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極北へ・霧の英国

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なし 極北へ・霧の英国

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depth:
37
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2010-7-19 15:24
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 暑中お見舞い申し上げます。virtflyさんが打ち上げておられる花火を、マイアルバムで拝見しました。夏至はつい先日のような気がしますが、いつの間にか夏本番ですね。
 北半球の高緯度では、せっかく日照時間が長いのに、何もしないのは惜しいような気がしまして、今回から北極と周辺部を訪ねるプロジェクト「オーロラ・フライト2010」を始めることにしました。私はこの地域は、まだUFOでしか訪れたことがありません。
 日本からのアクセスはショートカットしまして、春の南極飛行と同様に、過去に寄港した場所をコースの起点とします。これまでの私の北限は、ニューヨークかロンドンだと思いますが、スカンジナビア半島やグリーンランド方面を飛んでみたいので、今回はロンドンから北へ上ってゆくことにしました。

 寒い地方を飛ぶなら、本当に面白い季節は、たぶん真冬です。私はかつて舞鶴に赴任中、厳寒期に植村直己さんの本を読みあさりましたが、これはちょっとした贅沢でした。積雪が80センチを超え、シャベルなしには車に乗れず、水道も凍る寒さの中で「北極点グリーンランド単独行」などの犬ぞり旅行記を読むと、雪と氷との闘いに、生き生きと感情移入できるのです。その意味では、クソ暑い季節に北極圏をバーチャルフライトするのは、かなりミスマッチなのですが…せめて使用機の外観だけでも涼しくしようと、今回のピラタスPC7改・北極用塗装は、ブルーを多めに使ってみました。(マイアルバムをご覧下さい)
 第1回は、2007年11月に世界一周で訪れた、ロンドン近郊のブルックランズ飛行場(世界最古の本格的サーキット。のちに航空機のテスト基地。今は廃港して自動車・航空博物館)を起点に、イギリス国内の観光を楽しんだあと、北海を渡ってノルウェーに進出します。以下がコースです。航法は、基本的にGPSを使います。

◎ロンドン ブルックランズ飛行場(EG11)
   ▼3度8nm
◎ヒースロー空港(EGLL)
   ▼325度66nm 
◎コヴェントリー空港(EGBE)
   ▼319度76nm 
◎リバプール・ジョン・レノン空港(EGGP)
   ▼306度78nm
◎マン島ロナルズウェイ空港(EGNS)
   ▼22度205nm
◎アバディーン・ダイス空港(EGPD)
   ▼48度297nm
◎ノルウェーのフレスランド・ベルゲン空港(ENBR)

●じゃじゃ馬レーサーと、ハコフグ輸送機:
 ブルックランズの滑走路は非常に短いので、あまり長距離飛行の起点には向きません。そこで燃料を減らした軽い機体で飛び上がり、ロンドン見物をかねて「空の玄関」ヒースローまで移動し、本当のスタート…という段取りにしました。
 ロンドン中心部を飛ぶショートフライトには、ぜひ英国の機体を使いたいものです。が、スピットファイアやハリケーンには、いつか回を改めて、別の出番もあるでしょうから、今回は1934年にロンドン=メルボルン間の、マックロバートソン国際エアレースに優勝した、デハビランドDH88 コメットを選びました。デハビランド社が戦後作った、史上初のジェット旅客機と同名ですが、こっちのコメットは木製モノコック双発の2人乗りレーサーです。さっそく起動してみました。
 コメットのエンジンは、デハビランドの自社製「ジプシー」です。もともとが、タイガーモスなどの練習機用ですので、目一杯チューニングしても223馬力。これで競争相手のダグラスDC-2(700馬力双発)などに勝つには、機体設計で空力的洗練を極める必要がありました。
 従ってコメットのデザインは、小さく、力強く鋭く、流麗です。車輪庫兼用のエンジンナセルが2基、細くて薄い、ツバメのような主翼の前縁にぶらさがり、胴体はパイロットぎりぎりの細さ。コクピットは低く沈んで、前方視界はほとんど計器盤のみ。エンジンは死角となり、プロペラさえ先端しか見えません。また空気抵抗を極端に減らした結果、実機は失速特性が非常に悪く、油断も隙もない飛行機だったとか。
 今回の機体も、こうした特性をある程度モデリングしています。約70Ktの離陸は容易ですが、アプローチで140Kt以下に減速すると急激にロール安定が悪くなり、FlightGearの航空機には珍しく、翼端失速を起こして派手に自転し、機首を下げてスピンに入ってしまいます。そのまま落下して気速が上がっても、なかなか回復操作が効きません。私は少し視界がましな後席で操縦し、3回墜落して、4回目に110Ktでむりやり着陸しましたが、さすがにこの機体では、短距離といえども、クロスカントリーをする気になりませんでした。

 続いて試したのは、1960年代に登場したSTOL軽輸送機/コミューターの、ショート・スカイバン。あらゆる点でコメットとは対照的です。胴体も主翼も四角四面、ハコフグ的なターボプロップ双発機で、航空評論家の故・佐貫亦男氏は、本機のデザインを「下駄箱」と酷評しました。FlightGear版の機体設計者も、さすがにカッコいいと思わなかったらしく、デフォルトではダボハゼ的な、ピンクのジョーク塗装になっていますね。しかし佐貫氏も、搭載力や速度性能などを激賞しているように、非常に優れた飛行機です。
 まず視界が抜群。名前の通り、ワンボックスのライトバンそのもので、前下方まで見渡せます。操縦には癖がなく、自慢の短距離離着陸性能で、満タンでも85Ktで軽くテイクオフ。すぐに200KIASを発揮します。舵は少々鈍いタッチですが、エルロンロールや宙返りも可能で、「お見それしました」という印象。30分飛び回っても燃料は幾らも減らず、航続力が期待できそうです。
 ロンドンは、夏だというのに霧が出て、視界は約4nmでした。私は快適に中心街を飛び回り、Atlasを使って機首をヒースローに向け、霧を破って視界いっぱいに広がった、豪華な大空港を堪能しました。500ftくらいの低空で、空港を半分ほど行き過ぎましたが、操縦性がいいので、このまま降りてみようと急に思い立ち、フルフラップで70Ktまで減速。蛇行を重ねて降下距離を稼ぎつつ、ヘリのアプローチみたいな急角度で高度処理をして、そのままポンと降りて急停止しました。さすがに失速ぎりぎりでしたが、結構すごい能力を秘めた機体です。気になる塗装も幸い何種類か、お代わりが用意されています。

●燃料計を修理し、イングランド南部を行く:
 では、いよいよ旅を始めます。1200時(UTC=協定世界時)に、ヒースロー空港のA1111ランプでピラタスPC7改を起動。燃料を満タン75%の3000Lbsにセットしました。
 忘れないうちに、ご報告しておきますが。FlightGearがVer.2.0.0になった時点で、PC7改は燃料計が作動しなくなりました。バージョンアップに起因するトラブル解決は、私には無理と思い、簡単なデジタル燃料計の自作を考えました。しかし念のため、作業前に燃料計xmlファイルの内容と、Internal Propertiesの内容を突き合わせたところ、Ver.2.0.0では変数名が、一部変更されたことが分かりました。以前は
        <property>consumables/fuel/tank[1]/level-lb</property>
という記述で燃料タンク容量を表しましたが、現在は「level-lb」の代わりに「level-lbs」と、Sを付けないとダメなのです。問題点が一目で分かり、すぐ修正できたのは幸いでした。

 さてヒースローの天候は、5600ftにscatterdの雲。風は293度12Ktで、向かい風ながら好条件です。エンジンを始動。1207時、RWY-27Rの中央部までタキシーして左折し、離陸。GPSを使って西へ向かいます。

 1221時、早くもコヴェントリー上空を通過。市街地テクスチャーが5nm四方しかない、ごく小さな地方都市ですが、現実の街は、19世紀末から自動車工業の中心地だそうで、そのため大戦中は、1940年11月14日を皮切りに2回の大空襲を受け、1000人を超える犠牲者を出しました。英国は、真空管式デジタル計算機「コロッサス」を使って、難関だったドイツのエニグマ暗号を解き、この空襲を予知していましたが、チャーチルの判断で解読の事実を隠すため、非情にも迎撃態勢を取らなかったそうです。
 コヴェントリーの姉妹都市・ドイツのドレスデンも、ご存じのように、英米の爆撃によって記録的な数の死者を出しました。先日買った岩波新書「空爆の歴史」によりますと、一般市民も標的にする戦略爆撃は、イタリアのドゥーエという将軍が1921年に書いた、「空の支配」という本が思想的源流だそうです。彼は敵の市民に恐怖を与え、戦意を破壊し、早く戦争を終わらせる手段として無差別爆撃を推奨し、列強の空軍指導者に強い影響を与えたわけですが、現実にはスペインでも中国でも、英国でもドイツでも日本でも、爆撃は膨大な人命を奪いましたが、標的となった国家や市民の戦意は、簡単には破壊されませんでした。しかし各国は、なぜかドゥーエの理論が間違っているとは思わず、空爆をエスカレートさせたのですね。こうして広島や長崎、ベトナムやイラク、さらには9.11マンハッタンに繋がってゆく、死のサイクルが回転を続けました。
 …ふと、そんなことを考えながら、コヴェントリー上空を旋回。街の中心部には、大きな教会のオブジェクトが見えますが、実際に大聖堂があって空襲で破壊され、今は廃墟を大切に保存したまま、モダンな新しい教会が隣接して建っているそうです。そういえばベルリンの中心街にも、同様の教会がありますね。
 私は19000ftまで上昇し、リバプールへ向かって巡航を始めました。

●霧のマン島・低空ツーリング:
 FlightGearのリバプールは、一面の田園風景に、市街地が霜降り肉のように入り交じる、住み心地の良さそうな都会です。9000ftで海に出て、次の中継地・マン島へ。294KIAS(真大気速度332KTAS、軽風で対地速度311Kt)を保って巡航を続け、約30分で到着しました。
 伝統の2輪ロードレースで有名なマン島は、アイリッシュ海に浮かぶ「緑の宝石」です。Ver.2.0でお目見えした、鮮やかな黄緑系のCrop texture(耕地)に覆われた、なだらかな丘陵が連なって、どことなく信州か富良野あたりを思わせる景色でありまして、バイクでカッ飛んだら、非常に楽しそうです。今回初めて知ったのですが、この島は法的には大英帝国の一部でも、イギリス連邦の加盟国でもなく、自治権を持った「王室属領」だそうで、独自の通貨を持っており、ついでに道路は速度無制限だとか。
 高度を下げ、ちょっと減速して地形に追随して飛び、しばしツーリング気分を堪能。この日はシーリング(雲底高度)が低く、どっちみち2000ftくらいまで降りないと、前が見えなかったのですが…さらに雲が下がって、次第に私は霧の中に吸い込まれていきました。周囲の木々が霧に紛れ、山の稜線に白いシルエットを描き出し、非常に幻想的な眺めです。FlightGearでは、もやに包まれた遠くの山が白く見えますが、木々が樹氷のように見えたのは、これが初めてでした。
 霧はどんどん濃くなり、視界もそのうち400mかそこら、飛行時間にして3秒分くらいまで悪化。Atlasを起動していなかったし、もし霧から山が飛び出してきますと、回避に余裕はありません。この辺が限界かなと思い、スティックを斜めに引いて旋回上昇。3400ftでスポンと雲の上に出て、やれやれと一安心。はるか北のアバディーンに向かって、GPSをセットしました。

 初めて気付いたのですが、実は倍速モードを使って飛ぶ際に、時間経過が加速されていませんでした。パソコンが新しくなって以来、大阪周辺の散歩ばかりだったので、うっかりしていました。これでは飛行記録や推測航法が、めちゃめちゃになってしまいます。さっそくTatさんの daytime.nasを再インストール。早く手が打てたのは幸いでした。
 北海東岸のアバディーン空港へ到着。着地寸前に、前方の誘導路に737を1機発見し、滑走路に出てくるのではないかとヒヤヒヤしましたが、これはAI機ならぬ飾りのようで、終始じっとしていました。

●ブレリオ機で北海沿岸を舞う:
 アバディーンでは、対岸のノルウェーまで、どうやって北海を渡るか、あれこれ考えました。この海を初めて飛行機が横断したのは、1914年7月30日のこと。パイロットは、ノルウェーの極地探検家・作家でもあったトリグヴェ・グランです。第一次大戦勃発のため、英国ではこの日、グランの着陸から50分後にすべての民間機が飛行禁止となってしまい、彼のフライトは間一髪のタイミングで成功したのだそうです。
 使用機は、50馬力のブレリオ機です。有名なブレリオXI号機(25馬力)が原型で、1909年にドーバー海峡の初横断に成功して量産に移り、50〜140馬力にパワーアップして、第一次大戦初期まで使われました。グランの50馬力は、かなり初期の量産型と思われます。私は07年11月にXI号機で、ブレリオのドーバー海峡初横断とシャヴェーズのアルプス越え初飛行を再現し、本連載でご紹介させて頂きましたので、できれば北海横断もやってみたいと思い、あれこれ調べました。

 グランの出発地は、アバディーンから23マイル北にある、クルードン・ベイという村。着陸地はノルウェー南西端のジャーレンで、FlightGearのマップでは、SOLA空港(ENZV)の近くと思われます。
 今回はアバディーン沖を海上飛行して、取りあえず燃費を測定しましたが、ベストとみられる高度3000ftでは15.8nm/galと好記録を出すものの、満タンがわずか12gal(72Lbs)ですので、せいぜい190nmしか飛べません。史実では、グランは全行程465キロを4時間10分(一説には530キロを約5時間)かけて飛んだのですが、航続力がぎりぎりのため、上着やズボン、ブーツまで脱ぎ捨てて軽量化に努め、ガソリンを10リッター余分に積みました。真夏とはいえ北緯58度。低空とはいえ時速100キロ。軽装で吹きっさらしの古典機に乗り、海上を半日も飛ぶのは、さぞ体力を消耗したことでしょう。
 私の場合…パソコンの前でズボンを脱いでも、ガソリンは増えませんので、エンジン出力と燃料タンク容積増加の改造を試みましたが、本機のファイルは勝手がよく分からず、手を加えると起動しなくなってしまい、断念しました。どのみち飛行速度が35KIASでは、北海はいささか広すぎます。残念でしたが、今回の北海横断には通常通り、PC7改を使うことにしました。

●ネッシーの、不気味なふるさとへ:
 北欧へ渡る前に、一つだけ見物したいところがありました。恐竜伝説で有名な、あのネス湖です。確かスコットランドの北部ですから、すぐそばまで来ているのでは…。
 果たしてググってみますと、かなり近くです。アバディーンから西へ63nmのところにある、インヴァネス空港(EGPE)から、目前にあるネス川の河口に入って南下すると、山に挟まれた細長い湖があって、これがネス湖なのでした。
◎アバディーン・ダイス空港(EGPD)
   ▼289度63nm
◎インヴァネス空港(EGPE)
   ▼ネス湖
◎インヴァネス空港(EGPE)Aeroprakt A24 Viking
   ▼109度63nm
◎アバディーン・ダイス空港(EGPD)

 湖へ遊びに行くなら、やはり水陸両用機が面白いでしょうね。Aeroprakt A24 Vikingをダウンロードして、初めて飛ばしてみました。ロシアの軽飛行機で、前席2人+後席1人乗りのキャビンは非常に狭く、計器盤も小さく簡素で、大昔の360cc軽自動車みたいです。操縦は容易で、フラップを下げて滑走に移ると、何もしなくてもまっすぐ加速して、数秒で尾翼が持ち上がり、思わずスティックを引くと、50Ktくらいで離陸します。ギアはキャビンの両サイドに、水平よりやや上向きに引き上げられます。胴体に格納するわけではないので、脚上げしても速度変化はありません。巡航速度は、全開でも80Ktと鈍足です。

 アバディーンを離陸し、空港上空でターンして289度へ。濃霧が出ていて風は弱いので、風力修正計算を省略して針路を決め、倍速モードに入りました。鈍足をいいことに、Atlas頼りのラフな飛び方をしましたが、たまに霧に紛れて山が迫り、ひやりとします。やがて耕地混じりの高原が開けて、箱庭的な美しい景色が続きました。ふうむ、これがハイランド(スコットランドの高地)なんですね。訳もなく、スコッチウイスキーが飲みたくなってきます。
 この機体には、燃料計がありません。internal propertiesを見ると、タンク容量はわずか9.3galで、現在の残量はたった8gal。燃費は上昇中が8.8nm/galくらい、3000ftの水平飛行では9.3nm/galくらいでした。30分で燃料は半分以下に減り、心配になったころ、やっと小さなインヴァネス空港が見えました。Atlasがなければ見逃したでしょう。毎分1500ftで降下しましたが、ノーフラップでも70Ktしか出ず、空気抵抗が大きい分、減速がよく効いて操縦はラクでした。55Ktで最終進入、45Ktくらいで接地。燃料残は2.2galでした。つくづくタンクの小さい飛行機です。直ちに給油。
 1257時に離陸して、入り江と市街地を過ぎ、鉄道に沿ってネス川の河口へ向かいます。まもなく前方に、フィヨルドのように細長くのびるネス湖を発見。全長35キロ、最大幅2キロだそうで、特に西岸は断崖が連なっているため、荒涼として不気味に見え、恐竜伝説を生むのも無理はないと思いました。
 湖面に降りてみましたが、妙に寒々とした気分で、まったく落ち着かず、離水するとほっとしました。ここで誤って数字キーに触れたため、一挙に夜明けになってしまいましたが、お陰でかえって、いい写真が撮れました。朝日は東方ではなく、真夏なのに40度くらいの方角に見え、いかにも高緯度を感じさせます。帰路もインヴァネスで給油して、ひたすら燃料を気にしながら飛び続けました。
 山岳地帯で天候が激変し、大揺れを味わったあと。アバディーンの4nm手前で低空に降りたところ、雲量ゼロなのに地表がまったく見えず、世界が上下左右とも、霧一色に化けました。何かのバグかと思いましたが、よく観察すると、実は単なる濃霧と判明。次はこの機体にVOR指示器がなく、ILSが使えないことに思い当たり、どうやって空港に降りたものか、真剣に悩みました。Atlasを使って非精密進入しましたが、視界ゼロの超低空を計器飛行する機体は、いつのまにか蛇行して大揺れし、大変危なっかしいフライトになっています。いかんいかん、もっとシステマティックに操縦しなくては。

 フリーウェアの「斜めものさし」を起動して、Atlas画面で滑走路方位を計り直し。GPSのベアリング表示を使って精密に軸線を合わせて、HUDの電波高度計を使いながら、「前方に、必ず滑走路がある」と念じて最終進入し、何とか無事にタッチダウンしました。尾輪式のため最後に少々、路面に翼端フロートをこすっていますが、これはまぁ「無事」のうちに、入るでしょう(^^;)?
 静止してイグニッションを切ると、燃料の残りは実に0.187gal、1.12Lbsでした。あと数秒、迷っていたら完全にガス欠でした。困ったことに、この機体は重心がやや前寄りのため、アイドルで減速し過ぎると、上げ舵を使い切ってしまいます。少しパワーを残して降りるか、接地寸前に一発吹かさないと、機首から乱暴に落ちる癖があるのです。とは言え、やはり旅に出ると意外な出来事の連続で、楽しいです。

●ノルウェーの森と海:
 日を改めて、ピラタスPC7改で英国アバディーンを出発し、ノルウェーのベルゲンへ向かいます。
 わずか1時間弱の飛行ですので、燃料は1500Lbsあればいいでしょう。今回は乗り慣れた愛機で、ILSが使えますから、悪天候になっても大丈夫です。UTCの1209時(ローカル1309時)にエンジン始動し、滑走路で出発準備をしていたら、ちょっぴり機体が揺れました。不意に風が変わったのですが、今度も191度の28Ktと相変わらずの強風。ただし追い風気味なのは幸いです。では、出発!

 離陸後、すぐにGPSでベルゲンを目指しましたが、正しい空港コード「ENBR」を入れているのに、なぜかオートパイロットのTRUE方位モードが、本来のベアリング51度を表示せず、見当違いの344度になっており。どこで勘違いをしたのか、原因不明でした。これでは自動操舵が効きませんが、NAVをGPS-SLAVEモードに切り替えれば、HSIを見て操縦し、進路をウィングレベラーで固定することは出来ます。
 私は実のところ、「GPSの仕事は、位置や航法計算結果の表示のみ。針路設定は別途、パイロットがする」という飛び方の方が好きです。高度30000ftで、そういう体制に入りまして、224KIAS(358KTAS、対地383Kt)で燃費4.27nm/galをマークしつつ、快適に飛び続けました。1246時、目的地へ100nm弱の地点で降下開始。燃料はまだ720nm分残っています。ウィングレベラーで定針したため、今回はGPSお任せの大圏コースではなく、ラームライン(針路一定コース。高緯度では、わずかに遠回り)上を飛んでおり、GPSの計算針路から2nmだけ外れていますが、もちろん問題はありません。降下を続けます。
 1256時、あと35nm。高度12000ftで、STARに掲載されていた空港NDBを捉えました。まもなくILSを受信し、全自動のアプローチに移ります。緑の島がたくさん点在する、複雑な形をした入り江の上を、愛機は滑るように降下しまして、海辺の空港へ。着陸時の風は154度18Ktで、左18度くらいのアングルですから、まずまずの好条件。雲も5000ftにFewでした。最終段階でマニュアル操縦にして、そっと着陸。この日はAtlasさえ起動しないまま、まことに快適に飛びました。1312時にランプインしたところ、燃料残は両翼タンクで447Lbs×2(67.8gal×2)でした。
 空港の周囲は、深い森。さて次回は、ノルウェーをどんどん北上するつもりです。
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