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モホーク製作記(4):機体完成へ…β版公開

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なし モホーク製作記(4):機体完成へ…β版公開

msg# 1.1.1.1.1.1
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5
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2015-7-15 2:13 | 最終変更
hide  長老 居住地: 兵庫県  投稿数: 650
hideです。猛烈な暑さになって来ましたね。
 自作1号マイルズ・モホークに計器類を装備し、内装を仕上げました。飛行特性も再調整し、最高速度と巡航速度を実機並みにアップ。安定性も増して、懸案だったオートパイロットによる巡航が可能になりました。不細工だった風防とフィレットも作り直し、少しはマシになったようです。まだ調整の余地があると思いますが、一応の完成状態に達しましたので、改めて「JPオリジナルダウンロード」に、β版としてアップロードさせて頂きました。ご試乗頂けましたら幸いです。
 視界が悪く操縦に癖のある尾輪式といい、やたらに狭い機内といい、現代機に比べると荒削りな飛行機ですが、70年以上前のオーダーメード自家用機には、空を飛ぶことへのピュアな夢や愛情が詰まっているようで、完成が近づくにつれてますます可愛くなりました。

 モホークの実物は英空軍博物館に展示され、ネットでコクピット内のパノラマ画像を見ることが出来ます。計器などをここまで高画質、かつ詳細に見られるクラシック機は珍しく、機内を作り込むのは楽しい作業になりました。特に計器類は、現在のものと構造が違っていたり、正確な使い方がよく分からなかったりして、謎解きの面白さがありました。では、その計器のお話から始めましょう。

●●ジャイロ計器の歴史ロマン:
 最初に作ったのは、人工水平儀(今風に言えば姿勢計)とジャイロコンパスです。モホークのパネル中央には黒い皮革パネルが張り込まれ、二つの計器を麗々しく飾っています。パネルには「Sperry」のロゴがあり、初期の航空ジャイロ計器を発明した、米国スペリー社(船舶用ジャイロコンパスで、ドイツのアンシュッツと世界市場を二分したメーカー)の製品と判明。大いに感銘を受けた私は、黒いパネルの画像をそのままテクスチャーに使って、計器盤に張り込みました。
 寄り道で恐縮ながら、人工水平儀の生い立ちに触れますと…米陸軍航空隊のジミー・ドゥーリットル(戦前はエアレースで、開戦後は東京初空襲で有名)が1929年、世界初の完全計器離着陸に挑むため、スペリー社のエルマー・スペリー・シニア博士(旋回計の発明者)に新型計器の相談をしたのが、開発のきっかけでした。ドゥーリットルのアイディアは、球体の表示器に飛行機の姿勢と方位を同時に表示させるものでしたが、スペリー博士は、機能を二つの計器に分けた方がいいと提案。視界ゼロでも自機の姿勢が分かる人工水平儀と、加速度やバンクに影響されず安定して方位が読めるジャイロコンパスが生まれました。

 モホークの水平儀はバンク目盛りが下にあるなど、現在のものとデザインが上下逆です。FlightGearのビーチクラフトC18Sにも、まったく同型に見える計器が使われており、最初これを借用しようと思いましたが、バンク目盛りが機能しないため断念し、PC-9Mの姿勢計をベースに自作しました。ジャイロコンパスはC18Sの磁気コンパスを改造し、方位盤を動かすプロパティを、安定のいいジャイロコンパス用に書き換えました。他の計器もすべて全面的な改造品か自作で、丸ごと流用はありません。

 興味深かったのがモホークの旋回計。横滑りをボールではなく指針で示すタイプで、こちらも現代のものをベースに改造しました。実物は旋回指針の目盛りが今とは違い、表示単位が分からないため、秘蔵の航空計器解説書(昭和7年、岩波書店発行)を調べたら、意外な発見をしました。当時の旋回計には、現在のようなジャイロ式の他に、気圧式のものもあったのだそうです。機体の左右2カ所に気圧センサーを設け、圧力差を検出して拡大し、旋回角速度を表示する仕組みですが…それで分かった! モホークの機首下面には、ピトー静圧管らしいベンチュリー管が2本もあって、なぜ1本ではないのか不思議でたまらなかったのですが…これは旋回計のセンサーだったのですね。

●●速度計と高度計:
 次に作ったのは速度計と高度計。どちらも現代機と違ってゼロ点が下にあります。本物は不等間隔目盛りが付いており、このままモデル化は難物に思えました。実際は、計測数値と針の指示角度を簡単な案分表にするだけで動くのですが、作った時点ではそれを理解しておらず、平凡な等間隔目盛りに置き換えてしまったのは、結果的に残念でした。
 速度計はセスナ用を改造しましたが、指針と盤面がホットスポットになっており、クリックするかマウスポインタをかざすと、指示対気速度をデジタル表示する仕組みになっていることを、初めて知りました。面白い工夫ですが、このままでは大して意味はないので、航法に欠かせないTAS(真対気速度)を表示するよう改造しました。従来もPC-9M改などにはTAS指針を増設していましたが、一時的な表示のほうが、リアリティーを損ねずに済みます。
 2針式の高度計は、パイパーカブ用を改造しました。モホークの高度計目盛りは、1周が1万8000ftという珍しいもので、針の角度から直感的に高度を知ることが困難です。そのため文字盤の高度表記は、奇数と偶数を色分けしてありますが、かえってゴチャゴチャして見える気もします(笑)。「人間工学が分かっていない!」と切り捨てるのは簡単ですけれど、開発途上の機械というのは、設計者の苦労や「どや顔」、時には笑っちゃうような人間くささを、あれこれ感じさせるものでもあって。こうした計器をモデル化する作業は、はるか昔のエンジニアたちと、声にならない声で、親しく対話するような味があります。

●●磁気コンパスの謎を解く:
 私はナビゲーションが好きですから、モホークの磁気コンパスには特に興味をそそられました。現代のコンパスは大抵高い位置に設けられ、方位目盛り(コンパスカード)自体が回転しますが、モホークのものはパイロットの両足の間に低く置かれ、ハイキング用のコンパスみたいに磁針だけが回転し、方位目盛りは腕時計のように、筐体の外周に付いています。この目盛りリングは任意の角度に手で回転可能で、表面のガラスには南北方向に2本の平行線が入っています。明らかに針路をプリセットするための構造で、ぜひ使用方法を確かめたいと思いました。スピットファイアなども、同系統のカーソル付きコンパスを乗せていますが、これはイギリス式の設計なのでしょうか。何となく、船舶用のコンパスを思わせます。

 英文サイトでさんざん調べた結果、モホークの磁気コンパスは、戦前のイギリス航空省が開発した爆撃機用のP4A型であることが判明。「投稿画像」の写真でお分かりのように、磁針は(たぶん慣性バランスを取るために)棒形ではなく十文字になっていて、北向きの針の先端には識別のため、短い横棒が付けてあります。使用法ですが、まず目標への磁気方位を計算し、目盛りリングを回して目的地の方位を真正面に合わせます(三角印を付けたのに、写真では見えず残念です)。後は上部のガラス面に設けられた平行線カーソルに、南北磁針が入るように操舵すれば、常に目的地を向くことになります。私のコンパスも盤面クリックで方位リングが回るようにして、磁気コンパスとしての機能はもちろん、オートパイロットの針路設定に使えるようにしました。

 問題は、コンパスが(たぶん磁気ノイズを避けるため、計器盤から離して)床面近くに取り付けてあること。実際に使ってみて分かったのですが、コンパスを斜めに見下ろすと、飛行方向によっては北を示す横棒が隠れてしまい、現在の方位がまったく分からなくなるのです。実機ですと、パイロットが少し姿勢を変えれば見えますが、FlightGearでは無理なお話。ハリケーンやスピットファイア用のP8やP11コンパスは、磁針とカーソルがT字型に改良されていて、Tの縦棒が北を指します。南北が非対称形なので、常に向きが分かる仕組みです。
 以前、このT字型カーソル付きコンパスの写真を見たことはありますが、「南北を間違わない工夫」などと書いてあっても、実際の使い方までは分かりませんでした。シミュレーターとは有り難いもので、実際に針路を合わせてみると、P4A型コンパスの欠点がよく分かりますし、さらにFlightGearのハリケーンを操縦してみると、P11コンパスの便利さも体感出来ます。こりゃモホークにもP11を借用するしかないな、と思ったのですが。まてまて…やはり史実優先、自作パーツ優先。あえてリンドバーグも使ったP4Aコンパス(完全自作)を搭載することにしました。ただし間違わないよう、北向き磁針だけ赤く塗っています。

●●エンジン計器など:
 だんだん工作のコツが分かったので、回転計からブースト計、油温、油圧、シリンダー温度、燃料計、電流、電圧計あたりは快調に製作が進みました。表示項目の多くは internal properties の中に参照数値が見つかりましたが、ブースト圧は見当たらず、かといって吸気圧では少し意味が違うので、推力の数値を当てはめています。ごまかしではありますが、プロペラピッチと混合比を調整する時には、回転計よりずっと敏感に反応するため、高度5000ft以上に上昇する時など、大いに役に立っています。
 エンジン始動は、当時の日本ならイナーシャー・スターターや始動車を使ったのでしょうが、モホークは計器盤左下のマグネトー・スイッチ近くに、「PRESS BUTTON TO START」と書いた押しボタンがありますので、セルモーターを積んでいたようです。私の機体でも、マグネトー・スイッチの筐体を連続左クリックすると、スナップスイッチが上下に順次動いて、イグニッションが左右オンになり、押しボタンクリックでエンジンが始動出来ます。スロットルは全閉のままでも大丈夫です。マグネトーとミクスチャーを戻す時は、マウスのセンターボタンかキーボードを使います。
 なおスロットル及び、これと同軸のプロペラピッチレバー、その下にある駐機ブレーキのレバー、コクピット右壁のフラップレバーは、飛行中はクリックしにくいためホットスポットを設けておらず、ポジション・インジケーターとしてのみ機能します。従ってこれらの装置は、標準的なキー操作でご使用下さい。

●●FlightGearには、女性の人形もあったんですね:
 このあたりで、そろそろパイロット人形が欲しくなりました。セントルイス号には、やせ形でリンドバーグにちょっと似た人形が乗っていて、借用の有力候補です。FlightGearのデータフォルダを調べたところ、くだんのリンドバーグ風人形も入っており、一種の汎用パーツ扱いのようですので、そのまま使わせて頂くことにしました。(自作も試みましたがすぐ断念。理由ですか?…あっはっは)
 データフォルダには、女性の人形も入っていました。v3.4.0のリリース前、本家サイトの紹介記事に、機体を降りてシーナリーの中を歩き回る機能の話がありましたが、そのためのキャラクターのようですね。モホークの後席には、出来れば(アン夫人みたいに)女性の副操縦士を乗せたかったので、うち一体のおつむを借りて、やや縮小したリンドバーグ風人形の胴に移植し、操舵と連動して向きを変えるようにしました。これで同じ顔をしたおっさんが二人並ぶ、不気味なシーンを避けられます(^^;)。

 …本機のコクピットは相当狭く、後席のラダーペダルは前席の両脇にあり、後ろのパイロットは足を開いて、前席と側壁の間に押し込んで操舵します。バイクのタンデム走行みたいな感じですが、機体及び前席パイロットとの一体感はあって、これはこれでいいのかも。ただし長時間飛行は、姿勢が変えにくいので疲れそうです。リンドバーグ夫妻は1937年に機体を受け取ると、さっそく英国からインドまで往復したのですが…ガッツがあるなぁ!と感心します。
 私の機体も後席にパイロット・ビューを設けているので、一応は後席の視点から操縦可能ですが、前のパイロットが非常に邪魔なのと、スペースが無くて後席用の計器を特に設けていないため、離着陸などは困難です。実機は果たしてどうなっていたのか、後席の写真がまったく見つからないだけに、興味のあるところです。ことによるとロッキード・シリウスのように、アン夫人が操作する無線電信機が積まれていたかも知れません。余談ながら、装備品やパイロットの細かい位置決めをするため、コクピットのモックアップを作ったところ、工作を進める上で非常に役立ちました。

●●飛行性能向上のカギは、主翼面積にあった:
 ここで飛行性能を再び手直します。大きな目標は、飛行速度を実機並みに引き上げることと、3軸の舵の利きと安定性を両方とも改善すること。この段階ではふらつきが大きく、まだオートパイロット任せで巡航することが出来なかったのです。
 速力アップは、本来200馬力のエンジンを、すでに250馬力にかさ上げしていますし、実機で途中から採用された可変ピッチプロペラも取り入れ、空気抵抗係数まで削っているので、スピードを上げる手はあまり残されていません。そこで主翼面積を少々切り詰めることにしました。

 過去の改造経験から言いますと、主翼をスパン(翼の左右)方向に切ると、ロールスピードが上がる反面安定が悪くなり、エルロン操舵の細やかさも失われます。そこでコード(翼の前後)方向に1割、主翼を縮めてみたところ、結果は非常に良好で、最高速が10Kt近く向上し、上昇力も目に見えて増えました。また翼面荷重が増えたことにより、幾らか操縦性にメリハリが出たようです。もう一息速度を上げようと、同じ方法で2割主翼を切ったところ、今度はピッチ方向に強い操舵を加える際、機首が大きくガクンと向きを変える傾向が現れて、不快な印象でした。まるで何年も前のyasim機のようです。

 この時点では、主翼のコード寸法しか変更していませんでしたが、主翼を前後に切り詰めると当然、空力中心(FlightGear風に言えば「AERORP」)が移動するはずです。空力中心と重心の相対位置が狂ったことが、恐らく不審な挙動の原因でしょう…。そこで、主翼を前後方向に1割、左右方向にも1割縮小することにして、実際に縮めたモックアップを作り、平均翼弦長を計り直して正しい空力中心位置を求め、Aeromaticによる空力計算からやり直して、重心位置も再度調整したところ、ピッチ方向の癖は解決しました。速度性能も、3000ftの最高速が160Kt近くまで上がり、スロットルを90〜95%まで開けば150Ktの巡航も可能になって、ほぼ実機の性能レベルに到達しました。いや…正確に言いますと、うっかりKIAS(Kt表示の指示対気速度)で速度を測ったため、実質的には実機を少し上回ってしまった感じです。

 また、3軸の操縦特性プログラムをピラタスPC-9M改のものと照合しながら、ロール軸を中心に操舵力を増やす一方、ダンパーの利きも増強しました。こんな具合です。
 <description>Roll moment due to roll rate</description>(ロールのダンパー)を2倍増。
 <description>Roll moment due to yaw rate</description>はPC-9Mに合わせて減少。
 <description>Roll moment due to aileron</description>(エルロン操舵力)は2倍弱に。
 <description>Pitch moment due to pitch rate</description>(ピッチのダンパー)1.5倍増。
 <description>Yaw moment due to yaw rate</description>(ヨーのダンパー)33%増加。
 <description>Yaw moment due to rudder</description>(ラダー操舵力)1.5倍増。
 <description>Adverse yaw</description>PC-9Mに合わせて3分の1に落とす。

まだ完全とは言いかねますけれども、6月にアップロードさせて頂いた内装無しのα版に比べて、操縦の感触が良くなった気がします。よろしければ、どうかお試しを。末筆ながら、起動時にはコクピットは無人ですが、dキーを押すとパイロットがカップルで出現します。
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