ILSに乗ってスムーズに降下。高度200ftまで降りてから増速し、上昇に移りました。思ったより、腕は落ちていない模様です。やれやれ(^^;)。

 【注】:ローアプローチとローパス。
 ここで書いた模擬着陸訓練は、「ローアプローチ」と呼ばれ、航空法では高度に制限を設けています。普通はD/A(ディシジョン・ハイト=着陸決心高度:ここで滑走路が見えなければ、上昇する高度)で水平飛行に戻し、上昇に移るようです。D/Aの数値は、条件によって変化しますが、ILS進入時の標準は200ftだそうです。実際にやってみると、これは滑走路端が正面に大きく広がり「よし。あと10秒弱で、正確な地点に接地できる」と感じる高度です。
 なお航空ショーで、滑走路すれすれまで降りる飛び方は、「ローパス」と呼ばれ、法的には降下制限がありません。ただし事前に、国土交通省の許可を得る必要があるそうです。

●続いて、ホールディングを練習:
 ILSを離れて上昇に移ったら、直ちに左へS字旋回。空港VORの222度ラジアルに乗って、空港から遠ざかります。この経路は、D/Aまで降りても滑走路が見えなかった場合に飛ぶ、ミスト・アプローチ(着陸復航)コースです。高知龍馬空港の場合は、このコースの延長上に、ホールディング・パターン(着陸順番待ちなどに使う、楕円の空中待機経路)が設けられているので、これを使ってホールディングの練習をすることにしましょう。
 222度ラジアルをVORから15nm飛んだ地点が、ホールディング・パターンの基点となる「SUSAKフィックス」です。図がないと分かりにくいので、「スナップショット」「その他」に、Atlas画面の「ホールディング航跡図」をアップしておきます。
 (旋回操作は、すべて手動操縦です。しかし直線部はウイングレベラーを使い、オートパイロット任せで直進しています)

 222度ラジアル上から、このパターンに入るには、「SUSAK」から左に30度変針して1分飛び、右に標準旋回で反転して、222度の反方位である042度に機首を向けます。これは、オフセット・エントリー(別名ティアドロップ・エントリー)という進入法です。ホールディング・パターンへの進入方法については「スナップショット」「その他」に、2006年9月23日付でアップした「ホールディング・パターン進入図」も、併せてご参照下さい。

 ホールディングは基本的に右旋回で、直線部の飛行時間が各1分間、180度旋回も(標準旋回ですから)各1分です。一見難しそうですが、要するにコース・トラッキングの一種ですので、無風か微風でしたら、VORに十分慣れた方なら簡単です。強風の場合は、風の影響を補正する操縦セオリーがありまして、私もまだ試していませんが、いずれ挑戦したいものです。今回はパターンを1周半して離脱し、空港VOR上空へ戻って、次の中継地・徳島空港に向かいました。

●徳島空港で、またまたILS進入訓練:
 さて…以下は、同様の訓練のくり返しとなりますので、コースのみを簡単にご紹介しましょう。
 徳島空港VORの上空を3000ftで通過。95度を維持して降下し、VORから14nm以内で右反転し、高度2000ftで機首を290度へ。これでILS進入コースに乗りますので、進入訓練を行い、先ほどと同様に、200ftまで降りたら復航(上昇)します。
 その後、すぐ左S字旋回を打って空港から離脱し、いったんVORの160度ラジアルに乗り、VORから8nm離れたら(プロペラ機は、もう少し手前で)右反転。再びVORに機首を向けて、上昇しながらVORを3000ftで通過し、機首を286度へ。これで次の目標・高松空港へのコースに乗ります。なかなか慌ただしいですね。

 ここで燃料計を見ましたら、意外にも残量は、ごくわずかでした。うまく行けば今回は無給油かな?とも思っていたのですが、見通しが甘すぎました。今日は離着陸や上昇降下、加減速を繰り返したため、予想をはるかに超えて燃料を食っています。機内タンクの2000Lbs(ポンド)だけが頼りで、補助タンクは使っていませんので、高松か、遅くとも岡山で給油しなくてはなりません。

●高松上空、いよいよ燃料がピンチ:
 徳島空港方面から、高松空港に接近する進入コースは、鋭角の旋回を避けるため、空港VOR通過とベースターンを、2回も行うことになっています。飛行経路は次の通りです。
 高松空港VORを5000ft通過。006度で降下、17nm以内で左反転。VOR上空を通過後いったん065度へ。VORから14nm以内で3500ft右反転し、259度でILS進入。その後は復航して、300度で上昇。
 予定ではそのまま、岡山空港(吉備VOR/DME=115.9)へ向かうところですが、とても無理。高松へ降ろすにしても、この長い進入路をのんびり飛んで、燃料は持つのかと冷や汗気分です。

 午後も遅い時刻に離陸しましたので、太陽がやや西に傾いてきました。最初のベースターンで、計器盤が機体の日陰に入ったため、ここでパネル左の照明スイッチを数回クリックし、計器類の照度を最大にしました。燃料計は、すでにゼロ寸前です。

 ブロンコはプロペラを、スピードブレーキとしても使えるため、あまり加速せず急降下できます。滑走路さえ見えていれば事実上、どこからでも降りられるので…ここは急降下して、緊急着陸すべきかと迷いました。結局は正規のコースを降りましたが、滑走路脇に乗り入れてエンジンを切ると、残燃料は18.6Lbs。あと1分遅ければエンストしていたわけで、大いに反省しました。

●岡山空港で、VORを間違える:
 満タンにして、さっそく岡山空港へ。ここもまた、よく似た進入訓練ですので、ご説明は省略します。結果のみ言えば、私はコースを間違えて降下してしまい、
   「山ばかりで、空港がない。ILSも受からない!!」
と、焦りまくりました。私が通過した「岡山VOR」は、実は山の中にありまして。空港があるのは、一つ隣の「吉備VOR」だったのです。分かりにくい命名ですが、私の単純ミスでした。
 実際の計器飛行ですと、管制官がレーダーベクター(誘導)してくれるわけですが。FlightGearでは当然、Atlasがその代りです。

●お次は、天候を悪化させる:
 手を変え品を変え、飛行訓練を続行します。
広島空港ではZキーを使って視界を落とし、雲中でホールディングと、ILS進入訓練を行いました。水平線が見えない、本来の意味での「計器飛行」は、たまにやると難しいですが、やはり面白いですね。今回のホールディングは2周しましたが、Atlas画面上では2本の航跡がぴたりと一致(スナップショット参照)。またILS進入もまずまず快調で、滑走路が計算通り、もやの中から現れた瞬間、ホッとすると同時に、ささやかな達成感を味わいました。
 続いて広島西飛行場に向かい、ちょっと乱気流を発生させて、悪天候の進入を再現。ここでは、ILSのグライドパス電波が受信できず、ちょっと焦りました。ローカライザしか、設けられていないのかと思いましたが、どうやらバグのようです。

 最後のローアプローチを済ませて反転。3000ftまで駆け上がり、安芸の宮島を正面に見下ろしながら、巡航速度まで加速。「やっと、帰れるぞぉーっ」という気分で、岩国基地南方の玖珂VORTACを経由し、夕暮れの松山へ帰着しました。

     ○

 長いブランク後の慣熟飛行も、無事に終了。さて、そろそろ久しぶりに、大旅行に出たくなってきました…。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 突然ですが、今日からまた、世界一周に挑みます(^^)/。

 今回は、西回りの一周をめざします。飛行エリアを北半球に限定しますので、総飛行距離は赤道よりも短く、南北両極と7大陸を飛び回った前回の「地球縦回り一周」(約6万キロ)よりは、コンパクトな規模になりそうです。
 ただし前回は松山出発後、コースの6割程度をUFOで駆け抜けており、一般航空機で飛んだのは南極以降だけでしたが、今回はプロペラ機やジェット機で、じっくり全航程を攻略します。

 使用機は、長距離飛行の操縦と航法がしやすいよう、熟成を進めてきた「ブロンコ改」がメインになりますが、一部区間では、さらに高速の(或いは、逆に鈍足でも面白みのある)航空機も交えて、じっくり旅を楽しんでみたいものです。

●地球に自分だけの、航跡を:
 私の海外バーチャル大飛行は、これで通算4回目。最初はマイクロソフトのFS98時代でした。沖縄・下地島でゲイツ・リアジェットの操縦練習中、ふと思いついてお隣の台湾へ渡ったところ、スケールの大きな海外フライトが面白くてたまらず、
     「もうヒコーキが、止まらんぜ!!」
という状態になり。一気にローマまで行ってしまいました。

 その後2回、フライトシムで世界一周に挑みまして、成功率は今のところ「1勝1敗」です。
 MSFS2000で計画した「プロジェクト・北極星」では、羽田からアンカレッジ経由の北極横断飛行で旅を始め、南米南端を経て地球を約4分の3周しましたが、北米のコロラド高原で、すっかり飽きてしまいまして挫折。2度目が前回の「プロジェクト・南十字星」で、南極点到達を含む、縦回り一周を達成しました。
 前回の旅は、熱心に航法の勉強をしながら飛んだため、まったく飽きることがありませんでした。さらに言いますと、この連載を書かせて頂き、FlightGearを通じて多くの皆さんを、「旅の仲間」と感じることができたからこそ、達成できたのだと思います。改めて皆さんに、心よりお礼申し上げます(^^)。

 今回の西回り飛行には、「プロジェクト・ハイフライト」という名前を付けました。航程の前半には、中央アジアの大高原地帯を、たっぷり飛ぶ予定です。いつ終わるか分かりませんが、焦らずのんびり進めるつもりです。(ヨットの堀江謙一さんが「航海は、一つ一つが私の作品」と仰っていましたが。フライトシムでもだんだん、そう言う気分になってきますね)

     ○

 では、出発します。
最初の航程の、フライトプランをお目に掛けましょう。


■「近くて遠い国」をめざして■(松山〜平壌)
 マップデータ:e130n30
        e120n30
以下磁気方位。コンパス偏差は「偏西6度」。

◎松山(VOR 116.30)
    ▼305度33nm
★玖珂VORTAC(114.30)
    ▼「V28」航空路 261度91nm
★福岡VOR(114.50)
    ▼313度64nm
★対馬VOR(111.45)
    ▼350度53nm
★釜山VOR(114.00)
    ▼264度70nm
★麗水VOR(115.70)
    ▼301度43nm
★広州VOR(114.40)
    ▼357度49nm
◎群山基地VOR(112.80)
    ▼01度49nm
◎瑞山基地VOR(111.50)
    ▼006度46nm
◎IncheonVOR113.8
    ▼79度17nm
◎ソウル・金浦空港(VOR 113.60)
RWY323-143 南ILS 110.70 108.30
     ▼353度26.2nm
△板門店付近
     ▼328度87nm
◎平壌(NDB 402 コンパスロケータ南290、北438、
    南ILS109.9 北109.50)
    空港の位置=N39.12.54-E125.40.31
    滑走路方位=008-188,350-170

 総飛行距離:587nm。

●紙飛行機の思い出と、対馬海峡:
 松山空港のエプロンで、ブロンコ改を始動します。
早朝にパソコンを起動しましたので、リアルウエザー機能が選んだお天気は、2525ftに雲量「few」、しかも無風と好条件。今日の総飛行距離は587nmに及びますので、あまり細かい航法はせず、VORお任せで、どんどん距離を稼いでみましょう。

 VFR(有視界飛行方式)の飛行パターンで離陸し、松山市街地へ。城山と自宅周辺に別れを告げ、空港上空に戻って、最初の中継地・玖珂VOR(岩国市の南方)に機首を向けます。
 さあ、旅の始まりです。先が長いので、すぐAキーを使って2倍速としました。

 玖珂VORを過ぎ、周防灘を西進して、北九州空港付近で九州の上空に進入。もと北九州市民としましては、この辺は懐かしい風景です。筑豊のシンボル・香春岳(かな?)を飛び越えたあたりで、早くも燃料計が4分の1ほど減っているのを発見。これはしまった、ずっと機内燃料タンクのままだったのですね。パネル右のスイッチで、さっそく機外の補助タンクに切り替えました。

 博多湾と福岡空港を遠望しながら、同空港への最終進入点になっている、福岡VORを通過。ここは「海の中道」と呼ばれる長い砂洲で、大きな海浜公園が広がっています。
 余談ながら。この一角にある「大芝生広場」は私が昔、紙飛行機クラブの月例会に通った場所です。塗装と研磨を重ねたケント紙のグライダーを、ゴムで打ち上げるアレですが、うまくサーマル(太陽熱上昇風)に乗りますと、分単位の滑翔も可能です。
 ヒコーキが大好きなおじさん、おばさんが炎天下、帽子とサングラスに身を固め、ストップウォッチを握りしめて、頭上を旋回しながら青空へ、次第に昇ってゆく機影を追って、ドタバタ疾走する光景は、我ながら大笑いですが。ものすごく楽しかったです…私のクラブ認定滞空記録は、7分56秒視界ボツでした。

●釜山の沖、鎮海湾をゆく:
 240Kt×2倍速で、ぐんぐん対馬海峡へ。対馬を飛び越えれば、もう日本とお別れです。朝鮮海峡を北進し、やがて水平線のもやから現れた釜山市は、深い入り江と山々が組み合わさり、箱庭のように美しい地形の街でした。空港もなかなか立派です。

 市街地の海岸沿いを西へ飛ぶと、きれいな島々の間に、東西4nmくらいの湾が見えてきました。
   「これが有名な、鎮海湾かあ。案外小さいな…」
 ここはかつて日露戦争中、日本海軍が前進基地として滞在した泊地です。陸岸からケーブルを引き込んで、停泊中の旗艦「三笠」から直接、東京の海軍省に電報が打てたそうで、当時としては、非常に贅沢な「通信環境」だったでしょうね。

 日本海海戦は、無線電信機が本格的に使われた、史上初の戦闘として知られますが、実は海底電線を使った電信でも「水面下の闘い」があった模様です。日本が鎮海湾から、同盟国のイギリスや、戦費を貸してくれたアメリカに連絡を取るには、最初はロシアの管理する電信網を経由するしか方法がなく。日本側は傍受を防ぐために、慌てて長大な海底ケーブル網を敷設したのだとか。
 日本近海さえカバーすれば、その先にはイギリスの、世界にまたがる電信網と情報網があります。日露戦争に勝った(或いは、負けずに済んだ)のは、これらに負うところが大のようです。

 一方で日露戦争は、当時の日本から見れば「やっと誕生した近代国家を守る、国民あげての防衛戦争」だったでしょうが、見方を変えれば「朝鮮半島から、さらに中国・満州への侵略準備」の性格も否定はできず。もっとグローバルに見れば「ロシアの南下から、中国や太平洋の植民地を守りたいイギリスが、日本をたきつけて戦わせた代理戦争」だとも言われます。仮想現実とはいえ韓国を飛ぶと、そんな「歴史の重さ」もまた、感じずにはいられません。

     ○

 釜山から麗水に掛けての韓国南岸は…実際に行ったことは、まだありませんが…FlightGearで見る限り、非常に美しい多島海です。地図によると観光特区や道立公園が連なり、日本なら三浦半島と湘南海岸、瀬戸内海がくっついたようなものでしょうか。
 高度を8000ftに上げて、内陸の広州へ。ここでVORの針路設定を間違えてしまい、かなり東へそれたため広州は飛ばして、韓国西岸中部にある、瑞山空軍基地のVORへ直航。(この上空で一度セーブして、後日飛行を再開しました)

●ソウルで給油、「南北」境界の板門店へ:
 韓国西岸を北上し、仁川国際空港からソウルに繋がる、阪神間くらいの大きさの都市圏へ降下を開始。ソウルは意外に山が多く、心地よく蛇行した川(漢江)に彩られた街ですね。付近に複数の空港があるため、実機が計器飛行でアプローチすると、やや複雑な経路になりそうですが、今回はあっさりと、有視界飛行で金浦空港へ着陸。燃料はまだありますが、一応補給しておきます。

 一息ついたら、さて「国境への旅」です。
北朝鮮へ入るには、いったん黄海上空へ迂回したりする方が、リアリティーがありますが。時間が掛かるため、軍事境界線の上にある冷戦の象徴・板門店に直航しました。Atlasマップには、もちろん位置が図示されないので、緯度経度を基にベクトルを計算して、金浦空港VORからコースを引きました。
 実際に行ってみると…山の中に池(川の屈曲部?)が二つほど見えて。その真ん中あたりを通りましたが、後でGoogle Earthの衛星画像を見ると、おおむね位置は合っていたようです。

 DMZ(いわゆる「軍事境界線」)を越えた後は、穏やかな山並みが続きます。金浦空港VORを受けていますが、DMEの感度が悪いため、高度を10000ftまで上げ、慎重にコース修正を重ねながら北上。さらに感度が落ちたので、平壌NDBに切り替えました。(FlightGearの平壌空港には現在、VORがありません。ただし現実世界では、ちゃんと設けられています)
 やがて平壌の市街地が見えてきました。ここもまた、緩やかにうねる大同江が、街を南北に分かつ「川の都」です。街を作る土地の選択センスは、どことなくソウルと似ていますね。これって風水で、縁起がいい地形なのでしょうか。

●将軍様の国際空港:
 市街地の北、12nmほどにある平壌国際空港は、実は私が「いつか、必ず降りてみよう」と、楽しみにしていた空港です。数ある世界の空港の中でも、群を抜いてユニークで、初めてAtlas画面で見たときに、思わず「うっそ〜〜〜っ!!」と叫んでしまいました。何しろ2本ある滑走路が、なぜか前後に並んでいるのですから。

 空港は、主に風の吹く方向に合わせて、主滑走路を設けます。これで容量が足りなくなったら、普通は2本目を平行に設けて、離着陸機をさばきますよね。土地とお金にゆとりがあれば、さらに横風用の交差滑走路を追加します。
 ところが平壌空港は、南北に走る主滑走路(3800m)の南端から、南にわずか1キロ足らずの場所に、やはり南北に走る第2の滑走路(3500m)があります。こちらは方位が、約10度だけ西に傾いていますが、位置的には、ほとんど一列です。

 2本同時に発着を…やろうと思えば、出来ないことは、ないのかも知れませんが。もし1機が着陸復航をしたら、非常に恐いことになりそうです。さすがに実世界では、南滑走路は現在、閉鎖中。2本の滑走路は、長い誘導路で繋がれており、日本で言えば千歳空港と新千歳の関係に、少しだけ雰囲気が似ています。
 ひょっとすると、これは。軍用と民間用とか、元は別々の飛行場だったのが、拡張工事を重ねている間に接近してしまい、身動きが取れなくなったのかな?とか、あれこれ想像を巡らしていますと、この「遠い国」が少しだけ、近くも感じられてきます…。

 もう一つの「謎」は、NDB局の異様な多さです。
以下は、Atlasの画面情報だけが根拠ですが。0.9.10版のマップでは、空港の15nm以内にNDBが7カ所設置されており、一つ前のバージョンとなると、何と11カ所もあります。
 ほとんどが、滑走路の延長線上にありますから、より精密に進入するための、コンパスロケーター(アウターマーカーの代りに設けられたNDB局)だろうと思います。しかしロケーターでしたら、2本の滑走路に計4個あれば十分。やたらに作っても、周波数切り替えに苦心するだけですので、これも同空港ならではの神秘です。

     ○

 …ともあれ、無事に北滑走路へ着陸しました。有視界飛行で降りましたが、北側はILSも双方向にあります。

 長い誘導路を少々迷いながら、南滑走路沿いにあるエプロンに向けて延々、15分も掛かってタキシングすると、得も言われぬ旅情が湧き上がってきました。次回は黄海を越えて、北京に向かいます。
投票数:11 平均点:2.73

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 極東の旅を続けます。今回は平壌空港を出発して、黄海に突き出した遼東半島の都市・大連を経由し、北京に向かいます。

 余談ながら…私の住む松山市には今春、司馬遼太郎の小説の記念館「坂の上の雲ミュージアム」が開館しました。私はもちろん戦争はまっぴらですが、歴史の動きや時代の雰囲気が分かるので、戦史などを読むのは好きです。
 開館をきっかけに読み返した「坂の上の雲」にちなみ、今日はコースの途中で、遼東半島にある日露戦争の古戦場・旅順を空から見学してみたいと思います。
 フライトプランは、以下の通りです。


■歴史が眠る、遼東半島をゆく■(平壌〜北京)
 マップデータ:e120n30
        e120n40
        e110n40
 以下は磁気方位。偏差は空港ごとに記載。

◎平壌空港(NDB 402)
     N39°13'26.62"-E125°40'12.54"
     RWY008-188,350-170 偏西8度。
    ▼323度89nm
★Dandong(丹東)VOR(113.90)
    ▼247度150nm
◎大連空港(VOR 112.30 NDB 414)
     N38°57'56.40"-E121°32'18.96"
     RWY10/28 標高107ftm、偏西7度。
    ▼237度16nm
△旅順口(N38.57.59-E121.32.18)
    ▼297度138nm
◎Luanxian VOR(天津市、117.10)
     N39.44.17-E118.43.37
 近くに天津・Binhai空港(Tianjin VOR 112.10)
    ▼289度100nm
◎北京空港(VOR 114.70)N40.04.14-E116.35.52
     RWY18R/36L 18L/36R 標高116ft 偏西6度。
 計493nm。

●平壌を出発、さっそく航法トラブル:
 平壌の天候は、5500ftに「Scatterd」の雲、西寄りの風1Ktと、今回も上天気。燃料は機内タンク(2072Lbs)満タンに加え、補助タンク(4554Lbs)にも、たっぷり4150Lbs残っています。

 国際空港の北滑走路から、北に向けてエンジンを全開。離陸後、場周経路を左回りに一周し、4000ftに昇りながら北滑走路中央の上空に戻って、次の中継地・Dandong VORに向け、コンパスの針を340度にセット。距離を稼ぐため、すぐ2倍速にしました。

 雲の下に広がる北朝鮮の、低い丘の連なりと田園は、日本の地形データとかなり似て見えます。しばらく快適に飛び続けましたが、VOR指示器の振る舞いがおかしい。いくら針路修正を重ねても、局の方位を示す指針が、左へ寄ってしまうのです。
 風の影響はないし。うんと高緯度ですと、飛行時間とともに方位に誤差が出るでしょうが…それでもなし…と、かなり悩んだすえ、やっと計算ミスに気が付きました。「ABUNAI航法」を使って、最初から磁気方位でコースを決めたのに、緯度経度から真方位の針路を算出したと勘違いして、偏差を二重に足していたのでした(前掲のフライトプランでは、修正済みです)(^^;)

 NAV1の設定を、左へ7度修正。急に落ち着いた計器にホッとしながら、Dandong VORへ飛行を続けます。

●鴨緑江を越えて、遼東半島へ:
 飛行コースは、いったん黄海に出て再び陸上へ。広い海岸平野を30nmほど進むと、前方に大河が見えてきました。広大な中州を幾つも抱え込み、ゆったりとうねって流れる、大陸的な顔をした川。これが中朝国境の、ヤールー川(鴨緑江)なのですね。スケールの大きな眺めに、「やっぱり旅は、いいなあ」と呟きながら西へ。この川の源流は、はるか約700キロ先の白頭山だそうです。

 1倍速に落として、中国領に入ります。ふと気が付くと、たくさんの鉄道橋や道路橋が両岸を結んでおり、なるほど北朝鮮と中国は関係が深そうですね。約10nm進むとDandong VORがあり、直前で左に変針して、機首を150nm彼方の大連に向けました。大連のVORは強力で、この距離から感度があり、DMEも時々受信できます。燃料節約のため、10000ftをめざして上昇を開始しました。

 …いま飛んでいるのは、遼東半島の付け根です。広い海岸平野の上でZキーを使い、あまりパソコンが重くならない範囲で、もやを少なくして視程を広げました。やがて海に出て、陸岸から付かず離れず、といった感じで西南西へ進みます。

     ○

 黄海に突き出した、サイの角みたいな遼東半島。
その先端に近い南岸に広がるのが、大港湾都市の大連です。現在の市域は半島のほとんどを占め、人口は約650万人。昔から造船などが盛んでしたが、今は携帯電話も量産しているそうです。
 市街地の空港上空でVOR通過を確認、さらに半島の先端方向を眺めると、はるか地平に細く奥深い湾が広がって、その後背地に低い山々が連なっているのが見えました。

       「あれが有名な、旅順かぁ」

 旅順の湾は天然の良港で、清国やロシアの軍港に使われ、日清・日露戦争で激戦地になったところです。
 ここを飛ぶ機会は、めったにありませんので。今日は「なぜ日露戦争で、旅順が戦いの焦点になったのか」「旅順の攻防戦で、203高地と呼ばれる山が、最大の激戦地になったのはなぜか」を、主に地形の面から考えてみたいと思います。

     ○

 FlightGearにポーズを掛け、Atlasを広域倍率にしてみますと、遼東半島は中国の「首都圏」華北地帯を、外洋から隔てる防波堤のような位置にあることが分かります。
 もしあなたが19世紀の、どこかの国の海軍の総司令官なら。半島先端の旅順に強力な艦隊を置けば、華北一帯の海運をコントロールできるばかりか、広く極東一円の海にも、にらみを利かすことができそうです。ただし背後の攻撃から軍港を守るため、堅固な要塞を併設する必要がありますが。

 清国とロシアが試みたのが、まさにこれでした。清国は19世紀の終わりごろ、旅順に近代的な艦隊の司令部を建設。いったん日清戦争で日本がこの清国艦隊を破って、遼東半島を手に入れましたが、その後ロシアがドイツ、フランスと共同で、日本に圧力を掛けて返還させ、今度はロシアが見返りに遼東半島を租借。旅順に太平洋艦隊を置き、背後の山々を要塞で固めました。

●あの「203高地」を空撮:
 ここで「そもそも、なぜ日本とロシアが戦争をしたのか」も、おさらいしておきましょう。ただし両国の関係史に踏み込むと大変ですので、ごく簡単に、

 (1)産業革命で、少数の近代工業国家が生まれ、巨大な資本主義のエンジンが始動。商品とカネとヒト(実は、人口も一気に増えた)を、洪水のように生み始めた。
 (2)そこで工業国には、これらの消費・投資先(いわゆる植民地)と原料供給地を海外に求める、巨大な「浸透圧」のようなエネルギーが発生。仁義なき植民地争奪戦に走った。
 (3)日本とロシアは、遅れてこの競争に参加。まだ割り込む余地のありそうな、中国北部や韓国を目標に選び、やがて満州で両国の利権が激突した。

 …と一応、考えておくことにします。でも、なぜ日本とロシアが戦うと、旅順が注目されるのでしょうか。以下は、ほぼ「坂の上の雲」の受け売りです。

     ○

 日本とロシアの陸軍が満州で戦う場合、ロシア軍はシベリア鉄道で兵士や武器弾薬を補給できますが、日本軍は海上輸送に依存します。もし旅順のロシア太平洋艦隊が海上封鎖に成功すれば、日本陸軍は大陸で孤立し、負けとなります。つまり日本近海の制海権が、戦争全体のカギを握ったわけですね。

 緒戦は主に、旅順のロシア艦隊と日本海軍が戦い、一進一退の攻防のすえ、ロシア艦隊は決戦を避け、旅順港内に立てこもります。ここでロシア政府は、バルト海から大規模な本国艦隊(バルチック艦隊)を増援することにしました。
 両艦隊が合流すれば、日本海軍に勝算なし。そこで陸から旅順を叩こうと、陸軍が攻略しましたが、要塞へひたすら突撃を重ねる古い戦法のため、当時の新兵器・機関銃に阻まれ、多くの戦死者を出して膠着状態に陥りました。

 日本陸軍は作戦を見直し、要塞地帯のうち港内が一目で見渡せる、標高203mの小さな山・通称「203高地」に着目しました。ここを奪って観測点を置けば、測量による間接照準で、山越しに市街地と、港内の艦隊を砲撃できるのではないか…。
 凄惨な戦闘のすえ203高地は占領され、市街地への砲撃で戦いの流れが変わり、要塞全体が陥落。日本側がにらんだ通り、203高地こそ旅順の「アキレス腱」だったのですね。
 港内に停泊中のロシア艦隊も、砲撃を受けて全滅。長らく湾口に張り付いていた日本艦隊は、ようやく佐世保に帰って整備を行い、バルチック艦隊との決戦に臨んだ…と、司馬氏は語ります。

     ○

 FlightGearの地形データは、わりに正確ですので、この有名な203高地とは、一体どんな場所で、港はどう見えるのか、私はぜひ一度、機上から眺めてみたいと思いました。
 幸いGoogle Earthの衛星画像に、203高地の正確な地点が載っていました。Atlas画面やFlightGearの風景と見比べて、それらしい山を特定。海から降下しつつ湾を渡った私は、この小さな山頂を南から1000ftで飛び越え、スナップショットを撮りました。

 203高地は想像したよりも、なだらかな丘陵で。ここから市街地をはさんで望む港内も、予想より遠くに見え。「見下ろす」と言うより「はるかに眺める」感じです。
 ロシア太平洋艦隊が立てこもった湾は長さ2nmで、湾口は幅0.4nmしかありません。日本海軍は、ロシア艦隊が出てこないなら、出口を封鎖して閉じこめようと暗夜、数隻のボロ汽船で突入して自沈する作戦を展開しましたが、失敗。指揮官はロシアに駐在武官として滞在した経験があり、ロシア語が堪能だったので、ブリッジにペンキで「ロシア海軍の諸君。自分は日本海軍の○○である。閉塞作戦が成功するまで、何度でもやって来るぞ」と大書して脱出し、ボートで退却中に戦死しましたが、この時代はまだ、ある種の「騎士道」が残っていたのでしょうね…。

 しかし日本とロシアが、他人の領土=中国領=に出かけて行って、勝手に大げんかをするというのは…幾ら外交ルートで「正式に中国に断った」とは言え、すごいお話です。
 晴れた空のもと、「夏草や、つわものどもが、夢の跡」…といった雰囲気の、静かな風景の中を飛ぶと、両軍の兵士や、巻き添えとなった多くの中国の人に、花束を投下したい気分でした。

●五輪バンザイ? 超巨大な…北京の空港:
 旅順の後背地から急上昇に転じ、天津にコースをセット。今回もVOR指針が大きくずれるので、しばらく悩んだすえ、周波数の設定ミスと判明。どうも勘違いが多いフライトです。しかしそれ以外にも、どうもコースのドリフトを感じます。次回以降の飛行で、このへんを詰めてみる必要がありそうです。

 渤海を飛び越えて、中国本土の海岸線を横断。あと100nmで北京です。引き続き10000ftを2倍速で、さまざまな色合いの耕地や、川の上を飛んでいきます。まっ平らで、広大な平野。日本では関東以外には、こんな眺めはないでしょう。
 北京国際空港の30nm手前から、高度を下げて1500ftをめざし、1倍速に落とします。眼下には、いつの間にか鉄道線路や道路が増え、それがみな、北京に向かって伸びています。私はコンパスに頼るのを止め、線路に沿って飛び始めました。

 まさに「どっかーーーん」という感じで、地平線に大都会が出現しました。北京市街地の手前で北に変針し、VORを捉えて空港へ。滑走路が2本、南北に伸びています。東側の主滑走路(3800m)を選び、目視で進入。スムーズに着地してエプロンに乗り入れ、エンジンを停止しました。
 今日使った燃料は2107Lbs。飛んだのは493nm。1Lbsあたり0.2339nm。ここから最大航続力を出すと、約1540nm。小さなプロペラ機としては、なかなか優秀ですね。

     ○

 ところで、この北京空港がまた、でっかいのです。
西隣の滑走路(3500m)までは約1.5km。FlightGearの中では、両滑走路の間に標高数十mの丘がありますが、実世界ではこれは取り払われ、すでに全長3キロ(!!!)に及ぶ、巨大なターミナルビルが建っています。
 衛星写真で観察すると、建物だけで松山空港の敷地くらいありまして、オリンピックを前に、いかに中国が張り切っているか、よく分かります…。(しかし、深刻な水不足や食糧の安全性、それに公害。だいぶ悪口を言われていますが、大丈夫かな?)

 次回は、みっちりと航法の練習をしながら、黄河流域を西に向かう予定です。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 さて今回は、北京から南下しまして、河南省の鄭州で西へ変針。ほぼ黄河に沿って進み、陝西省・西安(かつての古都・長安。シルクロードの起点)を通過。さらにチベットに近い甘粛省の蘭州まで、全行程900nm近い無着陸飛行を試みます。

 この先は、VORがほとんどない地域を飛ぶ予定ですので、今回の長距離移動を利用し、推測航法の訓練をしておきます。

●空港情報データベースを発見:
 海外の長距離フライトでは、行く先々の空港情報が必要です。正確な位置やVOR周波数などは、Atlas画面から読めますが、出来れば以下のデータも、一度に手に入れたいものです。

 ・滑走路の方位と長さ(Atlas画面で測定すると面倒)
 ・滑走路の標高(Atlasの色分けに頼ると誤差が大)
 ・空港における磁気偏差(専用HPで調べずに済ませたい)
 ・テキスト表示の緯度経度。(誤記防止にコピペしたい)

 そこでネットを探しましたら、実機のパイロットさんのブログから、以下のような全世界対象のサイトを発見しました。

      http://worldaerodata.com/

 空港名(横文字)かICAOコードを打ち込みますと、前記データの他に滑走路の勾配、標準時間帯、無線施設、灯火類、給油できる燃料の種類まで分かります。着陸コース図も手に入れば完璧なのですが。さすがに無料公開はされていません。(注:フライトシム用の公開例は、少し古いデータのようです)
 …以下にお目に掛けるフライトプランには、このサイトを使って、少し詳しい空港データを入れています。

■大黄河の流域をゆく■(北京〜蘭州)
マップe110n40
   e110n30
   e100n30

◎北京空港 CAPITAL INTL ZBAA
40°04'48.40"N 116°35'04.40"E 116 feet Var006°W
18R/36L 18L/36R VOR-DME 117.2 5.8 NM 102.8
NDB 380 12.4 NM 169.0(他のVOR 114.70)
   ▼199.4度
    (Mag205度、●補正203度)236nm
★Weixian VOR(115.70)N36.21.50-E114.55.04 Var004.5°W
   ▼205.4度
    (Mag210度、●補正208度)123nm
◎鄭州(チョンチョウ=Xinzheng)ZHCC
34°31'10.82"N 113°50'27.20"E 495feet Var004°W
12/30 VOR-DME 114.5 NDB 256 14.9 NM 167.3
   ▼269度
   (Mag272度、●補正268度)252nm
◎西安(シーアン=Xianyang)VOR 115.30 ZLXY
34°26'49.63"N 108°45'05.73"E 1572 feet Var003°W
05/23 VOR-DME 115.3 NDB 359 14.4 NM 339.5
   ▼296.3度
   (Mag300度、補正292.8度)280nm
◎蘭州(ランチョウ=Lanzhou)ZLLL
36°30'54.87"N 103°37'14.79"E 6388 feet Var002°W
18/36 VOR-DME 114.3 NDB 198 18.9 NM 334.8

 総飛行距離:892nm

 【注1】空港データの記入順:
 空港名とICAOコード、緯度経度、標高、偏差(例:Var006°W=偏西6度)、滑走路方位、VOR周波数など。
 【注2】推測航法の針路について:
 ▼マーク後の針路データは、最初の数字が真方位。カッコ内Magは磁気方位で、出発・到着空港の偏差平均から算出。
 簡略化のため、コース前半の鄭州までは風向90度・風速10Ktとし、後半は風向180度・風速15Ktに統一。この数値を、フリーウェアの航法計算ツール「Virtual E-6B」に入れて、風力補正済みコンパス針路(●印)を出しました。

●北京から、広大な農業地帯を鄭州へ:
 ほぼ快晴の北京「首都国際空港」。36L滑走路を北へ離陸します。6nm進んで右に標準旋回し、反転して空港VOR上空を通過。針路203度で2倍速に入れ、4000ftをめざします。
 ブロンコは残念ながら、オートパイロットの「Heading Bug」(磁気方位モード)が使えませんので、私はコンパスを見て手動旋回し、ウイングレベラーで針路を固定しています。針路を数値入力する「Heading Bug」モードより精度は落ちるはずですが、旋回時はHSIを拡大表示したり、コンパス盤面の機首方位マーク(幅4度)も補助目盛りとして活用するなど、工夫をしています。

 さて眼下は、地平線まで農地が広がり、たまに道路と川、小都市が見えます。HSI(コンパス兼VOR指示器)を見ますと、CDI指針(VORのずれを示す針)が、かすかに左にそれています。これを手動操縦で修正。やがて北京のDMEが受信できなくなったので、NAV1を次の中継点・Weixian-VORに切り替えました。
 Weixianまで、あと75nmくらいの地点から、CDI指針は逆に右にそれ始めました。そのまま続航し、機体はVOR局の左2.3nmを通過。飛行距離に対する左右誤差は約1%と、かなり優秀でしたが、途中でコースを修正しましたので、あまり参考にはなりません。そこで次の区間は一切、修正なしで飛ぶことにしました。

●VOR電波と機体の経路の差:
 旋回してWeixian-VORへ戻り、機体を次の区間針路に合わせておいて、正確にVOR上空を通過。再びコンパスだけを頼りに、第2の中継地・鄭州に向かいます。
 208度を維持して、ひたすら南下。VOR針路誤差を示すCDI指針は、今区間でも最初は左へ少し外れ、最後は右に少し外れて行きました。これは一体、どういう現象なのでしょうか…。

 色々考えた末、やっと思い当たりました。
私は今、コンパス針路を一定に固定して、長距離を直進しています。これはラームライン(Rhumb line=等角航路、または航程線)と呼ばれる飛行経路で、一般的な「メルカトル図法」の地図に描きますと、直線になります。しかし同じコースを、丸い地球儀の上に書き移しますと、南にわずかに膨らんだ弧を描くはずです。
 また逆に。地球儀の上に糸をピンと張り、出発点と目的地を最短距離で結ぶコースを描くとします。ご存じのように、これは大圏コースと呼ばれ、メルカトル図の上に転写しますと、北に膨らんだ弧になります。飛行する際は、針路を連続的に修正する必要があるため、手動操縦には向きませんが、FlightGearのオートパイロット連動GPS航法は、この飛行経路を使っています。

 VORの電波は直進するので、大圏コースを飛びます。受信する私はラームラインを飛んでいますから、コースの最初と最後では、それぞれ逆の方向に、VORが針路誤差を示すわけです。
 長距離の推測航法をするたびに、原因不明の小さなドリフトを感じたのは、これだったのですね。ニュージーランド飛行以来の、航法の謎が一つ解けました。ばんざぁい(^^)!!

 となると推測航法では、このVOR誤差は無視して、算出した針路を信じて飛べばいいわけですね。試しに「ABUNAI航法」で針路を実測しましたが、VORのドリフトとは無関係に、正しい対地針路を維持していることを確認しました。実際、機体はやがて蘭州VORを、1nm未満の誤差でドンピシャリ通過しました。
 周防正行監督の、大学お相撲映画「シコ踏んじゃった!」の試合シーンでは、学生たちが「自分の相撲、自分の相撲!」と声援を送りますが、私も好結果に嬉しくなって、思わず
     「よっしゃ、自分の航法、自分の航法!」
と呟きながら、西へ…。

●黄河よ!! 黄河よ!!
 この蘭州VOR通過の直前、私は黄河を横断しました。これがもう、実に印象的な眺めでした。
 360度に広がる大平原を、あっちの地平から、こっちの地平へ、幅2nmくらいある流れが横たわっています。川面には、小さな村が乗ってしまいそうな、大きな中州が、平気で幾つも転がっています。Vキーで機外視点に切り替えて、視野をワイドに引くと、大空に散った断雲が、また素晴らしい眺め。スナップショットを撮るアングルに迷いました(^^)。(アップロード欄にあります)
 http://www.jp.flightgear.org/modules/myalbum/photo.php?lid=47&cid=2
 この大河をコンパス代わりに使い、低空で西安まで遡上したら、さぞ素晴らしい旅になるでしょう。しかし今回は、航法の精度をしっかり確認しなくてはなりません。残念。

 ここで風を変更。風向180度・風速15nmとします。鄭州空港から先は、この風力データを計算機に入れる代りに、ABUNAI航法を使って機上で偏流測定を行い、補正針路を算出する、より自立性の高いナビゲーションに切り替えました。
 黄河南方の山岳地帯へ差し掛かります。そろそろ、黄土高原と呼ばれる黄砂のふるさとです。FlightGearでは青い黄河も、実際は黄褐色をしているのでしょうね。高度設定を10000ftに変更し、機体はやがて、薄い雲の層を突き抜けて浮上。平らな雪原のような、幻想的な景色が広がるこの一瞬が、私は好きです。

●FlightGearが異常停止:
 標高7000ft近い山岳地帯を抜け、西安を通過。かつて「長安の都」だったところですが、意外に小振りな、谷間の街ですね。これよりシルクロードの始まりです。
 西安のVOR通過時は、約4nm誤差が出ました。今日の各航程は途中で偏差が変化していますし、FlightGearが再現する、風によるドリフト量にも若干の誤差があります(2006年8月13日連載分)。従って、先ほどの「誤差ゼロ」は相当、運がいい例だと言えます。

 …ここで、思い出すも不愉快なトラブルが。西安の少し先で、どうもパソコンの処理速度が遅くなった、と思いましたら、地形データが途中から消えるエラーが発生。機体が空白地帯に差し掛かったとたん、無情にもFlightGearは終了しました。
 この手の症状が出ますと、私の技術ではCドライブの内容を、すっかり書き直すしかありません。数カ月前に保存したイメージファイルをロードし、北京から全コースを飛び直しました。

 ムチャクチャ腹が立ちましたが、同じコースを2回飛ぶ機会はめったにありません。そこで2度目の飛行では、久しぶりにオートパイロットの「True Heading」(真方位)モードを使い、磁気方位+ウイングレベラーを使う飛行方法と、航法の誤差の比較をしました。真方位モードでは、針路を小数点以下まで入力できるうえ、磁気方位に換算する際の四捨五入もなくなるため、一段と精度が上がるはずです。
 でも実際にやってみると、有意な差はありませんでした。先ほど触れました「ドリフト量の誤差」問題や、或いはFlightGearの地球モデルと実際の(真球ではない)地球との差などに、吸収されてしまうのでしょう。全体として…今の航法のやり方は、正しいと考えて良さそうです。

     ○

 蘭州〜西安間は推測航法を取りやめ、先ほどやりたかった、黄河に沿って遡航するフライトを実現しました。広大な流れを見下ろし、また山岳地帯を蛇行する谷間を抜けてゆく旅では、グランドキャニオンとは味の違う、スケールは大きいが柔和な風景を、存分に楽しむことができました。
 この区間の黄河は、東向きに逆行したり、「三日月湖」を形成するような、極端な蛇行はなく。おおむね西を向いて流れているのは幸いでした。

●坂井三郎も見た、これが函谷関?:
 西安を過ぎると、黄河本流は北に折れます。ブロンコ改と私は、西へ延びる支流・渭水に沿って飛び続けました。おお、そう言えば。名所「函谷関」は、この近所ではないでしょうか?

 往年の零戦エース・坂井三郎さんの「大空のサムライ」には、黄河と渭水の分岐点のすぐ西で、「カルメ焼きを上から見たような醜怪な地形」を目撃する場面があります。「かつて地球が出来たとき」のような、薄気味悪い光景だそうで、どうも巨大な割れ目が無数に切れ込んだ、一種のハゲ山のようですね。坂井さんは航空図で函谷関という地名を読み、箱根山の歌にある「函谷関も、ものならず」の歌詞の元かと納得。「えらい見物をした。飛行機乗りのありがたさだ」と書いています。

 FlightGearで、これが見えるなら、ぜひ見たいものです。地図で場所を調べ、三門峡を過ぎたあたりから、渭水の南岸を探しますと、「そう思って見れば、そうも見える」…といった感じの、妙にデコボコした丘陵を発見。あれですかねぇ。
 豪州のエアーズロックはよく見えたので、ちょっと期待したのですが。欧米人に有名でない場所は当然、何の加工もしてありませんから、見分けが難しいようです。
 現在は、Cドライブに「Google Earth」を入れていないのですが、近いうちに再びインストールして、あれが函谷関だったのかどうか、確認してみたいと思います。

●高原の街、蘭州に着陸:
 これ以上、FlightGearがトラブっては困るので、航程の最後は負荷の少なそうな雲の上を、淡々と進みました。

 蘭州の空港は、標高6388ftの高原の上。ほぼ理想的な角度で、ダウンウインドレグに接近したのですが…褐色の地面に滑走路が紛れてしまい、いくら近づいても見つかりません。やっと2nm手前で視認して、慌てたはずみに誤って風上側へターンしてしまい、アプローチをやり直す羽目になりました。

 2回のアプリ停止をはさんだものの、ともかく蘭州までやってきました。ちょっと西遊記みたいな気分です。
 次回は、チベットの大高原などを飛びます。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-9-19 0:31
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回の旅で、文字通り「山場」の一つとなる、チベット高原とヒマラヤの横断飛行をする日がやってきました(^^)/。

 中国西部にある、シルクロードの要衝・蘭州を離陸。チベット自治区の首都・ラサまで大高原を横断。そのままエベレスト山頂を越えて、ネパールのカトマンズまで、世界で最も高い地域を1081nmにわたって、無着陸飛行します。

【注:世界最高峰の名称】
 エベレストとは、イギリスのインド測量局長の名だそうで、あまり芸のない命名ですね。近年はチベットの呼び方に基づく、中国政府の決めた「チョモランマ」が多用されて来ましたが、ネパールでは「サガルマータ」と名付けており、他にも呼び方がありますので、本稿では地図やネットにも多い「エベレスト」の表記にさせて頂きました。

     ○

 エベレスト越えは8年前、マイクロソフトのFS98で試したことがありますが…このソフトは或る意味、傑作でした。まず、テクスチャーの張り方が間違っていて、低い山では雪景色なのに、アルプスやヒマラヤは、なぜか一面の緑に覆われていまして、「こりゃ、温暖化を先取りしたのかな?」とびっくり。エベレストの位置は本来の緯度経度から100nm以上ずれており、標高も約34000ftあるなど、まるで造山運動がはるかに進んだ、何億年も未来の地球を見るようで…なかなか圧倒されました(^^;)。
 FlightGearの地形は、地域やバージョンによっては解像度が粗いものの、総じてかなり正確ですので、ヒマラヤがどう見えるのか、以前から一度は飛びたいと思っていました。

●世界最大、航空の「空白地帯」:
 …そこで半年ほど前、ヒマラヤ主要部と周辺の地形データをダウンロードして、Atlasのmap.exeで地図を展開しましたが、北に隣接するチベット高原(東西約2000キロ、南北約1000キロ)の高さと広さに、改めて驚きました。
 チベット高原は、Atlas画面では全域が、標高10000ft以上を示す青白いカラー表示で覆われています。地図帳などで調べますと、標高5000メートルの地点に幹線鉄道が通っていたり、ヒマラヤと合わせれば、7000メートル級の山だけで100座以上あったり、途方もないところですね。黄河と揚子江、ガンジス川とインダス川は、すべてこの大山系に源流を持っています。
 ヒマラヤは、昔から「世界の屋根」と呼ばれますが、実際はチベット高原と一体になって、世界一広大な山岳地帯を形成していることが、よく理解できました。

 ここは巨大な「天候の製造エンジン」でもあります。夏はインド洋からの湿った季節風が、この大高原へ上昇し、上空で冷えて雪や雨を降らせます。これがモンスーンで、アジア一帯に雨期をもたらし、日本の梅雨にも影響しているのですね。水分を吐き出して乾いた風はさらに北上し、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠にフェーン現象となって吹き付け、カラカラに保っているわけです。冬は逆に風が吹き、また雪を大量に降らせます。
 従ってヒマラヤの登山シーズンは、モンスーン直前の5月〜6月初旬と、秋の9〜10月ごろ。FlightGearのリアルウエザーを使う場合、気象は起動時に決定され、飛行中は変化しませんが、ある程度はシーズンを意識した方がよさそうです。
 (私は当初、5月に飛びたかったのですが、多忙で果たせないまま、ちょうど秋のシーズンを迎えました)

     ○

 もう一つ驚いたのは、この広大な地域には、空港や無線標識がないことです。実世界のチベットは、首都ラサのクンガ空港(ZULS)など2カ所に民間空港があり、軍用飛行場も何カ所かあるでしょうが、FlightGear上では再現されていません。VORやNDBも、外周部に数カ所あるだけで、この高原は南極大陸を除けば、世界最大の「航空の空白域」になっています。
 さてこの大空白を、どうやって飛ぶか。

●燃費は、航法は、パソコンの負荷は?:
 ブロンコ改などのプロペラ機で、この大高山地帯を横断する場合、燃費面で不利な高空を、約1000nmにわたって無着陸で、しかも電波誘導なしに飛ばなくてはなりません。一面の山岳地帯ですから、パソコンが大きな負荷を受け、FlightGearが再び異常停止する恐れもあります。あれこれ、対策を考えました。

 まず上昇力と燃費ですが、ブロンコ改は何とか、3万4000ftくらいまでは昇れます。また今年5月に行った高度別の燃費測定データによりますと、なるべく山脈をかすめて低空を飛び、徐々に高度を上げれば、強い逆風が吹かない限り、カトマンズまで行けそうに思われました。
 燃料が欠乏した場合は、ラサ郊外に降りる手もあります。VORと市街のそばには、必ず道路がありますから、ブロンコ改の短距離離着陸性能を生かして、強行着陸してしまうわけです。燃料はあらかじめ現地へ、輸送を手配しておいたとの想定で、メニューバーの「File」「Browse Internal Property」「Consumables」を使って給油するのも、また面白いでしょう。

 次は、パソコンの安定性の問題です。
華北地方の旅では、2度にわたってFlightGearの異常停止を経験していますので、今回はパソコンの負荷を最少にするため、Atlasの使用を断念。代りに手元の古いWin98ノートにAtlasをインストールして、簡易航空図として使うことにしました。

 航法については幸い、私は無線施設に依存しない、推測航法に習熟していますが、精度をさらに上げるため、今回は次のような工夫を加えました。
 ・各飛行区間の針路を決める際、偏差(真北とコン
  パスの指す北との差)は通常、出発地のデータを
  使うが、今回は出発地と到着地の平均を取る。
 ・最長区間の蘭州〜ラサ間は、中間点を設けて2区間
  に分割し、中間点の偏差も航法に使う。
 ・ブロンコは、オートパイロットに磁気方位で針路
  を入力する「Heading Bug」モードが使えないが、
  今回はここに小数点以下まで針路を打ち込む。
  するとHSI盤面の、赤い「Bug」が設定針路を正確
  に指すので、画面を拡大表示し、精密な機首方位
  の決定に役立てる。
 ・風の少ない早朝に出発し、風力による針路補正値
  を最少に抑える。

  【注:全地球の磁気偏差表】
  「Almanac Online…」というサイトでは、世界の
  偏差が精密に計れます。世界地図にマウスポイン
  タを乗せ、計りたい地点の緯度経度表示に合わせ
  ればOK。アドレスは以下の通り。(改行しました)
 http://www.pangolin.co.nz/almanac/magvar.php?
LatDeg=0&LatMin=0&LatNam=N&LngDeg=0&LngMin=0&Lng
Nam=E&DeltaHr=0&DeltaMi=0&DeltaNa=A

 …では、フライトプランをお目に掛けましょう。
記載事項は前回同様、空港の緯度経度、偏差、滑走路標高と方位、VOR周波数など。▼マーク部分は針路と距離、高度です。
 針路は、最初に書いたのが真方位。「Mag」は偏差を加えた磁気方位。●印は、風力補正を加えたコンパス針路です。


■「世界の屋根」ヒマラヤ・チベット大高原をゆく■
          (蘭州〜エベレスト山頂〜カトマンズ)
マップデータe100n30
       e90n30
       e90n20
       e80n20

◎蘭州(ランチョウ=Lanzhou)ZLLL
36°30'54.87"N 103°37'14.79"E 6388ft
偏差=偏西1度38分 RWY-18/36
VOR-DME 114.3 NDB 198
     ▼真方位235.7度384nm 
     ▼飛行高度15000ft
     ▼偏差は平均を取り、偏西1度。
     ▼Mag237度●風力修正=237.2度
△ラサへの中点 
N32°54'28" E97°18'41" 偏差=偏東0度10分。
(バヤンハル山脈の南、金沙江=チンシャー川の北)
     ▼真方位235.7度384nm 高度20000ft
     ▼Mag236度●風力修正=236.2度
★チベット・ラサVOR(113.10)偏東0度20分
29°18.05N 91°00.08E
NDB 435(29°15'30.00"N 091°45'54.00"E)
     ▼真方位249.7°228nm 高度30000ft
     ▼Mag250度●風力修正=250.7度
△エベレスト(北緯27度59分303、東経86度56分197)
     ▼真方位258.35°85.3nm 高度3万未満。
     ▼Mag258度●風力補正=258.9度
◎カトマンズ(kathmando=Tribhuvan空港。VNKT
27°41'47.70"N 085°21'32.76"E 4390ft Var000°E
02/20(L=3050m) 4313feet 000E VOR 112.30 NDB 318
(全行程:1081nm、必要な総燃料:5163Lbs)

 起動時の風向風速は以下の通り、追い風微風に恵まれました。さすがは秋の、登山シーズン…(^^)/。
9000 50 5.69kt
6000 40 5.17kt
3000 30 4.70kt
 また雲高と雲量、雲の厚さは以下の通りでした。
8688 broken 750 Thickness

 前置きが長くなりましたが、大飛行は往々にして、準備に当てるエネルギーが9割です。いったん出かけてしまえば、あとは計器と下界を眺めるだけ。では出発しましょう。

●蘭州を離陸、いよいよ大高原へ:
 「…30回転も低い!」。
 1927年5月。パリへの大飛行が始まる朝、リンドバーグは低気圧に見舞われて、エンジンの不調を嘆きました。
 私の出発地・蘭州は滑走路の標高が約7000ftです。快晴ながら低い気圧に、私もエンジン計器を眺めて、
 「…20%も、トルクが低い!!」
と呟きました。
 先日はテスト中、この空港上空を一周したところ、着陸進入時に珍しくも失速してしまいました。空気が薄いと、無理は禁物です。長い滑走路を十分に使って離陸し、大きく左へ一周。Bugを237.2度に合わせ、画面拡大表示でコンパスを正確にセット。ラサとの中間点に向け、15000ftへ上昇を開始します。

 2倍速に入れて、機体は層雲を突破。眼下の約半分を埋める雲の上に多数の山頂が浮かんで、多島海のような景色です。

●大波のように、打ち寄せる山々:
 ひたすら飛び続けると、HSI盤上のBugの位置が、たまに設定針路からずれてきます。オートパイロットに直接方位を入力した場合と、私のようにウイングレベラーで針路保持を掛ける場合では、同じ「直進」でも、FlightGearの演算プロセスが違うのでしょう。これを時たま修正しながら、あとは台風の時のうねりのように、延々と地平線から現れては押し寄せる山並みを見て、徐々に高度を上げる旅が続きます。

 中国・青海省を南下。山がだんだん高くなり、高度は20000ftを突破。一方速度は全開でも200Ktを割ります。山だらけで計算量が多い中、パソコンは時々動作が引っかかりますが、何とか無事に動いてくれています。がんばれ、落ちるな!!
    …あ。まばらに雪景色が見えてきたぞ…。

 ラサとの中間点を無事に通過。まだ350nm以上あるのですが、22000ftまで昇ったためか、VORが入ってびっくりしました。

     ○

 3倍速を交えながら、離陸して約1時間。雪と氷のテクスチャーを持つ高峰が、視界をきりりと彩るなか、眼下に美しい谷間が広がりました。このどこかに、ラサのVORがあります。さあ、航法精度が気になる場面です。
 嬉しいことに、離陸以来768nmも飛んだにも関わらず、VORから1.6nmの至近を通過しました。FlightGearを始めて以来、これは最良の推測航法精度で、大いに満足を味わいました。

●…これより高い、場所はない…:
 高度を24000ftに上げると、ブロンコは次第に、パソコンが引っかかった際、ピッチングを起こし始めます。3倍速の維持が難しくなってきたため、2倍速に落として、いったん20000ftまで降下。ちょっと、山々すれすれですがね。
 北緯28度25分、東経88度21分、前方に湖。左手の地平にピラミッド型の高山群。あれはもう、ヒマラヤ連山です。カンチェンジュンガの北あたりを、飛んでいるのでは…。
 やがて正面に、ひときわ高い「ピラミッド」が見えました。

     ○

  「これ、本番ですか?」
というのが、日本人で初めて宇宙を飛んだ、秋山豊寛さん(TBS)の第一声でしたけれど。私がやっとエベレストを見た感想は、
  「これ、本物かな?」
でした。
 ここで山を間違えては、お話になりません。上昇して山頂ぎりぎりを飛ぶと、高度は約27000ft。位置は北緯27度59分、東経86度56分。いずれもデータとぴったり。周囲に、これより高い場所はない。間違いないです。エベレストです。

 わくわくしながら旋回し、ナイフのような稜線を持つ、主峰の北側を通過。小さな峰が付属しており、北がノースピーク、南がローツェでしょう。ローツェと主峰の間の鞍部は、登山史によく出てくるサウスコルですね。小学生のころ、1953年にヒラリーとテンジンによる初登頂を果たした、イギリス隊・ハント隊長の登山記を読んだ時の、高揚感を思い出しました。FlightGearでもなかなか、荘厳な眺めを味わうことができまして、一見の価値ありですよ。(コクピット・ビューを、UPしておきます)

 ちなみに、最初のエベレスト上空飛行は1933年。イギリスのクライスデール侯爵らが、ウエストランド複葉機2機で行いました。同機は全長10.4m、670馬力。最高速度278キロ、最大到達高度10450mだそうです。

     ○

 スナップショットを撮った後、カトマンズへ定針。空港の約25nm手前で、地平線が丸く見えそうな高空から、一気に8000ftまで急降下。スポンと雲の層を抜けると、緑の大地が広がりました。農地と川、市街地。雪と氷と岩を見た後では、とても目に優しい眺めでした。
 着陸後に測定すると、使用燃料は総計4294Lbsと、補助タンクだけで済みました。燃費の悪い高空だったのに、1ポンドあたり0.2517nmも飛んでいて、これまたベスト記録です。弱いとは言え、追い風を受けたお陰でしょうね。

 記録を塗り替える大長文になりまして、失礼しました。次回は、もう少しコンパクトに、カラコルム山脈を越えます。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-9-26 19:51
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回の飛行は、ネパールのカトマンズ空港から、まずインド・デリーのインディラ・ガンジー空港へ移動。北上してカラコルム山脈を越え、タクラマカン砂漠南端のHotan(和田、と書くのだそうです)VORを経て、砂漠を北へ横断します。

 タクラマカン砂漠は、ヒマラヤ・チベット大高原の北西にくっついている「タリム盆地」のほぼ全域を占め、サハラ砂漠に次ぐ世界第2の広さです。砂漠の北端には、東西に走る天山山脈があり、この山脈の南北には、シルクロードの「天山南道」「天山北道」が走っています。NHKの紀行でお馴染みですね。
 飛行コースは砂漠を横断後、天山山脈の南麓にあるKuqa(クチャ=庫車)VORで東方へ変針。しばらく天山南道に沿って飛んだ後、山脈を北東側へ飛び越えて、西域の都会・烏魯木斉(ウルムチ)まで進出します。
 この長丁場では、無着陸飛行は難しいため、どこで給油しようかと迷いながらの出発です。以下フライトプランです。


■熱砂と、雪と山々と…玄奘三蔵の道■
     (カトマンズからインドを経て、カラコルム、
      タクラマカン砂漠、天山山脈、ウルムチへ)
マップデータ:e080n20
       e070n20
       e070n30
       e070n40
       e080n40
カトマンズ出発時の天候:
・高度別の風向風速
9000ft 200deg 8.8kt
6000ft 190deg 8.0kt
3000ft 180deg 7.3kt
・雲量と高度
25170ft scattered 600
2170ft few 65
・針路:以下文中の「Var」または「MagVar」は磁気偏差。
         「RL」はラームラインの針路。
         「GC」は大圏コースの針路。
          ●印は、偏差と風力を補正した
          コンパス針路です。

◎カトマンズ(kathmando)Tribhuvan空港。VNKT
27°41'47.70"N 085°21'32.76"E 4390ft Var000°E
VOR112.30 NDB 318 Rwy 02/20(L=3050m)
     ▼始点GC278.75度(●276.9度)
     ▼中点RL276.8 度(●274.9度)  440nm
     ▼終点GC274.85度(●272.9度)
◎インディラ・ガンジー空港VIDP(デリーVOR 116.10)
28°33'59.40"N 077°06'11.12"E Elev777ft MagVar000°E
Rwy 09/27 9229x150ft 10/28 12500x150ft
     ▼3.6度(●3.4度)370nm
★Leh VOR(115.70)N34.43.53-E77.33.59
(西南西の谷にTholsa空港)
34°39'09.44"N 077°22'32.71"E Elev10046ft MagVar002°E
Runways 10/28 10000x145ft
     ▼RL38.98度(●39.7度)GC38.3度 178nm
★Hotan(和田)VOR(113.10 タクラマカン南端、町と道路)
N37.02.02-E79.51.59
     ▼RL27.3度(●27.3度) GC26.4度 316.3nm
★Kuqa VOR(114.50 砂漠北端)N41.43.00-E83.00.00
     ▼RL56.3度 GC54.8度 236.7nm(差は0.03nm)
◎烏魯木斉(ウルムチ)のDiwopu空港 ZWWW(VOR 115.70)
43°54'25.58"N 087°28'27.28"E Elev2125ft MagVar002°E
Runways 07/25 11811x148ft NDB369 27.0 NM 234.9
空港から約60度30nm先にEukang-VOR(116.30)NDB(369)
(全行程1540nm)

●簡略な大圏コースの使用を実験:
 上記フライトプランの、カトマンズからデリーへの航程には、「始点」「中点」「終点」というのがありますが、これは同区間を3分割して、大圏コースの簡単な近似経路を作り、コンパス針路(ラームライン)とVORが示す航路(大圏コース)のずれを極力小さくしてみよう、という試みです。結論から言えば、パソコンの不調により、今回の飛行ではうまく行きませんでした。

     ○

 カトマンズを離陸。VOR上空から航法を開始。
負荷を軽くするため、今回はAtlasを、FlightGearと同一パソコンで起動するものの、連動させず航空図として使う、という飛び方を試みました。(後で述べますように、これも不調でした)

 カトマンズの周囲は、険しい山々です。夜間飛行はもちろん、昼間でも天候が悪ければ、正規の進入図がない限り、着陸どころか離陸するのも不安な地形です。
 デリー空港への大圏コースで定針し、オートパイロットを「CDI Course」(VORトラッキング・モード)に入れたところ、近くにヒマラヤがあって、計算量が大きいため動作が重く、おまけにVORの受信感度も悪かったため、かなり機体が暴れました。
 特にAtlasの表示倍率を変えたり、手動スクロールしようとすると負荷がひどく。1秒あまりの停止後、機体は左垂直旋回に入って2旋転。あっという間に数千フィート落下し、山に衝突寸前でした。つくづく、高速のパソコンが欲しくなります。

 …というわけで航法の精度が狂ってしまい、先ほどの「簡易大圏コース」の飛行テストは台無しになりましたが、いずれまた、試してみる機会はあると思います。
 国境を越えてインド領へ。途中、お釈迦様の生誕地のそばを通ったはずです。処理を軽くするためAtlasを放棄し、航法の楽なラームライン方位に切り替えて、デリーへの旅を続けました。

●どこまで続く、カラコルム:
 デリーの市街地はさすがに大きく、事前にGoogle Earthで見ると放射状に街路が走り、ヨーロッパの街を思わせました。植民地時代に英国の技師が、張り切って設計したのでしょう。
 インディラ・ガンジー空港上空で変針し、カラコルム山中の「Leh VOR」に機首を向けました。デリーのVORは非常に強力で、230nmくらい離れても、なお時々DMEが入って便利でした。

 平野と農地が山岳に変わり、時々雪景色の交じるパミール高原が続きます。なかなか素晴らしい風景です。ふと気が付くと、谷の形がV字ではなく、氷河にえぐられたU字型の「カール谷」に変わっていました。もうすぐ、インダス川の上流部があるはずです。簡易GPSの代りにHUDを起動して、緯度経度を読みながら北へ。ある谷でインダス川が確認出来まして、ちょっと感動しました。これを越えると、カラコルム山脈が始まります。

 徐々に高度を上げて、すでに20000ftあまり。エンジン全開ですが気速は187Ktがやっとです。機体の揺れは相変わらずで、特に長周期のピッチングがひどく、修正してもすぐ再発し、ほとんど酔いそうな気分です。カラコルムは、チベット高原よりずっと狭いものの、途中に平野がなくて緊張が解けず、非常に疲れました。

●標高10000ftの高地で給油:
 ブロンコ改は峰々の間を抜け、Leh VOR上空に到着。左後ろの谷のどこかに、Tholsa空港があるはずです。
 視界を後下方に振って、Xキーで倍率を上げると、もや越しに滑走路が視認できました。深い谷底ながら、あの空港の標高は10046ftです。空気が薄いのを承知で、慎重に降りるか。安全策を取り、砂漠の都市・和田(ホータン)まで行って、路上で臨時給油するか。ちょっと悩むところです。
 路上給油は以前、アンデス山麓で経験済みです。でも標高10000ftの空港に降りる機会は、めったにありません。やはり、ここに降りてみることにしました。

 谷間の空港だけに、進入は一発勝負です。用心のためフラップを一杯に降ろし、一気に滑走路を狙って降下。ちょっと強引ですが、150Ktで滑走路末端を通過。3000m級滑走路ですので、着陸帯の標識が過ぎても、滑空を続けて減速を待ち、普段より速い120Ktで接地しました。エプロンに入れて、エンジンをカット。腹ペコで操縦してきましたので、給油の後で晩飯を食べました(^^;)。

     ○

 満タン後の離陸には、気を遣いました。40秒以上滑走して、ようやく150Ktまで加速。上げ舵を取っても機首が浮かず、とっさにフラップを全開にして地面を離れました。
 機体が重いうえ、空気が希薄で上昇力が不足し、なかなか谷から出られません。片方の山腹に寄り、谷間を幅一杯に使ってUターン。次の中継地へ機首を向けるまでは、迫り来る山頂を、左に右に避けながら、稜線の低い部分を狙っては飛び越える、必死の上昇が続きまして、非常にスリルがありました。

●砂漠に刻まれた、河床と道路:
 LehのVORは出力が弱く、すぐ表示が途切れがちに。23000ft付近を、アップアップしながら飛んでいますと、地形データの継ぎ目か、パソコンの負荷が溜ったのか、どかんと機体が揺れて機首が跳ね上がり、あっという間に失速しました。
 とっさにフラップを全開、ポーズを掛けてセーブし、後で高度と速度の数値を書き直そうと思いながら、試しに飛行を再開したところ、機体は水平姿勢のまま落下して(これはブロンコの特性)、ピンぼけの山腹が迫って来ました。

     「ああ、こうして人知れず、死ぬのか」

と、実機でしたら思うのでしょうね。ところが機体は、山腹に潜った後、間もなく正常な空中へ飛び出しました。なぜかここは、衝突判定がなかったようです(^^;)。
 …肩で息をしている間に、機体は無心に飛び続け…目の前を塞ぐ高山が姿を消し、緩やかな丘陵地帯の上に出ました。やっと、カラコルムが終わったのです。

     ○

 緑の平野が、入り江のように湾曲し。そこから白っぽい「海」が広がっています。砂の「海」は間もなく、サーモンピンクの砂丘群に姿を変え、タクラマカン砂漠の始まりを告げます。
 砂漠の南の街、和田(ホータン)は、割に大きな地方都市。そこから一筋の川が砂漠に伸びて、やがてグレーの枯れ川に変わり、微かに蛇行しながら北へ向かいます。
 これは毎春、カラコルムの雪解け時期だけ水が流れる、ホータン川です。砂漠に飲まれて海には届かない、内陸河川というやつですね。河道の横には自動車道路が延びていて、たまに村落があります。私はそれらに導かれるように、北上を続けました。「タクラマカン」とは、「死の世界」といった意味らしいですが、どこで故障しても、道路に降りれば助かるな、という安心感があり。スナップショットを撮って、たっぷり旅情を楽しみました。苦心はしますが、やっぱり旅は楽しいです…。


●三蔵法師の足跡:
 やがて道路や河床と別れ、サーモンピンクの砂の海を、飛び続けること250nm。緑の大地が広がって、その彼方に天山山脈が姿を現しました。Kuqa(クチャ)VORを通過して北東へ変針し、烏魯木斉(ウルムチ)へ。右翼の下に、一本の道が併走しています。これはシルクロードの一部、天山南道です。
 三蔵法師は、ここから東へ3000キロあまりの長安(現在の西安)を発って密出国し、はるかインドをめざしました。眼下に見えるのは、彼が往きに通った道です。
 ブロンコ改はやがて、天山山脈を翔破。険しい山並みで、三蔵法師が多くの従者を失った、というのも分かります。彼自身、生還の可能性は1割程度とみていた、という説を読んだことがありますが、経典を持ち帰って人々を救済するという、極端に利他的な旅だったからこそ、逆に耐えられたのでしょう。(唐突ですが、どこか「宇宙戦艦ヤマト」にも似ているような…)

 …私はゴダイゴの「ガンダーラ」と、ヤマトの「真っ赤なスカーフ」を小声で歌いながら、最後の178nmを飛んで、烏魯木斉(ウルムチ)へ到着しました。実世界では人口200万人の街で、空港の輸送扱い量は、中国でも五指に入るのだそうです。

 このあと、カザフ共和国方面へ出ますが、その前にもう少し、タリム盆地を探検してみようと思っています。
投票数:9 平均点:5.56

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-10-4 10:21
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 先日のマルチプレイは、楽しそうでしたね。私も今度は参加したかったのですが、仕事が入ってダメでした。そのうちぜひ仲間に入れてください。(tetsuさん、先日の、うっかり二重投稿を消してくださって、ありがとうございました)(^^;)

     ○

 さて、私の西回り世界一周(と言いますか、北半球一周?)は前回、中国・新疆ウイグル自治区の烏魯木斉(ウルムチ)Diwopu空港に、到着したところまででした。
 今回は、まずオプショナルツアーとして、ここから東南へ100nmほどのところにある、トルファン盆地へ往復したのち、旧ソ連(現・独立国家共同体)のカザフ共和国へ長距離移動し、バイコヌール宇宙基地を上空から眺め、カスピ海沿岸まで進出します。

 また先日来、特に山岳飛行でパソコンに大きな負荷が掛かり、あれこれ問題が生じていましたので、少々メンテナンスを行いました。まず、そのお話から始めましょう。

●仮想メモリを再構築し、安定度を改善:
 私のノートパソコンは、ペンティアムM(1GHz)+主記憶1GBです。以前はFlightGearとAtlasを同時に使っても、特に問題がなかったのですが、最近は常駐ソフトが増えたり、WinXPのパッチ当てが度重なったためか、かなり処理が重くなり、FlightGearの異常終了が発生したり、機体の揺れが多発していました。どうも仮想メモリーを使う頻度が、増えているような気がします。

 WinXPの本を買ったところ、仮想メモリーの本体であるHDD上のページファイルは、デフラグ作業の対象外になっており、使用につれてフラグメンテーションが、どんどん進むと判明しましたので、次の操作を行いました。
 ・ページファイルをいったん解放する。
 ・デフラグを掛ける。
 ・再びページファイルを設定する。
 ・シャットダウンするたびに、自動的にページファイルを
  消去し、起動時に再構築する設定にする。

 …具体的な操作法は、次の通りです。
 コンパネから「システムのプロパティ」「詳細設定」「パフォーマンス」と開く。仮想メモリの設定画面が表示されたら、「初期サイズ」「最大サイズ」をメモしておく。
 「ページングファイルなし」のラジオボタンにチェックを入れて、「設定」「OK」を押す。再起動後にデフラグを掛けると、2カ所あった黄緑の「移動不可能なファイル」のうち、右側の一カ所がなくなっている(解放されている)のが分かる。
 デフラグ後、「パフォーマンスオプション」「詳細設定」タブを開き、「仮想メモリ」の「変更」をクリックし、「カスタムサイズ」にチェックを入れ、控えておいた数値を入力し「設定」「OK」とする。この際に、初期サイズと最大サイズを同じにすると、フラグメンテーションが起きにくいとのこと。(私は約1.8GB)
 シャットダウン時に、ページファイルを再構築する設定を行う。レジストリエディタで(以下、途中改行)HKEY_LOCAL MACHINE\SYSTEM
\Control\Sessionmanager\Memory Managimentを開き、
ClearPageFileAtShutdownの値を「0」から「1」に変更する。

 …やってみますと、確かに機体が安定しました。従来は、
(1)機体が1秒ごとに一瞬停止する。
(2)描画の負荷が大きい風景(山岳や大都市)では、
   フレームレートが大幅に落ち、オートパイロット
   使用中には、機体が大きく暴れる。
(3)倍速モードで、機体が緩やかにピッチングする。
   ひどい場合は1倍速でも発生し、容易に収束しない。

…という問題がありましたが、処理後は仮に(1)が発生しても、しばらく飛んでキャッシュが利くと解消。(2)はかなり改善され、(3)もほとんど起きなくなりました。またフライト中に、プリントスクリーンを取ってペイントツールで画像保存をする場合も、従来は1枚のセーブに8分以上掛かったのが、わずか15秒程度で終了するようになりました。まずは大成功、と言えそうです(^^)/。
 なお、専用ソフトでスパイウェア(無害なヤツが、ゾロゾロ溜ります)を一掃しただけでも、パソコンの負荷は少し減るようです。

●アジア最深部、「海面下」を飛ぶ:
 では、オプショナルツアーに出かけます。
タクラマカン砂漠(タリム盆地)周辺は、実世界ではシルクロード遺跡の宝庫。FlightGearでも、面白そうな場所が2カ所あります。

 一つは砂漠の東端にある、アジアで最も標高の低い、トルファン盆地。ここの最低点は、海抜マイナス154mだそうです。もう一つは、地理学者スウェン・ヘディンが100年ほど前に発見した、「さまよえる湖」ロブノールです。
 ヘディンは、「川の流れの変化により、ロブノールは1600年周期で、南北に約100キロ移動する。湖のほとりにある都市・楼蘭が滅亡したのは、湖の移動が原因だ」という、壮大な仮説を立てました。この説はその後否定され、ロブノール湖自体もすでに枯れましたが、中央アジア探検史上、有名なお話です。
 Atlas地図のロブノールは堂々たる湖ですが、FlightGearのデータ上では、多分ただの砂漠(乾湖)でしょうから、今回は敬遠し、トルファン盆地だけを見物するプランを作りました。
------------------------------------------------------
◎Diwopu空港 ZWWW     △トルファン盆地中心
  ・往路▼RL132度107nm  ・復路▼RL312度107nm
△トルファン盆地中心   ◎Diwopu空港 ZWWW  
 N42.43.14-E89.17.26
------------------------------------------------------

●マイナスを指す高度計:
 増槽なしの機内燃料だけで、ブロンコ改を起動。Diwopu空港を離陸して、機首を132度に向けます。盆地は大きな目標なので、風向風速の補正は省略しました。

 天山山脈の切れ目を通過し、間に横たわる湖を眺めながら飛行。山脈の残りを飛び越えたところで、前方の大地の標高が下がり始め、やがて巨大な盆地が広がりました。まるで…熊本の阿蘇外輪山から、阿蘇町の盆地に入ったときのようです。
 地表は、砂漠のサーモンピンクと緑地の色が、ホルスタイン牛の模様みたいに入り組んで、なかなか面白い景色です。盆地中央北部にはトルファンの街があり、そばの湖の標高が最低点、ということですので、そちらへ向かいました。
 HUDを起動して、右端の高度目盛りと、その左の電波高度計のスケールを比較していましたら、標高がマイナスになったのが分かりました。これは面白い…FlightGearは、「海より低い土地」を、ちゃんと再現しているのですね。

 フラップを半分下げ、電波高度計をにらんで、地上10ftまで降下。おおっ、高度計はマイナス約400ftを指しています。スナップショットを撮影後、思い切って脚を出し、砂漠に着陸。ここは標高がマイナス312ftでした。というわけで、世界2番目の低地を実際に確認することができまして、なかなか楽しい飛行になりました。

●命を支える、5000キロの地下貯水路:
 トルファン盆地は年間降雨量が20ミリと、ムチャクチャに乾燥した土地で、最高気温は47度。地表温度は70度になるそうですから、フライパンを放り出しておけば、太陽熱クッカーがなくても、なんとか目玉焼きが作れそうです。おまけに水源は、天山山脈の雪解け水だけ。年間にほぼ1回しか、水に恵まれないのです。

   「なんで、そんな土地に、わざわざ住むの?」

 …という疑問が当然、湧いてきますが。生物学の「ニッチ」(生存圏のすき間)という考え方が、ヒントになりそうですね。生物は、ライバルが住んでいない「すき間」を見つけては進出し、繁殖するわけですが。詰まるところ、トルファンに人が住み着いた理由は、まさに「住みにくくて、まだ誰もいなかった!!」からでは、ないでしょうか…。
 昆虫のように、寿命が短くて繁殖力おう盛な生物は、短期間で進化して、新天地の苛酷な環境に適応します。しかし人間様は道具を使い、苦心して環境を造り変えるしかありません。
 トルファン盆地の住民は水を確保するため、約2000年前から数十メートルおきに井戸を掘り、井戸の底を相互に水平坑道で接続し、総延長5000キロに及ぶ「カレーズ」という地下貯水網を造っています。手掘りでは、1日数メートルしか掘れない場合もあるそうで、この努力と技術には、ただもう感心するしかありません。

 砂漠に着陸したブロンコ改は、ゴトゴト揺れながら、無事に離陸。VORを拾ってDiwopu空港に帰着しました。
 さあ、今度は補助タンクまで満タンにして、カザフスタンへの旅です。フライトプランをお目に掛けましょう。

■星への扉と、破壊された海■
    (烏魯木斉からバイコヌール、アラル海沿岸の旅)
・出発時の風向風速:
9000ft 290度 8.53Kt
6000ft 280度 7.76Kt
3000ft 270度 7.05Kt
・出発時の雲量:
6665ft scattered 厚さ600ft

◎Diwopu空港 ZWWW(VOR 115.70)
43°54'25.58"N 087°28'27.28"E
Elev2125ft MagVar002°E
    ▼RL285.51deg855.16nm GC292.46deg852.97nm
     MagRL280.5deg
    (GPS機能が計算した針路データ:
     hdg=292.4 UAKD 856.5nm 3:20 alt=20000)
    ▼
◎Zhezkazgan空港UAKD
VOR(ZG 113.30)1.2NM 237.5 NDB-435
N47.43.09-E67.45.34 Elev1250ft
MagVar008°E Rwy04/22 8530x138ft
    ▼RL243.8deg257.58nm GC245.98deg257.52nm
    ▼MagRL236deg●風力修正値237.5度
★Novokazallinsk VOR(KZ 113.60)NDB-510
N45.49.50-E62.07.46
    ▼RL238.67deg618.35nm GC242.94deg617.81nm
    ▼Mag234deg ●修正値232度
◎Heidar Aliyav空港UBBB(Baku VOR 114.10)
N40.28.20-E50.03.02 Elev10ft MagVar005°E
Rwy16/34 8858x197ft 18/36 10499x167ft CONCRETE.

●GPS航法で、カザフ共和国を西へ:
 ウルムチから一気に852nmを飛び、カザフ共和国Zhezkazgan空港に向かう長い直線路は、航法テストのチャンスです。私はめったに使わない、GPS連動のオートパイロットを試すことにしました。

 GPS自動操縦は大圏コースを飛ぶため、連続的に針路修正が続き、機体が揺れやすくなります。特に倍速モードにですと、機種によってはぐらぐら揺れて、針路保持も困難になり、とても使う気になれませんでした。
 そこで今回は、ウイングレベラーで一定区間を直進し、再びGPSオートに戻して針路修正をして、また直進…という方法で、大圏コースを倍速モードで飛ぶことができないか、定期的に緯度経度をチェックしながら、実証試験をしました。
 結果のみ言えば…実はウイングレベラーを掛けても、そのままGPS自動操縦は維持されるんですね。知りませんでした(^^;)。またウイングレベラーから、通常のGPSモードに戻すには、倍速モードを外した後、単に針路保持のチェックを「True Heading」に変更するだけです。GPSの目的地設定を解除するには、メニューバーから「Pop Waypoint」を選択します。(これらは皆さん、とっくにご存じですね)

 …という次第で、快適に飛び続けてZhezkazgan空港着。途中、ハルハシ湖に沿って飛び、手前が砂漠、対岸は緑のカザフ高原という、すてきな景色を堪能しました。湖に点在する、緑地と砂地の入り交じった、小島や半島群もきれいでした。
 GPS大圏コース航法は、当然ながら極めて正確でした。もちろん、磁気偏差や風向風速による、機首方位の補正も全自動です。先を急ぐ旅には便利ですね。(ただし。いつもこれに頼ると、私の場合はフライトシムに飽きてしまいそうですが)
 Zhezkazganで給油し、次の目標Novokazallinsk VORへ向かいます。

●ガガーリンの栄光と、「自然改造」の破壊跡:
 Novokazallinsk VORの手前、シルダリア川が流れるステップ(草原地帯)には、福岡県と同じ面積という、広大なバイコヌール宇宙基地があります。本来の地名はチュラタムですが、秘密保持の目的で、わざわざ500キロも離れた、バイコヌールの地名を付けたようです。
 Google Earthを使うと、ガガーリンが初の有人宇宙飛行に出発した発射台や、地上に展示された旧ソ連版シャトル「ブラン」などを眺めることが出来ますが、FlightGearでは、低い潅木の生えているらしい、荒れ地風の大平原に、基地内を走る鉄道線路や、市街地などが判別できました。
 ケネディ宇宙センターは、フロリダのリゾートに隣接し、どこか陽気なムードですが、ここは沈鬱でクソ真面目。よく言えば「宇宙というフロンティア」にふさわしい、ストイックな雰囲気が漂っています…。

 ここからは、Heidar Aliyav空港(カスピ海西岸のバクー市)に針路を取ります。まず手前のアラル海を横断しますが、バイコヌールが旧ソ連の栄光の象徴なら、「社会主義の勝利のため、自然改造を!!」の掛け声の下に、砂漠灌漑用の運河を建設して水位が下がり、7割以上が干上がったアラル海は、たぶん「負の象徴」でしょう。
 FlightGearのアラル海が、どの程度縮んでいるか、興味津々だったのですが…中央部を南西に向けて横断してみますと、最初はサーモンピンクやグレー、緑がかった褐色の砂漠テクスチャーが入り交じり、なるほど「死んだ湖」の感じが出ていました。でも20nm足らず飛ぶと、青々とした湖面が広がり、元の面積の8割程度を保っている様子で、ちょっと拍子抜けでした。(そんな、生やさしい自然破壊ではないと、思うのですが)

     ○

 早起きフライトをしていましたので、そろそろ出勤時間に。カスピ海西岸のバクーまで行く余裕がなく、Atlasで見つけたアラル海南岸の小空港、Muynak(UT1R)のNDB電波をゲット。今回はここに降りて、一休みとなりました。旅は続きます。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-10-14 18:15
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 松山空港発・西回り世界一周の旅を続けます。今回はアラル海南岸の、トルクメニスタンのローカル空港・Muynakから、一気にイラン、イラク、ヨルダン、イスラエル領内を経て、エジプトのカイロ空港まで進出。途中バグダッドで給油します。
 エジプトではFlightGearの世界に、果たしてピラミッドがあるかどうか、ぜひ確かめたいと思います。またスエズ運河がどう表現されているか、なども楽しみです。ではさっそく、フライトプランをお目に掛けましょう。

■アラル海からナイル川へ…中東を駆け抜ける■
・マップデータ:e030n30
        e040n30
        e050n30
        e050n40
・出発時の風向風速
9000ft 50度 5.6kt
6000ft 40度 5.2kt
3000ft 30度 4.7kt
・雲量
5820ft scatterd 厚さ600ft
(以下●印は、磁気偏差と風力を補正したコンパス針路。
 わざわざ印を付けているのは、飛行中間違わないため)

◎Muynak空港(NDB 453)N43.46.00-E59.02.00 偏東6度
     ▼207度462nm●修正200度
★Gorgan VOR(117.60)N36.55.27−E54.22.59 偏東4度
     ▼南へ45nm●修正175度
△アジアハイウェイ
     ▼道路に沿って西へ(259度153nm)
◎テヘラン Mehlabad空港(VOR 115.30)
            N35.41.49-E51.17.01 偏東4度
・ここで天候変更。
9000ft 90度 7.3Kt
6000ft 80度 6.7Kt
3000ft 70度 6.0Kt
19500ft 雲量Cirrus
     ▼247度377nm●修正243度
◎バグダッド空港(VOR 110.60)(1037nm)
            N33.15.38-E44.14.57 偏東4度
     ▼251度295nm●修正247度
★Turail VOR(116.10)N31.41.34-E38.44.07  偏東3度
     ▼278度137nm●修正275.4度
◎アンマン Marka空港(VOR 116.30)
            N32.00.14-E36.03.58 偏東4度
     ▼271度61nm●修正268度
◎テルアビブ Ben Gulion空港(VOR 113.50)
            N32.00.47-E34.52.30 偏東3度
     ▼238度210nm●修正234度
◎カイロ空港(VOR 112.50)N30.09.06-E31.25.26 偏東3度
(総計1740nm)

●オートパイロット設定で、ピッチングを抑える:
 Muynak空港で、エンジンを始動。
 飛行方向に合わせて、南に向かって離陸。やや追い風気味になりますが、微風で滑走路も長いため問題はありません。
 離陸後は、空港無線局の上空に戻る「リバーサル・ディパーチュア」は行わず、HSIを使って正確に、NDB局を起点とするコースに機体を乗せました。ステップ(草原)の上空を10000ftで進むと、乾湖が点在して、迷彩服のような柄の景色が続きます。

 ここは、カスピ海とアラル海の間の、カラクム砂漠です。長丁場ですので3倍速で飛び、時折4倍に上げてみましたが、さすがにピッチングが強く発生します。オートパイロットの高度保持機能で、うまく抑制できないか、あれこれ試しました。

 ごく一般的に使われる、「Altitude Hold」(高度一定モード)の代りに、「Pitch Hold」(迎角一定モード)を試したところ、ピッチングは劇的に収まりましたが、徐々に高度が下がることが分かりました。次に「Vertical Speed」(上昇・降下率一定モード)を、上昇率ゼロの設定で使いますと、同様に大きな安定効果がありました。ただし、やはり徐々に高度が下がりますので、上昇率をゼロではなく、少しプラスに設定するのがコツです。高度約10000ftでは約35ft/min、高度3000ftでは約25ft/minに設定すると、概ね水平飛行になることが分かりました。精密な高度保持は難しいですが、5〜6倍速に上げても、極めて安定して直進しますので、急ぎ旅には使えるテクニックだと思います。

●アジアハイウェーに沿って、テヘランへ:
 イラン国境を越えてGorgan VORを過ぎ、標高約10000ftのエルブールズ山脈を横断した後、私は眼下の平野に目を凝らし、インド方面からテヘランに向けて、東西に走っているはずのアジアハイウェー「AH-1」ルートを探しました。(この道は、実は東京が起点で、福岡までの日本国内区間も含まれていることを、今回初めて知りました。ロマンチックですね)
 間もなく見つかった、茶色い道路を目印に、しばらく西に向かいます。フライトプランに「道路に沿って西へ」という、へんな記述があったのは、このことです。途中からVOR針路に戻って山を越えましたが、広大な褐色の高原地帯を、どこまでも伸びる旧シルクロードに沿って飛ぶのは、楽しい気晴らしになりました。

 …こんな山奥に、首都があるのかな? と思っていますと、すっと山地が切れて盆地が広がり、緑地帯を伴うテヘランの大市街が出現。ど真ん中に複数の空港があって、便利そうですが、騒音は大変でしょうね。
 ここで一度セーブして後日、上空から飛行を再開しました。

     ○

 再ロード後は、なぜか天候が少し変わっていまして、航法計算をやり直した後、バグダッドへ向かう長い航程が始まります。
 標高3800ftのテヘランから、コースは間もなく、関東平野のように広く平らな、標高約5000ftの高原に差し掛かりました。高度8000で飛び続け、先ほどのアジアハイウェーと再会。道路は右に左に私の針路と交差しながら、前方へ伸びて行きます。

 アジアハイウェーは8本の主要幹線を持ち、海も越えて計32カ国を通っていますが、昔のシルクロードもまた、ユーラシア大陸の南北に、たくさんの経路を持っていました。始点と終点は、たぶん中国の西安(古都・長安)からイスタンブールまで、とするのが一般的でしょうが、インド洋の海路も含めたり、「大西洋と黄海を結ぶ道」という表現があって、諸説様々です。
 もちろん…マルコポーロのように、個人で全行程を踏破した人は少なく、ほとんどの隊商は、現在のトラック便や鉄道のように、決まった区間を往復して交易をしていたのでしょうが。シミュレータとは言え、どこまでも伸びる道を追って飛んでいると、小さな人間が切り開いた大きな旅路に、ちょっと感動を覚えます。

★ここで、クイズです★(^^)/
 人類が達成した、もっとも大規模な旅行は?(ヒント:地上の旅です。出発地と到着地、交通手段、大ざっぱな距離と所要時間を考えてください。正解はこの書き込みの末尾にあります)

●バグダッドで給油、イスラエルに向かう:
 高原を飛んでいる間に、VORをバグダッドの周波数に切り替えましたが、なぜか指針は南(左手)を指しています。これは、正面に来ないといけないのですが…悩んだ末、周波数を誤記したらしいと分かって、推測航法に切り替えて続航。やがて、華麗に蛇行するチグリス川に彩られた、バグダッドが視界に入りました。

 航空自衛隊C-130のイラク派遣隊は、武装勢力の携帯式ミサイルを避けるため、着陸時は空港上空で螺旋降下し、一気にファイナル・アプローチに入るそうですね。私もこの「ランダム・スティープ・アプローチ」を使って、バグダッドに降りてみたかったのですが、開始高度とか旋回法とか、詳細は分かりませんでした。
 やむを得ず、7000ftから自己流の急降下で滑走路末端を狙い、一気に引き起こしてタッチダウン。毎度ながらブロンコの、プロペラを利用したエアブレーキは、まことに重宝です。

     ○

 給油後すぐに離陸して、ユーフラテス川を越え、高度3000ftで西へ。眼下は緑に覆われた、標高約1000ftの、真っ平らな大地が続きます。イラクというと、砂漠ばかりのような印象を持っていましたが、大間違いでした。以後、この大地は茶色くなったり緑に戻ったりしながらヨルダンへ伸び、次第に標高を上げました。どこまでも平らですので、大地がせり上がったという実感はなく、いつの間にか地表が500ft近くまで迫って、ドキリとしました。

 そろそろイラクから、ヨルダン領に入ったころで、地理的にはシリア砂漠と呼ばれます。かつてイスラエル空軍のF16編隊が、イラクの核開発を阻止するため、2000Lbs爆弾を2発ずつ積んで、バグダッド郊外の原子炉を奇襲攻撃しようと、超低空で進撃したのは、この辺りでしょうか。
 ようやく砂漠らしい砂地が広がり、間もなくヨルダンの首都・アンマンです。ここで変針し、再び山地を越えながら「イスラエル領に入ったな」と思い、2倍速のまま前方を見ていますと、間もなく西海岸にある、首都テルアビブのベングリオン国際空港が視界に入って来ました。えっ、もうイスラエルを横断したの!?

 確かに細長い国ですが、これほど東西に狭いとは思いませんでした。かつて中東戦争を生き延びた、イスラエル空軍の戦闘機パイロットが「基地を離陸後、すぐ交戦することも珍しくない」と書いていましたが、確かにそうだろうと思います。
 このベングリオン空港は、3本の滑走路を正三角形に組み合わせた、いかにも「どんな風向でも、どっち向きにでも使えるぞ」というレイアウトで、極めて使いやすそうでした。民間ハブ空港としては、面積の割に発着効率が悪そうですが、軍用機が併用する場合は、この方がいいのでしょう。フライトシムでも、ホームベースに使うと便利でしょうね。

●青い地中海、青いナイル:
 空港上空でカイロに機首を向け、テルアビブ市街地を後にすると、間もなく海岸です。サーモンピンクの砂を、くっきり断ち切って広がる、青い地中海に目を奪われました。やっと中東が終わろうとしています。私は勇躍、海上に飛び出しました。

 …100nm近く飛ぶと洋上に、細いヒモのような地形が浮かんでいました。目を凝らすと、陸から張り出した、長い砂洲と判明。この内側はバルダウィル湖というのだそうです。陸側の湖岸は、多数の小島を伴う砂漠で、非常に美しい風景でした。
 間もなくシナイ半島に上陸、ここはもうエジプト領です。前方の砂漠を右から左へ走る、定規で引いたような、青い直線が見えてきました。これがスエズ運河で、私は頭の中で、映画「アラビアのロレンス」のテーマ曲を、(かなりの音量で)演奏しながら高度を下げて接近しました。
 近づいてみると、運河の両岸には複数の道路や鉄道が走り、いかにも交通の大動脈。幅160キロの砂漠を南北に断ち切って、紅海と地中海を結んだわけですが、19世紀によくこんな、大きなものを掘ったものですね。150万人が建設に従事し、コレラなどで12万人が死ぬという、かなり悲惨な工事だったようです。

 荒野を飛び続けてゆくと突然、長い滑走路をZ字型に配置した、カイロ国際空港が目に飛び込みました。非常に立派です。
 その向こうに広がる、大きな市街地を越えると、悠々とナイル川が流れていました。砂漠ばかり眺めたので、青い川面が目に心地よく、そのまま下流へ観光飛行。これで今回のフライトでは、中国の黄河以来、いわゆる「四大文明発祥の地」にまつわる大河4本を、すべて渡ったことになります。

●ペチャンコながら、あれは確かにピラミッド:
 カイロ空港に降りて燃費を記録した後、ピラミッドを探しに行きました。Google Earthで緯度経度を確認し、ざっと方位・距離を出してから離陸します。
 ギザのピラミッドはクフ王を先頭に、カフラ王、メンカウラー王の順に、北東から南西へ1列に並んでいて、北東2基は1辺230〜215m、南西の1基は1辺105mです。FlightGearの地形解像度を何とか上回るので、何かは見えるはず…ピラミッド型でなくても、丘でもコブでもいいから見えて欲しい、と願っていました。

 空港からナイルを渡って16nm。緑の大地が広がるなか、周囲を見回すと、2nmほど南に褐色の土地が広がっていて、そこに少々平べったいが三角っぽい、怪しい丘がありました。
 駆けつけると、丘は二つありまして、中心付近の緯度経度はN29.58.34-E31-07.52。衛星写真で確認したピラミッドの位置とは、南に約0.5nmずれています。しかし、そばの市街地との位置関係はぴったりで、ほかに周囲に高いものはありません。
    どうやら、これですね…ドキドキしてきました。
 詳しく観察すると、一つの丘はかなり扁平ですが、どの角度から見ても一応ピラミッド型で、位置関係から北東側の、クフ王のピラミッドと思われます。もう一つの丘は細長く、南西側が低くなっています。これは3基のピラミッドのうち、中央1基と南西の小型の1基が、一つの丘として画像処理されたのでしょう。という次第で、無論3Dオブジェクトではありませんが、FlightGearにも一応ピラミッドが存在することが、確認できたと思います。

 ★クイズの答★:人類発祥の地・タンザニアから、氷河期にベーリング海峡を渡り、南米パタゴニアに到った探検・植民旅行「グレート・ジャーニー」。距離は約5万キロ、交通手段は徒歩、所要時間は約1万年。あなたも私も、この探検の約半分を成し遂げた隊員の、名誉ある子孫…というわけですね。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-10-26 13:03
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 私の世界一周は、いよいよヨーロッパへ入ります。まずカイロ国際空港から、いったんヨルダンへ引き返しまして、前回うっかり見残した、標高で世界最下点の死海(湖面は海抜マイナス405m)を見物。地中海・クレタ島経由で、アテネを経てギリシャを横断し、イタリア南部のタラントまで進出します。

 アテネと言えば私の場合、英国の作家で、元戦闘機パイロットのロアルド・ダールが、20倍の敵機と戦って生き延びたエピソードを思い出します。またタラントはイタリアの軍港で、英海軍が第二次大戦初期に空襲し、史上初めて航空機が、実戦で戦艦を沈めた場所ですね。のちほど、このお話にも触れます。
 では、フライトプランをご紹介しましょう。

■死海とパルテノン神殿、タラント湾を行く■
マップデータ:e010n30
       e010n40
       e020n30
       e030n30
・起動時のリアルウエザー風向風速
9000ft 110度 11.7Kt
6000ft 100度 10.6Kt
3000ft 90度  9.7Kt
・雲量
5882ft Scattered 雲の厚さ600ft
(●印は、磁気偏差と風向風速を修正した針路・対地速度)

◎カイロ空港(VOR 112.50)N30.09.06-E31.25.26 偏東3度
     ▼71度216nm●69度240.7kt
◎I Bar Yohuda空港LLMZ(VOR115.0)-1266feet(海抜下386m)
 N31.19.51-E35.23.26 偏東3度
     ▼
△ヨルダンの死海
     ▼344度33nm●343度253Kt
◎エルサレム空港OJJR(NDB336)N31.51.47-E35.12.58 偏東3度
     ▼297度20nm●294度259Kt
◎テルアビブ Ben Gulion空港(VOR 113.50)
 N32.00.47-E34.52.30 偏東3度
     ▼292度523nm●290度259Kt
◎クレタ島Iraklion空港LGIR(VOR 108.80 NDB 431)
N35.20.25-E25.11.07 偏東3度
     ▼339度166nm●338度243Kt
◎アテネElefterios Venizelos空港LGAV(VOR 117.50)
 N37.55.03-E23.56.16 偏東3度
     ▼297度304nm●295度249Kt
★Lecce(レッチェ)VOR 112.80 N40.14.49-E18.07.51 偏東2度
     ▼295度37nm●294度249Kt
◎タラントGrottaglle空港LIBG(VOR 116.80)偏東2度
(全行程1299nm)

●世界で一番低い空港は、(多分)ここだ!!:
 カイロ国際空港の、23Rでエンジンを始動。
FlightGearを起動してみたら、リアルウエザーでは追い風でしたが、滑走路が長いので、このまま飛ぶことにしました。手早く風向風速の補正計算を済ませ、カイロ国際空港と死海のほとり、I Bar Yohuda空港のVOR周波数を打ち込んで、テイクオフ。今日は巡航速度を、普段の240Ktではなく、試験的に250Ktに上げ、燃費向上のため、なるべく低空を飛びます。

 離陸後、3000ftに上昇しながら6nm進んで右反転、空港VORの直上で、死海に向けて定針しました。このくらいの低空ですと、実はVORから50nmも離れますと、早くもDMEが受信不能になります。ただし私の航法では、かなり精密に針路計算をしていますので、実際はコンパスに頼る推測航法がメインです。VORは補助的に使うだけですので、出発時と到着時に受信できれば大丈夫です。
 3倍速に加速し、スエズ運河を越え、シナイ半島をぐんぐん横断。最後に標高3000ftくらいの、なだらかな山地を飛び越すと、行く手の大地がみるみる沈み込んで、青い湖面が広がりました。死海です。

 ここは、東のアラビア半島と、西のパレスチナ(つまりイスラエル)を二つに割る、幅約20キロの大渓谷の一部です。渓谷は、実はマントル対流の上昇点に出来た、地球規模の割れ目…大地溝帯の一部分です。割れ目は、死海から南に延びて紅海となり、アフリカ東部のエチオピアから、さらに3000キロ南下して、タンザニアのタンガニーカ湖に及びます。このアフリカ部分の割れ目は、有名な「グレート・リフト・バレー」で、アフリカ大陸は遠い将来、ここから東西に分断されてしまうのだそうです。
 (となると。イスラエルとアラブ諸国も、将来は海で隔てられるのでしょうか。多少は平和になるのか、或いはパレスチナ難民問題がもっと深刻化するのか、迷うところですね)

 …そう思って見ますと、死海の両岸、特に西岸は切り立った崖になっており。いかにも「大地の割れ目」を感じさせます。水面に向かってぐんぐん降下すると、パネルの高度計はゼロで止まり、HUD右端の高度計はマイナス領域に突入。−1000ftで目盛りを振り切って、空白になりました。いやぁ…感動的な眺めですね(^^)/。
 (世界第2の低地、中国トルファン盆地では先日、パネルの高度計も水面下を指しました。今回、ゼロで止まった理由は謎です)

 死海西岸にある、I Bar Yohuda空港に着陸。ネットで公開されている空港一覧によりますと、ここは標高マイナス1266f(海抜下386m)です。少なくともFlightGearの世界では、死海湖畔に他の空港はなく、ここが世界で一番低い空港と言えそうです。
 すぐに離陸し、再び湖面近くを飛んだ後、3000ftに向けて上昇開始。高度計がゼロ付近でも、しばらくは眼下に山並みが見えて、とても奇妙な気分でした。

●西欧の揺りかご・ギリシャを行く:
 砂漠っぽい荒れ地を飛んで、聖地エルサレムを通過。パレスチナからギリシャに掛けては、古代史で名高い地名がどっさりあって、まるで世界史版の「京都・奈良」です。寄り道するときりがないので、さっさと地中海に出て、約500nmかなたのクレタ島へ向かいます。

 ブロンコは低空で燃費がいいため、2500ftを飛んだのですが、低空の方がオートパイロットの安定がよく、ピッチング対策なしに4倍速も可能でした。途中、DMEの不感地帯に入った時点で、本来ならキプロスやアフリカ北岸のVORを受信すべきですが、面倒なのでVORは切ってしまい、推測航法でクレタ島を目指しました。Atlas画面も隠して航法精度を試したところ、洋上を523nm飛んで、ほぼピタリ、目標VORの2.1nm北を通りました。
 今回はパソコンも快調で、飛行直前の再起動時にページファイルを初期化する設定が、うまく働いているようです。

 クレタ島は、砂地の海岸平野から、予想外に険しい山々が立ち上がり、急に上昇を強いられます。この呼吸は、大戦中のイギリス雷撃機(複葉のソードフィッシュ)パイロットが手記に書いていた通りで、ちょっと共感を覚えました。禿げ山と農地が入り交じる、面白い風景が続きます。(クノッソス宮殿って、どこ?)
 針路をアテネに転じて、エーゲ海を横断。絶えず周囲に島が見え、やがて緑の大地が足元に滑り込み、立派な国際空港が広がっていました。アテネ市街地は、西の山を越えた向こう側です。

●ロアルド・ダールの「アテネの戦い」:
 山を越えると、三方を禿げ山風の峰々に囲まれ、南に美しい湾が広がる、アテネ市街地に出ました。低空で旋回すると、小さな四角い白点が見えまして、「あれは、もしや」と急降下してみると、嬉しいことに3Dモデルで、パルテノン神殿が再現されていました。私の好きな英国作家、ロアルド・ダールも大戦中の青春時代、ハリケーン戦闘機の風防越しに、これと同じ光景を見たはずです。

 ここで少々、R・ダールのご紹介を。ダールはパブリックスクールを卒業後、シェル石油に入社し、冒険を求めてアフリカ駐在員になりました。第二次大戦の勃発直後、ケニアで英空軍に志願。戦闘機隊員としてアフリカや、ギリシャなどを転戦しました。
 当時はドイツ空軍が圧倒的に優勢で、ギリシャ国内にいた英戦闘機はダールの部隊の、わずか十数機だけでした。交代で、たった1機がパトロールに出て、ドイツ機に遭えば果敢に空戦を挑み、しばしば未帰還になるという、厳しい消耗戦の毎日。ダールは最初の出撃で、ドルニエ爆撃機を追い回し、見事に撃墜しています。
 ある日、たまには編隊飛行で存在を誇示し、市民を激励しようと、ダールの部隊は12機でアテネ上空を旋回。たまたまドイツ空軍の戦闘機200機あまりが来襲して、大激戦となりました。「自分が撃った弾丸がどうなったか、誰も確認できない乱戦だった」と彼は書いており、ハリケーンは確か4機が未帰還となったものの、20機以上のドイツ機を撃墜しました。

 宮崎駿監督の「紅の豚」には、戦死した大勢のパイロットを乗せた、無数の飛行機が天国を目指し、銀河のように大空を渡って行く、幻想的なシーンがありますね。あの場面の元になったのは…ご存じかと思いますが…ダールが書いた「彼らは年をとらない」という短編。「飛行士たちの話」という、素晴らしい航空小説短編集に収められています。

 いたずらや体罰満載の学校生活を、イラスト入りで描いた自伝「少年」や、冒険に満ちたアフリカ駐在生活と、多くの戦争体験をつづった自伝「単独飛行」もお勧めです。いずれも細かな人間観察力と、冷静だが優しいユーモアにあふれ、読み出したら止まらない、非常に楽しい作品に仕上がっています。
 (彼は初任地リビアでは、赴任基地の位置を誤って教えられ、燃料切れで砂漠に不時着・転覆し、炎上する機体から重傷を負って脱出しています。この体験は「単独飛行」に紹介されたほか、戦後に作家デビュー作の短編となり、「飛行士たちの話」にも入っています。焼死寸前のパニックを、非常にユーモラスな文体で描いているのですが、これは体の自由が利かない恐怖を、とことんリアルに捉えた描写でもあって、ぞっとすると同時に、彼の文学的才能に驚かされます)

     ○

 …アテネ上空を旋回中、補助タンクの燃料が切れて、パネル右の赤い警告灯がつきました。機内タンクに切り替え、針路をイタリア南部のLecce(レッチェ)VORに向けます。
 アテネから、7000ftで中央ギリシャの山脈を通過。ギリシャの印象は、総じて「低いが険しく、メリハリの利いた山々。海に突入する骨太の岬、美しい海岸線と多島海」と言った感じです。西洋文明って、ルーツをたどれば、こんな風土から生まれたのですねえ。
 高度を30000ftに下げ、島が点在するイオニア海を横断。約2000ポンドしかない、機内タンクの燃料計が、徐々に減って半分を指したころ、イタリアの大地が見えました。

●気分はもう雷撃機? タラント湾に進入:
 イタリアの「長靴のかかと」を越え、土踏まずに当たる、タラント湾に出ます。ブロンコ改はタラント郊外の、Grottaglle空港VORを目指しているのですが、計器の動きが変で、どうも別の場所を指しています。周波数を打ち間違えたわけでもなく、局地的なバグの可能性がありますが、天気がよくて幸いでした。
 タラントの港は、半円形の小さな湾になっており、これが「マール・グランデ」と呼ばれる外港です。ごく狭い水道を経て、さらに陸側に、ひょうたん型の狭い内港「マール・ピッコロ」が広がっています。

     ○

 1940年11月、この外港に停泊中のイタリア戦艦6隻、内港の巡洋艦4隻と駆逐艦17隻を、英空母「イラストリアス」搭載のソードフィッシュ雷撃機が襲いました。第1波12機、第2波9機の夜間雷撃・爆撃によって、戦艦3隻が浸水して着底。英軍の損害は2機でした。日本海軍が1年後、雷撃を主体にして真珠湾を攻撃したのは、この空襲がヒントになったとされています。

 殊勲のソードフィッシュは、よく知られる通り、時代遅れのオープン3座複葉機で、雷撃のほか爆撃、偵察、着弾観測、ロケット弾攻撃、機雷敷設まで行う欲張った設計。あんまり装備が多種多様なので、ストリングバッグ(買い物袋)のあだ名があります。1トン近い魚雷を積むと、巡航速度はセスナより遅い90Ktです。
 従って、ほとんど夜間作戦に使われたのですが、頑丈な飛行機で操縦性がよく、名著「雷撃」(朝日ソノラマ文庫)を書いた元パイロット、チャールズ・ラムによりますと、戦闘機に追われれば急減速して、不意に竿立ちになって射弾を外し、海面すれすれに逃げることも可能でした。彼はこの手で、イタリア戦闘機2機を海に突っ込ませています。

 空母への着艦も容易なようで、時代錯誤的な機体ながら、パイロットに評判がよく、大戦後半にはレーダーまで積んで、ますます夜戦が得意になり、1940年代まで生産されました。英軍には、他にロクな雷撃機がなかった、という事情もありますが…要は、機体の性質をよく理解して、上手に使いこなしたのですね。ラムは、密かにドイツ軍占領地に着陸し、スパイを送迎する任務にも就いています。(そして2度目に、降りた乾湖の表面が破れて泥に突っ込み、捕虜になりました)

     ○

 …FlightGearのタラント湾にも、ひょうたん型の内港がありますが、外港への水路は狭いためか、省略されていました。しかし、どんな地形なのかは確認できて、おおいに満足でした。
 試しにソードフィッシュの速度まで、減速しようと思いましたが、ブロンコですと、フラップ無しに90Ktで飛ぶなんて無理です。110Ktでも宙吊り同然の低速に感じられ、これで海陸から撃ちまくられたら、生きた心地はしなかったでしょうね。

 内港を飛び越え、(VORが狂っているので)空港を探し回り、約10Ktの横風のなかを慎重にアプローチして、そっと右脚からスムーズに着陸。無給油で約1300nmを乗り切り、やっとヨーロッパ到着です(^^)/。
 次回は、スイス方面に向かうつもりです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回はまずブロンコ改で、イタリア・タラントのGrottaglie空港を出発し、イタリア半島をほぼ西海岸沿いに縦断して、さらにアルプスを越え、スイスのジュネーブまで進みます。

 途中でアルプスの谷間・スイス南部ヴァレー州の、ラロンという小飛行場に立ち寄り、1900年代の名機・ブレリオXI号機に乗り換えます。すぐ東のブリークという町に飛び、ここを起点にペルー人飛行家、ジョルジュ・シャヴェーズが1910年に行った、イタリア北部ドモドッソラまでの、史上初のアルプス横断飛行を再現することにします。
 フライトプランを、お目に掛けましょう。

■イタリアを縦断し、古典機でアルプス越えに挑戦■
       (イタリア・タラント〜スイス・ジュネーブ)
・マップデータ:e010n30
        e010n40
        e000n40
・起動時のリアルウエザー
9000ft 70度 16.1Kt
6000ft 60度 14.6Kt
3000ft 50度 13.3Kt
・雲量
5795ft Scatterd 厚さ600ft

・飛行速度260Kt(●は偏差と風を補正した針路と速度)
◎タラントGrottaglie空港LIBG(VOR 116.80)偏東2度
     ▼272度140nm●272度260Kt
★ソレントVOR(112.20) N40.34.56-E14.20.06(ポンペイ28度)
     ▼6度21nm●6度241Kt
◎ナポリ空港LIRN(VOR 117.85)N40.55.38-E14.23.01 偏東2度
     ▼303度97nm●304度254Kt
★ローマVOR110.80 空港LIRF N41.48.14-E12.35.19 偏東1度
     ▼333度135nm●335度247Kt
◎フィレンツェ空港LIRQ(VOR112.5)N43.48.37-E11.12.05 偏東1度
     ▼320度129nm●322度250Kt
◎ミラノ空港LIML(VOR116.0)N45.27.37-E09.16.33 偏東1度
     ▼310度79nm●315度247Kt=飛行時間19分。
◎スイス・ラロン飛行場LSTA(無線施設なし。N46.18.10-E07.49.20)
(MontanaVOR 115.85から76度27nm)

■アルプス横断■
(◎スイス・ラロン飛行場を離陸)
△スイス・ブリークの街
     ▼シンプロン峠越え道路(スナップショット地図参照)
△イタリア・ドモドッソラの街

■ジュネーブまで■
◎スイス・ラロン飛行場LSTA
     ▼280度58nm
★St.Prex VOR(113.90)
     ▼226度19nm・3000ft
◎ジュネーブ・コワントラン空港LSGG(VOR 115.75)偏差0度
N46.14.17-E006.06.32 標高1411ft 滑走路05/23
(総飛行距離:678nm)


●南イタリアの景勝地を快翔:
 では、タラントを出発します。ブロンコ改を、補助タンクまで満タンにして離陸。強い追い風を受けながら、ソレントのVORに乗り、折しも正面に浮かんだ月を追って、西へ。

 高度2000〜5000ftで低い山地を越えながら、3倍速でイタリア西海岸のサレルノ湾へ。湾の北には、断崖に囲まれた岬が、まっすぐ地中海に伸びています。岬の南岸は、世界遺産のアマルフィー海岸。先端がリゾートで有名なソレントですね。
 ソレントの沖、斧の刃のような山が切り立つ、美しいカプリ島の上を旋回。名所「青の洞窟」は、どのあたりかな?
 「青の洞窟」は、海からしか入れない海蝕洞。入口は大変小さく、干潮時に、小型ボートの底に這いつくばって通るのですが…頭を打ちそうなので、大昔はこっちが日本人と見ると、イタリアの船頭さんが、「アタマ、アタマ、アタマ!!」と叫んだものです。
 遠い記憶では、内部は頭上が暗黒の岩石ドーム。洞窟には底がなく、海中から透過する光で、水が神秘的なブルーに輝きまして、まるで光の宮殿。非常に美しく、ちょっぴり恐ろしい異空間でした。

 …カプリから、かなたに見えるヴェスヴィアス火山を目印に、ナポリ湾をめざします。針路をちょっと東に外し、ポンペイの遺跡の上空あたりを飛んで、美しい湾沿いに、ナポリ市街地を低空で通過。振り返ると、西から見るヴェスヴィアスは桜島に似ていました。
 そのまま、VORに乗ってローマへ。
(ローマは大正時代の終わりに、日本人飛行士4人が、フランス製ブレゲー19型を使って、初めてヨーロッパまで飛んだゴール地点です。色々ご紹介したいところですが、またの機会に…)

●危機一髪…勝手に急降下:
 ローマを駆け抜け、トスカーナ地方を4倍速で飛んでいましたら、風景のスクロールが、ちょっと引っかかったな、と思った途端、いきなり機体が垂直降下しました。

 低空だったので、慌てて1倍速に落とし、地表すれすれで水平に引き起こしましたが、それ以上機首が上がりません。前方からは、低い丘が近づいてくるし…ハラハラしながら調べると、昇降舵タブが目一杯、ダウンになっています。必死で「1」キーを押してトリムを修正し、上昇に転じましたが、びっくりしました。
 恐らく、風景の演算が重くなったはずみに、機首が跳ね上がり、オートパイロットが修正しようとして、限度までタブを巻いてしまったのでしょう。これといった予防策はありませんので、取りあえず3倍速以下に落とすことにしました。

 コース上に山があったので、高度を8000ftまで上げ、雲海の上に出てミラノを通過。ここからスイスのラロン飛行場をめざしますが、ラロンにはVORもNDBもなく、谷底に位置するうえ、雲が出ていますので、降りられるかどうか、少し微妙です。
 精密な推測航法を目指して、風力補正の計算を確認し、所要時間を19分と見積もりました。視界不良時のバックアップとして、ラロンと同じ谷間の27nm西にある、モンタナVORの周波数もチェックして、NAV2受信機に入力しておきます。モンタナの256度ラジアルを受信すれば、そこがラロン上空。ここからVORに向けて降下し、雲の下で反転すれば、山腹にぶつかる心配もなく、ラロンに着くはずです。
 航法を面白くするため、Atlasは隠して続航。雲の切れ間から、ちらりとマジョーレ湖が見えました。アリベデルチ、イタリア!!

●アルプスの谷間にて:
 やがて前方に、待望のアルプスが出現しました。谷間を北上中の愛機を、鋭い峰々が取り囲み、無言のお出迎え。明るい褐色や緑に彩られた山肌は、うっすら雪に覆われ。マッチョなヒマラヤと比べると少し繊細で、まあ「クールな美人教師」という感じでしょうか。
 愛機はたまたま、山塊群の中で最も低い地点を目指しています。地図によると、多分シンプロン峠でしょう。左にそびえるのはモンテローザ山。もっと西には、マッターホルンがあるはずです。

 ラロン着まで、あと1分余り。にしては、まだ山ばかりだなあ…と思っていたら、前方に、東西に走る大きな渓谷が開けました。ああ、これはヴァレー州の景色です。スイス領に入りました。
 雲間から、かなり地形が見えますので、谷の真ん中で急降下。スポンと雲を抜けて急旋回し、周囲を見回すと、谷底の道路沿いに、ごく小さな滑走路を発見。ラロン飛行場に到着です。

     ○

 滑走路長は、たった550m。正規の空港ではない模様で、山岳救助用の着陸場かも知れません。慎重にターンして、フラップ2段下げの低速・短距離着陸態勢を取ったところ、意外に強い横風を感じました。次にご紹介するアルプス越えは、ここが離陸地です。強引に着陸したところ蛇行を起こし、転覆してしまいました。無念…(^^;)
 以前、旅客機内で着陸時の映像を見ていましたら、PAPI(進入角表示灯)がよく見えて、強い横風時は正規の経路よりも、低く進入することが分かりました。風の影響を少なくするため、やや高速で進入し、そのぶん降下率が減るのでしょう。今回の転覆は、低速で進入したため、横風の影響が強く出たとみられます。
 ともかく予定通り、ブレリオ機でアルプス横断に挑みます。

●若き鳥人のアルプス初横断飛行、その栄光と悲劇:
     「シャヴェーズ、負傷のため死亡」
      =アルプス横断のペルー飛行家=
 …こんな見出しで始まる、1910年9月28日付ニューヨーク・タイムズの記事を、先日ネットで見つけました。記事や他の資料から、シャヴェーズの飛行を追ってみましょう。
 この飛行は、イタリア飛行協会が開催した、スイス南部のブリークから、アルプス山中のシンプロン峠を越え、イタリア領ドモドッソラを経てミラノに到る、賞金2000ドル航空レースの一環でした。悪天候で他の参加者はリタイアしましたが、シャヴェーズは独りでアルプス初横断を目指し、ブリークを離陸しました。

 使用機は当時の名機、ブレリオXI号機です。全長8m、幅7.6mの小さな単葉機で、かなり運動性のいい機体でした。前年夏のブレリオによる初の英仏海峡横断や、世界初の宙返りなど、数々の記録に輝き、量産されて第一次大戦でも使われましたが、やや強度不足でもあり、日欧でそれぞれ初の空中分解事故を起こしています。
 ★FlightGear用のブレリオXIは、下記のサイトにあります★
   http://helijah.free.fr/flightgear/hangar.htm

 シャヴェーズは当時23歳。操縦歴8カ月ながら、国際飛行大会で8409ftの高度世界記録を樹立。非公認では8790ftを達成し、標高2005m(6578ft)のシンプロン峠を越える自信は十分でした。
 この峠は紀元前から、スイスとイタリアを結ぶ、主なアルプス横断ルートの一つで、ナポレオンも越えたそうですが、大変な難所だったはず。しかし1910年には、自動車道が整備されていました。
 シャヴェーズは離陸後、2000mまで上昇し、ほぼ自動車道に沿って飛びましたが、強風や寒さとの戦いで、すっかり体力を消耗したと言われます。横断には成功し、ドモドッソラへ降下したのですが、なぜか着陸点を示す標識めがけて急降下。地上10m(一説には30m)で引き起こした際、主翼が折れて墜落し、4日後に亡くなりました。
 現地には立派な記念碑があり、今も片翼が保存されている…と、YS-11設計者の木村秀政さんが、書いておられた記憶があります。

     ○

 同じブレリオXI号機で、私もラロンを出発。吹きっさらしの操縦席前方に、燃料タンクとシリンダーが見えます。この機体は少々、グラウンド・ループ(地上スピン)の癖があって、離陸に苦心しました。わあ、たったの30Ktで浮いたぞ!!
 アンザニ3気筒25馬力エンジンが「カタカタカタ!!」と全開運転を続けていますが、上昇中は45Ktくらいしか出ません。横断コースのスタート地点、ブリークまでの短い移動が、なんと遅いこと。それにしてもこんな、空飛ぶ自転車みたいな飛行機で、こんなすごい山々の間を抜けるとは…やはり一世一代の、大冒険ですね。
 果たしてアルプスは越せるのかな、と思いながら、史実通りにまず、谷間の中で2000m付近まで上昇。よーし、これでコース上の最高点と、ほぼ同じ高度です。あらかじめ作ったコース図と、Atlasを見比べてブリークの町を発見。イタリアへの道路を確認し、これに沿ってアルプス連山の、最初の尾根に取り付きました。

   「ああ、今まさに、シャヴェーズと同じ光景を見ている!!」

 …と、思わず胸が熱くなります。
 ブレリオ機の胴体は、脚立みたいな骨組みだけ。床板は操縦席しかないため、タンクやシリンダーのすき間から、地上が見えます。この下方視界は非常に便利で、絶えず目標の道路を狙うことが出来ました。これって、シミュレータならではの発見ですね(^^;)。

 道路を見失うまいと神経を集中し、ひたすらエンジン全開のまま、じりじりと上昇を続け、切り立った峰に囲まれながら南下。高度8000ftに達し、速度も50Ktあまり。うん、これなら行けるかな。緊張のあまり、シンプロン峠をすれすれに越えた瞬間を、それとは意識しなかったので、「あ。今のがシンプロンだったの?」と、ぐるりと一周して、スナップショットを撮りました。
 イタリアへの降下では、気持ちに余裕が出て、風速設定を変更し、最大限の乱気流を出してみました。かなりガブられましたが、十分に操縦できる範囲で、やがて「約束の地」のように眼下に広がる、ドモドッソラの谷の、柔和な景色を楽しむことが出来ました。
 アイドリングまで絞っても、なかなか降下してくれない機体を操って、町の周囲を行ったり来たり。ようやくイグニッションを切って、町はずれの草原に、静かに古典機を降ろしました。

●ジュネーブへ:
 ブロンコの飛行は、スイス領・ラロンからそのまま再開します。滑走路が短いので、燃料は機内タンクだけ。それも半分の1000Lbsまで減らして軽量化し、フラップ全開でようやく離陸。雲を破ってぐんぐん上昇し、途中でマッターホルンを見物した後、スイス西方・レマン湖北岸のSt.Prex VORに機首を向けました。
 このVORから、ジュネーブ・コワントラン空港の滑走路へは、直線進入になります。VORにぴったり乗って、模擬進入を試みてから復航し、ジュネーブ市街中心部へ。南西に伸びるリヨン街道(地図表記ではシャンシー通り)を探して、少し郊外に出ました。
 街道沿いの、空港VORから約5nmの地点を、低空で通過。私事で恐縮ですが…小学校時代に住んだ場所です。すぐ南のフランス領に横たわるサレーヴ山は、昔とそっくりに見えました。空港に舞い戻って、滑らかに着陸。次回はパリを経由し、ロンドン入りです。
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通常 Re: 手探り航法・旅日記

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-11-27 17:14
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回も、クラシック機の飛行を織り交ぜます。
まずブロンコ改で、スイスのジュネーブからパリへ。ここでファルマン複葉機などに試乗した後、フランス北岸のカレーへ向かい、ブレリオXI号機に乗り換えまして、1909年のドーバー海峡の初横断飛行を再現。続いてロンドンに入ります。(長文ですので、2回に分けて一挙アップさせて頂きます)

■クラシック機と遊びながら、ロンドンへ■(その1)
          (ジュネーブ〜パリ〜ロンドン)
コースマップ:e000n40
       e000n50
       w010n50
ジュネーブ起動時の、リアルウエザー風向風速:
9000ft 50度 2.9Kt
6000ft 40度 2.6Kt
3000ft 30度 2.4Kt
雲量:
大快晴。
(注:以下●印は、磁気偏差を加えたコンパス針路。
   今回は微風のため、風力補正は省略しました)

◎ジュネーブ、コワントラン空港LSGG(VOR 115.75)
N46.14.17-E006.06.32 偏差0度
    ▼325度75nm
★DijonVOR 111.45
    ▼318度127nm
★CoulommiersVOR(112.90)
    ▼プロペラ機は6000ftで通過。
     284度(●285度)28.6nm地点を4000ftで
     左旋回、71度(●72度)で最終進入。
     そのまま8nmでRWY。
◎パリ、ル・ブールジェ空港LFPB(VOR 108.80)
48° 58' 10.00" N 002° 26' 29.00" E 偏西1度
RWY27=ILS110.55 RWY07=ILS109.90
    ▼341度73nm(●342度)
★AbbevilleVOR(108.45)N50.08.06-E01.51.11
    ▼4度50nm(●5度)
◎Calais Dunkerque空港LFAC(VOR 110.55)
    ▼ブレリオ=263度9nm進み、317度を洋上18nm。
    ▼ブロンコ=298度26nm
★Dover VOR(114.95)N51.09.41-E01.21.32
    ▼277度69nm(●279度)
★Ockham VOR(115.30)N51.18.17-W00.26.50
    ▼342度2.9nm(●344度)
◎ロンドン・ブルックランズ飛行場EG11
N51.21.02-W00.28.09 偏西2度
(総計460nm)

●ABUNAI航法の距離・方位誤差について:
 最初に少々、航法技術関連のご報告をします。
 …私が以前考案した、Atlas画面上でマウスポインタを動かせば、目標への距離と方位が表示される「ABUNAI航法」の話が、最近は出てこないな、とお感じの方もおられるかも知れません(^^;)。

 ABUNAI航法は、飛行中は必ずしも必要ありませんが、フライトプラン作成には極めて便利です。しかし今回の世界一周は、1区間の飛行距離が長いため、距離を計るにはAtlas画面を大縮尺にせざるを得ず、測定誤差が心配でしたので、もっぱら各中継地の緯度経度を基に、区間距離・方位を算出しておりました。

 しかしこれでは、計算にかなり時間が掛かります。出来ればABUNAI航法を使いたいので、大縮尺の測定では、どの程度の誤差が出るのか初めて検証を試みました。誤差が生まれる要因は、主に
 ・Atlasを大縮尺にした場合に生じる、地図の歪み。
 ・マウスポインタ解像力の、相対的な低下。

 …の二つが考えられます。地図の歪みの方は、中央からの距離・方位を正確に描く、「正距方位図法」を使えば問題ないのですが、演算に時間が掛かるため、スクロールマップ向きではありません。実際のAtlas画面は、計算が簡単な正距円筒図法を主に使っていますので、困ったことに大距離では、方位にも距離にも誤差が出るのです。では一体、どの程度の誤差なのでしょうか。

 地図は一般的に、高緯度になるほど、測定距離が長いほど、表示誤差が大きくなります。そこで今回はAtlas画面上に、方位45度の線分を50nm、100nm、200nm、400nmの長さに描き、それぞれの方位と長さをABUNAI航法で測定し、始点と終点の緯度経度から算出した方位・長さと比較しました。測定は北緯30度を起点にした場合と、60度の場合の2回行い、緯度の影響も確認しました。
 すると結果は、以下の通りでした。

 ◎Atlas航法による測定の距離・方位誤差
  長さ      北緯30度      北緯60度
・ 50nm -0.1 nm -0.1 度 -0.57nm -0.55度
・100nm  0.12nm 0.49度  2.93nm 1.33度
・200nm  1.57nm -0.09度  4.27nm 0.7 度
・400nm  4.84nm 0.31度 17.05nm 2.78度

 …ご覧のように、北緯30度では距離・方位とも実用上、問題になる誤差は出ませんでした。北緯60度でも200nm以下に限れば、少々天候が悪くても、目的地の空港が視界に入る程度ですので、まあ合格点だと思います。という次第で、めでたくABUNAI航法は、かなり大距離でも実用になることが分かりまして、今回のコースは久しぶりに、これを併用して飛行計画を立てました。
 (ABUNAI航法の詳しいご利用法は、本連載の今年2月18日掲載分をご覧下さい)

 さて、いよいよフライト編です。

●久しぶりに、STARをたどってパリ着陸:
 …快晴・微風のジュネーブを出発します。
 滑走路を西へ離陸し、上昇しながら約6nm進んで反転。空港VORを起点に航法を始める、お馴染みのリバーサル・ディパーチュアを行い、すぐ北に横たわる、仏領のジュラ山脈(地質学の「ジュラ紀」は、これが語源)を飛び越えました。
 ひたすら平野が続いて、やがてフランス中部のディジョンVORを通過。ワインで有名なブルゴーニュ地方を北進し、パリ東南東のCoulommiers VORから、ル・ブールジェ空港07滑走路へのSTAR(計器飛行方式の標準進入経路)へ入ります。ネットでは、なかなか海外のSID(同標準出発経路)やSTARのデータを入手できませんが、ここのは幸いダウンロードできました。

 …まず、Coulommiers VORを6000ft(プロペラ機の場合)で通過。コースを284度に取って、ほぼILS進入コース上にあるNDBを目標に左旋回を始め、200度ほど反転する形でファイナルに入るのですが…FlightGearの地形上には、このNDBがなかったので、あらかじめVORからの進出距離を測っておきました。
 コース北方には、パリ市街地と空港が広がっています。普段は、目分量で進入してしまうのですが、ていねいにSTARをたどった方が、やはり実感が湧きますね。なぜかILS受信には失敗しましたが、快晴のため問題なく着陸しました。

●欧州初飛行…サントス・デュモンの14bis号:
 パリでは、以前ダウンロードさせて頂いた、豪華な3D市街地群を見下ろしながら、クラシック機を楽しみます。
 まずブールジェ空港東隣の、シャルル・ドゴール空港26R滑走路で、ブラジル人の飛行家、サントス・デュモンが1906年に、欧州初の動力飛行をした複葉機「14bis」号を始動しました。ダウンロード先は、前回ご紹介しましたブレリオXI号機と同じサイトです。(以下にアドレス再掲)
   http://helijah.free.fr/flightgear/hangar.htm

 14bisはカナード型の複葉機で、前方に昇降舵と方向舵を設け、垂直尾翼は特にないという形式。上下主翼間の支柱に、カーテン(仕切り布)を張ってあるものの、十分な「風見安定」を得るのは、やや難しそうですね。
 FlightGear用の機体は、なぜかラダーの効きが左右逆になっている上、ロール制御も極めて過敏です。私はマウスの感度を落としたにも関わらず、滑走路で片翼を地面に当ててしまい、連続10回もクラッシュしました。そして…やっと70Ktまで加速したにも関わらず、ついに離陸できませんでした。高度1500ftで強制起動しても、ほぼ操縦不能と言ってよく、がっかりしました。
 上記サイトは、けっこう歴史的な機体の宝庫です。多くはプラモデルのように精巧で、美しい仕上がりなのですが…こんな風に、飛行特性に問題のある機体も、しばしば見られます(^^;)。

 史実では、デュモンは1906年10月に、高度3mで距離60mを飛行。翌月には距離220mを達成しました。一方ライト兄弟は、最高傑作と言われた「A型」をフランスに持参。1908年にウイルバーが124.7kmを2時間20分で飛び、フランス航空人に強い衝撃を与えました。会心のウイルバーは、デュモンの飛行を「犬に追われた、ニワトリのジャンプ」と酷評したそうです。

●ファルマン機でパリを行く:
 しかし、ライト兄弟の絶頂期はここまで。フランスの航空人たちはライト機が、主翼を操縦ワイヤーでひねって、エルロンの役割を果たす「たわみ翼」を使い、完璧な釣り合い旋回を行っていることを知るや、素早く自機に取り入れました。
 フランスではファルマンやボワザン、ブレリオらが、またアメリカではカーチスが、ライト兄弟を猛追。わずか1年後の1909年、フランスのランスで開かれた飛行競技会では、栄光のライト機は、ついに1種目も入賞できませんでした。

 …そんなお話を思い出しながら、次に私は、この時代の名機の一つ、ファルマンIX型複葉機を起動。日本初の飛行(1910年)では、徳川好敏大尉も、同系列の機体に乗ったのでしょうね。これも、先ほどのサイトからダウンロード可能です。ファルマンとブレリオ機は、離陸時の直進不良を除けば、割に操縦しやすい機体です。

 さてル・ブールジェ空港から、ゆるりとパリの空へ飛び立ちましたが…パリの街には、クラシック飛行機が、とてもよく似合いますね。モンマルトルの丘の、白いサクレクール寺院を見下ろし、エッフェル塔の回りを何度も周回。ついでに宙返りにも成功しました。シャンゼリゼ通りを低空で駆け抜けるなど、20世紀初頭の鳥人の興奮を、わずかながら味わった気分でした。

【注】サントス・デュモンに関する補足:
(彼は飛行機のほか、多くの飛行船試作で有名で、エッフェル塔の初周回飛行に成功。一時ヘリコプターも研究し、ブラジルでは「航空の父」とされます。ダンディーな紳士で、飛行中を想定して、天井から椅子とテーブルを吊って食事したり、街角に飛行船を係留してカフェに立ち寄るなど、古き良き時代の発明家らしい(?)奇行でも、パリ市民に愛されました。晩年は、航空機が戦争に使われることを深く悲しんで、自殺したと言われます)

●バロン滋野、フランス上空の航跡:
 ところで…この第一次大戦前のパリを、日本の飛行家が、自分で設計した飛行機で飛び回ったことを、ご存じでしょうか。

 このパイロットは、滋野清武という男爵です。1910年、28歳で音楽を学びに渡仏して航空熱に取りつかれ、まず自動車免許を取ってエンジンに慣れ、1912年に万国飛行免状を取得。さらに複葉機を設計し、この図面が製造業者に高く評価され、間もなく実機が完成。亡妻の名にちなんで「わか鳥号」と命名して飛び回りました。写真を見ると、空気抵抗の少なそうな、スマートな機体です。
 滋野氏は帰国後、陸軍で操縦を教えたものの、国内初飛行の徳川好敏大尉から、なぜか冷淡に扱われた様子で、持ち帰った「わか鳥号」が大破する不運にも見舞われ、1914年に再渡仏。間もなく第一次大戦が勃発し、彼はフランス陸軍航空隊に義勇兵として志願して、大尉に任官しました。ちなみに大戦中、フランス軍のパイロットになった日本人は数人いて、被弾炎上した乗機から身を投げ、戦死した人もいます。(不幸なことに、軍用機がパラシュートを標準装備したのは、第一次大戦後のことでした)

 滋野氏は、偵察や爆撃任務を生き延び、念願の戦闘機隊に転属。ここでは、連合軍トップエースのギヌメールや、戦後リンドバーグと競って大西洋に消えたルネ・フォンクら、そうそうたるメンバーが、最新鋭のスパッド戦闘機に乗っていました。部隊マークはコウノトリですが、滋野氏だけは愛機の胴体に丹頂鶴を描き、「これは日本のコウノトリだよ」と、笑っていたそうです。
 一説によれば、滋野氏は通算6機を撃墜。となると日本初のエース(公認撃墜5機以上)でもあったわけですね。いずれにせよ彼はフランス最高の勲章、レジオン・ドヌールを貰っています。

 在仏中に新しい奥さんを得て帰国したものの、宮内庁の反対で正式の入籍は許されませんでした。国内で活躍の場を得ないまま、42歳で病没したのは気の毒ですが、航空技術で世界一だった時代のフランスの青空に、短いが鮮烈なコントレール(飛行機雲)を描いた生涯は、日本の航空史に長く残ることでしょう…。
 長くなって申し訳ありませんが、忘れがたい人であり、まだご存じない方のため、この場を借りてご紹介させて頂きました。

          (ロンドンへの旅、続編はこの後すぐ)
投票数:15 平均点:4.00

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 2本に分けて一挙投稿のうち、これが2本目です。
前回お示しした航程のうち、パリからロンドンに向かう区間をご紹介します。まずブロンコ改で、フランス北岸のカレーに移動しましてブレリオXI号機を使い、1909年7月にルイ・ブレリオが達成した、初のドーバー海峡横断飛行を再現。再びブロンコ改のコクピットに戻り、現代機でほぼ同コースを飛び比べた後、ロンドンに向かいます。
 フライトプランのうち、関連部分を再掲しましょう。


■クラシック機と遊びながら、ロンドンへ■(その2)
         (パリ〜ドーバー海峡〜ロンドン)
コースマップ:e000n40
       e000n50
       w010n50

◎パリ、ル・ブールジェ空港LFPB(VOR 108.80)
48° 58' 10.00" N 002° 26' 29.00" E 偏西1度
RWY27=ILS110.55 RWY07=ILS109.90
    ▼341度73nm(●342度)
★AbbevilleVOR(108.45)N50.08.06-E01.51.11
    ▼4度50nm(●5度)
◎Calais Dunkerque空港LFAC(VOR 110.55)
    ▼ブレリオ=263度9nm進み、317度を洋上18nm。
    ▼ブロンコ=298度26nm
★Dover VOR(114.95)N51.09.41-E01.21.32
    ▼277度69nm(●279度)
★Ockham VOR(115.30)N51.18.17-W00.26.50
    ▼342度2.9nm(●344度)
◎ロンドン・ブルックランズ飛行場EG11
N51.21.02-W00.28.09 偏西2度

●ブロンコ改、エッフェル塔上空を舞う:
 ル・ブールジェ空港を離陸。今回はショートフライトなので、燃料をメインタンク半分の1000Lbsとしました。

 機体を軽くしたのは、ちょっと魂胆がありまして…リンドバーグがニューヨーク=パリ間飛行に成功した後、欧州各地の親善飛行に旅立つにあたり、パリ上空で様々な曲技飛行を演じて、別れを惜しんだそうですので、私もやってみたかったのです。
 (彼のセントルイス号は、NY離陸時の鈍重なイメージが強いですが、燃料を大幅に減らせば、実はパワーと強度が余って曲技も可能。リンドバーグは機体完成時のテスト飛行中、たまたま出会った海軍の戦闘機と、模擬空戦をして遊んでいます)
 現代の実世界では、ちょっと困難でしょうが…私もル・ブールジェからパリ中心部に出て、エッフェル塔周辺で、連続宙返りや横転、錐もみを試して遊びました。

 機首をAbbeville VORに向け、真っ平らな箱庭的農村風景の中を飛び続けていると、残念なことに…地平線に、真っ白な空白地帯が広がっているのを発見。久しぶりに、地形データの読み取りミスが発生した様子です。
 このまま飛び続けても、数分後にはエラーが出ますので、たまたま眼下に見えた、Le touquet Paris Plage空港に緊急着陸。ここは芝生の滑走路を持つ小空港でした。

 …FlightGearを再起動し、燃料の残量を消費分だけ調整した後、カレーへ。パリ上空で遊び過ぎたのか、気が付くと燃料計がゼロを指しておりまして、冷や冷やしながらダイレクト進入。エプロンに乗り入れた途端、ガス欠でペラが停止しまして、実に危ないところでした。次はいよいよ、海峡横断です。

●ルイ・ブレリオの飛行を味わう:
 Calais Dunkerque空港で、ブレリオXI号機を起動。
リアルウエザーは240度12Ktの風。雲量は4678ftにScattered、2678ftにfewでした。古典機で飛ぶには風が強いですが、実際のブレリオの飛行でも、かなり風があったような気がします。左へ機首を振る機体をだましながら離陸。まず海岸沿いに西へ9nm進み、ブレリオが離陸した地点へ向かいます。上昇中の速度は40Kt弱と、相変わらずの鈍足です。

 このへんが、海峡の一番狭い地点かな…という海岸で、HUDのコンパスを使って機首を317度に向け、海に乗り出し、後はHUDを消してしまいました。さてここからは計器なし。結構大変でした。

     ○

 史実では、ブレリオは英国の大衆紙デイリーメールが行った、海峡初横断の1000ポンド懸賞飛行に応募。パリ生まれのイギリス人、ユーベル・ラタムの名機アントワネット単葉機と、一番乗りを争いました。
 アントワネット機は、オリンピックの競技ボートのような細長い胴体に、直線的なテーパー状の主翼が付いた、大変エレガントな単葉機で、エンジン出力はブレリオ機の2倍。一時は高度記録を作った飛行機ですが、最初の挑戦でエンジントラブルから海峡に不時着水。2機目を準備中、ブレリオに先を越されました。

 ブレリオは、数日前に不時着して足を負傷しており、松葉杖をついて愛機に搭乗。コンパス取り付けも断念するほど、出発を急いだため、友人に「ドーバーはどっちだ?」と尋ねて、夜明けと同時にフランスを後にしました。最初は、護衛役のフランス駆逐艦が見えましたが、やがて朝霧のため、艦も海岸線も見失い、針路維持に苦心しながら直進。少々コースを東に外したものの、やがてドーバーを発見して着陸に成功。この計37分間の歴史的飛行に、デイリーメールの社主・ノースクリフ卿は「イギリスは今や、島ではなくなった」と賛辞を送りました。前例がないため税関が困り、ブレリオ機を書類上、ヨットと記載したのは、有名なお話ですね。

●太陽をコンパスに…孤独の海と空:
 一説によるとブレリオは、霧の中では全世界から切り離されたような孤独を感じた…と語ったそうです。私は「たった37分の飛行で、大げさな」と思ったのですが、いざシミュレートしてみますと、これは案外、骨の折れるフライトでした。

 まず…コンパス無しというのは、こんなに飛びにくいのかと思いました。時刻は史実通りに夜明けとし、霧を出しましたので、背後のフランス海岸はすぐに消え、周囲は暗い夜明けの空と、のっぺりした黒い海ばかり。針路がずれても分からないのです。
 ふと思いついて振り返ると、黄色い朝日が、右の水平尾翼に重なって見えました。ということは…飛行時間を仮に30分程度としますと、太陽の位置はイギリス到着までに、せいぜい西へ8度しか移動しないはずですね。これは、使えますよ!!

   「…よし、太陽をコンパス代りにしよう…」

 振り返ったままでは、操縦は出来ませんので、前方の断雲を仮の目標に定め、少し直進しては、また太陽を振り返ります。この機体は、どうも左へ左へと機首を振る癖があり、これにも悩まされました。雲を見上げて、針路をこまめに修正しながら、また太陽をチェック。暗い孤独の海と空が、うんざりするほど続いたのち、ようやく水平線に、もやでも雲でもないものが見えました。
 陸だ。イギリスです。西風のため、私はほぼ史実通り、ドーバーをかすかに東へ外しているようです…やがてドーバーの崖の上、無線塔そばの草原に、エンジンを切って無事着陸しました。途中、盛んにポーズを掛けたので、正確な飛行時間は分かりませんが、おおむね30分かそこらだと思います。
 各種のフライトシミュレータで、ブレリオの横断を再現するのは通算3回目ですが、時刻や天候まで再現したのは初めて。今回は少しブレリオの気分に近づいた気がしまして、かなり大きな達成感がありました。(フライトシムで古典機を飛ばすのは、或る意味、ヘイエルダール博士の「コンティキ号漂流記」みたいな、「実験考古学」の趣きもありますね)

●ロンドンだ!! グリニッジ子午線を通過:
 私は再びブロンコ改に乗り換えて、カレーからもう一度ドーバー海峡を横断。機内タンク2000Lbsのみの機体は、ひらりと離陸して海峡をめざします。巡航240Ktの、なんと速いこと。わずか5分でドーバーVORの上空に到達し、ここからロンドン南西のオッカムVORに機首を向けました。VORはあるし、オートパイロットは使えるし、現代機のありがたさが、つくづく身に染みます。何だか密閉キャビンの温かささえ、感じるような気がするほどです。

 やがてロンドン首都圏に入り、北方にはシティ地区のビル群らしい影が見えます。ここでHUDを入れて、現在地が西経になったことに気が付きました。ロンドン郊外グリニッジ天文台を通る、経度ゼロの子午線を越えたのですね。ちょっと感動です。
 しかし…現地時間は正午なのに、空がとても暗いなあ。太陽の高度は、まるで夕方です。考えてみると、もう11月の下旬。北緯51度を飛んでいるのですから、太陽も低いはずですね。有名なイギリスの冬の陰鬱さを、初めてFlightGearで体感しました。(ここはやはり、熱い紅茶が、欲しくなりますねえ)

 オッカムVORで北へ変針。はるか彼方にヒースローが見えますが、私の目的地は、その手前の小飛行場・ブルックランズです。

●クルマとヒコーキの殿堂、ブルックランズ:
 ブルックランズは、1907年に世界で初めてオープンした、自動車レース用のサーキットなんですが、実はイギリスの航空史上に、燦然と輝く地名でもあります。ここでしばらくウンチクを並べるのを、どうかご容赦下さい。

 このコースは、全長3.75マイルの楕円形。幅は30mあり、コーナーに高さ10mのバンクを設けた本格派。初年度から24時間走行距離の世界記録(平均時速約105キロ)が作られるなど、レースの歴史を華麗に彩るのですが…ここでは、飛行機のお話をします。
 この立派なトラックを、絶好の滑走路と見なしたのが、初期のヒコーキ野郎たちでした。
 まず1908年に、A・V・ローという男(後にアブロ社を創設)が現れて、「格納庫を建てさせて下さい」と頭を下げました。彼が作った複葉機は馬力不足で、最初は自動車に曳航されて、やっと浮いては操縦性をテストしましたが、やがてエンジンを換装し、イギリス初の(これには諸説あり)動力飛行に成功しました。
 お次は1910年に、トーマス・ソッピースがやってきましたが…彼は数年後にここで、第一次大戦の傑作戦闘機、ソッピース・キャメルを初飛行させます。1911年にはデイリーメール新聞社が「英国エアレース」を開催。飛行学校も開設され、サーキットは次第に「ブルックランズ飛行村」と呼ばれるようになりました。
 以前、ニュージーランド=オーストラリア間の、タスマニア海横断飛行の際にご紹介しました、戦前のアマチュア大飛行家、フランシス・チチェスターも、ここで操縦免許を取った一人です。

 その後は、トラック中央の空き地に滑走路が新設され、ハリケーン戦闘機が初飛行するわ、ヴィッカース社の工場は建つわ。第二次大戦中に、とうとう由緒あるバンクが一部を残して取り壊され、「ひさしを貸して母屋を取られる」と言いますか、レースコースはすっかり飛行場に様変わりしましました。
 現在は一転して、広大な自動車・航空博物館になり、古今のレーシングカーやA・V・ローの複葉機、ウエリントン爆撃機、ハリアーまで展示中。たぶんコンコルドもいます。すでに空港としては閉鎖の様子ですが、滑走路は約600m残っており、1998年にはブライアン・ミルトンが、ここをスタート・ゴール地として、初のマイクロライト機による世界一周を達成しました。
 Google Earthで見る現在のブルックランズは、昔のレーストラックの痕跡の内側に、短いレースコースや滑走路、格納庫、展示機などが並んでいます。博物館HPのアドレスも挙げておきます。
   http://www.brooklandsmuseum.com/index.cfm

     ○

 FlightGearのブルックランズには、残念ながらサーキットの痕跡はありません。PAPIも無線施設もありませんが、管制塔はちゃんと建っており、心なごむミニ飛行場、という雰囲気です。

 南から低空でローアプローチしたところ、吹き流しが真横にはためいて、滑走路に対し50度くらいの強風でした。スイスで一度、同様の小飛行場で事故を起こしましたので、まずいな…と思いましたが、風下に抜けてターンし、フルフラップで85Ktまで減速、ゆっくり最終進入したところ、今回は大丈夫、行けると思いました。

 無理なら、何度でもやり直す。それでもダメなら、ヒースロー空港へ行くと思い定め、ていねいに横風進入して、右脚からそっとタッチダウン。やれやれ、ロンドンに到着です。

●神風号より、ちょっぴり速く:
 今回の世界一周「プロジェクト・ハイフライト」は、かなりハイピッチで距離を稼ぎました。カイロまで来たあたりで、実は神風号の記録を意識し始めたからです。(ロンドンの着陸地も、同じクロイドン空港にしたかったのですが、すでに廃港です)

 神風号は東京=ロンドン間を、3泊4日の94時間17分56秒で翔破しましたから、絶対時間では勝負になりません。しかし、実飛行時間の51時間19分23秒は、出来れば抜きたい…と思っていました。タクラマカン砂漠などへ大回りした私とは、そもそも飛行距離が比較になりませんが、その分こっちは高速です。
 倍速モードを使うと、飛行時間が正確に記録できませんので、あくまでも概算ですけれど…神風号の飛行距離15,357km(8292nm)に対し、私の松山=ロンドン間は計10326nm、所要時間は44〜45時間。6時間ばかり、早く着いたようです。

 私の世界一周は、ひとまず第1期を終え、若干のお休みを頂いて、今後の針路の研究や飛行訓練をします。(最近の本連載は、やや航空史と観光が多くなった気がします。こんな飛び方・楽しみ方のご紹介もありかな…とは思いますが、ちょっと反省)
投票数:11 平均点:4.55

通常 Re: 手探り航法・旅日記

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2007-12-11 16:38
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 今回から久しぶりに、ジェット機の訓練をします。目標は、コンコルドを操縦することです…(^^)。

 私の世界一周は、ロンドンからこの先、ニューヨークへ向かうか、アフリカ西岸に下って南米をめざすか…いずれにせよ、どこかで大西洋を渡る必要があります。
 最初はブロンコ改で、アイスランド・グリーンランド経由の横断を考えました。推測航法ですと、磁北極が近い関係で偏差が刻々変わり、困難ですが面白い挑戦になりそうです。ただ、高緯度の暗く陰鬱な冬空を思うと、航続力の大きな超高速機で、アフリカ・南米コースを飛びたくなってきました。
 となりますと。これはFlightGearで未体験だった、コンコルドの操縦を覚える絶好のチャンスです。

 コンコルドは希に見る美しい飛行機で、「怪鳥」と呼んだマスコミの気が知れませんね。…でもFS2000の体験では、古い設計のため計器類が複雑極まり、音速突破の際は燃料を前後に移送して重心調節が必要。またデルタ翼の操縦特性(失速しにくいが、フラップがなく、機首を高く上げて離着陸する)も難しいと感じました。別の某フライトシムでも、小回りが利かず印象が悪かったので、コンコルドは数年来、ずっと飛ばすのを諦めていました。
 しかしFlightGear版を起動してみますと、丹念に作り込まれた力作です。実機の英国主任テストパイロットの本によれば、亜音速や進入時には、「在来機より小回りが利き、横風・追い風着陸にも強い」とあります。もしFlightGear版が、こうした特性を正確に再現しているなら面白いと思い、にわかに操縦してみたくなりました。まずジェット機の、おさらい訓練から始めます。

 ロンドン近郊で適地を探し、市街北東にある首都圏第3の空港、ロンドン・スタンステッドを選びました。ここは広い平野にあり、3000m級滑走路とILSを持ち、ネットでSID/STAR(計器飛行の発着経路)図が入手可能です。

・全世界の空港データ・一部SID/STAR公開:
   http://www.fscharts.com/
・空港のみの詳細なデータ:
   http://worldaerodata.com/

 …また周囲に市街地テクスチャーがなく、パソコンの処理が軽そうなのも、ここを選んだ理由です。ではブルックランズ飛行場からブロンコ改で、スタンステッド空港に移動します。
◎ブルックランズ飛行場EG11(偏西2度)
    ▼67度21nm
★ロンドン・シティ空港VOR(111.15)
    ▼18度24nm
◎ロンドン・スタンステッド空港EGSS(VOR110.50)
RWY05(ILS 110.5)RWY23(ILS 110.5)
標高348ft 磁気偏差=偏西2度

●ジェット機の訓練コースを設定:
 最初は在来旅客機で離着陸訓練。慣れた737は、不調で起動不能でしたので、初体験の777を選択。旅客機は視界が悪く、計器飛行による周回コース設定が必要なので、スタンステッドのSTARのうち2種類を、風向によって選ぶことにしました。

【RWY05の離着陸訓練コース】
    (滑走路を長辺の一部とする、左回り楕円形)
 針路046度で離陸後、2nm先で標準旋回・左反転。
 ブルックマンズVOR(117.5)のインバウンド
 227度をインターセプトし、8nm地点まで直進。
 ここで左に反転し、046度のILS(110.5)に乗る。
【RWY23の訓練コース】
  (滑走路を斜辺の一部とする、右回り直角三角形)
 滑走路離陸後、2.9nmで右旋回開始。
 バークウェイVOR(116.25)のインバウンド
 345度をインターセプト。VOR上空でアウトバウンド
 070度に乗る。このVORから11nmで、機首を136度に
 向け、間もなくILS(110.5)226度をインターセプト。

 この日は強い西風のため、RWY23を使いました。777は初めてですが、視界がよく計器も見やすいですね。ただ残念ながら、ILSとDMEのみでVOR表示がなく、主にGPSで飛ぶ方のための機体のようです。私はAtlasを使って前記のコースを一周しましたが、操縦への反応もスムーズで、計器の不備が惜しまれます。

●コンコルドに挑戦:
 ではコンコルドを起動。取りあえず複雑な計器盤を理解し、進入経路を1周するのが目標です。以下に計器類の概要を、理解できた範囲で書き出してみました。長くなって恐縮ですが、これから飛ばす方のご参考になれば幸いです。

【コンコルド・コクピット・ドリル】:
注:詳細は、機体フォルダReadmeConcorde-jbsim.txt
  を参照。Docフォルダにも資料多数。
 まず視界が4つもあります。機長ビューだけで操縦可能ですが、燃料移送は機関士に切り替え、パネル中央「Aft」「Forw」ボタンで操作。機関士パネルには、全13タンクの加圧や弁開閉、エンジン吸気ドア操作、電源管理など多くの機能があります。
機長/機関士ビュー切り替え:ctrl-E
副操縦士:ctrl-J (機外右がよく見えます)
客室乗務員:ctrl-K(用途未確認スイッチあり)
頭上計器盤:ctrl-O(主にライト類)

 以下は機長ビューから見た計器盤です。
  ・中央に姿勢計(水平儀)。
  ・その左に対気速度計。(下に予備速度計とマッハ計)
  ・姿勢計の右、縦長のものは昇降計。
   さらに右。上が電波高度計(着陸時の大仰角用)。
   その下が通常の、気圧高度計。
  ・姿勢計の下にHSI(コンパス兼VOR1・ILS指示器)
  ・HSIの左にVOR1、VOR2指示器。
  (局方位を直読するタイプ。黄針がVOR1、白針VOR2)
  ・HSIの右にNDB1、NDB2指示器(同上)。
  ・HSIの下は、方向舵の作動指示器?
  ・さらに右、時計をはさんで、重心位置の指示器。
   (コンコルド特有。2本の黄針の範囲に白い針を
    保つよう、燃料をポンプで前後に移動します。
    超音速時は、重心位置を後退させる必要あり)
  ・重心位置指示器の下に、バックアップ高度計。

  ・全パネルの中央に、エンジン計器類。(各4発分)
   最上段=N2回転計(高圧圧縮機と高圧タービン)
   2番目=N1回転計(低圧圧縮機と低圧タービン)
   3番目=燃料流量計(単位:毎時ポンド×1000)
   4番目=排気温度計(単位:度C)
   5番目=不明(吸気ドアまたは、ノズルの開度?)
  ・エンジン計器類の左上:ブレーキの作動表示器。
   エンジン計器類の右上:燃料の総残量(単位Kg)
   その、さらに右  :機首/バイザー上下スイッチ
   その下(縦長の計器):エレボンの作動指示器?
   そのさらに下の長い物:車輪出し入れレバー。

  ・計器盤最上段はオートパイロット操作:
   左端の赤ランプ:自動着陸時の警報。ILS圏外や
           オートスロットル不作動で点灯。
   左のデジタル窓:NAV1の周波数設定。
   その右のデジ窓:速度設定(Kt)。
   中央デジ窓2個:左は針路設定とVOR1周波数設定。
           (下のスイッチで機能切り替え)
           右はVOR1ラジアルの方位設定。
   右のデジタル窓:高度設定。
   その右のデジ窓:NAV2の周波数設定。
   最上部ボタン類:高度・速度・針路保持など。
   一番左「RAD/INS」スイッチ:
     慣性航法(FlightGearではGPSモード使用)と
     VOR航法の切り替えらしいですが、詳細不明。

  ・センター・コンソール:
   一番上の2つの緑色液晶は、慣性航法装置の緯度
   経度表示。他にも航法上の用途があり詳細不明。
   テンキー2と8は、ウェイポイント選択。
   その下の、黒い液晶パネル2つは、まだ不明。
   その下にスロットルと、アフターバーナー(英国
   風に言えば、リヒート)スイッチ、無線パネル。

●空港を周回し、離着陸訓練:
 では、初飛行をします。風は210度18Ktと強めです。
 可動ノーズを5度下げ。航法計器をセットし、アフターバーナーに点火(Ctrl+f)して急加速。約170Ktで機首上げ、約210Ktで地面を離れて脚上げ。間もなくアフターバーナーを切りました。今回は低速で飛ぶので、ノーズ5度下げのまま、オートパイロットで250Kt(これは10000ft以下の制限速度)、針路226度、高度3000ftにセットしました。上昇と加速はさすがに強力で、マゴマゴしていると速度超過警報が鳴ります。

 パイロットの視点は高く、ノーズを下げていると、滑走路が大変よく見えます。ただし計器盤は上部しか見えませんので、巡航中はやや視野を下げ、主に計器を見ます。航法計器はパネル下段、オートパイロット方位設定は上部右手と忙しく、視野を右寄りにして、横座り感覚で操縦すると、やや楽でした。
(これは横風着陸にも使えそうです。YS-FLIGHTの作者で、自家用免許を持つ山下さんがブログで、「多くのフライトシムは横風時、滑走路が斜め前に見えるが、実機では頭を動かして、滑走路を正面に見る。機体も斜めに向いたまま正面へ飛ぶ。この点が大きく違う」と指摘されていました)
 最初はVORだけでコースをたどるのは難しく、Atlasを見て続航。途中でボタンを間違え、高度保持が外れて警報が鳴り再上昇。2500ftで210Ktに減速、ILS自動進入します。

 最終進入は190Ktです。オートパイロットの、グライドスロープ(降下角)保持は非常に良好。ローカライザ(方位角)修正は遅く、蛇行しがちです。全手動に切り替えて着地点へ。高速のため左右の針路修正がやや難しく、緊張しました。
 1回バウンドしましたが、滑走路が長いので、あわてず降り直して停止。ブレーキはよく利きます。タキシングも操舵は楽ですが、すぐ加速するので要注意。無事エプロンに乗り入れて初飛行を終えました。2回目の飛行は、さらにスムーズでした。

●亜音速で、クロスカントリーを試みる:
 これなら亜音速の巡航ができそうなので、イングランド南西部のブリストル・フィルトン空港まで飛ぶことにしました。

◎ロンドン・スタンステッド空港EGSS(VOR110.50)
RWY05(ILS 110.5)RWY23(ILS 110.5)偏西2度
    ▼254度30nm
★ボインドンVOR(113.75)
    ▼269度77nm
◎ブリストル・フィルトン空港EGTG
RWY95度・275度(ILS両方110.55)標高223ft 偏西3度

 西向きに離陸し、アフターバーナーオフ。今回はノーズを上げ、正規の巡航態勢に。毎分3000ftの上昇率で15000ftまで上昇。雲上で350Ktに加速し、ジェット機らしい飛行を楽しみながらボイントンVORを通過。ここで目的地フィルトンのVOR周波数を、メモし忘れたことに気付きました。
 困ったなと思いながら、ボイントンVORのアウトバウンド・ラジアルを使って西進。目的地の50nm手前で220Ktに落とし、降下を始めました。ジェット機は久しぶりで、降下開始地点の見積もりが甘く、20nm手前でも8000ftを飛んでいたため、左360度旋回を2回行い2000ftへ降下。
 VORがなくても、フィルトンのILSさえ受かれば、どうってことないさ、と思っていたのですが。こう言うときに限って、目的地のILSにバグがあり、受信不能です(^^;)。
 Atlasでフィルトン空港をめざし、zキーで少しモヤを薄めて、前方を探すこと約1分。無事PAPIを確認し最終進入。190Ktまで減速し、ノーズを下げ、滑走路に正対しました。ギアが出ていても、進入時には大きな警報が鳴るので、毎回ドキリとします…(ノーズの下げ角が、間違っているのかも)。

 コースよし、速度よし、着陸準備よし、タッチダウン。うーーん、ほぼ完璧。コンコルドは、バウンドしたように感じられても、実際はちゃんと、メインギアが地面に落ち着いているのだ、ということが、次第に分かってきました。
 だが…駐機場手前の誘導路で、機体が立ち往生しました。エンジン計器は、すべてゼロ。前回のフランスに続いて、まさかの着陸直後燃料切れです。ブロンコなら道路にも降りられますが、今回は不時着手段もなく危機一髪で、しばし呆然としました。

●さて、課題は燃料の管理です:
 FlightGearのコンコルドは、デフォルトでは最大着陸重量に合わせてあり、あまり燃料が入っていません。事前に「Internal Properties」で分かっていたのですが、この機体は前後13個のタンクがあり、うかつに燃料を足すと重心がずれます。今回は100nmしか飛ばないので、敢えてそのまま離陸したのでした。以下は各タンクの容積と起動時の搭載量、エンジン停止時の燃料残量です。
 
燃料データ:(単位Lbs、飛行距離100nm)
タンクN0 容積 起動時 停止時
  0  9254  4723  0
  1  10075 4723  0
  2  10075 4723  0
  3  9254  4723  0
  4  16099 0
  5  26923 0
  6  16099 0
  7  26923 0
  8  24462 14645  14645
  9  26329 0
  10  22961 8817  8817
  11  4905  0
  12  4905  0

 …燃料は若干残っており、タンクを切り替えれば、エンストしなかったわけです。でも機関士席のスイッチを、どう操作したらいいのやら。600行ある英文Docには、満タン設定にする方法が書いてありますが、実際は機能せず困っています。コンコルドは、旅客の高速輸送というワンテーマを、極限まで究めた機体。操縦は難しいですが、大変面白い飛行機ですので、何とか燃料問題を解決して、旅に使おうと思っております。ただ年末で多忙なこともあり、次回のご報告は年を越してしまうかも…。

【おまけ】
 今回降りたフィルトン空港は、実世界では英国製コンコルドのふるさとです。英仏共同開発なので、フランス製はツールーズで、英国製はフィルトンのBAC工場で作られました。
 英国の試作機・002の初飛行は、フランス製の001より約1カ月遅い1969年4月9日。この滑走路を西に向けて離陸し、私の航程の途中にあった、フェアフォード空軍基地まで22分間で飛びました。最大高度8000ft、250Ktの低速飛行で、私の初飛行と同様、可動機首を下げたまま、また車輪も出したままだったそうです。
 初飛行でフェアフォード基地に降りたのは、フィルトンの滑走路が短いため大事を取ったのですが、私は幸い、何の危険も感じず停止しました。なお量産機になってからはフィルトンの発着に問題はなかった様子で、この両飛行場は長らく、イギリスにおけるコンコルド運用の、いわばベースキャンプになりました。
(今回も長文にて、失礼いたしました)
投票数:14 平均点:2.86

通常 コンコルドのバーチャル・クルーたち

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2008-1-16 11:07
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 年末からずっと、ご無沙汰しておりました。
 他のフォーラムでご紹介しました通り、FlightGearの新バージョンが出て処理が重くなったのを契機に、5年ぶりにパソコンを買い換えまして、かなり快適なフライトが可能になりました。

     ○

 私の松山空港発・西回り世界一周は、英国南西部のブリストル・フィルトン空港で、コンコルドの操縦訓練を再開するところから、新しい年が始まります…。

 前回は、機関士席のパネル操作が複雑を極め、燃料の安定供給や、燃料の前後移送による重心位置の調整が、うまく行かない…というお話をしました。何しろクリッカブル・ポイントが、機関士席だけで250個くらいあるのですからね。
 年明けに、最新版のコンコルドVer.2.4をダウンロードしたところ、燃料の前後移送操作が一段と複雑になりまして、その後も飛行中、機関士席のスイッチ群をあれこれ操作し、使い方を調べてみましたが、ごく基本しか分かりませんでした。
 (このテストフライトは、非常に多忙でした。機長席で航法をやり、重心位置がずれて警告灯がつき、機関士席で試行錯誤のすえ調整に成功し、また機長席に戻ったら、今度は迷子になって…というありさまで、航空パニック映画のようでした)(^^;)

 コンコルドの燃料タンクは、デフォルトでは最大着陸重量になっており、亜音速で100nm強しか飛べません。まず満タン(最大離陸重量と、これに適した重心位置)にしたかったのですが、最初は設定方法が分かりませんでした。そこで、最大離陸重量のタンク設定ファイルを別途作り、これとデフォルトの設定ファイルのいずれかを、起動直前に「Nasal」フォルダのショートカットへドラッグし、内容を書き換える、という手を考えました。しかしこれは、いかにも冴えないやり方ですね。

●副操縦士と機関士を乗り組ませる:
 結局、マニュアルを精読するしかない、という結論に立ち戻りまして、現在はReadmeConcorde-jbsim.txtの翻訳を、少しずつ進めています。操作の一つのカギは、「Ctrl+I」を押すと出現する「コンコルドメニュー」です。例えば「fuel」という欄には、上昇中や超音速巡航、降下中など8通りの燃料搭載量が用意されていて、飛行中でも選択できることが分かりました(これを使うと、選択前の燃料消費はリセットされてしまいますが)。

 特筆すべきは「バーチャル・クルー」という機能で、コンコルドメニューの「Crew」欄で設定を行いますと、3D画像の副操縦士と機関士が、コクピット内に登場します。ありがたいことに、この機関士は燃料・重心管理を、自動でやってくれます!!

 ではここで、ブリストル・フィルトン空港から、初飛行のゴール地点・フェアフォード空軍基地までのショートフライトで、二人のバーチャル・クルーがどう仕事をするのか、観察してみましょう。
 なお本フライトには、コンコルドの特色の一つである、慣性航法(INS)を使います。

【注:慣性航法】
 洋上で長距離を飛ぶ旅客機や対潜哨戒機などは、陸上の無線施設に依存しない、自立航法をする必要があります。
 1950年代には、まだ航法士が六分儀を使って、天測で現在地を出していました。60年代には、レーダーで対地速度を測定し現在地を算出する、ドップラー・コンピューターが登場。その後、ミサイルや宇宙船で使われている慣性航法が航空機にも使われ、GPSの登場までB747などの長距離航法を支えました。これは、機体の加速度を測定して積分し、速度と飛行距離を出すもので、出発地や中継地の緯度経度を入力すれば、オートパイロットで飛べます。太平洋横断の際の誤差は、全行程で数マイルだったそうです。

 FlightGearのコンコルドは、従来からあるGPS機能を「INS」の名称で利用しています。中高度以上では、約100nm離れてもVORが使えますが、マッハ2ですと6分間で飛んでしまう距離のため、コンコルドの航法には、INSの方がずっと便利です。さすがに私も、この飛行機で古典的な推測航法を試す気には、なれません(^^;)。


■バーチャル・クルーとINSを試す■
  (フィルトン空港から、フェアフォード基地へ移動)

針路は磁気方位で表記(磁気偏差=偏西3度)
搭載燃料=デフォルト(最大着陸重量)
◎ブリストル・フィルトン空港EGTG(VOR110.55)
 FILTON NDB(325 ID=OF)
   ▼258度29nm 240Kt 毎分1000ft上昇
★カーディフ空港VOR110.7 高度5000ft
 ID=0.600(EGDX)
   ▼78度29nm
◎ブリストル・フィルトン空港EGTG 高度7500ft
   ▼69度24nm 毎分1200ft降下
△JECフィックス 1500ft
   ▼93度7.5nm 190Kt
◎フェアフォード空軍基地EGVA(ILS=111.1)

●INSにコースをセット、クルーを呼び出す:
 フィルトンの滑走路東端で、Autopilotメニューから「Route Manager」という新しい機能を開きます。これは実質的には、従来のGPSのフィックスポイント入力に当たりますので、カーディフ空港とブリストル・フィルトン空港のICAOコード、中継フィックスの略号JEC、到着地フェアフォード空軍基地のコードを入力します。NDBやVORの略号も使えます。(ただし英国などには、同一地域に同じ略号が、幾つも見られる場合もあるので、こういう場合は、使えないかもしれません)。
 バックアップ用に、VOR周波数も入力しましょう。コンコルドV2.4ではパネル操作優先で、Radio Settingsメニューから入力しても有効にならないため、NAV1周波数は主パネル上段左の「NAV」というデジタル窓で、NAV2は副操縦士側の「NAV」窓を使って、それぞれ入力してください。(窓の下のボタンで操作できます)

 これらが終わったら、「Ctrl+I」でコンコルドメニューを開き、一番左の「Crew」ボタンをクリック。開いたページ内の「Copilot」「Engeneer」「3D~」「Crew text~」にチェックを入れます。
 ここで右手を見ると、少々無愛想な副操縦士と機関士が座っている姿が見えると思います。ポーズが掛かっていなければ、副操縦士がさっそく、バイザーと可動ノーズを操作し、5度下げ状態にしてくれます。では離陸しましょう。

●離陸…副操縦士が助けてくれます:
 パーキング・ブレーキを解除してください。すると副操縦士が、黄緑色のテロップで「3、2、1…NOW」とカウントダウンをします。これを見たらフルスロットルにして、Ctrl+Fでアフターバーナーに点火し、離陸滑走を始めます。
 100Ktを超えると、副操縦士が速度計を読み上げてくれますので、直進の操舵に神経を集中しましょう。加速中、機関士が水色のテロップで「Power Checked」とコールします。
 副操縦士から「Rotate」のコールがあったら、スティックを引いて機首を10度上げ、離陸を待ちます。車輪格納とノーズ上げ操作は、副操縦士がやってくれます。安定して上昇しているのを確認したら、アフターバーナーを切ってください。

●オートパイロットで飛行:
 さて、オートパイロットに移行します。主パネル上段の「AT(オートスロットル)」と「AP(オートパイロット)」スイッチを、それぞれオンにします。
 ATスイッチ右上のデジタル窓で速度設定ができます。ここに250(Kt)と入力し、左の「IA」ボタンを押すと、機体は250Ktに速度を調整します。また「IH」ボタンを押すと、現在の(任意の)対気速度を維持します。

 針路はパネル上段中央部の「HDG/TRK」というデジタル窓で設定し、「TH」ボタンを押すと、設定方位へ変針します。「HH」を押すと現在の任意の針路を保持します。
 慣性航法装置を使うには、「IN」を押します。機体は自動的に、さっき入力しておいた、ウェイポイントをたどります。ここで忘れずに、「RAD/INS」切り替えスイッチを、INS側に倒してください。これで、HSIの方位指針が、次のウェイポイントへの方位と、左右のコースずれを表示するようになります。もしこの状態で「IN」をオフにすると、INSを使った手動操縦が可能です。

 高度は、パネル右側に設定デジタル窓がありますが、なぜかこれだけは、Autopilotメニューの設定が優先されるようです。「HH」ボタンで設定高度に到達し、維持します。上昇・降下率の設定は、Autopilotメニューで行い、「VS」ボタンを押すと有効になります。
 後は自動的にコースをたどりますから、JACフィックスで1500ftに下げておき、ILSか目視で着陸です。2500ftを割ると、電波高度計が動き出し、まもなく副操縦士がノーズを下げてくれます。ギアも出してくれますので、針路保持に気をつけて、750ftでオートパイロットを切り、手動で着地しましょう。
 なお、着地後にオートスロットルが切れず、減速が出来ない場合がありますが、このあたりは、もう少し研究してみます。
 次回は、超音速飛行に進みたいものです。

     ○

●特大付録:コンコルド・マニュアル訳:(長文ごめんなさい)
以下に、ReadmeConcorde-jbsim.txtの冒頭から、六分の一くらいの分量の和訳をお目に掛けます。おかしいところは、ご指摘をお待ちします。今後翻訳が進みましたら随時、追加をご紹介します。

コンコルド実機データ ()内は英文が原注。和文がhide注です。
====================
重量 :
max taxing(最大タキシング重量): 412000 lb.
max take off(最大離陸重量) : 408000 lb.
max landing (最大着陸重量) : 245000 lb.
zero fuel(燃料無し重量) : 203000 lb.
operating empty(運用自重) : 173500 lb.
max payload(最大有価重量) : 29500 lb.

速度 :
max at 51300 ft (巡航高度の)最高速 : Mach 2.2
Optimum at 51300 ft (同じく)最適速度 : Mach 2.04
V max for jettison(燃料投棄できる最高速) : Mach 0.93
ワイパー作動の最高速度、機首バイザー作動及び
可動ノーズ0〜5度下げ(20000ft以下) : 325 kt.
Vla above 41000 ft (lowest autorized)
(多分authorizedの誤記。飛行可能な最低速度) : 300 kt.
可動ノーズ5度〜最大下げ速度(20000ft以下) : 270 kt.
着陸灯(使用)速度 : 270 kt.
Vlo (脚作動速度) : 270 kt.
Vle (脚下げ飛行速度) : 270 kt.
Vla 15000/41000 ft(この高度の最低速度) : 250 kt.
Vla below 15000 ft (同): VREF(着陸速度)かV2、V3。
Vmc (minimum control speed with engine inoperative)
(エンジン不作動時の、操縦可能な最低速度)
Vmcl (approach) : 150 kt.
Vmc (takeoff) : 132 kt.
Vmcg (ground)(たぶん、空力的な最小舵効速度): 116 kt.

Procedures :(操縦手順)
(注:原文の操縦法は、「Procedures」と「Concorde ops」に分かれていますが、読みにくいため、内容はそのままで一つに編集しました。「注」は、ネット上の参考資料などをもとに、私が書き加えた部分です)

■離陸 (重量408000 lb) : ノーズ5度下げ、アフターバーナー点火。
V1(離陸決心速度)165Kt、
VR(機首上げ速度)195Ktで仰角13.5度、
V2(安全離陸速度=1発故障しても停止が可能)220Kt。
コクピットを静寂に保つため、バイザーは離陸後、余り時間を置かずに上げる。バイザーは風防を、マッハ2飛行時における、125度の空力加熱から守る。
(注:安定して上昇を開始したら、アフターバーナーを停止)

■亜音速巡航:
FL250(標準大気圧の計器指示高度25000ft)でマッハ0.93、またはFL260(full load=燃料満載か?)でマッハ0.95。
(注:250Ktで上昇率毎分2000ft。高度10000ftからは350Ktに加速し
上昇率毎分1500ftで高度28000ftまで上がり、水平飛行。オートパイ
ロットを、マッハ保持モードに切り替え、0.93まで加速する)

■超音速加速・上昇:
マッハ0.93でアフターバーナー点火、最初は上昇率を毎分3500ftにし、徐々に毎分700ftまで減少させる。
マッハ1.1に達すると、空気抵抗が減り始める。上昇率を増やす準備をすること。
重心位置を、(Aicraft\Concorde\Docフォルダ内にある、マッハ数/重心位置グラフに描かれた)許容範囲内に留めること。もし重心位置の値が、(グラフに示された)最小値より少なければ、現在のマッハ数に対して高度が高すぎるので、上昇率を減らして加速する。
マッハ1.3では、空気取り入れ口を徐々に開き(注:徐々に閉じるとの記述もあり混乱している)、エンジンの出力増加と上昇率増加に備える。マッハ1.7でアフターバーナー停止。マッハ0.95(28000ft)からマッハ1.7(47000ft)への加速・上昇は10分掛かる。

■超音速巡航:
FL500(標準大気圧の指示高度5万ft)でマッハ2.0を出す。
ロンドン・ヒースロー空港からは、離陸後40分・650nmを飛行後、ブリストル海峡でマッハ2に達する。
マッハ2の巡航は、毎時20.5鼎稜確舛鮠暖颪掘大西洋横断には2時間かかる。マッハ1以上の飛行時間は合計2時間35分。マッハ2では燃料消費を減らすため、毎分50〜60ftの緩やかな上昇率にする。

■超音速(からの)降下:
 降下を始める前に、速度を325〜380Ktに落とす。減速は(降下開始地点の)250nm手前で始める。マッハ2.0・フライトレベル580から、マッハ1.0・フライトレベル350まで(降下・減速するには)165nm(を飛行する)。
減速率を上げるには、毎分50ftの上昇率を維持する。降下中は325〜380Ktを維持する。

■着陸(245000 lb):ノーズ12.5度下げ、接地時仰角10度。(ファイナル)アプローチ速度は190Kt。
地上750ftでオートパイロットを切り、トリムと降下経路を維持する。
ピッチ角を10度に保ち、速度調整(スロットル)で降下率をコントロールする。着陸速度162Kt。尾輪は、逆噴射装置が地面に当たるのを防ぐ。突風の時は、自動着陸を避ける。

■タキシー:ノーズ5度下げ、エンジン2基で滑走。
■パーキング:ノーズとバイザー上げ。

滑走路:離陸11200 ft、着陸7300 ft。
最大上昇率:海面高度で毎分5000ft。
航続距離:
超音速3550nm、亜音速2760nm(Mach 0.95 FL300)=ペイロード19500 lb。
超音速3360nm=ペイロード最大。

運航時間:パリ=ニューヨーク3時間45分。ロンドン=NY3時間50分。
最大運航高度:60000 ft。
最高温度:機首先端部で摂氏127度。

【注】マイクロソフト・フライトシミュレータ上の、コンコルド操縦法の説明が、ネットに幾つかあります。飛び方や操作法は、FlightGearと少々違いますが、いずれも一読の価値があります。
http://take1118-web.hp.infoseek.co.jp/Heathrow-Kennedy.html
http://plaza.rakuten.co.jp/flightfujiwara/diary/200612270000/
投票数:9 平均点:5.56

通常 コンコルドのマニュアル訳(前回の続きです)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2008-1-29 1:21
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 …いよいよ超音速飛行のルポを、と思ったのですが。まとまった時間がなくて飛べずにいます。コンコルド・マニュアルの翻訳は進みましたので、前回に引き続きご紹介します。

 今回は、燃料関係とキーボードのショートカット、バーチャル・クルーの使い方などをお届けします。まだ全体の半分くらい残っているのですが(^^;)、残りは、各種計器盤のアラーム・ランプ類の解説や、実際にロンドン=ニューヨーク間の、大西洋横断をしてみる際の手引き、今後の改良目標などですから、一番肝心な部分は、すでにカバーできたかな、と思います。


■■Installation
============
3ボタン式マウスか、その代用品がお勧め。

Fuel load(燃料搭載)
---------
デフォルトでは最大着陸重量の245000 lb (19000 kg fuel)。
搭載量を選択するには、"ctrl-I"でメニューを開き、fuelを選択。
(注:メニューからは、以下の8種の搭載量が飛行中に選べる。
 同時に、飛行状態に応じた重心位置が設定される。またバーチ
 ャル・クルーの機関士を使うと、飛行中に自動的に重心位置を
 調整してくれる)

Max landing weight =総重量245000 lb /燃料19000 kg
Max take off weight =総重量408000 lb /燃料93000 kg
Min fuel =コレクター・タンクに1000 kg入っているだけ
Max fuel =総重量411000 lb, 燃料94400 kg
Supersonic climb (高々度へ上昇する重心位置)燃料86000kg
 =大西洋横断時はMERLYフィクスの30nm手前。26000 ft M0.95。
Supersonic cruise(高々度を巡航する重心位置)燃料67500圈
50000 ft Mach 1.99。
Supersonic descent(高々度から降下時の重心)燃料28000圈
57800 ft 350 kt (28000 kg fuel)
Low level, バーチャルエンジニアのテスト用(燃料8000kg)

サウンド
------
コンコルド実機の音響をインストールするには Sounds/Concorde-real-sound.xml を参照すること。
 (バーチャル・クルーによる)音声のコールアウトは、Festival (festival --server in a separate shell)機能を必要とする。(Brouse internal propertyから)sim/sound/voices/Festivaiを開いてtrueを選択する。コールアウトのテキスト表示は"shift-ctrl-R"を押す(トグルスイッチになっている)。

フレームレート
----------
表示計器の個数は、以下のように決まる:
(注:本機の計器は、座っている場所の分しか見えない。例えば機長席から機関士席を振り返っても、機関士の計器は見えない。これは多分、パソコンの負荷を少なくするための仕様)

(機長の視点から)55度の範囲内の計器が視覚化される。着陸時は、機長の前方だけを最低限表示する。視界を切り替えるには「シフト+矢印」を使う。
基本的なパネル以外の、以下のものはModels/Concorde_ba.xml にコメントがある:電気系統、油圧系統、与圧、燃料タンクへの通気、温度。

知られている互換性
-------------------
- 0.9.11 : 最低限のバージョン。

■■キーボード
========
"ctrl-D" : オートパイロットを切る。
 (button A/P DISC on the yoke=操縦桿A/Pディスコネクトボタン)。
"ctrl-F" : アフターバーナー(オンオフ)。
"f" : フルコクピット画面"f"ull cockpit (all instruments).
"q" : "q"uit speed up.(注:以上2件は動作確認できず)

視界
-----
"ctrl-E" : 機関士ビュー。
"ctrl-J" : 副操縦士ビュー。
"ctrl-K" : オブザーバー(機長席後方の補助席)のビュー。
"ctrl-O" : オーバーヘッド・コンソールのビュー。
"ctrl-W" : 客室乗務員のビュー(機外電源のスイッチあり)。
"shift-ctrl-X" : restore floating view.(確認できず)

バーチャル・クルー
------------
"shift-ctrl-R" : クルー・テキスト(発言)をテロップ表示。
"ctrl-Z" : バーチャル・クルー(のオンオフ)。

変更されていない操作
-------------------
"left / right : オートパイロット針路変更。
"x / X" : ズームイン・アウト。"ctrl-X"でリセット。

同じ操作
--------------
"b / B" : パーキング・ブレーキ(オンオフ)。
"g / G" : ランディング・ギア出し入れ。
"s" : 機長ビューと2Dパネル切り替え(作動確認できず)。
- "ctrl-A" : 設定高度に到達する。
- "ctrl-G" : (ILSの)グライドスロープに乗る。
- "ctrl-N" : NAV1の設定針路を保持。
- "ctrl-P" : ピッチ角を保持。
- "ctrl-R" : 無線周波数。
- "ctrl-S" : オートスロットル。

改良された操作
------------------
- "a / A" : スピードアップ(倍速飛行モード)は、亜音速で5倍速まで、超音速では7倍速まで、速度と時間経過の両方(に対して有効になった)。(●注:FlightGearでは、まさに画期的!!●)上昇・降下率毎分3500ft以上では、自動的に1倍速にリセット。

"ctrl-H" : ヘディング(機首方位)保持。
"page up / page down" : 保持速度、保持マッハ数を増加/減少。
"up / down" : 保持高度、上昇・降下率、保持ピッチ角を増加/減少。
ピッチ角による速度保持、マッハ数保持にも有効。
- "home / end" : 上記の変更と同じ(スローモード)。

補充された操作
-------------------
- "ctrl-B" : スピードブレーキと同様に使える逆噴射(FDM not implemented=航空力学は実行されない? 意味不明)。
- "ctrl-I" : コンコルドメニュー。
- "ctrl-T" : 高度保持。
- "[ / ]" : 可動ノーズ(上げ下げ)。
(注:以下4行は詳細不明、視界を上下左右・前後に動かす機能)
- "left / right" : move floating view in width.
- "up / down" : move floating view in length.
- "home / end" : move floating view in length (fast).
- "page up / page down" : move floating view in height.

■■マウス
=====
3ボタン式マウス:
一つのボタンを押すと、第1ボタンを切り替えられる。例:針路/機首方位。
使っていない第3の状態を切り替え。例:ギア・ニュートラル、非常スイッチ。(以上2行は、よく分からず)

オートパイロット
---------
「TH」(針路/機首方位保持ボタン)を押す前に、マウス第3ボタンで「HDG」(磁気方位)か「TRK」(真方位の針路)を選択すること。
「HH」(機首方位保持ボタン)は、常に磁気方位である。
「CL」(最大上昇ボタン)は、オートスロットルを最大運用速度に保ち、ピッチ角を保持する。
「AA」(高度獲得ボタン)は、獲得した高度で働く:目標高度には「CL」「PH」「VS」など他の高度モードによって到達する。(注:AAは、設定した高度に達するためのスイッチではなく、実質的には高度保持ボタンである、と言っているらしい。事実、そのように働くようだ)
 Panels/Concorde-autopilot.xml (全ボタンのリスト)を参照のこと。

電気系統
----------
オートパイロットと若干の計器は、特有のACC ESSバス(交流主電源系統)に依存している。

エンジン
------
■エンジンを始動するには(燃料タンクの)HP(高圧加圧)弁を
 開く前に、スターターを起動する。
 (操作はオーバーヘッド・コンソールで行う)。
 (注:コンコルドのタンクは、加圧によって燃料を送り
  出す仕組み。通常の燃料供給は、低圧加圧弁によって
  行われるが、始動の際はフィードタンクの高圧加圧弁
  を使うらしい)
■スターターには、高圧空気が必要である。グラウンド・
 サービス(地上の始動車など=1番クロスブリード・バ
 ルブを開く)か、すでに動いているエンジンから抽気す
 る(2番クロスブリード・バルブを開く)。
■スターターは、もし十分な速度があれば、飛行中は必要ない。
 (注:飛行中のエンジン停止時は風圧を利用する、いわゆる
  エアスタートが可能らしい)
■第1エンジンを始動するには、地上サービス(電源車など)
 の交流電圧が必要である。(客室乗務員ビューにスイッチがある)
■飛行中の4エンジン停止時は、非常発電機が必要:
(注:操作手順は以下の通り)
・バーチャル副操縦士を起動する(機体の姿勢を保ってくれる)。
・ラムエア・タービン(注:非常用発電機を駆動する、格納式
 の小型風車)を展開:予備計器が働く。
・非常発電機が自動起動すれば、他のほとんどの計器も働く。
・非常再点火用(電力)母線(のスイッチ。スターター下に
 ある)で、第1エンジン始動を選択する。
・(オーバーヘッド・コンソールで)このエンジンの、燃料タンク高圧加圧弁を開く前に、エンジンを再始動する。
・このエンジンが始動したら、再点火セレクターをオフに。
・他の3エンジンを、通常通り始動する。

燃料
----
バーチャル機関士(または2Dパネル)を使って始動する。
・第1〜4コレクター(燃料供給)タンクから、それぞれ
 第1〜4エンジンに燃料を供給する。
・第5、第7(メイン)タンクから、コレクタータンクに
 燃料を供給する。

油圧系統
----------
可動ノーズ、車輪、ブレーキは、グリーン系統(上げのみ)
とイエロー系統の(油圧)回路に依存している。
グラウンド・ポンプは、地上電源が必要。

無線
-----
Ctrl-RまたはCtrl-I rのみ。NAV 0(デフォルト無線メニュ
ー)は、オートパイロットのインターフェイスのために取っ
てある。

■■2Dパネル
========
2Dパネルには、単純化された以下のボタンがある。
・燃料移送(取り入れバルブは、自動的に開いている)
・エンジン始動(電力と高圧空気は必要ない)

燃料
----
・「Aft」ボタン:前方トリムタンク(9、10番タンク)から後方
 トリムタンク(11番タンク)へ燃料を移す。
・「Forward」ボタンは、その逆の移送を行う(9番だけへ)。
・「Engine」ボタン:トリムタンクからメインタンク(5、7番)
 へ燃料を移送。後方(Aft)か前方(Forw)か、向きを選べる。
・トランスファーバルブは、補助タンク(翼端部の5A、7A)から
 メインタンクに供給する。
・「Jettison」ボタンは、トリムタンク(9〜11番)とコレクター
 タンクから、燃料を投棄する。
・1、2、3、4ボタン:トリムタンクをポンプから切り離す。
・「Cross」を起動:(燃料の分量が)左右(両翼で)非対称の
 タンクをバランスさせる。

■■バーチャル・クルー
============
・1人だけ起動するには、CtrlI cを押す。
・バーチャルクルーは、音声コールアウトから独立している。
・グリーン(のテロップの)クルーは、チェックリストが読める。
・イエロー(のテロップの)クルーは、読めない。

3D
--
3D(のバーチャル・クルー)を起動するには、Ctrl-I cを押す。
・ヘッドホンをしていないクルーは、チェックリストを読み上げ
ない。

機長
-------
ブレーキを開放すると、離陸前のカウントダウンをする。

副操縦士
-------
4エンジン停止時に、再始動までの間、機体の姿勢を保つ以外は、パイロット・イン・コマンド(操縦担当パイロット)を務めることはない。
車輪、可動ノーズ、ライト類を操作する(亜音速の時だけ)。

機関士
--------
・重心位置、燃料タンクとエンジンの調整をする。
(FDMにサポートされていない=意味不明)
・着陸後、エンジン2基でタキシングする。

**************************************(続く)****

 …さて、次回こそフライトを再開したいものです。
投票数:12 平均点:8.33

通常 コンコルドで初の超音速飛行

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 ようやく、コンコルドで超音速飛行を試みました。

 本機はご承知のように、マッハ2を維持したまま大西洋を横断します。これに必要な低燃費を実現するため、最大推力はF14の8割程度しかなく、空気抵抗が極めて少ない設計で、超高空を飛び、アフターバーナーを切ったまま超音速巡航をします。こうした性格上、巡航高度への上昇には時間が掛かり、エンジンを絞ってもなかなか減速しません。操縦も複雑です。
 本機が巡航高度50000ft、マッハ(以下M)2.0に達するには、実機の資料によると600nm以上の「助走」が必要で、ここからの降下にも、実に1000nm近い距離を使います。そこで今回、初めての超音速飛行訓練に当たって、イングランド南部のフェアフォード空軍基地から、アイスランドのレイキャビクまで往復2000nm余りを飛んで、ロンドンのヒースロー空港に帰還する、かなり長大なフライトプランを立てました。なんだか、ロケットで弾道飛行をするような気分です。

■コンコルドで、初の超音速訓練飛行■
          (英国南部からアイスランド往復)
・マップデータ
 e000n40、e000n50、w010n40、
 w010n50、w010n60、w020n60、W030n60
・風向風速:220度前後、約12Kt。
・雲量:1100ft=few

(A/Bはアフターバーナー、方位は磁気。航程のカッコ内
は、離陸後の累積飛行距離)
◎フェアフォード空軍基地EGVA(磁気偏差=偏西3度)
  ▼255度32nm・250Ktで10000ftへ上昇。
◎ブリストル・フィルトン空港EGTG VOR110.55
  ▼259度29nm(61)350Ktに加速、上昇。
◎カーディフ空港EGFF VOR110.70
  ▼297度66nm(127)28000ftでM0.93へ水平加速。
   A/B点火、47000ft・M1.7へ加速上昇。
◎ハーバーフォードウエスト空港EGFE(偏西5度)
(N51.49.58-W04.57.41) NDB328
  ▼350度175nm(302)47000ftでA/Bを切って、
   上昇率300ft/minで50000ftM2.0へ。
◎ベルファスト・アルダーグローブ空港EGAA(偏西5度)
(N54.39.28-W06.12.46)VOR117.20 RWY25-07
  ▼329度749nm(1051)
◎レイキャビク・ケフラヴィク空港BIKF(偏西18度)
(N63.59.07-W22.37.21)VOR112.00 南へ反転。
  ▼118度433nm(1484)減速、降下開始。
◎フェロー諸島・ヴァダー空港EKVG(偏西8度)
(N62.03.54-W07.16.12)VOR109.10
  ▼151度227nm(1711)
◎オークニー諸島・キルクウォール空港EGPA(偏西5度)
(N58.57.27-W02.54.20)VOR108.60
  ▼163度402nm(2113)
◎ノーフォーク・ノリッジ空港EGSH(偏西2度)
(N52.40.32-E01.16.57)VOR110.90
  ▼200度70nm(2183)
◎サウスエンド空港EGMC VOR111.35
   (N51.34.08-E00.41.27)(偏西2度)
  ▼243度29nm(2212)
★ビギンヒルVOR115.10 2500ft
  ▼335度10nmでRWY27RのILS捕捉、左旋回。
  ▼捕捉後は271度13nmでRWY
◎ヒースロー空港EGLL VOR113.60 RWY-R27 ILS110.30
(総計2235nm)

●準備と離陸:
 まずトレーニングのため、最低限の燃料(最大着陸重量)を積んでフェアフォード基地の進入経路を一周し、離着陸の勘を取り戻したのち、改めて出発準備に取り掛かりました。

 CTRL+Iキーで「コンコルドメニュー」を開き、燃料を最大離陸搭載量にセット。同じメニューで、バーチャル副操縦士と機関士、Voice欄の「Crue text〜」にチェックを入れます。ポーズを解除すると副操縦士が、さっそくバイザーと可動ノーズを、離陸位置に下げてくれます。
 航法に関しては、INS(慣性航法)の中継点となる、各空港ICAOコードをAutopilotメニューのRoute Managerに入力します。各VORの周波数も入れておきます。
(ただし本機のVORは感度が鈍く、あまり役に立たないように思えます。またマッハ2ですと、局上空から6分ほどで受信圏外に出ますので、事実上INSに頼らざるを得ません)

 ブレーキを解除。副操縦士のカウントダウンで、スロットル全開。CTRL+Fキーでアフターバーナー点火。副操縦士の速度読み上げと「Rotate」のコールを受けて、10度まで機首を上げて離陸。副操縦士が脚と可動ノーズを格納します。

●オートパイロットの使い方:
 離陸後はアフターバーナーを切り、オートパイロットに切り替えます。以下に操作の基本をまとめます。(前回までのマニュアル翻訳には残念ながら、私の理解不足による誤りもあるようですので、過去の記載と重複気味ながら、もう一度整理しました)
 コンコルドは、オートパイロットの設定も、基本的にはパネルのボタン操作か、ショートカット操作を前提にしています。メニューから操作しても、項目によっては自動的にチェックが外れたり、無効になる場合が多いので注意が必要です。

     ○

 速度設定は、オートパイロット・パネル左の「AUTOTHROTTLE」というデジタル窓に入力し、「IA」(IAS Acquire=指示対気速度を獲得)ボタンを押すと、設定速度に向けて加減速します。設定速度に達すると、自動的に「IH」(指示対気速度の保持)ボタンに切り替わります。また「MH」(マッハ数Hold)ボタンは、超音速飛行の速度維持に使います。

 高度設定は、副操縦士席にある「FEET」デジタル窓に入力し、「AA」(Altitude Acquire=設定高度の獲得)ボタンを押すと、設定高度に向けて昇降します。通常は、AAボタン下の小さなランプが点いて、他に「VS」(Verticai Speed)ボタンが同時点灯します。毎分の昇降/降下速度は、パネルからは入力できず、オートパイロットメニューを使います。ただし、水平儀の右の昇降計をクリックすると、上昇/降下率の増減が可能です。
 設定高度まで残り1000ftになると、副操縦士がテロップで予告します。設定高度に達すると、通常は「AH」(Altitude Hold)ボタンが点灯し、自動的に高度保持が掛かります。

 方位設定は、INS(慣性航法=機能はGPS航法と同じ)を使いますので、オートパイロットとオートスロットルのマスタースイッチ(各2個。通常は機長側を使う)をオンにした後、「IN」ボタンを押します。これで機体は、Route Managerに最初に入力したターゲットに機首を向けます。
 ここでオートパイロット・パネル左端のセレクタを「RAD」(無線航法)から「INS」へ切り替え、HSIの表示をINSモードにしておきましょう。デフォルトのRADモードでは、HSIは通常通りVOR/ILS指示器として働きます。
 任意の針路を設定するには、オートパイロット・パネル中央の、機長側と副操縦士側にそれぞれある、「HDG TRK」(HSIのバグ方位設定)デジタル窓に方位をセットします。必要なら隣の「VOR REF」(HSIのVOR1ラジアル方位)デジタル窓にも、数値をセットします。その後「TH」ボタンで設定方位へ旋回。設定方位に達したら、自動的に「HH」(Heading Hold)ボタンに切り替わります。手動で任意の方位に向けた場合は、HHボタンで保持します。
 HSIとは別に、VOR1・VOR2及びNDB1・NDB2には、無線局の方位を直接指す指針があります。DME表示器も2台あり、なかなか充実の装備なのですが、なぜかNDB指針を除けば、いずれも感度が不良です。

●亜音速上昇と加速の手順:
 離陸後10000ftまでは、他機と同様250Ktで上昇します。10000ftを通過時に、速度設定を350Ktに変更し、高度設定も28000ftに上げます。「VS」ボタンを押し、メニューから上昇率を2000〜3500ftに合わせますが、気速が落ちる場合は、上昇率を緩めます。最低でも500ft程度まで落とせば大丈夫です。
 コンコルドの対気速度計とマッハ計には、機体強度上の制限速度を示す、黄色い針があります。28000ftへ上昇してゆくと、黄色い針が次第に高速側へ動いて行きますから、これを追うように、対気速度設定の数値を、徐々に400Ktまで上げます。うまく加速してくれない場合は上昇率を絞り、逆に黄色い針を追い抜きそうなら、上昇率を増やしてバランスを取ります。

 18000ftを通過する時、副操縦士が「トランジション・レベル」(略称TA)とコールします。FlightGearの飛行では、無視して構いません。実機の場合は、これは高度計の、気圧設定切り替え高度です。高度計は通常、正しい高度を指すよう、現地の気圧に合わせますが、計器飛行では煩雑さを避けるため、一定高度以上で一律に29.92インチ(1気圧)にセットします。この場合、高度の読み方は100ft以下を省略し、例えば28000ftなら「フライトレベル280」と呼び、FL280と略記します。FLへ移行する高度(TA)は、英米では18000ftですが、日本では14000ftです。

 FL280に達したら、AHボタンで水平飛行に戻し、M0.93まで加速します。この高度では気圧の影響で、速度計に大きな誤差が発生しています。計器が指す「指示対気速度」(IAS)が350Kt前後でも、実際の「真対気速度」(TAS)は500Kt近くまで上がっています。コンコルドのパネルには、真対気速度と対地速度(GS)のデジタル表示があり、これで確認することが出来ます。もしIASからTASを算出する場合は、次の計算式を使います。

   真対気速度=指示対気速度+(高度ft÷100÷2)

 音速は気温の関数ですから、気温が下がるほど遅くなります。従って、対気速度計がほぼ止まっていても、高度が上がるとともに、マッハ計の表示はどんどん上がります。28000ftに到達した時点で、ほぼM0.93に近づいていると思います。
 ここまで加速すると、タンク間で燃料を移送し、重心位置を後退させる必要があります。バーチャル機関士がやってくれますが、やや時間が掛かります。もしパネルに「M/CG」(重心位置)の赤い警告灯が点灯した場合は、何分か水平飛行をして、移送の時間を稼いだ方がいいかも知れません。

●超音速上昇、高度50000ftの「暗い空」:
 水平飛行のまま、超音速へ加速します。
 本機は、パネルでもメニューでも、マッハ数による速度設定はできません。また指示対気速度の設定も、パネル上では400Ktまでしか入力できません。そのため超音速への加速は、IHボタンを解除し、手動でスロットル全開と、アフターバーナー点火(CTRL+F)を行います。アフターバーナーの点火は、センターコンソールにある、スロットル後方のスイッチでも可能です。スイッチは「後ろ」が「オン」ですので、お間違いなく。
 バーナー作動中は、エンジン計器最下段のメーター上部に、黄色ランプが4つ点灯します。Vキーで機外の視点に切り替えると、エンジンのノズル内がオレンジ色に輝くのが見えます。目標マッハ数まで加速したら「MH」ボタンを押します。

 M0.93からの加速は穏やかで、1秒間に1Ktくらいしか指示対気速度が増えません。加速開始後すぐに上昇を再開します。「VS」ボタンを押して、上昇率を(これだけはメニュー入力で)セットします。毎分2000ft程度が目安です。
 高度FL480、速度M1.7に到達したら、アフターバーナーを切ります。空気抵抗が減っているので、後はコアエンジンの推力だけで、間もなくFL500、M2.0に到達します。高度設定が50000ftになっていれば、ここで自動的にAH(高度保持)が掛かるはずです。ダメでしたら50000ftに設定し、AHボタンを押します。速度設定は、マッハ計でM2.0到達を確認し、MHボタンで加速を停止します。

 高度50000ftの世界では、対地速度は実に約1150Ktです。
下界は少し丸みを帯び、空はやや黒っぽく見えます。ご存じかと思いますが、これはVer1.0.0の新機能で、高々度では上昇につれて、空が暗くなるよう改良されました。なんと素晴らしい…。

●超音速でスピンに入る:
 …ようやく、アイスランド上空までやってきました。機外ビューで、厚いもやの底にレイキャビク付近の地形を確認。マッハ2のまま半径数十nmの巨大旋回を開始し、南東はるかフェロー諸島へ、徐々に機首を向けます。ここから150nm北上すれば、北極圏が始まりますので、その南端をかすめようと、INSを切って手動で機首を真北に向けたのが…思えば失敗でした。
 高速の機体は、舵の効きがかなり過敏で、手動では制御が難しく、過剰にロールしがちです。そこで機体を安定させようと、ウイングレベラーを入れたところ、逆に大暴れが始まりました。あっという間に連続ロールを打ち、過速警報と失速警報が交互に聞こえまして…機体はフラットスピンに近い姿勢で、暗い蒼空を、転げ落ちるように落下して行きました。

 まるで1950年代、超音速実験機で何度も起きた、イナーシャー・カップリング現象みたいです。オートパイロットを切っても、なかなか舵が効きません。落ち着け、落ち着け。上下左右の大暴れを、ベクトルごとに処理し…何とか水平に戻した時は、高度17000ftでした。やれやれとFL350に上昇し再加速。なぜかM1.08以上に上がらず、諦めてこの速度で帰ることにしました。(恐らく焦って、アフターバーナー操作を間違えたのでしょう)
 なお本来の減速操作は、高度FL500・速度M2.0から、指示対気速度350Ktをパネルに入力して、IAボタンを押します。十分に減速したら、徐々に降下に移ります。

●画期的!! 倍速モードに時計が同調:
 コンコルドも、Aキーによる倍速モードが使えます。ただしM2.0では無理で、速度警報が鳴りますが、マッハ1周辺や亜音速では、8倍速まで非常に安定した飛行が可能です。ここで非常にうれしいのは、機内時計の経過時間も同時に加速されることです。ローカル時刻(つまり太陽)が同期しているかどうか、未確認ですが、従来はFlightGearでは困難だった、正確な飛行時間が記録できるようになりました。

 帰路は倍速をふんだんに使い、離陸から約2時間40分後にはオークニー諸島を通過。ここで指示対気速度300Kt(真対気速度は、まだ650Ktも出ている)まで減速し、降下を開始しました。速度設定が300Ktのままでも、降下による気圧・気温上昇のため、マッハ数と真対気速度は次第に下がります。
 …長い長い降下の末、ノーフォークを通過。ロンドン東方・サウスエンド空港の手前、49nm地点で高度10000ftを割り、やっと250Ktまで減速しました。ここで副操縦士が自動的に、可動ノーズとバイザーを降ろします。

 ヒースロー27R滑走路への進入は、STARデータに従って、やや南方のビギンヒルVORを通過後、335度で北上して、27RのILSをインターセプトすることにしました。
 ILSセットのため、メニューのEquipmentからRadio Settingsを開いて、ラジアル方位を入力しましたが、無効でした。パネルにある前述の「VOR REF」デジタル窓に、数値を入れないとダメらしいですね。(一方NAV1の周波数設定は、メニューからしかできない模様です。機長席正面の「NAV」デジタル窓は、NAV2の周波数を入力するものですし、副操縦士席のデジ窓は、なぜか周波数設定には無関係です。このへんは未だに、よく分かりません)

 最後はAtlasに助けられ、ILSを無事に捉えて、ヒースローに着陸しました。燃料は20トンほど残っており、最大着陸重量をややオーバーしていました。コンコルドのサスはストロークが長く、ダンパーも強力で、重量超過で着陸しても、事故にはならないのですが、ファイナルアプローチ中に、コース修正をする際、機体に大きな慣性が掛かって当て舵が効かず、曲がりにくく止めにくいため、操縦困難で蛇行する傾向があります。

     ○

 ヒースロー着陸後、試しにもう一度、イギリス西岸まで往復してみたところ、着陸時に再び操縦困難を感じましたが、コンコルドメニューを呼び出し、燃料を最大着陸重量まで減らすと、すぐ解決しました。機関士席には、燃料を空中投棄する機能があるので、いずれ試してみましょう。(実機ですと、たぶん数百万円の燃料代を、海にバラまくことになりますが…)

 コンコルドの操縦は複雑ですが達成感があり、フライトはダイナミックで、心地よい緊張をはらんでいます。次回は、世界一周の旅・再開の第一歩として、コンコルドでフランスのツールーズまで移動します。
投票数:12 平均点:5.83

通常 Re: コンコルドで初の超音速飛行

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2008-2-13 20:03
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 前回お目に掛けました「コンコルドで初の超音速飛行」の書き込みのうち、冒頭付近の「最大推力はF14の8割程度しかなく」という記述は誤りでした。
 正しくは、「コンコルド(最大離陸重量187トン)の最大推力は69トンで、同じ超音速機であるF14(最大離陸重量34トン)の最大19トンと比べると、重量は5.5倍ですが、推力は3.6倍にとどまっており」とすべきでした。おわびの上訂正いたします。
投票数:5 平均点:6.00

通常 ベルリンを経て、仏ツールーズへ

msg# 1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.2.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2008-3-4 11:21
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 629
hideです。
 しばらくご無沙汰しましたが、ロンドンから世界一周の旅を、ゆっくりと再開します。

 今回はコンコルド飛行訓練の続きを兼ねて、ロンドンのヒースロー空港から、ツールーズへ移動します。ここはかつてフランス製コンコルドの製造地で、現在もエアバスの組み立てが行われており、戦前はアフリカや南米への、長距離郵便飛行の起点にもなった航空史に縁の深い土地です。
 ヒースローからは、すでに超音速の訓練で2、3回飛んでみたのですが、そのままご紹介してもあまり面白くないため、ベルリンを経由して飛び直すことにしました。

●INS航法のフライトプラン立案:
 最初に少々、航法のお話を。私はコンコルドでは、常にINS(慣性航法=他機のGPSと同じ)を使っています。INSモードでは、ICAOの4ケタ空港コードを入力すると、自動的に大圏コースを飛んでくれるので、航法自体は非常に簡単です。しかし高速のお陰で飛行時間は短いのに、フライトプランを作る際、従来通りAtlas画面を使って、緯度経度を調べて針路と距離を算出していたのでは、極めて非能率だと感じておりました。
 そこでフライトプラン作成も、ICAOコードの入力だけで済む方法はないかとネットを探したところ、「Great Circle Mapper」というHPが見つかりましたのでご紹介します。
 ・アドレス=http://gc.kls2.com/

 これは出発地と目的地を入れると、大圏コースの起点の針路と、距離を出してくれるものです。使い方は「Paths」という欄に、出発地と到着地のコードを、ハイフンで結んで入れるだけです。航程ごとにコンマで区切ると、多数の中継地を含むコースも1回で記述可能で、距離の総計も出してくれます。
 ただし表示される機首方位は、出発点におけるものです。大圏コースは、地球儀の上では「直線」(最短距離)ですが、一般的なメルカトル図法の地図上では湾曲した経路になり、コンパスで狙う機首方位も刻々と変わります。従って、このHPに表示された針路を維持して飛び続けると、見当違いの場所に着きます。あくまでも、INSやGPSフライトの際、離陸直後の機首方位を指すものとお考え下さい。
 【注】コンパスを頼りに大圏コースを飛ぶ場合は、何らかの地図ソフトを利用して、メルカトル図に湾曲した大圏コースを投影し、任意の中継点を多数設けて多角形に書き換え、定期的に方位を変更しながら飛ぶ必要があります。これでは煩雑ですので、コンパスを頼りに推測航法をするなら、大圏コースではなく、常に一定の針路を維持すればゴールに着く、ラームライン(等角航路)の針路を使うことをお勧めします。ラームラインの針路は、過去に本稿でご紹介しました「Vertual E6-B」で算出できます)

 ではINS航法で、ベルリンに向かうことにしましょう。
風向風速の補正計算は事実上、不要ですので、フライトプランは、ごくあっさりしたものです。

■ロンドン〜ベルリン大圏コース■(針路は初期値)
◎ヒースロー空港EGLL
  ▼73度200nm
◎アムステルダム・スキポール空港EHAM(VOR-108.40)
  ▼84度318nm
◎ベルリン・テンペルホーフEDDI(VOR-114.10)NDB-327
偏東2度 27L=ILS109.5 9R=ILS109.70 160ft
(計518nm)

●副操縦士君…口は出しても、手は出すなよ:
 ヒースローの天候は、340度前後の風5Kt程度。3683ftにfewの雲があるだけの上天気でした。「Ctrl+I」キーで、コンコルドメニューを開き、燃料を最大離陸重量とします。同じメニューの「Crew」欄にある「Crew txt」と、機関士にもチェックを入れますが、副操縦士には今回、チェックを入れませんでした。
 この設定ですと、副操縦士は速度や降下率などを読み上げるものの、脚や可動ノーズは操作しません。最終進入の際、高度によっては副操縦士が、勝手に可動ノーズを上下させて、イライラするものですから、最近はこうやっています(^^;)。

 UTC(共通世界時=GMTと同じ)1217時、滑走路27Lを離陸。機首上げ10度で地面を切り、脚とノーズを上げ、アフターバーナーをオフ。以後の操縦法は、基本的には前回の超音速飛行と同じですが、今回は比較研究のため高度を28000ftに抑えて、マッハ0.95の亜音速で巡航します。

 M0.95のTAS(真対気速度)は569Kt。エンジン計器を点検しますと、N1(定圧タービン回転数)=100%、N2(高圧タービン回転数)=93%、燃料消費率はエンジン1基当たり毎時5トン。排気温度718度。一番下の「AREA」計は、93%くらい。これはノズル開度だろうと思いますが、よく分かりません。途中で「A」キーを使い、4倍速まで加速して、快調にオランダを抜け、そのままベルリン・テンペルホーフ空港の滑走路に正対しました。(パリ以北のヨーロッパでは、偏西風を反映して、大空港の主要滑走路は大抵、東西に走っています)

●INS降下のコツ…残り飛行時間で降下率を算出:
 ベルリンの105nm手前で、減速と降下開始。ジェット機は速度が速いうえ空気抵抗が少なく、降下に手間取りますね。INSを使う場合は、目標までの到達時間が分単位で表示されますから、これに降下率を掛けて現在の高度と比較し、目的地で高度ゼロになるよう、適切な降下率を選ぶのがコツです。
 コンコルドのタッチダウンは、引き起こし角が大きく、機長の視点が高いので慣れが必要です。ノーズを最大まで下げ、PAPIを見ながら、正確に進入経路に乗せてオートパイロットを切り、進入速度(190Kt)を最終確認したら、オートスロットルもオフ。ここでカーソルを「⇔」モードに切り替えて、機長の視点を大きく持ち上げ、計器盤の上部しか見えない状態にしてしまい、たっぷりと前方視界を確保するのがコツです。
 副操縦士が、最初は降下率を、次いで電波高度計の対地高度をコールします。滑走路末端が近づいたら、スロットルをアイドルまで戻し、「50フィート」のコールで、10度まで機首をフレアーしますと、ふわりと主脚が接地します。操縦席は、まだ相当高い位置にあるので、ちょうどツルが着地する際に、足を長く伸ばして地面を捉えるような、独特の接地感覚となります。

 亜音速のフライトは、巡航高度までの上昇降下に、あまり手間が掛かりません。必要なら倍速モードで、超音速並みに時間も節約できますので便利です。欠点を挙げるなら、マッハ2では3550nm確保される航続力が、2760nmに縮んでしまうことですね。

●テンペルホーフ…ルフトハンザの夢の跡:
 FlightGearのテンペルホーフは、特徴あるターミナルビルが詳細に再現されており、私の好きな空港の一つです。

 この空港はナチス時代の1923年、ドイツにおける近代的な大空港の見本として開港しました。四角い敷地の北西の角には創建当時のまま、90度カーブした全長1.2キロもあるターミナルが建っています。直線を多用した新古典主義のデザインは、よく言えば壮大ですが、悪く言えば…コケ脅し的な「ナチス趣味」丸出しの建築、との意見もあって、評価が分かれるところです。
 エプロンに面したビルの中央部は、1階が大きく後退して巨大なひさしを形成し、ここへ旅客機が乗り入れて、雨に濡れずに乗降できるという、野心的な設計。もちろん戦前の、小さなJu-52型旅客機のお話で、ジャンボ機ではとても無理ですが。

 私は着陸後、さっそくJu-52型3発機を起動し、上空を一周しました。この機体は戦前、ルフトハンザの中核を担った傑作機。元来は単発機だそうですが、アルプス越えの国際線を飛ぶため、両翼にエンジンを加えて上昇力を増しています。3発機は双発機と比べ、片肺停止時の安定性に優るため、戦前は米仏やイタリアにも、かなり作例があります。Ju-52は、両翼エンジンが胴体と平行ではありませんが、これは推力軸を垂直尾翼に向けて、1発停止時の操舵性能を、さらに向上させる目的だそうです。
 実物は確か、スイス空軍がまだ2、3機保有していましたね。数年前に世界一周飛行の企画がありましたが、ロシアが「ナチス時代の戦術輸送機は、二度と国内に入れない」と反対したそうで、その後どうなったのでしょうか。
 Me-262も今回初めて操縦し、軽くスタントを試みましたが、三角断面のサメ型胴体のお陰か、視界抜群で操縦性も良好。ブロンコがジェット機になったような好印象でした。

●「空の架け橋」記念碑が、あった!!:
 テンペルホーフ空港と言えば、忘れられないのが「ベルリン大空輸」ですね。終戦後の1948年6月、旧ソ連軍がベルリンに通じる陸路を全面封鎖したため、米英空軍は翌年9月までの間、西ベルリン200万人の石炭や食糧など、あらゆる生活物資を空輸しました。計230万トンを運んだのですが、当時の輸送機は10トン前後しか積めませんから、約27万回の飛行が必要となり、24時間ぶっ通しで3分間に1機を着陸させました。
 当時の航法装置や空路監視レーダーは、現在よりかなり性能が限られていましたから、この大空輸を精密に達成した、米軍の管制能力や総合的な組織力は、高く評価すべきでしょうが、結果的には計10機と乗員52人が事故で失われました。

 テンペルホーフ空港の玄関前には、空へ延びるアーチをイメージした、ベルリン大空輸の記念碑があります。実世界では、私も大昔に見物しましたが、FlightGearのテンペルホーフにも、これがちゃんと再現されているのは、なかなか感動的です。
 DC-3をC-47型輸送機に見立てて、空中から記念碑を撮影しようとしましたが、難しいのでジープを起動し、滑走路からトコトコ走って行きました…スナップショットに、写真をアップしておきます。歴史がどっさりのテンペルホーフ空港も、騒音問題や過密化には勝てず、今年の秋ごろ廃港になるそうです。

 ベルリン観光の後は、マッハ2でツールーズへ向かいます。

■突風下、ベルリンからツールーズへ■(針路は初期値)
◎ベルリン・テンペルホーフEDDI(VOR-114.10)
  ▼225度323nm
◎ストラスブール空港LFST(VOR-115.60)
  ▼229度247nm
◎クレルモン・フェラン空港LFLC VOR114.35
(N45.47.12-E03.11.21)
  ▼212度152nm
◎ツールーズ空港LFBO VOR117.70 標高499ft 偏西1度
3.9nmで滑走路14R(144度)ILS108.35(33R)
32L(324度)
(計722nm)

●超音速巡航でも、倍速飛行が可能:
 このフライトのテーマは、上昇と降下時間・距離の短縮です。先にお話ししましたように、コンコルドは50000ft/M2.0への到達と減速降下に、大きな飛行距離を使います。特に降下は、実機では750nmも飛んだようですが、これでは運用上かなり不便ですので、出来れば大幅に縮めたいと思いました。
 さて、テンペルホーフの27Lを離陸しますが…風向風速は約320度・36Ktという荒天です。軽くて遅いブロンコでしたら、天候を書き換えてしまうところですが、幸いFlightGearのコンコルドは実機同様、横風には強いので離陸を強行します。

 1113時、離陸。上昇率3000ftを維持し、3分後に高度10000ftを突破、INSで定針して目標速度350Ktにセット。加速が鈍いので17000ftで上昇率を2000ftに下げ、速度を稼ぎます。
 1123時、離陸後10分で高度28000ft。ここで高度ホールド(AHボタン)を使い水平飛行。速度は370KIAS(計器指示速度)、TAS(真対気速度)では546Kt、マッハ数0.93に到達しました。

 次は音速突破です。オートスロットルを切って全開、アフターバーナーに点火し、上昇率を毎分3200ftにセット。34000ftで減速気味となったため、上昇率を2000ftに下げました。快調な上昇ぶりですが、まだ高度が足りず、制限速度を追い越してしまい、警報が鳴ります。しばらくアフターバーナーを切って、高度48000ftへ昇りましたが、今度は燃料移送が間に合わず、重心位置が合いません。なかなか難しいですね。間もなく高度50000ftへ。
 1141時、ストラスブール上空でM2.02を記録。加速・上昇には320nm使った計算です。前回は、M2.0では倍速モードが不調でしたが、今回はうまく作動することを確認しました。

●残り185nmで、5万ftからの降下に成功:
 1151時。おっと!! ツールーズまで、たった185nmしか残されていません。過去のテストでは、50000ftからの降下には250nm必要です。もっと縮めるには…さてどうすればいいか。
 FlightGearのコンコルドは、飛行中に逆噴射しても、あまり減速してくれません。脚を降ろすという手もあり、過去に試したことはありますが、リアルではないので敬遠しています。(ただしリアジェット45では、高速失速を起こして急降下に入った場合、最後の手段として脚を下げ、ブレーキに使うそうです。むろん車輪庫のドアは、風圧で吹っ飛んでしまいますが)

 結局、正攻法で行くことにしまして。パワーアイドルで2、3分待ち、450KIASまで70Ktほど減速した時点で、やや急速な降下を開始。低空ほど空気抵抗は増えますから、思い切って降下率を毎分3500ftとして、どんどん高度を下げます。
 結果的には、これがうまく当たりまして、降下による加速をぎりぎり阻止しつつ高度を処理。一時は3800ftまで、降下率を増やしました。40000ft通過時に、降下率を毎分3000ftまで絞り、速度計の制限速度指針と、過速警報音に気をつけながら、ひたすら速度と高度をすり減らして行きます。どうやらコンコルドは、想像していた以上に大きな降下率で、降下が可能です。

 ベルリン着陸でご紹介しましたように、INSが示す残り飛行時間と、降下率のバランスを取りながら雲の下へ。
 1200時。やっと高度2400ftまで降りて、360KIAS(TAS=501Kt)まで減速しました。もう、こっちのものです(^^)。間もなくツールーズ空港が視界に入りました。

 空港上空を2000ftで南へ通過し、Atlasを見ながら風下でベースターンして、滑走路に正対。まだ燃料が68トン近く残っているのですが、空中投棄をしていると時間が掛かりますので、コンコルドメニューを開いて、最大着陸重量の燃料にセット。ロール方向の慣性が減り、操縦応答が素直になりました。
 1224時。南方から空港に進入し、強烈な向かい風に支えられ、珍しく遅い対地速度で、いつ路面を捉えたか分からないような、滑らかなタッチダウン。おもむろにノーズギアも降ろして、やれやれ、ツールーズに到着です。

 結果的には、わずか185nmの飛行で、高度50000ft/マッハ2からの減速降下に成功しました。従って全行程が500nm以上あるコースですと、超音速巡航が可能だと分かりました。
 着陸にもすっかり慣れ、次第にコンコルドが、「使える」ようになってきました。次回も主にコンコルドを使用して、スペイン経由でアフリカ方面に向かいます。
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