FrontPage > FlightGearマニュアル > 第10章 The FlightGear Manual Version 3.0.0
第10章 計器飛行方式によるクロスカントリー・フライト・チュートリアル †このドキュメントは http://mapserver.flightgear.org/getstart/getstart-enpa3.html#x6-17900010 の日本語訳です。
10.1 前置き †図 10.1: 私の勘では、サン・アントニオダム上空をLivermoreに向けて飛行中。
クロスカントリー・フライト・チュートリアルでは、あなたはVFR(有視界飛行方式)での飛行の概要を学び、そして飛行の間にあなたはC172Pの主要な計器についての手ほどきを受けました。現在、私達はIFR(計器飛行方式)をするつもりです。この飛行において、あなたは残りの計器の手ほどきを受け、IFRフライトについて少し学び、とても多くのTLA (Three-Letter Acronyms: 三文字の頭字語)を学ぶでしょう。 私達のフライトは前と同じように、Reid-Hillview (KRHV)のrunway 31R から Livermore (KLVK) の runway 25Rを飛びますが、今回はIFRコンディションで飛行します:雲底高度は地上から200ft、視程は800mです。このチュートリアルはクロスカントリー・フライト・チュートリアル(前章)を終えていることを前提としています。 10.1.1 免責 †これはIFRでの飛行をあなたに教える事を意図していません。むしろ、IFRの真似をして飛ぶことの意味は、クロスカントリー・フライト・チュートリアルで取り扱われなかったパネルの計器の疑問の解消です。 私はパイロットではありません。前のチュートリアル同様、この情報は信頼性のないことを集めたものです。もし間違いや勘違いを見つけましたら教えてください。bschack-flightgear -at- usa -dot- net までメールを送ってください。 10.2 離陸の前に †私達はFlightGearに飛行コンディションを教える必要があります。私達にとって「望ましい」天気を設定するにはいくつかの異なる方法がありますが、私達はGrobal weather menuを使用します。FlightGearを起動後、Environment → Global weather menuとクリックすると、天候ダイアログが表示されます。METAR Sourceをクリックして、CAT I minumumを選択してください。 これは低い雲底高度と短い視程を提供します。残念な事に、それは私達にはむしろ激しい風も与えます。それへの対処を望まないならば、風を吹かせない簡単な方法があります。
10.2.1飛行計画 †天候の設定が落ち着いたら、図 10.2 のように見えるでしょう。これらの雲はとても都合良くは見えず、また滑走路の反対側の末端を見るのは困難です。おそらく私達は Cessna でそこを「運転」するだけにしておくべきでしょう。まあとにかく地上走行の練習をする計画ではいました…。 図10.2: KRHVのRunway 31R。
それで、見えない中でどうやって地点Aから地点Bまで移動しますか?長年にわたって進化してきた、長所と短所を持つ色々な方法があります。私たちのフライトでは標準的な Cessna C172p が持っている全ての航法用の機器を使用して、できることを経験します。 私達のルートの全部と、使用する航法支援(原文では the aids)を、図 10.3 で示します。 私達の経路は緑色で、航法支援は青と赤です。経路は少しおかしく見えます - 実際あなたは、単に勘で飛ぶよりもこれらの派手な装備を使って飛んだほうが余計に迷うのではないか、と思ったかもしれません - しかし、勘で行く方法は狂気の沙汰です。いきなり詳細を全て説明するとあなたを圧倒してしまうでしょうから、私は少しずつ説明していきます。 図 10.3: 緑:我々のルート, 青:VORとその半径, 赤:NDB
10.2.2超短波全方向無線標識 (VHF Omnidirectional Range: VOR) †おそらく最初に少しVOR(脚注1) VHF ((Very High Frequency) Omnidirectional Range) 航法が必要で、そして我々を Livermore の 5nm (nautical miles :海里) 南にたどり着くでしょう。 VOR 無線標識局は区分航空図(Sectional)に青緑の円と外周のコンパスマークで表されます。また、これらの中心に記される大きな青い点も役に立ちます。Reid-Hillview は San Joseに非常に近いです。図10.3を見てください。。円の中心近くの青緑の長方形の中に、無線標識局の情報があります。無線標識局の情報によると、これはVOR/DME局で(DMEについては後で説明します)、名前は San Jose で、周波数は 114.1MHz (同じ物ですが別の言い方をすると、チャンネル88) 、識別符号(もしくは "ident")は SJC (モールス符号では ... .--- -.-.) です。 VOR局に同調するには、COMM 受信機とペアになっている NAV 受信機の一つを使用します(図 10.4)。そしてそれに対応する VOR 指示計を使ってナビゲーションします。この場合 NAV1 受信機 (と VOR1 指示計)を選択するでしょう(NAV2 も同様に動作します)。周波数を設定する前に、VOR1 指示計を確認してください。VOR1 は図10.5 中の左側のようにあるべきです。重要な物は赤い "NAV" フラッグです。これはVOR信号が無いことを意味するので、この指示機は信用できません。 図10.4: IFR 航法の計器
図10.5: 受信前と同調後の VOR1
NAV 受信機は Comm 受信機同様に(脚注2)、「アクティブ」の周波数と、「スタンバイ」の周波数を一つずつ、そして同調ノブを持っています。 それを114.1に同調し、swap ボタンを押してください。 NAV1 ⇒ 114.1(脚注3)
VOR1 を見たなら、図10.5の右で示すように、赤い "NAV" フラッグが消えて、 "TO" フラッグに入れ替わった事に気づくでしょう。これは信号を受信しているという意味になります。しかし、これは正しいんでしょうか?たまたま間違った周波数を設定していないのか? 正しい VOR に同調しているかどうか確認するためには、その識別符号を聞きます。もし識別符号が聞こえない、もしくは区分航空図と合っていないなら、その針は信用してはいけません。現在まで、あなたはおそらく何も聞いていないでしょう。これは奇妙な事です。とにかく赤い "NAV" フラッグの表示は消えました。我々はどこかの無線局の範囲内にいるはずでしょう?なぜ何も聞こえないんでしょうか? 疑わしい時は、最も単純な解決策を探してください。この場合は、ボリュームをチェックしてください。NAV 受信機の、"PULL IDENT"と横に書いてある小さなノブです (図10.6を見てください)。 これが識別符号の音量のコントロールです。それは左下を指しており、ボリュームがオフになっています。ident ノブの右側をクリックすれば音量が大きくなります。今度は識別符号が聞こえるはずです: ... .--- -.-. やれやれ。 図 10.6: 識別符号の音量ノブと、そのホットスポット
VOR1 に戻ります。左下のノブは OBS (Omni Bearing Selector) と呼ばれています。その名が示す通り、(bearing なので自機から見た)方位を選択します。(訳注:ちなみにNAVAIDsから自身を見た時の方位は Radial xxx degree )あなたは旋回したら、CDI(Course Deviation Indicator) の垂直の針が動くのを見るでしょう。(脚注4) 針が中心になるように試みてください。小さな矢がてっぺんの277° 辺りを指している時に針が中心に来るべきです。この数字と、TO フラッグは "方位277° で 直接VOR 局へ誘導されている" ことを意味します。 よろしい、ただし我々のルートによると、VOR局へ(to)行きたいのではないという点を除けば。我々は本当はVOR局から(from)伸びた、水色で示され"009" (ラジアル 009)と書かれている線をインターセプトすることを望んでいます。我々はどうすればこれができるでしょうか?単純です。OSBを9°に合わせてください。 VOR1 OBS⇒ 009
ラジアル009を横切る時、針はセンターを指し、フラッグは FROM を指示するでしょう。これは 「9°の方位へ飛べばVOR局から(from)まっすぐに遠ざかる」事を教えてくれます。これがやりたかったんです。この場所で方位9°に右旋回しましょう。 最後に一つ - ディレクショナルジャイロのヘディングバグを我々の現在の方位(だいたい310°) に合わせましょう。 ヘディングバグ⇒ 310
10.2.3 離陸 †さあ離陸準備ができました。準備するには長い時間がかかりましたが、実際にはもっと多くの事をしなければなりません。例えば、前章のクロスカントリー・フライト・チュートリアルで記載された全ての事があります。そして、我々がしなければならなかったIFRの準備は他にもあります。しかし、もう一度言いますが、あなたを圧倒させないために、私はぎりぎり最小限の情報だけを少しずつ伝えています。それで、あなたが持っている最も重要なコントロール ― "p" キーを持ち出します。これを特に新しい概念が紹介されるときには頻繁に使ってください。 よろしい。離陸して方位を310°に保ってください。安定した上昇率を確立してください。我々の計画では 4000ft に上昇します。しかし問題が一つあります - 醜い雲が行く手に立ちはだかっているのです。 離陸;滑走路方位に上昇
10.3 空中にて †これが初めての計器飛行ならば、一旦雲に入ったら飛ばすことが出来ないでしょう。雲に入った時、視覚情報が不足する事にしばらく困惑するでしょう。それから "どうでもいい" 、と思うでしょう。“私はちゃんと安定しているだろう”と。 しかし、数秒後には、多分あなたはダイヤルと針が狂ったように回っている事に気がついて、またはそれに気づかないまま、あなたは逆さまに飛んでいるか、地面に突っ込んでいるか、失速しているか、あるいはそれら3つ全部でしょう。 外への視覚の手がかりなしで飛ぶことに慣れるには練習が必要ですが、あなたがIFRで飛びたいなら確実にマスターしなければならないスキルです。にもかかわらず、この節の飛行を簡単にするために、我々は "George" (訳注:オートパイロットの通称)を使用します。 10.3.1 George I †安定した上昇率と針路を確立したならば、 AP ボタンを押してオートパイロットをオンにしてください。左の表示部に「ROL」が表示され、「roll mode」 になっているのを見るべきです - これは翼を水平に保ちます。表示部の中ほどに 「vertical speed」モードを示す、「VS」が表示されています - これは昇降速度を一定に保ちます。表示部の右側に昇降速度が(フィート毎分で)表示されるでしょう。初期値は、オートパイロットを入にした時の昇降速度になっています。図10.7 の場合、オートパイロットは昇降速度を300フィート毎分に設定します。 図 10.7 : 入にした直後のオートパイロット
あなたがオートパイロットを入にしたときは、この点を厳重にチェックしてください。しばしば、現在の上昇率についてオートパイロットは、1800フィート毎分のような非常におかしい初期値を設定することがあります。我々の小さな Cessna ではこれに耐えることはできず、自動操縦がこれの維持を試みる(そしてそうするでしょう)ならば、あなたはイカロスだと言えるようになる前に失速するでしょう。これはバグで、確かに少し腹立たしいですが、それは役に立つ警告的なレッスンでもあります - 計器を盲目的に信頼しないでください。物は故障します。あなたは計器を監視して、クロスチェックをして、問題発生に備えなければなりません。 (訳注:計器が故障した場合、各々が示す情報に矛盾が出る。参考資料:http://www.mhi.co.jp/discover/pilot/chapter4.html) 我々は昇降速度を500〜700フィート毎分程度にしたいです。up と down (UP and DN) ボタンを打って、昇降速度を適切な値に調整してください。対気速度も考慮してください。我々は持続可能な上昇速度にしたいです。 適切に上昇しているならば、最後にヘディング (HDG) ボタンを打ってください。 表示部の "ROL" が "HDG" に変わり、かつオートパイロットはヘディングバグに向かって飛行機を旋回させるでしょう。前にヘディングバグを滑走路方位に合わせて、また離陸してから真っ直ぐ飛んでいるので(そうですよね?)、あまり旋回しないはずです。 オートパイロットを入にする
昇降率を合わせる
ヘディングモードを入にする
10.3.2 MISON インポッシブル †ラジアル 009 を8nm 程でインターセプトするので、我々は少し時間があります。眺めるほどの景色は無いので (図 10.8 を参照)、我々は飛行の次の段階に備えたほうが良いです。 図 10.8: 典型的なIFR の景色
我々のルートを眺めてみると、ラジアル 009 をインターセプトして北に旋回したあと、我々は MISON とラベルが付けられた場所を通ります (私が書いた太い青と緑の線がなく、チャートの該当部分を拡大した図 10.9を見てください。MISON は右下にあります)。ちょうどMISONの左上に2つの交差した矢印があります。MISON はインターセクションです。実際は我々はMISONの左を通り過ぎるつもりですが、MISON(と、我々のルート)を通って北東から南東へ伸びている輻射線は興味深いです。我々は進行の監視のためにそれを使うつもりです。 図10.9 Oakland VOR のラジアル114 と MISONのインターセクション
我々の通り道にとって、輻射線は厳密には重要ではありません - 我々は旋回が必要になるまで San Jose からのラジアル 009 に沿って飛び続けることができます。しかし、これは2つの理由で役に立ちます : 一つは、我々がどこに居るか正確に分かるのは良いことです。2つ目は、我々がいると思っている場所にいるかどうか確認できます。もし我々が飛び続けても輻射線を横切らないならば、警鐘が鳴り始めるべきでしょう。 区分航空図を見ると、ラジアルはOakland VORTAC (VOR TACAN 、TACAN は Tactical Air Navigationを表します) のラジアル114 だとわかります。 Oakland の周波数は 116.8 で、この識別符号は OAK です。 ( --- .- -.- ). 既に NAV2 は Oakland に同調しているべきですが、そうで無いなら、今やってください。NAV2 のボリュームを大きくし、正しい識別符号を得ていることを確認してください。 NAV2 ⇒ 116.8
我々がどのラジアルに興味があるのかをVOR2に教えるために、我々はOBSを調整する必要があります。 OBSを 114 に合わせてください(脚注5)。 もし可能なら、我々がラジアル114 を横切る時、フラッグの指示がTOかFROMのどちらであるか推測してください。また、もし可能なら我々がラジアルを横切る時、針は左から右に動くか、それとも右から左に動くか推測してください。 VOR2 OBS ⇒ 114
最後に一つ: 我々の目的のためには、これらのラジアル114は特別な数字ではありません - 我々は113でも115でも、あるいは100や90でも使うことができました。私が114を選んだ理由は、既に地図にラジアル114の線があり、自分自身で線を書くことによるトラブルを抑えるためでした。 10.3.3 George II †ラジアル009へのインターセプトを続けながら、もう少し細かくオートパイロットを見てみましょう。まず第一に、あなたに飛行機のトリムを取る習慣が無いならば、おそらくオートパイロット上で矢印と共に「PT」という警告灯が点滅するのに気がつくでしょう。オートパイロットはあなたにピッチトリムを調整するよう指示しています。私はマウスで飛んでいるので、トリム調整の価値よりもトラブルの方が多いのでそれを無視する傾向があります。あなた達のようにヨークやジョイスティックで飛んでいる人々は点滅する警告灯を鬱陶しく思い何とかしてトリムを取るでしょう。 また、右には大きな高度選択ノブがあり、これを回して目標高度を合わせるために使うことができます。これを使ってみましょう。これを我々が所望する巡航高度の 4000ft まで右側をクリックして回してください(訳注:マウスのホイールを回すことでも操作可能)あなたがこれを回し始めた時、 “ALT ARM” がオートパイロットの画面内に表示されなければなりません (図 10.10 で示します)。これは、あなたが目標高度を選んだことを示します。 オートパイロットはその高度に到達するまで現在の上昇率を維持するでしょうから、その高度に達したら水平飛行に移り昇降率 (VS) モードから高度保持 (ALT) モードに変わります。高度保持モードは、その高度で維持します (今回のケースでは、我々の目標高度の 4000ft です(脚注6))。 オートパイロットの高度を 4000 にセット
図10.10 高度保持が入にされたオートパイロット
オートパイロットはスロットルを調整しないので、水平飛行に移ってからは飛行機(とエンジン)の速度が上がるであろうことを忘れないでください。巡航に適するようにスロットルを調整する必要があるでしょう。 10.3.4 コースに留まる †ある地点であなたはラジアル 009 をインターセプトするでしょう(VOR1 の針がセンターを指します)。機首を 009 に向けて旋回してください。 オートパイロットを使っているならば、ディレクショナル・ジャイロ上のヘディング・バグを使うことでこれができます。 009 に旋回して VOR1をインターセプト
あなたの日頃の行いが良いか幸運で無い限り、おそらく針は中心に無いでしょう。我々はコースの調整が必要です。CDIニードル (VOR 表示器上の垂直の針) が我々がどこに向かっているか教えてくれます。これが左にあるならば、そのラジアルは自分から見て左にある事を意味するので、我々は左に行く必要があります。右の場合も同様です。 これは理屈の上では非常に簡単ですが、実際に針を中心に保つのは非常に難しく、そのラジアルの上でスラロームしている事に気がつくでしょう。これを理解する鍵 : 針の位置は我々がどこにいるか我々に教え、針の動きは我々が何をするべきかを教えてくれます。 説明しましょう。針が中心より左を指しているならば、そのとおり、ラジアルは確かに左にあります(脚注7)。しかし、針が中心に向かって動いているならば、それは我々は遅かれ早かれラジアルを横切るであろう事を意味しており、従って我々の状況は良くなっていて、そして針が丁度中心を指すのを待つことだけが必要です。他方、針が中心から離れていく時は、我々はそれを止め、そしてその動きを逆にするために、針の指す方向とは逆に曲がる必要が有ります。 注意するべき点は、初めは我々が旋回する量を正しく推測するのは難しいので、色々試してください。10∘ の旋回を試してください。針が動くのが速すぎるなら、旋回する量を 5° に減らしてください(つまり、 5° 戻してください)。他方、針の動きがあまりに遅いならば、旋回する量を二倍の20° (すなわち、10°更に加える)にして、何が起こるか監視してください。 10.3.5 もっと、更なるクロスチェック †あなたの位置を重ねて確認する事は常に良い事です。Oakland のラジアル114とのインターセクションを使うのは一つの方法です。その先に SUNOL インターセクションがあります。これを細かく見るなら、5つの別々のラジアルがこの点で出会うので、我々は交差するラジアルの選択肢を眺めて困惑します。我々は右上から来ている物を使うつもりで、これは後で役に立つでしょう。さらに区分航空図をチェックするとManteca VORTAC のラジアル 229 、周波数は116.0MHz、識別子はECA ( . -.-. .- )だとわかります。 OAK のラジアル 114 を横断
あなたはもうこのドリルを知っているはずです: NAV2 を 116.0 に同調し、 OBS を 229 に合わせ、このVOR局の識別子が正しいことを確認してください。 NAV2 を 116.0 に、 VOR2 の OBS を 229°にする
SUNOL を通過するのをクロスチェックするまでの間、パネル上のもう一つの計器を紹介します。いくつかのVOR局は測距能力を持ち、DMEと呼ばれています(脚注8)。(Distance Measuring Equipment). 例えば、 San Jose がそうで (これは VOR/DME局だと思い出してください)、 Oakland と Manteca も同様です (VORTAC は DME の機能を持っています)。 DME を使うと、VOR局から自分までの直線距離がどの位あるか知る事ができます。我々のシナリオでは、 DME は重要ではありませんが、DMEがどう動くかを見るのと、我々の位置を再確認するために、いずれにせよ使います。 DMEの機器はオートパイロットの下にあります(図10.4を参照)。それを確実に入にしてください。ON/OFFスイッチの左にあるセレクターはN1にセットされているでしょう。 その「N1」は「NAV1を受信」を意味します。NAV1 はずっと San Jose に同調したままなので、それはSan Jose VOR/DME との距離を表します。DME を N2 に切り替えてください。今度は、 Manteca VOR との距離を表示します。 DME ⇒ N2
DME は 3つの事を表示します :ステーションとの距離(海里)、ステーションに向かうor離れていく速度、現在の速度でステーションに到着するまでの推定時間です。表示される距離は飛行機とステーションの直線距離(「slant distance (斜面の距離)」と呼ばれる)であって、地面の距離(訳注:あなたの真下にある地上の点と、DMEの距離)では無い事に注意してください。 DMEが表示する距離(slant distance)と、実際の距離(sambarによる。図番無し)
同様に、速度もステーションからの相関的な速度で、あなたがまっすぐステーションに飛行するので無い限り、表示される速度はおそらく正確なあなたの対地速度より低いでしょう。例えば、我々の真後ろにある San Jose からの速度は、右にずれているManteca へ向かう速度より大いはずです。 もし SUNOL インターセクションに関する情報を調べてみると(脚注9)(「ECAr229.00/33.35」が意味する事は)ECA からのラジアル229 の距離が(DMEで測ったものと同じで) 33.35nm であるとわかります。 現在我々には SUNOL インターセクションを確かめる2つの方法があります: VOR2 の針がセンターで、DMEが約33.4 nm と表示します。Manteca からの直線には勾配があるので、 DME はそこまで精密なfixを提供しない事に注意してください。しかし、これはSUNOLへの到着が迫っている事への良い予告をします。 さらに、それが(30のような)予期しない値を表示する場合、それは(訳注:頭の中で)警鐘が鳴らされるべきです。 あなたは、(DMEの設定ノブのN1とN2の間にある)「HLD」が何を意味するか疑問に思っているかもしれません。これは「hold」を表し、「NAV1もしくはNAV2が再選局されるかどうかにかかわらず、現在の周波数を保持する」事を意味します。例えば、我々が N2 から HLD に切り替えた場合、 DME はManteca の情報の表示を続け、そして更新します。我々がNAV2を再選局した場合ですら、DMEは依然Manteca に同調したままです。これは基本的には3番目の独立した受信機の代わりになるので便利で、またIFRフライトにおいては2つの受信機で事足りるようには見えません。 10.4 降下・着陸 †我々は San Jose のラジアル009に沿って、DMEを使って自分の位置を監視しながら飛行し、SUNOLへ接近しています。SUNOL はLivermore から 5mn 未満で、雲の下にあるでしょう。おそらく、我々が 700feet に降下して( Livermore は400ftで、雲底は750ft) SUNOL を通り過ぎた後北に直接向かうなら、我々はそこに着けるでしょうか?お分かりの通り、これは大惨事を起こす方法です。 10.4.1 計器進入方式 †前のチュートリアルを思い出せば、VFRで飛んでいる時は、着陸するために自分の飛行機から最も近い滑走路を目指すわけではありません。パターンに従って飛ぶ必要があります。どちらにせよ、良い事にこれはあなたが順序良く並ぶ助けになり、また飛行機同士の衝突を防止する助けにもなります。 IFR での着陸もよく似ています。従わなければならない手順(procedure)があります。 というより実は複数の手順(procedures)があります。 というのは、IFRコンディションでの着陸は複雑で、全ての空港で単一の手順では無いからです。あなたは個々の空港毎にチェックする必要があります。実際、普通は使う空港、滑走路、そして航法設備を確認する必要があります。 我々の空港は Livermore (KLVK) です。その空港の情報を確認しましょう。何を持っているのかを見るために、 http://www.airnav.com/airport/KLVK を見てください。下の方に、我々が見るべき IAPs (Instrument Approach Procedures:計器進入方式) があります。滑走路 25R には2つのリストがあります。一方はILS (Instrument Landing System:計器着陸装置) 進入で、もう一方は GPS (Global Positioning System:全地球測位システム) 進入の物です。我々の飛行機にはGPSはありませんが、ILSの運用能力(ILSについては後述します)があり、従ってこれを選択します。 Livermore は異なった2通りの計器進入方式があるだけですが、大きな空港ではもっと、もっと多くの方法があります。あなたがサンフランシスコ付近の空港の計器進入方式を見るならば、それらがたくさんの方式を持っているのを見るでしょう。それらにはILS方式、GPS方式、LDA方式、VOR方式、…私はそれらに六分儀と砂時計による方式があったとしても驚かないでしょう。IFRフライトを習得するために、あなたはこれら全てに精通する必要があります。 話を Livermore に戻します。手順書(procedure)をダウンロードするならば、あなたは図10.11のような物を見るでしょう (色を除く)。それに初めのうちは少々圧倒されます - それは小さなスペースに多くの情報を圧縮しています。色がついている3つの部分だけに限定することで、できるだけたくさんの部分を無視します。そして、我々はこれを "need to know" の原則でやっていきます - つまり本当に必要になった時にだけこれらを見ます。 図 10.11: Livermore の滑走路25Rへの ILS approach plate
どこから始めましょう?コースの初めからです。IAPには一つ、もしくは複数のInitial Approach Fixes (IAFs : 初期アプローチ地点)があります。これはあなたがアプローチ手順を開始する地点で、「平面図(plan view)」上にあり、私が図10.11に紫で色づけしています。我々のIAPは2つあり、一つは真ん中に、もう一つは右側にあります(図10.12の拡大図)。 図 10.12: Initial approach fixes (初期アプローチ点)
IAF は fix であり、fixは空間の中の確認できる点です。実際、我々は既に別の種類のfix(すなわち、VORインターセクション)に遭遇しました。また、fixには普通は名前が付けられています(例:MISON, SUNOL)。右のIAF には TRACY と名付けられており、ラジアルと距離と高度から成ります。具体的には、これはECA (すなわち、Manteca) VOR からラジアル229で15 DME (DME受信機で測って15nm)です。 10.4.2 NDB(Nondirectional Beacons:無指向性無線標識) †しかし、我々はIAFとしてTRACYを使うつもりではありません。我々は途中のIAFを使用するつもりで、それはマーカー(LOM は“Locator Outer Marker”を表します)です。我々はアウターマーカーについて後回しになることが心配かもしれません。今の所は、ロケーターの部分に集中しましょう。LOM のロケーターは NDB(脚注10) です。(nondirectional beacon:無指向性無線標識). あなたの進路を見出して場所から場所へ航行するのに使うことが出来るという点で、NDBはVORと少し似ています。VOR と同様に、NDBは名前(この場合、REIGA)があり、周波数(374kHz)が割り当てられ、識別符号(LV 、モールス信号では ・ー・・ ・・・ー)が与えられています。また、NDBは区分航空図上で、中に小さい円のあるぼやけた赤い円で書かれ、近くの赤い四角形の中に識別情報が書いてあります。(図10.13の拡大図を見よ。ぼやけた円で書かれたNDBと、左にある均一に赤い円や下にある丸で囲った"R"とを混同しないようにしてください。) 図 10.13: REIGA NDB
NDB ステーションは「自分の場所はここです」と放送し、また機上の受信機はそれを受信でき、操縦しているあなたに「ステーションの位置はあそこです」と教えます。あなたがすることは受信機を正しく同調し、適切な計器を見ることだけです。受信機はADF(Automatic Direction Finder:自動方向探知機) Receiver と呼ばれており、 対応する計器もまたADFと呼ばれています。図10.4に示します。 REIGAに同調するには、まず受信機のスタンバイ(STDBY)周波数に374が表示されるまで同調ノブを回してください。 ADFを374kHzに合わせる
いつもどおり、大きく(この場合、100kHz単位で)変えるにはマウスの中ボタンを、小さく(1kHz)変えるには左ボタンを使用してください。それから、swap ボタン("FRQ"と表示)を押してください。これで、選択中(SEL)周波数に374 が表示されます。ADF上の針が揺れ動き、やがて右方向、REIGAを指し示すとお思いでしょう。しかし、そうではありません。なぜか?(表示部左上に"ANT"が表示されているとおり)受信機がアンテナモードだからです(脚注11)。 "ADF"を表示するよう、ADFボタンを押してください。今度こそ、針がREIGAを指し示すために揺れ動くでしょう。 VORと同様に、確実に正しいステーションに同調するために、我々は識別符号を聞く必要があります。NAV 受信機と同様に、ADF受信機には音量調整部があり、それには "VOL" のラベルが付けられています。そのボリュームにはオン/オフスイッチの機能もあるので、あなたが反時計周りにそれを回し続けるなら、それはレシーバーをオフにします。残念な事に、執筆時点ではidentは、機能しません。 ADFにセットするOBSが無い事に注意してください - 素晴らしい事に、針はただステーションを指します。これは、我々をADFの最初のルールへ導きます:
かなり単純です。実際、それが「ルール」に値すると考えるべきではありませんが、ADFとVORの違いに重点をおくのは重要です。VORはOBSを回して指定した一つのラジアルを追跡する事を覚えておいてください。ADFは一つのノブを持ち、同じように見えるコンパスカードを持っているので、それは同じ方法で働くような気になります。そうではありません。 ADF ヘディングノブ(“HD” と表示される) を回して、何が起こるかを見てください。コンパスカードは動きますが、矢印は動きません。矢印はステーションの方向を指したままです。 REIGAへ飛んでいこうとしている我々の今の状況では、これがADFについて知る必要があることの全てです。針が“あそこ”を指すならば、 我々は"あそこ"に飛び、結局はREIGAを通過します。しかし、練習のため、そしてこれが後で必要になるので、私はADFのための2つめのルールを与えるつもりで、ここにあるコンパスカードが何のための物なのか説明します。
言い換えると、コンパスカードは「あそこ」への数字を与えます。 現在、我々はREIGAに向かう準備ができています。我々の現在の機種方位が上に来るまでADF のヘディングノブを回してください(基本的にADFはディレクショナル・ジャイロと一致させるべきです)。我々が SUNOL インターセクションを通り過ぎる時、ADFの針を見て、DGバグをその方位にセットします(あなたがオートパイロットを使っていると仮定します。もしそうでないなら、その方位に旋回してください)。旋回が終わったら、ADFの針は真っ直ぐ前を向いているべきです。そして、そうならないならば、そうなるように方位を調整してください。(脚注12) SUNOLを横断; REIGAへ向け旋回
ところで、あなたがREIGAに近づくほど、針はあなたの方位の変化により敏感になります。あなたが接近した時に、針をセンターに保とうとして発狂しないでください。安定した方位を維持し、そして準備します・・・ 10.4.3 方式旋回(Procedure Turn) †それで、一旦REIGAに突き当たったら、我々はちょうどそこで左に旋回して滑走路に機首を向けるのでしょうか?・・・もし人生がそんなに単純だったならば。 いいえ、我々は右に旋回して空港から離れ、そして方式旋回(procedure turn:あるいはプロシージャ・ターン)をします。我々は平面図(plan view)の中の鉤矢印によって、方式旋回があることがわかります(図10.14を参照)。矢を追って見れば分かるように、我々はヘディング075°で飛んで一旦離れ、それから左に45°旋回してヘディング030°にします。我々はUターン(空港から離れる方、つまり右に - これは方式旋回のルールの一つです。)をして、210°で戻って、それから45°右旋回して255°に向き、滑走路に機首を真っ直ぐに向けます。これらの旋回は、25Rに着陸するために、正しいコースで正しい高度に我々自身がセットする時間を我々に与えます。 図10.14:Livermore ILS procedure turn
ううむ。私は「正しい高度」に触れましたが、我々はどうやってそれを知りますか?それは下の方にある側面図です(図10.11の黄色い部分)。あなたは一番上が LOM(我々のIAF)であるのを見ることができます。では矢印を追っていきます。IAFの後、我々は機首を075°に向けます。方式旋回の間に我々は 3300feetまで降下できますが、それ以下になってはいけません (3300の下の線がこれを意味しています)。我々が方式旋回が終わって機首を255°に戻した時、我々は2800feet まで降下できますが、グライドスロープにインターセプトするまではそれ以下になってはいけません。 計器進入方式があなたに告げない一つの事は、方式旋回の長さです。唯一の制約はNDBから10nm 以上離れて飛んではならない、という事です。あなたは平面図の周辺に半径10nm の円が書かれていて、また側面図の注記に"Remain within 10 NM"と書かれていることに気づくでしょう。これは落書きではありません。それで、我々がおよそ110kt で飛ぶので、各レグを2分間飛ぶのが妥当です - 075°で2分間と、030°で2分間です。戻り道では時間は構いません - 我々はただ255°をインターセプトしたいだけです。 従って、REIGAを通過した後は075°に右旋回します。我々のADF 受信機にはタイマーが組み込まれているので、2分間のレグの時間を測るのに使います。“FLT/ET” (flight time(飛行時間)/elapsed time(経過時間)) ボタンを押してください。ディスプレイの中間の“FRQ” が消灯し、“FLT”が点灯するでしょう、そしてスタンバイ周波数の表示は時間の表示に置き換えられます。これはトータルの飛行時間で、電源を切って再投入しない限り変更できません。もう一度“FLT/ET” を押してください。今度は “ET” と時間がが表示され、それはおそらく飛行時間と同じでしょう。経過時間をリセットするには、 隣にある“SET/RST”と表示されたボタンを押してください。タイマーを0にリセットし、 それからカウントアップを開始します。(図10.15を参照)。(脚注13) 経過時間モードでは、 “SET/RST” ボタンを押す毎に、タイマーを0にリセットします。もし再びスタンバイ周波数を見たいなら、 “FRQ” を一度押してください。タイマーは動き続けます。 図10.15:タイマーを使用中のADF
10.4.4 針を追う †先ほど我々が REIGA にアプローチしたときには、特にコースを気にしませんでした ― 我々はREIGAぴったりを狙いました。しかし、今度は我々のコースは重要です。我々はREIGAから075°で真っ直ぐ飛んで離れたいです。 REIGAを横切る; REIGAから075°で2分間飛んで離れる
現在、理想的な世界では075°に旋回した後、ADFの針は真っ直ぐ後ろを指します(すなわち、我々は正しいコース上に居ます)。おそらくこうならないので、我々はコースの調整が必要です。調整の鍵はADFルール2です。我々が正しくコンパスカードをセットしたならば、針は現在のNDBの方位を示します。もし我々がbearing 255をインターセプトするまで飛んでから075°に旋回すれば、我々は正しいコースに乗っています。 図10.16で私が何を言っているか示します。図の中では、初めはコースから外れて飛行機は緑線に沿って飛んでいます(脚注14)。機首方位は正しくて075°ですが、ステーションの方向は225°で、255°ではありません。これを修正するために我々は右旋回します(ADFのコンパスカードを我々の新しい方位に合うように調整するのを覚えておいてください)。我々はこの新しい方位に飛んで、正しい位置に近づいていき、bearing 235°と245°(赤線)を横切ります。最終的にADFの針が255°を指した時に075°に向けて左旋回し、ADFのコンパスカードを再調整します(脚注15)。 我々は現在コース上に居ます。 図10.16:コースへ戻る
当然のことながら、あなたがコースに戻っても、それで話が終わる訳ではありません。あなたの飛行機はドリフトします; ドリフトに注意してください; コンパスもドリフトします; 風はあなたを押し流します。あなたは常に微調整をしている事に気がつくでしょう。コースの近くにいる限りは良いでしょう。そして、とにかく、遠からず(実際、2分間です)、我々は方式旋回の一部として30°に向けて45°左旋回します。とにかくその時点で我々はNDBを無視します。やれやれ。2分間のためのこれらの努力にはほとんど価値が有るように見えません。 10.4.5 FOOTO Time †あなたが外へ向けて飛んでいる間、Manteca DMEに同調されたVOR2を時折監視してください。依然OBSが229でDMEがN2に同調されているならば、いつか針が中央を指すはずです。これはあなたがラジアル229を横切った事を意味し、もしコース上に居るならば、同時にDMEに20.8が表示されるはずです。私はこれをどうやって知りますか?もしあなたがapproach plate(図10.11)を見るならば、あなたはFOOTOと名前が付けられたインターセクションに気づくでしょう。FOOTO はアプローチ上に有り、これはECAからDMEで20.8nmと定義されています。我々にはこのインターセクションは厳密には必要ではありませんが、これは無料ですし、外向きの飛行と後ほどの内向きの飛行の両方で我々に良い位置確認を提供します。 あなたがどれくらいの速さで飛んでいるかに依存しますが、おそらく075°での2分が経つ頃にFOOTOを通過するでしょう。2分間の終わりに、030°に向けて45°左旋回してください。タイマーをリセットして、その方位でさらに2分間飛んでください。 10.4.6 George III †このレグは比較的平穏なので、我々はこれを利用して緩やかに3300ftに降下するための行動を取りたいと思います。オートパイロットを使っているとして、あなたはいくつかの事をする必要があるでしょう: 030に左旋回; 3300ftに降下しながら2分間飛ぶ
もしオートパイロットを降下中に使用している場合、オートパイロットは下手なパイロットのように機首を押し下げるので、飛行機は速度を上げます。我々は高度を下げたいですが、速度が大きくなることは望まないので、110ktを保つためにエンジンの回転数を絞ります。その後、3300フィートに到達したら、再度パワーを加えなければいけません。 もし手動操縦で飛んでいるならば、あなたが望む降下率が得られるようエンジンを調整するだけです ― 既に110ktになるようにトリムを取っているならば、飛行機は魔法のように110ktのままでいるでしょう。 10.4.7 計器着陸 †降下しながら、我々はどうやって戻り道に(NDBの)255°をインターセプトして、それに乗って滑走路に向かうのか、ということを考え始めるなければいけません。あなたは外向き(outbound)レグの時と同じようにNDBを使うことを考えるかもしれませんが、今度はNDBでは十分良くはありません。これはいわゆる「精密な」着陸と呼ばれるILS着陸であり、NDBは十分精密ではありません。NDBは滑走路に近づけますが、十分近くはありません。 従って、我々はILSシステムに切り替えます。これは水平方向の精度は十分以上にあります。また、これはNDBがまったく提供しない垂直方向のガイダンスも提供します。そうそう、そしてまた、あなたに残りの数分間で何か他に学ぶことを提供するのであなたは退屈しないでしょう。 NDBやVOR航法装置と同様に、ILSシステム(脚注16)は一つのトランスミッター(あるいは複数 ― ローカライザーとグライドスロープ)を地上に持ち、そして受信機とゲージが航空機にあります。ILSの受信機は結局のところ我々が2つ持っているNAV受信機そのものです。表示器はVORインジケーターと似ていますが、グライドスロープインジケーターが追加されていて、それは水平(になることがあなたの望み)の針です。VOR同様に、垂直の針はあなたが(本来通るべきコースより)左にいるか右にいるかを示します。水平の針は(本来通るべきコースより)上か下かを示します。我々のILSゲージは古い付き合いとなったVOR1です。 あなたが既に推測した通り、ローカライザーは周波数とそれに関連付けされた識別符号を持っています(個別にグライドスロープを同調する必要はありません。ローカライザーを同調したら、グライドスロープも同時に同調されます)。これはapproach plateの2つの箇所に示されています:左上隅と、平面図中の滑走路のところです(図10.17を参照)。我々は、 周波数が110.5MHzで、識別符号がI-LVK(・・ ・ー・・ ・・・ー ー・ー)であることを読み取る事ができます。 図10.17: Livermore 25R のローカライザー
あなたが今VOR1を見ているなら、それには赤で"GS"フラッグが表示されているはずです (図10.5でこれを見ることができます)。これは、グライドスロープの信号が無いことを示します。ではNAV1 を 110.5 に同調してください。 NAV1 ⇒ 110.5
赤い"GS"フラッグは消えるでしょう。識別符号を確認してください。ちゃんと聞こえてますよね? そのローカライザーはあなたを危機から逃し、果てしない苦境からあなたを救い出すでしょう。 ローカライザーに同調したとき、あなたはILSの針が動くのに気づくでしょう。それでOBSは?えーっと、それは役に立たないです。試しにそれを動かしてみてください。それをどう回したところで、針が反応して動きません。こういう設計なのです。ローカライザーは基本的にアプローチ方位のラジアル一つだけのVORです。我々はその他の方向について考慮しないので、その他に興味を持ってると宣言するためのOBSは必要ありません。しかしながら、これは便利なリマインダーになるので、OBSを我々が望んでいる方位である225に動かしてください。 VOR1 OBS ⇒255
10.4.8 ローカライザーにインターセプトする †我々はILSのローカライザーにインターセプトする準備ができました。2分間の030°のレグをが終わったところで、210°に向けて右方向にUターンをしてください。旋回を完了した直後に、ILSの垂直(ローカライザー)の針が動き始めるでしょう。そしてそれは、ADFやVORの針と比べてかなり速く動きます。ローカライザーはVORの4倍の感度があり、よって少しの航空機の動きが大きく針を動かします。おそらくあなたは行き過ぎるでしょうが、心配要りません。なぜなら我々は真っ直ぐするための時間がだいたい5分か10分あります。 210°に向けて180°右旋回
ローカライザーにインターセプトする
心に留めておいてください:針を追わないでください。今この教えは今は何よりも重要です。これらの針は敏感です ― ローカライザーの針が左にあれば左旋回して、右にあれば右旋回するならば、あなたは酔っぱらった水兵のような状態で飛んでいます。あなたが幸運なら、滑走路はあなたの下を通っていて、あなたの航跡は何度もそれを横切るでしょう。運、我々が頼っていてはならない何かです。あなたが行動を起こす前に針がどのように動いているか測定してください。 今、あなたは方位255°で進入コースに戻っているので、75ktに減速し、フラップを一段下げて、2800ftに降下(しかし、それ以下にはならない)します。また、あなたの位置を確認するためにFOOTOの内向き経路を確認してください。そして頭をたたいて胃をさすってください。 75ktに減速
フラップを一段下ろす
2800ftに降下
10.4.9 グライドスロープにインターセプトする †我々が滑走路に向かって飛ぶ時、グライドスロープを示す水平の針を見るのを忘れてはいけません。我々がローカライザーにインターセプトした時、実は我々はグライドスロープの下に居たので、グライドスロープは我々のずっと上にあったはずです。我々は2800ftで水平になっているので、グライドスロープが我々に向かって"下がり始めます"。やがて、あなたは針が下がり始めるのを見るでしょう。針が水平になった時に、あなたがグライドスロープに乗っている事を意味します(脚注17)。そして、我々がグライドスロープにインターセプトして間もなく、アウターマーカーの上を通過するでしょう。あなたの位置を確かめるための、いくつかの現象はしばしば同時に起こります:
一旦グライドスロープに乗ったら、我々は降下を始める必要があります。どの降下率が良いでしょう?これは我々の対地速度に依存します。我々のケースでは、75kt(ほぼ無風なので、我々の大気速度と対地速度はほぼ同じです)で飛行しているので、およそ400フィート毎分で降下する必要があるとわかります。オートパイロットを使用しているならば、これはとても簡単です ― ダイアルを 400 に合わせてセットするだけです(しかし、75ktの速度を保つ為にパワーを絞ることを忘れないでください。さもなくばあっという間に滑走路に突っ込んで行きます。そしてグライドスロープの上か下にズレてしまった場合のために調整する準備をしておいてください。) グライドスロープに乗る
アウターマーカーを超える
フラップを2段まで下ろす
オートパイロットを使用しない場合も、とても簡単です ― パワーを絞るだけです。どの位でしょうか?このケースでは、我々の飛行機はおよそ1700 RPMです。 繰り返しますと、これは多くの要素次第です ― 航空機の機種、高度、風向き、重量……従って、あなたがグライドスロープの針が上下に動き始めるのを見たら、パワーを調整しなければなりません。ローカライザーの針同様ですが…(準備はできていますか?)追いかけてはいけません。これがどのように動いているか監視して、そして調整してください。 ファイナルアプローチに乗ったので、あなたはフラップを2段目まで下げたいかもしれません。これはトリムに影響があり、そして少しパワーも調整しなければならないでしょう。 10.4.10 接地直前 †方式旋回のすべての興奮の後、アウターマーカーから滑走路に下る道のりは長く見えます。やることはそんなに多くないですが、これらの針を凝視してください。実際、以前にこれらを凝視した事がないというほどこれを凝視するでしょう。また、周辺の他の計器も見てください ― これらは、あなたに役に立つ事を教えてくれます。我々の大気速度はOKですか?我々は失速したくはありません。回転数はだいたい合ってますか?もし手動で飛んでいるならば、定期的に姿勢指示器とディレクショナル・ジャイロをチェックしたくなるでしょう。これはシミュレーターなので、我々は油圧とエンジン温度について心配する必要が無くても、これらをチラ見したくなるかもしれませんが、それを習慣にしてください。そして、あなたがミクスチャーを完全にリッチしたものと私は期待しています(巡航時にリーンにしましたよね?)。 10.4.11 今まで隠していたこと (A confession) †私は、実はあなたがしなければならない以上の作業をさせました。我々は上等なステアリングホイールとしてオートパイロットを使用しましたが、これはもっと多くの事ができます。私が説明しなかったいくつかのボタンがオートパイロットに備えられているとあなたは気がついたかもしれません ― NAV、APR、 そしてREV。それらのボタンを使うと、オートパイロットはこれらの事ができます:
それで実は、あなたがした作業以上のことさえ、オートパイロットですることができます。
しかしながら、私があなたにこの情報を与えなかったのには、2つの理由があります。 まず、手動で飛行することは(たとえ我々が行ってきたように自動操縦装置が優しくあなたの手を握っていたとしても)あなたに何が起こっているかの良いアイデアを提供します。 2つ目に、オートパイロットはいくつかの機能について、「こうなるべき」と公式なマニュアルが言うようには振る舞いません。うまく動くとわかっているだけ機能にとどめるのが最良です。 10.4.12 接地できなかった場合 †ILSアプローチではVFR、NDB、あるいはVORでのアプローチよりも滑走路に接近することができますが、我々は着陸するためには依然としていくらかの視程が必要です(脚注18)。従って、我々は着陸できるかどうかを決める手段が必要です。procedure plate のlanding minimumsセクションはそのためにあります(図10.11の緑色のコラムです)。“S-ILS 25R” (我々はこれです)と表示されたカテゴリで、 “597-1/2 200(200-1/2)”と書かれているのを見るでしょう。これは我々がグライドスロープを下って597 ft (滑走路から200 ft 高い)まで降りられるということです。我々は597 ft で決断しなければなりません ― もし滑走路が見えなければ、我々は進入復行を実行する必要があります。597 ft が我々の決心高度(decision height; DH)です。 このアプローチでは高度計に加えて、もう一つ我々が接近していることを指す表示器があります ― ミドルマーカー(MM)です。このマーカーは音を鳴らします ― このケースでは、トン・ツー という音が続きます ― そしてCOMM1の上の「M」と書かれた黄色いライトが点滅します。ミドルマーカー上を通過するのは、デシジョン・ハイトに達するのと同時であるべきです(脚注19)。 では、デシジョン・ハイトで滑走路が見えない場合は? あなたは思ったかもしれませんが、あなたが行き当たりばったりに着陸することはできないのと同じように、あなたは行き当たりばったりにゴーアラウンドすることもできません。 手順というものがあります。進入復行手順です。これはapproach plate のいくつかの場所で示されています(図 10.18を参照): 上にある “MISSED APPROACH”と書かれた所、平面図の滑走路末端から右に曲がる破線の矢印、そして側面図 の一連の四角で何をすべきか図示しています。我々のケースで、これら全てが我々に指示している事は:
図 10.18: 進入復行手順
ご想像のとおりホールディングパターンは、物事を整理しながら「駐機」できる場所であり、それ自身の手順及び技術のセットがありますが、ここでは触れません。なぜなら... 10.4.13 接地 †我々の理想的なシミュレータの中では、あなたはおそらく進入復行を実行しないでしょう。グライドスロープ上にいたのならば、あなたはデシジョン・ハイトで雲からポンと出たはずで、800mの視程があり、すぐに滑走路が見えたはずです。 滑走路を目視
オートパイロットを解除
ミドルマーカーを横切る
滑走路が見えた時、あなたはコースに乗るために乱暴に旋回することができ、(脚注20)(完璧にコースに乗るのは非常に難しいです) そして「正常に」着陸します(私の場合はたくさんのバウンドと悪態を伴いますが)。 飛行機を駐機し、コックピットからよろよろと出て、別のハンバーガーを食べてください!(訳注:2時間未満のショートフライトを意味するスラングに「$100 hamburger」というのがある。) 着陸
ハンバーガーを食べる
図 10.19: コース上にて、滑走路を視認。我々は生きている!
10.5 エピローグ †これは短い時間で多くの情報を伝えました、そして、むしろ厳しいILSでの飛行を紹介しました。できれば、あなたをうんざりさせる代わりに、あなたの興味をより刺激したのならいいのですが。なぜならまだたくさんのことがあるからです。これらは、私が無視したいくつかの主要な問題点です:
途中に残った未訳文節一覧 |