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レーダーで航法を

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なし レーダーで航法を

msg# 1.3.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
depth:
23
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2010-1-18 12:52 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 前回は、ハワイ・オアフ島のディリンガム飛行場で、AI機の扱い方の勉強を始め、取りあえず駐機に成功したお話などをお届けしました。

 その時に、ふと思いついたのですが…AI機は地上であれ空中であれ、地球上のあらゆる所に、緯度・経度を使って正確に位置を定義し、好きなように配置可能です。また、かなり離れたところからレーダーで見ることができます。ということは、一種の航法標識としても利用可能ではないかと思いました。私はこれまで、レーダーにはちっとも興味がなかったのですが、自分でもAIを飛ばすことができるようになり、大好きな航法も絡むとなりますと、話は別です。今回は苦心を重ねてピラタスPC7改にレーダーを装備し、実際にAI機を探知して、画面表示法などを改良しました。

 もう一点。先日の、カリフォルニア=ハワイ間の推測航法では、やっと実用化したウインド・スター測風法を針路補正に使いましたが、実際に使ってみると、まだまだ煩雑でした。同時に、有意な精度を得るには、かなり頻繁に測定と計算が必要なことが分かりましたので、もっと簡略に保針する方法を考えました。今回はディリンガム飛行場から、ハワイ島のマウナケア山頂まで往復約380nmを飛んで、これらレーダーや航法の実証試験を行うことにしました。

●航法にAI機を役立てるには:
 AI機を航法に使うには、大まかに二通りの方法がありそうです。
最初に思いついたのは、大戦中に英空軍が使ったパスファインダー(夜間電子航法専門の爆撃隊誘導機)のように、先導機として使う方法でした。私も皆さんも普段は大抵、VORを使って飛ぶことが多いと思いますが、VORの覆域外ではどのように航法をされるでしょうか。一般的にはGPSを使えばいいのですが、FlightGearのGPSは、空港や無線標識、フィックスしか目標地点に選べず、任意の地点へ行くことは出来ません。これに対しAI機は、空港ならぬ富士山頂だろうが、VOR/DMEのないモンゴル高原の一点だろうが、自在に目的地を選べます。長距離飛行の先導に使うと、例えば…
     「チベット・ウイグル自治区で、巨大地震が発生した。
      ○○村へ輸送機で急行し、医療班を空挺降下させる」
…といった想定のフライトも、可能になることでしょう。
 ただし、肉眼より視界変更に手間取るFlightGearで、手動操縦によってAI機と長時間編隊を組むのは、非常に大変だと思います。たぶん前後に大きく距離を開けて、AI機を追尾することになりますが、AI機がセスナや零戦サイズの場合、空中で視認すること自体が結構難しいので、離陸後はAI機との会合そのものが一苦労です。こう考えますと、どうしてもレーダーが必要だと思いました。

 AI機活用のもう一つの手は、地上に置いたり定点旋回させて、いわば固定のレーダー・リフレクターとして使い、目的地や中継地の位置を示す標識に利用することです。わざわざ標識役の機体を飛ばすことはリアリティー上、少々疑問もありますが、実機ではウェザーレーダーで地形を見て、航法の補助手段に使うのですから、AI機を特徴ある地形の代用品と考えれば、別に荒唐無稽ではないと思います。

●まず、ブロンコのレーダー移植を試みる:
 次に、ピラタスPC7改に搭載できそうなレーダーを探しました。一部の戦闘機や旅客機には、かなり多機能らしいレーダーが付いていますが、その分だけ作業が複雑になることと、パネル上に占める面積も大きいことから断念しました。最終的に目を付けたのは、OV-10ブロンコNASA仕様機の640nmレーダーと、もっと簡易型の40nmレーダーです。ブロンコは一時、Ver.1.9.1の環境下では起動できなくなっていましたが、現在は対応版がアップロードされています。
 ブロンコのレーダーを調べてみますと、3Dのハウジングに収まったスクリーンを持ち、2.5nm〜640nmの間で広範囲に、2倍ステップでレンジを調節できます。また北を上とする絶対方位と、機首方向を上とする相対方位を使い分け、ターゲットごとに高度データを表示するなど、なかなか使いやすそうです。これを頂こうと思いました。

 あれこれ調べた上、まず Aircraft/OV10/Models/NASA/Instruments/EHSI/の中身を、そっくりコピー。次いで OV10_NASA-set.xmlの内部で見つけたレーダー関連の記述を、PC7改の関係ファイルにペーストしました。最初は、3Dオブジェクトのレーダースクリーンを、どうやって2Dオブジェクト計器を並べたパネルに配置すべきか迷いましたが、先日やはり3Dハウジング付きの磁気コンパスを、他機からPC7改に追加する際、Models/pc7.xmlにある<!-- sub models -->の後へ、3次元座標の入ったパスを書き込んだことを思い出し、同様に処理。非常に手間を掛けて、ホットスポットを合わせるなどの作業を行い、何とかパネル上にスクリーンを出現させましたが、1日半に及ぶ試行錯誤も空しく、ついに映像を出すことはできませんでした。

●T38の簡易レーダーが、突破口となる:
 次に挑戦したのが、3Dハウジングやマルチレンジ切り替え機能を持たない、簡易型のレーダーです。これはノースロップT38タロンなどに付いており、有効距離・レンジ選択も少なくて、20nmと40nmのトグルのみです。不便ですが、多少は改善できると踏みました。また1000ft単位で高度表示も可能ですので、ミニマムの機能は備えていると言うべきでしょう。
 それと。この簡易レーダーは、受信可能範囲内であれば、ターゲットが空中にあろうが地上にいようが、自機の姿勢やターゲットとの高度差に関わらず、常に画面に表示します。航法に利用するレーダーとしては、極めて便利な特性で、ぜひ使いたいと思いました。
 (ディリンガム上空に、AIのセスナや747などを飛ばして、ブロンコのレーダーを様々にテストした結果、自機の姿勢などによっては、近くの目標でも探知できない場合があることが判明しました。T38の簡易レーダーよりも手の込んだ、リアルな設計であろうと思いますが、見方を変えれば航法に使う場合、あまり当てにならないとも言えます)

 簡易型の40nmレーダーは、実は最初からピラタスPC7にも設定されているのですが、なぜか必要な記述の一部が設定ファイルから欠落しており、そのままでは起動できません。最初は正直、こんなものがあるとは知らずに、T38から丸ごと移植しようとして作業中、ようやく存在に気付いた次第です。
 長時間にわたり試行錯誤しましたが、結局は pc7-set.xmlファイルに、以下の部分を書き加えるだけで、取りあえず動いた…と思います(少し記憶が曖昧ですが)。この簡易レーダーは、スクリーン右上の「最小化ボタン」を押すと閉じて、「Radar」という小さなボタンに化けます。このボタンをクリックすると再び出現する仕組みで、以下のスクリプトはこの機能を起動時に初期化すると同時に、レンジを20nmにセットしているのでしょうね。
<instrumentation>
<radar>
<range type="int" archive="y">20</range>
<minimized type="bool" archive="y">false</minimized>
</radar>
</instrumentation>

 ただしこのままでは、スクリーンはT38と同様にパネルの右端へ出現し、空中に浮いたような、不自然な形になります。そこで以下のように panel.xmlの座標を修正して、エンジン計器の下あたりにスクリーンを配置しました。ここでは30行近く引用しますが、文中に各2カ所ある<X><Y>タグの内容のみが実際の変更点です。
<instrument include="../../Instruments/radar.xml">
<name>Radar</name>
<condition>
<equals>
<property>instrumentation/radar/minimized</property>
<value>false</value>
</equals>
</condition>
<x>650</x>
<y>-100</y>
<w>160</w>
<h>160</h>
</instrument>

<instrument include="../../Instruments/radar-minimized.xml">
<name>Radar-minimized</name>
<condition>
<equals>
<property>instrumentation/radar/minimized</property>
<value>true</value>
</equals>
</condition>
<x>650</x>
<y>-100</y>
<w>44</w>
<h>16</h>
</instrument>

 …最初は、これでもレーダーは動きませんでした。原因が全く分からなかったので、まず無改造新品のピラタスPC7を用意し、同じ作者の手によるレーダー実装機・T38のプログラムと比較して相違点を調べ、先程お話しした修正を加えて、レーダーを起動できるようにしました。次いで、現行のPC7改へ進化させるため、改造点を1ステップずつ再現し、そのつどレーダー起動試験を行って問題点を突き止めました。前記の<instrumentation>タグは、同一のset.xmlファイル中には、一つしか存在してはならないのですね。以前、PC7改の気速計にTAS表示機能を追加する際、コンコルドのファイルを丸写しする形で、この<instrumentation>タグを使って、TASを取り扱えるようにする記述をset.xmlに追加しており、今回は同じタグが二つ並んでしまったのです。これを1個に統合したところ、無事にレーダーが起動しました。

●簡易レーダーを、航法用に改造する:
 ここまでやっておいてから、実証試験のフライトに出かけましたが、全体の流れを分かりやすくするため、飛行テストのお話は後回しにして、その結果行った改良点をご紹介します。

 まず、スクリーンの表示レンジを変更しました。レーダーを航法に使うには、目的別に、
 ・長距離洋上飛行の推測航法補正:160nmレンジかそれ以上
 ・目標空港へのアプローチ   :20nmレンジ
 ・AI機との空中会合      :2.5〜5nmレンジ
…の3種類あたりが、それぞれ見やすくて適当だろうと思います。しかし簡易レーダーは、デフォルトでは20nm/40nmの2段階切り替え式で、いかにも不便です。本当はNASAブロンコ並みに、2倍多段ステップのレンジ切り替えが欲しいのですが、ここまでの改造は私の手に余るので、次善の策として長い方のレンジを160nmに改造しました。方法は、/Aircraft/Instruments/radar.xmlのバックアップを取っておき、以下のように変更します。
 ・range 40という記述を、すべてrange 160に置換。
 ・<value>40</value>の記述を、すべて<value>160</value>に置換。
 ・<scale>2.55</scale>の記述を、すべて<scale>0.6375</scale>に置換。
…これで大丈夫。スクリーン上の同心円に表示される距離数値も、同時に変更されます。

 またデフォルトのスクリーン画面は、自機からの距離を示す同心円が2本しかなく、方位を示す中心からの放射状の直線も、まったくありません。これではターゲットの位置が読めないので、Aircraft/Instruments/Textures/radar_background.rgb を開いて、クモの巣状の目盛りラインを描き入れました。モロに「デジタル化以前」の時代の…いささかクラシックなレーダースコープに見えますが、これで20nmレンジの場合、ターゲットまでの距離は1目盛り1nm(160nmレンジの場合は1目盛り8nm)で、自機からの相対方位は10度単位で読み取れるようになりました。
 航法計器には、較正が必要です。約180nm先のターゲットを使って、この目盛りの精度を検証したところ、方位はドンピシャリですが、距離は2nmほど誤差を発見。そこで先ほどの radar_background.rgb の解像度(画面サイズ)をわずかに調整して、ほぼピッタリに修正。これでどうやら、自機とターゲットの相対位置測定に使えそうなものが出来上がりました。スクリーンの外観を、マイアルバムでご覧に入れます。ご参照下さいましたら幸いです。

●レーダー航法を、飛行テストする:
 実証試験のフライトコースは、次のようなものです。
◎ディリンガム飛行場21.34.45N-158.11.46W
  0.53▼124.4度186nm
△ハワイ島マウナケア山・すばる望遠鏡194932N-1552834W
  0.18▼332.67度63nm
△マウイ島・ハナ地区 204525N-1555911W
  0.38▼291.6度134nm
◎ディリンガム飛行場
計383nm。(▼左側の数字は、飛行時間です=時間単位)

 マウナケア山は標高4000m以上あって大気の影響が少なく、晴天率も極めて高いため、世界最先端の天体望遠鏡12基が集中的に設けられ、いわば21世紀天文学の最前線です。以前知り合った先生が時々、ここですばるを使って遠方銀河の観測を行い、ハッブル宇宙望遠鏡の観測結果と組み合わせて、ダークマター(全宇宙の質量のかなり多くを占める、謎の暗黒物質)の立体分布図を作ったりしていましたので、どんな場所なのか興味があり、目標地点に選びました。またマウイ島のハナ地区は、リンドバーグが最晩年を過ごした別荘のあった所で、実はお墓もここにあります。ディリンガムから、この2カ所を経由して往復飛行を行い、以下のテストを行いました。
 ・すばる望遠鏡の位置、高度13000ftにAIセスナを旋回させ、
  レーダーへの映り方と、目標物に使えるかどうかを確認。
 ・ハナ地区に、AI操縦のセントルイス号を旋回させ、同様に
  検証する。
 ・往復の巡航には推測航法を使うが、ウインド・スター測風を
  行わない代りに、Atlas画面で継続的に偏流角を測定して、
  絶えず針路補正を行う。針路の左右方向については、これで
  ウインド・スター測風法よりも精度が上がり、また作業が
  非常に簡単になる。
 ・偏流角の測定のみでは、針路の前後方向の誤差が測定できな
  いが、レーダーを搭載した以上は、つねに対地速度を自動計
  算できるものと見なして、パネル上のHSIに対地速度のデジタ
  ル表示を復活。これで到着予想時刻の計算を行う。

 …当日の天気は快晴、ディリンガム上空6000ftの風は、340度12Kt。これをもとに、補正針路と到着予定時刻の初期値を出し、ピラタスPC7改で離陸します。短距離フライトですから、燃費を気にする必要はなく。景色も見たいので、高度は17500ftと低めにしました。
 数分ごとに、Atlas画面の航跡にマウスポインタを当て、フリーウェア「斜めものさし」のポインタ位置測定機能を使って、こまめに偏流を測定しましたが、測定のための変針は不要で、計算もほとんどなく、ただオートパイロットを微調整するだけですから、非常に楽なフライトです。リアルウエザーで刻々変化する風をちゃんと補正しつつ、186nmを巡航してマウナケア山頂に着いてみると、誤差は左右に1nm未満、時間にして1分未満と、飛んでもない高精度が得られました。風向・風速があまり変化しなかったためですが、風の測定法を単純化したことと、対地速度を直読できる仕組みを復活したことも、当然大きいと思います。
 ちなみにFlightGearのマウナケア山頂は緑に覆われ、こんもりとした風景でしたが、Google Earthで実像を確認すると、何しろ火山の火口付近ですので、草木は非常に少なく、さながら地獄の一丁目です。マウイ島のハナ地区は、誠に穏やかな海岸と山が拡がって、ごく小さな空港があり、なかなか落ち着く場所に思えました。

 またレーダーの機能ですが、マウナケアのAIセスナは、160nmレンジ一杯の距離から、快調にとらえることができました。スクリーン上の目盛りで位置を計るだけに、VORより誤差は大きいですが、それなりに代用品として使えると思います。ただし高度設定が不適切だったので、AIセスナの機影はぎりぎりで地中に潜り込んでしまい、実際に空中で目視することはできませんでした。またセントルイス号は、なぜかレーダーに映らず、肉眼でも発見できず。後日、ディリンガムで追試した際も、セントルイス号は目視できたものの、レーダーには反応しませんでした。機種によってこのような違いが生じる理由は、まだ分かっていません。
 しかしともかく、マウイ島のハナ上空で160nmレンジを使いますと、マウナケア旋回中のセスナとディリンガムに駐機するAI機群が同時に見え、それぞれ距離と方位を直感的に知ることができました。非常に貧しい情報ながら、言わばある種の「地図」が得られたわけで、レーダーはすごい道具だと、改めて思いました。
 ハナからディリンガムへの帰路は、マウイ島北岸とモロカイ島上空でコロコロと風向・風速が変わった影響か、ちょっと誤差が大きくなり、到着時は位置が数nmずれたと思います。正確な記憶が吹っ飛んでいるのは…なぜかアプローチ時にスロットルが全開のまま動かなくなり、ダウン・ウインド・レグを飛行中に、オートパイロットで「速度ゼロ」を指定して、強制的にアイドルに下げたところ、今度は加速不能になって…少々慌てたからです。幸いこの1週間、さんざん離発着した飛行場だけに、例え動力が言うことを聞かなくても、問題なく降りることができました。
 ともかく、レーダーを手に入れたお陰で、FlightGearの楽しみが、また大きく拡がりました。今後、さまざまな活用方法を思いつきそうです(^^)/。
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