logo
ホーム •  フォーラム •  日本語wikiトップ •  アカウント情報 •  サイト内検索 •  新規登録
 ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録
 メインメニュー
 米国サイト
 オンライン状況
26 人のユーザが現在オンラインです。 (2 人のユーザが フォーラム を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 26

もっと...

北西航路を行く

このトピックの投稿一覧へ

なし 北西航路を行く

msg# 1.6.1.1.1.1
depth:
7
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2013-10-23 11:39 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 632
 hideです。グリーンランドからアラスカ方面へ、北極圏を抜ける「北西航路」フライトの第2回をお送り致します。今回はカナダ領・北極諸島のど真ん中、レゾリュートから400nmばかり南下し、かつてアムンゼンの探検船が越冬したジョアヘブンを通過。西にコースを転じて、カナダ北極圏南部のケンブリッジベイへ向かいます。磁気偏差が25度も変化し、ナビゲーションの上でも深く「極地」を味わう旅となりました。

●●北極圏の巨大迷路:
 私は小学生のころ、世界地図を見て「フィリピンの子は、大変だなぁ」と、つくづく思ったものです。国土が大小無数の島々だからで、地図を描きなさいと言われた場合、日本ですと北海道は菱形、本州はバナナ…と大胆なデフォルメも可能ですが、フィリピンではどうすればいいのか。カナダも同様で、本土から北に伸び、グリーンランドと渾然一体となる「北極諸島」の雄大な広がりは、手に負えない気がします。

 前回ご紹介した、ヨーロッパから極東へ北極海を近道する「北西航路」は、このカナダ北方の多島海をジグザグに縫って進むのですが、イギリスその他の国々が300年あまり探検を続けた結果、この巨大迷路を通過する正解ルートは、ほぼ1本しかないことが分かってきました。北極海の氷は、粗い写真では一枚の氷原に見えますが、実際は海流と卓越風によって絶えず動いているので、氷の密度は地域的に大きな濃淡があります。広い海峡であっても常に氷に覆われていたり、逆に狭い水道でも、年によっては真夏に開水面が生じ、帆船で通るチャンスがあったりするわけです。

 このルートは簡単に言いますと、次のように西→南→西と進む、クランク型のコースです。
(西へ)グリーンランドから、ほぼ真西へ進む。北極諸島を東西に貫く大海峡
    (東部はランカスター海峡、中央付近はバロー海峡)に出会うので、
    真ん中まで西進すると、コーンウォリス島のレゾリュートベイに着く。
(南へ)レゾリュートからは、ほぼ真南に延びるピール海峡を南下する。
    やがて正面にほぼ三角形の、キングウィリアム島が見える。この島の
    西には広い海峡が、東には狭い海峡がある。船で通過する際は、ここで
    必ず東の海峡に回り込み、南東岸のユアヘブンで一休み(昔は越冬した)。
    (西の広い海峡は、迷い込むと氷に閉ざされる)
(西へ)ユアヘブンからまた西へ。カナダ本土とキングウィリアム島の間にある
    ほんの2nm幅(しかも島あり)のシンプソン海峡を通過して、さらに
    多島海を西へ。やがてビクトリア島ケンブリッジベイに到着する。
    これで最難関はおしまい。さらにカナダ北岸沿いの通称ボフォート海を
    西に進んで、アラスカに至る。

…私は今年、この航路を船で初めて完走したアムンゼンや、犬ぞりで踏破した植村直己さん、まだ地理がよく分からなかった1840年代に探検中、船2隻と隊員129人が全滅した英国フランクリン隊などの記録を読みました。不思議なもので、手に負えないと思えた巨大迷路も、内部にあれこれコースを思い描くと、少しずつですが島や海峡の名前が頭に入ってきます。白紙に地図を描いてみろ、と言われたら絶対無理ですが、今ではごく粗い世界地図を見ても、レゾリュートやピール海峡、アムンゼンが越冬したユアヘブンなどの位置が、すぐ分かるようになりました。フライトシミュレーターによる「地球遊び」は、単にフライトばかりでなく、こういう部分も楽しいです。

●●巨大迷路のフライトプラン:
 今回の航程は、以下の通りです。
★レゾリュートベイVOR112.1YRB 74°43'41N-94°55'21W(74.7280-94.9226)
   The magnetic dip angle is 87.38 degrees down
   The magnetic variation is 26.14 degrees W
 (西へ0.7nmでレゾリュートベイ空港CYRB NDB350RB → RWY171T
                     NDB391RU → RWY351T)
   ▼194.87度104.17nm偏西21.61度
△ピール海峡プレスコット島東岸 73°03'N-96°31'46W
   The magnetic dip angle is 87.02 degrees down
   The magnetic variation is 17.08 degrees W
   ▼180.87度106nm偏西14.69度
△ブーシア半島西岸タスマニア諸島 71°17'N-96°37'W
   The magnetic dip angle is 86.47 degrees down
   The magnetic variation is 12.29 degrees W
   ▼174.42度160.19nm偏西10.53度
☆ジョアヘブン(GJOA HEAVEN CYHK)空港NDB 236THK 68°37'34N-95°51'31W
   The magnetic dip angle is 85.49 degrees down
   The magnetic variation is 8.76 degrees W
   ▼279.49度99.7nm偏西4.84度
△ロイヤル・ジオグラフィカル・ソサエティ島(王立地理学会島)68°54'N-100°23'W
   The magnetic dip angle is 85.58 degrees down
   The magnetic variation is 0.92 degrees W
   ▼277.23度103.76nm偏東3.06度
★ビクトリア島ケンブリッジ・ベイ空港(CYCB)VOR 112.7YCB → RWY131T
   69°07'04N-105°10'21W
   The magnetic dip angle is 85.45 degrees down
   The magnetic variation is 7.04 degrees E

…煩雑で済みません。最近、私が使っている記号の凡例を書いていませんが…★はVOR局、☆はNDB局、△は任意に設けた変針点です(航空図上のフィックスを示す場合にも使っていますが、今回はなし)。
 変針点は普通、長い航程をほぼ等距離に区切って設けますが、今回はコンパス針路をなるべく正確にするため、区間によって偏差の勾配がほぼ均等になるよう留意しました。偏差が激しく変動する極地を、磁気方位で飛ぼうとすると、計算がたくさんある、ということだけでも実感して頂けましたら幸いです(^^;)。

●●推測航法で、南へ駆ける:
 では、フライトです。
休みの夜中過ぎ、たまたま飛行に好都合な時刻に目が覚めたので、UTC1600時(現地1000時)にレゾリュート空港で、ピラタスPC-9M水上機を起動しました。
 予定の高度18000ftは195度10Ktの向かい風。悪くない条件ですが、3000ftにovercastの雲、500ftにfewと天候は少々悪く、景色が見えません。低空を這っていくと天測が出来ませんし、上り下りするのは大変。迷っていたら1618時、かなり雪が降り始めたので諦めて、いったん寝てしまいました(^^;)。

 午後もういちどトライ。現地時間を、ようやく明るくなる午前10時ごろにするため、パソコンのクロックを9時間遅らせました。METARが無視されて上天気になってしまいますが、なぜか風は変化していて、18000ftでは320度の風30Ktでした。幸い追い風気味です。5000ftでは300度10Kt、10000ftで310度20Kt。よし決行だと、前回並みに満タンから少し減らした、燃料3680Lbsを搭載しました。
 HSIのオフセットを、きょう最初の航程の偏西21.61度にセット。風力計算は、10000ftで巡航250KTASと仮定すると、対地速度は257.8Ktとなり、修正針路は199.1度(WCA4.1度右)。偏差を加えたコンパス針路は220.71度となりました。ヘディングバグを221度にセット、VORも同様の方位でレゾリュートにセット。1601時にエンジン始動にこぎ着けました。排気煙が透明になるのを待って、キャノピーを閉じます。

 地上の気温が14度もあるので、到着時の雪景色が消えてしまい、いちめんの森林と草原で夏みたいです。ただし海には氷山が浮いており、GoogleEarthで見た実景とよく似ていました。(注:Ver.2.12では緯度と気温次第で、勝手に雪景色になりますので、私は夏テクスチャーのまま飛んでいます)
 1604時離陸、約1900mしかない滑走路ぎりぎりで浮揚。旋回上昇を続けて1615時30秒、空港真上10000ftを250ノットで通過してオンコース。バロー海峡を飛び越え、東のサマセット島と西のプリンスオブウェールズ島の間の、ピール海峡へ進撃します。実世界は、5月でも乱氷帯に覆われているらしいですが、FlightGearでは青い海が広がって、氷山がちょっぴり散在するのみ。太陽高度は2度半と暗いものの、好天なので気分は明るいです。

 燃料をやや軽くした分、出力に余裕があるので、高度を稼いでおくことにしました。目標値20000ftに向けて巡航速度を落とさないよう、毎分500ftでゆっくり上昇。オートパイロットの速度保持(指示対気速度)を順次切り下げて、真対気速度は常に250KTASを維持するよう、デリケートに調整を続けます。最寄りの変針点・プレスコット島までは25分の予定。1640時着のはずです。

●●ドンピシャリの推測航法:
 高度を稼いだら、プレスコット島から少々加速することにします。真対気で265Ktはいけるかな。
通過時に慌てたくないので、少し前から20000ftの風向風速を確認し、補正計算に着手。対地速度は287Kt、真針路185.2度でWCA4.2度右、偏差を加えた磁気方位は199.89度と確認。さらに次の変針点までの所要時間も出しておきます。1639時、予定より1分早くプレスコット島上空に着き、コンパス針路200度へ変針。ちょうど計算が間に合ってホッと一息。ここで20000ftに届いているつもりでしたが、上昇が間に合わず18500ftでレベルオフ。速度は指示速度203KIAS設定にして、真対気速度265KTASを確保。フルスロットルとなりましたが、この高度では燃費は一番いいはずです。気温が高いので眼下の島々はほとんど雪なし。濃淡さまざまな、くすんだグリーンと若干の褐色に覆われています。風が一定なので、ぴたり予定コースを快翔。
 1701時、ブーシア半島西岸にあるタスマニア諸島(オーストラリアとは無関係)を通過。時刻は予定より2分早く、位置は予定より1nm弱東でした。推測航法で106nm飛んだ後ですから、エラー1%弱はなかなか凄い精度で、幸先がよろしいです。例によって、さっさと次のレグの航法計算を進めます。

 現実世界のピール海峡は、少なくとも1980年ごろまでは、8月末でも完全に氷に閉ざされて真っ白、という年も珍しくなかったようです。今年あたりから日露中が、盛んに商業航路開拓を計画していますが、本当に可能だとすると、温暖化がどんどん進んでいるわけで、怖いお話だと思います。
 FlightGearの世界では、すでに年間を通じて青い海が広がってますが…どんどん南下すると、やがて正面に見えてくるのがキングウィリアム島。もっと北のコーンウォリス島レゾリュートや、さきほどのプレスコット島に積雪がないのに、このキングウィリアム島では地表のほとんどが雪に覆われていました。METARデータは多分受信できていないので、なぜ雪線(つまり積雪範囲)が変化したのか、ちょっと疑問。後でよく見たら、この島は地表の大部分に、アイスパック(海水の氷)のテクスチャーが使ってあり、年間を通じてこんな景色なのでした。
 推測航法は引き続き、高精度で当たっておりまして、1724時にジョアヘブンのNDBを取ってみたら、ほぼ完全に真正面に入感しました。

●●フランクリン隊の悲劇:
 ジョアヘブンは、アムンゼンが気に入って探検船ユア号の越冬地に選んだ場所で、本来は「ユア号の天国」といった意味だそうです。地図にある「ジョアヘブン」は、たぶん英語読みでしょう。アムンゼンはのちに、イギリスのスコット隊と南極点へのマッチレースを演じた際は、重い食料が減るに従い、そりを引く大量のイヌの余剰分を殺して、計画的に食料に回すなど、スピード最優先の旅をしましたが、ユア号の北西航路探検では学術的な観測を続け、エスキモーともじっくり交流を重ねています。まあ、3年にわたる無補給の越冬航海ですから、やることがないと正気が保てないのでしょう…。
 ジョアヘブンがどんなところか興味があり、本日はここでストップのつもりだったのですが、フライトが快調なので距離を稼いでおきたくなり、ケンブリッジベイまで続航決定。ドタバタ航法計算を再開し、西に機首を転じてシンプソン海峡に向かいました。

 シンプソン海峡は、グリーンランドからアラスカに至る長大な北西航路のなかで、一番狭い通過地点です。アムンゼンによる、初の北西航路全域走破より70年近く前、2隻の極地探検船に分乗したフランクリン隊は、ピール海峡を南下してこの島にぶつかったとき、西にかわして大きな海峡を抜けようと試み、氷に閉ざされて船を放棄せざるを得なくなりました。以後は絶望的な氷上行進に移って、ついに129人全員がカナダ北極圏で落命し、北西航路探検史上では最悪の悲劇と呼ばれました。
 正解は、西の大きな海峡を選ぶのではなく「東の細い海峡へ迂回し、南に回り込んでシンプソン海峡を西に進む」だったのですが、当時まだシンプソン海峡は発見されておらず、地図にはキングウィリアム島が半島として描かれていたため、東の海峡に進んでも袋小路としか思えず、フランクリン隊は当然のこととして島の西に回り、魔の氷海に捕まったのでした。
 ここに、海峡があると分かっていたら…と思いを馳せつつ、愛機は西へ向かいます。

●●氷山と対面、ケンブリッジベイ:
 盛んに計算をしながら1759時、ロイヤル・ジオグラフィカル・ソサエティ島(王立地理学会島=偏差は偏西0.92度)を通過。ジョアヘブンからここまでは、コンパス針路を288度にセットしましたが、ここからケンブリッジベイは278度とします。実質的には同じ方位なのですが、飛行区間の偏差が10度変化するため、数字の上では「変針点」となります。
 コンパスのオフセットを調整した直後、ジオマグメーター(自作のデジタル地磁気・針路計)の偏差表示が「000」度を示し、同時に真方位と磁気方位の数字が同じになりました。ぴったりゼロの等偏差線を通過したのです。愛機はこれよりしばらく、偏差が「偏東」のゾーンを飛ぶわけで、バグを抱えたジオマグメーターも、正しい磁気偏差を示してくれることになります(^^;)。

 引き続き多島海を西へ。広大なビクトリア島が視界に入ってきました。多数の湖や池が散在する、沼沢地のような低地が広がる島で、北極諸島の多くの島々同様、非常に標高が低くて平らです。少し先の南岸にある、ケンブリッジベイ空港のNDBが入感。ほぼ正面です。
 1819時、はるか前方にケンブリッジベイの空港を視認。高度を下げ始めます。

 ABN以外何もない、へんぴな未舗装の空港に降りてみても、あまり面白くなさそうなので、湾内に着水することにしました。空港のすぐ手前に、集落テクスチャーがあります。あそこへビーチングするかな。
 ほぼ無風の湾口をぐるりと旋回して、一番奥の氷山に向かってパスを決め、慎重に着水。氷山はぜひ至近距離から見たかったので、10mほど近くまで、慎重に近づいて記念撮影。機外ビューの視野を下に振り、海中をすかして眺めたところ、氷山の巨大な水中部分が見えて、ちょっとドキリ。「9割は海中」を忠実に再現しているわけですが、飛行機より相当巨大な塊が、虚無のような水中に、ぽっかり浮かんでいるのは不気味な光景で、幾ばくかの不安を本能的に感じました。(氷山って本来、相当怖いものでしょう?)

     ○

 氷山から、そっと機体を離して周囲を眺めると、空港の東の集落テクスチャーが見えた場所に、1軒だけ家がありました。周囲は幸い森ではなく、タキシング可能な草原でしたので、ギアを突き出して無事にビーチング成功。一軒家の勝手口の前(あとで調べると、玄関は反対側)に駐機させてもらいました。1848時、エンジンを停止。燃料残は2212Lbs。
 出発地レゾリュートに比べると、ここは緯度差にして5度40分あまり南。太陽は9度半くらいの高度に見えました。日を追って日照時間が短くなるのが、ともかく気掛かりで急ぎ旅をしましたが、どうやら「明るいうち」に、カナダ本土のすぐそばまで降りてきました。

 次回は…引き続き、西へ西へ。グリーンランドから、だいぶ飛んできたような気がしますが、なお緯度的にはれっきとした北極圏。まだやっと西経105度。ベーリング海峡はもちろん、アラスカ北端のバロー岬までだって、総飛行距離でも半分来ていない感じです。まあ、焦らずに…。
投票数:1 平均点:0.00

投稿ツリー

  条件検索へ


 検索

高度な検索
 新しい登録ユーザ
akaguw 2019-9-19
egaxef 2019-9-19
judibola88 2019-9-19
opywoxu 2019-9-19
usyvoly 2019-9-19
uzihozy 2019-9-19
axiheco 2019-9-19
muslimast 2019-9-18
ybuqu 2019-9-18
Heeny 2019-9-18
 最近の画像(画像付)
植生図を利用した北... (2019-6-16)
植生図を利用した北...
空が真っ暗に (2019-5-18)
空が真っ暗に
植生図を使用した富... (2019-4-15)
植生図を使用した富...
春の嵐METAR回復 (2019-2-23)
春の嵐METAR回復
FlightGear 2018.3.2... (2019-2-14)
FlightGear 2018.3.2...
Powered by XOOPS Cube 2.1© 2001-2006 XOOPS Cube Project
Theme designed by OCEAN-NET