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The FlightGear Manual Version 1.9.0

第4章 フライト中:機器、キー操作、メニューに関するすべて

このドキュメントは http://www.flightgear.org/Docs/getstart/getstartch4.html の日本語訳です。

Table of Contents

この章では、プログラムを制御して飛行機を操縦するメインシステムについて説明します。 この章は、読者が既に他のシミュレータでの飛行に慣れていると想定しています。 もしあなたが飛行に関して全くの素人なら、節7のチュートリアルがFlightGearでの飛行を習得するのに良い資料になります。

標準的なキーを説明した印刷用の短いリーフレットが以下にあります。

http://www.flightgear.org/Docs/FGShortRef.pdf (英語)。 シミュレータのヘルプメニュー内に、主なキーボード操作の解説があります。

4.1 エンジンの始動

航空機の種類によっては、フライトを開始する前にエンジンを始動する必要があります。 以下に汎用のインストラクションを記します。 もっと詳しい解説は、航空機のヘルプやチュートリアルを確認してください。

エンジンを始動したら、パーキングブレーキが掛かっているか確認してください もしそうならば、"B" ボタン (Shift-b) を押して解除してください。

4.1.1 ピストン機

ピストンエンジンの航空機なら、マグネトを '{' と '}' キーで操作してください。大半の航空機において、's'キーでスターターを回します。多発機においては、どのエンジンを操作するか選択できます。'~' キーで一度に全てのエンジンを選択できます。一般的なマグネトは4つの位置があります - OFF, LEFT, RIGHT,BOTH です。それゆえ、始動するエンジンが選択されたら、 '}' キーを3回押して、 's' キーを押しつづけてください。˜’

しばしば、パワフルなWWII時代の戦闘機の始動手順はより複雑である事に注意してください。詳しくは、航空機のヘルプを見てください。

4.1.2ターボプロップ機

大抵、ターボプロップエンジンの始動は、'm'キーを使ってcondition lever を Off から Idleに動かす必要があります。

4.1.3ジェット機

ジェット機の始動はもっと著しく複雑で、航空機が違えばコントロールも違います。

  1. カットオフを ONにする
  2. スターターを入れる
  3. N1の回転数がおよそ5%になったらカットオフをOFFにする
  4. 運用回転域に到達したらスターターを解除する

4.2 キーボード操作

(訳注: 本節では、原文に対して一部の項目を追加、修正しています。 また、本サイト内の「キーボード操作?」には、機首固有の操作方法などの詳しい説明があります。 -toshi)

FlightGear はジョイスティックやヨーク、ラダーペダルをサポートしていますが、キーボードだけを使用して飛ばすこともできます。 実際、ジョイスティックやヨークを使っている場合であっても、いくつかのキー操作は役に立ちます。

飛行している飛行機をキーボードでフルに操縦するためには、(i) Num Lock キーを ON にし、(ii) ウィンドウモードでシミュレーションが実行中の場合は FlightGear のウィンドウを選択 (focus) しておく必要があります (もしそうなっていなければ、FlightGear のウィンドウをどこかクリックしてください)。 ジョイスティックかヨークを使う場合にもいくつかのキーボード操作が役に立つでしょう。

Num Lock を有効にすると、航空機の主な操縦操作を以下のキーボードを使って行うことができます。

表2: Num Lock 有効状態のテンキーを使った主な操縦操作
キー動作
9 / 3スロットル
4 / 6エルロン (補助翼: 主翼に取り付けられている)
8 / 2エレベータ (昇降舵: 水平尾翼に取り付けられている)
0 / Enterラダー (方向舵: 垂直尾翼に取り付けられている)
5エルロン・エレベータ・ラダーを中央に戻す
7 / 1エレベータトリム

Num Lock を無効にすると、視点を変えることができます。 シフトキー+<テンキーパッド>で次のように視点が変わります。

表3: Num Lock 無効状態のテンキーで設定できる視界方向
テンキー視界方向
Shift-8前方
Shift-7左前方
Shift-4
Shift-1左後方
Shift-2後方
Shift-3右後方
Shift-6
Shift-9右前方

さらに、スクリーンの上の表示を調整するためのいくつかのオプションがあります。

表4: 表示オプション
キー動作
P計器パネル オン/オフ切替
cコックピット 3D/2D切替 (両方ある場合)
Sパネル形式 フル/ミニ切替
Shift-F5 / F6計器パネルの上下移動
Shift-F7 / F8計器パネルの左右移動
Shift-F3プロパティリストから計器パネルを読込
i / IHUD (ヘッド・アップ・ディスプレイ) 小/大
hHUD 色切替、オン/オフ切替
HHUD 輝度変更
x / Xズームイン/ズームアウト
v / Vビューモード変更 順/逆送り
Ctrl-cパイロットビューにセット
Wフルスクリーンモード オン/オフ (3dfxのみ)
z / Z視程(霧の濃さ)変更 順/逆送り
F8霧 オン/オフ切替
F2シーナリーのタイルキャッシュの更新
F4照明の強制アップデート
F9テクスチャ オン/オフ切替
F10メニュー オン/オフ切替

訳注: H の説明を追加。 -toshi

オートパイロット (自動操縦) を制御するには以下のキーを使います。

表5: オートパイロットおよび関連操作
キー動作
Ctrl+A高度を設定高度に保持 オン/オフ切替
Ctrl+G高度をグライドスロープ1に追従 オン/オフ切替
Ctrl+H機首方位を Heading Bug の設定方位に保持 オン/オフ切替
Ctrl+N機首方位を NAV1 ラジアルに追従 オン/オフ切替
Ctrl+Pピッチ角を保持 オン/オフ切替
Ctrl+S設定スロットルに保持 オン/オフ切替
Ctrl+T高度を地形に追従(対地高度を保持) オン/オフ切替
Ctrl+U高度を1000ft上昇 (緊急用)
Ctrl+Wウィングレベラー オン/オフ切替
F6機首方位を現在の機首方位・ウェイポイントに保持 オン/オフ切替
F11オートパイロット設定ダイアログの表示

訳注: Ctrl+P を追加、Enter (Increase autopilot heading), F12 (Autopilot heading dialog) を削除。 -toshi

Ctrl+Tは、小さなセスナ機を巡航ミサイルのように行動させるので特におもしろいと思います。 Ctrl+Uは、墜落する!思ったときとても便利です (本当の飛行機もこんなキーがあるといいですね)。

訳注: Ctrl+Uは正常に機能しないようです。 -toshi

オートパイロットを有効にすると、いくつかのテンキーは異なる動作をします。

表6: オートパイロット有効状態におけるキーの特別な動作 [U.S. キーボードは "," ではなく "." を使います]
キー動作
8 / 2高度の変更
4 / 6機首方位の変更
9 / 3自動スロットルの変更

訳注: 4 / 6 は原文では 0 / , となっています。 -toshi

エンジンの始動と制御をするキーもあります。

表7: エンジン制御キー
キー動作
s選択エンジンのスターターを起動
!第1エンジン選択
@第2エンジン選択
#第3エンジン選択
$第4エンジン選択
{選択エンジンのマグネト発電機スイッチを1つ下げる
}選択エンジンのマグネト発電機スイッチを1つ上げる
~ (チルダ)全エンジンの選択

これらの基本的なキーのほかに、特別な動きをする色々なキーがあります。 そのうちのいくつかは、初フライトの際に試すことはまずないでしょう。

表8: キーボードによる色々な操作
キー動作
Bパーキングブレーキ オン/オフ切替
b全ブレーキの作動
g / G着陸装置 (脚) アップ/ダウン
,左車輪のブレーキ (差動ブレーキに有用)
.右車輪のブレーキ (差動ブレーキに有用)
l (小文字のL)尾輪ロック オン/オフ切替
] / [フラップ 下げ/上げ
pポーズ (一時停止) オン/オフ切替
a / Aゲーム進行スピード アップ/ダウン
t / T時刻 (時計) 進行スピード アップ/ダウン
w / W時刻 1分進める/戻す
Shift-F2''fgfs.sav' 'に現在のフライトを保存
Shift-F1fgfs.sav からフライトをロード
F3fgfs-screen.ppm にスクリーンショットを保存
ESCプログラムの終了

訳注: m / M, Shift-F4, Shift-F9 を削除し、w / W を追加しました。-toshi

メモ: もし Windows マシンを使っていて fgfs-screen.ppm スクリーンショットを処理するのが大変なら、単に「Print Screen」キーを押してスクリーンをクリップボードにコピーすれば、どんなグラフィックスプログラムにも貼り付けることができます。

これらのキーバインドはハードコードされた (決め打ちされた) ものではなく、ユーザによる調整が可能です。 FlightGear メインディレクトリ内にある keyborad.xml ファイルを通じて設定のチェックや変更ができます。 このファイルは、人間か読めるプレーン ASCII ファイルです。 初心者がこのファイルをいきなり修正しようとするのは、恐らくあまり良い考えではありません。 しかし上級ユーザには、好みの (または恐らく他のシミュレータで知っている) キーバインドに変更する上で役に立つことでしょう。

4.3 メニューの項目

何らかの変更を適用した後にメニューを隠したい場合は単に F10 を押してください。

メニューには、以下のサブメニューとオプションが存在します。

Load flight
現在のフライトをファイルからロード。デフォルトでは fgfs.sav。 フライトをセーブしたときと同じオプション (aircraft, airport...) を使って FlightGear を起動すべきです。
Save flight
現在のフライトをファイルにセーブ。デフォルトでは fgfs.sav
Reset
選択された開始位置にリセット。 居場所を見失ったり何かおかしくなった場合に便利です。
High-Res Snap Shot
高解像度のスクリーンショットを、プログラムを起動したディレクトリ内の fgfs-screen-XXX.ppm に保存。
Snap Shot
標準解像度のスクリーンショットを、プログラムを起動したディレクトリ内の fgfs-screen-XXX.ppm に保存。
Print Screen
スクリーンショットの印刷 (Linuxのみ)。
Sound Configuration
消音設定、音量設定、ATC Chatter (訳注: 航空交通管制のしゃべり声) の有効/無効。 ATC Chatter は、現実世界の ATC の交信を色々と再生することで現実感を付け加えます。
Browse Internal Properties
システム内部の全プロパティのツリー表示。 ツリーを通じてグラフィカルなディレクトリのように操作でき、クリックしてプロパティを設定できます。
Logging
フライト情報の様々な要素をファイルにログ。 ログを書き込むファイル、書き込むプロパティ、書き込む時間間隔を設定できます。
Quit
プログラムの終了。
Toggle 2D Panel
2D パネルと (もしあれば) 3D コックピット間の切替。
View Options
視点切り替え設定。
Rendering Options
様々な拡張描画オプションを切り替えるダイアログの表示。 フレームレートが犠牲になりますが、影 (shadow)、立体的な雲 (3D clouds)、鏡面反射 (specular reflection) といった見た目の効果を得ることができます。 バランス良い状態を知るためには "Show Frame Rate" を有効にしてください。 これは、現在のフレームレートをフレーム毎秒 (1秒あたりのフレーム数、fps) で画面右下に表示します。 たいていの人には、適度なフライトが可能な 20fps 前後のフレームレートが良いでしょう。 フレームレートは、有効にした描画オプションや現在の視程 (Z/z で設定)、視界内のオブジェクト数、詳細度レベル (Level of Detail、LOD) に影響されます。
Cocpit View Options
コックピット内での見え方を設定するダイアログの表示。 パイロットの頭の動きや、高いGによるブラックアウト、マイナスのGによるレッドアウトなど。
Adjust View Distance
現在の視点オフセット値を示すダイアログの表示。 ダイアルをドラッグすることで調整できます。 別の方法として、マウスで視点を微調整することもできます (後述のマウス操作を参照)。
Adjust HUD Properties
HUD 設定用のダイアログを表示。 HUD の透明度や HUD 表示におけるアンチエイリアス処理の有無を設定できます。
Instant Replay
インスタントリプレイ機能を操作するダイアログの表示。 自分の着陸をチェックするのに便利なツールです! リプレイを終了し、フライトをポーズ状態にするには "p" キーを押してください。
Adjust LOD Ranges
どの詳細度レベルで表示するのかをその範囲で設定するダイアログの表示。 シミュレータに表示されるテクスチャとオブジェクトに作用します。
Chat
マルチプレーヤー環境で他の航空機とチャットするダイアログの表示。
Chat Menu
マルチプレーヤー環境で他の航空機に送信可能なチャットメッセージのメニューを表示。いくつかのメニューにはオプションのサブメニューが含まれます。
Position Aircraft (on ground)
インストール済みのあらゆる空港の滑走路上に航空機を位置させるダイアログを表示。 スタートしたい空港の ICAO コードを知っている必要があります (例えばサンフランシスコ国際空港は KSFO)。
Position Aircraft (in air)
空中の任意のポイントに航空機を位置させるダイアログの表示。 既知の地上のポイント (例えば空港、VOR、経度 (Longitude) /緯度 (Latitude) の座標など)と、そこに対する相対的な位置 (例えば距離 (distance)、高度 (altitude) など) を選択する必要があります。 また、初期スピードと機首方位を設定できます。 これは着陸練習に有用です。
Select Airport from List
ICAO コードの分からない空港を選択するダイアログの表示。 あなたがインストールした全ての空港から検索します。 Apply をクリックすると、その空港の現在の風向に適した滑走路上に連れて行ってくれます。
Random Attitude
ランダムな機首方位、スピード、高度に航空機をセット。 異常姿勢からの復帰練習に有用です。
Tower position
タワービュー (Tower View) と固定タワービュー (Tower View Look From) で用いられるタワー (管制塔) を変更するダイアログの表示。
Autopilot Settings
航空機のオートパイロットをセットするダイアログの表示。 翼の水平度 (Wings Level) を単に維持することから、ILS (計器着陸装置) に従うことまで様々な異なる方法でオートパイロットを設定することが可能です。
Route Manager
オートパイロット用のルート (ウェイポイント) リストを編集。 ウェイポイントとして許されるのは空港または FIX です。 現在のウェイポイントへの機首方位と距離、時間が HUD 内に表示されます。
Pop Waypoint
一番上のウェイポイントをルートリストから消去。
Clear Route
現在登録されているルートを消去。
Set Lat/Lon Format
HUD の緯度/経度の形式を、分単位と秒単位の小数で切替。
Weather Scenario
最寄りの気象観測所 (通常は空港) から METAR (定時航空実況) で通報される現在の天気を示すダイアログを表示。 選択可能な天気のシナリオは次のとおりです。 Fair weather (快晴: 晴天、わずかな雲と風)、Thunderstrom (激しい雷雨: 雲、雨、雷)、現在のMETAR、none (無し)。
Weather Conditions
気象条件の設定ダイアログを表示。 風向 (wind direction)、風速 (wind speed)、乱気流 (turbulence)、視程 (visibility)、気温 (temperature)、露点 (dew point)、気圧計 (barometer) の設定を様々な高度に対してセットします。
Clouds
雲の種類、高度、厚さを設定するダイアログを表示。 3D clouds を強制的にリフレッシュするには、Rendering Options メニューで無効にしてから再度有効にする必要があるので注意。
Time Settings
シミュレータ内の現在時刻の設定やシミュレーションのスピードアップ、シミュレータ内の時間経過の速さを変更するダイアログを表示。 また、UTC (協定世界時) と現地時間を表示します。
Rain/Snow Settings
雨と雪の表示を設定するダイアログを表示。
Fuel and Payload
サポートされた航空機で、航空機の燃料、レベル、現在の最大積載量を設定するダイアログの表示。
Radio Settings
ラジオと航法装置で用いられる周波数とラジアルを設定するダイアログの表示。
GPS Settings
GPS でウェイポイントをセットしてコース情報を見るためのダイアログの表示。
Instrument Settings
高度計の圧力と機首方位指示計オフセットをセットするダイアログの表示。
System Failures
各種の航空機システム (負圧など) に障害を引き起こすためのダイアログの表示。
Instrument Failures
航空機の特定の計器に障害を引き起こすためのダイアログの表示。
Frequencies
空港の ICAO コードを入力する (または近くの空港のボタンを単にクリックする) ダイアログの表示。 ATIS、タワー交信用のラジオ周波数を表示します。
Options
航空交通管制 (ATC: air traffic control) とコンピュータが生成するトラフィックを有効にするダイアログの表示。 AI トラフィックの密度を1 (わずかな航空機) から3 (混雑した空!) までセットすることもできます。 ゲームに現れる空母を操作することもできます (詳細は後述)。
Chat
マルチプレーヤー環境で他の航空機とチャットするためのダイアログを表示。
Chat Menu
マルチプレーヤー環境で他の航空機に送信するチャットメッセージのメニューを表示。
Pilot List
受信範囲内にいる他のマルチプレーヤーのパイロットのリストを表示。 距離や機種方位、高度も表示します。
Help
ヘルプシステムをブラウザのウィンドウに開く。
Joystick Information
使用中の全てのジョイスティックについて、軸とボタンの割り当てを含んだ情報を表示。
Basic Keys
シミュレータを操作する基本的なキーのリスト。
Common Aircraft Keys
航空機を操作する基本的なキーのリスト。
Aircraft Help
その航空機に特有の情報の表示。
Toggle Glide Slope Tunnel
標準的なアプローチの進路で滑走路に導く仮想的なトンネルの表示。 着陸に向けたアプローチ設定がうまくいかない人に有用です。
Start Tutorial
使用している航空機に対するチュートリアルを選択するダイアログの表示。 数種の航空機でのみ利用可能です (訳注: c172pなど)。 詳細は、後述のチュートリアルを参照。
End Tutorial
実行中のチュートリアルの終了。

4.4 計器パネル

getstart11x.png
図5: セスナ 172p の 2D 計器パネル
getstart10x.png
図6: セスナ 172 の 3D コックピット

FlightGearの中の航空機は、2次元計器パネルと3次元コックピットの両方を持つことができます。 3次元コックピットを使うとパイロットの視界をよりリアルに実現できますが、小さなモニターを読むのが難しくなります。

デフォルトのセスナ 172P (c172p) は3次元と2次元の両方のコックピットを持っています。 3次元コックピットは FlightGear を起動したときにデフォルトで有効になりますが、メニューから View -> Toggle 2D Panel を選ぶか "P" キーを押すと、2次元計器パネルがオーバーレイします。

セスナ機の計器パネルについてのすべての機能を完全に記述することはこのガイドの範囲を超えていますので、主な飛行機器と計器について最低限の概説をします。

パネルのレバーとノブはすべてマウスで操作できます。 マウスの左ボタンまたは中ボタンで、操作したいノブやレバーをクリックしてください。

どんなシミュレータのパイロットも知らなければならない最も重要な計器から始めましょう。 計器パネル (図5) の中央上列に、飛行機のピッチとバンクを表示している人工の地平線 (水平儀) があります。 ピッチ目盛とバンク目盛が 10、20、30、60 および 90 度のところに振られています。

水平儀の左に対気速度計があります。 速度をノット単位(1 ノットは時速 1.852 キロメートル)で表示するだけでなく、あなたが考慮しなければならない特徴的な速度範囲を示した円弧があります。 まず、緑の円弧は、フラップを完全に格納した状態における通常飛行時の速度範囲を示します。 白い円弧は、フラップを使ったときの速度範囲を示します。 黄色い円弧は、穏やかな大気状態でのみ許される速度範囲です。 最後にある赤い円弧は、少なくとも飛行機を壊したくなければ決して超えてはならない速度を示します。

対気速度計の下に旋回計が見えます。 中央の飛行機はあなたの飛行機のロールを示しています。 飛行機の翼を左か右の目盛りにあわせた場合は、標準旋回、つまりちょうど2分で360度旋回することを意味します。

旋回計の中の飛行機の下にあるのは傾斜計です。 これは、ラダーとエルロンが連携しているかどうかを示します。 旋回中は、管の中のボールが中心にとどまるようにエルロンとラダーを常に操作しなければなりません。 さもないと、飛行機は横滑りしてしまいます。 簡単なルールで言うなら「ボールに乗りなさい」、すなわち、ボールが左にあるなら左のラダーペダルを踏んでください。

ペダルを持っていなかったり、エルロンとラダーの間の比率を適切に扱う経験が無いのであれば、--enable-auto-coordination オプションを使って FlightGear を起動することができます。

水平儀の右側にあるのは高度計で、海からの高さ (地面ではない!) を百フィート単位で表示します。 その下には昇降計があり、1分あたりの上昇レートあるいは下降レートを百フィート単位で示します。 高度計よりも昇降計のほうが便利に思える場面もあるかもしれません。 ですが、昇降計の表示には常に、ある程度のタイムラグがあることを覚えておいてください。

昇降計のかなり下にあるのはプロペラ回転計で、1分あたりの回転数 (RPM) を百の単位で示します。 緑色の弧は、長時間の飛行に最適な領域を示すマークです。

主要な計器の仲間としては他に、水平儀の下に位置するジャイロコンパスコンパスが加わります。 これともう1つ、パネルの上に磁気コンパスがあります。

以上のT字に配置された4つの計器は特別に重要です。 対気速度計、水平儀、高度計、およびコンパスは飛行の間、定期的に監視すべきです。

これら以外に、いくつかの補助的な計器があります。 一番左に時計がありますが、これは明らかに、旋回率を決定する際に重要な道具となります。 時計の下にあるいくつかのもっと小さいゲージは、エンジンの技術的な状態を表示します。 それらの中で間違いなく最も重要なのは、どんなパイロットでもご存知の燃料計です。

点火スイッチはパネルの左下隅にあり (図4参照)、"OFF"、"L"、"R"、"BOTH"、および"START"の5つのポジションがあります。 最初の位置は説明不要でしょう。 "L"と"R"は2基のエンジンを示しているのではなく (実際、セスナ機は1基だけです)、安全目的のために存在している2台のマグネトを示しています。 この2つのスイッチ位置は飛行前に試験目的で用いられます。 通常の飛行の間はスイッチは"BOTH"の位置にあるべきです。 一番右側の位置はバッテリー駆動のスタータ (FlightGearでは"s"キーで操作可能) を使うためのものです。

大半のフライトシミュレータと同様に、計器の種類は実機よりも少し多めです。 ジャイロコンパスコンパスの下の赤い部分はブレーキの状態を示しており、ブレーキがかかっている時に点灯します。 ブレーキ表示ランプの下の計器は操縦桿(ヨーク)の位置を示します。 これは、現実の操縦桿を押している時に本来感じるはずの力を感じることができないことに対するある種の補完として役立ちます。 3本ある矢印は、操縦桿やペダルをスロットルと連動させながらエルロン左/右、ラダー左/右、エレベーター上/下の3本の軸を合わせていってください。 (心得その1: 3本の針は飛行機の実際の位置を反映しない!) 左の垂直な矢印はエレベータートリムを示します。

パネルの右手の側面はラジオスタックが配置されています。ここで、あなたはオートパイロット装置と同様に2台のVOR受信機(NAV)、NDB受信機(ADF)、および2個のコミュニケーションラジオ(COMM1/2)を見つけられるでしょう。

コミュニケーションラジオは航空交通施設とのコミュニケーションに使用されます。それはただ特別な周波数帯で動作する普通のラジオトランシーバーです。 使用周波数は"COMM"フィールドに表示されます。通常、2個のCOMトランシーバーがあります。これは、あなたがまだ前のラジオ局に接触している間に、次に受信するラジオ局の周波数帯を準備できるようにするためです。

また、ATIS(Automatic Terminal Information Service)メッセージを表示するのにCOMラジオを使用することができます。ただ関連空港のATISの周波数にダイヤルをセットするだけです。

(ATISとは:航空機が離着陸に必要な気温,風向,風速,視程などの気象情報や使用滑走路,進入方式,航行援助施設の運用状況など,その空港の情報を放送するサービス。情報は顕著な変化がなければ30分ごとに,進入方式または使用滑走路の変更あるいは気象データ等の重要な変化があった場合は,そのつど更新される。このサービスにより,パイロットは管制官を煩わすことなく空港の情報を入手できる。また交通量の多い空港では,管制業務の負担が軽減される利点がある。この放送にはVORの音声チャンネルまたはATIS専用のVHF通信が利用される。 台風の時などに受信すると、最大瞬間風速や気圧などがわかったりして役に立ちます。)

VOR(Very High Frequency Omni-Directional Range)受信機は飛行の間、コースの誘導に使用されます。送り主の周波数は"NAV"フィールドに表示されます。 VORはその基地局の周りにいる航空機の位置を割り出す為に利用します。それは無指向性ラジオ電波のと方向性のある電波の2種類を使います。(方向性のある電波は時計回りに回転して発信されています。)2つの信号の位相差で、 VOR基地局の周りの360度の円で航空機の角度を評価します。それぞれの基地局が発信した電波をNAV1とNAV2で受信し、航空機の位置を割り出します。これは VOR基地局と航空機の位置関係を表示するだけで、飛行機のオリエンテーションに関して何も情報発信していません。

2つのCOM/NAV受信機と、その下のNDB受信機は、 ADF(自動方向探知機)と呼ばれています。 そこにも、基地局の周波数を表示するフィールドがあります。ADFもナビゲーションに使用することができます。しかし、VORとは反対に基地局からの航空機の位置ではなく、基地局までの直線方向を示します。これは2個の NAVゲージの下にあるゲージに表示されます。

COMM1表示の上に外・中央・内側のマーカービーコンを受信して表示する青・黄・白の3つのLEDが見つけられるでしょう。 これらは着陸の間、滑走路の入り口を示します。 これらは周波数の入力を必要としません。

ラジオの下にオートパイロット装置を見つけられるでしょう。 そこには5つのキーがあります。 WL=「ウィングレベラー」、HDG=「機首方位」、NAV、APR=「グライドスロープ」、ALT=「高度」。 これらのキーを有効にするとそれぞれの対応するプロパティを保持します。

あなたは、マウスを使用することでラジオの数値を変えることができます。値を変えるには対応する数値の下にある円形のノブの左もしくは右はしをクリックしてください。左側にあるスイッチノブでアクティブ/予備を切り替える事ができます。

これらの機器とそれらのナビゲーションの用途や作業の詳細を記述する事はこのガイドを超えています。これらの航空航法に関心があるのでしたら計器飛行(シミュレーション)の本を参照することをお勧めします。 これはまだ製作中ですが、FlightGear Flight School(日本語訳: FlightGearフライトスクール)は参考になるでしょう。

VFR(有視界飛行方式)に応じて厳密に飛ぶのであれば、ラジオ器具を見ずに飛行することができます。それでも物足りないと思われる方々がIFR(計器飛行方式) で飛べるように、FlightGearは航法支援装置に送られる世界中の膨大なデータベースを含んでいます。

そして、最後にパネルの右下にスロットル、ミクスチャ、およびフラップコントロールを見つけるでしょう。 (フラップはマウスを使用しても設定できます)

キーボードならば、構成ファイルを使用することでパネルを再設定することができます。これらは飛行機特有の設定でなければならないので、対応する飛行機のディレクトリの下で、構成ファイルを見つけることができるでしょう。例として、c172-panel.xmlFlightGear/Aircraft/c172/Panels でデフォルトのセスナ機C172に関する構成ファイルを見つけられます。それをカスタム設計するための付随のドキュメンテーションはディレクトリ docs-mini の下にJohn Checkによって書かれた README.xmlpanel ファイルです。

4.5 ヘッドアップディスプレイ(HUD)

いまのところ、飛行機の主な飛行パラメータを表示する2つのオプションがあります。 1つは先ほど説明した計器パネル、もう一つがこれから説明するHUD(ヘッドアップディスプレイ)です。 通常の一般的な航空機と民間機ではHUDは用いられません。 むしろ近代的な軍用ジェットに装備されています。 しかし、一般的な航空機であってもHUDを使用して飛ぶことはより簡単であることに気付く人がいるかもしれません。 セスナのパイロットのうちの何人かは本当にこの装置を付けたいと思っているかもしれませんが、一般的な民間機にHUDを実装するには技術が単純に高価すぎます。

HUD(図7参照)は主な飛行パラメータを全て表示します。 中央にピッチ指示計(単位は度)があり、その上にエルロン指示計、下にラダー指示計があります。 ピッチ目盛の左側にエレベータに対応する目盛があります。 最下部には簡単な傾斜計があります。

一番左には2つの目盛があります。 外側の目盛はスロットルの位置を示し、内側は速度(単位はノット)を表示します。 セスナ172はおよそ55kts(ノット)で離陸します。 一番右の2つのスケールは高度を示しており、左側は地面からの、右側は海面からの高度です。

さらに、HUDはいくつかの追加情報を表示します。左下には、日付と時間を表示しています。 上には現在の位置の緯度と経度を表示します。

HUDの色を変えるには「H」か「h」キーを使用することで可能です。 「i/I」キーを使用することで、 HUDを最小もしくは最大にできます

getstart12x.png
図7: ヘッドアップディスプレイ(HUD)

4.6 マウス操作による動作

メニューをただクリックすること以外に、FlightGearのマウスにはもっと重要な機能があります。

マウスモードは3種類あります。

標準モード(ポインタカーソル)では、計器パネルをマウスで操作することができます。 操作するには、対応するノブ/レバーの上でマウスの左/中ボタンをクリックしてください。 マウスの左ボタンは小さく増減しますが、中ボタンは大きく増減します。 ノブ/レバーの左側をクリックすると値が減少し、右側をクリックすると増加します。

マウスを右クリックすると、シミュレータ操作モード(十字形カーソル)に切り替わります。 ジョイスティック/ヨークが接続されていないときに、マウスを通してエルロン/エレベータを操作できます(この場合、--enable-auto-coordination を有効にしてください)。 ジョイスティックを持っているのなら、このモードを利用することはまず無いでしょう。 もう一度マウスを右クリックすると視点操作モード(両矢印カーソル)に切り替わります。 マウスを動かすことで視点の方向を上下左右に変えることができます。 左ボタンをクリックすると視点をリセットします。 中ボタンでドラッグすると視点自体が移動します。

もう一度マウスを右クリックすると、それは初期の状態にリセットされます。

FlightGearで探検できるどこか面白い場所をお探しなら(追加のシーナリーをダウンロードする必要があるかもしれません)、次をチェックしてみてください。

http://www.flightgear.org/places.html

スタートしたい空港を直接入力するためのメニュー項目をお使いください。

最後に、プレイを終了して飛行機を離れようとしているのでしたら、単にESCキーを押すか、プログラムを終了するメニュー項目を使ってください。 テキストウィンドウ上でCtrl-Cを使い、シミュレータを単に"kill"するのはお勧めしません。


編集メモ


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