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北西航路を行く

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なし 北西航路を行く

msg# 1.6.1.1.1
depth:
6
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2013-10-20 3:11 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 634
hideです。
 水上機による「海鳥の旅」は今回、グリーンランド北西部のチューレから海を渡り、カナダ領・北極諸島のど真ん中にある、コーンウォリス島南岸のレゾリュートに向かいます。後述します通り、このコースは北極探検史に名高い「北西航路」の一部分です。

 この一帯は磁気偏差の変化率が大きく、真方位でないと航法は困難だろうと思っていました。最近気付いたのですが、チューレとレゾリュート、さらに南方のビクトリア島・ケンブリッジベイのVORは、なんとラジアルが真方位になっています。私の知る限りでは、磁気方位を使わないVORなんて、このへんだけです。磁北極に近いため、磁力の水平分力が小さすぎて、磁気コンパスの方位カードがうまく回らず、実機はジャイロを真方位に合わせて飛んでいるのでしょう。
 ならば私も、真方位で飛んでしまえば楽…と思ったのですが、toshiさんのお陰で先日、FlightGearの磁気偏差を、事前に精密に求めることが可能になりました。手間を惜しまなければ磁気方位でも、それなりに正確な推測航法が出来そうです。天測と測位計算の技術も向上したため、もし推測航法が破綻し、かつVORやNDBのエリア外であっても、かなり自信を持って天文航法で位置を出すことができます。
 よーし。では面倒な磁気方位を使って、面倒な北極地帯を飛んでみることにしましょう。

●●ジオマグ・メーターを装備:
 今回は水上機版のピラタスPC-9Mに、新しい計器を搭載しました。真方位、磁気方位、磁気偏差、磁気俯角をデジタル表示するパネルで、2010年秋にピラタスPC7改で北極を横断した際、同様の装置を積んで便利だったので、再現しようとしたのですが、これがなかなか大変でした。

 PC7の時代は、バーチャルコクピットのパネルに2Dの計器類が並んでおり、デジタル表示盤を作りたければ、パネル上に一種のレイヤーを置くような感じで、internal properties から引用した数値を、テキスト表示すればOKでした。テキストですと、フォントサイズや色彩、整数部・小数部けた数を簡単に設定可能で、負の値を取る場合は(確か)勝手にマイナス記号が付いて、非常に便利でした。ところが、現在のVer.2.12環境下でテキスト表示をやろうと思うと、計器が3D化され、位置指定の方法も違うため、表示盤専用のサブパネルを作るしかなさそうです。その方針でプログラムを書いたところ、どこが間違っているのか、或いはアプリ側の設計が変わったのか、まったく出現しませんでした。そこで、3D仕様の計器の表面に、テキストを表示させようと思ったのですが、これも書き方が分からなくて失敗。

 最後の手段として、kx165(VOR/com操作盤)を改造して、周波数表示部の液晶4組を、真方位、磁気方位、磁気偏差、磁気俯角の表示盤に転用しました。一応作動したのですが、偏差の値が負(偏西)の時は、各桁の表示すべてが、正しい数値をゼロから引いた数(?)に化けて、使い物になりません。そんなの、factor を負にすれば大丈夫、正にするか負にするかは、偏差の値がゼロ以上か未満かで、分岐を掛ければ簡単じゃないか…と思ったのですが、実際は負にしても変な数字になります。さじを投げるのはいやなので、専用の方位リングを回して、偏差をアナログ表示するという、強引なメカも作ってみましたが、回転アニメーションに関する理解が不完全とみえて、これもうまく行きませんでした。
 3D式の計器上にプロパティの数値をテキスト表示する、簡単な方法はないものでしょうか。

 今回の装置自体は、いちいちHSIを拡大表示しなくても、一目で正確な磁気方位が読み取れるなど、非常に便利でして、作って良かったと思っています。ジオマグ(地磁気)メーターと名付けた装置の写真は、「投稿画像」でご覧頂くことができます。

●●偏西47度から26度まで変わる偏差:
 さて、フライトプランです。出発地チューレの偏差は偏西47度。ここからバフィン湾を横断してカナダ・北極諸島へ。一番北の大きな島・エルズミア島南部を通過し、すぐ南のデヴォン島にあるグリースフィヨルドNDBを通ります。この地点は偏西44度で、チューレと偏差が3度しか違いません。しかしレゾリュートに至る次の約200nmは、約20度も偏差が変化します。そこでチューレ=グリースフィヨルドNDB間は、コースを2分割し、さらにレゾリュートまでは3分割して、toshiさんに教わった Geomagnetic Field Calculator を使い、それぞれ中継点の偏差を調べて各区間の平均値を出し、コンパスにセットすることにしました。
 各地の緯度経度、偏差の抽出とコース計算は、予想通り面倒でしたが、本田航空の「AIR NAVIGATION 航法計画書の作り方と飛行の仕方」にも、「航法計画が1時間以内にできることが、自家用操縦士の目標」などと書いてありますから、やはりそれ相応に、手間は掛かるもののようです。

◎チューレ空軍基地BGTL 76°32'32N-68°14'23W(76.5422-68.2398)
 VOR111.0THT ILS109.5-08T(132Mag)
   The magnetic dip angle is 85.31 degrees down <以下WMM2005の計算値>
   The magnetic variation is 47.17 degrees W
   ▼268.01度101.66nm偏西47.68度
△変針点A 76°29'N-75°30'W
   The magnetic dip angle is 86.02 degrees down
   The magnetic variation is 48.19 degrees W
   ▼268.01度103.88nm偏西47.38度
☆グリースフィヨルドNDB365YGZ 76°25'24N-82°53'12W
   The magnetic dip angle is 86.74 degrees down
   The magnetic variation is 46.56 degrees
   ▼239.19度67.17nm偏西44.32度
△変針点B 75°51'N-86°54'W
   The magnetic dip angle is 87.01 degrees down
   The magnetic variation is 42.08 degrees W
   ▼239度69.87nm偏西38.65度
△変針点C 75°15'N-90°54'W
   The magnetic dip angle is 87.23 degrees down
   The magnetic variation is 35.21 degrees W
   ▼243.39度69.91nm偏西30.68度
★レゾリュートベイVOR112.1YRB 74°43'41N-94°55'21W
   The magnetic dip angle is 87.38 degrees down
   The magnetic variation is 26.14 degrees W
 (西へ0.7nmでレゾリュートベイ空港CYRB NDB350RB → RWY171T
                     NDB391RU → RWY351T)

●●ひたすら計算、ひたすら巡航:
 では、ようやく飛行編です(^^;)。
チューレで水上機版ピラタスPC-9Mを起動。太陽高度の関係で、いつもUTC時刻にセットしているパソコンのクロックを、さらに16時間遅らせて、現地時間の午前10時くらいになるように調整しました。

 現地はほぼ快晴。風は18000ftで135度6.5ktと、弱い追い風気味です。補正が要らないくらいですが、いちおう風力補正計算をしたところ、真対気速度260KTASの場合、対地で264.7Kt、WCA(風力修正角)1.1度左で針路266.9度。これに磁気偏差を加え、コンパス針路は314.58度となりました。めんどくさいなーっ(^^;)。
 次に、メニューの Equipment から「Instrument settings」を開き、「HI offset」の値をチューレの磁気偏差(-47.17度)に合わせて、HSIを磁気方位表示にします。この数値は常に、飛んでいる地域の偏差に合わせ直す必要があり、でないとHSIは正しい磁気方位を指しません(もしゼロに合わせると、HSIは真方位を指します)。最後に、ヘディング・バグを磁気針路の315度にセットして、やっと方位関係の設定はおしまいです。いや…まだVORのセットがありましたっけ。
 ご当地のVORはせっかく真方位なので、HSIのオフセットはゼロに合わせる方が正しいのですが…今回はあえて磁方位にしておき、コース設定ノブを使って、CDI指針を磁針路に相当する角度に向けました。
 燃料は、フロートタンクについては半分にして、計3680Lbs(満タンの8割)を搭載。この基地は3000m級滑走路なので、仮に満タンでも十分に離陸可能。というわけで、陸からのテイクオフになります。

 1423時にエンジン始動、1424時離陸。左旋回で、ラフなトラフィックパターンを描きながら上昇。燃料を少し減らしているため、快調に昇って15000ftでレベルオフ。1439時、空港上空を通過し予定コースに定針。速度は215KIAS(263KTAS)出ております。その後、不意に速度が40ノットも低下して、首をひねった末、フラップのボタンに触れてしまったことが分かった以外、ほぼ順調に巡航を続けました。
 1450時、ADFをグリースフィヨルドNDBに合わせると、感度あり。ただし針は4度ばかり左を指していますので、HSIのつまみをクリックして、針路を2倍角の8度左に調整し、オンコース時点で4度に戻すなど、きめ細かい飛行を継続。変針点Aを通過したころ、コンパスの偏差設定を計画通り、0.3度だけ調整しました。

●●天測も快調、太陽と編隊飛行でレゾリュートへ:
 1524時、グリースフィヨルドNDBを通過。また偏差設定を変更し、計画通り磁気方位282度へ変針。約15分で変針点Bに着くはずです。
 1531時。「このタイルでは、リアルな天気は使えません」とか言う、黄色い文字のエラーメッセージが何度か出ました。北極諸島は、気象情報が少ないと言うことでしょうか。FlightGearの天気モードを「ベーシック」に切り替えたところ、もやが消えて一気に水平線近くまで視界が広がり、左手にデヴォン島が見えて、もう迷いっこなくなりました。
 気持にゆとりが出て1539時、コードラントで太陽と木星の高度角を観測。天測計算ソフトにこれらのデータと、推測位置(測位計算の基点)として使う変針点Aの緯度経度、それに自機の真針路と対地速度を入力しました。最後の針路と速度は、太陽を測定してから木星を計るまでの短い間に、機体がどの方向にどのくらい移動したかを補正する、航海術で言う「RUNの改正」に必要な数値です。

 天測計算ソフトがはじいた現在地は、北緯76度09.4分、西経87度07.7分。太陽のインターセプト(計算の基点となる仮の推定位置と、実測値の距離差)は-18.2nm、木星は-3.5nmと小さいので、観測と計算に誤りはないはずです。Atlas画面とデヴォン島を見比べて判断した位置ともぴたりで、まずは大成功。全所要時間も8分と短く、私の天文航法は最近、安定してきたようです(^^)/。
 このフィックス(確定位置)を使って、すぐさま変針点Cへの方位と距離を算出。現在の風向風速を確認して補正計算し、さらにこの区間の偏差を加えて磁気針路に換算し…ともかく、ひたすら計算。ひたすら巡航。やがて正面にコーンウォリス島が現れ、デヴォン島を離れてウェリントン海峡に差し掛かりました。レゾリュートのNDBも入感しており、ゴールはもうすぐです。

 空港を視認し、1609時に降下開始。レゾリュートはチューレより2度近く南ですが、降雪地帯がほぼ海岸に迫っており、すでにチューレ到着の時点よりも、かなり気温が下がっていることが分かりました。FlightGearが再現する地球環境が、だんだんリアルになっていくのは実に楽しいですね。
 ブレーキとフラップを使って降下を続け、4000ft付近のbrokenの雲を突破して、ベースレグを通過。シェーダー効果でデコボコの雪原に、たくさん針葉樹が生えて、いかにもという景色です。1617時ごろ、スムーズにタッチダウンして、滑走路の片側に機体を寄せ、エンジン停止。路面は土の色ですが、実際のレゾリュートベイ空港の滑走路には、砂利を敷き詰めてあるそうです。
 燃料残は2651Lbsとたっぷり。極地の磁気方位飛行は初めてで、飛行中は予想通り多忙でしたが、天気は上々で風も終始一定、かつ穏やかだったことから計算処理が間に合って、破綻せずに航法を継続でき、全般に大変楽しいフライトでした。ジオマグメーターで真方位も表示しましたが、実際は終始、磁気方位だけを見て飛ぶことが出来ました。(というか、計算の対象外なので、見る暇もなかったのですが)(^^;)

 飛行中、天測していないときも時々コードラントを使って、ざっと太陽の方角を確認したところ、2時間弱のフライト中、太陽の位置は常に真方位で150度前後でした。地上にいれば当然、太陽は2時間で30度動きますが、この高緯度ですと、わずか対地260Kt程度の飛行速度で、日周運動に付いていくことが出来るのです。いわば太陽との編隊飛行で、非常に面白い体験でした。もっと北に上がれば、コンコルドでなくても「西から昇る太陽」を拝むことも可能なわけですね。

●●「北西航路」とレゾリュート:
 最後に、今回到着したレゾリュートと、いわゆる北西航路について、調べたことをお話しします。
現実世界では、ここは人口わずか200人の集落ですが、レゾリュートベイ空港CYRBがあって、北極圏の重要な航空中継地の一つです。植村さんら探検家の空輸・補給で有名なケンボレック航空も、ここに本拠を置いて、スキーを付けたツインオッターを運用しています。地理的には北極諸島を東西にぶち抜く「海の大通り」バロー海峡に面しており、いわゆる「北西航路」の中央付近に当たります。

 北西航路とは何か。ヨーロッパでは長い間、アフリカや南米を回らずに、アジアへ出られる交易ルートを求めて、北極海の探検を続けてきました。ユーラシア大陸北岸沿いにベーリング海峡を目指す「北東航路」と、迷路のようなカナダ領の北極諸島を抜け、北米大陸沿いにアラスカを回り太平洋に出る「北西航路」の二つです。初めて北東航路を通過したのは、ノルウェーの探検家ナンセンのフラム号。船体断面が丸みを帯び、周囲の海が氷結しても押しつぶされず、氷の上に押し上げられる構造で、無補給のまま2度も越冬しながらの壮挙でした。また北西航路を初めて通ったのは、彼の弟子のアムンゼンで、同様の構造を持つ探検船ユア号(翻訳者によってはイエア号)を使い、これまた3年がかりで達成しました。かつて多くの探検隊を呑み込んだ北極海ですが、最近は温暖化のため氷が開け、夏場なら何とか耐氷貨物船が通れるようです。

 北西航路は、日本人にも少々縁のあるコースで、植村直己さんが全航程1万2000キロを犬ぞりで踏破し、堀江謙一さんもヨット縦回り世界一周の途上、アムンゼン並みに3シーズンを費やし突破に成功しています。こうした物語を読むと、どうしても一度は飛んでみたくなる地域です。
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