T-4 製作記 - Step3 フライトモデルの作成 (2)
Tat
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さて、機体作成の方が説明よりも随分と進んでしまったので、頑張って追いつきます。前回は Aeromatic を利用して機体とエンジンのとりあえずモデルを作成しました。今回は Aeromatic で作ったフライトモデルをT-4の資料を基に更新していきましょう。更新する値は胴体、翼、視点、ギア、エンジンの座標位置、空力中心、重心位置、乾燥重量などです。いきなり正確なモデルに仕上げるのは難しいので、とりあえず計測可能な物だけを更新して飛べるものにしていきます。
座標は3Dモデルのものを使用しますが、JSBSimとac3dとで座標系が異なりますので注意が必要です。x軸は共通ですがy軸とz軸が入れ替わります。また、ac3dは左側が正方向ですがJSBSimは右側が正方向となります。計算を必要とするものはネット上の計算ツールを利用します。例えば Aircraft Super Calculator(以下 ASC)等があります。
では T-4.xml ファイルのタグを順番に変更して行きましょう。
** metrics タグ
翼の寸法や面積、空力中心や視点を設定するタグの集合です。metrics タグに内包されるタグにはそれぞれ単位が指定されています。例えば <chord unit="FT"> 7.87 </chord> は平均翼弦長を フィート単位で指定することとなります。では内包するタグを順に説明して行きます。寸法や面積は資料から参照しますが、無ければ ac3d を用いて測ります。
*** wingarea タグ
主翼の面積を指定します。T-4 の場合 226.05平方フィート(21平方メートル)です。翼面積の資料が無い場合は ASC で求めるか、ac3d から [Surface Area] -> [Calculate Surface Area] で翼の表面積を求め、それを半分にした値を平方フィーとで記述します。(ac3d で求めたのは表面積ですので、翼面積の倍となります)。水平尾翼、垂直尾翼の面積も同様です。なお、ASC を利用する場合、Desired Static Margin はとりあえず 10 にしておきます。
*** wingspan タグ
主翼の幅(左右の翼端間の距離)を指定します。T-4 の場合は 32.61フィート(9.9メートル)です。
*** wing_incidence タグ
主翼の取り付け角度を指定します。T-4 の場合は 2°です。
*** htailarea, vtailarea タグ
水平尾翼、垂直尾翼の翼面積をそれぞれ平方フィートで指定します。水平尾翼は ac3d で Root Chord(翼根弦長) と Tip Chord(翼端弦長)を計測しCGC ツールにより計算した所 61.40 となりました。垂直尾翼面積は ASC では計算できないので、ac3d で求めた表面積の半分の値 52.50 に変更しました。
*** htailarm, vtailarm タグ
主翼の空力中心から水平尾翼の空力中心までの距離です。水平尾翼は ASC で簡単に求められます。垂直尾翼の場合、上下対象ではないので中心線がありません。そこで胴体の中心を通る線を中心線と見立てて、ac3d で計測し、ASC の水平尾翼の欄に値を書き込んで求めます。
*** location タグ
機体の基準点となる座標を3Dモデルの中心からのオフセットとしてインチで記述します。JSBSim の場合は相対的な位置関係が判ればいいので、ac3d で計測した座標を用います。metrics タグ内では以下の3つ座業を指定します。
- AERORP: ASC で求めた主翼の空力中心位置を指定します。主翼の前縁の延長戦と機体の中心線との交点(root LE)から ASC の Wing Aerodynamic Center aft of root LE が示す値だけ後方になります。T-4 の場合は root LE の座標が (-1.37, 0.0, 0.32) で(単位はメートル)、Wing Aerodynamic Center aft of root が 1.85m なので 中心座標から 0.52m (20.47インチ) 後方となります。
- EYEPOINT: パイロットの視点位置を3Dモデルから求めます。なお、この値を設定してもフライトギアの3Dコクピットが表示されるわけではありません。機体の設定ファイル(T-4-set.xml)に記述してください。
- VRP: 胴体の先端座標を指定します。
** mass_balance タグ
その名の通り重量バランスを記述するタグの集合です。以下に内包するタグについて説明します。
*** ixx, iyy, izz, ixy, iyz, izx タグ
機体の慣性モーメントです。重量分布が判らないと正確には計算できないので、とりあえずそのままにしておいて構いません。元々の emtpy-weight が実際の値よりも大きい場合は各値を少し小さめに設定しておくと良いでしょう。:-p
*** empty-weight タグ
Aeromatic は 最大離陸重量から乾燥重量を推測しますので修正が必要です。集めた仕様に書かれた乾燥重量をポンドで記述します。T-4の場合 8,536 ポンドになります。
*** location タグ
機体の基準点をインチで記述します。mass_balance タグ内では重心位置のみを指定します。
- CG: 重心座標です。rootLE から ASC の Ideal CG aft of root LEだけ後方の座標となります。但し、実際の重心位置はここでは無いかもしれません。テストフライトで調整するとします。
*** pointmass タグ
パイロットやバラストウェイト、装備などの重量を指定します。T-4 のパイロット重量は以下のように指定しました。
<pointmass name="Pilot">
<weight unit="LBS"> 180 </weight>
<location name="POINTMASS" unit="IN">
<x> -108.6 </x>
<y> 0 </y>
<z> 12 </z>
</location>
</pointmass>
(つづく)
座標は3Dモデルのものを使用しますが、JSBSimとac3dとで座標系が異なりますので注意が必要です。x軸は共通ですがy軸とz軸が入れ替わります。また、ac3dは左側が正方向ですがJSBSimは右側が正方向となります。計算を必要とするものはネット上の計算ツールを利用します。例えば Aircraft Super Calculator(以下 ASC)等があります。
では T-4.xml ファイルのタグを順番に変更して行きましょう。
** metrics タグ
翼の寸法や面積、空力中心や視点を設定するタグの集合です。metrics タグに内包されるタグにはそれぞれ単位が指定されています。例えば <chord unit="FT"> 7.87 </chord> は平均翼弦長を フィート単位で指定することとなります。では内包するタグを順に説明して行きます。寸法や面積は資料から参照しますが、無ければ ac3d を用いて測ります。
*** wingarea タグ
主翼の面積を指定します。T-4 の場合 226.05平方フィート(21平方メートル)です。翼面積の資料が無い場合は ASC で求めるか、ac3d から [Surface Area] -> [Calculate Surface Area] で翼の表面積を求め、それを半分にした値を平方フィーとで記述します。(ac3d で求めたのは表面積ですので、翼面積の倍となります)。水平尾翼、垂直尾翼の面積も同様です。なお、ASC を利用する場合、Desired Static Margin はとりあえず 10 にしておきます。
*** wingspan タグ
主翼の幅(左右の翼端間の距離)を指定します。T-4 の場合は 32.61フィート(9.9メートル)です。
*** wing_incidence タグ
主翼の取り付け角度を指定します。T-4 の場合は 2°です。
*** htailarea, vtailarea タグ
水平尾翼、垂直尾翼の翼面積をそれぞれ平方フィートで指定します。水平尾翼は ac3d で Root Chord(翼根弦長) と Tip Chord(翼端弦長)を計測しCGC ツールにより計算した所 61.40 となりました。垂直尾翼面積は ASC では計算できないので、ac3d で求めた表面積の半分の値 52.50 に変更しました。
*** htailarm, vtailarm タグ
主翼の空力中心から水平尾翼の空力中心までの距離です。水平尾翼は ASC で簡単に求められます。垂直尾翼の場合、上下対象ではないので中心線がありません。そこで胴体の中心を通る線を中心線と見立てて、ac3d で計測し、ASC の水平尾翼の欄に値を書き込んで求めます。
*** location タグ
機体の基準点となる座標を3Dモデルの中心からのオフセットとしてインチで記述します。JSBSim の場合は相対的な位置関係が判ればいいので、ac3d で計測した座標を用います。metrics タグ内では以下の3つ座業を指定します。
- AERORP: ASC で求めた主翼の空力中心位置を指定します。主翼の前縁の延長戦と機体の中心線との交点(root LE)から ASC の Wing Aerodynamic Center aft of root LE が示す値だけ後方になります。T-4 の場合は root LE の座標が (-1.37, 0.0, 0.32) で(単位はメートル)、Wing Aerodynamic Center aft of root が 1.85m なので 中心座標から 0.52m (20.47インチ) 後方となります。
- EYEPOINT: パイロットの視点位置を3Dモデルから求めます。なお、この値を設定してもフライトギアの3Dコクピットが表示されるわけではありません。機体の設定ファイル(T-4-set.xml)に記述してください。
- VRP: 胴体の先端座標を指定します。
** mass_balance タグ
その名の通り重量バランスを記述するタグの集合です。以下に内包するタグについて説明します。
*** ixx, iyy, izz, ixy, iyz, izx タグ
機体の慣性モーメントです。重量分布が判らないと正確には計算できないので、とりあえずそのままにしておいて構いません。元々の emtpy-weight が実際の値よりも大きい場合は各値を少し小さめに設定しておくと良いでしょう。:-p
*** empty-weight タグ
Aeromatic は 最大離陸重量から乾燥重量を推測しますので修正が必要です。集めた仕様に書かれた乾燥重量をポンドで記述します。T-4の場合 8,536 ポンドになります。
*** location タグ
機体の基準点をインチで記述します。mass_balance タグ内では重心位置のみを指定します。
- CG: 重心座標です。rootLE から ASC の Ideal CG aft of root LEだけ後方の座標となります。但し、実際の重心位置はここでは無いかもしれません。テストフライトで調整するとします。
*** pointmass タグ
パイロットやバラストウェイト、装備などの重量を指定します。T-4 のパイロット重量は以下のように指定しました。
<pointmass name="Pilot">
<weight unit="LBS"> 180 </weight>
<location name="POINTMASS" unit="IN">
<x> -108.6 </x>
<y> 0 </y>
<z> 12 </z>
</location>
</pointmass>
(つづく)
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T-4 製作記
(Tat, 2007-12-18 1:21)
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T-4 製作記 - 機体パッケージについて
(Tat, 2007-12-18 8:39)
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T-4 製作記 - 作業手順
(Tat, 2007-12-18 21:15)
-
T-4 製作記 - Step1: 資料収集
(Tat, 2007-12-18 22:19)
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T-4 製作記 - Step2: ラフな3Dモデル作成
(Tat, 2007-12-20 12:37)
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T-4 製作記 - Step3: フライトモデルの作成 (1)
(Tat, 2007-12-20 23:17)
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T-4 製作記 - メリークリスマス
(Tat, 2007-12-24 16:27)
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(Tat, 2007-12-27 1:51)
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Re: T-4 製作記 Step4: 機体設定ファイル作成
(Tat, 2007-12-29 1:50)
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T-4 製作記 Step5: テストフライト
(Tat, 2008-1-10 19:34)
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T-4 製作記 Step6: 詳細な3Dモデルの制作 (その1)
(Tat, 2008-1-30 1:48)
- T-4 製作記 Step6: 詳細な3Dモデルの制作 (その2) (Tat, 2008-2-1 1:23)
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(hide, 2008-6-27 11:42)
- Re: フライトモデルの修正 (sambar, 2008-7-25 1:22)
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- Re: T-4 製作記 (Hyde, 2012-7-22 11:18)
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Re: T-4 製作記
(Tat, 2012-7-22 10:47)
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Re: T-4 製作記
(Hyde, 2012-7-21 22:21)
- Re: T-4 製作記 (kozenigata, 2012-7-31 21:56)
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T-4 製作記 - 機体パッケージについて
(Tat, 2007-12-18 8:39)