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富士山頂にレドームを(上)

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なし 富士山頂にレドームを(上)

msg# 1.6.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1.1
depth:
25
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2014-8-30 18:22 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 634
hideです、残暑お見舞い申し上げます。今回のフライトも富士山頂が舞台です。
 気象庁は半世紀前、台風から列島を守るため、富士山に世界一高い(従って世界一遠くが見える)気象レーダーを建設しました。難工事の一つの山場となったのが、大きなレドームをヘリコプターで山頂へ空輸する作業でした。
 以下は、ちょうど50年前の1964年8月15日に行われたフライトを、不完全ながらFlightGearで再現する試みです。恐縮ですが長文のため、上下2回に分けてお届けします。投稿画像も併せてご覧下さい。

 FlightGearの世界では残念ながらまだ、地上に置いたオブジェクトに近づいて吊り上げ、任意の場所に運んで再び切り離すようなヘリコプターに出会っていません。また私の技術では、既存のモデルをこのように改造することも出来ません。
 しかし3Dオブジェクトのレドームを自作し、ヘリから鉛直にぶら下げて飛ぶだけでしたら可能ですし、レドームも出しっぱなしではなく、メニューから表示をオンオフすることは出来ます。同時にメニューの「Fuel & Payload」を使って、ドームの分だけ搭載重量を増減すれば、搭載している時と降ろした時の性能変化も再現できます。こう考えるとFlightGearでも、空気の希薄な山頂まで重いレドームを持ち上げる苦労や、設置地点へピンポイントで運ぶ難しさを、ある程度リアルに味わうことが出来るかも知れない…と思いました。

 やってみると想像以上に難しく、またチャレンジングでした。技術上不明な点も多く、私のFlightGearライフの中でも、これほど多くの事前調査が必要だったフライトはありませんが、さまざまな事実関係を調べること自体が楽しく、たくさんの勉強をさせてもらいました。

●●台風を迎え撃つ砦:
 まず、歴史的背景のお話を少々。富士山レーダー建設のきっかけは、1959年9月の台風15号(伊勢湾台風)で5000人を超す犠牲者が出たことでした。まだ気象衛星はなく、地上の観測網も貧弱で、気象レーダーの視程は最大で300Km。台風の正確な位置や針路は、上陸の数時間前まで分からなかったそうです。
 レーダー波が届く範囲は、基本的には地平線より手前ですから、高い所に置くほど遠くが見えます。仮に3776mの高みに大出力のレーダーを設ければ、観測範囲は一気に800Kmまで広がります。「ぜひ富士山頂にレーダーを。台風から列島を守る砦を」というのが気象関係者の悲願でした。
 伊勢湾台風から4年後、予算を獲得して建設開始。出力は国内初の2000Kwとなりました。東京スカイツリーの送信電力は、関東広域圏向け放送でも10Kwですから、いかに強力だったか分かります。電子装置とパラボラアンテナ、レドームは三菱電機、建物は大成建設が担当。完成は東京オリンピックの直前でした。YS-11が飛び始め、東海道新幹線も開業寸前という、日本経済の快進撃が始まった時代のお話です。

 レーダーと工事の全容を知るため、取りあえず小説「富士山頂」(新田次郎)を読みました。新田氏(本名・藤原寛人)は当時気象庁観測部の官僚で、建設計画を中枢で進める測器課長でした。なので小説は、激しい受注合戦を演じるメーカーをどうあしらったとか、役人的な自慢話がいささか目立ちますが、工事全般にわたる技術面の創意工夫や、山頂の過酷な自然がふんだんに書き込まれ、スリリングな読み物です。新田氏自身、富士山頂の観測経験を持つだけに、暴風にめった打ちにされるレドーム内では、耳に激痛が走って一瞬気が遠くなる描写や、作業員宿舎が吹っ飛ぶシーンなどは圧巻です。このほか、ネットからも多くの情報を得ました。

●●どんなフライトだったか:
 建設工事の最大の敵は積雪で、完全に消える7〜8月のうち、好天はわずか40日。予定の2年で建設を終えるには、500トンに及ぶ建設資材をいかに荷揚げするかが、勝負の分かれ目です。従来からの馬と人力では間に合わず、ブルドーザーとヘリが主役に躍り出ました。
 富士山は戦前から、乱気流で知られた山。資材空輸を請け負った朝日ヘリコプター(現・朝日航洋)は、5センチ大に切った大量の紙片を繰り返し散布して、詳細な気流図を作りました。その結果「火口上空に立ち入らなければ飛行可能。ただし安全圏の境界線はシャープで、10僂呂濬个討盍躙院廚犯縦蝓4屬發覆始まった空輸作業では、安全のため風速22mを限界としましたが、これは42.7Ktに当たりますから、無事故で山頂へ輸送を続けたパイロット達に脱帽します。

 秒速100mの烈風からパラボラアンテナを守る、直径9mのレドームを山頂へ運ぶのもヘリの仕事でした。「ジオデシックドーム」と呼ばれるモノコック構造の多面体で、まずアルミ合金の骨組みを運び上げ、表面に多数のFRP製三角パネルを張る仕組みです。骨組みは強度を保つため一体構造で、あまり細いと強風でつぶれますが、太過ぎると電波の透過率が落ち、重くて空輸もできなくなります。使用するシコルスキーS62のペイロードは最大600Kgと聞き、三菱電機はレドーム骨格を何とか620Kgに収めました。
 ところがこれが大失敗。ペイロード600Kgは海面高度のお話で、空気の薄い富士山頂では420Kgがホバリングの限界だったのです。S62からキャビンドアや副操縦士席、消火器が取り外され、搭載燃料も30分の飛行分としました。富士宮市に仮設したヘリポートから山頂へは13分掛かりますので、設置作業のため山頂に滞空できるのは、わずか数分に限られます。

 本番では、S62の神田真三機長(元海軍パイロット)は、午前7時55分に富士宮を出発。レドーム骨格を吊って富士山頂に向かい、誘導係の合図で慎重にレーダー台座へ接近しました。腹ばいになった副操縦士が乗降口から肩まで乗り出し、ドームと台座の位置関係を確認。8人の作業員が素早くドームに飛びつき、押したり引いたりして定位置へ。「離脱!」の合図で、ヘリは無事に索を切り離しました。

●●謎の「置き逃げ」操縦法:
 決行の時点でも、機体はなお80埆杜鳴恐瓩靴討り、ホバリングを伴わずに設置作業をする、特殊な飛行方法が考案されました。新田氏は小説の中で「置き逃げ(エスケープ)」と呼んでいますが、具体的にどんな飛び方をしたのか、何度読んでも細部が目に浮かびませんでした。
 小説によると、朝日ヘリコプターは富士宮ヘリポートに台座の実物大模型を作り、S62を飛ばして「置き逃げ」のリハーサルを繰り返しました。ヘリが近づいて、レドーム骨格が台座の真上に来ると、2人のベテラン作業員が取り付いて、骨格に付けた目印の赤リボンと、台座に付けた合わせマークが一致するよう、素早く位置決めをするのだそうです。
 しかし幾ら低速飛行とは言え、620圓離譽鼻璽犢格は大きな慣性を持っています。たった2人で移動中のレドームをつかんで一瞬のうちに、果たして正確な位置合わせが出来るものでしょうか。取り付けボルト穴を合わせるため、求められる精度は1冖にだそうです。

 本番フライトの記述では、さらに疑問が深まります。
決行の際の理想的天候は、快晴・風速5〜10m。ヘリはご存じの通り、相対風を受けるとローター面の吸い込み空気量が増え、揚力が増します。これがトランスレーショナルリフトで、風に逆らってホバリングしたり前進飛行をすると発生します。S62は重量オーバーですから、ぜひ適度な風が吹いて欲しいのですが、本番では無風になってしまいました。ここで新田氏は再び「置き逃げ」の説明をします。

 「建物の上端にほとんどすれすれの高さで静かに近づいていって、鳥籠(レドーム骨格のこと)の赤いリボンが、十六面円筒の上端の赤いマークの上にきたとき、鳥籠と機を切り離さねばならなかった。空中停止(ホバーリング)ではないが見かけ上は空中停止(ホバーリング)と同じであった」
 …これは混乱した記述です。小説は「ホバリングは不可能だ」と繰り返し強調していますので、前段のセンテンスは、ヘリは前進飛行を続けて定位置に来た瞬間にレドームを切り落とす、と読めます。ところが後段は「見かけ上は空中停止」だと言う。しかし重量超過のうえ無風ですと「見かけ上」も何もあったものではなく、空中停止は無理。ところが1ページ後には、いよいよ目標に近づいたパイロットの心理描写として「転移揚力には自信があった」と書いています。えっ! 転移揚力ってトランスレーショナルリフトのことでしょう、無風かつ「見かけ上は空中停止」なのに、どうやったら発生するのですか?

 ネットを探したら、まさにこのドーム設置フライトを記録した、モノクロ映像がありました。何度見直しても、ヘリは台座の真上に少なくとも連続20秒、ほぼ静止しています。つまり瞬時に位置決めをして「逃げた」わけではなく、しばらくホバリングしています。しかし映像の別の部分では、神田機長は「山頂に着いたら無風だった」と証言していますし、バックに聞こえる無線交信の音声も、風速は「北西0.5m」としているので、確かに事実上無風だったのでしょう。となるとトランスレーショナルリフトは効きませんので、なぜホバリングが出来たのか不明。「置き逃げ」とはどんな飛び方か、謎は深まるばかりでした。

●●レドームを作ってぶら下げる:
 ともかくレドームの骨組みを作って、ヘリに吊してみることにしましょう。
富士山のレドームは、前述の通りジオデシックドームと呼ばれる多面体。ジオデシックとは、幾何学で言う「測地線」(大円=大圏コースと同じ)のことで、ドーム表面のあちこちから、三角パネルの継ぎ目が直線となって数方向に、大円を描いて伸びて見えるため、こう呼ばれるのでしょう。
 この方式のドームを実際に作る人のため、各部の寸法を計算してくれるサイトを見つけたのですが、私の数学の知識では、モデリングソフト(AC3D)で正確に作るのは無理なようでした。やむを得ず、実際に富士山レーダーに使われたドームより、やや面の数が少ないタイプを選び、更に一部の辺の長さを多少ごまかしています。多面体さえ作れば、骨組みはAC3Dで生成可能でしたので、最後にヘリから吊すためのステーを作って出来上がり。

 これをヘリから鉛直にぶら下げるには、例えばEC135p2であれば、Models/ec135.xml ファイルを開き、ドーム骨組みのファイル名をパス指定した上で、吊り下げフックの位置座標を指定。ヘリのピッチおよびロールバンク角を、常に打ち消す方向に傾くように、アニメーションのrotateタグを使ってプログラムします。私は自分のフライト・コードラント(航空四分儀)やドリフト・ディレクター(偏流計)で使った、ジンバル機能のスクリプトを転用しましたが、本質的には、A-10の姿勢計の球体を水平に保つ記述と同じです。吊したドームが完全に鉛直では不自然なので、今回は factor を少しいじって、機体と反対方向に少し傾くようにしました。また画面表示をオンオフするため、
<animation>
<type>select</type>
<object-name>group_dome</object-name>       ←ドームの部品名称
<condition>
<property>sim/group_dome-visible</property> ←それをプロパティに登録
</condition>
</animation>
という一文を付け加え、さらに ec135_set.xml を開いて、
<item>
<label>Show/hide RADARdome</label> ←メニューに表示される文字列
<binding>
<command>property-toggle</command>
<property>sim/group_dome-visible</property>
</binding>
</item>
と書きました。これでメニューにドーム表示のトグルスイッチが出ます。デフォルトでは非表示です。
 あとは…レドームがまったく見えない機長席から、どうやって台座に精密な接近飛行をするかが課題です。実機ですと副操縦士や地上員が誘導してくれますが、私にはこうした支援がありませんから、ある種の照準器か何かが必要になりそうです。

●●佐貫亦男さんの風向風速計:
 次はフライトのターゲットとなる、富士山測候所の自作モデルを改良します。前回お目に掛けた画像は、勝手に吹き流しを立てるなど、かなりラフな出来でしたので、もう少し実物に近づけるべく、ネットで資料を探してあれこれ手を加えました。
 一番面白かった資料は大成建設の、元工事責任者のインタビューです。これによると、100mの風に耐える建物は設計が難しく、苦し紛れに潜水艦の船体を利用したいと思ったそうですが、重くて論外。ならば飛行機の胴体はどうか。これも特許の関係で断念。最後に「新幹線を参考にしよう! 強風に耐えているし軽い」となって、実際にゼロ系の車両を作っていた工場で、アルミ合金の庁舎が建造されました。なるほどカマボコ型の屋根は新幹線的ですし、製造中の内部写真を見ると、航空機によく似たモノコック構造です。窓は小さくて数も少なく、出入り口は小さい中間室を挟んだ二重ドア。いかにも気密性が高そうで、南極基地みたいな造りです。強風でも内圧が上がらず、屋根が飛ぶ心配のない設計ですね。

 …ここで唐突ながら。昔の気象庁測器課長には、新田氏以外にもう一人、面白い人がいたことを思い出しました。珠玉の航空エッセイを多数遺した、あの佐貫亦男さんです。佐貫さんは在職中、確か風向風速計を設計していたはず。ちゃんと風を受けて回るようにモデル化して、私の富士山測候所に備え付けたら、楽しいだろうなと思いました。
 調べてみると記憶通り、佐貫さんの風向風速計は退職後に制式採用され、まだ多数使われているとのこと。スマートな流線型胴体に後退角付きの垂直尾翼を立てて、4枚ブレードのプロペラが回る、海上保安部の屋上などでよく見かけるアレです。子供のころ「ヒコーキみたいだ!」と眺めた記憶があります。

 佐貫さんの著書によれば、垂直尾翼の断面は対称翼のNACA0012で、胴体も同じ翼型の回転体。NACAの00番台と言えば昔、Uコン曲技機のスタントリブによく使われまして、私も中学時代に設計した機体に0018や0020を使ったので懐かしく、さっそくネットで0012の画像を手に入れました(なんと便利な時代!)。
 AC3Dに下絵として読み込み、リブを大小2枚作成。それぞれの頂点同士を結んで翼面を成型し、回転体にして胴体も作りました。ブレードも同じ0012をコード方向にずんぐり圧縮し、押し出して板状部品に仕上げました。風速計のブレードは断面を翼型にすると、気流が乱れた場合に測定精度が落ちるそうで、佐貫さん自身は風洞実験の結果、断面を台形にしたそうです。
 この風向風速計、本当は尾翼の後端下部をえぐってカッコ良くカーブを付け、シッポには電球を仕込んで飛行機の尾灯に見立てるつもりでしたが、実現できず残念だったとか。敗戦でプロペラ設計者の道を絶たれ、せめて気象の世界に少しでも「航空」を取り込もうとの思いが伝わる、熱くて切ないお話です。

 私の模型は製造メーカーのサイトにあった、1枚の写真とイラストを参考に作り、簡単なxmlスクリプトを添えて、常に風上を向いて回るようにしました。全長40僂△泙蠅靴ないので、アプローチ中の機上からはほとんど見えず、およそ吹き流しの代用品にはなりませんが、まあ「気は心」ということで(^^;)。スクリプトの要点は次の通りです。
<animation>
<type>rotate</type>
<object-name>group_prop</object-name> ←これはプロペラ部品。
<object-name>group_airframe</object-name> ←こっちは胴体。
<property>/environment/wind-from-heading-deg</property> ←ここから風向の記述。
<offset-deg>0</offset-deg>
<factor>-1</factor>
   …ここに座標情報…
</animation>

<animation>
<type>spin</type>
<object-name>group_prop</object-name> ←プロペラの部品。
<property>/environment/wind-speed-kt</property> ←ここから風速の記述。
<factor>-10</factor> ←プロペラピッチの関係で、回転方向を負の値に。
<axis>
   …ここに座標情報…
</animation>

 …わが富士山測候所に設置してみると、微風ではゆっくり、強風ではいかにも懸命に、小さなプロペラが回ります。まるで命あるもののようで、自分で作ったくせに、ちょっぴり感動しました(^^;)。
 準備編はここまで。続編でいよいよフライトのお話をお届けします。
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