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北西航路を行くテレビをコクピットに

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なし 北西航路を行くテレビをコクピットに

msg# 1.6.1.1.1.1.1
depth:
8
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2013-11-12 23:05 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 632
hideです。
 私の水上機世界一周「海鳥の旅」シリーズは今回、ヨーロッパから極東へ抜ける「北西航路を行く」フライトの第3回をお届けします。カナダ北極諸島・ケンブリッジベイからひたすら西へ進み、アラスカ最北端のバロー岬が目的地。地図ではベーリング海峡まであと少しですが、距離にするとまだ400nmは残っています。
 ところで今回は、パソコンの環境面で、ささやかなイノベーションを果たしました。まずはそのお話から…。

●●32インチの大画面で飛ぶ:
 実家の整理に行ったついでに、余っていた液晶テレビを持ち帰りました。と言っても、自室に閉じこもってテレビを見る趣味はない(家族と見た方が、ずっと楽しい)ので、FlightGearのディスプレーに使ってやろうというコンタンです。
 フライトシミュレーターの画面は、大きいほど楽しいですね。しかしディスプレーは、買ったら高い。そこで大昔、Mac兇25インチかそこらのテレビに繋いで、マイクロソフト・フライトシミュレータ Ver.4を起動したことがありますが、当時の525本の走査線では非常に画像が粗く、まったく使い物になりませんでした。やがて液晶・地デジ化で画素数が増え、接続も簡単になりましたので、試しにこの夏、HDMIケーブル(1000円ちょい)を買って、40インチの液晶テレビにパソコンを繋ぎ、FlightGearを起動してみました。
 いやぁ…素敵でした。
ル・ブールジェ空港からパリ中心市街に出たのですが、画面が視野の多くを占めるのは、なんと楽しいことでしょう。シミュレーション世界への没入度が、ビデオと映画鑑賞ほど違う…といったら大げさでしょうか。ロールでも打って世界をブン回そうものなら、逆にこっちの体がフワリと動くような気さえして、臨場感のレベルが違います。課題はパソコンの負荷で、額面通りの画素数に設定すると重すぎるため、従来の1024×768にしておき、画面ウィンドウの「最大化」ボックスを使って、見かけだけのフル画面にしました。画質的にはインチキですが、内容的には十分という感じです。
 あれはモンマルトルの丘、こっちは凱旋門…と見とれるうちに、妻が帰宅したので解説しようと思ったら
          「また低いとこ飛んで、危ないことやってる!」
と言い捨てたきり、姿を消してしまいました。ううう、別に危ないことは、していないのになぁ…(^^;)。

 前回はリビングで短時間のテストでしたが、今回入手したテレビは思う存分、一人で使い放題ですから、パソコンラックの奥にきちんと据え付けて、あれこれ設定を変更しました。最初は画質が相当粗く感じられ、長時間使うと目が疲れそうでした。そこで画素数を1ランク上げて1280×1024にしたところ、サンフランシスコ上空のフレームレートは12〜15程度に低下。いささかシビアですが、背に腹は代えられません。さらにメニューをいじっていたら、さまざまな映像モードを発見しました。まずゲームモードを選ぶと、テレビモードよりは画質が改善されましたが、カラーバランスがなかなか決まらず苦労しました。やがてパソコンモードを見つけて、シャープネスを強めにセットしたところ、一応文句なしの状態に。パソコン専用ディスプレーほど、細かいフォントがくっきり結像しないので、文章を書いたりするには問題がありますが、フライトシミュレーター用なら十分だと思います。

 大画面を使うと、計器の読み取りも非常に楽になります。機体にもよりますが、ノートパソコン画面のコクピットビューでは正直、計器の小窓にあるデジタル数字や小さな目盛りは、見づらいです。かといって、いちいち画面をアップにするのも面倒なので、次第にHUD表示に頼るわけですが、こうなると操縦操作も航法もだんだんズボラになって来て、リアリティーが低下します。例えば、HUDのコンパス表示は真方位ですから、ついでに航法も楽な真方位ベースでいいや、という感じですね。
 画面が大きくて、例えばピラタスPC-9Mの高度計が、小窓のデジタル数値まで常にはっきり読めると、上昇率の変化に敏感になりまして、気が付くと絶えずトリムを取っています。離着陸時も、針が変な値を指していると我慢できませんので、ちゃんと現在の気圧をセットしますし、不要になったHUDを消して飛ぶと自然に、主要計器のスキャンだって励行するようになります。結果、全般的にリアリティーの底上げに繋がり、シミュレーション・フライトの質がよくなるように思えます。機会があればぜひ、中型以上のテレビ接続をお試し下さい。少しだけ、しかし確実に、FlightGearの世界が変わります。

●●カナダ北岸を西へ…ツインオッターの挫折:
 ビクトリア島・ケンブリッジベイに着いたのは先月。以来、現地では連日のように、強めの風と雪が続いていました。今月初めに一度は止んだのですが、またすぐ雪模様が復活。悪天候も面白いじゃないかと、吹雪をついて飛ぶ気分になったのですが…本フォーラム「コクピット視界の降雨・降雪」でご紹介しました通り、ピラタスPC-9Mは、コクピット視界ですと降雪や雨が表示されません。
 これでは詰まらないので、ちゃんと雪が見えるDH6ツインオッターを使うことにしまして、極地フライトで有名な、ケンボレック航空の塗色にリペイントしました。巡航160KIASは遅いですが、たった1日だけ使うのですから問題なし。満タンでも上昇力が強く、燃費も比較的良さそうで、いい印象を持ちました。さっそく燃料を確認し、コンパス偏差や高度計の気圧、無線類をセットして、出発準備を進めます。
 ツインオッターのパネルには、UTCと地方時が切り替え可能になった時計があります。この日、ケンブリッジベイの日の出は現地時間で0949時、日没は1538時と、秋も深まっていよいよ、昼間が6時間を切りました。旅を急がねばと、このあとお目に掛けるフライトプランに従って、離陸しようとして…思わず絶句。オートパイロットが、メニュー上でアクティブになっておらず、従って Autopilot Settings 画面を起動することができないのです!

 困ったなぁ、どうしてこんな設計をするのでしょう。
北極圏にはVORやNDBが少なく、私の場合は(GPS任せでは航法を楽しむ余地がないので)推測航法+地文航法が中心です。となると風が変化するたびに、針路の補正計算をやり直すわけですが、virtual E6-B(航法計算機)であれこれ数字をいじりながら、片手でジョイスティックを操るのは正直、とても困難です。
 実機でしたら当然、副操縦士と作業を分担するのですが、FlightGearでは一部のマルチプレーヤー対応機を除いて、独りで操縦するしかありません。なので、たとえ実機にオートパイロットが装備されていない機種であっても、複座以上の飛行機であれば、副操縦士代わりのオートパイロットは必需品。これを外されてしまうと、もう「飛び上がって、一周して降りる」フライトしか出来なくなります。

 呆然とした私は、それでも諦めきれずに離陸し、華麗に舞う雪を見ながら高度を取りました。つくづく素晴らしい上昇力だなぁ。水陸両用だし、スキー付きバージョンもあるし。ピラタスPC-6ターボ・ポーターが進化して、操縦が難しくなっちゃった今、こういう探検向きのSTOL機って貴重なんだがな。磁気コンパスにはちゃんと、自差修正表が貼ってあったりして、お洒落じゃん。しかし…ていねいにトリムを取っても、やっぱり独りで操縦と航法は無理だよ。まてよ、オートパイロットを無効にしたプログラムを無効にできないか?
 私は急いで着陸し、しばらくファイルをいじったのですが、オートパイロットをアクティブにする方法はみつかりませんでした。くっそーっ!
 いっぽう、この日雪が降っているのは高度7000ft以下と分かったので、巡航中は関係ありません。ファイナルアプローチで吹雪に遭う、といった緊迫の場面は期待できなくなってしまいますが、しょうがない。PC-9Mで先を急ぐことにしました。

●●リンドバーグ夫妻の針路をたどる:
 ようやく今回の、フライトプランの出番です。
              【大カッコ内は、飛行中に算出した針路修正値です】

★ビクトリア島ケンブリッジ・ベイ空港(CYCB)VOR 112.7YCB
   69°07'04N-105°10'21W
   The magnetic dip angle is 85.45 degrees down
   The magnetic variation is 7.04 degrees E
   ▼257.41度179.26nm  【風力修正針路254.3 平均偏差12.34E 磁針路243.66】
△ビクトリア島レディー・フランクリン岬 68°28'N-113°14'W
   The magnetic dip angle is 84.42 degrees down
   The magnetic variation is 17.28 degrees E
   ▼282.76度239.97nm  【風力修正針路282 平均偏差20.48E 磁針路262.5】
☆カナダ北岸パウラトック空港NDB276YPC 69°21'N-124°04'28W
   The magnetic dip angle is 83.49 degrees down
   The magnetic variation is 23.68 degrees E
   ▼254.15度246.83nm  【風力修正針路253 平均偏差23.8E 磁針路229】
☆アクラヴィク空港NDB208YKD 68°13'35N-135°00'52W
   The magnetic dip angle is 81.3 degrees down
   The magnetic variation is 23.9 degrees E
   ▼310.64度120.02nm  【平均偏差23.8E 磁針路287.4】
△マッケンジー湾 69°31'45N-139°13'40W
   The magnetic dip angle is 81.54 degrees down
   The magnetic variation is 23.62 degrees E
   ▼291.55度98.22nm   【平均偏差23.1E 磁針路268.5】
☆バーター・アイランド空港NDB308BTI 70°07'50N-143°38'38W シンプソン・ラグーン
   The magnetic dip angle is 81.38 degrees down
   The magnetic variation is 22.62 degrees E
   ▼284.74度269.43nm  【風力修正値284.4度 平均偏差19E 磁針路265.4】
★バロー岬VOR116.2BRW ワイリーポスト・ウィルロジャース記念空港PABR
   71°16'23N-156°47'18W
   The magnetic dip angle is 80.78 degrees down
   The magnetic variation is 17.49 degrees E

 以上、長いので要点をまとめますと、
(1)出発地はカナダ・北極諸島南部にある、ビクトリア島のケンブリッジベイ。
(2)西へ飛んで、同じビクトリア島西端のレディー・フランクリン岬を通過。
(3)カナダ本土の北岸に渡り、以後も海沿いに西北西へ飛び続けてアラスカへ。
(4)アラスカ州最北端、バロー岬のすぐそばにある、ワイリーポスト・ウィル
   ロジャース記念空港に着陸する。
…という段取りで、(2)以降に通過する計6地点は、1931年夏にチャールズ・リンドバーグとアン夫人が、自家用のロッキード・シリウス水上機でたどった、北西航路の調査飛行ルートを再現したものです。
 シリウスはご存じのように、リンドバーグがTWAやパンナムの新空路開拓調査のため、ジャック・ノースロップとジェラード・ヴァルティーの名コンビに設計して貰った、低翼の高速連絡機です。夫妻は1930年に、この機体で大陸横断の速度記録を作った後、水上機に改造して翌年夏にニューヨークを発ち、カナダの北極諸島や日本列島を経由して、中国に至る大圏コースを翔破しました。

 私がこのコースを一部再現しようと思ったのは、航法上の大きな理由がありました。磁気偏差が劇的に変化する北極地方で、正確な推測航法を行うには、コースの中継点(変針点)を何マイルおきに設けたらいいのか、よく分からなかったのです。これまでのフライトプランでは取りあえず、磁気偏差が1区間の始点と終点で10度未満の差に、ほぼ収まるよう計画しました。飛んでみると幸い、誤差は数マイルと言ったところで、まったく問題になりませんでしたが、果たして実世界では慣性航法やGPSが普及する前、こうした磁気偏差の勾配をどの程度まで許容して、推測航法をプラニングしていたのか、ぜひ知りたいと思いました。

 幸運にもアン夫人の旅行記「翼よ、北に」(みすず書房)が手元にあり、リンドバーグ本人が描いたニューヨーク=東京=中国・漢口間のコース図20枚が載っていて、Atlas画面やSkyvector、GoogleEarthなどと付き合わせると、全航程がよく分かりました。これによると、推測航法の名手リンドバーグも私と同様、1区間の両端における磁気偏差が、ほぼ10度差以内に収まるようコースを設定しており、これで十分に許容範囲なのだと確認できました。
 もう一つ、とても印象的なのは、リンドバーグが選んだ中継点(変針点)が、いずれも間違いなく、付近の海岸線で一番目立つ地形だったことです。飛んでみるとよく分かるのですが、必ず海側に突出した地点を選んでいるうえ、他のどの場所とも似ていません。例えばマッケンジー湾は巨大なカギ型だし、次のシンプソン・ラグーン(現在のバーター・アイランド空港付近)も、長い砂嘴(さし=低い砂浜の半島)が独特に折れ曲がった地形で、間違いっこありません。しかもラグーンは外洋の波から守られ、水上機の不時着にも適しており一石二鳥と、あちこちに熟慮を感じます。彼がここを飛んだ時代は、アメリカ本国でも中波ビーコンの設置はこれからで、定期航空路でさえ航空灯台くらいしかなかったのですから、推測航法や地文航法は文字通り、真剣勝負だったのですね。

●●凍った河と湖と:
 やっと、出発にこぎ着けました。
水上機版ピラタスPC-9Mを、ケンブリッジベイで起動。今回は天測しませんので、普通に Time Settings を使い、現地時間の10時39分にセット(これを使うと天体の日周運動に、最大で1分程度の誤差が発生して測位が台無しになることも)。燃料は、機内のみ満タン(フロートタンクは空)の2800Lbsとしました。今回は地形の関係で海へタキシングせず、このまま空港から離陸する予定です。滑走路長はたった5000ft、風も5Ktしかないので少々心配になり、大事を取って燃料を2100Lbsまで減らしました。飛行距離400nmなら、航続力は相当おつりが来るはずです。本番では不安なく離陸に成功し、無事に上昇に移りました。

 真対気速度を250Ktとして、最初の中継地レディー・フランクリン岬までの針路を計算。風は18000ftで165度5.2Ktなので…航法ツールによると、真方位256度と出ました。対地速度は横風なのでほぼ同じ。偏差を加えて磁気方位は243.66度。予定飛行時間は42分。エンジンを始動し、高度計に気圧をセットします。
 UTCの1656時(地方時1056時、ただし任意設定で日本時間と無関係)に離陸、約15分で18000ftまで上昇し、HSIのヘディング・バグを244度にセットします。カナダ本土・ケント半島とビクトリア島の間の、ディーズ海峡を西南西に進んでいます。高度の選び方がまずかったか、時々雲に突っ込んでしまいますが、眼下のビクトリア島を見失うほどではなく、このぶんですと地図との対比で、絶えず機位が確認できそうです。

 自作ジオマグメーターのデジタル表示を見ると、飛ぶにつれて磁方位と偏差はどんどん変化し、改めて磁北極の近さを感じます。いっぽうコンパス針路は一定ですから、Atlas画面上に航跡を記録したら、かすかに湾曲した経路を描いたことでしょう。ただし私は今度もAtlasをチャートとして使っているので、FlightGearとは連動させていません(完全にロストポジションした場合は、レーダー誘導を要請したつもりで、たぶん連動にしますが)。やがて、ケント半島の先端が左翼アビーム(真横)に差し掛かり、さらにビクトリア島南岸にある、小さいけれど目立つエディンバラ島が視認できました。
 第一の中継地、レディー・フランクリン岬を、ほぼピンポイントでヒット。以後カナダ本土に渡って、次の通過点パウラトック空港も、かなりいい精度でアビーム通過。眼下の平野には、小さな湖と無数の川が点在していました。アン・モロー・リンドバーグが、シリウス水上機から見下ろした通りの光景です…。

 …おおっと、中継点通過時に必要な、磁気偏差の設定変更を忘れていました。さっそく Instrument Settings から HI offset を開き、次の飛行区間の平均偏差を打ち込んで一安心。もし変更を忘れてもHSIの表示が狂うだけで、オートパイロットにセットした磁気方位の数値は影響を受けないのですが、仮に私が何年も前にブロンコでやっていたように、HSIの目盛りを見て手動操舵で針路を合わせ、ウィングレベラーで保針していたら、8度くらい南へコースを外してしまうところでした。

 その後も、ランドマークで順調に機位を確認しながら西に進み、やがて巨大なマッケンジー川のデルタに差し掛かります。河口から70nm近く南、凍った川や湖が重なる中、ヘアピンみたいな川の屈曲部に未舗装の滑走路が見え、慎重に接近して無事着陸。アクラヴィク空港です。かつてリンドバーグ夫妻は、カナダ東部のハドソン湾に近いベーカーレークという集落から、夏の白夜を12時間以上飛び続け、ここの川面に着水しました。当時は小さな開拓地で、折しも年に一度の補給船が到着する日とあって、お祭り騒ぎだったそうです。私は飛行距離が半分しかない上、高度20000ftでも260KTASは出ますから、晩秋の正午前後の貴重な日中を、2時間半も飛べば十分でした。しかし景色はwinterを選択して、薄暗い空の下は氷だらけで憂鬱でしたから、夫妻が味わった明るい夏の光景を、ちょっと知りたいところです。

●●バロー岬・夢幻の光景:
 本日はここまでにしようかとも思ったのですが、天気も悪くないので休憩後、バロー岬まで続航決定。出発時と同じ2100Lbsまで燃料を補給し、風や気圧を確かめて、計算を終え出発。
 まもなく国境を越えてアラスカ州に入り、後はおおむね西北西へ、ひたすら延びる海岸線に沿って進みます。細かいお話は省きますが、アメリカ領に入ってから空港が増えたようで、特に舗装滑走路を備えた立派なやつが、場所によっては10nmくらいの間隔で幾つもあって、「これでも北極圏の荒れ地か?」とびっくり。調べてみると、北極油田地帯の基地なのだそうです。

 西へ進む太陽を追っかけて、やや長めの「昼」の恩恵を受けつつ約500nmを消化し、ついにバロー岬を視認。ここは以前からぜひ一度、FlightGearで飛来したかった場所です。
 2010年夏、私はロンドンから北極経由で日本へ抜ける「オーロラ・フライト」を試みるにあたり、FlightGearの北極にはちゃんと氷に覆われた海があるのか、氷上には着陸可能か、などが心配でした。現地へ偵察に入ることにして、ワイリーポスト・ウィルロジャース記念空港PABRで、当時のピラタスPC7改を起動し、北へ機首を向けました。約70nm飛んだ後、眼下にはちゃんと氷原が広がり、着陸にも成功。一安心してGPSを頼りに陸岸へ戻ると、岬の周辺は上天気でしたが、地表付近だけ霧に覆われていました。
 圧巻は、近くの集落にランダムに現れた色とりどりの住宅群で、まるで高山の霧にかすむ花々のように、幻想的に見えました。私は飽きずに旋回して見とれ、ふと見失ってはまた霧の中に発見し、やがて後ろ髪を引かれるように空港へ帰投。着陸して振り返ると家々は霧の中に消え、夢でも見たような気分でした。それ以来「いつかは、ちゃんと日本から飛んできて、再びあの光景を見よう」と心に決めていたのです。

 あれから3年。バロー岬そのものを、じっくり見るのは今回が初めてです。細長い砂嘴が北極海に伸び、くの字型に折れた北端部分が岬で、米ノースカロライナ州にあるアウターバンクス(キティーホーク海岸があるところ)の先端・ハッテラス岬と、地形の感じがよく似ています。どちらも砂嘴で、しかも孤独な地の果てムード。風や潮流が強そうなところなんかもね。
 岬に見とれつつ沖合を通過して、ワイリーポスト・ウィルロジャース記念空港PABRに向かって旋回。岬と空港の間に、いくつか集落が見えました。3年前に霧の中で見たのは一体、どれだったのかな。今回はどの集落にも教会1軒、住宅1軒程度しかオブジェクトが見あたらず、住宅のデザインも、昔みたいにカラフルではなくなっており、わが幻想の光景は結局、夢のままで終わりました。
 いっぽう、今回初めて見ることができた景色もあります。昔よりグラフィック性能が大幅に上がり、視界を100nmに設定しているため、はるか北極点まで伸びる氷原の南端が、約70nm離れたバロー岬上空からも視認できるのです。いかにもアラスカ北端の気分で、なかなか素敵です。

 西の海上から滑走路に滑り込み、誘導路に入れてエンジン停止。北極圏の太陽は、昼前後でもいよいよ低くなってきました。まだコースを詰めていませんが、次回はドンドコ南下したいものです。

 ■おまけ■ ワイリーポストって誰?
 1930年代に、さまざまな仕様のロッキード・ヴェガを駆って、オートパイロット装備の単独世界一周から、潜水服のような加圧スーツによる高々度飛行まで、幅広く挑戦を重ねた冒険飛行家です。伝記が読みたいのですが、まだ見つけていません。彼は飛行機好きの俳優ウィル・ロジャースと飛行中、この近くで墜死したことから、空港に両人の名前が付きました。日本の表記は「ウィリー・ポスト」「ワイリー・ポスト」とまちまちですが、PABRのATIS(チャート表記だとCATF周波数)を聴いたら「ジスイズ・ワイリーポスト」と発音していましたので、今回はこれに従うことにします。
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