大坂城とJR大阪駅
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居住地: 兵庫県
投稿数: 650
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ここんところ、母港の伊丹(RJOO)を飛び立って大阪市内を一周、というショートフライトが多いので、今回は大阪を舞台に、ランドマークに使える建物作りを始めました。簡略ながら、大坂城とJR大阪駅(実物は改築中、来春完成)などが出来ましたので、マイアルバムで紹介させていただきます。
これまでは FlightGear Scenery Databaseから、適当なビルや格納庫をダウンロードして、UFOを使って並べていました。こうした既成オブジェクトは良くできていて楽しいですが、所詮は「借り物」であって、配置したい現地の建物とあまり似ていません。またサイズによりますが、調子に乗って多数配置しますと、起動に何分も掛かってしまう場合もあります。そこで、テクスチャーの張り込みを含む精密なモデリングは諦め、遠くから見ることを前提とした、ごく簡略な工作法で軽く作り、しかも「ああ、あの建物か」と分かる程度に特徴を捉えたオブジェクトは自作できないかと思い、習作第1号として大坂城を造ってみることにしました。
●天守閣と公園などを造る:
おおまかな設計方針は、上に述べたとおりですが、付け加えるに、
(1)大いに手を抜くが、建物の各部位で、手抜きのレベルをそろえる。
(2)建物全体の長さや高さは、なるべく正確に。しかし各主要部の寸法は、
相互にバランスが取れていれば大ざっぱでよい。5%程度の誤差は許容する。
(3)出来れば複数の建物で、基本パーツの使い回しをする。
…などを念頭に置きました。
・複雑極まる城の構造:
検索では、大坂城の詳しい寸法や三面図は、なかなか見つかりませんでした。しかしGoogleEarthに、非常に精巧な3Dの大坂城が配置されていましたので、フリーウェア「斜めものさし」を当てたり、GoogleEarthの標高測定や物差し機能を使って、各部を採寸することができました。この寸法メモをもとに、AC3Dの画面に1m=100ピクセルの縮尺で、フロアや屋根を描いていくことになります。
採寸する前は、「まず石垣を作る。その上に1階の壁。さらに上に屋根があり、次に2階の壁…」という風に、下から順番に整然と層を作っているのだと想像していました。しかし、もし私がこのように造っていたら、多分お城ならぬ、「5階建ての犬小屋」が出来上がったはずです(^^;)。
実際の天守閣は、はるかに複雑な構造物でした。各階の屋根と壁(および部屋部分の空間)は、単純に積み上がるのではなく、相互に融合しています。例えば1階の大屋根は、2階の壁(部屋)をすっぽり串刺しにして飲み込み、さらに3階の屋根の基礎まで届いており、各層・各階が、相互に食い込み合っているのですね。こうした、上下に圧縮したような構造を可能にするため、各層の棟(屋根の稜線)は1層ごとに90度向きを変えてあり、屋根の末端の大きな破風(白い漆喰の三角壁部分)が、上下階同士でぶつからないよう配慮されています。この結果、どの方角から見てもやたらに破風が目立つ、お城独特の外観が出来るわけです。強度や長さの限られた木材を使って、大きな内部空間を確保する大建築を造るには、おそらくは荷重分散のため、こうやって壁面を細かな三角形に分割するしか手がなかったのでしょう。
実物の天守閣は、非常に細分化された構造材から出来上がっているので、設計図を引いて実際に建てるのは、死ぬほど面倒だったろうと思います。江戸時代にはすでに積分など高度な和算が存在しましたが、構造物の強度計算をする発想はなかったのか、興味を覚えます。
いっぽう、パソコン上で扱う3Dのパーツは、お互い同士を自在に貫通しますから、いったん相互の位置関係を理解してしまえば、モデリングソフトの上で、箱状の部品(階)や三角柱(屋根)をドラッグして、天守閣全体を大まかにブロックの集合体として造形するのは、案外簡単です。また、例えば下層階の屋根をコピペして寸法を変え、上層に使い回せば能率も上がります。私は簡略化のため、各層を切妻屋根(単純なテント状の、いわゆる屋根型)で造りましたが、本当の城や神社仏閣は入母屋造り(側面だけでなく、破風の側にもひさしがある、凝った屋根)です。これを比較的簡単に作るには、各層の切妻屋根の基部にもう1枚、平たいピラミッド状の屋根を敷き込めばよさそうですが、今回は見送りました。
最後に、最上階の棟に金のシャチホコをつけて出来上がりです。あれはカシューナッツみたいな形ですが、造形方法を思いつかなかったので、小さなドーナツ型を作って半分に切り分け、金色に仕上げました。天守閣単体のファイルサイズは75kbしかないのですが、実にそのうち63kbが、このシャチホコのデータ量でした。リング状の構造が、多数の面に自動分割されたためと思われます。
・ついでに、大阪城公園を作る:
せっかく造った天守閣を、ただ市街地に放り出すのも残念ですので、GoogleEarthで大阪城公園の輪郭を調べ、同寸の巨大な緑色の板を造って、お堀の形に青い模様を描き入れ、しかるべき場所に天守閣をマージし、UFOを使ってマップ上に置きました。位置は、公園北側の寝屋川と大川を基準に調整しましたが、FlightGearはもともと道路や線路、河川の配置がいい加減ですので、実際の天守閣の緯度経度を基準に計算しますと、東北東に約150mずれたことが分かりました。しかしこれは、十分に我慢できる誤差です。公園の北東隣には、実景では「大阪ビジネスパーク」のモダンな超高層ビルが並び、クラシックな天守閣との対比が面白いので、代表的なビルを3〜4基、きわめてラフに(ほぼ直方体で)再現しておきました。
こうして完成した大坂城+公園+ビルは、何しろ大きいので、非常によく目立ちまして、天気のいい日は起動時に伊丹の滑走路上から、また悪天候でも、視程いっぱいの距離から判別可能です。出来は不細工ながら、ランドマークとしては十分に役立ち、満足しています。まあ「犬小屋」は何とか回避して、「土産物屋にある、天守閣型の貯金箱」くらいの出来映えでしょうか…。
ついでながら、この公園には飛行機が着陸できることを確認しました。Ver.2.0.0からは、立体オブジェクトが衝突判定の対象になっているからですが、今後は好きな場所に、かなり簡単に、着陸施設を自作できるわけですね。空港のエプロン位置などが誤っているケースの修正はもちろん、地下トンネル式滑走路とか、飛行船改造の空中空母なんかを作ってもいいわけで、無限の可能性がありそうです。
●近未来的なドーム…JR大阪駅を再開発:
難関と思われたお城が、首尾よく半日程度で出来てしまったので、この勢いで大阪・梅田界隈にもランドマークの整備を進めることにしました。
梅田は、私の感覚では一応「大阪の中心」(関西ネイティブの方は、ご意見が違うかも)で、伊丹へのILS進入コースにも比較的近いので、以前から目印として梅田スカイビル(パリの新凱旋門を転用)や、約10軒の高層ビル集合体をダウンロードして配置し、伊丹へ帰還する目印にしていました。しかしこのビル集合体は、複数のオブジェクトを1個にマージしてある影響か、あるいは地味な配色のためか、少し距離を開けるとモヤに紛れて消えてしまい、目標物としては非常に不便でした。そこで超簡単な白や黒、グレーの直方体でいいから、遠くから目立つビルをポコポコ置きたいと思いました。でも、どうせ作るなら、何か面白いものがいいですね。そこで思いついたのが、大改修中のJR大阪駅です。
私はよく大阪駅を利用しますが、ホームから数十メートル上の空中に、さまざまな巨大構造物が建設されつつあり、ちょっぴり近未来的なムードが漂っていて、何が出来るのか楽しみでした。現地を歩いてパンフレットをもらったり、ネットで調べた結果、計画の全容が分かりましたが、線路の北側にデパートやオフィスの入る駅ビル別館の建設が進んでおり、これと従来からある南側の駅ビルを結ぶ形で橋上駅を建設し、さらにその上を、一辺100m余りある斜め大屋根(JRの表現ではドーム)で覆う構想です。来春開業だそうですが、一足早く造ってみることにしました。
・サンドイッチ構造のビル:
さきの大坂城は、大まかに言えば、四角いボックスと屋根型5面体を多数組み合わせただけですが、今度の駅ビルはどうすべきか。ディテールは極力省略しますが、ビルがただのハコではなく各階に分かれ、外壁がガラス張りであることは、表現したいと思いました。
壁に多数の窓を開け、後で改めてガラスを張るのは、いかにも大変です。そこでまず、縮尺で3m相当の厚みを持った板状の色つき透明ブロックと、厚さ1mの不透明な板状ブロックを造り、重ねてコピペで増殖させ、ガラス張り窓と床・天井部からなる、数十階に及ぶビルの基本構造を造りました。このお手軽な積層式成型法を、私は「サンドイッチ構造」と呼んでいますが、表面に壁のパーツを少し追加しますと、ごくわずかな手間で、かなりビルらしいオブジェクトが出来上がります。マイアルバムにアップした大阪駅の、左側の白いビル(大丸などが入っている「アクティ大阪」)は、こんな風にして完成しました。
同じ写真の右手には、高層タワーを持つ長いビル(東急ハンズなどが入る予定の「ノースゲートビル」)がありますが、これも基本は同じ作りです。ビル中央部に、橋上駅が貫通する吹き抜け空間を設けるため、東西2棟に分割してサンドイッチ構造を作り、屋上ブロックでつなぐと骨格は完成。でも先ほどのアクティ大阪に比べますと、ガラス開口部の面積が大きく、見る角度によっては、反対側まで素通しになってしまうので、井桁を組み合わせたセパレーターを作って、ビルの上から下まで突き刺し、間仕切りにしました。
二つのビルを結ぶ橋上駅は、ビル2フロア分のサンドイッチ構造をコピーし、ドラッグで寸法を整えて転用。また大屋根は、航空機の翼みたいな断面形に見えたので、適当な線画を側面図に描いておき、押し出し機能で立体に整形しました。このあたり、3次元モデリングの面白いところですね。かくして、細部は余りリアルではないのですが、JR大阪駅の出来上がりです。大屋根の下をセスナでくぐってポーズを掛け、視野を超ワイドレンズに引いて、さまざまなアングルを試してみますと、面白くてなかなか飽きません。
マイアルバムの画像を撮影後、JR駅ビルに隣接する「阪急うめだ本店」と阪神百貨店梅田本店、駅の南西にある背の高い「ブリーゼタワー」の3棟を、もう一ランク簡略な作りで配置し、取りあえず「梅田再開発」は一段落しました。テクスチャーの無いビルが並びますと、まるで10年以上前のフライトシムのようで、単なるハコとして作った阪急などは、さすがにちょっと見劣りがしますが、サンドイッチ構造のビルは、自己評価によれば、そう悪くない気がします。「美は細部に宿る」などと言うと、あまりに大げさですが、手をかけて作り込んだものほど、やはりマシになるようですね。
○
私は現在、起動Wizardのデフォルト位置に、伊丹に設置した格納庫内を指定しています。おもむろにピラタスPC7改のエンジンを始動し、格納庫の入り口越しに梅田方面を眺めると、天候によって、これらの自作ビルが見えたり見えなかったりして、なかなかリアルな気分になります。
FlightGearを実時刻で走らせている場合は、伊丹から、飛行機ですとあっという間の拙宅まで飛んで低空に降り、梅田方面のビル街の見え方や雲量、近くの山々への日照の角度などを、ディスプレー内と窓外で見比べて、「ほとんど、そっくりだ!」と単純に感心したりするのも、また楽し。これまでは日本を遠く離れて、ひたすら地球を縦横に駆けめぐるフライトが多かった次第ですが、ごく身近な日常世界で、仮想と現実の境界線をなで回して遊ぶのも、それなりに面白いものだと思いました。
ここんところ、母港の伊丹(RJOO)を飛び立って大阪市内を一周、というショートフライトが多いので、今回は大阪を舞台に、ランドマークに使える建物作りを始めました。簡略ながら、大坂城とJR大阪駅(実物は改築中、来春完成)などが出来ましたので、マイアルバムで紹介させていただきます。
これまでは FlightGear Scenery Databaseから、適当なビルや格納庫をダウンロードして、UFOを使って並べていました。こうした既成オブジェクトは良くできていて楽しいですが、所詮は「借り物」であって、配置したい現地の建物とあまり似ていません。またサイズによりますが、調子に乗って多数配置しますと、起動に何分も掛かってしまう場合もあります。そこで、テクスチャーの張り込みを含む精密なモデリングは諦め、遠くから見ることを前提とした、ごく簡略な工作法で軽く作り、しかも「ああ、あの建物か」と分かる程度に特徴を捉えたオブジェクトは自作できないかと思い、習作第1号として大坂城を造ってみることにしました。
●天守閣と公園などを造る:
おおまかな設計方針は、上に述べたとおりですが、付け加えるに、
(1)大いに手を抜くが、建物の各部位で、手抜きのレベルをそろえる。
(2)建物全体の長さや高さは、なるべく正確に。しかし各主要部の寸法は、
相互にバランスが取れていれば大ざっぱでよい。5%程度の誤差は許容する。
(3)出来れば複数の建物で、基本パーツの使い回しをする。
…などを念頭に置きました。
・複雑極まる城の構造:
検索では、大坂城の詳しい寸法や三面図は、なかなか見つかりませんでした。しかしGoogleEarthに、非常に精巧な3Dの大坂城が配置されていましたので、フリーウェア「斜めものさし」を当てたり、GoogleEarthの標高測定や物差し機能を使って、各部を採寸することができました。この寸法メモをもとに、AC3Dの画面に1m=100ピクセルの縮尺で、フロアや屋根を描いていくことになります。
採寸する前は、「まず石垣を作る。その上に1階の壁。さらに上に屋根があり、次に2階の壁…」という風に、下から順番に整然と層を作っているのだと想像していました。しかし、もし私がこのように造っていたら、多分お城ならぬ、「5階建ての犬小屋」が出来上がったはずです(^^;)。
実際の天守閣は、はるかに複雑な構造物でした。各階の屋根と壁(および部屋部分の空間)は、単純に積み上がるのではなく、相互に融合しています。例えば1階の大屋根は、2階の壁(部屋)をすっぽり串刺しにして飲み込み、さらに3階の屋根の基礎まで届いており、各層・各階が、相互に食い込み合っているのですね。こうした、上下に圧縮したような構造を可能にするため、各層の棟(屋根の稜線)は1層ごとに90度向きを変えてあり、屋根の末端の大きな破風(白い漆喰の三角壁部分)が、上下階同士でぶつからないよう配慮されています。この結果、どの方角から見てもやたらに破風が目立つ、お城独特の外観が出来るわけです。強度や長さの限られた木材を使って、大きな内部空間を確保する大建築を造るには、おそらくは荷重分散のため、こうやって壁面を細かな三角形に分割するしか手がなかったのでしょう。
実物の天守閣は、非常に細分化された構造材から出来上がっているので、設計図を引いて実際に建てるのは、死ぬほど面倒だったろうと思います。江戸時代にはすでに積分など高度な和算が存在しましたが、構造物の強度計算をする発想はなかったのか、興味を覚えます。
いっぽう、パソコン上で扱う3Dのパーツは、お互い同士を自在に貫通しますから、いったん相互の位置関係を理解してしまえば、モデリングソフトの上で、箱状の部品(階)や三角柱(屋根)をドラッグして、天守閣全体を大まかにブロックの集合体として造形するのは、案外簡単です。また、例えば下層階の屋根をコピペして寸法を変え、上層に使い回せば能率も上がります。私は簡略化のため、各層を切妻屋根(単純なテント状の、いわゆる屋根型)で造りましたが、本当の城や神社仏閣は入母屋造り(側面だけでなく、破風の側にもひさしがある、凝った屋根)です。これを比較的簡単に作るには、各層の切妻屋根の基部にもう1枚、平たいピラミッド状の屋根を敷き込めばよさそうですが、今回は見送りました。
最後に、最上階の棟に金のシャチホコをつけて出来上がりです。あれはカシューナッツみたいな形ですが、造形方法を思いつかなかったので、小さなドーナツ型を作って半分に切り分け、金色に仕上げました。天守閣単体のファイルサイズは75kbしかないのですが、実にそのうち63kbが、このシャチホコのデータ量でした。リング状の構造が、多数の面に自動分割されたためと思われます。
・ついでに、大阪城公園を作る:
せっかく造った天守閣を、ただ市街地に放り出すのも残念ですので、GoogleEarthで大阪城公園の輪郭を調べ、同寸の巨大な緑色の板を造って、お堀の形に青い模様を描き入れ、しかるべき場所に天守閣をマージし、UFOを使ってマップ上に置きました。位置は、公園北側の寝屋川と大川を基準に調整しましたが、FlightGearはもともと道路や線路、河川の配置がいい加減ですので、実際の天守閣の緯度経度を基準に計算しますと、東北東に約150mずれたことが分かりました。しかしこれは、十分に我慢できる誤差です。公園の北東隣には、実景では「大阪ビジネスパーク」のモダンな超高層ビルが並び、クラシックな天守閣との対比が面白いので、代表的なビルを3〜4基、きわめてラフに(ほぼ直方体で)再現しておきました。
こうして完成した大坂城+公園+ビルは、何しろ大きいので、非常によく目立ちまして、天気のいい日は起動時に伊丹の滑走路上から、また悪天候でも、視程いっぱいの距離から判別可能です。出来は不細工ながら、ランドマークとしては十分に役立ち、満足しています。まあ「犬小屋」は何とか回避して、「土産物屋にある、天守閣型の貯金箱」くらいの出来映えでしょうか…。
ついでながら、この公園には飛行機が着陸できることを確認しました。Ver.2.0.0からは、立体オブジェクトが衝突判定の対象になっているからですが、今後は好きな場所に、かなり簡単に、着陸施設を自作できるわけですね。空港のエプロン位置などが誤っているケースの修正はもちろん、地下トンネル式滑走路とか、飛行船改造の空中空母なんかを作ってもいいわけで、無限の可能性がありそうです。
●近未来的なドーム…JR大阪駅を再開発:
難関と思われたお城が、首尾よく半日程度で出来てしまったので、この勢いで大阪・梅田界隈にもランドマークの整備を進めることにしました。
梅田は、私の感覚では一応「大阪の中心」(関西ネイティブの方は、ご意見が違うかも)で、伊丹へのILS進入コースにも比較的近いので、以前から目印として梅田スカイビル(パリの新凱旋門を転用)や、約10軒の高層ビル集合体をダウンロードして配置し、伊丹へ帰還する目印にしていました。しかしこのビル集合体は、複数のオブジェクトを1個にマージしてある影響か、あるいは地味な配色のためか、少し距離を開けるとモヤに紛れて消えてしまい、目標物としては非常に不便でした。そこで超簡単な白や黒、グレーの直方体でいいから、遠くから目立つビルをポコポコ置きたいと思いました。でも、どうせ作るなら、何か面白いものがいいですね。そこで思いついたのが、大改修中のJR大阪駅です。
私はよく大阪駅を利用しますが、ホームから数十メートル上の空中に、さまざまな巨大構造物が建設されつつあり、ちょっぴり近未来的なムードが漂っていて、何が出来るのか楽しみでした。現地を歩いてパンフレットをもらったり、ネットで調べた結果、計画の全容が分かりましたが、線路の北側にデパートやオフィスの入る駅ビル別館の建設が進んでおり、これと従来からある南側の駅ビルを結ぶ形で橋上駅を建設し、さらにその上を、一辺100m余りある斜め大屋根(JRの表現ではドーム)で覆う構想です。来春開業だそうですが、一足早く造ってみることにしました。
・サンドイッチ構造のビル:
さきの大坂城は、大まかに言えば、四角いボックスと屋根型5面体を多数組み合わせただけですが、今度の駅ビルはどうすべきか。ディテールは極力省略しますが、ビルがただのハコではなく各階に分かれ、外壁がガラス張りであることは、表現したいと思いました。
壁に多数の窓を開け、後で改めてガラスを張るのは、いかにも大変です。そこでまず、縮尺で3m相当の厚みを持った板状の色つき透明ブロックと、厚さ1mの不透明な板状ブロックを造り、重ねてコピペで増殖させ、ガラス張り窓と床・天井部からなる、数十階に及ぶビルの基本構造を造りました。このお手軽な積層式成型法を、私は「サンドイッチ構造」と呼んでいますが、表面に壁のパーツを少し追加しますと、ごくわずかな手間で、かなりビルらしいオブジェクトが出来上がります。マイアルバムにアップした大阪駅の、左側の白いビル(大丸などが入っている「アクティ大阪」)は、こんな風にして完成しました。
同じ写真の右手には、高層タワーを持つ長いビル(東急ハンズなどが入る予定の「ノースゲートビル」)がありますが、これも基本は同じ作りです。ビル中央部に、橋上駅が貫通する吹き抜け空間を設けるため、東西2棟に分割してサンドイッチ構造を作り、屋上ブロックでつなぐと骨格は完成。でも先ほどのアクティ大阪に比べますと、ガラス開口部の面積が大きく、見る角度によっては、反対側まで素通しになってしまうので、井桁を組み合わせたセパレーターを作って、ビルの上から下まで突き刺し、間仕切りにしました。
二つのビルを結ぶ橋上駅は、ビル2フロア分のサンドイッチ構造をコピーし、ドラッグで寸法を整えて転用。また大屋根は、航空機の翼みたいな断面形に見えたので、適当な線画を側面図に描いておき、押し出し機能で立体に整形しました。このあたり、3次元モデリングの面白いところですね。かくして、細部は余りリアルではないのですが、JR大阪駅の出来上がりです。大屋根の下をセスナでくぐってポーズを掛け、視野を超ワイドレンズに引いて、さまざまなアングルを試してみますと、面白くてなかなか飽きません。
マイアルバムの画像を撮影後、JR駅ビルに隣接する「阪急うめだ本店」と阪神百貨店梅田本店、駅の南西にある背の高い「ブリーゼタワー」の3棟を、もう一ランク簡略な作りで配置し、取りあえず「梅田再開発」は一段落しました。テクスチャーの無いビルが並びますと、まるで10年以上前のフライトシムのようで、単なるハコとして作った阪急などは、さすがにちょっと見劣りがしますが、サンドイッチ構造のビルは、自己評価によれば、そう悪くない気がします。「美は細部に宿る」などと言うと、あまりに大げさですが、手をかけて作り込んだものほど、やはりマシになるようですね。
○
私は現在、起動Wizardのデフォルト位置に、伊丹に設置した格納庫内を指定しています。おもむろにピラタスPC7改のエンジンを始動し、格納庫の入り口越しに梅田方面を眺めると、天候によって、これらの自作ビルが見えたり見えなかったりして、なかなかリアルな気分になります。
FlightGearを実時刻で走らせている場合は、伊丹から、飛行機ですとあっという間の拙宅まで飛んで低空に降り、梅田方面のビル街の見え方や雲量、近くの山々への日照の角度などを、ディスプレー内と窓外で見比べて、「ほとんど、そっくりだ!」と単純に感心したりするのも、また楽し。これまでは日本を遠く離れて、ひたすら地球を縦横に駆けめぐるフライトが多かった次第ですが、ごく身近な日常世界で、仮想と現実の境界線をなで回して遊ぶのも、それなりに面白いものだと思いました。
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Re: 北半球を一周する「グレート・サークル・バレー」
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Re: GMTからJSTへ グリニッジ=明石間 子午線の旅
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Re: GMTからJSTへ グリニッジ=明石間 子午線の旅
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Re: 北半球を一周する「グレート・サークル・バレー」
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Re: 北半球を一周する「グレート・サークル・バレー」
(sambar, 2011-2-16 22:03)
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