自分で自分を押しても、向きが変わるはずはない
hide
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hideです。Hydeさん、興味深い問題提起をありがとうございます。
取りあえず、分かったことをお知らせします。(確かにJSBでは、滑走路を飛び出すほど強いヨーは発生していません)
ご案内のプロペラ後流は、英語では propeller slip-streamとか、prop washと呼ぶようです。これが垂直尾翼に働いて、機首の向きを変える(ように見える)現象は CORKSCREW EFFECT(コルク抜き効果)と呼ばれているようです。米国サイトのパイロット向け航空ハンドブック(なかなか見事な出来)の一部、空力の章に図入りで説明がありました。アドレスを以下に示します。
http://www.americanflyers.net/aviationlibrary/pilots_handbook/chapter_3.htm
ただし、このページに書いてある説明は、よくある「プロペラ後流が、垂直尾翼に横向きの力を加える」といったレベルのものです。これを極めて単純に、「自機のプロペラが発生した風が、自機の垂直尾翼を横から押すと、自機の機首方位が変わる」と理解すると、さながら「自分が乗っている台車の取っ手に、自分で力を加えると、台車は走ったり止まったり、向きを変えたりする」と主張するのと同じで、作用・反作用の法則を無視することになります。この点は昔から疑問でした。なので、この現象は見かけと違って単純な風圧の問題ではなく、もっと複雑な揚力効果の一種ではないかと想像しています。
例えば…双発機にクリティカル・エンジンが生じる理由は、プロペラのトルク反動と、片発停止によるヨー・モーメント発生、さらに不足する揚力を補うための機首上げに伴うPファクター、それに、機首引き起こしによるジャイロ効果(ピッチの動きの反動はヨー方向に出る)が考えられますが、そのほかにも実際は、プロペラ後流が大きな影響を及ぼしているそうです。YS-11の主任テストパイロットだった長谷川栄三さんの「戦後国産機開発の苦闘と教訓 テストパイロットの証言」(醍燈社)という本に出てくるのですが、プロペラ後流が主翼に当たる角度の違いにより、エンジンナセルの両側で揚力の差が生まれ、これが流速の差に繋がり、また左右両翼のナセル間でも同様に流速の差が生まれて、結果的にヨーの原因になるのだそうです。CORKSCREW EFFECTも、こうした幾つかのステップを経た現象ではなかろうかと思っています。
なお、試しにAircraftフォルダを、「slip-stream」「slip stream」「corkscrew」「wash」で検索しましたがヒットはありませんでした。私は40機しかインストールしていませんので不正確ですが、FlightGearではこの現象を、もともと再現していない可能性があります。
取りあえず、分かったことをお知らせします。(確かにJSBでは、滑走路を飛び出すほど強いヨーは発生していません)
ご案内のプロペラ後流は、英語では propeller slip-streamとか、prop washと呼ぶようです。これが垂直尾翼に働いて、機首の向きを変える(ように見える)現象は CORKSCREW EFFECT(コルク抜き効果)と呼ばれているようです。米国サイトのパイロット向け航空ハンドブック(なかなか見事な出来)の一部、空力の章に図入りで説明がありました。アドレスを以下に示します。
http://www.americanflyers.net/aviationlibrary/pilots_handbook/chapter_3.htm
ただし、このページに書いてある説明は、よくある「プロペラ後流が、垂直尾翼に横向きの力を加える」といったレベルのものです。これを極めて単純に、「自機のプロペラが発生した風が、自機の垂直尾翼を横から押すと、自機の機首方位が変わる」と理解すると、さながら「自分が乗っている台車の取っ手に、自分で力を加えると、台車は走ったり止まったり、向きを変えたりする」と主張するのと同じで、作用・反作用の法則を無視することになります。この点は昔から疑問でした。なので、この現象は見かけと違って単純な風圧の問題ではなく、もっと複雑な揚力効果の一種ではないかと想像しています。
例えば…双発機にクリティカル・エンジンが生じる理由は、プロペラのトルク反動と、片発停止によるヨー・モーメント発生、さらに不足する揚力を補うための機首上げに伴うPファクター、それに、機首引き起こしによるジャイロ効果(ピッチの動きの反動はヨー方向に出る)が考えられますが、そのほかにも実際は、プロペラ後流が大きな影響を及ぼしているそうです。YS-11の主任テストパイロットだった長谷川栄三さんの「戦後国産機開発の苦闘と教訓 テストパイロットの証言」(醍燈社)という本に出てくるのですが、プロペラ後流が主翼に当たる角度の違いにより、エンジンナセルの両側で揚力の差が生まれ、これが流速の差に繋がり、また左右両翼のナセル間でも同様に流速の差が生まれて、結果的にヨーの原因になるのだそうです。CORKSCREW EFFECTも、こうした幾つかのステップを経た現象ではなかろうかと思っています。
なお、試しにAircraftフォルダを、「slip-stream」「slip stream」「corkscrew」「wash」で検索しましたがヒットはありませんでした。私は40機しかインストールしていませんので不正確ですが、FlightGearではこの現象を、もともと再現していない可能性があります。
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Re: 3種の横風補正法
(Hyde, 2012-1-21 9:41)
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Re: 3種の横風補正法
(hide, 2012-1-21 18:10)
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Re: 3種の横風補正法
(Hyde, 2012-1-22 12:31)
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Re: 3種の横風補正法
(hide, 2012-1-24 3:43)
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Re: 3種の横風補正法
(Hyde, 2012-1-27 12:04)
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横風でWheelが効かなくなる
(Hyde, 2012-1-28 8:29)
- 自分で自分を押しても、向きが変わるはずはない (hide, 2012-1-28 9:58)
- Re: 横風でWheelが効かなくなる (toshi, 2012-1-28 12:03)
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横風でWheelが効かなくなる
(Hyde, 2012-1-28 8:29)
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Re: 3種の横風補正法
(Hyde, 2012-1-27 12:04)
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Re: 3種の横風補正法
(hide, 2012-1-24 3:43)
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Re: 3種の横風補正法
(Hyde, 2012-1-22 12:31)
- Re: Re: 3種の横風補正法 (toshi, 2012-1-27 23:16)
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Re: 3種の横風補正法
(hide, 2012-1-21 18:10)