機体データの作成
Tatさんの書かれた、フライトモデル解説を元にこちらにまとめてみました。
そのため、基本的にA6M2を題材に解説していきます。
<airplane> †
フライトモデル全てを包含するトップレベルのタグです。
- 属性
- mass: 燃料が入っていないときの重量をポンド(lbs)で指定してください。
- 使用例と解説
<airplane mass="3704">
<!-- ここに他のタグが全て列挙される -->
</airplane>
mass="3704" は airplane タグの属性であり、機体の総重量から燃料分を差し引いた値(あるいは乾燥重量)を米ポンド(Lb)で記述します。A6M2 は1680 kg なので 3704 lb になります。ちなみに1kg は約2.2046 lb です。A6M2 の場合、総重量は6,164lb ですが、これだととてももっさりな挙動になります。またフライトギア上の機体には武器も予備タンクもありませんから、乾燥重量としています。
<approach>タグ †
着陸時(アプローチ時)の機体の飛行パラメタを記述します。Yasim は JSBSim とは異なり、飛行特性を推定するために必要な航空力学上の詳細な係数を記述する必要がありません(従って比較的簡単にフライトモデルが記述できます)。このため、アプローチ時及び最高速時の機体の速度等様々なパラメタから、数百回のシミュレーションを行った上で飛行特性を推定します。
- 属性
- speed:真対気速度をノットで指定します。
- aoa:迎え角を指定します。
- fuel:燃料タンク内の燃料の量を0から1の間で指定します。デフォルト値は0.2です。
- 使用例と解説
approach タグでは、アプローチ時の速度、迎え角、燃料の量(着陸重量に影響する)を属性として持っていて、<control>タグで空燃費、スロットル位置、プロペラピッチ等のパラメタを記述します。以下に A6M2 の例を示します。
<approach speed="60" aoa="9">
<control-setting axis="/controls/engines/engine[0]/throttle" value="0.30"/>
<control-setting axis="/controls/engines/engine[0]/mixture" value="0.55"/>
<control-setting axis="/controls/engines/engine[0]/propeller-pitch" value="0.6"/>
<control-setting axis="/controls/engines/engine[0]/boost" value="0.0"/>
<control-setting axis="/controls/flight/flaps" value="1.0"/>
<control-setting axis="/controls/gear/gear-down" value="1"/>
</approach>
approach タグの属性として speed (60ノット), aoa (Angle of Attack: 迎え角) 9度を指定しています。アプローチ時の速度はストール速度、またはそれより若干速めに設定します。タグ内では、制御可能な操作機器の状態を記述します。 1.0は全開であることを、0.0 は全閉であることを示します。A6M2 ではそれぞれ以下の意味になります。
- スロットル 30%
- 空燃費 55%
- プロペラピッチ 60% (100% でピッチ角最大)
- 過給機 0%
- フラップ 100% (一番下に下ろしている)
- ランディングギア 100% (ギアが降りている)
これらのパラメターを記述する際には、資料に記述された正確な値にこだわる必要はありません。ある程度の値を設定しておき、着陸時のストール直前の速度や最高速が資料等に記述されたものと一致するように調整すると良いでしょう。