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The FlightGear Manual Version 3.0.0

第9章 クロスカントリー・フライト・チュートリアル

このドキュメントは http://mapserver.flightgear.org/getstart/getstart-enpa3.html#x6-1580009 の日本語訳です。

Table of Contents

9.1 前置き

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図 9.1:サン・アントニオダム上空をLivermoreに向けて飛行中

このチュートリアルは有視界飛行方式(Visual Flight Rules; VFR)によるReid-Hillview(KRHV)からLivermore(KLVK)間のクロスカントリー・フライトを模擬しています。両空港は標準のFlightGearパッケージに含まれていますので、追加シーナリは必要ありません。

ここでは、あなたがFlightGearで満足に離陸、上昇、旋回、降下及び着陸ができることを仮定しています。もし、そうでなければ、先に挙げたもののチュートリアルを見てください。このチュートリアルはそれらの順番に登場し、少しだけ複雑な飛行システムや手順のいくつかの情報を提供するように作られています。

9.1.1 免責と感謝

短い免責です。実生活で私はCessnaなどではなく超軽量動力機(マイクロライト)で飛んでいます。この情報のほとんどは様々な信頼性のないことを集めたものです。もし間違いや勘違いを見つけましたら教えてください。stuart_d_buchanan -at- yahoo.co.uk までメールを送ってください。

このチュートリアルを間違いなく、読みやすくするために手伝ってくれた次の人々に感謝をします。Benno Schulenberg, Sid Boyce. Vassilii Khachaturov, James Briggs.

9.2 飛行計画

始める前に、私たちのフライトの計画を立てる必要があります。そうしないと左に旋回するのか右に旋回するのかもわからないまま離陸することになります。

まず、その空域の区分航空図(Sectional)を見てください。これは空港・飛行場、航法援助施設、障害物などを記した飛行するための地図です。VFR飛行用の区分航空図には2つの縮尺があり、1:500,000の区分航空図そのものと、たくさんの1:250,000の特に混雑した空域を対象とするVFR Terminal Area Chartsです。

これらはpilot shopか、webで手に入れられます。Google-map形式のインターフェースはここからアクセスできます:http://www.runwayfinder.com/

Reid-Hillviewを簡単に検索します。図9.2はチャートからの抜粋です。

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図9.2 Reid-HillviewとLivermore空港を抜粋した区分航空図

飛行機がどこにいるのかを正確に表示する完全な地図がほしいなら、Atlasをつかってはいかがでしょうか。これはFlightGearと接続する、動く地図プログラムです。詳しくは5.2章を見てください。

さて、Reid-HillviewからLivermoreまでどうやって飛びましょうか?

私たちはKRHVの滑走路(以下、滑走路の名前を述べるときはRunway)31Rから離陸するつもりです。KRHVはReid-Hillview空港のICAO(訳注:International Civil Aviation Organization;国際民間航空機関)コードで、FlightGearのwizardで表示されます。(区分航空図では歴史的事情からRHVとマークされています。ICAOコードを得るには、単純に'K'を頭につけるだけです。)

31は滑走路の磁方位がおよそ310度であるということを示し、Rは滑走路が右側にあるということを示します。区分航空図からわかるように、KRHVには2本の平行した滑走路があります。これは空港を利用する多量の交通を扱うためです。それぞれの滑走路をどちらの方向にも使うことができます。Runway 31は反対側からRunway 13として使うことができます。ですから、使える滑走路は13R, 13L, 31R, 31Lとなります。 離着陸は風上へ行ったほうが簡単ですから、北西の風のときは滑走路は31Rと31Lが使用中になります。(訳注:ここでいう「使用中」とは誰かが滑走路を使っているというよりも、「空港がその滑走路の向きを離着陸に使っている」という意味になります。) 滑走路の名前は始点に大きな文字で書かれており、空中から容易に見つけることができます。

離陸したら直ぐに機首をLivermore (KLVK)の方向350度に向けます。およそ海抜3,500ftを飛行する予定です。これは航路上のいかなる地形や電波塔のような障害物から、少なくとも500ft上を飛ぶよう見積もっています。

カラベラス湖(Calaveras Reservoir)の上空を飛行したらすぐにサン・アントニオ湖(San Antonio Reservoir)です。両方とも大きい水域ですから、正しい進路上から外れないための目標(訳注:原文ではnavigation aidsです)として使うことができます。Livermoreの外、約10マイル(サン・アントニオ湖)に到達したら、どこに着陸すべきか知るためにLivermore 管制(Air Traffic Control; ATC)と連絡をします。続いて場周経路(訳注:原文はcircuit。意味はtraffic patternだと思うので場周経路と訳しました。場周経路については後ほど説明があります。)に加わり、着陸します。

9.3 離陸と上昇(Getting Up)

さて、私たちがどこへ行き、どうやってそこへたどり着くかがわかりました。それでははじめましょう。

FlightGearをWizard(又は、あなたが好きならcommand-line)を使って起動しましょう。私たちはC172Pを使って、サンタ・クララにあるReid-Hillview(KRHV)のRunway 31Rから離陸したいと思います。夜明けはカリフォルニアで飛ぶにはいい時間ですよ。

望むならばKRHVの現在の気象で飛ぶことができます。Wizardの最後の画面でAdvancedボタンをクリックし、左側の枠からWeatherを選択、'Fetch real weather'を選んだらOKをクリックします。

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図 9.3:KRHVの滑走路

9.3.1 飛行前に - 飛行前点検(Pre-Flight)

離陸する前に、私たちは航空機の飛行前点検をする必要があります。現実世界では、故障や脱落などがないか点検するために航空機の周囲を歩くことや、十分な燃料があるか点検することがこれに含まれます。

私たちの場合は、この時を利用して気象を確認して高度計を設定し、飛行していないうちに比較的簡単にできることを予め設定します。

気象は、飛行するときに当然重要になります。離陸に影響するかもしれない横風があるかどうか、雲はどの高度にあるか(これはVFR飛行ですから、常に雲から離れて飛ぶ必要があります)、そして進路の外へ私たちを吹き流すかもしれない風があるかについて知る必要があります。

高度計も規正する必要があります。高度計は、上昇するにつれて低下していく大気圧を測定することによって間接的に現在の高度を計算しています。しかしながら、気候が大気圧に影響して不正確な高度計の指示をさせます。これは山岳部を飛ぶには致命的です。

9.3.2 ATIS(Automatic Terminal Information System)

便利なことに、空港はそれぞれ現在の海面上の気圧を有益な気象情報と空港情報をATISによって放送しています。 これは無線によって放送される録音されたメッセージです。一方、ATISを聞くには、無線機を正しい周波数に同調させる必要があります。

ATISの周波数は区分航空図に表示されていますが(空港の近くの'ATIS'を探してみましょう)、FlightGear内蔵の物も利用できます。空港の周波数(割り当てられていればタワー、グラウンド、アプローチも含まれます)を知るには、ATC/AIメニューを使って周波数を選びます。次にダイアログ・ボックスにICAOコード(KRHV)を入力します。すると空港に関連した様々な周波数が表示されます。(注:2.10.0ではAI -> ATC Services in Rangeでダイアログが開きます。すると、KRHVを含めた、自分の周辺の空港のICAOコードをボタンで選択できます。) 重複した表示は、空港がその業務に複数の周波数を使用していることを示し、あなたはその中のいずれかを選ぶことができます。

どちらにしても、Reid-HillviewのATISの周波数は125.2MHzです。

(ATISはアティスやエイティスなどと読みます)

9.3.3 無線機

私たちは今、無線機を同調する必要があります。無線機は主計器盤の右側にあるRadio Stackにあります。実際には1と2の、2つの独立した無線系統です。それぞれの無線機は、左側の通信用(COMM)無線機と右側の航法用(NAV)無線機の2つにわけられます。私たちはCOMM1をATISの周波数に同調させたいと思います。

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図9.4 C172のラジオスタックのCOMM1のハイライト

無線機には2つの周波数があり、現在使用中のアクティブ周波数と、次に使おうと思っている周波数に合わせたスタンバイ周波数があります。アクティブ周波数は左側5桁で表示されていて、同時にスタンバイ周波数は右側に表示されています。私たちはスタンバイ周波数を変更し、次に、スタンバイがアクティブに、アクティブがスタンバイになるというように2つを入れ替えます。この方法では無線機を同調させている間に無線の交信を聞き漏らしません。
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図9.5 COMM1同調ノブ

周波数を変えるには、スタンバイ周波数の下の、まさしく'STBY'の右側の灰色のノブ(図9.5)をクリックします。マウスの左ボタンを使うと小数点以降の数字が、中ボタンを使うと小数点以前の数字がかわります。ボタンの右側をクリックすれば周波数が高くなり、左側をクリックすれば周波数は低くなります。FlightGearの操縦室の操作のほとんどはこの方法で行います。もし、正しい場所をクリックすることが難しいと感じるなら、クリックできるhot-spotを強調表示するためにCtrl-Cを押下してください。
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図9.6 COMM1 のアクティブ←→スタンバイ入換スイッチ

周波数を125.2に変更したら、'COMM'と'STBY'の文字の間の白いボタン(図9.6)を押下してアクティブとスタンバイの周波数を入れ替えます。およそ1秒で、ATIS informationが聞こえてきます。

9.3.4 高度計とコンパス

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図9.7 高度計規正ノブ

'Altimeter'の設定を聞いてください。もしあなたが'real weather'を使っていないなら、値は標準で機体にすでに設定されている2992です。'real weather'を使っているなら、高度計の値は異なっていると思います。ですから、高度計を正しい値に設定する必要があるのです。それをするには、高度計の左下のノブ(図9.7)を使って、無線機の周波数を変えるのと同じ方法で行います。これは高度計の表示する高度と同様に、高度計の右側の小さな窓の中の値も、設定しようとする数値に変えます。

高度計を設定する他の方法は、高度計の指示を空港の海抜高度に一致させることです。標高は区分航空図に記載されています。KRHVの標高は133ftです。これは、ATISの通報した気圧と二重のチェックができる、ということになります。

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図 9.8 ヘディングバグ調整ノブ

この機会にコンパス上のヘディング・バグをKRHVからKLVKへの方角の350度に設定しましょう(訳者追記:ここでいうコンパスはジャイロコンパスのことです。ジャイロシン・コンパス-別名フラックス・ゲート・コンパスは地磁気を検地しジャイロのドリフトを補正します。バグとはコンパスに見られる、W型やV型をした赤いカーソルのことを指します。甲虫の姿に似ていませんか)。そのためには、コンパスの筺体の赤いボタンをこれまでと全く同じようにして使います。小さな調整にはマウスの左ボタン、大きく調整にはマウスの中ボタンを使います。350という数値は、Nという表示からちょうど反時計回りのところです(北は0度)。
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図9.9 KRHVから離陸

9.3.5 離陸

よろしい、それでは準備が済んだので、実際に離陸することができます!私の場合はたいてい滑走路全体にわたって蛇行し、地面を離れると左へ急に曲がるのですが、あなたはおそらく私よりも上手に操縦するでしょう。1000ft上昇したら、350度へ優しく右旋回します。ヘディング・バグをセットしてあるので、簡単にたどれるでしょう。特に目立つ谷を目標にしましょう。

およそ500-700 fpm(feet per minute)で3,500ftへ上昇を続けましょう。その高度に達したらパワーを減らして水平飛行に移行してトリムを適切に設定します。パワーをもう一度確認し、回転計のグリーン・アークに入るよう調整します。離陸上昇中を除いて最大回転数でエンジンを運転してはいけません。

9.4 巡航

OK、私たちは離陸し、Livermoreへの航路上にいます。さて、私たちは自動操縦装置を使うことで少しだけ楽ができ、エンジンを調整することで飛行機の燃料効率をよりよくすることができます。私たちがコース上にいることの確認もしたいと思います。

9.4.1 自動操縦装置

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図9.10 C172のオートパイロット(KAP140)

私たちは航空機の操作のいくつかを自動操縦装置'George'に引き渡すことで少し楽をすることができます。(訳注:自動操縦装置のことをGeorgeと呼ぶのは少なくともアメリカではあるようです。また、Fly!のフライトマニュアルでもGeorgeと呼んでいます。)

自動操縦装置のパネルはRadio Stackの下のほうにあります(図9.10)。スタックのほかのコンポーネントよりもたくさんのボタンがついていますから容易に区別できます。これはいろいろなモードで作動できますが、このフライトではそれらの中でもHDGだけを使います(HDG;Headingの略)。名前の示唆するとおり、HDGは先ほどセットしておいたコンパス上のヘディング・バグを自動操縦装置に追随させます。

自動操縦装置を設定するには、APボタンを押して自動操縦装置をONにし、続いてHDGボタンを押してヘディング・モードを作動させます。自動操縦装置がONになっている間は、機体をヘディング上に保持するようトリム・コントロールを自動操縦装置が操作します。ヘディング・バグを動かすと、自動操縦装置は適切に操縦します。しかしながら、自動操縦装置は風向や風速を全く考慮せず、ただ飛行機の針路を定めるだけです。もし横風の中を飛んだら、機体は一方向を向いたまま、全く違った方向に進んでいってしまいます。

水平飛行を維持するにはトリム・コントロールを使わなくてはなりません。自動操縦装置をそのために使うこともできますが、それは少しだけ余計に複雑になります。

自動操縦装置の操縦で航空機が安定したら、私たちは外の世界にもっと注意を払うことができ、より高度な作業をすることができます。

9.4.2 航法

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図9.11 カルベラス湖

上にも書いたとおり、私たちは2つの湖の上を飛び越えていきます。水平飛行に移ったとき、おそらく右前方に最初のカルベラス湖があったはずです。これらの湖を使って、地図で自分の位置を確認することができます。もしコースから外れているようでしたら、ヘディング・バグを回して修正しましょう。

9.4.3 ミクスチャ

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図9.12 カルベラス湖

高度が上がるにつれて空気が薄くなり、含まれる酸素の量が少なくなります。つまり、エンジンの燃焼行程で燃える燃料が少なくなるということです(訳者追記:自動車エンジンでは爆発行程と言ったりするそうですが、爆発と燃焼とは火炎の速度が大きく異なるため区別します)。C172のエンジンはシンプルで、酸素不足に対して燃料の量を自動調整しません。このままでは空気と燃料の混合比が濃すぎて、燃料の燃焼効率が悪くパワーが落ちてしまいます。ミクスチャ・コントロールをつかってエンジンに入っていく燃料の量をコントロールしましょう。スロットル・レバーの隣の赤いレバーがそれです。レバーを引っ張ると、混合比が薄くなります(訳者追記:混合比を薄くすることを「リーンにする」といいます。逆は「リッチにする」)。ミクスチャの濃すぎの状態も、薄すぎの状態にもしたくありません。どちらの状態も、欲しいだけのパワーを発生させません。 ですが完璧にしようとも思いません。というのは、これが原因で混合気の爆発(訳注:異常燃焼)を引き起こしてしまい、燃焼の制御方法というよりむしろ手っ取り早くエンジンをぶっ壊す方法だからです。
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図9.13 ミクスチャ・コントロール

ミクスチャはヨークの右の赤いレバーでコントロールします。コックピット・ビューで視点を動かす(パンニングする)とミクスチャ・コントロール・レバーを見れます。

カーソルが双頭の矢印(←→)に変わるまでFlightGearのウィンドウの中で右クリックをし、マウスを動かせばコックピット・ビューで視点を動かすことができます。ミクスチャ・レバーがよく見えたらもう一度右クリックをしてマウスカーソルを通常の矢印に戻します。

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図9.14 燃料流量計と排気温度計

ミクスチャ・レバーをゆっくり引っ張って(Ctrl-Cでホット・スポットを見られます)ミクスチャを薄くしてください。すると、いろいろなエンジン計器(計器盤左)が変化するのが見えます。燃料流量(Fuel Flow:略称FF)は減少し(燃焼する燃料が少なくなる)、排気ガス温度(Exhaust Gas Temperature:略称EGT)は上昇(「理想混合比」に近づいていく)、エンジン回転数(RPM)は増加していきます(パワーをたくさん取り出している)。 EGTが一番高くなるところまでレバーを引いて少し戻してください。ピークよりわずかにリッチになります。 3500ftでは極端に薄くする必要はありませんが、より高い高度ではエンジンの性能を出すために、混合気をより薄くする必要があります。

9.5 降下・着陸

2つ目の湖(サン・アントニオ湖)を通過したら、Livermoreに着陸するために降下する必要があります。着陸は離陸よりはるかに複雑ですが、無事に着陸 したいでしょうから、これを読むためにシミュレータにポーズ('p'キー)をかけることが出来ます。

9.5.1 航空交通管制

現実の世界では、湾は空中も地上と同じように混雑しているので、私たちは常にATC(Air Traffic Control)と交信します。 ATCは私たちに’飛行支援’サービスを提供し、航空機の周辺について、衝突を避けるために絶えず警告します。FlightGearの空は交通量が少ないので、飛行支援サービスは必要ないでしょう。交通量を変えたいならば、AIメニューから変えることが出来ます。

Livemor空港は管制されているので(管制がある空港は区分航空図上で青く書かれています)、管制塔とコミュニケーションを取って、着陸のための指示を受ける必要があります。
その前に、まずはATISを聞いて、大気圧が変わっている場合はもう一度高度計を規正しましょう。今回のような短距離のフライトでは滅多に無いことですが、100マイル以上の長距離では大気圧の差があるかもしれません。手早く無線機を同調させるために、"Equipment Menu"の中の"Radio Settings"ダイアログを開く事ができます。LivermoreのATISの周波数は119.65MHzです。
ATISはいつ発行されたものかを見分けるために、フォネティック・コード(Alpha, Bravo, … Yankee, Zulu, Alpha …)を使います。このコードは、更新ごとに次の物に移ります。 管制官はパイロットが持っている情報が正しいか確認できるように、パイロットは初めに管制塔にコンタクトを取る時、この識別コードを告げます。
(sambarによる注記 :「Livermore tower, JA12DB , request landing instruction with bravo.」等のように。最後の、「with bravo」が識別用のコード。)

高度計の規正値と天候の情報だけでなく、ATISは使用している滑走路も放送します。これは着陸の計画を立てるのに役に立ちます。通常、西風の場合はLivermoreではRunway25RとRunway25Lを使用します。
ATISを一通り聞いたら、Livermore Towerに無線周波数を合わせます。周波数は118.1MHzです。ATトラフィックの量は設定によって変わりますが、Livermore Towerと出発/着陸する他機の交信を聞くことが出来ます。この交信は画面上に表示されるだけで、(訳注:Festival等のTTSシステムを使用しない場合)音声はありません。 他機の交信が収まったら、「'」キーを押してください。ATCメニューが表示されます。 ATCメニューで出た中から、言いたいことを選んでクリックしてください。 (訳注:2.2.0以降ではATC/AIシステムが廃止され、Interactive Trafficになった影響でこの機能がうまく動きません) あなたの送ったメッセージは画面上部に表示されます。それは、自分のコールサイン(訳注:米国の場合、国籍のNを省略し代わりに機種名を頭につけ、N12345を Cessna 12345等と呼ぶこともあります)、自機の位置(例:6 miles south=6マイル南)、着陸したい旨と自分の持っているATISの情報を伝えます。

数秒後、Livermore Towerから返答があります。コールサインに続いて使用中の滑走路とどの場周経路(Traffic Pattern)に入ればいいか指示があります。 例:Golf Foxtrot Sierra , Livermore Tower , Report left downwind runway two five left.”

上のメッセージがどういう意味か理解するために、私たちは次の項で場周経路について説明しなければならないでしょう。

9.5.2 場周経路

複数の航空機が飛んでいれば、離着陸の標準的な手続きが必要です。 さもなくば、誰かが離陸中の航空機の上に着陸しようとするかもしれません。

場周経路は、離着陸のために飛行場付近を飛行する全ての航空機が従う必要のある標準のルートです。これは4つのステージ(もしくは'レグ')に分かれており、図9.15に示します。先ほど管制官が指示した'downwind(ダウンウインド)'はこれらのうちの一つの、下記3を指しています。 (訳注:'レグ'と呼ぶのが一般的です…)

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図9.15 左回りの場周経路(Left hand pattern)

  1. 航空機が滑走路から離陸して上昇します。このまま空港を離れる(Straight Out Departure)場合、そのままパターンを離れるまでまっすぐ上昇を続けます。もし滑走路に戻る場合(例:着陸訓練)、'パターン高度'の数百フィート以下まで上昇を続けます。このパターン高度は国や地域によって違いがありますが、一般的には対地高度(AGL)で500ftから1000ftの間です。これを、Upwind leg (アップウインドレグ)と呼びます。
  2. パイロットは90度左旋回して、Crosswind leg (クロスウインドレグ)に入ります。これらは、'パターン高度'まで上昇を続け、機体を水平にします。
  3. クロスウインドレグからおよそ45秒後から1分後に、パイロットはもう一度90度左旋回を行い、滑走路と並行するダウンウインドレグ (Downwind leg)に入ります。他の空港から到着する機は、大抵ここからパターンに入ります。パターン進入時は、滑走路に対して45度でアプローチします。
  4. 滑走路端を1マイルほど過ぎて(良い目安は、滑走路が後ろ45度に見えたときです)、パイロットは90度旋回し、ベースレグ (Base leg)に乗り、滑走路に向けて降下を始めます。フラップを降ろしてください。適切な降下率は500fpm(feet per minutes:フィート毎分)です。
  5. それから更に約45秒後、パイロットはもう一度旋回し、ファイナルレグ (Final leg)に乗ってください。この旋回を始めるタイミングを見計らうのが難しい場合もあります。着陸に向けた最後の調節をここで行います。私は大抵滑走路に正対するには小さく回らなければなりません。
  6. ここでは飛行機は地上に居ます。離着陸の練習を行う場合、離陸のためにフラップを離陸位置まで格納してからフルパワーにし、再度離陸します。これは'タッチアンドゴー (Touch-and-go)'として知られています。
    殆どの場周経路は左周りで、上記の通り全て左旋回を行います。右回りの場周経路もまた存在します。その場合、区分航空図に'RP'(Righthand Pattern)と書かれています。また、ATCはどちらのパターンを使うべきか指示するでしょう。

9.5.3 アプローチ

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図9.16 区分航空図よりLivermoreへのアプローチを抜粋

私たちはLivermore空港へ南からアプローチしていますが、滑走路は東/西向きです。西風が吹いているので、発着機は滑走路25Rか25Lを使用することができるでしょう。25Rへは右回りの場周経路、25Lへは左周りの場周経路を使用します。両方のパターンを図9.16に示します。私たちは、2つの滑走路のうち割り当てられた方の場周経路に従って、空港に近づきます。滑走路25Rに着陸するよう指示があった場合は、図の青い線に従って飛びます。滑走路25Lに着陸するよう指示があった場合は、図の緑色の線に従って飛びます。
また私たちは高度を落とす必要があります。場周経路に入るために、パターン高度まで落とします。Livermore空港はおよそ海抜(ASL)400feetですので、1400feet ASLまで降下する必要があります。
私たちはこれから空港に降りる前の操作を始めようと思います。さもなくば、高度が高すぎたり速すぎたり、誤った方向から進入するでしょう。完璧な着陸のための最善のスタートではありません :)
さあ、すぐに降下を始めましょう。
  1. 初めに、「AP」スイッチを押してオートパイロットを切ります。
  2. ミクスチャをフルリッチに(右側をクリックして押し込む)します。 標高の高い空港に着陸する場合はわずかに押し込み、場周経路に到着したら再調整します。
  3. キャブヒートを作動させます。 これは、空気が湿っている時に降下するときにしばしば発生する、空気と燃料をシリンダーに入れる前に混合する場所(=キャブレター)の凍結を防止します。キャブヒートレバーはスロットルとミクスチャーレバーの間にあります。そのレバーを引き出すと作動します。
  4. パワーを少し絞ります。そうしないとオーバースピードになり機体のフレームに負担がかかってしまいます。
  5. ノーズをわずかに下げ、降下を開始します。
  6. トリムを取ります。

先述のパターンへ入る一般的なガイドに従うために、空港とPleasantonとLivermoreの2つの市街地からの自分の位置を比較して自分自身でナビゲートしてください。
ダウンウインドレグに到達したら、再度ATCに通報する必要があります。先ほどと同じように言ってください。 なたは着陸待ちの何番目か教えられるでしょう。 'Number 1'と言われた場合、他の発着機が自分より前に居ないことを意味し、'Number 9'と言われた場合、少しでも混んでない空港に行きたくなるでしょう! このとき、あなたの前にどこに何が居るかも教えられるでしょう。例えば、'Number 2 for landing, follow the Cessna on short final’といわれた場合、あなたの前にセスナが1機いて、それはファイナルレグ上に居る事を意味します。先行機が着陸して滑走路を出たら、ATCは‘Number 1 for landing' と教えてくれるでしょう。

9.5.4 VASI

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図9.17:Livermoreのファイナルレグ。左にVASIが設置されている。

ファイナルに入ったら、あなたは滑走路左にある2組のライトに注意を払ってください(図9.17)。 これがVASIで、進入コースが高すぎるか低すぎるか、良い視覚的な手がかりを提供します。
それぞれの灯火は、赤か白のどちらかです。両方白なら高すぎ、両方赤なら低すぎです。 手前が白、奥が赤なら適正な高さです。セスナ172のアプローチは60ktで、降下率は約500fpmが適切です。もし自機が高すぎる場合、パワーを絞って降下率を700fpmにします。自機が低すぎる場合、パワーを増やして降下率を200fpmにします。

9.5.4b PAPI

原文にはないのですが、PAPIについて触れておきます。

PAPI(Precision Approach Path Indicator;精密進入角指示灯)はVASIよりも高精度な装置です。
滑走路左側に設置された4灯で成り立ち、進入角によって赤・白の灯火の比率が変化します。
適切な進入角であるとき、指示は「白白赤赤」と見えます。赤が多いほどパスが低く、逆に白が多いほどパスが高いことを意味します(RED means DEADなどと覚える)。

パイロットの目線(アイ・ハイト)が高い飛行機が多く離着陸する飛行場においてはそれらの機体のアイ・ハイトにあわせて設置されているため、今回のようなアイ・ハイトの低い機体で進入した場合は本来の接地点よりも風上側(つまり奥側)に接地することになります。
そのため、「“白赤赤赤”で丁度よい」といった経験則を適用することがありますが、基本は「Visual Approach = 目視進入」です。

現在日本の飛行場にはPAPIのみが設置されています。

9.5.5 着陸復行(Go-around)

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図9.18 Livermoreでの着陸復行
何らかの理由で安全に着陸できないかもしれない場合は、着陸を中止してやり直すことができます。これを着陸復行(あるいは、Go-Around)と呼びます。手順は以下の通りです。
  1. スロットルを開きフルパワーにします。
  2. 上昇率が正になるまで待ちます - すなわち、高度計の指示値が増加します(訳注:フルスロットルにして離陸の姿勢・速度を作ります。その前に引き起こしてしまうと対気速度が低いために失速させてしまいます)。
  3. フラップを10度(一段目)まで上げます。
  4. ATCに着陸復行する旨通報します。 (例:Livermore Tower , Golf Foxtrot Sierra going around.)
  5. トラフィックパターンの高度まで上昇します。
  6. ファイナルアプローチ上で中止した場合、滑走路を通り過ぎるまでそのまま飛行を続けてから、クロスウインドレグに入ります。ベースレグ上で中止する場合、ファイナルへの旋回点を通り過ぎてから旋回し、滑走路の反対側まで滑走路と平行に飛んでから、クロスウインドを経て、再度ダウンウインドに入ります。
  7. トラフィックパターンに完全に入ったら、ダウンウインドに入った時にATCに通報し、再度着陸を行います。

9.5.6 着陸後の手順

着陸したら滑走路から出て、滑走路を空けた旨ATCに言ってください(注:安全な速度まで減速したら、まずTowerと交信してその指示に従うべきでしょう)。 標高の高い空港では、濃すぎる混合気でスパークプラグを汚さないよう、リーンにします。適切な駐機場所を探し、ミクスチャレバーを引っ張って完全にリーンにしてエンジンを止めてから、スロットルを閉じてマグネト(パネル下部左側のノブ)をOFFにしてください。それから、アビオニクスのマスタースイッチをオフにし、機体を固定してください。それらが終わったら、ハンバーガーを食べましょう!(訳注:2時間未満のショートフライトを意味するスラングに「$100 hamburger」というのがある。)

私はこのチュートリアルがFlightGear上で活用される事を期待します。何かコメントがあれば、stuart_d_buchanan {at} yahoo.co.uk (原文筆者)またはJP FlightGearフォーラムで連絡ください。

編集メモ

  • 新規作成。2008/01/28〜 takehiro
  • sambarも作業に参加 2008/6/21 sambar
  • 一応翻訳完了。添削願います。 2009/07/03 sambar
  • 原文にはないが日本で一般的なPAPIに関する記述を追加。他、どうでもいいネタを訳注として追加。 2009/07/05 takehiro
  • 8.3.2まで2.10.0向け訳注追加(原文が未更新なため) 2013/03/26 sambar
  • 8.3.4まで2.10.0向けに修正(原文にある「この図(図8.x)を見よ」が抜けていた 2013/03/27 sambar)
  • 8.4まで2.10.0向けに修正 2013/03/28 sambar
  • 8.5.2まで2.10.0向けに修正 2013/03/30 sambar
  • 8.5.3まで2.10.0向けに修正 2013/04/02 sambar
  • 2.10.0向けに更新完了(図番・章番号除く) 2013/04/05 sambar
  • 図番・章番号の修正完了 2013/04/08 sambar
  • 整形 2013/05/12 sambar
  • mapserverのhtmlが正常に生成されたのでリンク先変更 2013/08/01 sambar
  • $100 humburgerについて訳注追記 2013/10/9 sambar

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Last-modified: 2014-03-30 (日) 07:57:21 (1274d)