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海鳥の旅・第1回

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なし 海鳥の旅・第1回

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2012-6-20 16:36 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 632
hideです。長らくご無沙汰を致しましたが、謹んで「旅日記」を再開させて頂きます。以前から少しずつ準備していた、新しい方式の長距離飛行を始めようと思っております。

●「空に寝泊まりする」飛び方:
 これまで私の長距離フライトは、1回の飛行時間がせいぜい半日でした。
諸般の事情で、FlightGearに没入できる時間は限られますから、その間に一気に距離を稼ぐ必要があります。当初は「Time of day」機能を使って、時刻を「noon」か「dawn」あたりにセットして離陸し、Aキーによる倍速モードを多用して飛び、ポーズを掛けて撮影や計算を行ったり、困ったときは「長考」をしていました。しかし天文航法の研究を始めたところ、「Time of day」や倍速モードを使うと、天体の動きに無視できない誤差が出ることが分かり、使用を断念。時刻を調節する際は、パソコンのクロックを調整するようになりました。天文計算上はUTC(グリニッジ時間と同じ)に合わせてしまうと便利です。
 ところがv260では、クロック操作で任意の時刻にしたり、クロックをUTCに合わせると、FlightGearが起動の瞬間に異常終了する場合があります。METARと関係があるような気がするのですが、未確認です。こうして次第に私は、常に「実時間・実時刻」でフライトせざるを得なくなりました。これでは距離が稼げませんが、巡航速度をあまり上げると、天文航法はもちろん、NDBを使ったクロスベアリングでさえ、速すぎて計算が苦しくなります。正直、現在のピラタスPC-9M改の巡航速度(高空では対地350Kt)でも、ちょっと速すぎるくらいです。そこで発想を転換して、もっと減速する代わりに思い切って長時間飛行をする、という選択肢はないものかと、しばらく前から考えていました。

 ヒントになったのは、私が子供のころから何冊か愛読した、堀江謙一さんらシングルハンド(単独航海)の外洋ヨットマンの航海記です。交代要員がいない彼らは、夜はヴェイン・ラダー(風力利用の舵角維持装置)任せで睡眠を取り、シケと闘って疲労困憊した場合も、一応安全と判断したらバッタリ眠ります。風が変わったら自然に目が覚めて帆を調整できるので、操船を中断して寝てしまうというのも、ありなのです。
 もし、これに似たことをFlightGearの航空機でやると、どうなるでしょう。極端に長時間滞空が可能な機体を、睡眠中や勤務中もオートパイロットで飛ばしておき、1日に1回程度の離着陸と、数回の航法計算・針路修正をこなすとすると、毎日でも大規模なフライトが続行できるのでは? 実機で言いますと、副操縦士と交代しながら、食事と仮眠を挟んで飛び続ける、例えば哨戒機みたいなイメージですね。あるいは…海上で生活しながら長距離を飛ぶ、海鳥みたいな生活かな? 実際にどこまで可能なのか、一度実証試験をしてみようと思いました。

 使用機は今回、飛行艇にします。もともと長距離飛行・哨戒用で航続力があり、洋上に不時着できること、いざとなれば都市・集落の近くに接岸し、空港に依存せず給油しても不自然ではないこと、などが理由です。まず、六分儀を組み込んだショート・エンパイア飛行艇を思いつきました。が、同機は非常に手の込んだ傑作ではあるものの、英国空軍のバブル・セクスタントより、私のフライト・コードラント(航空四分儀)の方が便利ですし、水陸両用機のほうが柔軟に運用できそうです。という次第で、幾つかの試験飛行も行った末、最終的にはPBYカタリナを選びました。外観は正直、提灯アンコウみたいな機体ですけれども…機内を見回すと、ヨットの船室みたいな居心地のよさも感じます。
 航法面でも、海上を飛ぶ方が安全です。仮に1000nm先の目的地へ一晩掛けて飛んだ場合、途中で必ず風向風速が変わりますから、コースがずれて山に激突する心配もあります。私は、最初の段階ではGPS+オートパイロットを使ってテストするつもりですが、慣れれば推測航法で飛び、目覚めたり外出先から戻るたびに、主にVORやNDBでフィックス(実測位置)を取るつもりです。出来れば大陸に沿って沖合を飛び、衝突の危険はないが、いつでも陸岸の航法援助施設を利用できる、という距離を保てると理想的ですね。天文航法も面白いですが、相当手間が掛かりますので、主に無線標識の少ない大洋の真ん中で使うことになりそうです。

●機体の準備:
 PBYカタリナは最近改良され、コクピットの装置類やキャビン全般がディテールアップされました。外観上の特徴である、後部両舷のブリスター(二式大艇で言う、スポンソン式風防のことですが、以後は米国関連サイトの表現に従います)も、Dキーで回転し開閉してくれます。滞空時間も最低12時間は大丈夫で、タンクを大きくすれば24時間も夢ではない、と期待しました(実際は改造後、20時間前後は飛べると思います)。
 ただし航法計器はコンパスとADFしかないので、私は3月の下旬から、ピラタスPC-9M改の一部計器を、カタリナに移植する作業に掛かりました。あらかじめ撮影してあったカタリナの主計器盤写真をもとに座標を計り、ADFを外してRMIに置き換えたり、旧式の人工水平儀とジャイロコンパスを、それぞれILS対応のADIとHSIに置き換え、DME及び一部の無線パネルを追加。これらは簡単なはずでしたが、意外な伏兵がありました。電源回路です。

 まずADIを組み込んでみました。サイズがカタリナの純正計器類より少々大きく、グレアシールドに食い込むとか、真下のジャイロコンパスに干渉するとか問題はあったけど、ともかく定位置に出現。イグニッションをオンにすると、水平儀が起動しました。ただしILSは赤いフラグが出たままで動きません。そこでA10-ADI.xml(PC-9Mは、A10のADI計器を使用中)を調べたところ、電気関係の変数を発見。どうも現在のADIは「通電されて」いないと、作動しないらしいことが判明しました。
 最近、FlightGearの各機体にある「electrical」というファイルが、だんだん複雑になっていて、仮想の電気系統に育とうとしている気配があります。何のためか分かりませんでしたが、機体を完全な「冷温停止」状態から飛行状態に起動する際、スイッチ操作に従って、さまざまなシステムが順次目を覚ます、といった手順を再現し、リアリティーを増すためのようです。特にグラス・コクピットでは、最初はパネルが「停電して真っ暗」でなくてはならない…という要請があるのでしょう。それは分かりますけど、配線やスイッチのオンオフ、給電容量などをコントロールできないと計器一つ移植不能、という状態はやっかいです。

 ADIに関しては、Aircraft/PBY-Catalina/Systems/electrical-fdm.xmlというファイルを開いて、全く理解できないままに、内容の一部をADIに書き換えて追加したら、幸い電源が入って作動しました。ADFも、最初は不作動でしたが、internal propertiesの計器の、kr-87/outputs/needle-deg というパスを引用したら、やっと受信できました。しかしこれは、メニューバーにあるADF周波数セット欄とは別物。従っていちいち、無線パネルのダイヤルを操作しないと受信不能です。kr87無線パネルは、面倒なので放棄してしまいたいのですが、これを使わないとコールサインのモールス信号が聴取できず、長距離飛行では局の判別が出来なくなってしまいそうで、そのままにしています。

 ほかにRMIとDMEの不作動だの、邪魔なグレアシールドを切り取ったりサイズ変更すると、そもそも機体が起動できなくなるとか、うんざりするほど課題がありましたが、省略します。そのうち改造は動力性能・空力面に移行しまして、重量と馬力のアンバランスにより、プロペラのピッチ角を少しでも増大すると、高度と速度の維持が不可能になるとか、またまた問題があり、調整を重ねました。同じころ、妻と私の親が3人同時に倒れるという、現実世界の大事件がありまして…この対応や余波のため改造はますます遅れ、飛行艇の出発は、6月までもつれ込んだ次第です。

●深夜に伊丹出発、バシー海峡をめざす:
 では、試しに飛びます。以下のようなコースです。万事うまく行ったら徐々にコースを延長し、出来ればそのまま2回目の西回り世界一周に挑戦して、「平均速度の自己最低記録」と「達成日数の自己最短記録」を狙いたいと思います。取りあえずは、台湾=フィリピン間のバシー海峡を狙って飛び、両国どちらか都合の良い方に着陸して給油します。

伊丹RJOO
   ▼215度37nm
友が島VOR(TME)116.40
   ▼225度25.5nm
小松島NDB(KJ)352
   ▼208.6度50nm
足摺岬 33.14.25N-134.11.00E
   ▼219度540nm
嘉手納VOR(KAD)26.21.24N-127.46.05E 112.00
   ▼222度465nm
バスコ(バシー海峡・バタン島の空港)20.27.03N-121.58.29E NDB276(BS)

 航法はVORとNDB主体。補助に天測、非常用にGPSを使うつもりです。新型Atlas(Ver.11)をチャート代わりに使いますが、いざという時は当然FlightGearにアタッチして、FMS代わりになってもらいます。天文航法はもちろん、電波航法も長らく使わないと勘違いをしますので、取りあえずバスコまでは練習区間としてGPSオートをセットしておき、この間に測位トレーニングをします。以後は成り行きで。

 6月15日の日本時間・0055時にPBYを起動。燃料は12000Lbs満タン。0110時、GPSにバスコまで入力終わり。0111時滑走開始。38秒6271ftの滑走で離陸し、GPS針路に定針。目標高度5000ft。
 闇夜の大阪湾に出ます。重い機体が4000ftで少々ダッチロール。手動で押さえて、やがて神戸空港のアビーム(真横)を通過。少し機体が落ち着き、自動で90KIAS、高度5000ftを維持。スロットル78%くらい、2700回転、吸気圧27インチで巡航。DMEによるとRJOOから31キロ(注:改造DMEの properties が作動せず、この時は表示ドラムの記述を修正して、nav[0]のメートル単位距離データを代入していました)。GPSによると友が島まで19nm。対地速度は100ノット出ています。北風に乗った形ですね。
 0128時、航続距離を増やそうと、プロペラピッチレバーを半分ほど手前(角度増大側)へ。1620回転まで落ち、燃費は相当改善して0.95nm/galに。推測残距離1878nm、残飛行時間18:34などを確認。明日の夜まで燃料が持つ計算です。友が島水道を通過して、海自ヘリ基地のある小松島へ自動変針。次いで0150時、小松島で変針し室戸に向かいます。

 ここで大きなトラブル発生。高度をいちいち指定しなかったためか、変針点で勝手に機体が降下し始めたのです。起きていて良かった!と思いましたが、慌てて修正操作中に、オートパイロットの癖でヨー運動が出ている…と思ったのが実際はフラットスピンでして、回復が間に合わず墜落。PBYは、もともと重くてアンダーパワーですが、私はさらに燃料搭載量を増やしており、機体は過荷重で神経質です。くっそー!
 おまけに再起動したとたん異常終了。パソコンをリセットしてもダメ、FlightGearのオートセーブ・ファイルを投げ捨ててもダメ。Ver.2.6.0になってから起動失敗が増えており、久しぶりにムチャクチャ腹が立って、もう次のバージョンが出るまで、旅はやめようかと思いました。

●四国沖で夜が明ける:
 結局、基本通りにFlightGearの全項目をリセットして、再起動成功。やはり焦ってはいけませんね…(^^;)。0245時、再び伊丹で満タンにして始動、離陸。0257時、関空を左前に見ながら、重い機体がようやく安定しました。用心のため以後当分、プロペラピッチを操作しないことにします。
 ところがもう一つ、トラブル発生。出発前にリセットしたのに、パソコンがしきりに「**をインストールしたので、**分後にリスタートします」と言う。冗談じゃありません!! このままでは長時間の自動操縦が不安なので、0337時ごろ夜明け前の紀伊水道に着水し、パソコンをリセットしました。私が欲しいフライト途中セーブ機能は、ついに廃止されてしまったらしいので、緯度経度と燃料残をメモしておき、海上で再起動するわけです。セーブできないのは不便ですが、仮にセーブデータから再開すると、リアルタイムではなくてシミュレーション内部の時刻になるはすで、天文計算上は好ましくなく、痛し痒しです(…って言うのはしかし、ややこしい天測をする私の意見です。皆さんは本当に、途中セーブ機能がなくても大丈夫なのでしょうか)。

 0348時。暗い空が、微かに赤く染まる海上に機体が出現し、先ほどと、ほぼ同じ燃料搭載量に調整。GPSに室戸岬の緯度経度と嘉手納基地VOR、バスコのNDBのみ再入力し、無事に離水。間もなくバラ色の夜明けが訪れまして、世界はなかなか綺麗です。4時8分、室戸岬の変針点を通過。あとはバシー海峡目指して突っ走るのみ。何かトラブルが起きた際、失速まで大きなゆとりが欲しくて、巡航速度を100Ktにアップしました。0503時ごろ、宮崎空港VORと鹿屋NDBを受信。モールス信号を聴いて局名が確認できたので、方位測定したところ、土佐清水市の真南約50マイル、31.51N-131.57Eあたりにいました。なかなか順調です。左後方に太陽が出てきました。私はしばらく仮眠しようとベッドへ。まるで機内の簡易ベッドに転がった気分ですが、こういう「有事即応」の雰囲気で眠るのは、嫌いじゃありません。

●南西諸島を台湾へ:
 0831時、目覚めてディスプレーを見ると、ミルク色の霧しか見えず、フリーズしたかと思いましたが、無事に飛行中。やがて晴れて、南西諸島のどれかが見えました。315nmくらい来たはずで、0851時(ここまですべて日本時間)にKAD(嘉手納VOR)のモールスが聞こえたので位置を取ると、さっきの島影は与論島だったみたいです。もうすぐ沖縄本島。後で思えば、尖閣諸島のそばにいたわけで、話題の島をちょっと見たかった気もします。

 眠って食べて雑用を済ませ、15日の1256時(UTCでは0356時)ごろ、波照間と宮古島のNDBを方位測定し、クロスベアリングで緯度経度を出したところ、八重山諸島のはるか南、22.39N-123.31Eと判明。表計算で求めた推測位置とかなり食い違っていて、数カ月のブランクの間に、航法の腕が落ちたことが分かりました。しかし最新Atlasの画面が、チャートとしてうまく機能するので、以後は数値計算ではなく、作図で位置を出す方法にシフトすれば大丈夫。以前から何度もご紹介した、フリーウェアの「斜めものさし」を起動して、Atlas画面のデフォルト倍率「125」に縮尺を合わせ、原点をAtlas画面中央の「+」マークの真下に敷き込んでおきますと、マウスポインタであちこち指すだけで、機体からの距離と方位がほぼ正確に出ます。NDB2局の受信方位をこの方法で調べると、地図上で「ここが現在地」という場所が分かり、Atlasに緯度経度が表示されます。画面をズームすると、距離表示は合わなくなりますが、ズーム比「125」倍の他には「1250」倍だけを使うようにすると、表示を10倍するだけで修正できます。この方法では、10nmやそこらの誤差は出てしまいますが、目的の島や空港はたぶん視認できるでしょう。

 13時すぎ、視界内にある雲のレイヤーが、すべて同じ向きに傾いていることを発見。この現象は6年くらい前、当時のFlightGearを使って極地へ飛行中、緯度が上がるにつれて発生しましたが、その後は確認したことがありません。この時点で離陸から12時間くらい経っており、超長時間飛行の影響によるものなのか、新たなトラブルの前兆ではないか、レイヤーの傾斜角は航法の役に立たないか…などと考えましたが、そのうちに自然復旧。ただし後で再発しました。
 また1323時に、前方海面にテクスチャーの異常を発見。海のタイルが四角く欠けています。いよいよ危ないかな? 異常終了すると、嫌だなあ。とメモした途端、また10nmほど先まで描画されまして、以後余り気にしないことにしました。1336時、正面215度にバスコNDB(BS)を受信。台湾東岸のランユーNDB(LY)は290度に入感しており、これで得られた位置は21.41N-122.48E。バスコまで作図上の距離は89nm、GPS測定では83nmですので、まずまずの精度です。
 1446時。所用を済ませてパソコンの前に戻り、GPSを見たら、もうバスコを通り過ぎています。それはよろしいのだけど、後方はるかに山が見えて、どうやらあれがバスコらしい。本機の高度より少し高い感じで、よくまあ激突しなかったものです。

●右エンジン停止、次いで機体が竿立ちに…:
 1556時、フィリピン群島の一つを通過。小さな島を見下ろしていると、回転計の黄色い右エンジン指針が、変な上下動をするのが見えました。あっと思った途端、右エンジンが停止。FlightGearで飛行中に片エンジンが勝手に止まるのは、初めての体験です。
 右エンジンは、止まっただけでなく、時折思い出したように吹き上がります。そのためか、機体が不意に竿立ちになって、ブラックアウトやレッドアウト、ロールを発生。必死に立て直しながら、高度を失いました。燃料タンクを調べると、4つのうち0番と3番が空。1番と2番はそれぞれ1147.5Lbs(173.9gal)残っています。両タンクのチェックマークを外しても、まだ右エンジンは完全停止せず、機体は暴れ続けました。幸い、島の真上です。最初はルソン島に再び定針したものの、到底たどり着けないと思い、不時着水を敢行。島へタキシングして、そっと平らな岸に機体を寄せてエンジン停止。トラブルを解消するには、アプリを再起動するしかないと思いまして、正確な位置や方位をメモ。北緯18度50分28秒、東経121度18分51秒。機首の向きは295度、右舷側に陸。あとで調べると、バブヤン諸島のフガ島という所でした。長さ22キロ幅6キロ。ちなみに、こんな小島にもかつては日本軍が駐屯していたそうです。

 FlightGearを終了する前に、念のため左エンジンを始動。どうもスロットルが、勝手にアイドルに戻ろうとします。いよいよリセットするしかなさそうですが、あちこちつついている間に、突然うまくエンジンが吹けるようになったため、ギアを出してビーチング(上陸)しました。燃料の総量を計って、均等に545Lbsずつ4つのタンクに入れ直すと、両舷エンジンの再始動に成功。ちゃんと快調に吹き上がります。しめた。翼端フロートを出して、のそのそ水中へ。水鳥のような気分です。1636時に離水。
 ルソン島北西部のラオアグ国際空港(RPLI)めざして高度を上げると、「LAG」のモールスが聞こえ始めました。前方に淡く岸と山が見えます。やったぁ、フィリピンのルソン島です。どっさり耕地があり、小さな湾と、かなり海に迫った低い山々が見え。その間に小さな平野が点在して、愛媛とか和歌山県あたりの景色に近い気がします。あったかく、香しい空気が流れているような気がして、両舷のブリスター風防を開いたまま、オープンカー気分で低空飛行。さっきエンジントラブルがあったため、山地や谷間を飛ぶと、ちょっとだけ不時着が心配です。さてラオアグ空港ですが、調べたら国際空港なのにATISもILSもありません。天気が悪くないので、取りあえずは必要ありませんが。

 1706時、もやの彼方に都市が見え、その向こうに…待望のABNを発見。滑走路方位のラジアル190度をHSIにセットします。かなりの横風の中をウイング・ローで降りて、無事にタッチダウン。オートブレーキで、たった717.8ft走って停止し、誘導路に入って1721時にエンジン停止。伊丹から昼夜16時間10分掛けて、わりとあっさり?フィリピンに到着しました。

●大豪雨。低気圧の列をかきわけ、ミャンマーへ:
 3日後の6月18日に、次の航程へ進みました。

ルソン島 ラオアグ国際空港RPLI 18.10.40N-120.31.52E
   ▼718.6nm259.8度
ベトナムのダナン空港VVDN VOR114.4DAN NDB212DJ 16.03.08N-108.11.53E
   ▼690nm275.1度
ミャンマーのヤンゴンVOR112.3YGN 17.05N-96.14.51E
ヤンゴン空港VYYYは、ここから214度12nm

 日本時間の0040時にFlightGearを起動。UTCではまだ前日の15時40分ですが、もし天測しなければ、この日付は特に意味を持ちません。ラオアグではDMEを修理して、本来のマイル表示に戻しました。これまで作動しなかったのは、実は…NAV-1のデフォルト周波数を、伊丹のILSに書き換えていたためです。伊丹はILS/DMEではないので、幾らテスト飛行をしても、そもそも電波が入感しなかったのですね。大赤面!!

 燃料は3000Lbs(454.5gal)×4タンクが全部満タン。天気は9000ftにovercast、2000ftにbrokenの雲があって、204度の風19Kt。おまけに雨とくる。くそーっ、思わぬ悪条件ですね。実世界では、拙宅の窓の外は台風4号で荒れ模様でしたが、フィリピンは関係ないだろうと、高をくくっていたのです(^^;)。
 0048時(以後日本時間)、エンジン始動。100KIASで飛ぶ予定で針路計算をすると、対地88Ktで真方位250.9度、WCAは9.1度左と出ました。向かい風です。もっとずっと南下して、貿易風帯を探した方がいいのでしょうか。ならばインドネシアのコタバル当たりを狙うかな。しかし既に、北回帰線より南にいます。貿易風(東寄りの恒常風)が吹くものでしたら、とっくに吹いていい緯度です。まあ、日中の天気次第ですな。

 0058時(1558UTC)に離陸。暗夜の豪雨で、ほとんど視界がありません。計器を見なければ姿勢も分からないほどで、ラオアグにはILSがないし、今すぐターンして降りる必要が生じても、こりゃとても無理です。凄いことになりました。
 0115時(UTC1615時)、出発点から28nm。依然として猛烈な雨。対地速度98nm、燃費は目下0.699nm/galと低調で、回転数は2700でした。ここでプロペラピッチレバーをノブ1個分だけ手前に引いて(具体的にはシフト+nキーを押して)、ピッチ角を少し増大させてみますと、回転数は2050まで落ちて、燃費は0.83nm/galくらいまで改善。推測残距離も1618nm、推測残時間16時間36分と伸びました。機体が燃料満タンで重いうちに、ペラのピッチ角を増やすのは少々大胆ですが、高度速度は維持できており、一応このフライトは、天気を除けば快調な滑り出しです。0157時(1657UTC)になっても、風のデータは同じ。よって同じ設定で続航するとしましょう。

 0232時、ラオアグから154nm進出。猛烈な雨が続いています。これから一体、どうなるのでしょう。南シナ海の実況天気図と予想天気図、アメダスの画面が見たいけれど、それに当たるものが発見できません。ふと思いついてGoogleEarthを起動し、オプションの「天気」を表示したところ、地球規模で雲のレイヤーが発生しました。よかった! 数値はなくても概況がつかめます。
 衛星写真によれば、日本の台風4号の後ろには、低気圧がカルマン渦のように一列に並んで、南西方面へダンゴになっています。低気圧中心からの雲の張り出しは、暴風半円の南側が特に大きいため、追い風(貿易風帯)を期待して南下するのは、全く見当外れだと分かりました。逆にダンゴの列の北側の、可航半円に入れば追い風です。中国沖の海南島を目標に、西に進むことにして…海南島南岸のサンヤVOR112.5(SYX)をNAV-1にセット。VORの位置(18.18.26.N-109.10.20E)と、0238時の現在地(ラオアグ260度160nmの17.52.58N-117.43.36E)から針路を計算し、488.54nm273度と出ました。風はまだ205度19Ktだから、修正計算して対地速度は実質91.3Kt、真方位で針路262.9度、WCAは10.1左。推測航法と、VORやNDBによる位置確定を繰り返すフライトが、大荒れの空で続きます。
 雨は、さらに激烈になってきました。狂ったワープから出られない宇宙船のようです。機外視点では、ほとんど機体が見えないくらい。おまけにラオアグVORの受信圏を出てしまい、何も受かりません。NDBが香港に合わせてありますが、当分ダメでしょう。まあ頻繁に風の変化をチェックして、現在地と補正針路を確認していれば、海南島を見失うようなことはないでしょうが…暴力的な雨足以外に、せめて星でも船でも、何か見たいし、何か聴きたいものです。

 1時間近く経った0334時、微かに何かが聞こえました。ヘッドホンをひっつかむと、モールス符号の「RW」です。香港の啓徳空港NDB! 0335時の受信方位は343度、これで位置の線が1本得られました。コースの左右誤差があまり無ければ、作図によると、位置は18.38N-115.22Eくらいでしょうか。しかし推測飛行距離を当てはめると、あまりに前進しすぎていて、辻褄が合いません。ともかく、引き続き西へ。

●ベトナム上空からタイ、ミャンマーへ:
 少し仮眠を取った後、日本時間0540時(UTC2340時)に、やっと雨が止んでいました。香港のVORとベトナム東岸フエのNDBを使って、16.31.43N-112.31.07Eにいることが判明。海南島を目指す、西への針路から大きく南へ外れ、ほとんど当初予定のダナンに向かっています。どこかで低気圧の西側を飛んで、風が北寄りに振れて流されたのでしょう。この時点でも305度16Ktの風が吹いていますが、雲は4000ftにscatterd、1400ftにfewと、天気は回復しつつあります。ならば予定通り、このままダナンを目指しても差し支えなさそうです。以後、修正計算を重ねながら、曇った洋上を西南西へ。やがて世界がバーミリオンに染まって、壮麗な夜明けが訪れました。

 ミャンマーのヤンゴンVORを目指して、ベトナムとラオス領内を通過。薄い雲を通して、ぼんやり大地が見えますが、水田ではなく畑が広がり、白いサイロや赤い農家があって、針葉樹が生えています。アジア・モンスーン地帯というより、イギリスに似ているのは残念です。植生や風土が、もっとリアルなら…FlightGearの世界旅行は、ずっと楽しくなるのですが。いっぽうタイの山岳地帯は、割にジャングルっぽい色合いで、少し気分が出ました。熱帯を飛ぶときは3Dの針葉樹を消して、テクスチャーだけにした方が無難です。タイ領内でMEF(チャートに記載されている、その地域の最大標高)が、現在の飛行高度5000ftを少し超えたので、7000ftまで上昇。プロペラピッチも再調整し、燃費は1.1167nm/galまで改善しました。前回、エンストに繋がった、燃料の不均等な消費は今回も同じでしたが、飛行中に1回、タンク内の残量を均一にしたため、特に問題は生じませんでした。
 Atlas画面を土台にした推測航法が、一応うまく行くことが分かったので、タイ西岸からアンダマン海に出るあたりで、今度はAtlasをFlightGearにアタッチして、地図連動のカーナビ的フライトもテスト。また小雨が降りましたが、眼下に雲があるものの頭上は快晴。地表が雨だと、高度に関係なく降るのでしょうか。「狐の嫁入り」的な風情はありますが、変な感じですね。
 順調に飛び続け、ILSを使ってヤンゴン進入。ゴーアラウンドに備えて、プロペラピッチを最小角度にして降下を続け、ようやく滑走路がインサイト。ところが西から東へ小さな断雲が、地表をこするように移動していて、それがたまたま接地点あたりに居座って、焦りました。ともかく飛び抜けて、横風をかなり修正しつつ、長い滑走路に再び接近してタッチダウン。やれやれ…AI機がいなくてよかったです。1508時、誘導路でエンジン停止。12時間18分のフライトでした。

 今回は、6月15日と18日の2日間に計28時間28分飛んで、稼いだ距離はざっと2850nmです。天気は散々でしたが、アジア・モンスーン地帯の6月をたっぷり実感したと思えば、なかなか得難いフライトです。実時間・実時刻・そしてリアルウエザーならではの味でしょうね。大長文で失礼致しました。
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