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海鳥の旅∧侘計

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なし 海鳥の旅∧侘計

msg# 1.4.1.1.1
depth:
4
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2012-6-29 13:01 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 632
hideです。
 「海鳥の旅」の第2回をお届けします。
この長旅は、コースの全容をきちんと決めてありませんが、大ざっぱに言いますと当面は、アフリカの南半分を横断し、どこかで大西洋を渡って北米へ…といったイメージを持っております。細部は今後詰めて行きますが、馴染みのないアフリカで何を見たいかというと、取りあえずは巨大なビクトリア湖とタンガニーカ湖です。
 なので当面はビクトリア湖の東方、ケニアのナイロビに着くことを目標に、今回はミャンマーのヤンゴンからアフリカ沿岸をめざして、インド洋横断に取り掛かります。ヤンゴン=ナイロビ間は4000nm近くありますので、まずベンガル湾を渡って、インド南端付近のスリランカで給油。さらに広大なインド洋南西部に乗り出して、アフリカまでの中間付近にあるセイシェル諸島をめざします。

 時間さえ掛ければ楽勝…と思いましたが、途中でまさかのロストポジション。予定より数百マイルも離れた海に出てしまい、波乱のフライトになりました。途中で新作の航法計器・偏流計のテストもしましたが、こちらもまだまだ、改良が必要と分かりました。さてコースは、以下の通りです。

ヤンゴンVYYY 16.54.10N-96.07.51E VOR112.3HGU
  ▼238度1118nm
スリランカのコロンボVOR112.7KAT 07.09.40N-79.52.05E バンダラナイケNDB315CNL
  ▼264度1460nm
セイシェルVOR・空港FSIA113.1SEY NDB373SEY 04.40.39S-55.31.54E
  ▼1170nm252度
ケニア・ナイロビVOR・空港113.1NV NDB-278NO/379AL 01.17.58S-36.57.14E 5231ft
 文中に**.**N-**.**Eと書いてあるのは「北緯**度**分、東経**度**分」のことです。VORやNDBの文字に続く数字はもちろん周波数、さらに後のアルファベット2〜3文字はコールサインで、機体が受信圏内に入れば、モールス信号として聴取することが出来ます。

●広大なベンガル湾へ:
 23日の未明に、ヤンゴンで起動。天気は1600ftにbroken、2100ftにfew、10100ftにovercastと崩れ気味ですが、風は3.6Kt245度と穏やかで、100Ktで飛んだ場合は計算上、実速度が96Kt、針路が238度とわずかな補正で済みます。
 わがカタリナは、パネルに協定世界時の時計がないので、以下はパソコンで確認する日本時間になってしまいますが…0153時(現地2323時、UTC1653時)、深夜のヤンゴンを出発しました。順調に5000ftを超えて、さらに9000ftを狙いましたが、重量過大の機体はすぐ減速してしまいます。回転数やプロペラピッチを様々に調整しながら、何とか高度を稼いで西へ。0213時の燃費は0.76nm/gal程度で、計算上の残り航続距離1550nm、残り滞空時間は13時間48分くらい。高度や速度が落ちないか警戒しつつ、ここから徐々に回転数を落として1800回転にセットしたところ、燃費0.94nm/gal、残距離1899nm、16時間51分くらいまで改善しました。
 指示対気速度は98KIAS。私が速度計に追加した真大気速度指針は、ちょっと速い110KTASを指示。パフォーマンス・モニタに表示されたGS(対地速度)は112.8ktでした。出発30分後の0223時にDME(今回から再びマイル表示)を確認すると、順調に66nm進出しています。上下を雲に挟まれていますが、眼下には灯りが見えます。よしよし、ジョージくんに任せて眠るかな。
(なぜか昔から米俗語では、オートパイロットをGeorgeと呼ぶので、私もカタリナの副操縦士席に座っている人形を、密かにジョージくんと呼んでいます)

 日本時間の0715時に起床、5時間22分経ちました。590nmくらい来たことになりますが、なにぶんベンガル湾の真ん中でして…アンダマン諸島のポートブレアVOR115.7PPB、カルニコバルNDB355CN、スリランカの東岸バティカロアNDB320BAT、コロンボのVOR112.7KATなど、いずれも受信不能で外は真っ暗。これは神経にこたえるなあ。0733時、燃費は1.09nm/galと快調で、残航続距離は1496nm、残時間は13時間21分。
 燃料は、全4タンクが3000Lbs満タンでしたが、この時点の残量は第1タンクが1369Lbs、第2が2347Lbs、第3も2347Lbs、第4が2021Lbsと、相変わらず不均等な減り方をしています。放置すると、いずれ第4タンクが空になった時点で、また右エンジンが勝手に止まったり吠えたりしますので、残量を均等に調節しました。今回、初めて装備したトータライザ(燃料の総量計。internal properties に、ちゃんと項目が用意されていますので、既成の燃料計を改造しました)を見ても、約7割残っています。まずは安心。

●やっと夜が明ける:
 ベンガル湾をGoogleEarthで見ると、中部は雲がとても少なく、これから行く南西部は快晴。ちなみに今の天候は、雲が2000ftにfewで風は225度7.5Kt。風がわずかに南へ振れましたが、スリランカとインド南部は標高が低く、コースが少々北へ寄る分には問題はないので、針路はこのまま。
 0837時、洋上は夜明けです。前回のエンジントラブルが気になって、左右エンジンの回転数、推力、時間当たり燃料消費に差はないことを確認。雲がまた、後ろに傾く異常現象が起きていますが、フライトに影響はないようです。
 まもなくADFの針が振れて、249度にNDBの感度がありました。ヘッドホンからモールス信号が流れます。
            「−・−・ ・・・・ −・・・」
「C、H、B」のコールサインは、プリセットしたスリランカ東岸のチャイナベイです。バティカロアNDB320の「BAT」も、234度に取れました。時刻は0857時。チャート代わりのAtlas画面上で、これらの受信方位を調べると、現在の緯度経度は、09.51N-84.37Eあたりです。としますと、コロンボへの真針路は241度くらい。風が255度6Ktだから、対地速度は計算上104Kt、修正針路は242度ですので、0900時ちょうどに針路修正。Atlas上で計ると、コロンボまではあと325nmくらいなので、日本時間の1200時ごろ到着です。よしよし。

 いつの間にか、空と海が青く輝き、すっかり朝に。無線をいじっている20分あまりのうちに、暗いバーミリオンから劇的に夜が明けました。太陽の真下近くを飛んでいるので、黎明と薄暮は短くて、夜から朝へ、朝から夜へと短時間に移り変わるはずです。0917時にはコロンボのVORも、ほぼ正面に入感。まだDMEは動きませんが、航法上は着いたも同然。とは言うものの、まだ2時間40分も掛かります。でかい海だなぁ!

●試作品の偏流計をテストする:
 淡々と飛びながら、今回初めて試作した偏流計のテストをしました。偏流計というのは、風によって針路が予定コースから何度くらいずれているか、対地速度はどのくらいかを測定する光学器械です。かつては、航法援助無線が届かない遠洋飛行に欠かせない道具で、INS(慣性航法)の普及以前は長距離旅客機などに搭載されていました。今も海上自衛隊のYS-11Mに装備されているそうで、P3Cなども恐らく、念のために持っているのではないかと想像します。

 仕掛けは何種類かありますが、私が参考にしたのは「ジオスコープ」と呼ばれるタイプです。この器械は筒状で、コクピットの床に、潜望鏡を逆さにしたみたいに取り付けられ、接眼レンズをのぞくと真下の地表が見えます。視野には、前後方向に数本の平行線が入っていて、ダイヤル操作で左右に回転します。パイロットまたは航法士は、この平行線を少しずつ回し、眼下を過ぎてゆく波頭などが、完全に線に沿って流れるように調整します。そして角度目盛りを読むと、機体が風に流されながら、実際に飛んでいるベクトル方位が分かる仕組みです。計画針路との差が「偏流角」(ドリフト・アングル)であり、向きを逆にみれば「修正角」(WCA=ウィンド・コレクション・アングル)になります。
 ジオスコープの視野には、左右方向にも、2本の平行線が入れてあります。これは対地速度を測るためのものです。線の1本は可動式で、視野の中央付近にあり、ダイヤル操作で前後に動きます。この可動式の線の横には、高度目盛りが打ってあります。もう1本の線は固定式で、視野の後端付近にあります。まずダイヤルを操作して、可動式の線を現在の高度にあたる目盛りに合わせ、目印となる波頭を選びます。次いで波頭(または、投下した発煙筒など)が、可動式の線と固定式の線の間を移動する時間を、ストップウォッチで測定。この秒数と換算表から、対地速度が分かる仕掛けです。実に簡単明瞭ですね。

 偏流計は、正確な推測航法を行う基盤の一つですので、以前から何とかして、FlightGear用の装置を作りたいと思っていました。数年前、本連載でご紹介した世界一周のころは、デスクトップ・アクセサリーとして出回っているフリーウェアの分度器を使って、波頭の向きを計ろうとしましたが失敗。結局はAtlasの航跡を、フリーウェア「斜めものさし」の分度器機能(これは非常に優秀で、今も欠かせない道具)で計るのが、もっとも簡単かつ正確でした。しかし…出来るものでしたら実際に、地表の目標物や洋上の波頭を観察して、偏流を計ってみたいものです。幸い現在は、精密な方位測定が可能なフライト・コードラント(自作の航空四分儀)を持っていますので、これに平行線を追加すれば、ビューを真下に向けるだけで測定できそうです。

 「投稿画像」コーナーにアップした、「海鳥の旅∧侘計」の組み写真をご覧下さい。画面右にある3枚が偏流計の説明です。今回の旅は目下、無線航法を盛んに使っておりまして、フライト・コードラントの出番がありませんが…一応こんな風に、カタリナの垂直尾翼に取り付けてあります。1番上の写真を見ると球体の真下に、魚焼きの網みたいな四角いものが、赤く光っていますね。あれが偏流観測用に設けた10本の平行線で、天測用の方位・高度カーソルと連動し、視野の動きに合わせて自動回転します。いっぽう対地速度測定用の平行線は、私の技術では高度に合わせて前後に位置を調節する仕組みを作ることが出来ないため、このモデルでは省略しました。対地速度は当面、パフォーマンス・モニターなどで知るつもりです。

 2枚目の写真は、実際にコードラントのビューを真下に向けて、平行線越しに海を見たところです。太陽の位置によっては、波頭がうまくチカチカ光ります。しかし実際にテストしてみると、もっとビューを拡大表示しないと、波頭が流れる方向が、つかみにくいことが分かりました。コードラントは天測のため、見晴らしのいい場所に置く必要があり、尾翼に設置したのですが、胴体後部ごしに海を見下ろす関係上、あまりアップ画面にできないのです。これは問題です。
 また、視野の中央に1本だけ横線がありますね。あれを波の列(というか、うねり)に合わせると、風向が分かるはずなのですが…v260のうねりは、上空から見るとカーブの集合になっているため、なかなか向きが分かりません。また観測結果とinternal propertiesを比べても、波と実際の風向とは、どうも合っていない気がします。このへんも含めて、さらに改良と実験が必要ですが、いずれ続報をお目に掛けましょう。

●コロンボから、アラビア海へ:
 そうこうするうちに、もう一度仮眠を挟んで、愛機は首尾よくコロンボに到着。日本時間の正午前に起きてアプローチに入り、緑の平野が広がるスリランカ西岸を飛行、1211時ごろ着陸しました。燃料は半分弱の5300Lbsほど残っていますが、次の目的地のセイシェルまでは到底無理で、給油が必要です。というわけで、2352時(1552UTC)にコロンボで再び機体を起動。今後のコースを再掲します。

スリランカのコロンボVOR112.7KAT 07.09.40N-79.52.05E バンダラナイケNDB 315CNL
  ▼264度1460nm
セイシェルVOR・空港FSIA113.1SEY NDB373SEY 04.40.39S-55.31.54E

 天候は1600ftにscatterd、1800ftにfewと回復気味ですが、5000ftで235度13Ktと、ちょっと風が強くなりました。満タン。風の補正計算を終えて、いざ飛ぼうとしたところパソコンの調子が悪く、パーキング・ブレーキを解除できなくなったため再起動。どうも、幸先のよろしくない飛行です。0020時ごろ離陸。
 ヤンゴンからのフライトでは、なし崩しに高度を上げたため対地速度が安定せず、機体の進出距離をうまく推測計算できませんでした。途中までVORで確定位置が出ますから、実害はないのですが…どうせなら出発地を基点に、すっきり計算できた方がマシです。そこで今度は旋回しつつ、巡航高度の5000ftまで上昇し、巡航速度まで加速した上で空港の真上を通過し、航法上の出発時刻を記録する…という、非常にオーソドックスな方法を取りました。
 正面少し右に、下弦の月が見えます。星も多数出ているため、そろそろ天測の練習に掛かりたいのですが、天文航法というのは、1カ月くらい放置すると、幾つもの勘どころを忘れます。そもそも、自分が絶えず改良した航法用ワークシートの使い方が、分からなくなってしまいます(^^;)。この問題は、マニュアルを書き直して解決しましたが、どうも最近、太陽も恒星も試験観測の誤差が大きく、時刻設定か表計算か、どこかに問題が潜んでいるようです。ことによると…コードラントの取り付け位置が問題かな? ピラタスPC-9M改でもスタンプSV-4複葉機でも、ビューのカメラ軸を念入りに微調整しても、どうにも測定精度が上がらず、コードラントの位置を変更したらうまく行った、という例がありました。調査やテストにはたっぷり時間が必要ですので、当面は無線航法と推測航法でしのいで、いざとなったらGPS/Atlasを使い、天文航法の復活はナイロビ到着後にでも、手を着けることになりそうです。

 こうして飛んでいるうちに、日が変わって24日。今回は少し高度を上げ、増速することにします。0123時、プロペラピッチを浅い位置に戻して上昇し、10000ftで120KIASにセット。安定後の燃費は0.85nm/galとまずますです。ピッチ角を最大まで上げても、回転数は2000までしか下がらず、本機にはこのくらいの高度が適切なのかも知れません。燃費は1.06nm/galまで改善し、残航続距離1964nm、残時間13時間57分。パフォーマンス・モニターが示す対地速度は140.2Kt=9.5時間でセイシェル到着。日本時間の1110時ごろですね。

 0150時ごろ、インド南端から南西方向にある、モルディブ諸島のマレNDBを受信。MLのモールス符号を確認しました。このへんから雲が濃くなってきて、0204時には49.7度の風7.6Ktを記録。ついに待望の、東寄りの風になってきました。いわゆる貿易風だと思われます。VORによれば、コロンボから190nmの予定コース上にいます。風の修正計算だけやり直して、新たな修正値をゲット。機体が少し軽くなったと見え、燃費はさらに良くなって1.1167nm/galに。残航続距離1972nm、13時間20分。安心して、朝まで寝ることにします…。

●ロストポジション:
 少々寝過ごして、1053時(日本時間)に機長席へ。朝日が後ろにあって、洋上を飛んでいますが…セイシェルもマダガスカルも、さっぱり無線が受信できません。なぜだ。ここはどこだ?
 残燃料は、4個のタンクがそれぞれ0gal、243gal、243gal、123galになっています(ポンド表記とガロン表記が入り乱れて済みません)。1番タンクは既にカラですが、幸い4番タンクも空にならないと、右エンジンの異常は発生しないことが、すでに分かっています。今のうちにと、計609galを152galずつ均等に、各タンクへ分配し直しておきました。まだ6時間/594nm飛べる計算ですが、いまや非常事態で、もっと滞空時間が欲しい場面ですから、さらに100Ktに減速しました。すると、残航続時間は7時間48分に伸びましたが。燃費は0.8822nm/galとなって、残航続力は594nmと悪化。これは、さじ加減がいかんな…と、110KIASに戻すと燃費は0.901に改善。もうちょい増速して115Ktとすると、逆に0.8941と悪化したため、ベストとみられる110KIASを選択しました。肝心かなめのライフライン、燃料の手当が終わったところで、再び航法に戻ります。

 もう一度VORやADF(こっちの方が遠距離から受信可能)を試しましたが、マレもマダガスカルもセイシェルもモーリシャスもソマリアも受かりません。ううむ、機体がバックするはずもないしなあ。
 無線がダメとなると、少しでもマシな推測位置が必要です。いったん偏流計で波頭を見ましたが、これはまだ当てになりませんので…メニューから天気をチェック。すると240度50Ktという、飛んでもない向かい風が吹いていました。あれ、追い風気味の貿易風に、変わったんではなかったのか? くそっ!!
 同じ程度の向かい風が、ずっと吹いたとすると、まだセイシェルの500nmくらい手前にいる可能性もあります。いちおう1134時に太陽高度を計って、自信がないものの天測計算をしてみると、セイシェルの東南東200nmちょっとにいる可能性がある、と出ましたが、これはおかしい。ならばNDBもVORも受からない理由が分かりません。
 やむを得ず、FlightGearをAtlasにアタッチしたら、なんと現在地は北西に大きく外れ、アフリカ東部からアラビア海に突き出した、空港がほとんどない、ソマリアの海岸線を目指していました。この時点の大ざっぱな位置は北緯7度、東経55度付近(メモを書き間違えたので、その後の針路・距離計算から推測)ですから、セイシェル諸島に向かって南西に飛んだはずが、実に700nmも(!)目的地の北にいたことになります。これは私の航法史上、どう考えたって最大級の誤差ですね…(..;)
(強風で流されたのが原因、と考えていたのですが。後になって、コース計算も間違っていたことが分かりました。目的地セイシェルの緯度を、南緯なのに北緯と入力したためで、目的地まで1460nm264度と計算したのですが、正しくは1621nm244度で、機首が20度も北へそれたことになります。嗚呼)

●やっと着陸…突風で竿立ちに:
 残る燃料で到達できそうな、ほぼ唯一の選択肢は、この地点からほぼ真北…アラビア半島南のアデン湾入り口にある、ソコトラ島でした。針路342度、距離は386nm。風は230度37Ktでしたので、修正計算をしたところ、対地速度は150ktにまで増え、WCA(修正角)も左14.1度と非常に大きく出ました。カタリナの鈍足が、強風の影響をさらに大きくしているようです。
 道中ずっと快晴でしたが、もやで洋上は10nm程度しか視界がありません。風の修正計算を続け、1506時になってやっと海岸を視認。カタリナは砂漠と森、そして農地に覆われた山の上を飛び、島の北岸に抜けて西へ旋回し、空港に風下から接近。風向は真正面で好都合ですが、風速はなお30Ktもあります。
 15時半、強い向かい風の中を着陸した機体は、すぐ行き足が止まりました。パワーを上げて芝生に乗り入れ、誘導路へ近道をしましたが、まるでパーキング・ブレーキを引きずっているみたいに、足が遅いこと。それにどうも、機体が傾きます。最初は地面が傾斜しているのだと思いましたが、そうでもないようです。と思う間にバンク角が増して、機体は左に傾いたまま立ち往生。機外視点に切り替えると、愛機は左翼端を地面に当てて、ノーズオーバー(機首を接地させた逆立ち)に近い姿勢を取っていました。突風を斜め右から受けたためですが、こんなの、初めてです。

 幸いカタリナのクラッシュ判定は甘いので、フリーズを食わずに済みました。なかなかタフな飛行艇で、ますます好きになりますが、エンジンを止めても吹かしても、舵を切っても、水平に戻る気配が無く、少々焦りました。ふと思いついて翼端フロートを下げたら、いったん地面に沈んでから「浮力」で翼を押し上げ、ポンと跳ねるように水平姿勢に復帰。はずみで今度は尻餅をつきましたが、これはもちろん、軽くエンジンを吹かせば機首が下がるので、簡単にリカバリーできました。
 それはいいのですが、南西の風は着陸20分後、さらに40Ktまで増速。これは…大変なところに来てしまいました。雲は2000ftにfewの上天気。GoogleEarthで調べても、半径200nm以内に雲らしい雲はありません(画像は1時間おきに更新)。だがら嵐ではありません。となると、これからずっと吹くのでしょうか。この島を出て行くときが大変です。

●インド洋には、貿易風って…なかったんですね:
 それにしても、なぜこの緯度で、強い南西風が吹くのでしょう。中緯度高圧帯の南にあるアラビア海では、「大気の大循環」に基づいて、北東からの恒常風(貿易風)が吹くものとばかり、思っていたのですが。

 幸い手元に、古代の復元船で実験航海を重ねるアメリカの海洋探検家、ティム・セヴェリンが書いた「シンドバッドの海へ」という本がありました。中世アラビア式大型帆船を復元し、オマーンから中国まで、ちょうどこのあたりの海を通って航海した記録です。その本の図解を見たら…アラビア海では、確かに北東の風が吹いたことになっています。しかしよく見ると、「North East Monsoon Winds」と書いてある。で、ベンガル湾は逆に南西風が書き込んであり、こっちも「South West Monsoon Winds」と注釈があります。え、これって季節風だったんですか。
 よく見直すと、この航海は11月から翌年2月まで、アラビア海で北東風を受け、その後は6月末まで、ベンガル湾と南シナ海で南西風を受けたのでした。この海域の風は緯度ではなく、季節で決まるのです。さらにネットで調べると…「インド洋には、貿易風はない」と明記したサイトがありました。理由は、すぐ北に世界最大のインド亜大陸、そしてヒマラヤ高原があるため、季節風の効果が特に強く、世界規模の大気大循環の産物である貿易風をしのぐから…でしょうね。ということは、インド洋をケニアへ向かう旅は、秋までずっと向かい風ってことです。やれやれ(^^;)。しかし勉強になりました。これも旅のロマンかな?

 不毛のソマリア海岸に沿って、向かい風の南下をするか。それとも、もっとアフリカ内陸に入ってから南下した方がいいのか。もう少し、風向などを見て考えたいと思います。
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