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The FlightGear Manual Version 1.9.0

第1章 空を自由に飛びたいな 「ハイ!フライトギアー」

このドキュメントは http://www.flightgear.org/Docs/getstart/getstartch1.html の日本語訳です。

Table of Contents

1.1 もう一つのフライトシミュレータ?

あなたは自分で飛行機を飛ばしてみたくてもそんな資金や能力は無いと思ったことはありますか? あなたは空に飛び立たずに自分の技能を上達させたいと思っている本物のパイロットですか? あなたは命を賭けずに危険な操縦を試してみたいですか? あるいは単に、全く暴力のない、もっと本格的なゲームを楽しみたいですか? 以上の質問のどれかが当てはまるなら、PCフライトシミュレータがあなたにぴったりです。

Microsoft (c) Flight Simulator やその他市販のPCフライトシミュレータをもう使ったことがあるかもしれません。 たいていは50ドルの範囲内で売ってるので、本格的なPCフライトシミュレータが必要とするPCハードが(安くなってきたとは言え)1500ドルの範囲内であることを考えると、どれか1つを買うことはたいした問題ではありません。

とても多くの市販のフライトシミュレータがある中、私達はなぜプログラミングとデザインに何千時間も費やしてまで無料のフライトシミュレータを作っているのでしょうか? まぁ、多くの理由がありますが、その主なものを挙げてみます。

上記の言及は、私達がFlightGearを作成した理由の土台を作っています。それらの動機を心に留めて、私達は、民間、マルチプラットフォーム、オープン、ユーザによって支持され、ユーザが拡張することができるプラットホームであることを目指し、高品質なフライトシミュレータの作成に着手しました。これらのそれぞれの特性を注意深く見てみましょう:

間違いなく、Linus Torvaldsによって開始されたLinuxプロジェクトの成功は数人の開発者を奮い立たせました。 また、Linuxは、インターネットの上で非常に洗練されたソフトウェアプロジェクトの分散開発が可能であることを示すだけでなく、それは、そのような努力が競合する商業製品の品質のレベルを凌ぐことができると立証しました。

getstart1x.png
図1: UNIX環境下のFlightGear: サンフランシスコ国際空港への悪いアプローチ - このマニュアルの作者の一人によるものです...

1.2 システム要件

最近の他のフライトシミュレータと比較すると、FlightGear のシステム要件は贅沢ではありません。 中速の AMD Athlon64 または Intel P4、あるいはそこそこの AMD Athlon/K7 または Intel PIII であっても、適切な 3D グラフィックカードを積んでさえいれば FlightGear を動かすのに十分なはずです。

FlightGear を実行する上で重要な必須条件は、グラフィックカードのドライバが OpenGL をサポートしていることです。 OpenGL が何であるかをご存知なければ、OpenGL ウェブサイト

http://www.opengl.org/ (英語)

にある概要に最も良く書かれています。 「1992年の導入以来、OpenGL は業界で最も広く使用されサポートされている 2D 及び 3D グラフィックス用アプリケーション・プログラミング・インターフェイス (API) となっており...」

現在(そして、これから先も)FlightGearはDirect3Dだけをサポートするグラフィックスボードで実行することはできません。OpenGLとは逆に、Direct3Dはウインドウズ・オペレーティングシステムに制限されている独占的なインタフェースだからです。

あなたはOpenGLのハードウェアアクセラレータ非対応の3Dビデオカードを搭載したコンピュータで(そもそも3Dグラフィックスハードウェアのないシステムに関してさえ)FlightGearを実行させることができるかもしれません。しかしながら、OpenGLのハードウェアアクセラレーションのサポートが無ければ最も速いマシンでさえ屈服するかもしれません。フレームレートが1秒あたり1フレーム以下になるのはハードウェアアクセラレーションが無いという典型的な印です。

OpenGLをサポートしていればどんな最新の3Dグラフィックスも動くでしょう。OpenGLをサポートするWindowsビデオカードドライバーに関しては、あなたのビデオカードメーカーのホームページを見てください。時々OpenGLドライバーがボードのメーカーの代わりにグラフィックスチップのメーカーによって提供される事に注意してください。 もしも FlightGear を実行するためにグラフィックカードを買おうとしているなら、最低限 64MByte、できれば 128MByte の AMD/ATI Radeon または NVIDIA GeForce ベースのものを選択するのが良いでしょう。

実行ファイルと基本的なシーナリーをインストールするためには、およそ500MBの空きディスクスペースが必要です。 あなたが自分でプログラムをコンパイルしたい場合は、ソースコードとコンパイルの間に作成される一時ファイルのため、それに加えて500MB必要になります。これは開発環境を含んでいません。それはオペレーティングシステムに依存するサイズと使用される環境によって異なります。Windowsユーザは、開発環境におよそ300MBの追加ディスクスペースが必要だと思います。Linuxと他のUNIXマシンは開発ツールの大部分が既にインストールされているはずなので、それらのプラットホームでは、追加スペースはほとんど必要ないでしょう。

音響効果に関しては、どの能力のあるサウンドカードも十分なはずです。そのフレキシブルなデザインのため、FlightGearはLinuxとWindowsにおけるラダーペダルと同様に広範囲のジョイスティックとヨークをサポートしています。また、FlightGearはフルモーションフライトシミュレータにインタフェースを提供しています。

FlightGearは主としてLinuxの下で開発されています。FlightGearはそれ自身に似た精神で、インターネット上において協力して開発されているフリーなUNIXクローン(多くのGNUユーティリティと共に)の下で開発されています。FlightGearは各種Windowsでも一部開発され、実行されています。また、マッキントッシュOSXといくつかのUNIX/X11ワークステーションの上でもビルドする事が可能です。あなたが適当なコンパイラをインストールすれば、これらすべてのプラットホームの下でFlightGearをビルドすることができます。これらのプラットホームでの主なコンパイラは無料のGNU C++コンパイラです(Win32環境下のCygnus Cygwinコンパイラ)。

あなたがMac OSXの下でFlightGearを実行させたいなら、PowerPC G3 300MHzかそれ以上をお勧めします。 グラフィックカードは、最低ATI Rage 128ベースのカードを勧めます。ジョイスティックはMac OS9.xでのみサポートしていて、現在Mac OSXではジョイスティックをサポートしていません。

1.3 バージョンの選択

以前のFlightGearのソースコードは、安定版(stable)ブランチと開発版(developmental)ブランチの2つのブランチに存在しており、0.6や0.8、(いつかそのうちには)1.0といった偶数のバージョン番号は安定版リリースに属し、一方で0.7や0.9といった奇数番号は開発版リリースに属していました。 この方針は実用上の理由から廃止されました。 その主な理由は、安定版リリースが時代遅れのものとなり、新しい機能にあっという間に遅れをとり、そしていわゆる開発版リリースが同等の安定性を獲得したことによります。

コンパイル済みバイナリーの基礎である「最新の公式リリース」を取りに行きましょう。 以下から入手できます。

訳)ダウンロード (日本語)

http://www.flightgear.org/Downloads/ (英語)

ごく直近の、そして素晴らしい(そして、時には、バグだらけの)コードをもし本当にお望みならば、最近のコードを取ってくるためのanonymous cvsというツールを使うことができます。 FlightGear用のセットアップ方法に関する詳細な説明は以下にあります。

http://www.flightgear.org/cvs.html (英語)

(訳注: 次の記述は古いです。)

一方、最近の開発版バージョンにはバグ(文書化されていない特徴...)が含まれているかもしれないことから、一般ユーザは「最新の不安定版(unstable)公式リリース」を使うことを推奨します。 この最新バージョンの番号は、以下で公開されています。

http://www.flightgear.org/News/ (訳注:リンク切れ)

1.4 飛行力学モデル

歴史的に FlightGear は、LaRCsim から (Navion の飛行機と一緒に) 受け継いだ飛行モデルに基づいています。 これにはいくつかの制限があったので (最も重要な事は、設定ファイルを用いるのとは対照的に、多くの特性が組み込まれてしまっている事でした)、代替の飛行モデルを開発または盛り込もうとする試みがありました。 その結果、FlightGear は数個の異なった飛行モデルをサポートしており、実行時に選択することができます。

その最も重要なモデルの1つは Jon Berndt によって開発された JSB 飛行モデルです。 実際は、JSB飛行モデルは JSBSim と呼ばれる独立したのプロジェクトの一部であり、ホームページは以下です。

http://jsbsim.sourceforge.net/ (英語)

飛行機に関しては、JSB飛行モデルは現在のところ、Cessna 172、Cessna 182、Cessna 310、およびX15と呼ばれる実験的な飛行機のサポートを提供しています。Jonと彼のグループは非常に正確な飛行モデルに適合させようとしており、JSBモデルはFlightGearのデフォルトの飛行モデルになりました。

おもしろい代替手段として、Christian Mayerは熱気球の飛行モデルを開発しました。その上、Curt Olsonは特別な「UFO」モードを統合しました。(それは、あなたがAポイントからBポイントにすばやく飛行するのをサポートします)。

最近、Andrew Ross はもう一つのシミュレータ (Yet Another Simulator) YASim と呼ばれる別の飛行モデルを寄付しました。 現在のところ、もう一つの Cessna 172、Turbo 310、かなり良いDC-3モデル、ボーイング747、ハリアー、および A4 が提供されています。 YASim は、空力係数ではなく幾何学情報に基づいており、根本的に異なったアプローチを取ります。 JSBSim は既知でかつ飛行試験をしたあらゆる状況に対しては正確でしょう。 しかし、通常ではありえない様な飛行では奇妙で非現実的な振舞いをするかもしれません。 YASim はほとんどどの飛行状況でも理にかなって矛盾しない振る舞いをしますが、性能の数値によって異なりそうです。

さらなる代替手段として、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のチームによって開発されたUIUC飛行モデルがあります。この作業は初めに、パイロットがアイシングに遭遇しても安全に飛行するために、賢いアイシングシステムを搭載すると共にアイシングコンディションをモデル航空機に適合させました。この研究は続きますが、プロジェクトは「非線形」の空気力学モデルを取り込み発展しました。結果的に、アタックフライトのハイアングルや失速などの極端な姿勢が、よりリアルになりました。この能力を例証する2つの好例はAirwave Xtreme 150ハンググライダーと1903Wright Flyerです。ハンググライダーにおいて、スロットルは滑空高度に飛ばす用途に使われ、Ctrl-Uは高度を1000フィート増加させるのに使用することができます。不安定なWright Flyerに挑戦してみて下さい。そしてその先尾翼機を失速させないでください。水平飛行するには、かなりエレベータートリムをアップにする必要があるでしょう。最近NASAエームズ研究センターでテストされたレプリカで取られる実験データの一部に基づくと、全般的に空気力学はたぶんオリジナルのWright Flyerに非常に近いです。また、古い世代のUIUC/FGFSモデルで、シンプルな「線形」空気力学に基づいた2つのモデルBeech 99とMarchetti S-211 jet trainerが含まれています。UIUC飛行モデルに関するその他の情報と近々アップグレードされる航空機のリストは以下のウェブサイトで見つけられるはずです。

http://www.uiuc.edu/ph/www/m-selig/apasim.html (英語)

FlightGearの風景を、別のコンピュータで走っている外部のFDMを使用して表示をする事さえ可能です。 但しこれはFlightGearに触れたばかりの方に推奨する設定ではないかもしれません。

1.5 このガイドについて

このガイドで紹介されている資料はほんの一部です。まさにモンテーニュの言うように、私達が「ただここに持ち寄った大きな花束は、私自身には何ももたらさない。しかし、その一片が彼らをお互いに繋ぎとめている」と言えます。ほとんど(しかし、幸いすべてでない)を以下のFlightGearウェブサイトから入手できます。

http://flightgear.jpn.org/ (日本語)

http://www.flightgear.org/ (英語)

FlightGearウェブサイトには幾つかのミラーがある事を心に留めておいて下さい。それらは全て上のFlightGearホームページのリストからリンクされています。あなたになるべく近いミラーをメインサイトから選んでダウンロードして下さい。

このFlightGearマニュアルは完全なFlightGearドキュメンテーションに向けた第一歩となることを意図しています。 対象としている読者は、OpenGLによる内部の作業や自分用のシーナリー作成に興味を持っていないエンドユーザです。 いつの日か、FlightGear Programmer's Guideが添付されるようになることが私たちの願いです。 以下にあるいくつかのドキュメントがその元となるかもしれません。

http://www.flightgear.org/Docs/ (英語)

ここには、FlightGear Scenery Design Guideや、今はTerraGearとしてパッケージ化されたシーナリー作成ツール、そしてFlightGear Flight Schoolパッケージが含まれています。

補足として、FlightGear FAQを読むことをお勧めします。

訳)FAQ (日本語)

http://www.flightgear.org/Docs/FlightGear-FAQ.html (英語)

このマニュアルに含まれていないかもしれない多くの情報を補います。

私達は、校正、改良、および提案を提出する事よってこのドキュメントの改善に協力していただくようお願いします。すべてのユーザが代替のセットアップ(オペレーティングシステムやグラフィックカードなど)の記述を寄付するように誘われます。私達は、このFlightGearマニュアルの将来のバージョンをそれらに含めれば、より幸せになれるでしょう。(もちろん作者を信じないわけではありません)

私たちはこのドキュメントを継続的に更新するつもりではありますが、FlightGear の新しい各リリース毎に新しい版を作成することはできないかもしれません。 それをする為には現在よりも多くのマンパワーを必要とします。 ですので、気軽に参加して手伝ってください。 私達は、FlightGear自身の品質に見合ったドキュメントを作成することを望んでいます。


編集メモ

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