飛行場灯台を改造する
飛行場灯台を改造する
msg# 1.3.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
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FlightGearでは、地域によっては空港が地形テクスチャーに紛れて、大変判別しにくい場合があります。数年前に「縦回り世界一周」で立ち寄った、カンボジアのプノンペンなんか特にそうで、ほぼ真上に来ているはずなのに、数分旋回してもなかなか滑走路が見えず、非常にイライラしたものです。私は今後も推測航法や地文航法、また可能なら天文航法もしばしば使うと思われ、となるとファイナル・アプローチは有視界ですから、空港が見えにくいままでは、かなり困ったことになりそうです。
かつて使ったMSFS2000は、計器の目盛りや空港灯火類のコントラストを、思い切って上げることで、大幅に視認性を稼いでいました。確かに見やすいのですが結構どぎつくて、見た目の美しさはFlightGearに軍配が上がると思います。それはいいとして、どこをどう改良したものでしょうか…。
折しもいま、Hydeさんやtoshiさんが「各種ライティングの設定について」で、灯台の視程などのお話を展開されています。これに触発される形で、今回はABN(飛行場灯台)に手を加えて、大幅に視距離を伸ばしてみることにしました。あちらではちょうど、着陸灯の話題が佳境に入りつつありますので、こっちに書かせていただくことにします。
●どうやって明るく見せるか:
本物の灯台は、もちろん光量を上げれば視距離が伸びます。ただしフライトシミュレーターでは、液晶画面の真っ白な画素以上に明度を上げられませんので、灯火の視認性を上げるには、発光を示す画像の面積を大きくするか、コントラストを上げるしか、基本的には手がありません。FlightGearの飛行場灯台は、デフォルトでは次のようになっています。
発光を表す円盤:名称はFlash。直径20m(視程1000m以下)と50m(同16000m以下)の切り替え式。
光の回転コーン:名称はHalo。全長100m。視程は0〜750mのみ。
その他、近距離でHead(回転灯器)やMast(塔)を表示。
手始めに、FrightGear/data/Models/Airport/rot-bcn-2.rgb(Flashのテクスチャー)をGIMPで開いて、薄ぼんやりした白い光の像を、ブラシツールで濃く大きく加工し、周囲の透明部に、不透明度33%の黒い隈取りを描き添えて、コントラストを上げました。ロンドン郊外・ビギンヒル空軍基地でテストしましたが、たったこれだけの改造でも、かなり視認性が改善されます。
コントラスト強調後は、3nm以下ですと、隈取りまで見えてしまい、くどいくらい鮮やかです。4nm離れると快適に感じられ、6nm離れると小さすぎて、空港の場所を知らないと見つけにくい感じでした。
最適な距離と感じられた4nm(約7400m)では、直径50mのFlash画像が使われているので、Flash直径の約150倍の視距離が適正らしいと分かりました。となると、ひとまず最大で40キロ(20nmあまり)の視距離を目標としましたので、Flashの最大直径は250m必要です。これは非常にでかいので、デフォルトのFlash2段階切り替え式を、4段階にした方がいいと判断。デフォルト部品をコピペして、新たに120mと250mのFlash円盤を作り、3Dオブジェクトに追加しました。次にbeacon.xmlを書き換え、視距離に応じてFlashのサイズを次のように切り替えるよう設定。なおFlash円盤は当然、緑と白の2種類があります。
1000mまで :直径20m(既成のFlashを改造)
7000mまで :直径50m(同上)
18000mまで:直径120m(新たに作ったFlash)
40000mまで:直径250m(同上)
…4段切り替え式は、なかなかいいアイディアだと思ったのですが、記述ミスがあるらしく、新しいFlashのうち、白い方が発光しませんでした。結局はFlashを当初の2枚に戻してしまいましたが、直径は120mと250mに大型化し、20000mで切り替えています。わくわく気分で、テストに移りました。
●光のコーンは、衝突するし風も起こす:
戦前の英空軍の、タイガーモス練習機によく似た、スタンプSV4複葉機でビギンヒル空軍基地を飛び立ち、2nmほど都心寄りを9000ftで飛びながら、機首をあちこちに向けて、ロンドン近郊の空港灯台を探します。テスト結果は非常に良好で、ロンドンシティ空港も、はるか彼方のヒースローも、ガトウィックもレッドヒルも、ばんばん見えてしまいました。ただし…至近距離で見るFlash円盤は巨大すぎて、とくに白い発光の場合は、ドイツ軍の爆弾が70年ぶりに、ビギンヒルに落ちたような眺めです(笑)。
そこで0〜5000mではFlash円盤を作動させず、Halo(コーン型の光芒。回転ビーム)のみ表示することにしました。もちろん実際は、黄砂か霧がない限り、真っ昼間にHaloが見えたりしませんが、バクダンよりマシです。これで完成と喜んでいたら、不思議な現象に出会いました。離陸後まもなく、機体が滑走路上空、高度100ftかそこらで、不意に空中停止してしまうのです。
最初は、FlightGear本体かパソコンのトラブルと思い、頭を抱えましたが、あれこれ調べているうちに、機体が灯台の光(Halo)に接触して、衝突判定を食ったことが分かりました。私はHaloを全長1000mに拡大しましたが、これによって滑走路の真上は、ブンブン回転する「長さ1キロの棍棒」に脅かされることになったわけです。また滑走路端に駐機中、Haloが頭上を通過すると、ウチワであおがれたライトプレーンみたいに、機体がぐらぐら揺れまして、機首方位も段々ずれてきます。FlightGearの世界では、巨大なオブジェクトが運動する場合、風圧効果が生じるのですね…知らなかったなぁ!
一部の機体には、同じく円錐形の着陸灯の光が付いており、これが滑走路表面に接触しても、何も起きないのですから、Haloの場合も衝突判定を解除する方法があるはずです。が、私には見つけることができませんので、Haloが表示される距離を1030m〜5000mに再設定しました。なぜ全長の1000mに30mを加えたかと言いますと、灯台までの距離を測る機体側の基準点が、機首の先端なのか、或いは機体内部にあるXYZ軸の原点となるのか分からなかったので、安全マージンを見込んだ次第です。
マイアルバムに簡単な説明図と、灯台の見え方をアップロードしておきます。実際の飛行場灯台は、もっとピンポイントで鋭く光るのではないかと想像しますが、現在できるのは、こんなところです。これまでは、着陸して初めて灯台に気付くことが多く、事実上単なるアクセサリーでしたが…ようやくこれで、実用的なレベルになってきたかと思われ、今後のフライトが楽しみです。
●飛行場灯台の視認距離について:
もう一点、忘れていました。実世界では飛行場灯台は、どの程度遠くから視認できるか、ですが。
「Aerodrome beam light」などでググったところ、米国サクラメントのFlight Lightという会社のHPがヒットし、製品一覧が出ていました。どれも規格は Visibility 40 miles, 400,000 candlepowerです。40nmの視程は夜だけなのか昼間もそうなのか、これだけでは分かりませんが、ずいぶんよく届くものですね。ちなみにキャンドルパワーという明るさの単位は、かつて使われた「燭光」のことで、現在の「カンデラ」と事実上(小数点以下2けたまで)同じです。
FlightGearでは、地域によっては空港が地形テクスチャーに紛れて、大変判別しにくい場合があります。数年前に「縦回り世界一周」で立ち寄った、カンボジアのプノンペンなんか特にそうで、ほぼ真上に来ているはずなのに、数分旋回してもなかなか滑走路が見えず、非常にイライラしたものです。私は今後も推測航法や地文航法、また可能なら天文航法もしばしば使うと思われ、となるとファイナル・アプローチは有視界ですから、空港が見えにくいままでは、かなり困ったことになりそうです。
かつて使ったMSFS2000は、計器の目盛りや空港灯火類のコントラストを、思い切って上げることで、大幅に視認性を稼いでいました。確かに見やすいのですが結構どぎつくて、見た目の美しさはFlightGearに軍配が上がると思います。それはいいとして、どこをどう改良したものでしょうか…。
折しもいま、Hydeさんやtoshiさんが「各種ライティングの設定について」で、灯台の視程などのお話を展開されています。これに触発される形で、今回はABN(飛行場灯台)に手を加えて、大幅に視距離を伸ばしてみることにしました。あちらではちょうど、着陸灯の話題が佳境に入りつつありますので、こっちに書かせていただくことにします。
●どうやって明るく見せるか:
本物の灯台は、もちろん光量を上げれば視距離が伸びます。ただしフライトシミュレーターでは、液晶画面の真っ白な画素以上に明度を上げられませんので、灯火の視認性を上げるには、発光を示す画像の面積を大きくするか、コントラストを上げるしか、基本的には手がありません。FlightGearの飛行場灯台は、デフォルトでは次のようになっています。
発光を表す円盤:名称はFlash。直径20m(視程1000m以下)と50m(同16000m以下)の切り替え式。
光の回転コーン:名称はHalo。全長100m。視程は0〜750mのみ。
その他、近距離でHead(回転灯器)やMast(塔)を表示。
手始めに、FrightGear/data/Models/Airport/rot-bcn-2.rgb(Flashのテクスチャー)をGIMPで開いて、薄ぼんやりした白い光の像を、ブラシツールで濃く大きく加工し、周囲の透明部に、不透明度33%の黒い隈取りを描き添えて、コントラストを上げました。ロンドン郊外・ビギンヒル空軍基地でテストしましたが、たったこれだけの改造でも、かなり視認性が改善されます。
コントラスト強調後は、3nm以下ですと、隈取りまで見えてしまい、くどいくらい鮮やかです。4nm離れると快適に感じられ、6nm離れると小さすぎて、空港の場所を知らないと見つけにくい感じでした。
最適な距離と感じられた4nm(約7400m)では、直径50mのFlash画像が使われているので、Flash直径の約150倍の視距離が適正らしいと分かりました。となると、ひとまず最大で40キロ(20nmあまり)の視距離を目標としましたので、Flashの最大直径は250m必要です。これは非常にでかいので、デフォルトのFlash2段階切り替え式を、4段階にした方がいいと判断。デフォルト部品をコピペして、新たに120mと250mのFlash円盤を作り、3Dオブジェクトに追加しました。次にbeacon.xmlを書き換え、視距離に応じてFlashのサイズを次のように切り替えるよう設定。なおFlash円盤は当然、緑と白の2種類があります。
1000mまで :直径20m(既成のFlashを改造)
7000mまで :直径50m(同上)
18000mまで:直径120m(新たに作ったFlash)
40000mまで:直径250m(同上)
…4段切り替え式は、なかなかいいアイディアだと思ったのですが、記述ミスがあるらしく、新しいFlashのうち、白い方が発光しませんでした。結局はFlashを当初の2枚に戻してしまいましたが、直径は120mと250mに大型化し、20000mで切り替えています。わくわく気分で、テストに移りました。
●光のコーンは、衝突するし風も起こす:
戦前の英空軍の、タイガーモス練習機によく似た、スタンプSV4複葉機でビギンヒル空軍基地を飛び立ち、2nmほど都心寄りを9000ftで飛びながら、機首をあちこちに向けて、ロンドン近郊の空港灯台を探します。テスト結果は非常に良好で、ロンドンシティ空港も、はるか彼方のヒースローも、ガトウィックもレッドヒルも、ばんばん見えてしまいました。ただし…至近距離で見るFlash円盤は巨大すぎて、とくに白い発光の場合は、ドイツ軍の爆弾が70年ぶりに、ビギンヒルに落ちたような眺めです(笑)。
そこで0〜5000mではFlash円盤を作動させず、Halo(コーン型の光芒。回転ビーム)のみ表示することにしました。もちろん実際は、黄砂か霧がない限り、真っ昼間にHaloが見えたりしませんが、バクダンよりマシです。これで完成と喜んでいたら、不思議な現象に出会いました。離陸後まもなく、機体が滑走路上空、高度100ftかそこらで、不意に空中停止してしまうのです。
最初は、FlightGear本体かパソコンのトラブルと思い、頭を抱えましたが、あれこれ調べているうちに、機体が灯台の光(Halo)に接触して、衝突判定を食ったことが分かりました。私はHaloを全長1000mに拡大しましたが、これによって滑走路の真上は、ブンブン回転する「長さ1キロの棍棒」に脅かされることになったわけです。また滑走路端に駐機中、Haloが頭上を通過すると、ウチワであおがれたライトプレーンみたいに、機体がぐらぐら揺れまして、機首方位も段々ずれてきます。FlightGearの世界では、巨大なオブジェクトが運動する場合、風圧効果が生じるのですね…知らなかったなぁ!
一部の機体には、同じく円錐形の着陸灯の光が付いており、これが滑走路表面に接触しても、何も起きないのですから、Haloの場合も衝突判定を解除する方法があるはずです。が、私には見つけることができませんので、Haloが表示される距離を1030m〜5000mに再設定しました。なぜ全長の1000mに30mを加えたかと言いますと、灯台までの距離を測る機体側の基準点が、機首の先端なのか、或いは機体内部にあるXYZ軸の原点となるのか分からなかったので、安全マージンを見込んだ次第です。
マイアルバムに簡単な説明図と、灯台の見え方をアップロードしておきます。実際の飛行場灯台は、もっとピンポイントで鋭く光るのではないかと想像しますが、現在できるのは、こんなところです。これまでは、着陸して初めて灯台に気付くことが多く、事実上単なるアクセサリーでしたが…ようやくこれで、実用的なレベルになってきたかと思われ、今後のフライトが楽しみです。
●飛行場灯台の視認距離について:
もう一点、忘れていました。実世界では飛行場灯台は、どの程度遠くから視認できるか、ですが。
「Aerodrome beam light」などでググったところ、米国サクラメントのFlight Lightという会社のHPがヒットし、製品一覧が出ていました。どれも規格は Visibility 40 miles, 400,000 candlepowerです。40nmの視程は夜だけなのか昼間もそうなのか、これだけでは分かりませんが、ずいぶんよく届くものですね。ちなみにキャンドルパワーという明るさの単位は、かつて使われた「燭光」のことで、現在の「カンデラ」と事実上(小数点以下2けたまで)同じです。
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オアフ島でAI機研究
(hide, 2010-1-9 9:20)
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KSFOからホノルルへ太平洋横断
(hide, 2010-1-5 13:02)
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FlightGearの原点・KSFOに到着
(hide, 2009-12-30 10:45)
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セントルイス号の「ふるさと」訪問
(hide, 2009-11-28 8:16)
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ウインド・スターで風向・風速を測定
(hide, 2009-11-11 10:48)
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ラスベガスから、超巨大なエドワーズ空軍基地へ
(hide, 2009-8-17 0:56)
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新開発の航法でバリンジャー隕石孔へ
(hide, 2009-7-29 18:20)
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Re: YS−11でアメリカ中西部を行く
(hide, 2009-7-29 18:14)
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Re: YS−11でアメリカ中西部を行く
(Tat, 2009-7-29 12:23)
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Re: YS−11でアメリカ中西部を行く
(hide, 2009-7-28 19:44)
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Re: YS−11でアメリカ中西部を行く
(Tat, 2009-7-28 0:25)
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YS−11でアメリカ中西部を行く
(hide, 2009-7-21 11:10)
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ILS自動着陸を洗練する
(hide, 2009-6-27 20:28)
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ILS自動着陸に挑む
(hide, 2009-6-18 18:59)
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リンドバーグの視界
(hide, 2009-6-6 17:10)
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グラウンド・ゼロ
(hide, 2009-5-19 3:30)
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空の夢、星の夢
(hide, 2009-4-25 21:55)
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小説「航空救難隊」を再現する・後編
(hide, 2009-4-6 18:56)
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小説「航空救難隊」を再現する・前編
(hide, 2009-4-2 17:47)
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コロンブス初上陸の島へ
(hide, 2009-3-11 15:46)
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Re: 手探り航法・旅日記(その2)
(hide, 2009-2-18 20:17)