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天文航法でロビンソンの島へ(後編)

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なし 天文航法でロビンソンの島へ(後編)

msg# 1.2.1.1.1.1.1.1.1.1
depth:
9
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2008-11-16 11:58
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 ご無沙汰しています。少々身体を壊しましたが回復し、ついでに大幅な
軽量化に成功しました。近年は、体型が紫電改に近づいて、「10年後には
雷電か」と心配しておりましたが、晴れてゼロ戦並みのシルエットに戻り
ました。お陰で何かと快調です(^^;)。

●新しいExcel航法計算シート「F-NAV」:
 天文航法の報告を続けます。私は前回お話ししました「高度方位角法」
計算用のExcelシートを改良し、太陽の測定方法をやや変更したほか、天
測用アドオン関数を活用して、以下の機能を追加しました。
 (1)フリーVOR:
    任意の地点へ飛行中、コース近傍のVOR受信データから現在
    の緯度経度と、目的地への修正針路・修正到着予定時刻を算
    出する。
 (2)NDB測距:
    三角測量を応用して、NDB局への距離を測定。さらに現在の
    緯度経度と、目的地への修正針路を算出する。

 天文航法に加えて、これらの機能があれば、もはやVOR局間を直航する
必要はなく、コース設定の自由度が非常に大きくなります。私はこのシ
ートを、「Free NAVigation」の略で「F-NAV」(エフナビ)と呼んでいま
す。マイアルバムに画面写真をご紹介します。

■天測でロビンソンクルーソー島へ:
 今回のフライトでは天文航法を中心に、F-NAVの実証試験をします。ブ
ロンコ改でチリ・サンチャゴの国際空港を離陸、太平洋をほぼ真西に進み
天測でロビンソンクルーソー島へ。島の上空で反転し、復路はサンチャゴ
の北方約40nmある港湾都市、バルパライソの空港に向かいます。以下のフ
ライトプラン記載のコースはすべて真方位。カッコ内は緯度経度です。

◎サンチャゴ Arturo MerinoBenitez国際空港 SCEL
(S33.23.35-W70.47.10)RWY358-178
★空港VOR 117.20(33.24.53S-70.48.05W)
   ▼268度403.7nm
△ロビンソンクルーソー島の最高峰
(33.37.49S-78.51 03W)
☆NDB-293(33.37.00S-78.50.12W)
   ▼83.7度372nm
◎バルパライソのVina del Mar空港 SCVM
(32.56.58S-71.28.43W)RWY51-231=サンチャゴの307度43nm。
VOR 113.30 NDB 384(32.44.18S-71.29.46W)

参考VOR:(フリーVORテスト用)
★サントドミンゴVOR(33.39.56Sー71.37.09W)113.70
=サンチャゴの249度34nm(バルパライソからは190度44nm)

 UTC1400時(現地時間11時)、サンチャゴでエンジン始動。風は3000ft
まで300度10Kt、6000ftまで310度20Kt、9000ftまで320度30Kt。雲は5000
ft付近にスキャタード、高空に絹層雲が少々。燃料は余裕をみて、機内
3000Lbs満タン+補助タンク2000Lbsとしました。

 F-NAVに、サンチャゴ空港とロビンソンクルーソー島の緯度経度、巡航
速度(250Kt)を入力。これで針路と飛行距離が出ます。計算には地球を
楕円回転体と見なす「漸長緯度航法」の関数を使い、FlightGearの地球
モデルも楕円体なので、かなりよく数値が合うはずです。空港の緯度経度
は主滑走路の中央、ロビンソン島は最高峰を狙って、それぞれAtlasで測
定しました。
 横風気味の滑走路を、北へ離陸。風による針路補正計算は行わず、天測
結果をもとに針路修正する予定です。空港の東で5000ftまで旋回上昇し、
1406時(以下すべてUTC)に滑走路上空を横断。ここを基点にロビンソン
島へ定針します。離陸直後の燃費は1.4096nm/gal。残る航続力は1200nm
4時間42分。トリムを細かく調整し、昇降舵をきっちり中立にすると、わ
ずかながら燃費が良くなりました。

●油断ならない「時差」問題:
 滑走路上空の通過時刻を、「出発時刻」セルに年月日・時分の形式で入
力。これで自動的に到着予定時刻が出ます。天測は出発1時間後に行うつ
もりですので、「◆観測点への飛行」列の「所要時間」セルに「1」と入
力します。すると「◆観測点」列にある、「観測時刻」「推定緯度」「推
定経度」「太陽赤緯」「太陽G(グリニッジ)時角」や、観測時の推定太
陽高度、同じく太陽方位などのセルが、自動的に埋まります。

 この「出発時刻」は、なかなか曲者です。ある夜、シートの計算テスト
を進めていたところ、太陽正中時前後では3nm未満だった測位誤差が、突
然10nm以上に跳ね上がりました。
 最初は原因が分からず途方に暮れましたが、これは時差の見落としによ
る現象でした。天測計算にはUTC、つまりグリニッジ時間を使います。ま
たFlightGearの天体運行管理にも、UTCが使われています。私は出発時刻
の「年月日」を打ち込む際、パソコンのカレンダーを見たのですが、当然
これは日本時間。ちょうど夜中を過ぎて日付が変わったばかりでしたので
F-NAVとFlightGearの間に、丸1日の時差が生じてしまい、約10nmの測位
誤差を生んだわけです。

●初の洋上天測を行う:
 …11月の南半球は日差しが強まり、3D雲がきれいです。私と愛機は海
岸線を越えて、太平洋へ。
 3倍速で淡々と海上を進み、天測予定時刻が迫ります。機内の787用デジ
タル時計には、秒表示がありませんので、パネルに残しておいたアナログ
時計を今回、339PAN用の秒針付きに換えました。天測時刻が5秒狂うと、
1nmの測位誤差が生じます。予定時刻の瞬間には、かなり気合いを込めて
pouseを掛けました。
 視界をhelicopter viewに切り替え、カメラ位置を10000mバックさせた
後、太陽をDVDサイズに拡大。toshiさんに教えて頂いたマウス微動機能で、
慎重に中心を照準しました。Internal Properties/sim/current-viewを開
き、pitch-offset-degの数値-62.4294度を、F-NAV「高度角」セルに入力。
これでインターセプト(推測太陽高度角と実測値の差=推測地点と実測地
点間の距離)が求まります。

 ここで航空図に、太陽方位を示す線を引き、その上にインターセプトを
記入して、そこから太陽と直角の方向に線を引けば、今回の観測に基づく
「位置の線」が得られます。また数時間後に、第2の位置の線を求め、航
空図に2本の位置の線の交点を描けば、その時点の現在地が得られたこと
になります。
 精度を上げるため、この作図をせずに、いきなり緯度経度を算出したい
のですが、Excelで2元1次方程式を解くのは、かなり面倒だと分かりま
して、今のところ断念しています。また航空機の天測には、実はこれまで
お話ししていなかった、もっと大きな問題があるのです…。

●航空天文航法の、大きな「落とし穴」:
 この、航空図に描く2本の位置の線は、測位精度を考えますと、かなり
大角度で交差させなくてはなりません。ということは、2回目の天測は、
太陽に十分移動する時間を与えるため、出来れば3〜4時間待って行う必
要があります。でも、こんなに時間を置きますと、多くのフライトでは、
目的地を通り過ぎてしまいます。
 私は以前、日本人のフェリー・パイロット(機体空輸業を営むフリーラ
ンスの飛行士)が天測航法を使い、単発機で大西洋横断をした記録を読み
ましたが、この例でも天測は2回だけでした。沿岸でNDBを併用するとは
いえ、天測による緯度経度は飛行中、一度しか得られなかったわけです。
太陽を使う限り、これは宿命のようですね。(夜間でしたら、ほぼ同時に
複数の恒星を観測できるので、何度も緯度経度が出せますが)

 …この点を解決するため、F-NAVでは結局、Internal Propertiesから太
陽の方位角を読むことにしました。この方法ですと、1回の観測で現在地
が決まります。ただし現実の六分儀は、本質的には、天体の高度角を計る
分度器ですので、方位角を読むのは、天文航法の原理を踏み外した邪道だ
という気もします。悩ましいですね…。
 F-NAVでは、goal-heading-offset-deg をセルに入れると、太陽の方位が
出ます。今回の入力は205.9629度で、算出した現在地は、南緯33度32分19
秒、西経75度45分18秒。HUDの緯度経度(正解)と比べますと、南へ10nm、
東へ6nmずれていました。期待したより大きな誤差ですが、機上の視界で
は「目の前」と言えます。また当初目標の「誤差10nm以内」をほぼ達成し
ました。
 F-NAVは、算出した緯度経度をもとに、実針路や対地速度、偏流(横風で
流された角度)を算出し、これをもとに目的地までの残距離と飛行時間、
到着予定時刻を再計算します。以下、その表示のコピーと注釈です。
★目的地へ修正
新しい針路 267.9830408 (注:E6-Bによる検算では267.97度)
修正角 0
修正真針路 267.9830408
飛行距離 155.5640762 (注:同様に154.84nm)
実所要時間 0:37:20
到着予定 2008/11/13 15:08(注:計算違い。実際は15時43分)

 …風向風速の補正計算なしに飛んだので、修正角ゼロというのは、おか
しな話です。また到着予定時刻の足し算が変ですね。私はどうもExcelの
年月日・時分秒の計算が苦手で、このバグは着陸後に修正しました。針路
と距離はフリーウェア「Vertual E6-B」で行った検算結果と差があります
が、双方のアルゴリズムの違いで起き得る、許容可能な差の範囲とみて、
このままF-NAVの算出針路に従って飛ぶことにしました。

●セルカークの島:
 天測までに250nmを飛び、残りは約155nm。3倍速なら約10分でゴールで
す。時計と水平線を眺め、落ち着かないフライトが続きます。
 15時36分。コクピット・ビューを広角に引いたり、逆に望遠にしてスキ
ャンしていたら…見えた!! 機体の右約45度、細長い島が、まさに水平線
から滑り出したところでした。航海士セルカークが暮らした、ロビンソン
クルーソー島に間違いありません。
 はやる心を抑え、到着予定時刻まで、さらに7分前進します。島は真横
から、やや機尾の方向へ移動。距離は10nmもなさそうです。だがHUD表示
の「正解」緯度経度から計算すると、島の最高峰は、機体から29度方向に
19.02nm離れていました。数字上は大きな誤差が出て残念ですが、島は一応
「目の前」に見え、天測は孤島にたどり着く手段として、十分実用になる
と言えますので、私はわくわくしました。

     ○

 やや高度を下げ、島に近づきます。西端に付随する小さな無人島、サン
タ・クララ島の上空を過ぎ、実世界ではミニ空港がある、西部の低地を飛
行。次いで中央部から東部へ続く山岳地帯を、東に抜けます。途中に鞍部
がありますが、これが救助船を探し求めたという「セルカークの見張り台」
でしょうか…。北方に、ちょっとした湾と狭い海岸平野があり、実世界で
は島唯一の居住区域だそうです。FlightGearでは、ここにNDBがあります。
ここでF-NAVの「NDB測距」をテストする予定でしたが、残念ながら停波し
ているらしく、受信不能でした。
 諦めてF-NAVに、帰路の航法データを入力します。目的地にバルパライソ
の緯度経度を入れ、今回は比較のため、Vertual E6-Bで風向風速の補正計
算をしました。310度20Ktの風を受け、真方位83.7度を250Ktで飛ぶと、対
地速度は263.4Kt、修正コースは80.7度になります。また「フリーVOR」機
能のテストに備えてNAV1に、目的地バルパライソからはるか南方にある、
サントドミンゴVORの周波数を入れました。帰りも天測をしますが、時刻は
島を離れて1時間後(1649時)です。

●天測の誤差を、フリーVORで補う:
 東へ飛んでいると、1607時ごろ燃料警告灯が点き、補助タンクから機内
タンクに切り替えました。残りは2815Lbsで、燃費1.5156nm/gal、残る航続
力は751nm、2時間40分でした。バルパライソ到着後も、1時間は飛べる計
算です。
 間もなく第2の天測を実施。計算結果は、南緯32度55分23秒、西経73度
41分59秒で、「正解」から北へ9nm、西へ23nmずれました。特に経度方向
は、ばかに大きな誤差です。目的地への修正針路は90.57度と出ましたが、
右へ10度も変針することになり、修正角が大きすぎると感じました。これ
をどう分析し、今からどう飛ぶべきか、ちと悩みました。

 まず「正解」の緯度経度を使い、バルパライソへの針路を再計算。する
と93.24度85.53nmと出ました。F-NAVが算出した補正針路に近い数字です
ので、F-NAVの数値を使って続航することにしました。
 ここでふと思い出し、フリーVOR機能テスト用のサントドミンゴVORを受
信。方位と距離は115度85nmでした。後はVOR局とバルパライソの、緯度経
度を入力すれば、F-NAVが針路と方位を出してくれます。しかし、待てよ。
VORラジアルは磁気方位ですが、真方位から補正する機能を付けていませ
ん。それに私は、サントドミンゴの偏差を調べ忘れています。困ったな。
 Internal Properties/environment/magnetic-variation-deg で現在地
の偏差を見ると、偏東5.07度。サントドミンゴは44nm南ですから、ほぼ、
同じだろうと判断。この偏差で代用しました。F-NAVによる実測現在地の
緯度経度と「正解」、そして両方の差は、次の通りです。

実測33.1025S-73.1229W。
正解33.04 39.6S-73.09 31.2W。誤差6nm南、3nm西。
 この結果は天測より相当正確で、立派に実用性があることを確認しまし
た。フリーVORにも針路修正の機能があり、計算結果は次の通りです。
▼目的地へ修正 2008/11/13 16:50
新しい針路 80.93067384
修正角 -3.763599708
修正真針路 77.16707413
飛行距離 43.51163458
実所要時間 0:09:18
到着予定 2008/11/13 16:59
 …なかなかうまく、計算できているようです。この通りに飛行を続けた
ところ、バルパライソ市街地を右手に見て、陸に到達。予定時刻より10分
遅れで、機体のすぐ左下に滑走路を発見しました。

●ここって…どこ?:
 経度方向にかなり誤差が出ましたが、緯度は大変正確に思えましたので
私は一応ホッとしまして、慎重に旋回を重ね、横風の中を着陸しました。
しかしVina del Mar空港って、やけに小さいなあ。調布飛行場か、ブルッ
クランズに降りるみたいな緊張感です。
 …ILSもあるのに、なんでこんなに滑走路が、短いのか。一瞬疑問が浮か
んだのですが、私はそのまま、着陸の事後作業に取り掛かりました。燃料
残を記録し、Atlas画面を開いて仰天。私は Vina del Mar空港ではなく、
10nm近く北の Quintero飛行場に、誤着陸していたのです。やーれやれ。

 次回は多分、満タン離陸になりますが、この短い滑走路では無理。そこ
で少々バツの悪い思いをしながら、エンジンを再起動。Vina del Mar空港
へ移動しました。するとこの空港は、周囲の風景に紛れて、異様に発見し
にくいことが判明しました。
 のちの調査では、左至近にQuintero飛行場を発見した時、右アビームに
は偶然、Vina del Mar空港があり、距離は8nmでした。5度で代用した偏差
は、正しくは6度なのですが、1度の差による誤差は約1.5nmでした。なぜ
8nmも外れたかは、まだ分かりません。

 総じて今回は、「誤差は結構あるが、天測を含めて、たぶん原理は間違
っておらず、F-NAVは使える!」と感じました。今後北へ向かう旅の途中
で、天測結果と「正解」を突き合わせながら、少しずつ改良することにな
りそうです。天測の研究は手探りですが面白く、FlightGearと航法全般に
ついて、より深く知る手段になります。さらに新しい研究テーマも、すで
に心の中に浮かんでいます。
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