[[FrontPage]] > [[FlightGearマニュアル]] / 第5章
RIGHT:The FlightGear Manual Version 1.0
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このドキュメントは http://www.flightgear.org/Docs/getstart/getstartch5.html の日本語訳です。
#contents

*第5章&br; 機能 [#v0c5a12d]

FlightGearには様々な機能が含まれていますが、新しいユーザには明白ではないものがいくつかあります。
この章では、より先進的ないくつかの機能を有効にして使用する方法を記します。

多くの機能は絶えず開発中であるため、ここにある情報は完全に最新のものであるとは限りません。
ごく最近の情報(と新しい機能)に関しては、FlightGear Wikiをご覧ください。
> http://wiki.flightgear.org


**5.1 航空母艦 [#o982d580]

FlightGearは、(サンフランシスコ近傍に位置する) Nimitz と Eisenhower に対する空母オペレーションをサポートしています。
動くカタパルトやアレスター・ワイヤー、エレベーター、TACAN、FLOLS(フレネルレンズ光学着艦システム)が空母に装備されており、YASim FDM を用いた航空機(特に Seahawk、Seafire、A4F)に対して現在は機能します。

空母を有効にするには、$FG_ROOT にあるお手元の preferences.xml ファイルをテキストエディタ(例えばWindowsならメモ帳)を使って編集する必要があります。
「nimitz」という単語を検索すると、以下のような箇所が見つかるでしょう。
 <!--<scenario>nimitz_demo</scenario>-->

これを、次のようにしてコメントマークを外してください。
 <scenario>nimitz_demo</scenario>
> (''訳注:'' v1.0.0 ではデフォルトでコメントが外してあるため、編集は不要です。)

またその上の、AIを有効にするよう指示する行が「true」に設定されていることを確認してください。

ファイルをセーブし、テキストエディタを終了してください。


***5.1.1 空母上での起動 [#s478fe9d]

さて、FlightGearを起動する準備が出来ました。
起動時に機体を空母上に配置するには、次のコマンドラインオプションを使います(大文字の「N」に注意)。
 --carrier=Nimitz --aircraft=seahawk

空母に対応したFG航空機はいくつかありますが、seahawk を使って飛び始めるのが多分一番簡単です。

もし、FGを起動する際にWindowsまたはOS Xのランチャーを使っているのでしたら、コマンドラインオプションを指定するテキスト入力ボックスをGUIの中で探し出し、上記のオプションをそこに追加してください。
LinuxまたはCygwinのユーザは、通常の起動コマンドに単に追加するだけです。
 fgfs --carrier=Nimitz --aircraft=seahawk

「Nimitz」の中の「N」は大文字であることに注意してください。


***5.1.2 カタパルトからの発射 [#va2b24e8]

FlightGearを起動したら、パーキングブレーキがオフであることを確認し、Lキーを押し続けてローンチバーを連動させてください。
ローンチバーが正しく作動するまでLキーを押しっぱなしにしておく必要があります。
すると、カタパルトと一直線上に航空機が引っ張られ、ストラップが現れて航空機を押さえつけるのが見えるでしょう。
こうなるのは、カタパルト上の適切なスポットのごく近くに航空機がいる場合だけです。デフォルトの駐機位置に対するおよその目安は、甲板展望窓(deck observation bubble)とseahawkの機首がおおむね並んだ状態です。
> ''訳注:'' 「甲板展望窓」とは、Nimitzの甲板前方の、赤い車の前あたりに見えるピラミッド状の窓のことです。

できるだけ発射に適した位置に空母を移動するために、「ATC/AI」メニューの「Options」を選び、「AI Carrier」セクションの「Turn into wind」をチェックします。
すると、空母が速度を上げて風上に向かって回転し、回転に伴って自然と甲板が若干傾くのに気づくでしょう。
次の段階に進む前に、この操作が完了して甲板が再び水平に戻るまで待ちましょう。
> ''訳注:'' 空母の回転動作は非常に遅く、「Turn into wind」が完了するまで10分以上を要す場合があります。
風向きを気にしない場合は、「Turn into wind」の手順を省略しても良いでしょう。toshi

カタパルトが連動したら、エンジンをフルパワーにしましょう。
ブレーキが解除され、全ての操縦装置が発射に適した位置(seahawkでは操縦桿を真後ろに引いた状態)であることを確認してください。
準備が出来たら、Cキーを押してカタパルトを放出してください。
航空機が甲板から離れて前方に放り出されます。
着陸装置(脚)を上げて、失速に注意しながらゆっくりと上昇しましょう。


***5.1.3 空母の捜索 - TACAN [#t44f7c4f]

広大な開放水面の中に空母を見つけることは実際とても難しく、視程が悪い時はなおさらです。
この仕事を援助するために、NimitzにはTACANが装備されています。
これにより、適切な装備を持つ航空機(現時点ではSeahawk)では空母に対する距離と方位を得ることが出来ます。
まず最初に、無線機のダイアログ(Ctrl-rキー または FGメニューバーの Equipment/Radio Settings を選択)で適切なTACANチャンネル(ここでは029Y)に設定する必要があります。
もし圏内ならば、DME計器は空母からの距離を示し、ADF計器(seahawkではDMEの隣)は空母の方位を指示します。
指示された機首方位に旋回してDMEの目盛盤を見ると、空母に近づきつつあることが分かることでしょう。


***5.1.4 空母への着艦 [#u8f80107]
現実世界と同様に、これがオペレーションのもっとも難しい部分です。
ここでは、Andy Ross氏によるA4 Skyhawkのオペレーションに関するチュートリアルが有用でしょう。

http://wiki.flightgear.org/flightgear_wiki/index.php?title=A-4F_Skyhawk_Operations_Manual

基本的には、TACANを使用して空母を見つけ、甲板の後方にぴったり合わせます。
甲板のこの部分は船の進路に対してある角度をなしているので、頻繁に位置を修正する必要があるかもしれません。
航空機がアプローチ用に正しく設定されていること(Help/Aircraft Helpメニューに航空機に対する有用なデータがあります)、ギアとアレスター・フックを降ろしてあることを確認してください。

アプローチに入ると、甲板の左側に、フレネルレンズ光学着艦システム(FLOLS)と呼ばれる明るいカラーライトの装置が見えます。
これは、着艦時のグライドスロープ(進入角)に対するあなたの位置を示します。
横一列の緑色のライトが見えるでしょう。
グライドスロープに大体乗っている時は、緑色のライトのおおむね一直線上にオレンジ色のライト(一部の人たちは「ミートボール」と呼んでいます)が見えます。
正確にアプローチしている時は、緑色のライトのぴったり一直線上にミートボールが見えます。
高度が高いとミートボールは上に、低いと下に見えます。
もし高度が低すぎると、ミートボールは赤色に変わります。
ミートボールが一列に並ぶように保持して飛行すれば、第3ワイヤーを捕まえることができるはずです。

空母への着艦はしばしば「コントロールされた墜落(controlled crashes)」と言われます。
通常の着陸時に行うような、フレア(機首をあげる操作)をして航空機を甲板に優しく置く試みに時間を費やすべきではありません。
肝心なことは、ワイヤーを確実に捕らえられるようになることです。

ワイヤーを捕らえ損ねて「ゴーアラウンド(着陸復航)」する場合に備えて、車輪が甲板に接触したら直ちにスロットルを開いてフルパワーにしてください。
ワイヤーを捕らえた場合、たとえフルパワーであってもワイヤーは航空機を拘束します。

その後、もしお望みなら、ATC/AIメニューからエレベータを上昇させ、どれかのエレベータ上に走行し、エレベータを下げ(メニュのボックスのチェックを外す)、格納庫に収納してください。

簡単に習得できる操縦ではありませんので、もし1回目で成功しなくてもがっかりしないでください。
少し練習した後にSeahawkでは簡単すぎると思ったら、より難しいSeafireに挑戦してみてください!


**5.2 Atlas [#zfc5b538]

AtlasはFlightGear用の「動く地図」アプリケーションです。
機体に連動した地形を、空港や航法援助施設、無線周波数とともに表示します。

さらに詳しくは、Atlasのウェブサイトをご覧ください。
> http://atlas.sourceforge.net
> ''訳注:'' 日本語のオリジナル文書「[[ナビゲーションツールAtlasの設定方法]]」もご参照ください。toshi


**5.3 マルチプレーヤー [#n605c932]

> ''訳注:'' 日本語のオリジナル文書「[[マルチプレーヤー設定]]」もご参照ください。toshi

FlightGearは多人数プレイ環境をサポートしており、他のフライトシム参加者と一緒に空を共有することができます。
サーバの詳細及びオンラインのユーザ(がどこを飛んでいるか)を見るには、次の素晴らしいマルチプレーヤー・マップをご覧ください。
> http://mpmap02.flightgear.org

マルチプレーヤー・サーバの一覧を見るには、「server」タブをクリックしてください。
執筆時点では2つのグループがあり、1つはFlightGear公式リリース用、もう1つは進行中の開発ストリーム(CVS)のためのものです。
サーバは各グループ内で接続されています。


***5.3.1 クイックスタート [#m7214058]

サーバに接続するには、もっとも近くにある適切なサーバの名前(通常は mpserver0?.flightgear.org )とポート番号(通常は5000)を書きとめて、以下のようにしてFlightGearを起動してください。

◎ &aname(quick1){''FlightGearランチャーを使う''};

FlightGearランチャーの最後の画面にマルチプレーヤー(Multiplayer)に関するセクションがあります。

単純にチェックボックスを選択し、上記でメモしたホスト名(Hostname)とポート番号(inとout)を入力し、自分自身を特定するコールサイン(Callsign)を決めてください。
コールサインは最長で7文字です。
また、他の機体を見るためには、Featuresの下にあるAI modelsにチェックする必要があります。

◎ &aname(quick2){''コマンドラインを使う''};

マルチプレーヤーでfgfsに渡す基本的な引数は以下のとおりです。
 --multiplay=out,10,<server>,<portnumber>  
 --multiplay=in,10,<client>,<portnumber>  
 --callsign=<anything>
 --enable-ai-models

ここで、
+ <portnumber>はサーバのポート番号です(例: 5000)。
+ <server>はマルチプレーヤー・サーバの名前です(例: mpserver01.flightgear.org)。
+ <client>はあなたのコンピュータの名前、またはFGがサーバに接続する際に使用するネットワーク・インタフェースのIPアドレスです。たとえ192.168といったローカルなアドレスであっても、それを使います(例: 192.168.0.1)。
+ <callsign>は自分自身を識別するためのコールサインで、7文字以内です(例: N-FGFS)。

シミュレータを起動すると、マップ上に自分自身が表示されるのが見えるはずです。
もしそうならなければ、コンソール画面でエラーメッセージをチェックし、次のトラブルシューティングの項をご覧ください。


***5.3.2 トラブルシューティング [#j985fdcf]

> ''訳注:'' 基本的には上記の設定だけでうまく動くはずですが、それでも動かない場合は以下をお読みください。toshi

マルチプレーヤー機能を動作させるためには、コンピュータのIPアドレスについての情報が必要であり、またサーバと通信可能である必要があります。
以下で説明するように、情報を得る方法は環境によって異なます。

◎ &aname(trouble1){''USBモデムでインターネットに接続している方''};

まず最初に、FGマルチプレーヤーで使おうとしているネットワークインターフェースのIPアドレスを知る必要があります。
あなたのコンピュータが、直接USBで接続されたADSLモデムを経由してインターネットに接続しているのであれば、http://www.whatismyip.com に行くとあなたのIPアドレスを見ることができます。
このアドレスはしょっちゅう変わるかもしれないことに注意してください。
マルチプレーヤーが動かない場合は、最初にこれをチェックしてください。

◎ &aname(trouble2){''何らかのイーサネットルータでインターネットに接続している方''};

前項に当てはまらなければ、
RJ-45、「イーサネット」コネクタ(欧米の大半の電話のプラグに似た形状)、あるいはワイヤレスリンクであなたのコンピュータに接続された何らかのルータを経由してインターネットに接続していると思われます。
あなたは、そのマシンのネットワークインターフェースのIPアドレスを見つける必要があります。

linuxでは、rootでログインして"ifconfig"と入力すると分かります。
1つ以上のインターフェースのリストが現れますが、"lo"で始まるものは無視します。
"eth0"とか"wlan0"のようなものがリストにあるはずなので、このブロックの"inet addr"という文字を調べます。
この文字の後に、例えば"inet addr:192.168.0.150"のように、探している番号が直接書かれています。

Windows XPでは、「スタート」「ファイル名を指定して実行」をクリックして「cmd」と入力してOKを押します。
ターミナルウィンドウが表示されるので、「ipconfig」と入力して実行してください。
このコマンドはあなたのIPアドレスを表示するはずなので、それを書きとめてください。

Windows 98では、「スタート」「ファイル名を指定して実行」をクリックして「winipcfg」と入力してOKを押すと、あなたのIPアドレスに関する情報を得ることができます

◎ &aname(trouble3){''ルータの設定''};

FGサーバの最近のバージョンでは、この項は不要のはずです。
けれども、もし何か問題があるならば、以下に従っても困ることはないでしょう。

今や残されていることは、あなたが探し出したばかりのIPアドレスにUDPポート5000番をフォワード(転送)するようルータを設定することだけ(!)です。

これは、ステップバイステップで詳しく記述できるものではありません。
なぜならば、製造会社によってインターフェースの設定は大きく異なるからです。
ここではいくつかのヒントを記載しますが、もし行き詰ったら FlightGear IRC channel (詳細はFlightGearウェブサイトを参照)で上手に助けを求めてください。

あなたのルータの設定ページにログオンする方法を知っていなければなりません。
大抵はウェブブラウザからログオンします。
「ポートフォワーディング」「仮想サーバ」「フォワード規則」あるいは似たようなものに関する設定を探してください。
関係のある設定を見つけたら、ポート5000番を先ほど判明したIPアドレスにフォワードするように規則を追加する必要があります。
もし選択できるのであれば、UDPポートを転送していることを確認してください。
選択できないのであれば、TCPとUDPの両方が転送されるものと仮定して良いかもしれません。
設定を保存したら、恐らく大半のルータでは、変更を適用するためにリブートする必要があります。

(BSDユーザへの注意) ADSLモデムを使用している場合は、ファイアウォールではなくppp.conf ファイルの中にポートフォワードコマンドを設置しなくてはならないかもしれません。
これは、ファイアウォールスクリプトが、pppラインがオンラインに復帰するごとにではなく、マシンのブート時にしか実行されないことに起因します。

◎ &aname(trouble4){''FlightGearでマルチプレーヤーを開始する''};

最後に、正確なコマンドラインを使ってFGを起動してください(もしwindowsのランチャーを使っているのなら、マルチプレーヤーの引数を入力するボックスを見つけて、そこに関連する詳細を入力してください)。
最終的にはこのような感じになるでしょう(''訳注:'' 原文を一部修正 -toshi)。
 fgfs --callsign=MyName
 --multiplay=in,10,192.168.0.2,5000
 --multiplay=out,10,mpserver02.flightgear.org,5000
 --enable-ai-models

ご自身の固有のコールサインを決めてください。
現在は7文字以内に制限されています。

FGを起動した時点で、もし他に飛行しているユーザがいれば、FGを起動したターミナルに以下のようなにメッセージが表示されます。
 Initialising john51a using 'Aircraft/ufo/Models/ufo.xml'
 FGMultiplayRxMgr::ProcessRxData - Add new player. IP: 10.0.0.36,
 Call: john51a,model: Aircraft/ufo/Models/ufo.xml

マルチプレーヤー・マップは http://mpmap02.flightgear.org にあります。
今、他の人が飛行しているかどうか、そしてそれはどこかを見ることができます。

◎ &aname(trouble5){''それでもうまく動作しない場合''};

マルチプレーヤーを機能させるには、ローカルな、ルータの裏側にあるあなたのIPアドレスを与えなくてはなりません。
この点は信用してください!

お使いのファイアウォールが問題を引き起こしていないかどうかをチェックした方が良いでしょう。
ファイアウォールを「一時的に」オフにするか、ポート5000番で入ってくるコネクションを許容するように例外設定を追加してください。

それでもまだ動作しなければ、FlightGear IRC channel で上手に尋ねると、誰かが手助けできるかもしれません。


**5.4 マルチディスプレイ [#mbcc16c4]

FlightGearでは、別々にシミュレーションした視界を表示する目的で、非常に柔軟なI/Oサブシステムを通じて複数のインスタンスに同時に接続することができます。

例えば、飛行機の計器パネルを真正面の画面に表示し、一方で前方の視界を別の画面やプロジェクタを使って表示したいと思うかもしれません。

十分なハードウェアがあれば、実物大のコックピットや計器パネル、複数の視界、さらには教官が機器の障害や天候等を制御するための隔たれた制御室を使って洗練されたシミュレーション環境を作り出すことができます。
この1つの例が、747コックピットプロジェクトです。
> http://www.flightgear.org/Projects/747-JW/


*** 5.4.1 ハードウェア [#w2c0b41d]

各インスタンスはそれぞれ一つの表示をサポートできます。
FlightGearは、飛行力学モデル(FDM)と描画が複雑であるためにプロセッサの影響を受けやすいので、FlightGearの複数のインスタンスを単独のマシンで実行することは推奨しません。

従って、計器パネルを含めて、シミュレーションする表示したい視界ごとに1台のコンピュータが必要になります。
当然、コンピュータはネットワークで接続される必要があり、単純化のために同一のサブネットに置いた方が良いでしょう。

1台のコンピュータをマスターに指定します。
このコンピュータはFDMを実行し、またヨークやジョイスティック、ペダルといった制御機器と接続されます。
FDMを実行しているので、パフォーマンスを最大にするために、このマシンでは単純な視界、通常は主計器パネルのみを表示します。

他の全てのコンピュータはスレーブに指定します。
単に視界を表示する目的で使われ、そしてマスターからのFDM情報を受け取ります。


*** 5.4.2 基本構成 [#e53cdb67]

マルチディスプレイの基本構成はごく簡単に構築できます。
マスターのコンピュータは、FDMと制御情報をスレーブにブロードキャストする必要があります。
これには、次のコマンドラインオプションを使います。
 --native-fdm=socket,out,60,,5505,udp
 --native-ctrls=socket,out,60,,5506,udp

スレーブのコンピュータは情報をリッスンし、また自身のFDMのスイッチを切る必要があります。
 --native-fdm=socket,in,60,,5505,udp
 --native-ctrls=socket,in,60,,5506,udp
 --fdm=null


*** 5.4.3 高度な構成 [#ec246393]

上記のオプションリストは単純に、どのマシンでも同じ視界を表示します。
マスターとスレーブの両方のコンピュータに以下のコマンドラインオプションを設定したいと思うかもしれません。
 --enable-game-mode  (glutシステム用のフルスクリーン)
 --enable-full-screen (sdlまたはwindows用のフルスクリーン)
 --prop:/sim/menubar/visibility=false (メニューバーを隠す)
 --prop:/sim/ai/enabled=false (AI ATCを無効にする)
 --prop:/sim/ai-traffic/enabled=false (AI機を無効にする)
 --prop:/sim/rendering/bump-mapping=false

マスターコンピュータで計器パネルだけを表示するようにして使っているのであれば、飛ぼうとしている航空機用のフルスクリーン・パネルを作りたいと思うかもしれません(セスナ172用は既にあります)。
その場合は、次のオプションを使ってください。
 --prop:/sim/rendering/draw-otw=false (パネルのみを表示)
 --enable-panel

側面の視界をスレーブコンピュータで表示するには、以下のオプションを使います。
 --fov=35
 --prop:/sim/view/config/heading-offset-deg=-35
 --prop:/sim/view/config/pitch-offset-deg=3


** 5.5  記録と再生 [#cb6d20e1]
> ''訳注:'' 日本語のオリジナル文書「[[フライトデータの記録と再生]]」もご参照ください。toshi

I/Oシステムのもう一つの機能として、後で解析するために、あるいは再生するためにフライトを記録することができます。
特定のFDMの情報を記録する方法に関する技術的な詳細は、$FG_ROOT/protocol/README.protocol ファイルに書かれています。

フライトを記録するには、以下のコマンドラインオプションを使います。
 --generic=file,out,20,flight.out,playback

これは、playbackプロトコルを用いてFDMの状態を20Hz(1秒に20回)で記録し、flight.out ファイルに書き出します。

これを後で再生するには、以下のコマンドラインオプションを使います。
 --generic=file,in,20,flight.out,playback
 --fdm=external

playback.xmlプロトコルファイルには、飛行機の種類や日時といった情報は含まれていません。
従って、記録したときと同じコマンドラインオプションを使う必要があります。


** 5.6 Festivalによるテキスト読み上げ [#k9e45887]

FlightGearは、ATCメッセージとチュートリアルメッセージ用のテキスト読み上げシステム(TTS)として、Festival TTSエンジン( http://www.cstr.ed.ac.uk/projects/festival/ )をサポートしています。
Linuxのディストリビュータの多くで入手でき、またCygwin環境のWindowsシステムにも簡単にインストールできます。
執筆時点では、他のプラットフォームに対するサポートは不明です。


*** 5.6.1 Festivalシステムのインストール [#k5e6aa59]

+ http://www.cstr.ed.ac.uk/projects/festival/ からFestivalをインストールします。
+ Festivalが動作することを確認します。
Festivalは直接コンソールに入力するインターフェースを備えています。
ここでは関係のある行のみを示します。
丸括弧に注意してください!
 $ festival
 festival> (SayText "FlightGear")
 festival> (quit)
+ MBROLAがインストールされていることを確認します。もし無ければ以下からダウンロードしてください。
> http://tcts.fpms.ac.be/synthesis/mbrola/
< 「Download」の中の「MBROLA binary and voices」を見てください(リンクは下のほうにあり、見つけにくいです)。
お使いのプラットフォーム用のバイナリを選択してください。
残念なことに、ソースコードは配布されていません。
もしそれがいやならば、MBROLAのセットアップを全て省略しても構いません。
但し、よりリアルな音声を利用することはできなくなります。
音声の追加についての詳細は後述します。
MBROLAを実行し、ヘルプスクリーンで驚いてみましょう。
これは単に、mbrolaがパスに含まれており、実行可能であることをチェックするためです。
 $ mbrola -h


*** 5.6.2 音声サポート環境下でのFlightGearの実行 [#j03af9f0]

まず最初にFestivalサーバを起動します。
 $ festival --server

それでは、音声サポートを有効にしてFlightGearを起動しましょう。
/sim/sound/voices/enabled プロパティを通じて設定します。
コマンドラインは以下のようになります。
 $ fgfs --aircraft=j3cub
 --airport=KSQL
 --prop:/sim/sound/voices/enabled=true

もちろん、個人設定ファイルの中にこのオプションを入れることができます
(''訳注:'' [[3.5節>../第3章#kda0484a]] を参照)。
この設定をしたからと言って、FlightGearと一緒にいつもFestivalを使わければならないというわけではありません。
(''訳注:'' Festivalサーバを起動していない場合、)いくつかのエラーメッセージがターミナルウィンドウに表示されますが、ただそれだけです。
FlightGearの実行中に音声サブシステムを有効にすることはできません。

全てがうまく動作することを確認するために、KSFOのATCに「'キー」でコンタクトしてください。
まず最初に「自分の」音声が聞こえ(画面の上部に黄色のテキストが表示されます)、それからATCの返答が違う音声で聞こえるはずです(ライトグリーンのテキストが表示されます)。

$FG_ROOT/preferences.xml ファイルの中で音声のパラメータを編集できます。
また、$FG_ROOT/Nasal/voice.nas ファイルの中で、他のテキスト色や音声の割り当てを選択できます
(''訳注:'' 現在は、preferences.xml で音声を、$FG_ROOT/Nasal/screen.nas で画面のテキスト色を割り当てています)。
メッセージは、/sim/sound/voices/voice[*]/text プロパティにそれぞれ直接書き込まれるのではなく、/sim/sound/voices/atc,approach,ground,pilot,ai-plane といったエイリアスに書き込まれます。


*** 5.6.3 トラブルシューティング [#y6ec8b61]

いくつかのLinuxのディストリビューションでは、Festivalのアクセスが制限されて以下のようなメッセージが表示されます。
 client(1) Tue Feb 21 13:29:46 2006 :
 rejected from localhost.localdomain
 not in access list

これについては、以下に書いてあります。
> http://www.cstr.ed.ac.uk/projects/festival/manual/festival_28.html#SEC130

localhost と localhost.localdomain からのアクセス制限を無効にするには、$HOME にある .festivalrc ファイルに以下を追加してください。
 (set! server_access_list '("localhost"))  
 (set! server_access_list '("localhost.localdomain"))

あるいは単純に、アクセスリストをまとめて無効にすることもできます。
 (set! server_access_list nil)

これは、どこからでも接続を許可しますが、ファイアウォールの内側にマシーンが置かれている場合ならOKでしょう。


*** 5.6.4 音声の追加インストール [#s0ce19d0]

この作業はちょっと面倒なのではないかと思います。
もしデフォルトの音声で幸せなのでしたら、ここは省略しても構いません。
最初に、Festivalのデータディレクトリを探します。
Festivalの全データは共通のファイルツリーになっており、FlightGearに似ています。
Unix系では /usr/local/share/festival/ のようになります。
以後、このディレクトリを$FESTIVAL と呼ぶことにします。
+ 現在利用可能な音声をチェックします。
「voice_」を先頭につけてその音声をテストすることができます。
 $ festival
 festival> (print (mapcar (lambda (pair) (car pair)) voice-locations))
 (kal_diphone rab_diphone don_diphone us1_mbrola us2_mbrola us3_mbrola en1_mbrola)
 nil
 festival> (voice_us3_mbrola)  
 festival> (SayText "I've got a nice voice.")  
 festival> (quit)
+ Festivalの音声とMBROLAのラッパー(wrapper)は以下でダウンロードできます。
> http://festvox.org/packed/festival/1.95/ (1.95)
> http://festvox.org/packed/festival/1.96/ (1.96)
< 「don_diphone」はベストの音声ではありませんが、比較的サイズが小さくて「AI機」に大変都合良くできています。
この音声をインストールすると、$FESTIVAL/voices/english/don_diphone/ のようなディレクトリに置かれるはずです(''訳注:'' 環境によって異なります)。
またそのために、「festlex_OALD.tar.gz」を $FESTIVAL/dicts/oald/ にインストールして、このディレクトリ中の Makefile を実行する必要があります。
(Makefile 中のfestivalコマンド引数に「-heap 10000000」を追加しないといけない場合があります)。
+ 「us2_mbrola」「us3_mbrola」「en1_mbrola」は非常に素晴らしい音声です。
これらについては、それぞれのラッパーである「festvox_us2.tar.gz」「festvox_us3.tar.gz」「festvox_en1.tar.gz」のみならず、上述のMBROLAをインストールする必要があります。
これらのラッパーは、$FESTIVAL/voices/english/us2_mbrola/ などのディレクトリを作成します。
しかしながら、音声データは別のサイトから個別にダウンロードする必要があります。
+ MBROLAの音声は、上述のMBROLAダウンロードページからダウンロードできます。
「us2」「us3」「en1」と書かれた音声を入手したくなるでしょう。
これらの解凍先はラッパーが作成したディレクトリです。
「us2」なら $FESTIVAL/voices/english/us2_mbrola/ であり、「us3」と「en1」に対しても同様です。


** 5.7  空中給油(AAR) [#lec94742]

*** 5.7.1 可能なこと [#df1d3851]

現時点で空中給油に対応しているのは、空中給油機が2機(KC135-E、KA6-D)と、給油を受ける航空機が3機(A4F、Lightning、T38)です。
デフォルトのシーナリー領域内(''訳注:'' サンフランシスコ湾周辺)においてこれらの航空機のどれかで飛行した場合、空中TACANとレーダのいずれか、あるいは両方を使って空中給油機の場所を特定し、給油機のすぐ背後に編隊を組んで飛行することにより、完全あるいは部分的な燃料の充填を受けることができます。
また、マルチプレーヤーのセッション中に航空機間での給油を行うことも可能です。
KC135はブーム式、KA6はホース式の給油装置を装備しています。
T38はブームレシーバを装着しているのに対し、A4FとLightningは両機ともホース給油用のプローブを装備しています。
今のところ、どちらの種類の航空機でも両方の空中給油機から給油できますが、将来は正しい種類のみを使うようになると思われます。


*** 5.7.2 必要な準備 [#k56d6981]

航空母艦と同様に、AARも「AI scenario」として実装されています。
通常は、この機能を選択するにはFlightGearのデータディレクトリにある「preferences.xml」ファイルを編集する必要があります。

ですが近道も用意されています。
preference.xmlファイルは一切変更されていないと仮定しますが、LightningかA4F、またはT38を単に選択すると、自動的に空中給油機を含んだシナリオがロードされるはずです。
この場合には、前述の航空機の1機を選択し、「AI models」が有効であることを確認してからKSFO(デフォルトの空港)で起動してください。

シナリオによっては、シミュレータを開始したときに空中給油機が頭上を横切るのが見えるかもしれません。
もし見えなくても心配する必要はありません。


*** 5.7.3 コックピット内 [#h33dcb68]

必要に応じてエンジンを始動し、その後に恐らく最初にやるべきことは、TACANを装備している航空機(A4FとLightningの両機)ならば適切なTACANチャンネルを選択することです。
現時点では、LightningとT38がデフォルトで使用するKC135は「040X」、A4FでデフォルトのKA6Dは「050X」です。
「radios」ダイアログ(メニューから「equipment/radios」または control-r を押す)の関連するドロップタウン・ボックスを使ってこのチャンネルを入力してください。

A4Fのナビ表示器、またはLightningのTACAN指示器(緑色の針)により、現在の空中給油機の方位が分かるはずです。
もし空中給油機が圏内にいるなら、T38またはLightningのレーダー表示器の中にも出現します。
では離陸してください。


*** 5.7.4 飛行中 [#l8371946]

TACANの方位を手がかりにして適切な機首方位に旋回し(給油機を追いかけながら接近を試みます)、レーダーまたはナビ画面で空中給油機を探します。
5nm(5海里)程度手前で、空中給油機より20ノット速い程度まで減速し、「ゆっくりと」追いつきます。
空中給油機は真対気速度(TAS)280ノットで飛行しています。
KC135は10nm程度手前から見えますが、KA6-Dは小型なので1nm余りまで近づかないと見えません。
行き過ぎそうだと思ったら、速度をうまくコントロールするために必要に応じてエアブレーキを使います。

空中給油機の50フィート(約15メートル)以内に近づきます(ブームが視界から隠れるので近づきすぎないこと)。
すると、コックピット内の表示(A4の燃料ゲージでは緑灯)が燃料を受け取っていることを示しているのを見ることができます。
そして、タンク搭載量の指示計が増加するのが見えます。

この段階に行き着くのは必ずしも容易ではなく、たくさんの練習が必要になるかもしれません。空母への着艦と同じく、空中給油は現実世界においても容易に操縦できるものではありません。
それに加えて、フライトシム世界では厄介なことに、AIモデルである空中給油機は風の影響を受けずに真対気速度(TAS)で飛行しているのに対し、あなたは風の影響を受けながら指示対気速度(IAS)で飛行します。
また現実世界と同様に、タンクが満たされるにつれて重量が着々と増加して、航空機のトリムが影響を受けます。
(速度をコントロールするのにオートスロットルを使うと便利かもしれません。
Ctrl-sキーを押してから、Page Up/Downキーで設定速度を増減してください。)

満タンになったり、欲しいだけの燃料を手に入れたら、スロットルを少し絞って空中給油機から後退し、そして所望のフライトを続けてください。


*** 5.7.5 さらに進んだ話題 [#wb14396d]

+ マルチプレーヤー給油
~ マルチプレーヤのセッション中においては、ある条件の下で給油が可能です。
飛ぶことのできるKC135モデルが基礎として用意されており、この航空機のパイロットはコールサインとして「MOBIL1」「MOBIL2」「MOBIL3」を使用する必要があります。
他の数字でも大丈夫ですが、空中TACANチャンネルが割り当てられているのはこの3つだけです。チャンネルはそれぞれ060X、061X、062Xです。
~ 受け側の航空機がYASim FDMを使っている場合は、面倒な設定はもうありません。
受け側の航空機がJSBSimベースである場合は、AI空中給油機を一切設定していないことをユーザが確認する必要があります。
つまり、関連するaircfart-set.xmlとpreferences.xmlの中の給油「シナリオ」を全て無効にする(コメントアウトする)ということです。
~ MP給油はAI給油と全く同じ方法で機能し、挑戦するのは楽しいものです。
ネットワーク接続が極力妨害を受けないことを確認した方が良いでしょう。
パケットの流れが一時的に中断されると、MPのコードはある程度の予測をします。
こうなると、接近した編隊飛行はとても困難に、時には不可能になります。
+ 別のシナリオの選択
~ AIディレクトリにはいくつかのAARシナリオが用意されています。
++ refueling_demo.xml ではKC135が高度3000フィートでKSFO付近を旋回します。
++ refueling_demo_1.xml ではKC135が高度8000フィートで南北線上を飛行します。
++ refueling_demo_2.xml ではKA6Dが高度8500フィートで似たような南北経路を飛行します。
+
~ シナリオを選択するには、--ai-scenarioオプションを使うか、preferences.xmlファイルを編集します。
++ コマンドラインを使う方法
~ FlightGearの通常のコマンドラインに --ai-scenarioオプションを追加してください。
 fgfs --aircraft=lightning
 --ai-scenario=refueling_demo_2
++ preferences.xml を使う方法
~ ファイルのありかが分からない場合は、オペレーティングシステムの検索機能で探してください。
preferences.xmlファイルをテキストエディタ(windowsなら例えばメモ帳)で開き、<ai> </ai>タグを探してください。
そして、<ai>タグの中のどこかに次の1行を追加してください。
 <scenario>refueling_demo</scenario>
他のシナリオもすでに用意されていることが分かるでしょう。
それらは多分<!- ->でコメントアウトされています。


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編集メモ
- 新規作成。2007/09/24〜2007/10/03 toshi
- マニュアル v1.0 への改訂を行いました。2008/01/15 toshi
- ページの階層を変更しました。2008/01/22 toshi

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