FrontPage > 翻訳作業場 > FlightGearフライトスクール / 第I部 / 第2章 The FlightGear Flight School Version 0.0.3
第2章 基礎 †2.1 FlightGearの基本 †2.1.1 インストールと始動 †ビルド済みバイナリ、またはソースコード(コンパイルが必要)からのFlightGearのインストールは、Getting-Started- Manual(訳注: 現在はThe FlightGear Manual(邦訳: FlightGearマニュアル)に統合)の中でしっかりと文書化されています。 FlightGearには、航空機をメニューから選択する仕組みが存在しないので、シェルからプログラムを起動するのがベストでしょう(訳注: いくつかのOSでは起動用プログラムを利用できます)。 これによりユーザは、FlightGearに対する様々なオプション設定を飛ばすことが出来ます。 これらのオプションについては必要に応じて後の章で説明します。 単純にマニュアルに従ってFlightGearを起動してください。 FlightGear開始時の画面
注1:MS Windows:スタートメニュー→全てのプログラム→FlightGear0.9.10→FlightGear Launcher 2.1.2 概要 †プログラムを始動したとき、あなたはコックピットの中に座っているでしょう。デフォルトではセスナ172(2D)です。 あなたの正面に、全て違った計器、スイッチ、それとノブが見えるでしょう。 あなたは外を見ると、サンフランシスコ国際空港(ICAOコード:KSFO)が見えるでしょう。 shiftキーと数字のキーを同時に押すと以下の表に書かれている通り、いろいろな方向を見ることが出来ます。
(NumLockオフの時に有効) (訳注:表の形式をより視覚的に分かりやすいように変えてみた。別のキーの組み合わせもあるので、「訳)FlightGearショートリファレンス」を参照してください。) あなたはしばしば、エンジン音をちょっと邪魔に感じるかもしれません。
「p」キーを押してシミュレーションをポーズするか、「??」を押して(訳注:訳者環境では何も起こらなかった)プログラムの出す音をミュートにしてください。 2.2 航空力学 †離陸時の重量が400トンを超えるボーイング社の747のような重い飛行機が、どうして飛ぶことができるのか、不思議に思ったことはありませんか?ちょっと見ただけでは、そのように感じるでしょう。しかし、航空力学と物理学を紐解いてみれば、どのような力によって航空機が空中に支えられているかが、明らかになることでしょう。 2.2.1 空気 †我々がその中を飛行していく物質について名前をつけよう。空気です!
これは、まったく当たり前に聞こえるかもしれませんが(事実そうなのですが)、あらゆる飛行において不可欠です。
第13章で天気に関する詳細について議論するでしょう。 2.2.2 4つの力 †基本的に、飛行で飛行機に作用する4つの力があります:揚力、重力、推力、そして空気抵抗です。 それらのうち、揚力と重力、推力と空気抵抗はお互い反対方向に働いています。正常な水平飛行をしているとき、推力=空気抵抗、揚力=重力となる。(訳注:原文を直訳すると「〜これらの4つの力が釣り合っている」ですが,勘違いするのを防ぐために表現を変更) これは、上昇も下降もせず、加速も減速もしていないということを意味しています。 飛行機に働く4つの力
主翼と空気流、そして揚力
この、空気の流れを下に曲げた反作用と、翼の圧力差の合計が結果として揚力となります。この揚力は通常翼の上に向かって働きます。 この力は迎え角、翼型、対気速度、翼の形状、翼面積、空気密度などの幾つかの要因に依存しています。 (訳注:もともとの文書に正確でない表現があったため、秀和システム「図解入門 よくわかる航空力学の基本―飛行機はなぜ飛ぶのか?演習問題付き (第2版)」 ISBN 978-4-7980-2449-3 を参考に本項目を書き直した)
2.3 飛行機 †飛行機のサイズによらず、大体のレイアウトは、小型のセスナもコンコルドも同じです。 2.3.1 一般的セットアップ †通常、飛行機はボディーと呼ばれる、チューブ状の構造物からなります。(訳注:それに主翼や尾翼、エンジン、降着装置を艤装する) ボディーには操縦室、客室、貨物室、電装品などのスペースが与えられています。 セットアップ済みの飛行機
翼(主翼)、着陸装置、そして尾部を搭載した胴体。 大抵の(小型の)飛行機は主翼の配置によって分けられます: 異なるタイプの主翼の配置
翼は燃料タンク、フラップ(低速時には揚力を増加させるが、高速時には抵抗となるので格納する)、スポイラー(降下時や着陸後の制動時に揚力を減らす)、エルロン(補助翼:左右のロールを調整する)が含まれています。 尾部はボディーの後部に装備されます。尾部の内容はエレベータ(昇降舵)とラダー(方向舵:機首の向きを変える)です。通常エレベーターはボディーの側面、ラダーはその上に装着されます。 この他には、T形尾翼はエレベーターがラダーの上に取り付けられ、V形尾翼はエレベーターとラダーを兼ねた翼が対角線上に2枚付いているものがあります。 図:異なったタイプの尾部
翼あるいはボディの下では、降着装置(訳注:ギア、或いは脚と呼ばれることが多い。陸上機なら通常車輪だが、雪上仕様の飛行機はソリが装備されていることがある。また、水上機ならフロート。) を見つけることが出来ます。高度な航空機には、空気抗力を減少させる格納式の降着装置があります。 大部分の飛行機は、前の方に一つのギア(nose gear)と中央部に数個のギア(main gear)を持っています。地上走行速度以下では、飛行機は前部ギアによって旋回します。(訳者追記:車の前輪でカーブを曲がるのと同様。) 幾つかの、小さな飛行機は尾部の下に一つのギア;(翻訳自信なし)が取り付けられています。(訳注:尾輪という。前2輪、後ろ1輪の3輪。Piper J3 Cubなど尾輪を装備した方式を尾輪式という。) エンジンはボディーの前部、または翼に取り付けられる事が多いです。(訳注:A-10など、左記とは違う場所にエンジンが取り付けられる機種もあるため、訳者による表現の変更を行った。) 2.3.2 コントロール †私たちは航空力学について少し詳しくなったので、何によって飛行機が飛ぶのかを知っています。しかし、どうそれをコントロールすれば良いのでしょうか? このセクションで、飛行機の基本的なコントロールについて議論します。それらの仕組みが空気中でどのように働いているかは、後の章において見ることが出来ます。 飛行機が移動できるのは3次元空間の中なので、その動きには上下、左右、前後の6つの基本的な向きがあります。 操縦棹を後ろに引くと飛行機は上に、前に押すと下に動きます。これは尾翼に取り付けられたエレベーターを動かします。例えば、エレベーターの(後ろの)端が上向きに動くと、飛行機の後ろは揚力によって下向きに押されます。
尾部が下がると、飛行機は(後述の左右軸を中心に)回転し、飛行機と空気流の間の角度(迎え角:Angle of Attack,AOA)が増加します。それにより飛行機は上昇を始めますが、それは非常に少しの間のみです。その後、飛行機は速度を失います。(訳注:「Then the plane will lose speed.」の誤記だと思われる。原文:Than the plane will loose speed.) セットアップ済みの飛行機
主翼の翼端にエルロンがあるのが見えるでしょう。 小さな飛行機では、ペダルは地上でターンするのにも使われます。大きな飛行機では、独立したハンドル(ティラー)によって前車輪の操向を行います。(訳注:http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p128.html#01も参照。) 2.4 コックピットレイアウト総合 †ほとんどの飛行機は、外側のレイアウトがよく似ているのと同様に、コックピットもよく似ています。 また、大きな飛行機は少なくとも2人の「パイロット」が乗務します:機長(captain,左側席)と副操縦士(the 1st officer,右側席)です。 セスナC172の様な小さな飛行機の場合、機器の大半は左席の正面に置かれ、右側の席には操縦桿しかありません。 しかし、コックピットは狭いため、右側席の人は全ての機器を眺めることが出来ます。 より大きな飛行機には、主計器パネル以外の物があります。メインエンジンの制御が主にセンターコンソールに置かれ、電気機器はしばしばオーバーヘッドパネルか、機長と副操縦士の席の横の側面パネルで見つけられます。 2.4.1 計器 †パイロット前方に、最も重要な計器があるのが見つけられるでしょう。これらの計器を詳しく見る前に、私たちはこれらが作動する方法について短く見ていくつもりです。
これらの計器は2種類の違うタイプに分けることが出来ます:圧力で作動する計器とジャイロスコープによって作動する計器です。
高度計、昇降計、そして対気速度計は圧力によって作動し、ディレクショナル・ジャイロ(定針儀、いわゆるコンパス)や姿勢ジャイロがジャイロスコープで作動する計器です。 圧力計器 圧力差による計器の動き
このシステムの利点は電源など、「空気圧以外のもの」から独立していることです。 大きな欠点は、これらの器具は空気圧に依存していることです。(空気圧は決して一定ではありません) ジャイロ計器(翻訳自信なし) ジャイロの軸に働く力と、それに反応して発生する力
ジャイロスコープ計器は電気、あるいは真空ポンプによって駆動されます。これは常に電力、あるいはエンジンの駆動が必要が必要なことを意味しています。 高度計 高度計は、海面からの気圧高度を得るために使用されます。
実際には、それは直接高度を測るのではなく、飛行機の外の気圧を測ります。高度が高くなると気圧が下がるので、気圧の差を高さの差と見なすことが出来ます。
高さはフィート(feet,ft)の単位でで測定されます。
この高度計の場合、目盛りは20フィートごとに付されていて、100フィートごとに数字が付されています。
短い針は1000フィートの位を、長い針は100フィートの位を指示しています。
高度計の右側上部の小さい窓に、現在設定されている気圧が表示されています。
現地の(海面高度、もしくは地上での高度を0になるように)大気圧に合わせて設定するには、計器左下の小さいノブで調整します。
(訳注:海面からの気圧高度を0とする方式をQNHセッティングという。また、地上で気圧高度計が0になるセッティング方式をQFEセッティングという。- 参考文献:http://www.jal.co.jp/jiten/index.html)
基準は29.92inHg、もしくは1013hPaです。(訳注:この方式をQNEセッティングと呼ぶ。14,000ft以上での巡航時にはこの方式を使用する。それ以下ではそのエリアのQNH。) 昇降計(垂直速度計) 昇降計は、飛行機の実際の昇降状況を示します。単位は、フィート毎分です。 (訳注:原著では「Attitude Gyro」となっていたが、内容・図が昇降計のものだった。) 対気速度計(参考文献:http://howtofly.netfirms.com/ および http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p267.html#02) 飛行の間、常に飛行機の速度を知ることは重要です。それを示す計器が、対気速度計です。 しかし、速度計のような'簡単な'器具さえアビオニクス(avionics、aviation+electronicsの合成語で航空用電子工学のことである。)でさえ分かりにくいです。 車の速度計の場合、非常に単純に実際の速度を計ります。車軸の回転数とタイヤの円周の長さから簡単な計算をして、大体の速度を得ています。 しかし、航空機ではどうやって速度を得るのでしょうか?まず、人は飛行機の「異なった速度」を区別しなければなりません。 「異なった速度」?それはどのようにすれば可能ですか?確実なのは、「飛行機は「ある速度」で飛ぶことが出来る」ということです。 しかし、航空には速度を測定するいくつかの方法があります。
対地速度は、車の速度と非常によく似ています。2点間の距離を所要時間で割ってください。航空では、速度はノット(knot,kt)で計測されます。(1ノット=毎時1海里(1海里=1nmとも書かれます。)) 速度計が表示するのは指示対気速度です。(その名前が示すとおりです!!))当然、この計測システムは誤差を含みます、配管でのロス等のため、指示対気速度は実際の対気速度ではありません。 それらの誤差の補正を行って得た速度が較正対気速度(CAS、米国)、または修正対気速度(RAS、英国)です。 これらの較正された対気速度は航空機に対する速度の規定(離着陸速度など)に使用されます。 飛行機のマニュアルにIASとCASの差が書かれています。誤差が極めて小さいとき、したがって大部分で誤差を無視できます。 低速で高迎え角で飛ぶ状況に限って、誤差は10〜20%に達しているかもしれません。 しばしば、速度の表現ではしばしば頭に'K'がついています。(例:IAS→KIAS) これは、速度がノット(knot)であることを強調しているだけです。 対気速度計は圧力で働く器具です。そして、計器が示す対気速度は空気密度に依存します。 したがって、残念ながら海面高度(MSL;Mean Sea Level)でだけCASはTASと等しくなります。 高度が高くなるに従って大気密度は低くなるため、CASとTASの差は大きくなります。 誤差は、1000フィートにつき2%づつ増えていきます。従って、4000フィートでは、誤差は8%になります。 このとき、IASで120ノットで飛んでいれば、それは真対気速度で130ノットであることを意味します。 対気速度計
対気速度計の目盛りは、白、緑、黄色の範囲と、赤い線で示されています。これらの色分けは、いくつかの操作が出来る速度を指示しています。
2.4.2 オーバーヘッドパネル †セスナC172よりも大きな航空機にはオーバーヘッドパネルがあります。飛行機によってはこのパネルで電装品、照明、空調またはエンジン制御のためのスイッチを見つけるでしょう。 2.4.3 センターコンソール †センターコンソールでは通常、エンジンやトリムの調整の操作部を見つけることが出来るでしょう。また、オートパイロットや無線機等もここに位置しているでしょう。 2.4.4 ラジオスタック †通常、無線、トランスポンダー(訳注:管制塔などにスコークナンバーを送ったりする機器)と航法装置(含むGPS)のようなすべてのコミュニケーション器具は、同じ場所にあります。 編集メモ
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