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ILS自動着陸を洗練する

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なし ILS自動着陸を洗練する

msg# 1.3.1.1.1.1.1.1.1.1.1
depth:
10
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2009-6-27 20:28
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。
 前回ご紹介しました、自作の「地面効果サス」を使った、ILS自動着陸のお話の中で、「FlightGearには多分、地面効果は存在しないと思います」と書きましたが、これは大間違いで、この機能はちゃんとありました。申し訳ありません。

 今回はピラタスPC7改に、この空力的な地面効果を付け加えて、ふんわり自動着陸できるように改善しました。またこの実験の関連で、747-200でもフレア無しのILS自動着陸に成功しましたので、のちほどご報告します。最後にPC7改で、ライト兄弟の故郷・オハイオ州デイトンから、リンドバーグゆかりの地・ミズーリ州セントルイスまで前進します。

●PC7改に、空力的な地面効果を加える。
 私が前回試作した「地面効果サス」は、3車輪式でしたのでやや不安定で、その後の追試では、しりもち事故が発生しました。そこで機体の前後左右に4本、さらにショックを和らげるために上下2段、計8本を装備しまして、一応は安定して降りられるようになりました。

 747-200にも、同様の「地面効果サス」を付けてみましたが、この機体はもともと、微動もしないファイナル・アプローチを行っても、接地直前に必ず機首を下げる癖があります。デフォルト燃料搭載量(最大着陸重量)では、この傾向が比較的小さいので、何とかILS自動着陸に成功しましたが、軽負荷の試験では、ノーズギアから先に滑走路にヒットし、クラッシュやハードランディングを重ねました。
 条件を変えて20回ほど試しても成功せず、少々嫌気が差しまして、ぼんやり747-200.xmlファイルを眺めていましたら、「lift_due_to_ground_effect」という文字列が、目に飛び込んで来ました。
 これは、うかつでした…747-200には、もともと地面効果による、揚力補正機能があったのですね。以下に転載します。

</flight_control>
<aerodynamics>
<documentation>
created :
- help takeoff.
- smooth landing.
</documentation>
<function name="aero/function/kCLge">
<description>Change_in_lift_due_to_ground_effect</description>
<product>
<table>
<independentVar>aero/h_b-mac-ft</independentVar>
<tableData>
0.0000 1.2000
0.1000 1.1500
0.1500 1.0900
0.2000 1.0200
1.1000 1.0000
</tableData>
</table>
</product>
</function>

 航空宇宙工学便覧の説明と照合すると、テーブル左の数値群は、主翼スパンを1.0とした場合の対地高度で、右の数値群はその高度における、揚力係数の補正値だと分かりました。つまり地上(0.0000)では、揚力が20%増し(1.2000)になるのですね。
 Aircraftフォルダに入れている機体に、due_to_ground_effectで検索を掛けたところ、さらに幾つもの機種に、同様の記述があることが分かりました。内容はどれもほぼ同じですが、c172の場合は揚力に加えて、以下のような記述もありました。

<function name="aero/function/kCDge">
<description>Change_in_drag_due_to_ground_effect</description>
<product>
<table>
<independentVar>aero/h_b-mac-ft</independentVar>
<tableData>
0.0000 0.0480
0.1000 0.5150
0.1500 0.6290
0.2000 0.7090
0.3000 0.8150
0.4000 0.8820
0.5000 0.9280
0.6000 0.9620
0.7000 0.9880
0.8000 1.0000
0.9000 1.0000
1.0000 1.0000
1.1000 1.0000
</tableData>
</table>
</product>
</function>

 つまりc172は、地面効果によって、空気抵抗も減らしています。
ネットや本で調べますと、地面効果は単純に「主翼と地面の間に、空気がサンドイッチになって、機体を押し上げる」わけではなくて…翼端から発生する渦流(誘導抵抗の原因)が、地面の接近によって抑制されるために起こるようです。従って、抵抗減少と揚力増大が同時に起きるのですね。(余談ながら、戦前のドイツ郵便機は、大西洋横断時に燃費を稼ぐため、海面すれすれを飛んで、地面効果を利用した例があるそうです。塩分で機体が傷みそうですが)
 また地面効果は水平尾翼にも作用して、ピッチダウンを起こすそうで、これが先程お話しした、747が地上寸前で起こす機首下げの原因と思われます。ただし、プログラムのどの部分でこれを行っているか、今回は確認できませんでした。

 また揚力係数の補正値は、ほとんどの機体が、高度ゼロで1.2倍としていますが、例外もありました。339PANのテーブルデータを転載します。

<tableData>
0.0000 1.4000
0.1000 1.3500
0.1500 1.2950
0.2000 1.2400
0.3000 1.1730
0.4000 1.1030
0.5000 1.0340
0.6000 1.0460
0.7000 1.0190
0.8000 1.0100
0.9000 1.0050
1.0000 1.0000
1.1000 1.0000
</tableData>

 339PANは景気よく、揚力補正を1.4倍としています。これは背の低い機体ですが、PC7改も同様に低翼で脚が短いので、この地面効果プログラムは相性が良いだろうと思いまして、拝借することにしました。これがうまくいけば…竹馬的な「地面効果サス」とは、おさらばです。

●重心を調整。さまざまな機体重量で、自動着陸に成功:
 飛行テストはVORとILS、そして長い滑走路のある、ジェームス・M・コックス・デイトン国際空港(KDAY)で実施しました。滑走路方位は磁気238度。軽い横風着陸とするため、風は190度4Ktとしました。PC7改は満タン4000Lbsですが、燃料搭載量を変えて、様々な重量条件でテストしました。
 飛行パターンは、離陸後反転して高度3000ft(標高が高いので、地上約2000ft)まで上昇。150Ktで5nmほど進出して、グライドパスと出会ったところで反転し、ILSをセット。100Ktに減速して脚とフラップを出して、パスを維持できる最低速度を探って機首を出来るだけピッチアップし、滑走路に向かいます。

 PC7はもともと、非常に「機首が重い」機体です。公称失速速度は、進入態勢で65Ktですが、実際は100Ktを割ると機首が下がり、高度が落ちてパスを維持できませんでした。そこで私はフラップの揚力係数を調整し、デフォルトの0.001を、この時点では0.0025としていました。
 これで進入速度を、80Kt前後まで落とせますが、フレア操作無しのILS自動着陸を行うには降下中、約5〜9度のピッチアップを保たなくてはなりません。が、PC7改はそこまで機首が上ってくれず、これは重心位置が間違っていると思えまして、微調整を掛けました。以下に、テスト結果をまとめます。

○重心位置を、デフォルトの164.16から166.16に修正。
 燃料70%搭載。
 →結果は、2段フラップで77Ktまで減速可能。ピッチアップ5度、見事に自動着陸。
○重心位置を、さらに167.16に修正。
 燃料70%搭載。
 →結果は、3段フラップ90Kt、ピッチアップ9度で、完璧な自動着陸。
 (ただし9度では、着地点が機首に隠れます。そこで…)
○フラップ揚力計数を、従来の0.0025から0.0015に減少。
 燃料を25%に減少。
 →結果は、3段フラップ73Kt、ピッチアップ9度。機首が高すぎるが、
 快調な着陸。もう少し増速すれば、視界も確保されるはず。
○燃料搭載量を100%に増加。
 →結果は、3段フラップ90Kt。機体が重いので、増速にもかかわらず
 ピッチアップは8度あった。さらに減速可能だが、ピッチが増えて前
 が見えなくなる。この時は本能的にフレアを掛けてしまい、テスト
 にならず。
 やり直したところ、軽い衝撃はあったものの、安全な自動着陸に成功。

 満タン時の接地だけは、若干の衝撃を伴いますが、実際はこの状態で降りる場面は、ほとんど無いでしょう。PC7改のノーフレア・ILS自動着陸は、取りあえず完成です。重心位置の調整が、大きな効果を上げたのが特に印象的でした。

●747-200でも、ノーフレアILS自動着陸に成功:
 ILS自動着陸が本当に便利なのは、取り回しの難しい大型機です。747-200はもともと、揚力2割り増しの地面効果を持っていますが、これをPC7改と同様に、4割り増しのテーブルデータに差し替えてみました。
 ところが、これは大失敗でした。先ほどお話しした、地表寸前でピッチダウンする傾向が強まりまして、墜落はまぬがれても、スリル満点の着陸復航シーンになってしまいます。そこで逆転の発想で、地面効果を削除してみました。
 すると、デフォルト燃料搭載量(最大着陸重量)では160Kt、ピッチアップ5度程度を維持して進入し、終盤でも機首を下げずに、かなりあっさり着陸しました。次にミニマムの燃料で再テストすると、145Ktで進入可能で、これも成功しました。各車輪が軽くバウンドしたものの、まずは危なげのない着陸です。私が手動で降ろすよりも正直、うまいと思いました。ただ、機体が大きいからそう見えるので、お客が乗っていたら怒るかも知れませんが…(^^;)。
 まだまだ実験回数が少ないし、改善の余地は多々ありそうですが、747級の大型機でも一応、ILS任せの自動着陸が可能だと分かりました。

 下手な私が言うのは気が引けますが、ILS自動着陸で747をうまく降ろすコツは、ファイナル・アプローチに入る際の、リード距離を十分に取ることです。ノーフレアによる自動着陸は、機体が接地寸前に、完全に安定しなくては危険です。オートパイロットの、コース修正動作に伴う動揺は、PC7改なら5nmも飛べば収束しますが、慣性質量の大きい747では、もっと距離を使わないと不安でした。高度5000ftでダウン・ウインドレグを飛び、10nmほど進出しますと、ちょうどグライドスロープと会合しますので、これを目印にして反転すると快調でした。

 747-200は自動着陸後、ILS保持を掛けたまま滑走しても、あまり機体が暴れません。仮に滑走路上で偏向し、修正が重なって蛇行しても、速度さえ落とせば、自分で勝手にセンターラインに戻ってくれます。ヨー方向の、オートパイロット感度設定が良好なのでしょう。ありがたい特性です。

●「アメリカ西部への門」をくぐる:
 自動着陸実験は、どうやら最初のヤマを乗り越えましたので、ここでPC7改を使って、デイトンからセントルイスへ旅を続けます。

◎ジェームス・M・コックス・デイトン国際空港(KDAY)
   ▼97度18nm
◎スプリングフィールド・バークレー空港(KSGH)
VOR 113.20 395013N-835041W 1055ft
   ▼258度309nm
◎ランバート・セントルイス国際空港(KSTL)
VOR 116.45 384509N-902139W RWY30 ILS-111.30

 一連の飛行テストは、スプリングフィールド・バークレー空港で行ったのですが、前回連載の終了時に、デイトン国際空港へ降りていましたので、ここからまずスプリングフィールドに向かいます。
 燃料は、半分の2000Lbs搭載。リアルウエザーは、340度9Ktの風、高度4000ft付近にovercastの雲があり、厚さは1000ftありました。PC7改は横風に弱く、右から9Ktは厳しい条件です。尾翼に風を受けて右に偏向し、ラダーではとても修正しきれず、左ブレーキを連打しながら離陸滑走して、ようやくエアボーン。

 スプリングフィールドに降りる時も、右60度の風を受けて、少々危ないと思いましたが、構わずILS自動着陸をテストしました。機体は、右に8度も修正角を掛けながら、ドリフトして進入します。ここでコクピット視界を左に振り、パイロットの視野を滑走路に正対させ、機首が右を向く状態にしました。実機では、パイロットが本能的に視線を動かしますので、こうするのが自然だと感じました。またフライトシム上でも、これで多少は操縦しやすくなります。(マイアルバムに画像を入れておきます)

 スリルを感じながら、地上100ftでオートスロットルを解除し、接地寸前にILSを切ってパワーアイドルに。フレアは掛けず、機体任せで接地し、主脚が付くと同時にラダー操作で、機首をセンターラインに向けました。この修正は成功し、その後ブレーキングの影響で蛇行しましたが、無事にフルストップしました。
 メモを取って、直ちに離陸。針路をセントルイスに向けます。VOR航法で300nm余りを飛び、ランバート・セントルイス国際空港、RWY-30RのILSを受信。ここも横風ですが、偏流角は先ほどより少なく、自信を持って降りることが出来ました。

     ○

 1927年当時、ここはランバート飛行場と呼ばれ、ロバートソン航空という小さな郵便飛行会社があって、シカゴとの間にDH-4複葉機を飛ばしていました。たった3人のパイロットの主任を務めていたのが、無名時代のリンドバーグでした。そう思うと、ちょっと感慨があります。
 日を改めて、燃料を500Lbsの軽負荷にして、ミシシッピー川が蛇行する街を見物。街の中心から東に飛んで、川岸を探していると…ビル街のそばに、探していたものが、ちゃんとありました。銀色をした、高さ192mのウエスト・ポート ゲートウェイ・アーチ(西部開拓記念碑)です。セントルイスから先は、いわゆる「西部」なのですね。低空に降りて、このアーチをくぐったことは、言うまでもありません。

 この日は30度の風12Kt。300度の滑走路に向かうと、横風成分は10.4ktとなり、PC7改にとっては、かなりギリギリの条件です。ILSに手動で乗ると、右に10度くらいの修正角になり、さすがに自動着陸する気にはなれません。
 フラップ3段、75Ktで手動操縦を続け、PAPIの示すパスにぴたり乗って、そっとタッチダウン。ノーズギアを着けると、すぐブレーキ連打が必要でした。ブレーキボタンを左右押し間違えて、ヒヤリとしましたが無事に停止。ここしばらくテストの連続で、たぶん30回近い発着を重ねましたが、お陰でパスを正確に守る習慣が付き、少しだけ腕を上げた気分です。
 さて次回からは、広大なアメリカ西部の空が待っています…。
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